(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6207005
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】涼感剤組成物および皮膚または頭髪用外用剤
(51)【国際特許分類】
A61K 8/34 20060101AFI20170925BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20170925BHJP
A61K 8/84 20060101ALI20170925BHJP
A61K 8/06 20060101ALI20170925BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20170925BHJP
A61Q 5/02 20060101ALI20170925BHJP
A61Q 5/12 20060101ALI20170925BHJP
【FI】
A61K8/34
A61K8/37
A61K8/84
A61K8/06
A61Q19/00
A61Q5/02
A61Q5/12
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-76682(P2013-76682)
(22)【出願日】2013年4月2日
(65)【公開番号】特開2014-201525(P2014-201525A)
(43)【公開日】2014年10月27日
【審査請求日】2016年3月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000226437
【氏名又は名称】日光ケミカルズ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】301068114
【氏名又は名称】株式会社コスモステクニカルセンター
(72)【発明者】
【氏名】山口 俊介
(72)【発明者】
【氏名】橋本 悟
【審査官】
駒木 亮一
(56)【参考文献】
【文献】
特開2013−082687(JP,A)
【文献】
特開2010−254632(JP,A)
【文献】
特表平11−501641(JP,A)
【文献】
特開2007−176850(JP,A)
【文献】
特開2012−193172(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00−8/99
A61Q 1/00−90/00
A61K 9/00−9/72
A61K 47/00−47/48
A61K 31/33−33/44
A61K 36/00−36/05
A61K 36/06
A61K 36/07−36/9068
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
涼感の付与を目的とした外用剤に配合する涼感剤組成物において、次の(A)〜(E)を必須成分として含有する平均粒子径が400nm以下であり、
(A)キシリトール、エリスリトール、ソルビトール、マンニトール、マルチトール、ラクチトール、イソマルチトール、ラクチュロールから選ばれた1種以上の糖アルコール
(B)メントール及び/又はメンチルグリセリルエーテル、l−メンチルラクテート、1−メンチル−3−ヒドロキシブチレートから選ばれる1種または2種以上の誘導体
(C)常温で液状の油性成分
(D)ポリグリセリン脂肪酸エステル
(E)水
上記(A)〜(E)の成分の配合比が、成分(A)糖アルコール/成分(E)水=5/95〜50/50、成分(B)メントール及び/又はその誘導体/成分(C)常温で液状の油性成分=1/99〜30/70であることを特徴とする微細な水中油型エマルションタイプの涼感剤組成物。
【請求項2】
請求項1に記載の成分(D)が、HLB10以上であるポリグリセリン脂肪酸エステルから選ばれた1種以上である請求項1の涼感剤組成物。
【請求項3】
請求項1〜2のいずれか1項に記載の涼感剤組成物を含有した皮膚外用剤。
【請求項4】
請求項1〜2のいずれか1項に記載の涼感剤組成物を含有した頭髪用外用剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メントール及び/又はメントール誘導体を含む油性成分を内相とした水中油型エマルションであり、エマルション径を微細にすることで、涼感成分配合量を多くすることなく、涼感効果を強くし、さらに塗布後、皮膚上で汗等の水分を得た場合に涼感効果を再び生じる涼感剤組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
