(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記固定が、ジオテキスタイルチューブに外側面に設けられた複数の固定部材と、前記シート状物のジオテキスタイルチューブ側面に該固定部材に相対する位置に設けられた複数の対応固定部材とによって行われていることを特徴する請求項1に記載の補強構造体。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、波浪による海岸の浸食や、防波堤、堤防、埠頭等の破壊に対する耐性を有し、波浪によって補強構造体を構成するシート状物の破損を防止することができるジオテキスタイルチューブを用いた補強構造体を提供するものである。
【0008】
本発明はまた、破袋しにくいジオテキスタイルチューブを用いた補強構造体であり、かつ波浪によって補強構造体を構成するシート状物の破損を防止することができる補強構造体の敷設方法を提供する。
本発明は、すぐれた施工性をもって形成することができる透水性を有する素材からなるジオテキスタイルチューブと透水性を有する素材からなるシート状物からなる補強構造体を提供するものであり、該補強構造体を施工性よく敷設できる方法をも提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明により、充填物を充填した透水性を有する素材からな
り、断面形状がほぼ円形もしくは楕円形であるジオテキスタイルチューブ
の外側面が、透水性を有する素材からなるシート状物に包まれており、ジオテキスタイルチューブとシート状物が複数の個所で固定されている補強構造体が提供される。
前記固定が、ジオテキスタイルチューブに外側面に設けられた複数の固定部材と、前記シート状物のジオテキスタイルチューブ側面に該固定部材に相対する位置に設けられた複数の対応固定部材とによって行われている補強構造体は本発明の好ましい態様である。
【0010】
前記構造体が長さ方向に複数連接して設置されている補強構造体は本発明の好ましい態様である。
また、前記構造体が複数段設置されている補強構造体もまた本発明の好ましい態様である。
【0011】
本発明は、また外側面に複数の固定部材が設けられた透水性を有する素材からな
り、断面形状がほぼ円形もしくは楕円形であるジオテキスタイルチューブと、ジオテキスタイルチューブ側面に該固定部材に相対する位置に複数の対応固定部材が設けられた透水性を有する素材からなるシート状物とを、該シート状物を所定の位置
に載置しその上にジオテキスタイルチューブを置いて前記固定部材と対応固定部材の少なくとも一部を固定するか、もしくは該ジオテキスタイルチューブと該シート状物とを、前記固定部材と対応固定部材の少なくとも一部を予め固定しておいたものを所定の位置に載置する工程、
ジオテキスタイルチューブに充填物を充填する工程、
残りの固定部材と対応固定部材があればそれを固定して充填物を充填したジオテキスタイルチューブを該シート状物で包む工程、及び
該シート状物の該チューブ横方向端部を結合する工程
を含む補強構造体の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によって、波浪による海岸の浸食や、防波堤、堤防、埠頭等の破壊に対する耐性を付与するのに好適な、ジオテキスタイルチューブを用いた補強構造体が提供される。
【0013】
本発明によって、波浪によって補強構造体を構成するシート状物の破損を防止することができるジオテキスタイルチューブを用いた補強構造体が提供される。
本発明により、すぐれた施工性をもって形成される透水性を有する素材からなるジオテキスタイルチューブと透水性を有する素材からなるシート状物からなる補強構造体が提供される。また本発明によって、該補強構造体を施工性よく敷設できる方法が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明で使用されるジオテキスタイルチューブは、透水性を有し、耐水性、耐久性に優れた材料が好ましく、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィンやポリエステル製の織布または不織布により構成されているものが好ましい。不織布は熱エンボスされているものやニードルパンチされたものが好ましい。中でも好ましいのは、ポリプロピレン製の織布または不織布により構成されているものである。
