【実施例】
【0109】
以下の具体的な例は、単に例示的なものとして解釈されるべきであり、方法はどうであれ、開示の残りを限定するものとして、解釈されるべきではない。
【0110】
モノマーおよびポリマーの以下の一般的特徴は、副作用をもたらすことなく、網膜を結合することに成功させるために必要とされる。
【0111】
【表1】
【0112】
以下は、幾つかの接着性ポリマー特性である。
【0113】
【表2】
【0114】
現場での適用のために、所望のゲル化時間は、120秒を下回る。さらに、粘度は、標的の処置領域のまわりの過度の展着を防ぐのに十分高くあるべきだが、その部位で任意の小さな腔に入るのに十分低くあるべきである。また、反応緩衝液は、生理学的条件に近くあるべきである。所望の分解時間およびポリマー孔径は、適用によって変化する。ポリマーは、身体内の分断(fragmentation)に抵抗するのに十分な弾性および強度を有するべきである。
【0115】
ポリマーの化学成分は表1にリストされる。化学的モノマーは、略語によって引用される。幾つかのUSPグレードの眼病用の使用が認可された粘度増強剤を、Sigma−Aldrichから購入し、25℃で貯蔵した。それらは、MCと略されたメチルセルロース(Methocel(登録商標)MC、10−25MPA.S);HPMCと略されたハイプロメロース(ヒドロキシプロピルメチルセルロース2910);およびPVPと略されたポビドンK−30(ポリビニルピロリドン)、を含む。モノマーを、5℃で貯蔵し、使用前に室温まで暖め、これは典型的に30分かかった。使用後、内容物を、パラフィルムにより密封し、5℃に戻す前に、およそ30秒間N
2でパージした。
【0116】
0.15Mのリン酸緩衝液を、磁気撹拌によって25℃で500mLの蒸留水中に9.00g(0.075mol)のNaH
2PO
4を溶解することによって作った。その後、50%の水性のNaOHを滴下で加えることによって、pHを7.99に調整した。幾つかの他のリン酸緩衝液を同様の方法:pH9での0.10Mのリン酸、pH7.8での0.10Mのリン酸、pH7.72での0.10Mのリン酸、pH7.46での0.10Mのリン酸、pH7.94での0.15Mのリン酸、pH7.90での0.15Mのリン酸、pH9での0.4Mのリン酸、およびpH7.40での0.05Mのリン酸、で調整した。
【0117】
0.30%のHPMCによるpH7.58での無菌の0.10Mのリン酸緩衝液を、キットでの使用のために調製した。最初に、1.417gのHPMCを、活発な振盪によってpH7.58で0.10Mのリン酸緩衝液、471mL中に溶解した。粘性溶液を、一晩浄化させた。溶液を、光真空の適用によって0.22μmのフィルター(Corning#431097)を通してろ過した。結果として生じる溶液の粘度を、20℃で8.48cSt+/−0.06であると測定した。
【0118】
リン酸緩衝食塩水(PBS)を、活発な振盪によって25℃で400mLの蒸留水中に2つのPBS錠剤(Sigma Chemical, P4417)を溶解することによって調製した。溶液を以下の組成およびpHを有する:0.01Mのリン酸、0.0027Mの塩化カリウム、0.137Mの塩化ナトリウム、pH7.46。
【0119】
0.058Mのリン酸緩衝液を、磁気撹拌によって25℃で500mLの蒸留水中に3.45g(0.029mol)のNaH
2PO
4を溶解することによって作った。その後、50%の水性のNaOHを滴下で加えることによって、pHを7.97に調整した。0.05Mのホウ酸塩緩衝液を、磁気撹拌によって25℃で500mLの蒸留水中に9.53g(0.025mol)のNa
2B
4O
7・10 H2Oを溶解することによって作った。その後、6.0NのHClを滴下で加えることによって、pHを7.93または8.35に調整した。
【0120】
アミンまたはチオールの成分(典型的に、0.1mmolのアーム(arms)の同等物の範囲内)を、50mLの遠心分離管に加えた。溶液中の固形物の終末濃度が約5パーセントとなるように、大量の反応緩衝液をピペットを介して管に加えた。混合物を、エステルまたはエポキシドの適正量を加える前に、固形物を溶解するためにそっと回転させた(swirled)。エステルまたはエポキシドを加えた直後に、全体の溶液を、静止させる前に10秒間振動させた。
【0121】
すべての事例に対するゲル化時間を、エステルまたはエポキシドの付加から始めて、溶液のゲル化まで測定した。1mLの反応混合物をピペットで移し、粘度の滴下での増加を観察することによって、ゲル化点を示した。50mLの遠心分離管中でca.5gの物質に5乃至10mLのリン酸緩衝食塩水を加え、37℃で混合物をインキュベートすることによって、ポリマーの分解を行った。リン酸緩衝液の付加の日から、溶液へのポリマーの溶解が完了するまで、分解時間を測定した。
【0122】
【表3】
【0123】
実施例1:ヒドロゲルの製造(アミン−エステルの化学作用)
約2.5mLのリン酸ナトリウム緩衝液(緩衝液pH7.36)中え約0.13gの固体のモノマーを溶解することによって、8ARM−20K−NH2の溶液を、Falconチューブ中で調製した。完全な溶解が得られるまで、混合物を、周囲温度で約10秒間振動させた。Falconチューブを、周囲温度で静置させた。別のFalconチューブでは、0.10gの8ARM−15K−SGを、上記のように同じリン酸緩衝液中で溶解した。混合物を、約10秒間振動させ、この時点で、すべての粉末を溶解した。8ARM−15K−SG溶液を、8ARM−20K−NH2溶液へとすぐに注ぎ、タイマーを起動した。混合物を、約10秒間振動且つ混合し、1mLの混合物の溶液を、機械的な高精度ピペットを使用して移した。1mLの液体のゲル化時間を、収集し、その後、残りの液体のための流れの欠如とともに確認した。製剤のゲル化時間のデータを記録し、それは約90秒であった。
【0124】
実施例2:ヒドロゲルの製造(アミン−エステルの化学作用)
約18mLのリン酸ナトリウム緩衝液(緩衝液pH7.36)中で約0.4gの固体の4ARM−20k−AAおよび約0.2gの固体の8ARM−20k−NH2を溶解することによって、アミンの溶液をFalconチューブ中で調製した。完全な溶解が得られるまで、混合物を、周囲温度で約10秒間振動させた。Falconチューブを、周囲温度で静置させた。この溶液に、0.3gの8ARM−15K−SGを加えた。混合物を、すべて粉末が溶解するまで、約10秒間混合且つ振動した。1mLの混合物の溶液を、機械的な高精度ピペットを使用して移した。製剤のゲル化時間を、上記のプロセスを用いて収集した。ゲル化時間は、約90秒であった。
【0125】
実施例3:ヒドロゲルの製造(チオールエステルの化学作用)
約5mLの硼酸ナトリウム緩衝液(緩衝液pH8.35)中で約0.04gのモノマーを溶解することによって、ETTMP−1300の溶液をFalconチューブ中で調製した。完全な溶解が得られるまで、混合物を、周囲温度で約10秒間振動させた。Falconチューブを、周囲温度で静置させた。この溶液に、0.20gの8ARM−15K−SGを加えた。粉末が溶解するまで、混合物を約10秒間振動した。1mLの混合物の溶液を、機械的な高精度ピペットを使用して移した。ゲル化時間が、約70秒であることが分かった。
