(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6207024
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】計算器断層撮影(CT)‐高密度焦点式超音波(HIFU)システムおよび/または方法
(51)【国際特許分類】
A61B 6/03 20060101AFI20170925BHJP
A61B 6/12 20060101ALI20170925BHJP
A61B 17/00 20060101ALI20170925BHJP
A61F 7/00 20060101ALI20170925BHJP
【FI】
A61B6/03 377
A61B6/03 360Q
A61B6/12
A61B17/00 700
A61F7/00 322
【請求項の数】15
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-558250(P2014-558250)
(86)(22)【出願日】2013年2月21日
(65)【公表番号】特表2015-512671(P2015-512671A)
(43)【公表日】2015年4月30日
(86)【国際出願番号】IB2013051425
(87)【国際公開番号】WO2013128349
(87)【国際公開日】20130906
【審査請求日】2016年2月19日
(31)【優先権主張番号】61/603,586
(32)【優先日】2012年2月27日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】KONINKLIJKE PHILIPS N.V.
(73)【特許権者】
【識別番号】511288290
【氏名又は名称】ザ ユナイテッド ステイツ オブ アメリカ アズ リプレゼンティッド バイ ザ セクレタリー デパートメント オブ ヘルス アンド ヒューマン サービシーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】ノールトフーク,ニコラース ヤン
(72)【発明者】
【氏名】ラダエッリ,アレッサンドロ グィド
(72)【発明者】
【氏名】カレルセン,バルト
(72)【発明者】
【氏名】アビ−ジョーデー,ナディーヌ
(72)【発明者】
【氏名】カプール,アンクル
(72)【発明者】
【氏名】ウッド,ブラッドフォード ジョンズ
【審査官】
増渕 俊仁
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2003/0163066(US,A1)
【文献】
特開平08−024263(JP,A)
【文献】
特開2005−080989(JP,A)
【文献】
特開平09−038096(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0196480(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00−6/14
A61B 17/00
A61F 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
CTスキャナであって:
検査領域を通過する放射を放出する放射源;
前記検査領域をはさんで前記源の反対側に位置する放射感応検出器であって、前記検査領域およびその中の被験体の一部を通過する放射を検出してそれを示す信号を生成する放射感応検出器;および
前記被験体を前記検査領域内で位置させる、基部を含んでいる被験体台を含んでいる、
CTスキャナと;
前記被験体台の基部に統合されている、超音波プローブを含んでいるHIFU装置と;
前記CTスキャナおよび前記HIFU装置の両方の動作を制御する主コントローラと;
グラフィカル・ユーザー・インターフェースにおいて、HIFU手順のための少なくとも一つの基準マーカーに対する前記超音波プローブの位置を示す、前記スキャナによって得られたCT画像データを、先に生成されたHIFU手順計画に重畳させて視覚的に呈示する処置ナビゲーターとを有する、
システム。
【請求項2】
前記少なくとも一つの基準マーカーに対する前記超音波プローブの位置の変化が、前記先に生成されたHIFU手順計画に重畳された前記CTデータの前記視覚的な呈示において視覚的に追跡される、請求項1記載のシステム。
