(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6207029
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】成形機の制御方法
(51)【国際特許分類】
B29C 45/82 20060101AFI20170925BHJP
B29C 45/33 20060101ALI20170925BHJP
【FI】
B29C45/82
B29C45/33
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-158437(P2015-158437)
(22)【出願日】2015年8月10日
(65)【公開番号】特開2017-35828(P2017-35828A)
(43)【公開日】2017年2月16日
【審査請求日】2016年5月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000155159
【氏名又は名称】株式会社名機製作所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 正彦
(72)【発明者】
【氏名】副田 知裕
【審査官】
深草 祐一
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−226448(JP,A)
【文献】
米国特許第04744743(US,A)
【文献】
米国特許第06299427(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/00−45/84
B29C 33/00−33/76,39/26−39/36,41/38−41/44,43/36−43/42,43/50,49/48−49/56,49/70,51/30−51/40,51/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
共通の流体供給手段から流体を供給し、複数の可動部を各シリンダにより個別に作動させる成形機の制御方法において、
前記流体供給手段から各シリンダに流体を供給する各分岐管路には前記シリンダからの流体の戻りを阻止する逆止弁は配設されておらずシリンダに流体を供給または封じ込め可能な切換弁が配設されており、
1成形サイクル中に少なくとも一つの可動部のシリンダに前記流体供給手段から流体を供給して該可動部を作動させる際に、該可動部を作動させる直前または作動と同時に、作動されない可動部のシリンダは切換弁により流体が供給される状態から流体が封じ込められる状態に切換えられることを特徴とする成形機の制御方法。
【請求項2】
前記分岐回路および前記流体供給手段と分岐管路の間の主管路には蓄圧手段が配設されていないことを特徴とする請求項1に記載の成形機の制御方法。
【請求項3】
前記可動部は、成形金型の可動コアであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の成形機の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は共通の流体供給手段から流体を供給し、複数の可動部をそれぞれのシリンダにより作動させる成形機の制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
共通の流体供給機構から送られる流体により複数の可動部を作動させる成形機としては、特許文献1に記載されたものが知られている。特許文献1は油圧ポンプ78から送られる作動油をアキュームレータ90に蓄えて中子シリンダ50及び52を作動させて中子(可動部)の出し入れを行うものである。特許文献1では、アキュームレータ90を使用することにより油圧ポンプ78の容量は比較的小さいものでもよいことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭62−87814号公報(実用新案登録請求の範囲、第8頁〜第9頁、第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら特許文献1では、各中子を単独で作動させる際のことは想定されていないものであった。また特許文献1では、蓄圧手段であるアキュームレータを使用するため設備が高額になるという問題があった。
【0005】