【0016】
本発明におけるジオテキスタイルチューブは、大型チューブであって、長さ方向の大きさが5m以上であり、好ましくは8m以上であることが望ましい。また、本発明におけるジオテキスタイルチューブの幅方向の大きさは、充填物を充填しない状態で2m以上、好ましい4m以上であることが好ましい。
【0017】
本発明のジオテキスタイルチューブの製造方法には特に制限はなく、所定の大きさのジオテキスタイル布をチューブを形成するように縫い合わせることによって形成してもよいし、織布または不織布を筒状に形成し、所定の長さに切断して端部を縫い合わせてジオテキスタイルチューブを形成してもよい。
【0018】
ジオテキスタイルチューブには、所定の位置に1または2以上の箇所に充填物を充填するための開口部が設けられており、該開口部は充填物の充填後閉じることができる構造となっている。閉じることができる構造の好適な例は、開口部に外報に向けて取り付けた筒状部である。充填物を充填後に筒状物を縛る等の方法で閉じることができる。
【0019】
本発明のジオテキスタイルチューブに充填される好ましい充填物としては、排水性良好な土石材料として、礫質材料、砕石など、排水性の低い土石材料として粘土、シルト、現場掘削土など、排水性に関してこれらの中間的な土石材料として、山土、川砂、海砂などの砂質材料を挙げることができる。中でも好ましいものとして、砂質材料を挙げることができる。ジオテキスタイルチューブを用いた補強構造体を海岸に敷設する場合には、充填物として海岸の砂を用いるのが好都合である。
【0020】
本発明の補強構造体は、砂等の充填物を充填したジオテキスタイルチューブを、透水性を有する素材からなるシート状物で包んだ構造のものである。
【0021】
シート状物は、必ずしも一枚の布である必要はなく、複数のシート状物を連結させることにより形成されたシート状物であってもよい。シート状物としては、透水性を有する素材であればとくに制限はないが、好ましい例としては、ジオテキスタイル布を挙げることができる。
【0022】
ジオテキスタイル布は、ジオテキスタイルチューブを形成するジオテキスタイルと同様にポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィンやポリエステル製の織布または不織布により構成されているものが好ましい。不織布は熱エンボスされているものやニードルパンチされたものが好ましい。ジオテキスタイル布は、織布または不織布を積層したような積層体であってもよい。このような積層体の例としては、ポリプロピレン製の織布または不織布をニードルパンチなどの手段で交絡された積層体を挙げることができるが、これに限定されるものではない。
【0023】
砂等の充填物を充填したジオテキスタイルチューブを、シート状物で単に包んだだけの構造では、シート状物をジオテキスタイルチューブに均等に巻きつけることは難しく緩みが生じる。波浪による海岸の破壊に対する保護などに使用している間に、ジオテキスタイルチューブとシート状物の間の緩みが原因となってシート状物が破損することがある。本願発明は、このようなジオテキスタイルチューブとシート状物の間の緩みに起因するシート状物の破損を防止することができる補強構造体を提供するものである。
【0024】
本発明の補強構造体では、ジオテキスタイルチューブとシート状物が固定されているので、ジオテキスタイルチューブに充填物を充填するときも充填済みのジオテキスタイルチューブの高さまでシート状物が追随し、その後シート状物を降ろすだけでジオテキスタイルチューブにシート状物を均等に巻きつけることができるので、非常に作業性よく補強構造体を形成させることができる。
【0025】
本発明の補強構造体は、ジオテキスタイルチューブとシート状物を複数の個所で固定することができる手段を有するものである。固定することができる手段は特に限定されるものではなく、ジオテキスタイルチューブの外側面とシート状物のチューブ側面とがずれないよう固定できる手段であればよい。このような固定手段の好ましい例として、ジオテキスタイルチューブに外側面に複数の固定部材を設け、シート状物のジオテキスタイルチューブ側面に該固定部材に相対する位置に設けられた複数の対応固定部材とによって行われる手段を挙げることができる。