【請求項3】
グラフィカル・ユーザー・インターフェースにおいて、前記被験体の先に得られたCT体積データを視覚的に呈示し、ユーザーによって同定されたHIFU手順ゾーンを示す信号を受領し、前記先に得られたCT体積データおよび前記HIFU手順ゾーンに基づいて前記HIFU手順計画を生成する処置プランナーをさらに有する、
請求項1または2記載のシステム。
【請求項4】
前記先に得られたCT体積データが前記被験体のMR、PETまたはUSデータと融合され、前記HIFU手順計画はその組み合わされたデータおよび前記HIFU手順ゾーンに基づいて生成される、請求項3記載のシステム。
【請求項5】
前記被験体台が:
アパーチャと;
前記アパーチャが閉鎖される第一の位置と前記アパーチャが開放される第二の位置との間で動くよう構成された窓とを有し、
前記超音波プローブは前記アパーチャの背後に位置され、前記窓が前記第二の位置にあるときに前記HIFU手順の間に前記被験体にHIFU超音波を加えるよう作動させられる、
請求項1ないし4のうちいずれか一項記載のシステム。
【請求項6】
前記被験体台に取り付けられたプローブ・ホルダーをさらに有し、前記プローブ・ホルダーは前記アパーチャの背後の位置に前記超音波プローブを保持する、
請求項5記載のシステム。
【請求項7】
前記プローブ・ホルダーが、少なくとも二つの位置の間で動くよう構成された関節式アームを有し、前記少なくとも二つの位置の間で前記関節式アームを動かすことが、前記プローブを前記少なくとも二つの位置の間で動かす、
請求項6記載のシステム。
【請求項8】
前記少なくとも二つの位置の間で前記関節式アームを電子的に動かすプローブ・ホルダー・コントローラをさらに有する、
請求項7記載のシステム。
【請求項9】
前記HIFU手順が、関心対象組織への薬投与と関連した組織アブレーション手順または組織温熱療法手順からなる手順の群からの手順である、請求項1ないし8のうちいずれか一項記載のシステム。
【請求項10】
前記HIFU装置が物理的に前記被験体台に統合されている、請求項1ないし9のうちいずれか一項記載のシステム。
【請求項11】
前記処置ナビゲーターが、前記グラフィカル・ユーザー・インターフェースにおいて、リアルタイムCTデータを、前記先に生成されたHIFU手順計画にリアルタイムで重畳させて視覚的に呈示する、請求項1ないし10のうちいずれか一項記載のシステム。
【請求項12】
処置ナビゲーターを有するシステムの作動方法であって:
HIFU手順のための少なくとも一つの基準マーカーに対するHIFU超音波プローブの位置を示す、CTスキャナによって得られたCT画像データを受領する段階であって、前記HIFU超音波プローブは前記CTスキャナの被験体台の基部に統合されたHIFU装置の一部である、段階と;
前記CT画像データを、三次元体積画像データおよび視覚的に同定されたHIFU処置ゾーンを含むHIFU手順計画に重畳させてグラフィカル・ユーザー・インターフェースにおいて視覚的に呈示する段階とを含む、
方法。
【請求項13】
前記被験体台のテーブルトップがアパーチャを有しており、前記HIFU超音波プローブは前記アパーチャの下に位置されており、
前記アパーチャを通じた被験体の処置のために、前記アパーチャを覆う窓を開く段階をさらに含む、
請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記HIFU手順を実行していないときに、前記窓を閉じ、それにより前記アパーチャを覆う段階をさらに含む、
請求項13記載の方法。
【請求項15】
前記HIFU超音波プローブを支持する前記HIFU装置の関節式アームを動かして、前記HIFU超音波プローブを前記アパーチャの外に動かす段階をさらに含む、請求項13または14記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
下記は概括的には計算器断層撮影(CT)‐高密度焦点式超音波(HIFU)システムおよび/または方法に関する。
【背景技術】
【0002】