【0126】
実施例4:ヒドロゲルの製造(チオール−エポキシドの化学作用)
約5mLのホウ酸ナトリウム緩衝液(緩衝液pH8.35)中で約0.04gのモノマーを溶解することによって、ETTMP−1300の溶液をFalconチューブ中で調製した。完全な溶解が得られるまで、混合物を、周囲温度で約10秒間振動させた。Falconチューブを、周囲温度で静置させた。この溶液に、0.10gのEJ−190を加えた。完全な溶解が得られるまで、混合物を、約10秒間振動した。1mLの混合物の溶液を、機械的な高精度ピペットを使用して移した。ゲル化時間が約6分であることが分かった。
【0127】
実施例5:インビトロでの生体吸収試験
pH7.40の0.10のモル緩衝液を、脱イオン水によって調製した。この溶液の50mLを、Falconチューブに移動した。サンプルポリマーを、20ccのシリンジ中で調製した。硬化後、ポリマースラグ(polymer slug)から2−4mmの厚い切片を切断し、Falconチューブに入れた。循環水浴を、準備し、37℃で維持した。ポリマーを用いるFalconチューブを、水浴内に入れ、時間を計り始めた。ポリマーの溶解を、モニタリングし、記録した。溶解時間は、サンプルポリマーのタイプに依存して、1−90日の範囲であった。
【0128】
実施例6:アミン−エステルのポリマーのゲル化および分解の時間
研究したアミンは、8ARM−20k−NH2および4ARM−5k−NH2であった。製剤の詳細および物質特性を表2に示す。8ARM−20k−NH2では、0.058Mのリン酸および7.97のpHを有するリン酸緩衝液が、約100秒の許容可能なゲル化時間を得るのに必要であったことが分かった。終わった7.41のpHを有する0.05Mのリン酸緩衝液を使用すると、結果として、ゲル化時間(270秒)は2倍以上増加した。
【0129】
8ARM−20k−NH2では、4ARM−10k−SSの4ARM−20k−SGAに対する比率は、50:50から90:10までで様々であった。ゲル化時間は一貫したままであったが、およそ80:20の比率で分解時間に著しい変化があった。75:25および50:50の比率を有する製剤に対して、分解時間は、1か月まで及びそれを超えて急上昇した。より少ない量の4ARM−20k−SGA(80:20、85:15、90:10)を使用すると、結果として、分解時間は、7日未満となった。
【0130】
比較として、4ARM−5k−NH2を、80:20の、4ARM−10k−SSの4ARM−20k−SGAに対する比率で、製剤中で使用した。予期されるように、分解時間は、一貫したままであり、これは、分解の機構がアミンの変化に影響されなかったことを示唆している。しかしながら、ゲル化時間は、60秒増加し、これは、高分子量の8ARMアミンおよび低分子量の4ARMアミン中の反応基の相対的な利用可能性を反映しているかもしれない。
【0131】
【表4】
【0132】
実施例7:チオール−エステルのポリマーのゲル化および分解の時間
研究したチオールは、4ARM−5k−SHおよびETTMP−1300であった。製剤の詳細および物質特性を表3に示す。7.93のpHを有する0.05Mのホウ酸塩緩衝液が、約120秒のゲル化時間をもたらしたことが分かった。製剤中で4ARM−20k−SGAの量が増加することで、ゲル化時間は、最大390秒(0:100の、4ARM−10k−SSの4ARM−20k−SGAに対する比率)までの、190秒(25:75の、4ARM−10k−SSの4ARM−20k−SGAに対する比率)に増加した。8.35のpHを有する0.05Mのホウ酸塩緩衝液を使用すると、ゲル化時間は、結果として、約2倍の減少である、65秒になった。したがって、ゲル化時間は、単に反応緩衝液のpHを調整することによって合わせられ得る。
【0133】
4ARM−10k−SSの4ARM−20k−SGAに対する比率は、0:100から100:0までで様々である。すべての事例において、分解時間は、著しく変化することはなく、典型的に3乃至5日であった。分解が代替経路によって生じる傾向がある。
【0134】
【表5】
【0135】
実施例8:アミン−エステルおよびチオール−エステルのポリマーのゲル化および分解の時間
アミン(4ARM−5k−NH2)およびチオール(4ARM−5k−SH)を、エステル4ARM−10k−SGを用いて研究した。製剤の詳細および物質特性を表4に示す。7.97のpHを有する0.058Mのリン酸緩衝液は、アミンにより150秒のゲル化時間をもたらした。8.35のpHを有する0.05Mのホウ酸塩緩衝液は、チオールにより75秒のゲル化時間をもたらした。
【0136】
アミンベースのポリマーは、分解可能な基の欠如から予期されるように、分解の徴候を示さないようであった。しかしながら、チオールベースのポリマーは5日で分解した。これは、4ARM−10k−SSおよび4ARM−20k−SGAを有するチオール製剤中で観察されるように(上記参照)、分解が代替経路によって生じることを示唆している。
【0137】
【表6】
【0138】
実施例9:チオール−ソルビトールのポリグリシジルエーテルポリマーのゲル化および分解の時間
高いpH(10)などのETTMP−1300条件では、高い溶液濃度(50%)、または高いホウ酸塩濃度(0.16M)が、混合物をゲル化するのに必要であった。ゲル化時間は、約30分から長時間にわたる範囲であった。調査された条件は、以下のものを含む:7から12までのpH;5%から50%までの溶液濃度;0.05Mから0.16Mまでのホウ酸塩濃度;および1:2から2:1までのチオールのエポキシドに対する比率。
【0139】
反応を生じさせるのに必要な高いpHは、結果的に、チオールの分解をもたらし得る。したがって、EJ−190および4ARM−5k−SHを有するポリマーを調製した。13%の溶液製剤は、9乃至10のpHで230秒のゲル化時間を示した。分解時間は32日間であった。約8のより低いpHでは、混合物は、1乃至2時間の範囲のゲル化時間を示した。
【0140】
実施例10:インビボで重合可能な物質の調製のための一般的手順
幾つかの代表的な粘着性の製剤を、インビボで重合可能な物質の調製のための具体的な反応の詳細とともに表5にリストする。ポリマーを、リン酸緩衝液中でアミン成分またはホウ酸塩緩衝液中でチオール成分を最初に溶解することによって調製した。その後、適正量のエステル成分を加え、全体の溶液を10乃至20秒間活発に混合した。ゲル化時間を、エステルの付加から始めて溶液のゲル化まで測定した。
【0141】
【表7-1】
【0142】
【表7-2】
【0143】
【表8】
【0144】
【表9】
【0145】
ゲル化時間は、60秒乃至300秒の範囲であり、反応緩衝液pH、緩衝液濃度、またはポリマー濃度の調整によって容易に調節されることが分かった。単一の製剤に対するゲル化時間の制御の例を、表6に示し、ここで、8ARM−20k−NH2/4ARM−20k−SGA(1/1)ポリマーに対するゲル化時間は、1.5分から15.5分までで様々である。
【0146】
