(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6207004
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】記憶媒体用収納容器
(51)【国際特許分類】
B65D 25/06 20060101AFI20170925BHJP
B65D 25/04 20060101ALI20170925BHJP
B65D 85/57 20060101ALI20170925BHJP
【FI】
B65D25/06
B65D25/04 Z
B65D85/57 D
【請求項の数】1
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-60703(P2013-60703)
(22)【出願日】2013年3月22日
(65)【公開番号】特開2014-184969(P2014-184969A)
(43)【公開日】2014年10月2日
【審査請求日】2016年3月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000233491
【氏名又は名称】株式会社日立システムズ
(74)【代理人】
【識別番号】100091694
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 守
(72)【発明者】
【氏名】高橋 二朗
【審査官】
田口 傑
(56)【参考文献】
【文献】
実開平07−017789(JP,U)
【文献】
特開平08−156942(JP,A)
【文献】
実開昭58−088322(JP,U)
【文献】
特開2009−262937(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3026284(JP,U)
【文献】
特開2008−280060(JP,A)
【文献】
特開2007−230643(JP,A)
【文献】
実開平03−026768(JP,U)
【文献】
特開2001−261030(JP,A)
【文献】
特開2005−267443(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3069109(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 85/57
B65D 85/575
B65D 85/00−85/28
B65D 23/00−25/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部に開口部を設けた直方体状の収納ケースと、回動自在に取り付けられ前記開口部の開閉を行う蓋体からなる記憶媒体用収納容器であって、前記収納ケース内部に、前記収納ケースの短手方向と平行に等間隔にて板状の固定仕切りを設け、該固定仕切りの板面と前記収納ケース内面とで形成される収納部にクッション性を有する緩衝体を設け、該収納部に設けた緩衝体の内、前記収納ケースの長手方向で対向する緩衝体の部位に、相対向する溝部を、前記収納部の深さ方向になるようにして平行に等間隔にて形成し、該相対向する溝部に着脱可能な間仕切り板を設けたことを特徴とする記憶媒体用収納容器であって、
前記収納ケースに収納する記憶媒体の種類を識別するための識別子を取り付けるための、識別子取付部を設け、
前記識別子取付部には、収納する記憶媒体の種類を記憶するICタグを着脱可能に取り付け、
前記識別子取付部は、前記収納ケースの外側表面に形成した孔部に前記ICタグを収納固定し、開閉可能な電波を通す樹脂製蓋によって前記孔部を覆い、更に前記樹脂製蓋を施錠するためのダイヤル錠を設けたことで、前記ICタグの機能を維持しつつ当該ICタグに不用意にアクセスされることを防止して保護することを特徴とする記憶媒体用収納容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記憶媒体を収納し運搬に用いるための収納容器であって、外部からの衝撃から収納した記憶媒体を保護することが可能な記憶媒体用収納容器に関する。
【背景技術】
【0002】