計算器断層撮影(CBCT)スキャナは、放射源およびその反対側に位置する二次元放射感応検出器アレイを含み、単一のガントリー回転のうちに被験体のスキャンされる部分の三次元(3D)体積データを収集できる。Cアーム構成では、源はCアームの一方に、検出器アレイはCアームの他端に位置し、「C」の内部で両者の間に検査領域を形成する。Cアームは枢動可能に支持されており、枢動点のまわりに枢動して源および検出器を一つまたは複数の異なる角度におけるデータの収集のために位置させるよう構成されている。
【0003】
高密度焦点式超音波(HIFU)装置は高強度の超音波を生成し、該超音波は、関心対象の組織(たとえば腫瘍)に焦点を合わせられてアブレーションまたは放射および/または薬(たとえば化学)投与と関連した温熱療法のために関心対象の組織を加熱する。そのような手順は画像によって案内されてきた。画像は、アブレーションまたは温熱療法手順を計画および追跡するために使われる。磁気共鳴(MR)撮像および超音波(US)撮像は、アブレーションまたは温熱療法手順を計画および追跡するために使われる画像を生成するために使われてきた二つの撮像モダリティである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
限定しない例として、以下は、MR撮像に案内された手順との関連で薬投与の例を記述する。患者内でのカテーテルまたは針の配置といった手順はしばしば介入的放射線医学(IR)設備において実行される。この設備では、X線透視法などが、患者内でカテーテルまたは針を進めるのを案内するために使われる。患者は次いで、薬物の送達中のHIFUによるアブレーションまたはHIFUによる温熱療法のためにMR設備に移送される。
【0005】
しかしながら、カテーテルまたは針位置の検証および/または何らかの問題の検査は患者がIR設備に移送し戻されることを要求する。残念ながら、これは患者に対して利用可能なオプションを妨げる。さらに、アブレーションおよび温熱療法手順は数時間かかることがあり、よって、患者がアブレーションまたは温熱療法手順のためにMR設備にいる間は、MR設備は他の患者のMRスキャンのために利用できなくなる。さらに、MRはすべての病院で容易に利用できるものではなく、高価であり、USは非表面患部の処置のための好適な画像解像度および品質を提供しない。
【0006】
本稿に記載される諸側面は、上記の問題その他に対処する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
ある側面では、システムはCTスキャナを含む。CTスキャナは、検査領域を通過する放射を放出する放射源と、検査領域をはさんで前記源の反対側に位置する放射感応検出器であって、前記検査領域およびその中の被験体の一部を通過する放射を検出してそれを示す信号を生成する放射感応検出器と、前記被験体を前記検査領域内で位置させる被験体台とを備える。HIFU装置は、超音波プローブを含み、物理的に前記被験体台に統合されている。主コントローラは、前記CTスキャナおよび前記HIFU装置の両方の動作を制御する。処置ナビゲーターは、グラフィカル・ユーザー・インターフェースにおいて、前記HIFU装置の少なくとも一つの基準マーカー(fiducial marker)に対する前記超音波プローブの位置の、前記スキャナによって得られたCTデータを、先に生成されたHIFU手順計画に重畳させて視覚的に呈示する。
【0008】
もう一つの側面では、方法が、CTスキャナを使って、被験体のHIFU手順との関連でHIFU装置のHIFU超音波プローブのCT画像データを収集することを含む。ここで、前記HIFU装置は前記スキャナと統合されている。本方法はさらに、前記CT画像データを、三次元体積画像データおよび視覚的に同定されたHIFU処置ゾーンを含むHIFU手順計画の視覚的呈示の上に重畳することを含む。本方法はさらに、視覚的に呈示された重畳されたデータを使って、HIFU超音波プローブを、HIFU処置ゾーンと整列させることを含む。本方法はさらに、視覚的に呈示された重畳されたデータ中のHIFU超音波プローブの位置における変化を視覚的に追跡することを含む。本方法はさらに、整列されたHIFU超音波プローブを用いてHIFU手順を実行することを含む。
【0009】