特定の例では、ポリマーの粘着性は、成分のモル当量の不適合から生じる。2,000乃至20,000の分子量の4または8アームの(4 or 8 armed)アミンおよび1,000乃至20,000の分子量の4または8アームのエステルの組み合わせを使用する様々な粘着性の物質を生成した。8アームのと比較して、4アームのとエステルは、結果的に、より粘着性のある物質をもたらした。アミン成分に関して、より小さな分子の量が、より粘着性のある物質およびより高いアミン対エステルのモル比につながることが分かった。
【0147】
少なくとも3の不適合(アミン対エステルのモル比)は、粘着性を質的に感知することが必要とされた。より好ましくは、約5の比率は、ポリマーの強度と組み合わせた粘着性の望ましいレベルをもたらした。5より高いアミン対エステルのモル比を有するポリマーも、形成され得るが、ポリマー濃度などの幾つかの反応条件は、合理的なゲル化時間を得るために調整される必要があるかもしれない。さらに、粘度を増強した溶液の使用が、ポリマーを、その強度および弾性を高めることにより改善し、より高いアミン対エステルのモル比を可能にすることが分かった(実施例11、表8)。
【0148】
形成された物質は、典型的に、透明且つ弾性であった。粘着性を、質的に触って試験した。したがって、粘着性の物質は、ヒトの指または他の表面に付着し、取り除かれるまでその場所に残った。分解時間は、1日から53日までで様々であった。特定の例では、ゲル化および分解の時間、孔径、膨潤などのポリマー特性は、粘着性を失うことなく、異なる適用のために最適化され得る。
【0149】
実施例11:増強した粘度を有する溶液の調製のための一般的手順
増強した粘度を有するポリマー溶液を、粘度増強剤を反応緩衝液に加えることによって調製した。表8のBは、形成されたポリマーの特性についての観察を含む、研究された粘度増強剤をリストする。反応緩衝液の貯蔵溶液を、様々な濃度のメチルセルロース(MC)、ハイプロメロース(HPMC)またはポリビニルピロリドン(PVP)によって調製した。例として、緩衝液中の2%(w/w)のHPMC溶液を、pH7.80で0.2gのHPMCを0.10Mのリン酸緩衝液、9.8mLに加え、その後、活発な振動によって作り出した。溶液を、一晩静置させた。0.01%乃至2.0%の範囲のHPMC濃度を有する緩衝液を、同様の方法で調製した。5%乃至20%の範囲のPVP濃度を有する緩衝液および1.0乃至2.0%の範囲のMC濃度を有する緩衝液も、同様の方法で調製した。
【0150】
ポリマーを、粘着性の物質の調製のための一般的手順において記載されるのと同じ方法で形成した(実施例10)。典型的な手順は、粘度増強剤の所望の濃度を含有しているリン酸緩衝液中のアミン成分を最初に溶解することを含んだ。その後、適正量のエステル成分を加え、全体の溶液を、10乃至20秒間活発に混合した。ゲル化時間を、エステルの付加から始めて溶液のゲル化まで測定した。
【0151】
幾つかの代表的な製剤を、具体的な反応の詳細とともに表7にリストする。モル当量による分解可能な酢酸アミン成分のパーセントを、括弧で指定した比率によって表わす。例えば、75%の分解可能なアミンを有する製剤は、8ARM−20k−AA/8ARM−20k−NH2(75/25)として記載される。ポリマーを、リン酸緩衝液中のアミン成分を最初に溶解することによって調製した。その後、適正量のエステル成分を加え、全体の溶液を、10乃至20秒間活発に混合した。ゲル化時間を、エステルの付加から始めて溶液のゲル化まで測定した。
【0152】
ゲル化時間は、以下の幾らかの因子に依存する:pH、緩衝液濃度、ポリマー濃度、温度および使用されるモノマー。先の実験は、一旦成分が溶液中にあると、混合の程度が、ゲル化時間に対してほとんど効果がないことを示し、その時間は、典型的に、10秒までである。
図1は、緩衝液pHに対するモノマーの付加の効果を示す。8ARM−20k−NH2および4ARM−20k−SGAの製剤について、緩衝液pHは、モノマーの付加でわずかに7.42から7.36まで低下する。8ARM−20k−AA/8ARM−20k−NH2(70/30)および4ARM−20k−SGAの製剤については、緩衝液pHは、モノマーの付加で7.4から7.29まで低下する。pHのさらなる減少が、分解可能な酢酸アミン中の酸性残留物から生じることが分かった。同じpH低下の現象は、4ARM−20k−AAアミンに対しても観察された。特定の例では、酢酸アミン溶液のpHに対する品質管理の規格(specification)が、分解可能な製剤の整合性を改善するために必要とされ得る。
【0153】
図2は、ゲル化時間に対する反応緩衝液pHの効果を描写する。ゲル化時間は、およそ直線的に、ヒドロニウムイオンの濃度の増加とともに増加する。より一般には、ゲル化時間は、緩衝液pHの増加とともに減少する。
図3は、ゲル化時間に対する反応緩衝液リン酸濃度の効果を示す。ゲル化時間は、リン酸濃度の増加とともに減少する。
図4は、ゲル化時間に対するポリマー濃度の効果を例証する。ゲル化時間は、ポリマー濃度の増加とともに著しく減少する。ゲル化時間が5分より長い低いポリマー濃度では、エステルの加水分解反応は、ポリマーの形成と競合し始める。
図5で見られるように、ゲル化時間に対する温度の効果は、アレニウス式に従っているようである。ゲル化時間は、ポリマー溶液の反応進行度に直接関連し、したがって、この作用は異常ではない。
【0154】
図6では、ゲル化プロセスの間のポリマーのレオロジーを、ゲル化点に対するパーセント時間に応じて示す。したがって、100%は、ゲル化点を表わし、50%は、ゲル化点前の時間の半分を表わす。反応溶液の粘度は、ゲル化点の約80%まで比較的一定したままである。その後、粘度は劇的に増加し、これは、固形ゲルの形成を表わす。
【0155】
図7は、約1年にわたる、モノマーの同じロットを使用する、単一の製剤のゲル化時間の安定性を示す。モノマーを、上に概説する標準プロトコルに従って処理した。ゲル化時間は、比較的安定したままであり、反応緩衝液の幾らかの変化は、ゲル化時間の差の原因であり得る。
【0156】
【表10-1】
【0157】
【表10-2】
【0158】
【表10-3】
【0159】
【表10-4】
【0160】
【表11-1】
【0161】
【表11-2】
【0162】
【表11-3】
【0163】
細胞毒性および溶血反応の評価
幾つかのポリマーサンプルを、細胞毒性および溶血反応の評価のためにNAMSAに送った。細胞毒性を、ISO 10993−5のガイドラインに従って評価した。溶血反応を、ASTM F756およびISO 10993−4に基づいた手順に従って評価した。
【0164】
0.3%のHPMCを有する4.8%の溶液でのポリマー8ARM−20k−NH2および4ARM−20k−SGAが、非細胞毒性且つ非溶血性であることが分かった。0.3%のHPMCを有する4.8%の溶液でのポリマー8ARM−20k−AA/8ARM−20k−NH2(70/30)および4ARM−20k−SGAが、非細胞毒性且つ非溶血性であることが分かった。さらに、4ARM−20kAAおよび8ARM−15k−SGを含む製剤もまた、非細胞毒性且つ非溶血性であった。
【0165】
ゲル化および分解の時間の測定
