(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、
図1から
図7を参照し、本発明の一実施形態に係るフォーマーディスペンサー10について説明する。
フォーマーディスペンサー10は、内容物(内容液)を泡状にして吐出する。内容物としては、例えば皮膚洗浄液(ボディウォッシュ)等が挙げられる。内容物の一例の成分表を下記表1に示す。
【0016】
図1および
図2に示すように、フォーマーディスペンサー10は、内容物が収容される容器本体1の口部1aに装着される装着キャップ11と、装着キャップ11に上方付勢状態で下方移動可能に立設されたステム12を有する吐出器13と、ステム12に装着され、ノズル孔14が形成された押下ヘッド15と、を備えている。
【0017】
ここで、装着キャップ11は上下に開口する筒状に形成され、押下ヘッド15は有頂筒状に形成されている。そして装着キャップ11、ステム12および押下ヘッド15の各中心軸線は共通軸上に位置している。以下、この共通軸を軸線Oといい、軸線Oに沿う方向を上下方向といい、上下方向に沿う押下ヘッド15側を上側といい、その反対側を下側という。軸線Oに直交する方向を径方向といい、軸線O回りに周回する方向を周方向という。
【0018】
装着キャップ11は、容器本体1の口部1a上に配置された環状の天壁部16と、天壁部16の内周縁部に立設された案内筒部17と、天壁部16の外周縁部から下方に向けて延び、口部1aに装着される装着周壁部18と、を備えている。なお、口部1aと装着周壁部18は、例えば螺合やアンダーカットなどで嵌合されている。
【0019】
案内筒部17の上端部には、径方向の外側に向けて突出する内ガイド凸部17aが設けられている。内ガイド凸部17aは、環状に形成されている。案内筒部17において、内ガイド凸部17aよりも下側に位置する部分には、押下ヘッド15の押下を規制する平面視C字状の規制部材19が着脱自在に装着されている。
【0020】
ステム12は、装着キャップ11内に挿通されている。ステム12は、下ステム20と、上ステム21と、を備えている。
【0021】
下ステム20の上端部は、案内筒部17内に配置されている。下ステム20の上端部の内周面には、径方向の内側に向けて突出する環状の弁座22が設けられている。弁座22には、球状の液吐出弁23が着座および離反可能に設けられている。
下ステム20の上端部内には、上下方向に延びる支柱を介して形成された押さえ部材24が設けられている。前記支柱は、下ステム20の上端部内に周方向に間隔をあけて配置され、前記支柱の下端部は、弁座22上に位置している。複数の前記支柱間には流通孔が設けられている。
【0022】
上ステム21の下端部は、下ステム20の上端部に外側から嵌合されていて、上ステム21は、装着キャップ11の案内筒部17内に上下動自在に挿入されている。上ステム21において下端部と上端部との間に位置する中間部には、縮径部21aが形成されている。上ステム21の下端部の内周面には、上下方向に延在する縦溝21bが複数形成されている。縦溝21bの上端部は、径方向の内側に開口し、縦溝21bの下端部は、下方に開口している。
【0023】
ところで前記吐出器13は、ステム12に連係する液用ピストン25と、液用ピストン25が内部に上下摺動自在に収容された液用シリンダ26と、ステム12に連係する空気用ピストン27と、空気用ピストン27が内部に上下摺動自在に収容された空気用シリンダ28と、液用シリンダ26からの液体と空気用シリンダ28からの空気とを混合する気液混合室29と、気液混合室29とノズル孔14との間に配設され、気液混合室29からの気液混合体を発泡する発泡部材30と、を更に備えている。
【0024】
空気用シリンダ28は有底筒状に形成され、液用シリンダ26は筒状に形成されている。これらの両シリンダは、軸線Oと同軸に配設されている。空気用シリンダ28の上端開口部は、装着キャップ11の内面と口部1aの上面との間に設けられたパッキンを介してシールされている。液用シリンダ26は、空気用シリンダ28の底部から下方に向けて延びている。液用シリンダ26および空気用シリンダ28は一体に形成されている。液用シリンダ26は、空気用シリンダ28よりも小径に形成されている。
【0025】