もう一つの側面では、コンピュータ可読記憶媒体がコンピュータ可読命令をエンコードされる。コンピュータ可読命令は、プロセッサによって実行されたときに、該プロセッサに、被験体のためのHIFU手順計画との関連でHIFU超音波プローブのCT画像データを、被験体の以前に収集された体積データの上に重畳して表示するグラフィカル・ユーザー・インターフェースを視覚的に呈示させる。該HIFU手順計画は、HIFU処置ゾーンを同定するグラフィック印を含む。ここで、視覚的な呈示は、前記HIFU処置ゾーンに対してHIFU超音波プローブの位置を視覚的に追跡する。
【0010】
本発明は、さまざまなコンポーネントおよびコンポーネントの配置ならびにさまざまなステップおよびステップの配置の形を取りうる。図面は単に好ましい実施形態を例解するためのものであって、本発明を限定するものと解釈されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】スキャナの被験体台に位置している統合されたHIFU装置をもつCTスキャナを含む例示的な撮像システムを概略的に示す図である。
【
図2】
図1のスキャナによって収集されるCT画像データを使ってアブレーションまたは薬投与のための温熱療法のためのHIFUを案内する例示的な方法を示す図である。
【
図3】体積画像データおよび関心対象の組織の画像を種々の配向からの画像において示す、例示的なHIFU処置計画GUIを示す図である。
【
図4】
図3のHIFU処置計画GUIを、同定された処置領域および仮想プローブおよびマーカーとともに示す図である。
【
図5】実際および仮想のプローブおよびマーカーが整列されている、
図4のHIFU処置計画GUI上に重畳された透視画像を第一の配向から示す図である。
【
図6】実際および仮想のプローブおよびマーカーが整列されている、
図4のHIFU処置計画GUI上に重畳された透視画像を、
図5とは異なる配向から示す図である。
【
図7】HIFU手順のための例示的な機器構成を概略的に示す図である。
【
図8】実際の手順が計画にマッピングされることを検証および/または確認するためのフォローアップHIFU GUIを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、システム100を概略的に示している。システム100は、円錐ビームCT Cアームまたは他のCTスキャナのような計算器断層撮影(CT)スキャナ101を含む。スキャナ101は、天井、壁、床または検査室内の装置に取り付けられることができ、あるいは車輪などをもち、容易に検査室に出し入れできるポータブル装置であることもできる、静止部102を含む。Cアーム104は、結合106を介して静止部102に枢動可能に結合され、所定の弧(たとえば少なくとも180度)を通じて枢動するよう構成されている。Cアーム104は、スキャンのためのHIFU手順の前および/またはHIFU手順中に枢動されることができる。
【0013】
放射源108がCアーム104の一端に結合されており、放射感応検出器アレイ110がCアーム104の他端に結合されている。放射源108は、検出器アレイ110から離間されており、両者の間に検査領域112が形成される。好適な検出器アレイ110は、フラットパネル検出器などといった二次元(2D)検出器アレイを含む。検出器アレイ110は、放射を検出するのに応答して信号を生成する。源108または検出器110の少なくとも一方は、たとえばCアーム104とは独立に、互いのほうに向かって動いてもよく、および/またはCに沿ったスリーブ内で変位されてもよい。
【0014】
被験体台114は、基部123に可動に取り付けられたテーブルトップ115を含む。テーブルトップ115は、検査領域112において被験体を支持する第一の側119と、反対側121とをもつ。図示したテーブルトップ115は、側119と121の間に物質のない領域または開口を与えるアパーチャ117を含む。窓118がアパーチャ117に対して配置されており、窓118がアパーチャ117を閉じる第一の位置と窓118がアパーチャ117を閉じない第二の位置との間で動くよう構成される。図示した実施形態では、窓118は閉じた位置に示されている。
【0015】
窓118は、テーブルトップ115にさまざまな仕方で取り付けられることができる。たとえば、一例では、窓118の側辺が、テーブルトップ115のまたはテーブルトップ115に取り付けられた凹部内に位置され、窓118は該凹部内で前記少なくとも二つの位置の間で、人間または機械の制御のもとに、滑動する。窓118を所望される位置に保持するために任意的な固定器が使用されることができる。もう一つの例では、窓118はテーブルトップ115にヒンジなどを介して取り付けられ、前記少なくとも二つの位置の間で揺動する。同様に、窓118を開位置および/または閉位置に係合させ、保持するために固定器が使用されることができ、位置の間で窓118が動くよう解放されることができる。他のアプローチも本稿で考えられている。