すべての事例に対するゲル化時間を、エステルの付加から始めて溶液のゲル化まで測定した。1mLの反応混合物をピペットで移し、混合物が流れが止まるまで粘度の滴下での増加を観察することによって、ゲル化点を示した。ポリマーの分解を、50mLの遠心分離管中で1gの物質につき1乃至10mLのリン酸緩衝食塩水を加え、混合物を37℃でインキュベートすることによって行った。デジタル式の水浴を、温度を維持するために使用した。リン酸緩衝液の付加の日から、溶液へのポリマーの溶解が完了するまで、分解時間を測定した。
【0166】
ゲル化時間に対する、反応緩衝液pH、リン酸濃度、ポリマー濃度および反応温度の効果を特徴づけした。緩衝液pHは、50%の水性のNaOHまたは6.0NのHClのいずれかを滴下で加えることによって、7.2から8.0までで様々であった。0.01、0.02および0.05Mのリン酸濃度を、調製し、pH7.4に調整した。2乃至20%の溶液のポリマー濃度を研究した。モノマー、緩衝液、および反応混合物を適温で維持することによって、5、20、および37℃の反応温度を試験した。冷蔵庫によって5℃の環境を提供し、37℃の温度を水浴によって維持した。室温が20℃であることが分かった。
【0167】
分解時間に対するポリマー製剤中の分解緩衝液pHおよび分解可能なアミンの割合の効果を調査した。分解緩衝液pHは、50%の水性のNaOHまたは6.0NのHClのいずれかを滴下で加えることによって、7.2から9.0までで様々であった。研究した分解可能なアミン成分は、4ARM−20k−AAまたは8ARM−20k−AAのいずれかであり、分解可能なアミンの非分解性のアミンに対するパーセントは、50から100%までで様々であった。
【0168】
分解時間は、緩衝液pH、温度、および使用されるモノマーに大きく依存する。分解は、主として、エステル結合の加水分解を介して生じ、生体系では、酵素経路も役割を果たし得る。
図8は、変化する量での、製剤の分解時間と4ARM−20k−AAおよび8ARM−20k−AAとを比較する。一般に、非分解性のアミンと比べた分解可能な酢酸アミンの量の増加は、分解時間を減少させる。さらに、幾つかの例では、8ARM−20k−AAは、モル当量当たりの4ARM−20k−AAよりも長い分解時間を示し、これは、酢酸アミンのパーセントが70%未満に低下するときに特に明白となる。
【0169】
図9は、分解時間に対する緩衝液pHの効果を示す。7.2乃至9.0のpH範囲を研究した。一般に、高いpH環境は、結果的に、大幅に加速された分解をもたらす。例えば、およそ7.4乃至7.7のpHの増加は、分解時間を約半分に減少させる。
【0170】
製剤中で使用されるモノマーは、ポリマーが分解する方法で役割を果たすことが分かった。8ARM−20k−AA/8ARM−20k−NH2(70/30)および4ARM−20k−SGAポリマーについては、分解は、物質の全体にわたって均質的に生じ、結果的に「円滑な(smooth)」分解プロセスにつながり、これは
図10に描写される。ポリマーの初期状態を、
図10のAに示す。ポリマーは、水を吸収し、わずかに最初の数日間にわたってわずかに膨潤した(
図10のB)。その後、ポリマーは、その形状をまだ維持しながら、徐々により柔らかくなった(
図10のC)。最終的に、ポリマーは、その形状を失い、高い粘性の流体になった(
図10のD)。ポリマーが14日目までその形状を維持したため、その21日の分解期間にもかかわらず、70/30の製剤を、14日の眼科用の適用のために選択した。14日目から21日目まで、ポリマーは、その形状を失い始め、粘性流体の段階に入った。
【0171】
分解プロセスを細分化する例を、
図11に示す。分解可能なアミンの量が低くなるときに、ポリマー中の非分解性の領域が生まれ得る。
図11のAは、およそ80日後の、8ARM−20k−AA/8ARM−20k−NH2(60/40)および4ARM−20k−SGAの製剤を描写する。
図11のBは、幾つかの大きなフラグメントに分解した、4ARM−20k−AA/8ARM−20k−NH2(70/30)および4ARM−20k−SGAの製剤を描写する。ポリマーが大きな力にさらされる場合の適用のために、ポリマーが、経時的により柔らかくなる且つ弱くなると、分断も生じ得る。
【0172】
ポリマー濃度
より希薄なポリマー溶液は、機械的性質の最小の変化とともに利用され得る。4ARM−20k−SGAおよび0.3%のHPMCを有する製剤8ARM−20k−AA−20K/8ARM−20k−NH2(75/25)については、3.0、3.5および4.0%のポリマー濃度を研究した。
図12Aは、ゲル化時間を示し、これは、ポリマー濃度が低下するとともに着実に増加した。ポリマー濃度が低下するとともに、硬度はわずかに減少した(
図12B)。粘着度を
図12Cに示す。ポリマーの接着性の変化は本質的になかった。ポリマー濃度が低下するとともに、弾性率はわずかに減少した(
図12D)。膨潤または水の吸収を、
図12Eに示す。
【0173】
【表12】
【0174】
【表13】
【0175】
【表14】
【0176】
メチルセルロース(MC)が、ハイプロメロース(HPMC)と同様に作用することが分かり、0乃至2%(w/w)の濃度範囲で実用可能な粘性溶を提供した。しかしながら、HPMCは、MCよりも容易に溶解し、HPMC溶液は、より高い光学的透明度を有し;したがって、HPMCの使用が好まれた。ポビドン(PVP)は、緩衝液中に容易に溶解したが、20%(w/w)でさえ最小限の粘度増強を提供した。
【0177】
大部分で、ポリマーは、低濃度のHPMCまたはPVPを加えることによって変わらないままである。しかしながら、切断なしで通常よりも延長する物質の能力によって証拠づけられるように、増強された弾性によって特徴づけられる、ポリマーの約0.3%のHPMCの顕著な変更があった。1.5%のHPMCを超えて、ポリマーは、わずかに柔らかくなり、より少ないバウンスを示した。ゲル化時間はまた、増粘剤のない製剤に対するゲル化時間の10秒以内のままであった。PVPの場合には、ポリマーの著しい変化は、10%のPVPを超えて生じた。ポリマーは、弾性および粘着性の顕著な増加にとともにより不透明になった。15%乃至20%のPVPで、ポリマーは、粘着性の物質に類似したが、よい優れた機械強度を有した。ゲル化時間はまた、増粘剤のない製剤と比べて、およそ20分増加した。したがって、ポリマー溶液へのより低い濃度のPVPまたはHPMCの付加は、ポリマーの弾性および潤滑性の改善において有益であり得る。
【0178】
ヒドロゲル表面の展着試験の結果は、ほとんどの製剤がカテゴリー2に属することを示す。
【0179】
これらの観察に基づいて、0.3%のHPMCを利用する製剤を、さらなる評価のために選択した。1.0%を超えるHPMCでは、溶液は、混合するのがかなり難しくなり、モノマーの溶解が問題となった。0.5%のHPMCおよびそれを超えると、混合中の大気泡の形成が際立った。さらに、溶液は、大気泡を取り除くために0.5μmのシリンジフィルターを介してろ過するのは容易ではなかった。しかしながら、0.3%のHPMC溶液は、中程度の混合後でさえ容易にろ過され、結果として、大気泡のない、光学的に透明なポリマーをもたらした。
【0180】
粘度測定
結果として生じる緩衝液の粘度を、Ace Glassからの適切にサイズが合わせられたCannon−Fenskeの粘度計チューブによって測定した。使用した粘度計のサイズは25から300までの範囲であった。選択した溶液の測定を、20℃および37℃の両方で3回繰り返して行った。結果を表8のBに示す。およその動粘度を計算するために、すべての緩衝液が水と同じ密度を有していると仮定した。