空気用ピストン27は、空気用シリンダ28内に気密状態で上下摺動自在に嵌合された外摺動筒31と、この外摺動筒31の内側に配置され、内部にステム12が上下摺動自在に挿入された内摺動筒32と、外摺動筒31の内周面と内摺動筒32の外周面とを連結する連結板33と、連結板33を上下方向に貫通する空気孔34と、空気孔34を開閉する弁体35と、を備えている。
【0026】
内摺動筒32内には、下ステム20が挿入されていて、内摺動筒32の上端部は、上ステム21の下端部内に、この上ステム21の内周面上を上下摺動自在に嵌合されている。内摺動筒32の上端縁と上ステム21の内面との間には、上下方向の隙間である連通隙間Sが設けられている。この連通隙間Sには、上ステム21の前記縦溝21bの下端部が開口している。なお上ステム21の下端部は、内摺動筒32の外周面に複数設けられた凸リブ部32aの上端部に、間隔をあけて対向している。
【0027】
下ステム20の外周面において内摺動筒32内に挿入された部分には、上下方向に延びるステム溝20aが形成されている。内摺動筒32の外周面には複数の凸部が設けられており、その凸部間に前記ステム溝20aが形成されている。ステム溝20aは、周方向に間隔をあけて複数配置されている。ステム溝20aの上端部は、前記連通隙間Sに連通している。
気液混合室29は、下ステム20と上ステム21との間に設けられ、図示の例では、押さえ部材24と上ステム21(縮径部21a付近)との間に設けられている。気液混合室29は、縦溝21b、連通隙間Sおよびステム溝20aにより構成される空気通路36を通して、空気用シリンダ28内と連通可能とされている。
【0028】
ここで本実施形態では、下ステム20のうち、空気用シリンダ28内に位置する部分には、径方向の外側に向けて突出する環状の突状部37が設けられている。突状部37の上面部分は、空気用ピストン27の内摺動筒32の下端縁に当接しているため、空気用シリンダ28内における空気通路36の開口部を塞ぎ、空気用シリンダ28の内部と気液混合室29との連通を遮断している。
【0029】
液用ピストン25は、下側から上側に向けて漸次、縮径する多段筒状に形成されている。液用ピストン25は、ステム12内に液密状態で嵌合された上側筒部25aと、ステム12の下端開口縁から下方に突出し、液用シリンダ26内に上下摺動自在に嵌合された下側筒部25bと、を備えている。
【0030】
前記上側筒部25aと、液用シリンダ26の下端部の内面と、の間には、液用ピストン25を上方付勢状態で下方移動可能に支持するコイルスプリング38が配設されている。
液用ピストン25および液用シリンダ26の内部には、上下方向に延在する棒状の弁部材39が設けられている。弁部材39の上端部は、液用ピストン25の上側筒部25aの上端開口部に着座および離反可能な上部弁体39aとされ、弁部材39の下端部は、液用シリンダ26内の下端開口部に着座および離反可能な下部弁体39bとされている。
【0031】
図2に示すように、発泡部材30は、ステム12内に設けられ、図示の例では、上ステム21の上端部内に嵌合されている。発泡部材30は、筒体の開口端縁上に網体が配設されてなる発泡エレメント30aが、上下方向に複数、図示の例では2つ連設されて構成されている。2つの発泡エレメント30aのうち、上側に位置する発泡エレメント30aでは、筒体の両端開口縁のうち上端開口縁にのみ網体が配設され、下側に位置する発泡エレメント30aでは、筒体の両端開口縁のうち下端開口縁にのみ網体が配設されている。なお、発泡エレメント30aと網体は少なくとも一つ設けていればよい。また、上側に位置する発泡エレメント30aの網体(細かい目)と下側に位置する発泡エレメント30aの網体(荒い目)の目の粗さを変えることで、より極めの細かい泡を生成させることができる。
【0032】
図2から
図4に示すように、押下ヘッド15は、ヘッド本体41と、外装筒部42と、を備えている。ヘッド本体41と外装筒部42とは、別体に形成されるとともに互いに組み付けられている。ヘッド本体41は、頂壁部43と、装着筒部44と、嵌合筒部45と、被覆壁部46と、ノズル筒部47と、を備えている。頂壁部43は、ステム12の上側に配置されている。
【0033】
装着筒部44は、頂壁部43から下側に向けて延びステム12に装着されている。装着筒部44は、軸線Oと同軸に配置され、上ステム21の上端部に外側から嵌合している。装着筒部44の下端部は、案内筒部17内に挿入されていて、装着筒部44は、案内筒部17内を上下動自在とされている。
【0034】