【0026】
ジオテキスタイルチューブ外側面の固定部材として、該チューブに縫い付けられたテープ状などの面状物、紐状物またはループ状物などを挙げることができる。しかしこれらに限定されるものではない。面状物である場合、一又は複数の穴あき面状物であればシート状物の対応固定部材と結合し易くなる。そのような面状物に設けられた穴は、ハトメ(グロメットもしくはアイレットとも呼ばれる)などで補強加工されていることが好ましい。またこのような面状物として、市場から入手できる穴あきベルトを用いることもできる。
テープ状などの面状物は、横方向一端部を長手方向に縫い付けて使用することが好ましい。
【0027】
シート状物のジオテキスタイルチューブ側面の対応固定部材としては、ジオテキスタイルチューブ外側面の固定部材に対応して、シート状物に縫い付けられた面状物、紐状物またはループ状物などを挙げることができる。しかしこれらに限定されるものではない。面状物である場合、ジオテキスタイルチューブ外側面の固定部材と同様の面状物を対応する位置に同様にして縫い付けることが好ましい。
【0028】
ジオテキスタイルチューブ外側面の固定部材及びシート状物の対応固定部材としては、作業性及び固定後の固定強度の観点から、穴あき面状物であることが好ましい。
【0029】
ジオテキスタイルチューブ外側面の固定部材及びシート状物の対応固定部材が穴あき面状物である場合、穴あき面状物同士をロープなどの紐状物で固定することができる。ジオテキスタイルチューブとシート状物の固定は、補強構造体の設置現場で行ってもよいが、ジオテキスタイルチューブ外側面の固定部材及びシート状物の対応固定部材の少なくとも一部を予め固定しておいたものを補強構造体の設置現場に持ち込んでもよい。
【0030】
ジオテキスタイルチューブ外側面の固定部材及びシート状物の対応固定部材が紐状物またはループ状物である場合、固定手段としてループ状物同士を結束する方法、紐状物同士を結束する方法、紐状物とループ状物とを結束する方法などを挙げることができる。これら固定手段の中でも、十分な固定強度を得るという観点からは、紐状物同士を結束する方法、および紐状物とループ状物とを結束する方法が好ましい。
【0031】
このような固定手段は、固定のための部材をジオテキスタイルチューブの外側面に複数個設けて、それに対応するシート状物のチューブ側面の位置に固定するための対応部材を設けることが好ましい。
【0032】
本発明のジオテキスタイルチューブの外側面とシート状物のチューブ側面とを固定する手段として、面ファスナーを用いることもできる。面ファスナーとは、面的に着脱できるファスナーのことであって、このような機能を有するものであればその構造には特に制限はない。一般的に、面ファスナーは、フック状またはマッシュルーム状に密集して起毛された側と、ループ状に密集して起毛された側とを押し付けるとそれだけで貼り付く構造のものが知られており、貼り付けたり剥がしたりすることが自在にできる。フック状起毛が矢尻形状起毛にして結合力を増したものも知られている。このような構造の面ファスナーは、異なった起毛の面同士を押し付けることによって結合することができるが、一つの面にフック状またはマッシュルーム状の起毛と、ループ状の起毛とを混在させることによって、押し付ける面を選ばずに結合することができる面ファスナーや、両面がマッシュルーム形状の起毛としてマッシュルーム形状の頭と頭の突き合わせで結合させることによって面を選ばずに結合することができる面ファスナーも知られている。
【0033】
固定手段として面ファスナーを場合には、所望の固定の強度が得られる構造のものを必要な面積で使用する必要がある。
【0034】
本発明の補強構造体は、充填物を充填したジオテキスタイルチューブを長さ方向の端部同士を突き合わせた状態で置き、必要な長さの補強材とすることができる。その際、ジオテキスタイルチューブを包むシート状物の端部を結束等で結合することによって、波浪、及び波浪により運ばれる砂、流木等に対して大きな強度が有する構造体とすることができる。
【0035】