【0181】
ゲル化プロセスの間のポリマーのレオロジーを特徴づけるために、サイズ300の粘度計を、およそ15分後にゲル化するように設計した製剤とともに使用した。使用した製剤は、2.5%の溶液および0.3%のHPMCで4ARM−20k−SGAを有する8ARM−20k−NH2を含んだ。反応が、7.2のpHで0.05Mのリン酸緩衝液中に生じた。したがって、サイズ300の粘度計での1回の粘度測定が、約1分で得られ、事後測定は、ゲル化点まで立て続けに得られ得る。
【0182】
ヒドロゲル表面の展着試験
網膜の表面が極端に親水性であり、これによって、液体の滴下が投与の所望部位を越えて展着する傾向があるため、展着を、極端に親水性である表面を使用してモデル化した。親水性表面上のポリマー溶液の効能をモデル化するために、約30°傾斜での高含水量のヒドロゲル表面上の液滴の展着および滴下の程度を記録した。ペトリ皿においてpH7.4で7mLの0.05Mリン酸緩衝液中の0.10g(0.04molのアームeq.)の8ARM−20k−NH2を溶解し、その後、0.075g(0.04molのアームeq.)の8ARM−15k−SGエステルを加えることによって、ヒドロゲルを作り上げた。溶液を、10乃至20秒間スパーテルによって撹拌し、ゲル化させ、これには、典型的に5乃至10分かかった。結果として生じるポリマーの含水量は、97.5%であった。
【0183】
最初にポリマー溶液を通常の方法で調製することによって、試験を行った。徹底的い混合した後、ポリマー溶液を、22ゲージの注射針を介してヒドロゲル表面上に滴下で調剤した。結果を、表8のBに示し、以下の3つの一般的なカテゴリーに分類した:1)展着なし、適所にとどまる密な滴剤;2)軽度の展着、滴剤をゆっくり下に落ちる;3)重度の展着、完全に湿潤面に落ちる。水はカテゴリー3にある。水は、カテゴリー3にある。
【0184】
膨潤の測定
分解プロセスの間のポリマー中の膨潤の程度を、ポリマーの液体吸収として定量化した。既知の質量のポリマーを、37℃でPBSに入れた。規定時間の間隔で、ポリマーを、緩衝液から分離し、ペーパータオルで水気を取り、計量した。質量のパーセント増加を、最初の質量から計算した。
【0185】
0、0.3および1.0%のHPMCを有する8ARM−20k−NH2/4ARM−20k−SGAのポリマーによる水の吸収のパーセントを、
図13に示す。1.0%のHPMCポリマーは、20日目までの水におけるその重量の30%までを吸収した。20日後、ポリマーは、水におけるその重量の約10%まで戻った。それに比べて、0%のHPMCポリマーは、最初に、水におけるその重量の10%までを吸収したが、徐々に水を失い始め、水におけるその重量は約5%にとどまった。0.3%のHPMCポリマーは、中間の方法(intermediate fashion)で作用した。それは、最初に、水におけるその重量の20%までを吸収したが、一週間後に水におけるその重量の約10%まで戻り、水をゆっくりと失い続けた。
【0186】
比重の測定
ポリマーの比重を、通常の方法でポリマー溶液を調製し、1.00mLの徹底的に混合した溶液を化学天秤上にピペットで移すことによって得た。測定を、20℃で3回繰り返して行った。比重を、参照として4℃での水の密度を使用することによって計算した。
【0187】
比重に対して得た値を、
図14に示す。ポリマーの比重は、緩衝液のみの比重と著しく異なることはなく、その両方は、水の比重と本質的に同じであった。ポリマー溶液がろ過されず、大気泡がポリマーマトリックスに埋め込まれるときに、例外が生じ得る。
【0188】
硫酸バリウムの懸濁液
撮像目的のために、硫酸バリウムを、放射性造影剤として幾つかのポリマー製剤に加えた。1.0、2.0、5.0および10.0%(w/v)の硫酸バリウム濃度を調査した。結果として生じるポリマー溶液の粘度を測定し、ポリマーゲル時間に対する硫酸バリウムの付加の効果および注射可能性(syringability)の特性も研究した。
【0189】
1.0、2.0、5.0および10.0%(w/v)の硫酸バリウム濃度を調査した。不透明で、乳白色の懸濁液は、不透明且つ白色のポリマーを同様に形成した。ゲル化時間の変化は観察されなかった。質的に、ポリマーは、硫酸バリウムのないポリマーの特性に類似した特性を有するように見えた。すべての製剤を、22ゲージの注射針を介して容易に調剤することができた。
【0190】
1.0、2.0、5.0および10.0%の硫酸バリウム濃度に対する粘度測定の結果を、
図15に示す。粘度は、2.0%まで比較的安定したままであり、5.0%で、粘度は約2.5cPまでわずかに増加した。濃度が10.0%に接近すると、ほぼ10cPまでの粘度の急増があった。したがって、5.0%の硫酸バリウム濃度を、高コントラストの強度と変更されていないポリマー製剤との類似性との間のバランスとして選択した。
【0191】
ヒドロゲル硬度、弾性率、および付着
ポリマーの硬度を、Exponentソフトウェアのバージョン6.0.6.0を有するTexture AnalyzerモデルTA.XT.plusによって特徴付けた。方法は、ゼラチンの硬度の測定のための工業規格「Bloom Test」に従った。この試験では、ポリマーサンプルを定義された深さまで浸透させて、その後、サンプルから原位置に戻すために、TA−8 1/4”のボールプローブを使用した。測定したピーク力を、サンプルの「硬度」として定義する。研究したポリマーについて、0.50mm/秒の試験速度、4mmの浸透深さ、および5.0gの引き金作用を使用した。ポリマーを、直接、5mLのサイズのバイアル中の2.5mLのスケール上で調製し、一貫したサンプル寸法を確かなものとした。使用したバイアルは、ThermoScientific/Nalgene LDPEのサンプルバイアル、product# 6250−0005(LOT# 7163281060)であった。測定を20℃で行った。ポリマーを、測定前のおよそ1時間、室温で静止させた。測定を、少なくとも3つのサンプルに対して3回繰り返して行った。硬度の試験を実行するExponentソフトウェアによって作り出されたサンプルプロットを、
図16に示す。プロットのピークは、4mmの標的の浸透深さに達した時点を表わす。
【0192】
ポリマーの弾性率を、Exponentソフトウェアのバージョン6.0.6.0を有するTexture AnalyzerモデルTA.XT.plusによって特徴付けた。この試験では、ポリマーの破損が生じるまで、既知の寸法のポリマーシリンダーを圧縮するために、TA−19 kobeのプローブを使用した。プローブは、1cm
2の定義された表面積を有する。弾性率を、最大圧縮応力の10%まで最初の傾きとして計算した。研究したポリマーについて、5.0mm/minの試験速度および5.0gの引き金作用を使用した。サンプルの高さを、プローブによって自動検出した。ポリマーを、直接、5mLのサイズのバイアルキャップ中の2.5mLのスケール上で調製し、一貫したサンプル寸法を確かなものとした。使用したバイアルは、ThermoScientific/Nalgene LDPEのサンプルバイアル、product# 6250−0005(LOT# 7163281060)であった。測定を20℃で行った。ポリマーを、測定前のおよそ1時間、室温で静止させた。測定を、少なくとも3つのサンプルに対して行った。弾性率の試験を実行するExponentソフトウェアによって作り出されたサンプルプロットを、