本発明では上記の問題を鑑みて、共通の流体供給手段から流体を供給し、複数の可動部をそれぞれのシリンダにより作動させる際に、複数の可動部を確実かつ良好に作動または保持することができる成形機の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に記載の成形機の制御方法は、共通の流体供給手段から流体を供給し、複数の可動部を各シリンダにより個別に作動させる成形機の制御方法において、前記流体供給手段から各シリンダに流体を供給する各分岐管路には前記シリンダからの流体の戻りを阻止する逆止弁は配設されておらずシリンダに流体を供給または封じ込め可能な切換弁が配設されており、1成形サイクル中に少なくとも一つの可動部のシリンダに前記流体供給手段から流体を供給して該可動部を作動させる際に、
該可動部を作動させる直前または作動と同時に、作動されない可動部のシリンダは切換弁により流体が供給される状態から流体が封じ込められる状態に切換えられることを特徴とする。
【0007】
本発明の請求項2に記載の成形機の制御方法は、請求項1において、前記分岐回路および前記流体供給手段と分岐管路の間の主管路には蓄圧手段が配設されていないことを特徴とする。
【0008】
本発明の請求項3に記載の成形機の制御方法は、請求項1または請求項2において、
前記可動部は、成形金型の可動コアであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の成形機の制御方法は、共通の流体供給手段から流体を供給し、複数の可動部を各シリンダにより個別に作動させる成形機の制御方法において、前記流体供給手段から各シリンダに流体を供給する各分岐管路には前記シリンダからの流体の戻りを阻止する逆止弁は配設されておらずシリンダに流体を供給または封じ込め可能な切換弁が配設されており、1成形サイクル中に少なくとも一つの可動部のシリンダに前記流体供給手段から流体を供給して該可動部を作動させる際に、
該可動部を作動させる直前または作動と同時に、作動されない可動部のシリンダは切換弁により流体が供給される状態から流体が封じ込められる状態に切換えられるので、複数の可動部を確実かつ良好に作動または保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施形態に用いられる射出成形機と射出金型を示す概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施形態の射出成形機11について、
図1を参照して説明する。成形機の一種である横型の射出成形機11は、型締装置12と第1の射出装置13と第2の射出装置14とから構成されている。型締装置12は、成形金型27のうち一方の固定金型15が取付けられる固定盤16がベッド17上に固定的に配置されている。また固定盤16に対して成形金型27のうち他方の可動金型18が取付けられる可動盤19がベッド上面のガイド上を型開閉方向に移動可能に設けられている。
【0012】
固定盤16の四隅近傍には型締手段である型締シリンダ20がそれぞれ設けられ、型締シリンダ20のロッドがタイバ21を構成しており可動盤19の四隅近傍のガイド穴に挿通されている。可動盤19の背面側のガイド穴の周囲にはハーフナット22が設けられ、タイバ21の係止溝と係合可能となっている。型締シリンダ20は流体供給手段(作動油供給手段)であるポンプ23からの作動油により作動される。また固定盤16には型開閉手段のサーボモータ24が固定され、サーボモータ24の駆動軸にボールねじ25が連結されている。また可動盤19には前記ボールねじ25が挿通されるボールねじナット26が固定されている。そして前記サーボモータ24が駆動することによりボールねじ25が回転され、ボールねじナット26とともに可動盤19が型開閉方向に移動可能となっている。なお型締手段、型開閉手段の機構等は上記のものに限定されず、電動モータにより作動されるトグル機構を用いたもの等でもよい。更に型締シリンダと型開閉シリンダを用いたものでもよい。
【0013】
次に固定金型15と可動金型18からなる成形金型27と可動コア28,29の作動手段について説明する。可動金型18には複数の可動部として2個の可動コア28,29が設けられている。それぞれの可動コア28,29は、油圧シリンダ30,31(シリンダ)により進退移動される。前記可動コア28,29の油圧シリンダ30,31は、共通の作動油供給手段であるポンプ23から作動油(流体)が供給されるようになっている。