記憶媒体の運搬の際、記憶媒体の多くは外部からの衝撃によってデータの読み込みができなくなる物理的な破損や論理的な破損が生じる虞がある。このような記憶媒体を輸送する場合、通常その剛性による保護性能からアルミ合金トランクが使用され、例えば特許文献1では、仕切り板を、記憶媒体に合わせて作成してトランク内が収納に適したスペースとなるように仕切り、記憶媒体を仕切り板によって形成された収納部に収納してトランク内に固定し、パッチン錠によって施錠されて収納されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−262937号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
記憶媒体は多くの仕様が公開されており、その形や外形寸法も多様化している。例えばDATやLTOなどの外形寸法は10種以上存在する。従来の記憶媒体の収納容器はこれらの多様な外形寸法の記憶媒体から1つを選択し、その記憶媒体に合わせた固定仕切りが設けられることから、記憶媒体の種類の分、収納容器が必要であり、汎用性を著しく欠いていた。
【0005】
このため、収納容器は、情報記憶媒体の種類毎に用意すると、種類が増加するために、管理が煩雑となり、また、コスト面でも好ましくないという問題があった。
【0006】
また、特許文献1に示すような仕切り板を用いる場合であっても、同様に記憶媒体の外形に併せて仕切り板自体を作成する必要がある上に、記憶媒体を衝撃から守るための構成を備えておらず、外部からの衝撃によって記憶媒体に物理的・論理的な損傷が生じる虞があった。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、記憶媒体の多様な形や外形寸法に柔軟に対応できる仕切りを設けた、汎用性の高い記憶媒体用収納容器を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る記憶媒体用収納容器の発明は、
上部に開口部を設けた直方体状の収納ケースと、回動自在に取り付けられ前記開口部の開閉を行う蓋体からなる記憶媒体用収納容器であって、前記収納ケース内部に、前記収納ケースの短手方向と平行に等間隔にて板状の固定仕切りを設け、該固定仕切りの板面と前記収納ケース内面とで形成される収納部にクッション性を有する緩衝体を設け、該収納部に設けた緩衝体の内、前記収納ケースの長手方向で対向する緩衝体の部位に、相対向する溝部を、前記収納部の深さ方向になるようにして平行に等間隔にて形成し、該相対向する溝部に着脱可能な間仕切り板を設けた
記憶媒体用収納容器であって、
前記収納ケースに収納する記憶媒体の種類を識別するための識別子を取り付けるための、識別子取付部を設け、
前記識別子取付部には、収納する記憶媒体の種類を記憶するICタグを着脱可能に取り付け、
前記識別子取付部は、前記収納ケースの外側表面に形成した孔部に前記ICタグを収納固定し、開閉可能な電波を通す樹脂製蓋によって前記孔部を覆い、更に前記樹脂製蓋を施錠するためのダイヤル錠を設けたことで、前記ICタグの機能を維持しつつ当該ICタグに不用意にアクセスされることを防止して保護することを特徴とする。
【0009】
本発明の記憶媒体用収納容器の構成によれば、間仕切り板を着脱可能としたことによって、収納部の容量を柔軟に変更することができる。例えば、間仕切り板で小区画された収納部の部位には、記憶媒体としてDATを収納できるが、当該DATに代えて、これよりもサイズの大きいLTO等の記憶媒体を収納するときには、着脱可能な間仕切り板を取り外すことで間仕切り板間の距離を拡張し、それにより、DATよりも大きいサイズの記憶媒体であっても収納することが可能となる。
【0010】
本発明に係る記憶媒体用収納容器の発明
は、記憶媒体用収納容器において、前記固定仕切り及び前記間仕切り板は、前記クッション性を有する緩衝体より硬質なパロニア(登録商標)からなることを特徴とする。
【0011】
本発明の記憶媒体用収納容器の構成によれば、固定仕切りを、硬質なポリプロピレンを約2〜3倍に押出発泡成形した独立気泡構造のシート状素材たるパロニア(登録商標)とすることによって、固定仕切りの板面にクッション性を有する緩衝体を設けた際に、当該固定仕切りを芯材とすることができ、収納部に記憶媒体を収納した状態で搬送等を行うときに、記憶媒体がズレたりすることを防止できる。さらに、収納部に記憶媒体が収納されない箇所がズレたりして変形することを防止することができる。