図17に示す。ほぼ直線的なプロットによって証拠づけられるように、ポリマーは、典型的に、最初の圧縮のために弾性に作用した。
【0193】
ポリマーの接着性を、Exponentソフトウェアのバージョン6.0.6.0を有するTexture AnalyzerモデルTA.XT.plusによって特徴付けた。接着性の試験では、特定の期間、ポリマーサンプルを定義された力に接触させ、その後、サンプルから原位置に戻すために、TA−57R 7mm直径のパンチプローブを使用した。粘着性の試験を実行するExponentソフトウェアによって作られた典型的なプロットを、
図18に示す。プローブがポリマーの表面を当たるときに、プロットは始まる。標的作用は、定義された単位時間の間、サンプルに適用され、これは、プロットにおける特定の作用領域によって表わされる。その後、プローブは、サンプルから原位置に戻り、プローブとサンプルとの間の付着力を、「粘着度」として測定し、これは、サンプルからプローブを取り除くのに必要なピーク力である。測定された他の特性は、付着エネルギーまたは付着仕事量、および物質の「曳糸性」を含む。付着エネルギーは、単純に、粘着力を表わす曲線下面積である。したがって、高い粘着度および低い付着エネルギーを有するサンプルは、質的に非常に粘着性に感じるが、迅速に引くことによって清潔に取り除かれる得、高い粘着度および高い接着エネルギーを有するサンプルも、非常に粘着性に感じるが、物質の除去は、より困難になり、ポリマーの伸張、繊維形成および粘着性の残留物が付随し得る。ポリマーの弾性は、測定された「曳糸性」に比例し、これは、ポリマーが、接着の失敗前にプローブに付着される中で伸長する距離である。研究したポリマーについては、0.50mm/秒の試験速度、2.0gの引き金作用、および100.0gの接触力および10.0秒の接触時間を使用した。ポリマーを、直接、5mLのサイズのバイアル中の1.0乃至2.5mLのスケール上で調製し、一貫したサンプル表面を確かなものとした。使用したバイアルは、ThermoScientific/Nalgene LDPEのサンプルバイアルであった。測定を20℃で行った。ポリマーを、測定前のおよそ1時間、室温で静止させた。参照物質として、基準のPost−It Note(登録商標)およびScotch Tape(登録商標)の接着性を測定した。すべての測定を、3回繰り返して行った。平均および標準偏差を計算した。
【0194】
ポリマーの機械的性質に対するHPMCの付加の効果を、分解可能な8ARM−20k−AAアミンを加える効果とともに調査した。結果を
図19および
図20に示す。硬度の試験の明示された条件下では、0.3%のHPMCの付加が、ポリマーの硬度をおよそ半分減少させたことが分かった(
図19のA)。これは、弾性率のわずかな減少に相当する(
図20のA)。1.0%のHPMCポリマーは、0.3%のHPMCポリマーと略同じ硬度を有したが、弾性率のわずかな減少があった。硬度と弾性率の試験との間の相違は、恐らく実験誤差が原因である。ポリマー溶液は、ろ過されず、そのため、大気泡の存在は誤差を増加させる傾向にあった。ポリマーの含水量はまた、ポリマーが空気中に静置していると変化し得、これは、本質的に、物質の物理的性質を変化させる。
【0195】
分解可能な8ARM−20k−AAアミンを加えることによって、硬度または弾性率の測定値を実質的に変化させなかったことが分かった(
図19のBおよび
図20のB)。付着検査の結果を
図21に示す。標準の商用のPost−It(商標)Noteに対する測定値も、参照として含まれる。ポリマー粘着度は、約40mNであることが分かり、これは、Post−It(商標)Noteの約3分の1であった。ポリマーの接着性は、分解可能なアミンを加えることで変化しないことが分かった。
【0196】
図22は、0.3%のHPMCを有する4.8%の溶液での8ARM−20k−AA/8ARM−20k−NH2(70/30)および4ARM−20k−SGAに対する硬度対分解時間を示す。エラーバーは3つのサンプルからの標準偏差を表わす。ポリマーに対する分解時間は18日間であった。ポリマーの硬度は、分解の程度に強く相互関連した。
膨潤はまた、初期段階の間に役割を果たし得る。
【0197】
光学的透明度
Thermo Scientific GENESYS 10S UV−Visの分光光度計を、粘性溶液の光学的透明度を測定するために使用した。クォーツキュベットに、1.5mLのサンプル溶液をピペットで移した。添加剤のない緩衝液を、参考として使用した。サンプルの安定した%透過を、650nmで記録し、結果を表8のCにリストする。
【0198】
考察中の粘性溶液のすべてが、使用される濃度範囲下で優れた光学的透明度に対して許容可能であることが分かった(97%より高い透過率)。高い粘性の溶液について、混合中の空気泡の形成を観察し、これは、消泡剤を加えることよって、またはシリンジフィルターの使用を介して分解され得る。
【0199】
実施例12:インビボで重合可能な薄膜の調製おための一般的手順
粘着性および非粘着性両方の膜のための幾つかの代表的な製剤を、具体的な反応の詳細とともに表9にリストする。膜は、100乃至500μmの範囲の厚さを有し、複合膜中の異なる製剤によって層状にされ得る。
【0200】
【表15】
【0201】
【表16】
【0202】
実施例13:キットの準備およびその使用
幾つかのキットを、以前に試験したポリマー製剤とともに準備した。キットを集めるために使用される物質を、表10にリストし、使用される製剤を、表11にリストする。キットは、典型的に、2つのシリンジから成り、1つは固体成分を含み、もう1つは液体緩衝液を含んでいる。シリンジは、混合管および一方向弁を介して接続される。シリンジの内容物は、10から20秒間繰り返しで、バルブを開き、1つのシリンジの内容物を他方へ移動させることによって混合される。その後、使用済みのシリンジおよび混合管を、取り除き、廃棄し、実行中のシリンジに、針またはカニューレなどの調剤ユニットを備え付け、ポリマー溶液を、ゲル化の発生まで放出する。他の実施形態では、粘性溶液は、固体成分の溶解を妨げるため、第3シリンジが利用される。第3シリンジは、一旦すべての成分が溶解すると、溶液の粘度を増強する濃縮した粘性緩衝液を含む。幾つかの実施形態では、結果として生じるポリマーの光学的透明度は、シリンジフィルターを加えることによって改善される。
【0203】
試験した製剤をすべて、22ゲージの注射針を介して容易に調剤した。2つのシリンジ間の混合作用は激しく(turbulent)、かなりの量の大気泡の導入が明白であった。軽い混合は、結果として、気泡がない透明な物質をもたらす。あるいは、シリンジフィルターの使用が、ポリマー特性が変化することなく、気泡を取り除くことが分かった。
【0204】
【表17】
【0205】
【表18】
【0206】