【0016】
再構成器120は、検出器アレイ110によって出力された信号を再構成し、3D体積画像データおよび/または2D画像を生成する。スキャナ・コントローラ122はスキャナ101を制御する。それは、Cアーム104を検査領域112に対して特定の角度配向に枢動させること、放射を放出するよう源108を作動させること、放射を検出するよう検出器アレイ110を作動させること、他の装置と情報を受領および/または搬送することを含む。一例では、スキャナ・コントローラ122は、たとえば窓118を開くおよび/または閉じるよう、および/または窓118を所定の位置に保持する機構(たとえば、ロッキング・ピン、電磁ブレーキなど)を作動させるよう、窓118をも制御する。
【0017】
高密度焦点式超音波(HIFU)装置124は、超音波プローブ126を含む。超音波プローブ126は、図示した実施形態では、テーブルトップ115のアパーチャ117および窓118の下に位置されている。HIFU装置はさらに、超音波送信のようなプローブ126の動作を制御するHIFUコントローラ128を含む。足ペダル、ジョイスティック、リモコンなどといった作動装置131が、高周波の合焦した超音波を放出するようプローブ126のトランスデューサ素子を作動させる。図示した実施形態では、HIFU装置124は、スキャナ101と統合されており、たとえば被験体台114の基部123に取り付けられている。もう一つの実施形態では、HIFU装置124は、被験体台114の上または横に位置されることができる。
【0018】
プローブ・ホルダー130は、HIFU手順の前、間および/または後にプローブ126を位置決めするための関節式アーム132を含む。関節式アーム132は、一つまたは複数の自由度を提供する一つまたは複数の可動関節を含んでいてもよく、ユーザーによって手動でおよび/またはプローブ・ホルダー・コントローラ136により電気的に動かすことのできる下位部分を含んでいてもよい。図示した実施形態では、プローブ・ホルダー130は被験体台114に固定器134を介して取り付けられる。一例では、固定器134は、クランプのように容易に除去でき、別の例では、固定器134はボルト、ねじ、リベットなどを含む。別の実施形態では、プローブ・ホルダー130は、ポータブルまたは静止スタンドなどといった別個の装置に取り付けられる。
【0019】
処置プランナー138は、スキャナ101(および/または他のスキャナ)から再構成された画像データおよび任意的に、MR、CT、US、陽電子断層撮影(PET)、X線透視法などといった一つまたは複数の撮像モダリティからの撮像データを受領する。処置プランナー138は、ユーザーと対話するグラフィカル・ユーザー・インターフェース(GUI)を視覚的に呈示する。該GUIにおいて、受領された再構成された画像データおよび/または任意的な撮像データが(たとえば別個におよび/または一緒に融合されて)視覚的に表示され、HIFU計画を生成するために使われる。そのような生成は、処置すべき関心対象の組織に対応する一つまたは複数のHIFUターゲット・ゾーンおよび/または超音波プローブの位置および/または配向を同定することを含んでいてもよい。
【0020】
処置ナビゲーター140は、超音波プローブ126を整列させ、追跡するために使われるデータを含むGUIを視覚的に呈示する。これはたとえば、整列および/または追跡が、前記データの収集および呈示と同時並行して実行できるよう、リアルタイムで行なわれる。一例では、これは、超音波プローブ126のリアルタイム画像データ(スキャナ101によって取得される)を表示される体積に重畳させ、生成されたHIFU計画に基づいてプローブ126を整列させることを含む。これは、少なくとも二つの配向について実行されることができ、このことは、HIFU手順のためのプローブ126の三次元(3D)位置を確認することを容易にする。処置ナビゲーター140は、プローブ126の配置を追跡するおよび/またはアブレーションもしくは温熱療法手順を案内するために、HIFU手順の間にスキャナ101によって収集されるリアルタイム画像データを(たとえば上記で論じたように、たとえば前記リアルタイム・データおよび前記計画を重畳させることによって)表示するためにも使われることができる。