装着筒部44の上端部の内周面には、径方向の内側に向けて突出する規制リブ44aが設けられている。規制リブ44aは、上下方向に延びる板状に形成され、規制リブ44aの上端部は、頂壁部43に連結している。規制リブ44aの下端部は、上ステム21の上端部に当接している。
嵌合筒部45は、頂壁部43から下側に向けて突出し、軸線Oと同軸に配置されている。嵌合筒部45は、装着筒部44の上端部を径方向の外側から囲繞している。
【0035】
ノズル筒部47は、装着筒部44から径方向の外側に向けて延び、嵌合筒部45よりも径方向の外側に突出している。ノズル筒部47内は、装着筒部44の上端部内を通してステム12内に連通していて、ノズル筒部47の突端部内には、前記ノズル孔14が設けられている。なお以下では、径方向のうち、ノズル筒部47が延びる方向を前後方向といい、前後方向に沿ってノズル孔14が開口する方向を前側といい、その反対側を後側という。
【0036】
図3に示すように、被覆壁部46は、頂壁部43の外周縁部から下方に向けて延びている。被覆壁部46は、このフォーマーディスペンサー10を上下方向から見た平面視において、前方に向けて開口するC字状に形成されていて、被覆壁部46の周端部は、ノズル筒部47において周方向を向く各側面に連結されている。被覆壁部46は、装着筒部44の上端部および嵌合筒部45を径方向の外側から覆っている。
【0037】
図2に示すように、外装筒部42は、頂壁部43の下方位置に設けられている。外装筒部42の上端縁は、頂壁部43の下面に当接していて、外装筒部42の上端部は、嵌合筒部45内に嵌合されている。外装筒部42の上端部には、径方向の外側に向けて突出する環状の突条部48が設けられている。突条部48は、嵌合筒部45の内周面に嵌合(アンダーカットなど)している。
【0038】
外装筒部42は、装着筒部44および案内筒部17を径方向の外側から囲繞していて、外装筒部42内は、案内筒部17内を通して空気用シリンダ28内に連通可能となっている。外装筒部42の下端部は、装着筒部44の下端部と上下方向に同等の位置に配置されている。外装筒部42の下端部は、案内筒部17の上端部を径方向の外側から囲繞している。
【0039】
外装筒部42の下端部には、径方向の内側に向けて突出する外ガイド凸部42aが設けられている。外ガイド凸部42aは、環状に形成されている。外ガイド凸部42aは、押下ヘッド15を押下する前の状態で、内ガイド凸部17aに径方向に対向していて、内ガイド凸部17aに近接している。
【0040】
図2から
図7に示すように、外装筒部42の上端部には、吸気孔51a、51bが形成されている。吸気孔51a、51bは、外装筒部42を径方向に貫通するとともに上側に向けて開口している。吸気孔51a、51bには、第1吸気孔51aと、第2吸気孔51bと、が備えられている。
【0041】
図3および
図5に示すように、第1吸気孔51aは、外装筒部42において、上下方向および前後方向の両方向に直交する左右方向の両側に位置する各部分に配置されている。第1吸気孔51aは、互いに同等の形状でかつ同等の大きさに形成されている。
図7に示すように、第1吸気孔51aは、このフォーマーディスペンサー10を左右方向から見た側面視において、矩形状に形成されている。
【0042】
ここで、外装筒部42の外周面における吸気孔51a、51bの開口周縁部には、径方向の内側に窪み吸気孔51a、51bに連通する窪み部52が形成されている。窪み部52は、外装筒部42の外周面における第1吸気孔51aの開口周縁部のうち、第1吸気孔51aに下側から連なる部分に配置されている。窪み部52は、前記側面視において、矩形状に形成されている。窪み部52の周方向の大きさは、第1吸気孔51aの周方向の大きさと同等となっている。
【0043】
図4に示すように、第1吸気孔51aは、嵌合筒部45および被覆壁部46により径方向の外側から覆われている。第1吸気孔51aは、このフォーマーディスペンサー10の外部と、窪み部52を通して連通している。
図2、
図3および
図5に示すように、第2吸気孔51bは、外装筒部42において前側に位置し、周方向の位置がノズル筒部47と同等とされた部分である前方に配置されている。
【0044】