涼感成分を用いて皮膚に対して感覚的に清涼感を付与する場合、清涼感の強さや持続性は、化粧料における涼感成分の種類および配合量によって制御されている。しかし、清涼感を強くするために、涼感成分の配合量を高めると、涼感成分の種類によっては皮膚に塗布した場合に痛みなどの不快感を生じることがある。また、その不快感を生じさせないために、涼感成分の種類の変更および配合量を低くすると、清涼感およびその持続性が弱まることがある。これらのことから、清涼感を付与し、かつ持続性に優れた化粧料および外用剤の開発が望まれている。(特許文献1参照)
【0003】
メントール及び/又はその誘導体と組み合わせることでより強く持続性がある涼感効果を生じる成分として、低級アルコールを配合することが報告されているが、油性成分をほとんど含まないローションでは低級アルコールを多く配合する必要があり、低級アルコールによる刺激性が懸念される。さらに多価アルコールを含有することが報告されているが、その化粧料は皮膚上で水分が蒸散した後に、汗等の水分を得た場合に、再び涼感を生じることについては言及されておらず、清涼感も満足いくものではなかった。(特許文献2、3参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−239142
【特許文献2】特開2003−073248
【特許文献3】特開H10−194926
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は皮膚に対して清涼感を与え、汗をかいた時に清涼感を再び感じる涼感剤組成物およびこれを含有した皮膚または頭髪用外用剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、本課題に対し、鋭意研究を行なった結果、(A)糖アルコール、(B)メントール及び/又はその誘導体、(C)常温で液状の油性成分、(D)
ポリグリセリン脂肪酸エステル、及び(E)水を含み、平均粒子径が400nm以下である微細な水中油型エマルションであることを特徴とする涼感剤組成物およびこの涼感剤組成物を含有した皮膚または頭髪用外用剤とすることで、皮膚に対して清涼感を与え、汗をかいた時に清涼感を再び感じることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、皮膚に対して清涼感を与え、汗をかいた時に清涼感を再び感じる涼感剤組成物およびこれを含有した皮膚または頭髪用外用剤を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の涼感剤組成物及びこれを配合した皮膚または頭髪用外用剤について詳述する。
【0009】
本発明に用いる成分(A)糖アルコールとしては、水溶解時の吸熱作用があるエリスリトール、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、マルチトール、イソマルチトール、ラクチトール、ラクチュロール等が挙げられ、好ましくは特に溶解熱が大きいエリスリトール、キシリトールである。本発明においては、これらの1種または2種以上を用いることができる。涼感剤組成物中における配合量の質量比は、糖アルコール/水=5/95〜50/50であり、好ましくは10/90〜40/60、さらに好ましくは15/85〜30/70である。糖アルコール/水が、5/95以上であれば、塗布後に汗等の水分を得た場合に十分満足な清涼感が得られ、50/50以下であれば低温においても析出等の問題が生じることもなく、使用性に問題はない。
【0010】
本発明に用いる成分(B)メントール及び/又はその誘導体としては、メンチルグリセリルエーテル、l−メンチルラクテート、1−メンチル−3−ヒドロキシブチレートなどが挙げられるが、特に好ましくは、l‐メンチルラクテートである。涼感剤組成物中における配合量の質量比は、メントール及び/又はその誘導体/常温で液状の油性成分=1/99〜30/70が好ましく、より好ましくは3/97〜27.5/72.5であり、さらに好ましくは5/95〜25/75である。メントール及び/又はその誘導体/常温で液状の油性成分が、1/99以上であれば、十分満足な清涼感が得られ、30/70以下であれば低温で析出等の問題を生じることもなく、使用性に問題はない。また、析出等を起こさせずに十分な清涼感が得られる量の成分(B)メントール及び/又はその誘導体を溶解させるためには、成分(C)常温で液状の油性成分が必要であるが、それらは、一般化粧品に使用される常温で液状の油性成分を用いることができ、油脂やエステル油などの極性油がより好ましい。