【0021】
主コントローラ142は、スキャナ・コントローラ122、HIFUコントローラ128またはプローブ・ホルダー・コントローラ136のうちの少なくとも一つを制御する。そのような制御は、スキャナ・コントローラ122に、Cアーム104を枢動させるおよび/または放射源108および放射感応検出器アレイ110を作動させるよう命令することを含んでいてもよい。そのような制御は、HIFUコントローラ128に、関心対象の組織に集中した高強度の合焦した超音波を放出するよう命令することを含んでいてもよい。そのような制御は、プローブ・ホルダー・コントローラ136に、プローブ126をアパーチャ117およびHIFU手順のためのHIFUマーカーとの接続の下に位置させるおよび/またはプローブ126を被験体台114におけるホーム位置または保管位置に動かすよう命令することを含んでいてもよい。
【0022】
処置プランナー138、処置ナビゲーター140および/または主コントローラ142は、物理的なメモリまたは他の非一時的記憶媒体のようなコンピュータ可読記憶媒体上に埋め込まれたまたはエンコードされた一つまたは複数のコンピュータ実行可能命令を実行する一つまたは複数のプロセッサ(マイクロプロセッサ、コントローラなど)により実装できる。追加的または代替的に、前記一つまたは複数のプロセッサは、信号、搬送波および/または他の一時的記憶媒体によって担持されるコンピュータ実行可能命令を実行することができる。図示した実施形態では、処置プランナー138、処置ナビゲーター140および主コントローラ142は、コンピューティング装置144のコンピュータ可読記憶媒体に含まれている。別の実施形態では、処置プランナー138、処置ナビゲーター140または主コントローラ142の一つまたは複数は他の位置であってもよい。
【0023】
上記のある変形では、スキャナ101は通常の閉環(ドーナッツの穴)形のCTスキャナである。
【0024】
別の変形では、HIFU装置124は、被験体台114の基部123の外部のカートまたは他の装置上に位置している。この例では、HIFU装置124は、上記のような被験体台114のアパーチャ117を通して、あるいは被験体台114の上からまたは横で使用されることができる。HIFU装置124がテーブルトップ115の下から使われるのでない場合は、アパーチャ117および窓118は省略できる。
【0025】
別の変形では、HIFU装置124は、スキャナ101と接続してまたは他の仕方で被験体の上に位置され、保管される。同様に、この例では、HIFU装置124は被験体台114のアパーチャ117を通して、あるいは被験体台114の上からまたは横で使用されることができ、HIFU装置124がテーブルトップ115の下から使われるのでない場合は、アパーチャ117および窓118は省略できる。
【0026】
別の変形では、プローブ126は追加的または代替的に、光学式および/または電磁式(EM)追跡を使って追跡されることができる。
【0027】
別の変形では、プローブ126は、関心領域の温度を示す値を測定するコンポーネント(たとえばサーミスタなど)を含む。
【0029】
本方法は、アブレーションまたは薬投与のための温熱療法のようなHIFU手順を案内するためのものである。案内は、スキャナ101または通常のCTスキャナによって取得されたCT画像データを使って実行される。この例では、HIFU装置(たとえばHIFU装置124)はスキャナ101と物理的に統合されている。
【0030】
本稿で記述される諸方法における工程の順序は限定するものでないことは理解される。よって、本稿では他の順序も考えられている。さらに、一つまたは複数の工程が省略されてもよく、および/または一つまたは複数の追加的な工程が含まれていてもよい。
【0031】
202では、被験体の関心領域がスキャンされる。
【0032】
204では、収集されたデータが再構成され、体積画像データを生成する。
【0033】
206では、体積画像データが任意的に他の撮像データと融合される。
【0034】