図1において共通の作動油供給手段とは吐出量が小容量のポンプ23が1個設けられている。しかし2以上設けられたポンプからそれぞれの油圧シリンダ30,31に作動油が供給されるものでもよい。またポンプ23の種類は限定されず、電動モータとボールねじ機構を組み合わせて流体圧を発生させる流体供給手段等でもよい。本実施形態では型締シリンダ20に主に送られる作動油は図示しない別のポンプから送られる。
【0014】
ポンプ23からの主管路32には図示しない逆止弁やリリーフ弁が設けられている。また主管路32の逆止弁が設けられた部分よりも前方の部分からはノズルタッチ用の油圧シリンダやエジェクタ用の油圧シリンダ等の他の油圧シリンダ(
図1において※印で表される)へ作動油を供給する管路が分岐している。なお本発明では、ポンプ23からの主管路32へ他の用途のポンプから送られた作動油が合流されるものであってもよい。更にはポンプ23と油圧回路は、成形金型27の可動コア28,29(可動部)の作動専用に設けてもよい。主管路32はマニホールドブロック33に接続され、マニホールドブロック33内で分岐されて分岐管路34.35となる。なおマニホールドブロック33は必須のものでなく、それぞれの分岐管路34,35に切換弁等を設けてもよい。
【0015】
各分岐管路34,35には、電磁比例圧力制御弁36,37がそれぞれ設けられ油圧シリンダ30,31に供給する作動油の圧力が個別に制御可能となっている。また各分岐管路34.35の圧力制御弁36,37の先にはソレノイド作動・スプリングセンタのセンタクローズド式の三位置四方切換弁38,39がぞれぞれ圧力制御弁36,37と直列に接続されている。前記三位置四方切換弁38,39は、ソレノイドが作動されずにスプリングにより切換弁内のスプールがセンター位置にあるときに作動油の流通を遮断可能な切換弁である。なおセンタクローズド式の三位置四方切換弁38,39は同様の機能を有するものであれば他の切換弁でもよい。ただし一つの切換弁により油圧シリンダ30,31の作動切換制御と油圧シリンダ30,31への作動油の封じ込めが両方可能であることが望ましい。例えば無圧時にバネによりロッドが後退される単動シリンダを油圧シリンダとして使用する場合は、供給位置と封じ込め位置を選択切換えすることのみできる二位置切換弁でもよい。
【0016】
一方の三位置四方切換弁38について説明するとAポートは油圧シリンダ30の前進側油室30a(シリンダ側油室)に向けて接続され、Bポートは油圧シリンダ30の後退側油室30b(ロッド側油室)に向けて接続されている。またPポートは前記分岐管路34を介してポンプ23に接続され、Tポートはタンク40に接続されている。そしてAポートの先の分岐管路には手動式の流量制御弁41が設けられている。また前記流量制御弁41と並列して設けられた分岐管路には、ポンプ23側から油圧シリンダ30側への作動油の供給のみを阻止する逆止弁42がセットで設けられている。更にBポートの先の分岐管路についても前記Aポート側と同じく電磁比例式の流量制御弁43が設けられている。また前記電磁比例式の流量制御弁43と並列して設けられた分岐管路には、ポンプ23側から油圧シリンダ30側への作動油の供給のみを阻止する逆止弁44がセットで設けられている。
【0017】
なお前記分岐管路34(Aポート、Bポートから先の分岐管路も含む)には前記油圧シリンダ30からの作動油の戻りを阻止する逆止弁は配設されていない。そのため別途に逆止弁を設ける費用が削減できる。またマニホールドブロック33内の分岐管路35に接続される他方の三位置四方切換弁39の側も一方の三位置四方切換弁39と同じ構造の弁であり、油圧シリンダ31の前進側油室31aと後退側油室31bとの間の分岐管路に、流量制御弁45,47、逆止弁46,48が配置されている。
【0018】
そしてポンプ23から油圧シリンダ30,31への主管路32、その先の分岐管路34,35のいずれにも蓄圧手段であるアキュームレータは設けられていない。そのためポンプ23を小容量(一例として型締シリンダに作動油を供給するポンプよりも無負荷時吐出量が小さいポンプ)を使用することと相俟って油圧装置のコストを低減することができる。ただしこれらの構造のために一つの油圧シリンダ30に作動油を供給する際に分岐管路34,35や作動油が継続的に供給されている別の油圧シリンダ31内の油圧が低下しやすくなっている。
【0019】