幾つかの追加のキットを、最初の試験で最良に効果を発揮したポリマー製剤とともに準備した。キットを集めるために使用される物質を、表12にリストする。キットは、典型的に、2つのシリンジから成り、1つは固体成分を含み、もう1つは液体緩衝液を含んでいる。プランジャーを取り除き、成分を加えて、20秒間窒素ガスの軽く流してパージし、その後、プランジャーを取り替えることによって、シリンジを充填した。最終的に、プランジャーを、シリンジの内容積を減少させるのにできるだけ抑圧した。キット中の化学成分の量に対する仕様を、表13のAにリストする。準備したキットのロットを記載する概要を、表13のBにリストする。
【0207】
シリンジを、蓋を外した後に直接、雌部へとロックする雄部に接続した(
図23)。シリンジの内容物を、10乃至20秒間繰り返しで、1つのシリンジの内容物を他方へ移動させることよって混合した。その後、使用済みのシリンジを、取り除き、廃棄し、実行中のシリンジに、針またはカニューレなどの調剤ユニットを備え付け、ポリマー溶液を、ゲル化の発生まで放出した。他の実施形態では、粘性溶液は、固体成分の溶解を妨げるため、第3シリンジを利用した。第3シリンジは、一旦すべての成分が溶解すると、溶液の粘度を増強する濃縮した粘性緩衝液を含んだ。
【0208】
試験した製剤をすべて、22ゲージの注射針を介して容易に調剤した。2つのシリンジ間の混合作用は激しく、かなりの量の大気泡の導入が明白であった。シリンジフィルターの使用が、ポリマー特性が変化することなく、気泡を取り除くことが分かった。
【0209】
準備したキットを、パウチ当たり1つの酸素を吸収するパケットとともにフォイルパウチに入れた。パウチを、CHTC−280 PROMAXの卓上用のチャンバシーリングユニットによって熱融着した。シーリングの2つの異なるモードを、窒素下および真空下で調査した。窒素下に密封するための設定は、次のとおりであった:30秒の真空、20秒の窒素、1.5秒の熱融着、および3.0秒の冷却。真空下に密封するための設定は、次のとおりであった:60秒の真空、0秒の窒素、1.5秒の熱融着、3.0秒の冷却。
【0210】
【表19】
【0211】
【表20】
【0212】
【表21】
【0213】
実施例14:採取したブタの眼内の網膜用のパッチ
採取したブタの眼内の、付着性、粘着性、厚さ、および透明性に関してポリマーを評価するために、表14にリストする製剤を使用して試験した。0.15Mのリン酸緩衝液を、磁気撹拌によって25℃で500mLの蒸留水中に9.00g(0.075mol)のNaH
2PO
4を溶解することによって作った。その後、50%の水性のNaOHを滴下で加えることによって、pHを7.99に調整した。リン酸緩衝食塩水(PBS)を、活発な振盪によって25℃で400mLの蒸留水中に2つのPBS錠剤(Sigma Chemical, P4417)を溶解することによって調製した。溶液を以下の組成およびpHを有する:0.01Mのリン酸、0.0027Mの塩化カリウム、0.137Mの塩化ナトリウム、pH7.46。
【0214】
【表22】
【0215】
送達装置の一般的設計を、
図24に示す。キットは、2つのシリンジから成り、1つは固体成分を含み、もう1つは液体を含んでいる。シリンジは、混合管および一方向弁を介して接続される。シリンジの内容物を、10乃至20秒間繰り返しで、一方向弁を開いて、1つのシリンジの内容物を他方へ移動させた後に混合した。その後、使用済みのシリンジおよび混合管を、取り除き、廃棄し、実行中のシリンジに針を備え付け、ポリマー溶液を、まだ液体状態である間に所望の部位に注入する。液状ポリマーは、所望の部位で予め設定した時間に固体に変わり、組織に粘着する。シリンジフィルターの付加を介して大気泡を取り除くことによって、結果として生じるポリマーの光学的透明度は、改善される。
【0216】
網膜組織の試験
ブタの眼を、適切に得て、保存した。手術は慎重に行い、硝子体液を網膜から分離し、次に、網膜を、幾つかの位置で切断し、その後、適切にスタイロフォーム基材にピンで留め、基本的に平らな網膜表面を作り出した。表14の液体の縫合製剤を、上記の混合手順によって混合し、網膜表面にわたって慎重に一滴ずつ堆積させた。その位置からの滴剤の展着を、慎重に観察し、記録した。試験サンプルが約60秒乃至120秒でゲル化した後、付着の付着強度を評価した。すべての3つの製剤を、同じ方法で適用した。結果を表15に概説する。
【0217】
【表23】
【0218】
3つの製剤はすべて満足な結果を提供したが、試験した3つの製剤のタイプのうち、製剤「C」が最も成功した。
【0219】
透明度を改善し、ポリマーの展着を制御するために、気泡の形成および滴剤の展着を評価した。
【0220】
気泡の形成を回避するために、混合手順を変更するか、より広い直径の混合管を使用するか、シリンジのサイズは変更するか、消泡剤を加するか、DMSOなどの有機溶剤を製剤に加えるか、またはフィルターを使用した。すべての選択肢を検査した後、5ミクロンのフィルターの使用が、最も有効且つ実際的な手順であると考えられた。気泡の形成を、注入プロセス中に5ミクロンのフィルターを使用することによって除去した。0.2ミクロンのフィルターはまた、フィルターを詰まらせるより高い粘度の物質を除いて、許容可能であった。
【0221】
幾つかの例では、より高い粘度の物質は、より低い粘度の物質ほど速く広がらない。それ故、幾つかの粘度増強剤を、表16に示されるような最初の製剤とともに製剤した。粘度に対する最初の結果を、表11に含む。光学的透明度のデータを、表8に含む。
【0222】
【表24】
【0223】
20のブタの眼を、研究に使用した。3ポートの経毛様体扁平部硝子体切除術の後(フェイコによる白内障摘出術後)、23ゲージの経結膜の技術を使用して、網膜裂孔または網膜円孔を作り出した。インビボでゲル化する眼科用前製剤を、空気/流体交換の後に23ゲージの眼内のカニューレを介して送達し、網膜の病変上に網膜用のパッチを作り出した。ポリマーが、網膜裂孔領域を覆い、損傷した網膜上のパッチを作り出したことが確認された。約1分後、液体は、固体になり、網膜の病変領域に付着した。パッチの抵抗性を評価するために、染色された液体(トリパンブルー)を、網膜下腔に注入した。光学的透明度は期待に沿うものであった。
【0224】
実施例15:生きた動物(ラビット)における網膜用のパッチ
この研究は、付着性、粘着性、厚さ、および透明度の点で、最良のポリマーを選択するように設計されており;これによって、送達システムと技術の設計を改善し;網膜用のパッチの付着を維持しながら、網膜用のパッチの効果を評価し;および網膜に対する炎症反応または他の毒性作用の点で、ポリマーの安全性を評価する。
【0225】
40のラビットを、研究で使用し、ここで40の眼は、処置にさらされ、一方で他眼は対照の眼として使用される。3ポートの毛様体扁平部硝子体切除術の後(フェイコによる白内障摘出術後)、網膜裂孔または網膜円孔を作り出す。20のラビットにおいて網膜病変上に網膜用のパッチを作り出すために、インビボでゲル化する眼科用前製剤を送達し、一方で、全体の硝子体腔を、他の20のラビットにおいてポリマーで充填する。
【0226】