208では、体積画像データ(および/または融合されたデータ)がHIFU手順計画を生成するために使われる。本稿で記載されるように、これは、一つまたは複数のHIFUゾーンおよび/またはプローブ位置および/または配向をHIFU手順計画に基づいて同定することを含む。
【0035】
210では、計画は、たとえば該計画に基づくHIFU手順のためにHIFU超音波プローブを所定の位置に配置するためのリアルタイム撮像との関連で使われる。
【0036】
212では、CTスキャナによる撮像がHIFU手順を追跡および/または案内するために使われる。
【0037】
上記の少なくとも一部は、コンピュータ・プロセッサ(単数または複数)によって実行されたときに該プロセッサに記載される諸工程を実行させるコンピュータ可読記憶媒体上にエンコードされたまたは埋め込まれたコンピュータ可読命令によって実装されてもよい。追加的または代替的に、前記コンピュータ可読命令の少なくとも一つは信号、搬送波または他の一時的媒体によって搬送される。
【0038】
本稿に記載されるシステム100を使った例示的な作業フローを、
図3〜
図8との関連で次に論じる。
【0039】
まず
図3を参照するに、処置プランナー138はGUI 300を表示する。GUI 300は、302における画像データの体積と、異なる配向310、312および314からの、みな関心対象のターゲット組織316を示している、前記体積画像データからの選択された画像304、306および308とを視覚的に呈示する。
【0040】
図4では、ユーザーによって同定された計画されているアブレーション・ゾーン400がGUI 300において、異なる画像304、306および308との関連で示されている。GUI 300にはまた、X線不透明なマーカー402および仮想HIFUプローブ406を表わすグラフィック印も示されている。
【0041】
図5および
図6では、処置ナビゲーター140がGUI 500および600を表示する。
図5では、GUI 500は、前記画像データの体積の上に重畳されたスキャナ101によって得られたリアルタイム画像をもつ正面配向502を示している。HIFU超音波プローブ126およびマーカーは仮想プローブ406およびマーカー402と整列されている。
図6は、その同じ情報を異なる配向602から示している。
【0042】
図7は、テーブルトップ115上に載っている被験体702を、プローブ126、プローブ・コントローラ128、プローブ・アクティベーター131(この実施形態ではジョイスティック)、関節式アーム132および固定器134を含むHIFU装置124ならびに仮想プローブ406およびマーカー402とともに示している。関節式アーム132は、手動で位置決めされるクランプ704およびプローブ・アクティベーター131を介して電子的に位置決めされるロボット・アーム706を含む。この実施形態では、プローブ126は被験体702の上に位置されており、テーブルトップ115の下、アパーチャ117の背後ではないことを注意しておく。
【0043】
図8は、フォローアップ体積データ802およびフォローアップ画像804〜808を含むフォロー・スキャンからのデータをもつGUI 300を示している。このGUIにおける画像は、実際のアブレーション810が計画と整列していることを検証および確認するために使用できる。
【0044】
本発明について、好ましい実施形態を参照しつつ記載してきた。以上の詳細な記述を読み、理解すれば他の者にも修正や変更が思いつくことがありうる。本発明は、付属の請求項またはその等価物の範囲にはいる限りそのようなすべての修正および変更を含むものとして解釈されることが意図されている。
いくつかの態様を記載しておく。
〔態様1〕
CTスキャナであって:
検査領域を通過する放射を放出する放射源;
前記検査領域をはさんで前記源の反対側に位置する放射感応検出器であって、前記検査領域およびその中の被験体の一部を通過する放射を検出してそれを示す信号を生成する放射感応検出器;および
前記被験体を前記検査領域内で位置させる、基部を含んでいる被験体台を含んでいる、
CTスキャナと;
前記被験体台の基部に統合されている、超音波プローブを含んでいるHIFU装置と;
前記CTスキャナおよび前記HIFU装置の両方の動作を制御する主コントローラと;