第2吸気孔51b内には、ノズル筒部47が上方から差し込まれていて、ノズル筒部47は、この第2吸気孔51bから前方に向けて延び、外装筒部42よりも径方向の外側に突出している。第2吸気孔51bの周方向の大きさは、ノズル筒部47の周方向の大きさと同等となっていて、ノズル筒部47の各側面は、第2吸気孔51bの内周縁において、周方向の内側を向く各部分に係止している。
【0045】
そして第2吸気孔51bは、ノズル筒部47よりも上下方向に大きくなっていて、ノズル筒部47の下面と、第2吸気孔51bの内周縁において上側を向く部分と、の間には、上下方向の隙間が設けられている。
【0046】
外装筒部42の内周面には、上下方向に延びるガイドリブ53a、53bが突設されている。ガイドリブ53a、53bは、押下ヘッド15が斜め押下されたときに、案内筒部17に、図示の例では内ガイド凸部17aに径方向の外側から摺接可能である。ガイドリブ53a、53bは、外装筒部42のうち、案内筒部17を径方向に挟んで反対側に位置する各部分に配置されている。ガイドリブ53a、53bには、第1ガイドリブ53aと、第2ガイドリブ53bと、が備えられている。
【0047】
第1ガイドリブ53aは、外装筒部42の前方に配置され、この前方のうち、第2吸気孔51bの下側に位置する部分に配置されている。第1ガイドリブ53aの上端部は、第2吸気孔51bの内周縁よりも下側に位置している。第1ガイドリブ53aの下端部は、外ガイド凸部42aに連結されている。第1ガイドリブ53aは、上下方向に真直に延びていて、外ガイド凸部42aの表面に滑らかに連結されている。
【0048】
図5に示すように、第1ガイドリブ53aは、外装筒部42の前方に周方向に間隔をあけて3つ設けられている。3つの第1ガイドリブ53aは、周方向に同等の間隔をあけて配置されている。この3つの第1ガイドリブ53aのうち、周方向の中央に位置するものは、軸線Oに対して前方正面に配置されている。
【0049】
第2ガイドリブ53bは、第1ガイドリブ53aに対して案内筒部17を径方向に挟んだ反対側に位置する部分である後部に配置されている。
図6に示すように、第2ガイドリブ53bは、案内筒部17の後部の上下方向の全長にわたって形成されている。第2ガイドリブ53bの下端部は、外ガイド凸部42aに連結されている。第2ガイドリブ53bは、上下方向に真直に延びていて、外ガイド凸部42aの表面に滑らかに連結されている。
【0050】
図5に示すように、第2ガイドリブ53bは、外装筒部42の後部に周方向に間隔をあけて2つ設けられている。2つの第1ガイドリブ53aは、外装筒部42のうち、軸線Oに対して後方正面に位置する部分を回避して配置されている。
【0051】
図3および
図4に示すように、ヘッド本体41の頂壁部43には、下方に向けて突出するとともに周方向に間隔をあけて配置され、吸気孔51a、51bの内周縁において周方向の内側を向く各部分に係止する一対の係止部54が設けられている。
【0052】
一対の係止部54は、両第1吸気孔51aそれぞれに設けられていて、頂壁部43において左右方向の両側に位置する各部分に配置されている。係止部54は、径方向に延びる板状に形成され、前記平面視において左右方向に沿って真直に延びている。そして、係止部54において周方向を向く表面が、第1吸気孔51aの内周縁に係止して、この内周縁に近接または当接している。
【0053】
係止部54は、装着筒部44と嵌合筒部45とを連結していて、係止部54の径方向の内側の端部が装着筒部44に連結され、径方向の外側の端部が嵌合筒部45に連結されている。
【0054】
図4に示すように、係止部54の上下方向の大きさは、径方向の内側から外側に向かうに従い段状に小さくなっている。係止部54のうち、外装筒部42よりも径方向の内側に位置する筒内部分54aは、この筒内部分54aよりも径方向の外側に位置し、第1吸気孔51a内に配置された部分よりも下側に向けて突出している。この筒内部分54aは、外装筒部42を径方向の内側から支持していて、外装筒部42の内周面に径方向の内側から近接または当接している。
【0055】
図2および
図3に示すように、頂壁部43には、下方に向けて突出するとともに径方向に延び、周方向に複数配置された支持板部55が設けられている。支持板部55は、前記平面視において軸線Oを中心とする放射状に設けられていて、周方向の全周にわたって間欠的に配置されている。支持板部55は、一対の係止部54の周方向の間と、ノズル筒部47と、を周方向に回避した位置に配置されている。
【0056】