【0012】
本発明に係る記憶媒体用収納容器の発明
は、記憶媒体用収納容器において、前記緩衝体はサンペルカ(登録商標)からなることを特徴とする。
【0013】
本発明の記憶媒体用収納容器の構成によれば、収納部内面を、化学架橋剤で架橋したポリエチレンを、20倍の中発泡品、乃至40倍の高発泡品を押し出し発泡成形した独立高密度気泡のシート状素材たるサンペルカ(登録商標)で覆うことで、収納ケース外部からの衝撃を吸収し、収納する記憶媒体に衝撃が伝導することがなく運搬することができる。
【0014】
本発明に係る記憶媒体用収納容器の発明
は、記憶媒体用収納容器において、前記収納ケースに収納する記憶媒体の種類を識別するための識別子を取り付けるための、識別子取付部を設け、前記識別子取付部には、収納する記憶媒体の種類を記憶するICタグを着脱可能に取り付けることを特徴とする。
【0015】
本発明の記憶媒体用収納容器の構成によれば、記憶媒体収納容器に取り付けられたICタグに「ICタグリーダー」をかざしてICタグの情報を読み取ることで、蓋体を開けることなく、記憶媒体収納容器に収納されている多種多様な記憶媒体が瞬時に判読できる。
【0016】
本発明に係る記憶媒体用収納容器の発明
は、記憶媒体用収納容器において、前記識別子取付部は、前記収納ケースの外側表面に形成した孔部に前記ICタグを収納固定し、電波を通す樹脂製蓋によって前記孔部を覆い、更に前記樹脂製蓋を施錠するためのダイヤル錠を設けたことで、前記ICタグの機能を維持しつつ保護することを特徴とする。
【0017】
本発明の記憶媒体用収納容器の構成によれば、識別子取付部を樹脂性蓋によって覆うことで、保管時若しくは輸送時において、収納固定したICタグに直接外力が加わることを防止し、該樹脂製蓋をダイヤル錠によって施錠することで、ICタグへの不用意なアクセスを禁止することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、収納ケースや蓋体の外部から衝撃を受けた場合であっても衝撃の伝導によって記憶媒体が破損することを防止することができ、また、収納部の間仕切り板を着脱可能とすることで柔軟に収納部の大きさを適宜変更でき、形や外形寸法が異なる多種多様な記憶媒体の収納に対応することができる。また、記憶媒体収納用容器に収納された記憶媒体を、蓋体を開けて直接見ることなく、収納された記憶媒体を識別することができる。これは、収納ケースに、ICタグを着脱可能に装着するための識別子取付部を設けることによって実現した。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施例における、記憶媒体用収納容器を示す斜視図である。
【
図2】同上、間仕切り板を外した状態の収納ケースを示す部分拡大平面図である。
【
図4】同上、間仕切り板を取り付けた状態の収納ケースを示す部分拡大平面図である。
【
図5】同上、収納部に記憶媒体としてのDATを収納した状態の記憶媒体用収納容器を示す斜視図である。
【
図6】同上、間仕切り板を一部取り外した状態の記憶媒体用収納容器を示す斜視図である。
【
図7】同上、識別子取付部の樹脂製蓋が閉じた状態を示す要部拡大斜視図である。
【
図8】同上、識別子取付部の樹脂製蓋が開いた状態を示す要部拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明を実施するための形態を以下に説明する。もちろん、本発明は、その発明の趣旨に反しない範囲で、本実施形態において説明した以外の構成のものに対しても容易に適用可能なことは説明を要するまでもない。
【0021】
図1に示す記憶媒体用収納容器10は、上部に開口部1aを形成した直方体の箱型に形成した収納ケース1と、開口部1aを覆う蓋体2から構成される。蓋体2は開口部1aの端部に、図示しないヒンジ等で回動自在に取り付けられる。収納ケース1の開口部1aは蓋体2にて閉じた後、パッチン錠1cにて施錠し、その閉じた状態を維持することができる。収納ケース1及び蓋体2はアルミ合金にて形成されている。収納ケース1の一方のパッチン錠1cの近傍には、識別子取付部6が設けられる。