グラフィカル・ユーザー・インターフェースにおいて、HIFU手順のための少なくとも一つの基準マーカーに対する前記超音波プローブの位置を示す、前記スキャナによって得られたCT画像データを、先に生成されたHIFU手順計画に重畳させて視覚的に呈示する処置ナビゲーターとを有する、
システム。
〔態様2〕
前記少なくとも一つの基準マーカーに対する前記超音波プローブの位置の変化が、前記先に生成されたHIFU手順計画に重畳された前記CTデータの前記視覚的な呈示において視覚的に追跡される、態様1記載のシステム。
〔態様3〕
グラフィカル・ユーザー・インターフェースにおいて、前記被験体の先に得られたCT体積データを視覚的に呈示し、ユーザーによって同定されたHIFU手順ゾーンを示す信号を受領し、前記先に得られたCT体積データおよび前記HIFU手順ゾーンに基づいて前記HIFU手順計画を生成する処置プランナーをさらに有する、
態様1または2記載のシステム。
〔態様4〕
前記先に得られたCT体積データが前記被験体のMR、PETまたはUSデータと融合され、前記HIFU手順計画はその組み合わされたデータおよび前記HIFU手順ゾーンに基づいて生成される、態様3記載のシステム。
〔態様5〕
前記被験体台が:
アパーチャと;
前記アパーチャが閉鎖される第一の位置と前記アパーチャが開放される第二の位置との間で動くよう構成された窓とを有し、
前記超音波プローブは前記アパーチャの背後に位置され、前記窓が前記第二の位置にあるときに前記HIFU手順の間に前記被験体にHIFU超音波を加えるよう作動させられる、
態様1ないし4のうちいずれか一項記載のシステム。
〔態様6〕
前記被験体台に取り付けられたプローブ・ホルダーをさらに有し、前記プローブ・ホルダーは前記アパーチャの背後の位置に前記超音波プローブを保持する、
態様5記載のシステム。
〔態様7〕
前記プローブ・ホルダーが、少なくとも二つの位置の間で動くよう構成された関節式アームを有し、前記少なくとも二つの位置の間で前記関節式アームを動かすことが、前記プローブを前記少なくとも二つの位置の間で動かす、
態様6記載のシステム。
〔態様8〕
前記少なくとも二つの位置の間で前記関節式アームを電子的に動かすプローブ・ホルダー・コントローラをさらに有する、
態様6または7記載のシステム。
〔態様9〕
前記HIFU手順が、関心対象組織への薬投与と関連した組織アブレーション手順または組織温熱療法手順からなる手順の群からの手順である、態様1ないし8のうちいずれか一項記載のシステム。
〔態様10〕
前記HIFU装置が物理的に前記被験体台に統合されている、態様1ないし9のうちいずれか一項記載のシステム。
〔態様11〕
前記処置ナビゲーターが、前記グラフィカル・ユーザー・インターフェースにおいて、リアルタイムCTデータを、前記先に生成されたHIFU手順計画にリアルタイムで重畳させて視覚的に呈示する、態様1ないし10のうちいずれか一項記載のシステム。
〔態様12〕
CTスキャナを使って、被験体のHIFU手順との関連でHIFU装置のHIFU超音波プローブのCT画像データを収集する段階と;
前記CT画像データを、三次元体積画像データおよび視覚的に同定されたHIFU処置ゾーンを含むHIFU手順計画の視覚的呈示の上に重畳する段階と;
前記視覚的に呈示された重畳されたデータを使って、前記HIFU超音波プローブを、前記HIFU処置ゾーンと整列させる段階であって、前記HIFU超音波プローブは前記CTスキャナの被験体台の基部に統合されたHIFU装置の一部である、段階と;
前記視覚的に呈示された重畳されたデータ中の前記HIFU超音波プローブの位置における変化を視覚的に追跡する段階とを含む、
方法。
〔態様13〕
前記被験体台のテーブルトップのアパーチャを覆う窓を開く段階であって、前記HIFU超音波プローブは前記アパーチャの下に位置されている、段階と;
前記窓が開いた前記アパーチャを通じた前記被験体の処置のために、前記HIFU超音波プローブを、前記HIFU処置ゾーンと整列させる段階とをさらに含む、
態様12記載の方法。
〔態様14〕
前記HIFU手順を実行していないときに、前記窓を閉じ、それにより前記アパーチャを覆う段階をさらに含む、
態様13記載の方法。
〔態様15〕
前記HIFU超音波プローブを支持する前記HIFU装置の関節式アームを動かして、前記HIFU超音波プローブを前記アパーチャの外に動かす段階をさらに含む、態様12または13記載の方法。