【0011】
本発明に用いる成分(D)
ポリグリセリン脂肪酸エステルは、HLB10以上であるポリグリセリン脂肪酸エステルから選ばれた1種以上が好ましく、より好ましくは炭素数12〜22の脂肪酸エステルでHLBが12〜16のポリグリセリン脂肪酸エステルである。具体的には、モノラウリン酸ヘキサグリセリル、モノラウリン酸デカグリセリル、モノミリスチン酸ヘキサグリセリル、モノミリスチン酸デカグリセリル、モノパルミチン酸デカグリセリル、モノステアリン酸デカグリセリル、モノイソステアリン酸デカグリセリル、モノオレイン酸デカグリセリル、モノリノール酸デカグリセリルなどが挙げられる。本発明においては、これらの1種又は1種以上を用いることができる。これらのうち、より好ましいものは、モノラウリン酸デカグリセリル、モノミリスチン酸デカグリセリル、モノステアリン酸デカグリセリル、モノオレイン酸デカグリセリルである。
【0012】
本発明の涼感組成物は、微細な水中油型エマルションであり、平均粒子径が400nm以下であり、好ましくは200〜400nmである。平均粒子径を200〜400nmの範囲とすることで、初期に感じる涼感効果をより高めることができる。
【0013】
本発明の涼感組成物の調製方法としては、特別な作業や特別な機械を使用することなく、ホモミキサーやパドルミキサー等の撹拌機能を有する通常の乳化機を用いて、通常の調製方法で調製することができる。
【0014】
本発明の涼感組成物は、1〜50質量%の範囲において、さらに好ましくは10〜40質量%の範囲にて、任意の皮膚外用剤や頭髪用外用剤に簡便に配合することが可能である。上記外用剤は、皮膚あるいは頭髪に適用する涼感外用剤であり、ローション、スプレーローション、シート含浸ローション、ミルクローション、ジェルローション、ジェルクリーム、クリーム、シャンプー、コンディショナー、ヘアセット剤などいかなる製剤においても簡便に配合することができ、特に限定されない。
【0015】
以下に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。配合量は、質量%を表す。
【実施例1】
【0016】
涼感成分組成物の調製と評価
【0017】
(1)涼感成分組成物の調製
パドルミキサーおよび真空ポンプを装備した3リッターガラス製乳化機に、表1に示す各成分を、合計が1kgになるように仕込み、乳化機内を20〜30mmHgに減圧し、室温で1時間撹拌・混合を行い、均一な液体とした。
【0018】
(2)粒子径の測定
本発明の涼感組成物は、ベックマン・コールター(株)製のサブミクロン粒度分布測定装置(コールターN4 PLUS)を使用して平均粒子径(質量平均)を測定できる。
【0019】
(3)安定性の測定
調製後、5℃恒温槽に静置し、24時間後に析出物の有無を光学顕微鏡および目視により確認した。
◎:変化なし
○:やや不均一(使用には問題なし)
分離:2層に分離
【表1】
【実施例2】
【0020】
涼感成分組成物を含む外用剤の涼感効果
【0021】
(1)涼感組成物を含む外用剤の調製
パドルミキサーおよび真空ポンプを装備した3リッターガラス製乳化機に、表1で調製した涼感剤組成物および表2に示す各成分を、合計で1kgになるように仕込み、乳化機内を20〜30mmHgに減圧し、室温で1時間撹拌・混合を行い、均一な液体とした。表1で調製した比較例1は分離したため、外用剤の調製は実施しなかった。
【0022】
(2)初期の涼感の確認
10名の被験者を用いて、表2に示した外用剤を被験者前腕に一定量塗布し、下記の通り官能評価を実施し、その平均点を涼感値とした。
5:涼感を強く感じる
4:涼感をやや感じる
3:涼感を少し感じる
2:涼感をほとんど感じない
1:涼感を全く感じない
【0023】
(3)再涼感の確認(官能評価)
10名の被験者を用いて、表2に示した外用剤を被験者前腕に一定量塗布し、乾燥後、一定量の水をスプレーにより塗布し、下記の通り官能評価を実施し、その平均点を涼感値とした。
5:涼感を強く感じる
4:涼感をやや感じる
3:涼感を少し感じる