ジオテキスタイルチューブの少なくとも2個を単一のシートを形成するシート状物で包んだ構造体も本発明の実施態様である。このような構造とすることによって、一つの充填ジオテキスタイルチューブよりも長い充填ジオテキスタイルチューブを形成できるとともに、同じ長さを有する単一の充填ジオテキスタイルチューブよりも波浪、及び波浪により運ばれる砂、流木等に対して大きな強度が有する構造体とすることができる。この場合、シート状物は、ジオテキスタイルチューブを包んだ後に長手方向端部で連結させてもよい。単一のシートを形成するシート状物とは、必ずしも一枚のシートである必要はなく、複数のシートをジオテキスタイルチューブの長さ方向端部で連結させることにより形成されたシート状物であってもよい。
【0036】
本発明の充填物を充填したジオテキスタイルチューブを用いた補強構造体を、例えば海岸に敷設する場合、その敷設位置において補強構造体を敷設するための床掘りをし、本発明の補強構造体を設置した後、海岸砂を埋め戻して敷設される。補強構造体は補強効果を高めるために上下方向に複数段設置するのが効果的である。
【0037】
以下に図を用いて本発明をより具体的説明する。
図1は、透水性を有するジオテキスタイルチューブ1であって充填物を充填する前の状態で、折りたたんだ状態で載置されている様子を示している。
図1のジオテキスタイルチューブ1には、充填物を充填するための開口部12が複数設けられている。
図1のジオテキスタイルチューブ1にはまだ充填物はまだ充填されていない。
【0038】
図1のジオテキスタイルチューブ1の外面で、開口部12のそれぞれに比較的近い位置に、固定部材11(固定部材11−1)として穴あき面状物が縫い付けられている。穴あき面状物として穴が金属で補強加工された穴あきベルトが使用されている。
図1のチューブ1の下側の外面であって、固定部材11−1の下にあたる位置にも、固定部材11として穴あきベルト(固定部材11−2)が縫い付けられている。
図1のジオテキスタイルチューブ1の四辺に設けられているループ状物は、補強構造体構築作業用のためのものである。
【0039】
図2は、
図1に示したジオテキスタイルチューブ1を最下部で開いて展開した展開図を示す図である。
図2においては、
図1で見えなかった固定部材11−1を見ることができる。固定部材11−1は、シート状物の対応固定部材と確実に結合することができるように連続した穴あきベルトが縫い付けられている。
図2に見えるループ状物は、前記したように補強構造体構築作業用のためのものである。
【0040】
図3は、
図1に示したジオテキスタイルチューブ1の横方向断面図を表す概略図である。ジオテキスタイルチューブ1の下側と上側に固定部材11−1及び11−2として穴あきベルトが縫い付けられている様子がわかる。
【0041】
図4には、シート状物2の平面視概略図が示されている。
図4のシート状物2は樹脂製織布と不織布を積層した透水性を有するジオテキスタイル布である。織布側がジオテキスタイルチューブ側として、不織布側がジオテキスタイルチューブと反対側として使用される。シート状物2にはジオテキスタイルチューブ1の外側に設けられた固定部材11に対応する位置に設けられた対応固定部材21として穴あき面状物が設けられている。穴あき面状物はジオテキスタイルチューブ1の固定部材11として用いられたのと同じ穴あきベルトが使用されている。
図4のシート状物2では、対応固定部材21として二本の連続した穴あきベルトが縫い付けられている。このような連続した対応固定部材21とすることによって、ジオテキスタイルチューブ1の外面に設けられた固定部材と確実に結合させることができる。
図4のシート状物2の対応固定部材21の一つは、
図1〜3に示したジオテキスタイルチューブ1の固定部材11−1に対応する対応固定部材21−1であり、他の対応固定部材21は、ジオテキスタイルチューブ1の固定部材11−2に対応する対応固定部材21−2である。
【0042】
図4のシート状物2を得るためには、例えば3枚の積層体シートを縫い合わせてシート状物2とすることができる。その際、積層体シートを縫い合わせるときに、その間に穴あきベルトを所定の向きに一緒に縫い合わせると、穴あきベルトを容易にかつ強固に縫い付けることができる。積層体シートを縫い合わせには、
図13の(A)に示すような「平縫い」でもいいし、