図2に示すように、支持板部55の径方向の内側の端部は、装着筒部44に連結されている。支持板部55の径方向の外側の端部は、外装筒部42を径方向の内側から支持していて、外装筒部42の内周面に径方向の内側から近接または当接している。
図3に示すように、支持板部55は、周方向に間隔をあけて複数配置されることで板部列56を構成していて、外装筒部42は、この板部列56に対して外側から嵌合されている。
【0057】
図1および
図2に示すようなフォーマーディスペンサー10において、内容物を吐出するときには、規制部材19を取り外し、押下ヘッド15を押し下げる。すると案内筒部17が、装着筒部44と外装筒部42との間の隙間に進入する。
【0058】
なお本実施形態では、装着筒部44からノズル筒部47が前方に向けて突出していることから、押下ヘッド15を押下するときに、例えばノズル筒部47を把持すると、押下ヘッド15を斜め押下、つまり真下にではなく斜め前方や斜め後方に押下する等して、外装筒部42とヘッド本体41との前後方向の位置関係が不安定になり易い。しかしながら、第1ガイドリブ53aおよび第2ガイドリブ53bが、外装筒部42のうち、前後方向の両側に位置する各部分に配置されているので、押下ヘッド15を押下するときに、これらの両ガイドリブ53a、53bによって、外装筒部42の前後方向の位置が安定させられる。
【0059】
ここで前述のように押下ヘッド15を押下すると、案内筒部17が、装着筒部44と外装筒部42との間の隙間に進入する一方で、ステム12および液用ピストン25が、コイルスプリング38を上下方向に圧縮変形させながら下方に移動する。
このとき、内摺動筒32の下端と、ステム12における突状部37の上面部分と、の間に隙間が形成される。これにより、空気通路36を通して空気用シリンダ28内と気液混合室29内とが連通する。
【0060】
さらにこのとき、液用ピストン25の下方への移動に伴い、液用ピストン25の上端部が、弁部材39の上部弁体39aから下方に離反し、液用シリンダ26内とステム12内とが連通し、弁部材39の下部弁体39bも下方に移動させられ、この下部弁体39bが液用シリンダ26内の下端開口部に着座して閉塞する。
【0061】
押下ヘッド15を更に押し下げると、空気用ピストン27も、弁体35が空気孔34を閉塞した状態で下方に移動させられ、空気用シリンダ28内において空気用ピストン27の下方に位置する下室内の空気が圧縮させられる。これにより、この下室内の空気が、空気用ピストン27における内摺動筒32の下端と、ステム12の突状部37と、の間の隙間から空気通路36内に流入して気液混合室29に移送される。
【0062】
さらにこのとき、弁部材39の下部弁体39bが、液用シリンダ26の下端開口部を閉塞した状態で、液用ピストン25が下方移動するので、液用シリンダ26内の液体が上昇してステム12内に到達する。そして液用シリンダ26内の液圧を、ステム12内の液吐出弁23に作用させ、この液吐出弁23を弁座22から上方に離反させることにより、液用シリンダ26内の液体を気液混合室29内に流入させる。
【0063】
このようにして、気液混合室29内で液体および空気を合流させ、発泡部材30を通過させて液体を発泡させた後に、装着筒部44の上端部内およびノズル筒部47内を通過させノズル孔14から泡体を吐出させる。
【0064】
その後、押下ヘッド15の押し下げを解除すると、コイルスプリング38の弾性復元力により液用ピストン25が上方に押し上げられる。これにより、液用ピストン25の上側筒部25aの上端開口部が上部弁体39aに当接して、液用シリンダ26内とステム12内との連通が遮断されるとともに、下部弁体39bが、液用シリンダ26内の下端開口部から離反し、容器本体1内と液用シリンダ26内とが連通して、容器本体1内の内容物が液用シリンダ26内に流入する。なおこのとき、容器本体1内が負圧になり、空気用シリンダ28において外摺動筒31よりも上側に位置する部分に設けられた導入孔を通して、空気用シリンダ28内において空気用ピストン27の上方に位置する上室内の空気が容器本体1内に導入される。
【0065】
また、このように上昇する液用ピストン25とともに、ステム12および押下ヘッド15が一体的に上昇し、ステム12の突状部37が、空気用ピストン27の内摺動筒32の下端縁に当接することで、空気通路36を通した前記下室と気液混合室29との連通が遮断される。この状態で、ステム12および空気用ピストン27が一体的に上昇して前記下室の内圧が低下することで、弁体35が開いて空気孔34が開放され、前記下室内に、吸気孔51a、51b、外装筒部42内および案内筒部17内を通して外気が吸入される。