次に本実施形態の射出成形機11の制御方法について記載する。まず型開閉手段のサーボモータ24が作動され、可動盤19および可動金型18が固定盤16および固定金型15に向けて移動され、金型同士が当接すると成形金型27(固定金型15と可動金型18)の型閉が完了する。次に型締手段の型締シリンダ20により成形金型27の型締を行う。型締後の当初の状態では可動コア28,29は作動油供給機構であるポンプ23から主管路32、分岐管路34,35を介して作動油が油圧シリンダ30,31の前進側油室30a,31aにそれぞれ供給され前進側に向けて保持されている。そしてキャビティC1の可動コア29の裏側部分にアンダーカット部C1aが形成されている。次に第1の射出装置13からキャビティC1に溶融樹脂が射出される。そしてキャビティC1内の溶融樹脂がある程度冷却が進行した段階で、一時的に型締力を低下させて可動コア28を後退させ、前進時に可動コア28があった部分に新しくキャビティC2を形成する。
【0020】
この際の油圧装置の作動を更に説明すると、作動油供給手段のポンプ23からの作動油の供給が継続して行われている状態で、図示しないコントローラからの指令信号により三位置四方切換弁38のソレノイドbに制御信号(電流)を送って弁のスプールを作動させ、Bポートを介して油圧シリンダ30の後退側油室30bに作動油を供給する。三位置四方切換弁38の切換により同時に油圧シリンダ30の前進側油室30aとタンク40がTポートを介して接続され、前進側油室30aの作動油はドレンに落とされる。この際、後退側油室30bへの作動油の供給は、流量制御弁43により作動油の供給が絞られるメータイン制御により可動コア28が急激に後退されないように行われる。そして可動コア28が後退するとソレノイドbへの信号送信(電流送信)を中止し、スプールをセンター位置に復帰させて、可動コア28を位置保持する。
【0021】
この際分岐管路34,35、または分岐管路34,35の近傍の主管路32内の作動油の圧力は後退側油室39bに作動油が大量に送られることにより一時的に低下する。もう一方の可動コア29はキャビティC1内の溶融樹脂のヒケを防止するために前進側油室30aに作動油が供給され続ける状態であったが、そのままの三位置四方切換弁39のAポートが前進側油室31aに接続される状態を保っていると前記のように分岐管路34,35内の作動油の圧力低下の影響を受けて油圧シリンダ31の前進側油室31aの圧力も低下してしまう。そして前進側油室31a圧力が低下すると可動コア29が後退して成形品にヒケが生じる等の問題が発生することも考えられる。また特に可動コア28,29が自重により後退してしまう場合に問題が発生しやすい。
【0022】
そこで三位置四方切換弁38のソレノイドbの作動直前(これに限定されるものではないが例えば0secより大きく10sec以内)か、作動と同時に三位置四方切換弁39のソレノイドaの作動を解除してバネ力により三位置四方切換弁39をセンター位置に復帰させる。そして三位置四方切換弁39により分岐管路35側と油圧シリンダ31の前進側油室31aの接続を断ち切り、前進側油室31aに作動油を封じ込める。このようにして分岐管路35等の圧力低下による影響を受けずに油圧シリンダ31の前進側油室31aの圧力を一時的に保持し、可動コア29の位置を保持する。
【0023】
そしてまた、可動コア28が後退完了して作動油を後退側油室30bへ大量に供給する必要が無くなると、後退完了の直後(これに限定されるものではないが例えば0secより大きく10sec以内)か後退完了と同時に三位置四方切換弁39のソレノイドaを作動させて油圧シリンダ31の前進側油室31aに再び作動油を供給し、時間経過により前記前進側油室31aから作動油がリークして圧力が低下しないようにする。ただし可動コア28の後退作動から次に行う可動コア29の後退作動までの時間が短い場合は、油圧シリンダ31に作動油を封じ込めたままで、油圧シリンダ31の前進側油室31aに作動油を供給開始しない場合もある。
【0024】
次に射出成形機11の側では、新しく形成されたキャビティC2に第2の射出装置14から別の溶融樹脂を射出する。キャビティC2への別の溶融樹脂の射出後は、可動コア28が樹脂圧に負けて後退するとヒケが発生するので、再度、三位置四方切換弁38のソレノイドaを作動させて可動コア28の油圧シリンダ30の前進側油室30aに作動油を供給し、可動コア28を別の溶融樹脂に向けて押圧する。
【0025】