図13の(B)のような「拝み縫い」としてもよい。
図13の(A)及び(B)では、シートとともに穴あきベルトがともに縫い合わされている。
【0043】
図4においてシート状物2の横方向の端部に設けられた穴開き部材22は、充填物が充填されたジオテキスタイルチューブを、ジオテキスタイル布2で包んだときにその端部を固定するための結束部材である。また、
図4のシート状物2の長手方向端部にも穴開き部材23(穴開き部材23−1)が設けられているが、これは充填物を充填したジオテキスタイルチューブを長さ方向に端部同士を突き合わせた状態で置くとき隣り合うシート状物と端部同士を結束するための結束部材である。
図4のシート状物2の長手方向端部付近では、端部の内側にも穴開き部材23(穴開き部材23−2)が設けられているが、これも充填物を充填したジオテキスタイルチューブを長さ方向に端部同士を突き合わせた状態で置くとき隣り合うシート状物と端部同士を結束するための結束部材である。そのために端部の内側に設けられた穴開き部材23(穴開き部材23−2)は、一端部ではジオテキスタイルチューブに相対する面(内側となる面)に、他端部ではジオテキスタイルチューブとは反対側となる面(外側となる面)に設けられている。
【0044】
図5は、
図4に示されたシート状物2の横方向断面を示す材略図である。織布24と不織布25を積層したジオテキスタイル布からなるシート状物2のジオテキスタイルチューブ側面に対応固定部材21が21−1及び21−2として設けられている様子がわかる。シート状物2の端部には穴あき部材22が縫い付けられている。
【0045】
図6には、本発明の補強構造体を構築する手順の一例を示す概略図である。
同図の[1]では、対応固定部材が21−1及び21−2として設けられているシート状物2が載置されており、その上に充填物を充填していないジオテキスタイルチューブ1が置かれており、ジオテキスタイルチューブ1には固定部材11−1及び11−2が設けられている。同図の[2]では、ジオテキスタイルチューブ1が、折り曲げられているが、これは固定部材11−1と対応する対応部材21−1とをロープで結束し易くするためである。同図の[3]は、固定部材11−1と対応部材21−1との結束が終了した状態が表わされている。同図の[4]はシート状物の端部をジオテキスタイルチューブの上方方向に折り曲げて、ジオテキスタイルチューブの上方で固定部材11−2と対応する対応部材21−2とをロープで結束した状態が示されている。
図6の[1]〜[4]までの作業は補強構造体構築の現場で行ってもよいし、予め工場で作業して現場に持ち込んでもよい。
【0046】
図6の[5]では、ジオテキスタイルチューブの上方開口部から充填物を充填して開口部を閉じる。[5]にはジオテキスタイルチューブ1に充填物が充填された様子が示されている。ジオテキスタイルチューブに充填物が充填された後、折り曲げていたシート状物でジオテキスタイルチューブを包み込んで、シート状物の端部同士を結束部材22を用いてロープなどで結束して作業を完了する。
【0047】
本発明の補強構造体構築の他の例として、ジオテキスタイルチューブ1の固定部材11及びシート状物2の対応固定部材21として、紐状物またはループ状物を用いた場合の態様を以下に図を用いて説明する。
【0048】
図7には、ジオテキスタイルチューブ1の外側において周回する横断方向に固定部材11が設けられている。
図5に示されているループ状物は、固定部材の代表例としてループ状物を記載したもので、これに限定されるものではない。固定部材11が複数設けられていて、それを所定の間隔で長手方向に繰り返し設けたジオテキスタイルチュープの平面視概略図が示されている。
図7のチューブ1には、充填物を充填するための開口部12が複数設けられている。
図7のジオテキスタイルチューブ1にはまだ充填物はまだ充填されていない。
【0049】
ジオテキスタイルチューブ外側面の固定部材及びシート状物の対応固定部材が紐状物またはループ状物である場合、固定のための部材をジオテキスタイルチューブの外側を周回する横断方向に複数設けたものを、所定の間隔でジオテキスタイルチューブの長手方向に繰り返し設けて、シート状物のチューブ側面の所定の位置に対応固定部材を設ける方法を挙げることができる。このような方法で、ジオテキスタイルチューブの外側面とシート状物のチューブ側面との相対応する位置に固定手段を設けることが容易になる。