【0066】
ところで、例えば、外装筒部42に吸気孔51a、51bが設けられていないフォーマーディスペンサーでは、押下ヘッド15が上方に復元移動するときに、外気を、外装筒部42の内周面と案内筒部17の外周面との間の隙間(以下、「筒間隙間」という)を通して外装筒部42内に吸引し、案内筒部17内を通して空気用シリンダ28内に吸入しようとする。ここで、装着キャップ11の外面上に例えば水などの異物が付着していると、押下ヘッド15が上方に復元移動したときに、異物が空気とともに前記筒間隙間を通して外装筒部42内に吸引され、空気用シリンダ28内に侵入する可能性がある。
【0067】
これに対して本実施形態のフォーマーディスペンサー10では、外装筒部42の上端部に、吸気孔51a、51bが形成されているので、押下ヘッド15の押下を解除して空気用シリンダ28内が負圧になるときに、前述のように外気を、吸気孔51a、51bを通して外装筒部42内に吸引することができる。これにより、外気が、前記筒間隙間を通して外装筒部42内に吸引されることが抑えられ、筒間隙間から異物が外気とともに外装筒部42内に吸引されることが抑えられる。
【0068】
以上説明したように、本実施形態に係るフォーマーディスペンサー10によれば、外装筒部42の内周面に、ガイドリブ53a、53bが突設されているので、例えば押下ヘッド15が斜め押下されたとき等に、案内筒部17をガイドリブ53a、53b上で上下方向に摺動可能にし、案内筒部17により外装筒部42の径方向の変位を規制することができる。これにより、外装筒部42の径方向の位置を安定させることが可能になり、外装筒部42とヘッド本体41との径方向の位置関係を安定させることができる。
【0069】
またガイドリブ53a、53bが、外装筒部42のうち、案内筒部17を径方向に挟んで反対側に位置する各部分に配置されているので、押下ヘッド15が斜め押下されたときに、ガイドリブ53a、53bを、案内筒部17に径方向の両外側から摺接可能にし、外装筒部42の径方向の位置を一層安定させることができる。
【0070】
また第1ガイドリブ53aおよび第2ガイドリブ53bが、外装筒部42のうち、前後方向の両側に位置する各部分に配置されているので、押下ヘッド15が斜め押下されたときに、第1ガイドリブ53aおよび第2ガイドリブ53bによって、外装筒部42の前後方向の位置を安定させることができる。したがって、外装筒部42とヘッド本体41との前後方向の位置関係を確実に安定させることができる。
【0071】
また外装筒部42の上端部に、吸気孔51a、51bが形成されているので、前述のように筒間隙間から異物が外気とともに外装筒部42内に吸引されるのを抑えることが可能になり、空気用シリンダ28内への異物の侵入を抑制することができる。
また吸気孔51a、51bが、外装筒部42の上端部に形成されているので、この吸気孔51a、51bが押下ヘッド15の外観性に与える影響を小さく抑えることができる。
さらに吸気孔51a、51bが、上側に向けて開口しているので、例えばこの外装筒部42を金型により成形するときに、金型を容易に脱型すること等が可能になり、このフォーマーディスペンサー10を簡便に形成し易くすることができる。
【0072】
また、外装筒部42の上端部に、吸気孔51a、51bが形成されているので、前述のように筒間隙間から異物が外気とともに外装筒部42内に吸引されるのを抑えることが可能になり、空気用シリンダ28内への異物の侵入を抑制することができる。
また吸気孔51a、51bが、外装筒部42の上端部に形成されているので、この吸気孔51a、51bが押下ヘッド15の外観性に与える影響を小さく抑えることができる。
さらに吸気孔51a、51bが、上側に向けて開口しているので、例えばこの外装筒部42を金型により成形するときに、金型を容易に脱型すること等が可能になり、このフォーマーディスペンサー10を簡便に形成し易くすることができる。
【0073】
また、外装筒部42の外周面における吸気孔51a、51bの開口周縁部に、窪み部52が形成されているので、水などの異物が侵入しづらく、且つ外気を吸気孔51a、51bに窪み部52を通して導入することが可能になり、外気を外装筒部42内に吸気孔51a、51bを通して効果的に吸引することができる。