2:涼感をほとんど感じない
1:涼感を全く感じない
【0024】
(4)再涼感の確認(サーモグラフィー)
温度25度、湿度50%に設定した恒温恒湿室内において、被験者1名の洗浄タオルドライ後の前腕に表2に示した発明品13〜27および比較品4、5のそれぞれを比較品6と並べて一定量塗布した(2cm×2cm、0.2g)。10分間静置し、赤外線サーモグラフィ(FLIR T600 フリアーシステムズジャパン株式会社製)を用いて両検体の表面温度が塗布前の状態に戻ったことを確認し、温度25℃の精製水をスプレーにより一定量噴霧した。噴霧5分後のサーモグラフィ観察により、比較品6との表面温度差を涼感値とした。
【表2】
【0025】
以下に、本発明に係る涼感組成物を配合した皮膚および頭髪外用剤の応用例を挙げる。実施例3〜6で得られた応用品はいずれも涼感、再涼感効果が認められた。
【実施例3】
【0026】
涼感スプレーローション
1.1,3−ブチレングリコール 5.0
2.アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体 0.1
3.水酸化カリウム 0.03
4.防腐剤 適量
5.精製水で100.0質量%とする。
6.実施例1で得た本発明品6 30.0
(調製法) 1〜5を均一に混合し、均一になったところで6を添加し、さらに撹拌し、均一になったところで終了する。
【実施例4】
【0027】
涼感ジェル
1.アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体 0.3
2.1,3−ブチレングリコール 5.0
3.エデト酸2ナトリウム 0.05
4.防腐剤 適量
5.精製水で100.0質量%とする。
6.水酸化カリウム 0.1
7.精製水 9.9
6.実施例1で得た本発明品1 20.0
(調製法)1〜5を均一に混合し、均一になったところで6,7を添加し、さらに撹拌し、均一になったところで8を添加し、さらに撹拌し均一になったところで終了する。
【実施例5】
【0028】
涼感乳液
1.ヒドロキシエチルセルロース 0.3
2.キサンタンガム 0.2
3.ヒアルロン酸ナトリウム 0.01
4.1,3−ブチレングリコール 3.0
5.グリセリン 2.0
6.エデト酸2ナトリウム 0.05
7.防腐剤 適量
8.精製水で100.0質量%とする。
9.実施例1で得た本発明品7 10.0
(調製法)1〜8を混合し、均一になったところで9を添加し、さらに撹拌する。均一になったところで調製を終了する。
【実施例6】
【0029】
シート含浸ローション
1.ヒドロキシエチルセルロース 0.3
2.ジプロピレングリコール 3.0
3.エデト酸2ナトリウム 0.05
4.防腐剤 適量
5.精製水で100.0質量%とする。
6.実施例1で得た本発明品10 40.0
(調製法)1〜5を混合し、均一になったところで6を添加し、さらに撹拌する。均一になったところでシートに含浸させ充填し、調製を終了する。
【実施例7】
【0030】
涼感シャンプー
1.ラウレス硫酸ナトリウム 10.0
2.コカミドプロピルベタイン 5.0
3.コカミドジエタノールアミド 3.0
4.1,3−ブチレングリコール 5.0
5.防腐剤 適量
6.精製水で100.0質量%とする。
7.実施例1で得た本発明品12 20.0
(調製法)1〜6を混合し、均一になったところで7を添加し、さらに撹拌する。均一になったところで調製を終了する。
【実施例8】
【0031】
涼感コンディショナー
1.ポリオキシエチレンベヘニルエーテル 0.5
2.モノステアリン酸グリセリル 1.0
3.塩化ステアリルトリメチルアンモニウム 0.5
4.セトステアリルアルコール 4.0
5.ミリスチン酸イソプロピル 3.0
6.ヒドロキシエチルセルロース 0.5
7.1,3−ブチレングリコール 5.0
8.防腐剤 適量
9.精製水で100.0質量%とする。
10.実施例1で得た本発明品1 15.0
(調製法)80度において1〜5、6〜9をそれぞれ均一にする。80度において6〜9に1〜5を加え乳化し、撹拌冷却する。35度になったところで10を加え均一にし、調製を終了する。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明の目的は皮膚に対して清涼感を与え、汗をかいた時に清涼感を再び感じる涼感剤組成物およびこれを含有した皮膚または頭髪用外用剤に関する。