【0050】
図8には、シート状物2平面視概略図が示されている。
図8のシート状物2はジオテキスタイル布である。シート状物2にはジオテキスタイルチューブ1の外側に設けられた固定部材11に対応する位置に設けられた対応固定部材21が、ループ状物を代表例として示されている。
図8においてシート状物2の横方向の端部には穴開き部材22が設けられている。また、
図8のシート状物2の長手方向端部には穴開き部材23が設けられている。
【0051】
図9には、充填物を充填したジオテキスタイルチューブがシート状物に包まれた本発明の補強構造体を作製する手順の一例を示す概略図である。同図の[1]の(1)は外側において周回する横断方向にループ状物で示された固定部材11が複数設けられているジオテキスタイルチューブの横断方向断面を示す概略図であり、(2)はジオテキスタイルチューブの外側の固定部材に対応する位置にループ状物で示された対応固定部材12が設けられたシート状物を同様の要領で示した横断方向断面の概略図である。ジオテキスタイルチューブは、シート状物の上に載置される。同図の[2]はジオテキスタイルチューブ1がシート状物の上に載置されている状態を、[1]と同様にチューブ1の横断方向断面で示す概略図である。この段階ではまだジオテキスタイルチューブに充填物は充填されていない。[2]においてジオテキスタイルチューブの下面にある固定部材とそれと相対するシート状物の対応固定部材をまず結束して固定する。結束時には、結束作業をし易くするためにジオテキスタイルチューブの両端部は上方内側に折り曲げられている。
【0052】
続いて、[4]においてジオテキスタイルチューブの一端部の固定部材と、それと相対するジオテキスタイル布の対応固定部材とが結束される。そして、[5]のようにシート状物の端部をジオテキスタイルチューブの上方方向に折り曲げて、ジオテキスタイルチューブの上方で充填物を充填する開口部の手前にある両固定部材を結束する。
【0053】
次に[5]に示すようにジオテキスタイルチューブの上方開口部から充填物を充填して開口部を閉じる。ジオテキスタイルチューブの上方方向に折り曲げていたシート状物の残りの対応固定部材を、[6]のように相対するジオテキスタイルチューブの固定部材と結束によって固定してジオテキスタイルチューブをシート状物で包む作業を終了する。そして、[7]に示されているようにジオテキスタイルチューブを包み終えたシート状物の端部は、予め結合させておいた結束部材22を用いてロープなどで結束してこの作業を完了する。
【0054】
図10は、本発明の補強構造体が、充填物を充填したジオテキスタイルチューブを長さ方向の端部同士を突き合わせた状態で置かれた状態を示す概略図である。ジオテキスタイルチューブを包むシート状物2の端部は、予め設けられた結束部材23を用いてロープなどで結束して結合されている。こうすることによって、必要な長さの補強材とすることができるし、波浪、及び波浪により運ばれる砂、流木等に対して大きな強度が有する構造体とすることができる。
【0055】
図11は、
図4に示したシート状物2を用いて得られた補強構造体が、充填物を充填したジオテキスタイルチューブを長さ方向の端部同士を突き合わせた状態で置かれた状態を示す概略図である。
図11の(a)ではジオテキスタイルチューブに充填物を充填した本願発明の補強構造体が敷設されている。(b)では、(a)の補強構造体においてジオテキスタイルチューブより長く設定されたシート状物の部分に、充填物が充填されていないジオテキスタイルチューブ及びシート状物が、ズレ防止の目的で底部にある固定部材と対応固定部材の一部をロープで結束した状態で載置されている。充填物が充填されていないジオテキスタイルチューブに充填物が充填すると、シート状物の長手方向端部の固定部材23−1と23−2がロープ結束できる位置にくるので、それぞれ周長方向にロープ結束すると、(C)に示すように、ジオテキスタイルチューブを突き合わせた状態で置かれ、ロープなどで結束して強固に結合された補強構造体が構築される。
【0056】