【0074】
またヘッド本体41に、被覆壁部46が備えられているので、吸気孔51a、51bが外部に露出するのを抑えることが可能になり、このフォーマーディスペンサー10の外観性を確保し易くすることができる。
【0075】
また頂壁部43に、一対の係止部54が設けられているので、ヘッド本体41と外装筒部42とが周方向に相対的に回転しようとしたときに、係止部54が吸気孔51a、51bの内周縁に係止することで、この回転を規制することができる。また、吸気孔51a、51bを周方向に狭めるように外装筒部42が変形しようとしたときに、係止部54が吸気孔51a、51bの内周縁に係止することで、この変形を規制することもできる。
さらに、一対の係止部54が、周方向に間隔をあけて配置されているので、前述のような回転や変形を規制しつつ、外装筒部42の内部と外部とを、吸気孔51a、51bにおいて、一対の係止部54の間に位置する部分を通して確実に連通させることが可能になり、外気を外装筒部42内に吸気孔51a、51bを通して確実に吸引することができる。
なお本実施形態のように、頂壁部43に、下側に向けて突出し、装着筒部44に外側から嵌合された嵌合筒部45が設けられている場合であって、係止部54が、装着筒部44と嵌合筒部45とを連結している場合には、係止部54が吸気孔51a、51bの内周縁に係止したときに、係止部54の径方向の両端部を装着筒部44および嵌合筒部45により支持することが可能になり、前述の回転や変形を効果的に規制することができる。
【0076】
また、頂壁部43に支持板部55が複数配置され、かつ、支持板部55の径方向の内側の端部が、装着筒部44に連結されるとともに、支持板部55の径方向の外側の端部が、外装筒部42を径方向の内側から支持している。したがって、例えば、外装筒部42がヘッド本体41に対して径方向にガタつこうとしたときに、外装筒部42を、支持板部55を介して頂壁部43および装着筒部44に支持させること等ができる。これにより、外装筒部42をヘッド本体41に強固に取り付けることが可能になり、例えば外装筒部42とヘッド本体41とのガタつきを抑えることができる。
【0077】
また頂壁部43に、嵌合筒部45が設けられているので、外装筒部42を、支持板部55と嵌合筒部45との間に径方向に挟持することが可能になり、外装筒部42をヘッド本体41に一層強固に取り付けることができる。
【0078】
また係止部54の筒内部分54aが、外装筒部42を径方向の内側から支持しているので、支持板部55のみならず係止部54の筒内部分54aによっても外装筒部42を径方向の内側から支持することが可能になり、外装筒部42をヘッド本体41に一層強固に取り付けることができる。
【0079】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0080】
例えば、本発明の変形例では、規制部材19がなくてもよい。
【0081】
前記実施形態では、ガイドリブ53a、53bは、第1ガイドリブ53aおよび第2ガイドリブ53bを備えているが、本発明はこれに限られない。例えば、ガイドリブが、外装筒部において左右方向の両側に位置する各部分に配置されていてもよい。
本発明の変形例では、ガイドリブ53a、53bが、外装筒部42のうち、案内筒部17を径方向に挟んで反対側に位置する各部分に配置されていなくてもよい。
【0082】
本発明の変形例では、係止部54の筒内部分54aが、外装筒部42を径方向の内側から支持していなくてもよい。また係止部54が、装着筒部44と嵌合筒部45とを連結していなくてもよい。さらに係止部54がなくてもよい。
本発明の変形例では、ノズル筒部47、嵌合筒部45および被覆壁部46がなくてもよい。この場合、例えばノズル孔が外装筒部を貫通する貫通孔によって形成されていてもよい。また支持板部55がなくてもよい。
【0083】
本発明の変形例では、窪み部52がなくてもよい。
前記実施形態では、吸気孔51a、51bが、第1吸気孔51aおよび第2吸気孔51bを備えているが、本発明はこれに限られない。例えば吸気孔として第1吸気孔および第2吸気孔のうちの少なくとも一方が設けられていてもよい。
本発明の変形例では、吸気孔51a、51bがなくてもよい。
【0084】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。