【0022】
図2に収納ケース1の開口部1aの部分拡大平面図を示す。収納ケース1の内部には、収納ケース1の短手方向(
図2に示す上下方向)に、収納ケース1の長手方向(
図2に示す左右方向)に等間隔な固定仕切り3が接着剤等によって取り付け固定され、記憶媒体20の収納部1bを形成している。固定仕切り3は比較的硬質なシート状素材であるパロニア(登録商標)によって形成されている。固定仕切り3をパロニア(登録商標)によって形成することにより、固定仕切り3にある程度の剛性を持たせることができ、固定仕切り3に後述する緩衝体4を設けた状態で、収納部1bに記憶媒体20を収納したときには、当該記憶媒体20がズレたりすることを防止でき、記憶媒体20を収容した記憶媒体用収納容器10の搬送中に、記憶媒体収納時に不要な間隙が生じてしまい、記憶媒体20が収納部1b内で動くことを防止することができる。
【0023】
また、収納部1bの内周面は緩衝体4によって隙間がないようにして覆われる。緩衝体4は前記パロニア(登録商標)より軟質なシート状素材であり、弾性を有するサンペルカ(登録商標)によって形成される。収納部1bに設けた緩衝体4の内、収納ケース1の長手方向で対向する緩衝体4の部位には、相対向して溝部4aが形成される。そして、この相対向する溝部4aは、収納部1bの深さ方向になるようにして平行に等間隔にて形成される。
【0024】
図3は間仕切り板5を示す斜視図である。収納部1bは相対向する溝部4aにこの間仕切り板5の両端部が嵌合されることによって等間隔に分割される。この間仕切り板5を
図4に示すように緩衝体4の溝部4aに嵌合させて着脱自在に固定する。このようにして分割した収納部1bに、
図5に示すように記憶媒体20を収納して、蓋体2によって開口部1aを閉じ、記憶媒体20の搬送等に用いる。
【0025】
以上のような構成の記憶媒体用収納容器10により、搬送中に外力によって大きな衝撃を受けたとしても、緩衝材4によって記憶媒体20に衝撃が伝導することなく、安全に記憶媒体20を搬送することができる。また、
図5は、記憶媒体20としてDATを収納した一例であるが、当該DATではなく、それよりも大きなLTO等記憶媒体を搬送する必要がある場合は、
図6に示すように、間仕切り板5を取り外すことで、収納スペースの大きさを変更することができ、種々の記憶媒体に柔軟に対応できるため、汎用性の高い記憶媒体用収納容器の提供が可能となる。
【0026】
図7は、前述の
図1における識別子取付部6の樹脂製蓋6bが閉じた状態を示す要部拡大斜視図であり、
図8は識別子取付部6の樹脂性蓋6bを開いた状態を示す要部拡大斜視図である。この収納容器のパッチン錠1c側表面を窪ませて設けられた孔部6cにICタグ6dを収納固定する。電波を通す樹脂製蓋6bを開閉可能に取り付けることで孔部6cの開口部を覆い、ダイヤル錠6aを設けることで樹脂製蓋6bを不用意に開けることができないよう構成する。これよりICタグ6dを着脱可能とすることができるので、収納する記憶媒体に併せてICタグ6dを取り替えることが可能となり、更に第三者によってICタグ6dに不用意にアクセスされることを防止することができ、セキュリティ性が向上する。
【0027】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、収納ケース1b及び蓋体をアルミ合金としたが、これに限定せずに強度やコストに併せて適宜素材の変更を行ってもよい。また、収納ケース1と蓋体2を留め置く手段としてパッチン錠1cを用いるとしたが、これに限定せずに適宜他の手段を用いても何ら問題ない。また、ICタグ6dは、リーダ・ライタによって記録された情報を書き替えることが可能なタイプ等、適宜他の手段を用いても何ら問題ない。これにより、作業者は、ICタグを読取装置によって読み取らせることで、ICタグに記録された情報を視認することができ、蓋体2を開けることなく収納されている記憶媒体がどのような種類であるかを確認することができる。
【符号の説明】
【0028】
10 記憶媒体用収納容器
1 収納ケース
1a 開口部
1b 収納部
2 蓋体
3 固定仕切り
4 緩衝体
4a 溝部
5 間仕切り板
6 識別子取付部
6a ダイヤル錠
6b 樹脂製蓋
6c 孔部
6d ICタグ
20 記憶媒体