本発明の補強構造体を上下に複数段設置することができる。複数段設置することによって補強効果を高めることができる。上下2段に設置されている補強構造体は、断面図として長手方向に見た場合には、
図12に示されるような位置関係で設置されているのが好ましい。
【0057】
図10に示されているような上下2段に設置されている補強構造体の設置方法は、例えば以下のような方法で設置することができる。まず海岸に本発明の補強構造体を敷設する場所を定め、その敷設位置において補強構造体を敷設するための床掘りをし、床堀りした海岸4側に防水シートを被せ、ジオテキスタイルチューブの下側に透水シートを敷くこともできる。このような遮水シート及び透水シートを用いると、砂を充填する際に脱水されて出てくる水によって床堀りした海岸4が崩れるのを防ぐ効果が得られる。補強構造体を敷設した後、砂3が裏込め埋め戻しされる。その際、防水シートを使用していたときは、防水シートは取り除かれる。以上で第1段の補強構造体が形成された。
続いて第1段の補強構造体と同様の手法で、第2段の補強構造体が形成される。
図10には第2段の補強構造体が形成され裏込め埋め戻しされた後の様子が示されている。
【0058】
なお、砂等の充填物を充填したジオテキスタイルチューブを長さ方向の端部同士を突き合わせた状態で置くとき、突き合わせ部のおいて隙間ができる。ジオテキスタイルチューブの突き合わせ部にできた隙間は解消されないので、その部分に海水等が進入し埋め戻した砂が吸い出される結果、埋め戻した砂が喪失して浸食防止体が不安定となってしまうおそれがあるので、ジオテキスタイルチューブの突き合わせ部にできた隙間に隙間補填材を充填する態様は本発明の補強構造体の好ましい態様である。隙間補填材としては、土、砂、礫質材料、砕石などの充填材を補填材としてもいいし、これら充填材を小型のジオテキスタイルチューブもしくは土嚢など袋状物に充填したものを補填材としてもよい。
【0059】
前記ジオテキスタイル布の端部同士を結合させる方法、及び複数のジオテキスタイル布を連結させる方法にも特に制限はなく、前記したようにロープ等の紐状物を用いてもいいし、ジオテキスタイル布を縫い合わせてもよいし、前記したような面ファスナーを用いて結合させてもよい。
【0060】
本発明の補強構造体の製造方法は、前記した方法で補強構造体を得る方法であって、下記のように記載することができる。
外側面に複数の固定部材が設けられた透水性を有する素材からなるジオテキスタイルチューブと、ジオテキスタイルチューブ側面に該固定部材に相対する位置に複数の対応固定部材が設けられた透水性を有する素材からなるシート状物とを、該シート状物を所定の位置に上に載置しその上にジオテキスタイルチューブを置いて前記固定部材と対応固定部材の少なくとも一部を固定するか、もしくは該ジオテキスタイルチューブと該シート状物とを、前記固定部材と対応固定部材の少なくとも一部を予め固定しておいたものを所定の位置に載置する工程、ジオテキスタイルチューブに充填物を充填する工程、残りの固定部材と対応固定部材があればそれを固定して充填物を充填したジオテキスタイルチューブを該シート状物で包む工程、及び該シート状物の該チューブ横方向端部を結合する工程を含む補強構造体の製造方法。
【0061】
本発明によって提供されるジオテキスタイルチューブを用いた補強構造体では、波浪等の外力による作用によって補強構造体に損傷を与えるほどの力が生じた場合、ジオテキスタイルチューブとシート状物の間の固定部材が先に破断するのでその外力による作用を緩和することができるので、補強構造体を構成するジオテキスタイルチューブ及びシート状物の損傷を免れることができ、補強構造体自体の効果は維持され、固定部材はその後に補修することが可能である。
【0062】
本発明の補強構造体は、透水性を有する素材からなるシート状物に包まれているので、シート状物の表面に砂などの海浜材料が混入するが、当該シート状物が透水性を有しているので、ジオテキスタイルチューブの中の水分がシート状物に付着した砂にも行き渡る結果、混入した砂などの海浜材料が、現場に存在する海浜材料と同じように乾燥と湿潤を繰り返すことになるため、周りの景観と一体化するという効果を発揮する。湿潤状態の砂などの海浜材料はシート状物への付着性が良いので、周りの景観と一体化するという効果が持続することになる。