眼を、スリットランプ評価、眼底の評価、および眼内圧検査によって、1、7、15、および30日目に眼内の炎症に対して評価する。眼を、(パッチと接触しているか又はしていない)網膜の解剖病理学的(anatomopathologic)評価、多局所ERGおよび+/−DNA分析によって、1、7、15、および30日目に網膜毒性に対して評価する。
【0227】
実施例16:局所麻酔を使用して網膜裂孔を処置する方法
この研究は、局所麻酔を使用して、網膜裂孔を処置するように設計されている。網膜円孔、網膜裂孔、または網膜剥離の部位を、既存の及び十分に確立された技術を使用して特定する。一旦、網膜円孔/網膜裂孔/網膜剥離位置が特定されると、キットを、実施例13に従って準備する。鋭い24乃至28ゲージの注射針を使用して、約10乃至500マイクロリットルのポリマーを、網膜円孔のまわり及びその上に注入し、全体の表面領域がポリマー混合物で完全に覆われていることを確かなものにする。反応混合物の粘度は、注入の部位を通りすぎる液体の過度の流れを可能にしないものである。安定位置で被験体を維持することによって、網膜円孔、網膜裂孔、または網膜剥離の部位の近くにポリマー注入を維持するために、あらゆる試みがなされる。別の領域での少量の流れであっても、それは、約14乃至17日で溶解して消える。網膜裂孔が覆われた後、ポリマーは、混合が始まった時間から3分未満で凝固する。ポリマーは、14乃至17日間その部位にとどまり、その後、溶解して消える。
【0228】
実施例17:手術後のヒドロゲル製剤による網膜剥離の処置のための臨床試験
研究の目的は、毛様体扁平部硝子体切除術後の患者において、光干渉断層撮影(OCT)を使用することによって、網膜の神経線維層の厚さに対する典型的なヒドロゲル製剤Cの影響を評価することである。研究は、裂孔原性網膜剥離および増殖性硝子体網膜症に対して、毛様体扁平部硝子体切除術によって外科的に処置される、本明細書で提供される製剤Cを用いる60人の患者を含む。すべての被験体は、眼科検診、OCT検診による網膜の神経線維層の厚さの測定、Octopus計算した視野計(自動化した静的周辺視野計測法)およびFDT視野測定の使用(両方とも手術前)、および術後期間中の検査のための管理訪問(on control visits)を完了するように抑圧される。術後検診によって提供されるすべての結果は、互いに比較される。研究は、網膜の神経線維層の厚さに対する典型的な製剤Cの効果に関するデータを提供すると期待される。研究はまた、眼内の製剤Cを用いる患者の経過観察における選択の方法として、OCTの可能性および利点を示すように計画される。
【0229】
【表25】
【0230】
研究タイプ:観察。研究設計:観察上のモデル:ケースコントロール。時間的展望:見込み有り。
【0231】
資格
研究に適格な年齢:18歳乃至80歳
【0232】
研究に適格な性別:両方
【0233】
健康なボランティアの参加:なし
サンプリング方法:確率サンプル基準
【0234】
包含基準:裂孔原性網膜剥離を有する患者
【0235】
除外基準:
先在の緑内障
過去の網膜手術
手術中の強膜バックルの配置
【0236】
さらなる研究の詳細:
主要評価項目:光干渉断層撮影によって測定された網膜の神経線維層の厚さの変化の証拠、時間枠:6ヶ月。
【0237】
光干渉断層撮影によって測定された網膜の神経線維層の厚さの変化は、典型的な製剤Cを有する患者における医療判断に新しい見識を提供し得る、さらなるパラメーターとなり得る。
【0238】
副次的評価項目:製剤C、時間枠に続発する上昇した眼内圧を有する患者における網膜の神経線維層の厚さの変化、時間枠:6ヶ月。
【0239】
製剤Cに続発する上昇した眼内圧を有する患者において網膜の神経線維層の厚さの変化を評価すること。
【0240】
【表26】
【0241】
実施例18:製剤Cを充填した眼を用いる光干渉断層撮影の臨床試験
この研究の目的は、製剤Cを充填した眼内で、スペクトルドメインの光干渉断層撮影(SD−OCT)によって黄斑円孔の状態を検出する条件を決定することである。黄斑領域は、術後1、3、7、および30日目に、黄斑円孔の閉塞を検出するために、黄斑円孔に対する硝子体手術を受けた患者において、SD−OCT(OCT−4000、Carl Zeiss Meditec)によってスキャンされる。
【0242】
26の眼は、特発性黄斑円孔(MH)で研究され、7の眼は、MH網膜剥離(MHRD)で研究され、および4の眼は、近視の牽引黄斑症を有するMHで研究される。これは前向き研究である。年齢、性別、病気にかかった眼の側性、Gass分類に基づくMHの段階、およびSnellenの最高矯正視力(BCVA)が記録される。軸方向長に対する網膜剥離の影響を回避するために、軸方向長は、手術前にMHを有する眼内で、および手術後にMHRDおよび近視の牽引黄斑症を有する眼内で測定される。後部の血管アーケード内の後極ブドウ膜腫の存在は、検眼鏡検査法および超音波検査によって決定される。
【0243】
【表27】
【0244】
研究タイプ:観察
【0245】
研究設計:観察上のモデル:コホート
【0246】
時間的展望:見込み有り。
【0247】
資格
研究に適格な年齢:35歳乃至85歳。研究に適格な性別;両方。健康なボランティアの参加:なしサンプリング方法:非確率サンプル。
【0248】
研究群。黄斑円孔、黄斑円孔の網膜剥離、近視の牽引黄斑症のための硝子体手術、および検査されたスペクトルドメインの光干渉断層撮影を手術前および手術後に受ける患者。
【0249】
基準
包含基準:黄斑円孔、黄斑円孔の網膜剥離、近視の牽引黄斑症を有する黄斑円孔のための硝子体手術、および検査されたスペクトルドメインの光干渉断層撮影を手術前および手術後に受ける患者。
【0250】
除外基準:他の疾患に対する硝子体手術を受けた患者;スペクトルドメインの光干渉断層撮影の術後検診を受けなかった患者。
【0251】
さらなる研究の詳細
主要評価項目:スペクトルドメインの光干渉断層撮影によって検出された黄斑円孔の閉塞、時間枠:手術前の状態から術後の30日目までの変化。製剤Cを用いる眼内での黄斑円孔の閉塞は、スペクトルドメインの光干渉断層撮影によって検出される。
【0252】
副次的評価項目:手術前および術後の視力。視力は、手術前および術後30日目に測定される。手術前および術後の視力が測定される。
【0253】
【表28】
【0254】
標準的な毛様体扁平部硝子体切除術を行う。内境界膜(ILM)を、すべての眼内でトリアムシノロンアセトニドまたはインドシアニングリーンによって可視にした後に取り除く。手術前の白内障を、軽度(核性硬化1+)または中程度から高度(核性硬化2+または3+)までとして類別し、眼内レンズの挿入による水晶体乳化を、グレード1より高いすべての白内障の眼の上で行う。製剤Cを、網膜に充填するために使用する。
【0255】
すべての手術を、球後麻酔下で行い、書面のインフォームドコンセントを、処置の目的および起こり得る合併症の十分な説明後にすべての患者から得る。全体の黄斑領域を、MHを逃さないように、静置する位置でSD−OCTによってスキャンする。5ラインのラスターモードを、術後1、3、7、および30日目に、高画質の画像を得るために使用する。SD−OCTによって、閉塞したMHまたは中心窩の剥離またはスキーシスの状態を検出する能力を評価し、OCT画像に影響を与えた手術前および術後の因子を調査する。