キャビティC1の溶融樹脂とキャビティC2の別の溶融樹脂がそれぞれ冷却完了すると型締シリンダ20の圧抜が行われる。そして次に型締シリンダ20を用いての離型と型開閉手段のサーボモータ24による型開きが行われる。この際成形品は可動金型18側に残されて離型される。そして次にアンダーカット部が形成された成形品を可動金型18から取り出すために可動コア29を後退させる。この際は成形品の取出しを容易にするため可動コア28も後退方向に作動させることが望ましい。
【0026】
なお本実施形態では成形金型27の可動コア28,29は可動金型に設けられる例について説明したが、可動コアは可動金型および固定金型の少なくとも一方に設けられるものでもよい。また可動コア28,29は2個の例で記載したが、可動コアは2個に限定されず更に多数であってもよい。その場合固定盤16や可動盤19の少なくとも一方の操作側、反操作側にそれぞれマニホールドブロックが設けられるようにしてもよい。大型の射出成形機11であって操作側と反操作側のマニホールドブロック同士を接続する管路の距離が長い場合、操作側の複数の可動コアのみの間で、可動コアの作動の際に他の可動コアの油圧シリンダを封じ込めるように切換弁を作動させてもよい。また反操作側の複数の可動コアのグループについては、操作側の複数の可動コアの作動とは関係なく同様の制御を行う。
【0027】
また可動コアが3個以上ある場合、同時に作動させる可動コアは少なくとも一つであってもよい。2個以上(複数)の可動コアを同時に作動させる場合は、より大量の作動油を必要とし、分岐管路等の油圧がより一層一時的に低下するから、作動させない可動コアは対応する油圧シリンダを封じ込めるように切換弁を作動させ、油圧の低下を防止する必要がある。
【0028】
また射出成形機に多数の分岐回路と切換弁等の組み合わせを備えている場合でも、成形金型の可動コアの数によってはその全てを使用しないものでもよい。例えば射出成形機の側には、ポンプからの主管路に接続されて2個のマニホールドがあり、各マニホールドには3本の分岐管路と3個の三位置四方切換弁を備え、6個の可動コアの作動に対応できるようになっている。しかし成形金型には2〜5個の可動コアしか備えていない場合、可動コアの数に対応する分岐管路と三位置四方切換弁のみが使用され、使用されない三位置四方切換弁はソレノイドに通電されずセンター位置にあって閉鎖されており、マニホールドから油圧シリンダに接続される供給口も閉鎖されている。
【0029】
上記の実施形態では複数の可動部は、成形金型の可動コア28,29の例について説明した。しかし可動部については、成形金型のホットランナのバルブゲートのバルブや成形品の突出を複数の油圧シリンダにより行うエジェクタの可動部であってもよい。更には回転テーブル等を位置決めする際に突出する位置決めピンであってもよい。即ち比較的小容量の複数のシリンダで射出成形機およびその成形金型の一部を同時または順次に作動させるものであれば、可動部の種類は限定されない。そしてまた複数の可動部は、前記可動コア、バルブゲートのバルブ、エジェクタ、位置決ピン等の複数種が混在したものでもよい。
【0030】
更に可動部を作動させるシリンダに供給する流体は、作動油を用いることが一般的であるが、大気、ガス、水等でもよい。シリンダを作動させる圧力が比較的圧力が低い場合は、コンプレッサとエアシリンダの組み合わせを用いることでコストを抑制することができる。また前記の油圧シリンダは復動タイプの他、単動タイプでもよく、成形金型内に形成されたゴム袋(プラダ)等がシリンダの役割を果たすものでもよい。
【0031】
本実施形態では、成形金型が取付けられるのは横型の射出成形機であるが、横型の射出成形機以外に竪型の射出成形機であってもよい。竪型の射出成形機の場合、可動コアの他、エジェクタや位置決めピン等の可動部が自重の影響を受ける方向に設けられることが多い。そして一つの可動部のシリンダに作動油を供給する際に、他の作動されない可動部は進退させる油圧シリンダの油室が減圧されると自重により落下するので、本発明のように切換弁により油圧シリンダ内に作動油を封じ込めることが望ましい。
【0032】
本発明については、一々列挙はしないが、上記した本実施形態のものに限定されず、当業者が本発明の趣旨を踏まえて変更を加えたものについても、適用されることは言うまでもないことである。また本発明の成形機としては、金属成形を行うダイカスト成形機、プレス成形機、中空成形機、発泡成形機、真空成形機などであってもよい。
【符号の説明】
【0033】
11 射出成形機
15 固定金型
18 可動金型
23 ポンプ(液体供給手段)
28,29 可動コア(可動部)
30,31 油圧シリンダ(シリンダ)
38,39 三位置四方切換弁(切換弁)