特許第6207068号(P6207068)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6207068
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】介護用皮膚洗浄剤組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/46 20060101AFI20170925BHJP
   A61K 8/39 20060101ALI20170925BHJP
   A61K 8/86 20060101ALI20170925BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20170925BHJP
   C11D 1/29 20060101ALI20170925BHJP
   C11D 1/06 20060101ALI20170925BHJP
【FI】
   A61K8/46
   A61K8/39
   A61K8/86
   A61Q19/10
   C11D1/29
   C11D1/06
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-217568(P2013-217568)
(22)【出願日】2013年10月18日
(65)【公開番号】特開2015-78165(P2015-78165A)
(43)【公開日】2015年4月23日
【審査請求日】2016年9月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095832
【弁理士】
【氏名又は名称】細田 芳徳
(72)【発明者】
【氏名】松本 千賀子
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 史子
【審査官】 松村 真里
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/004571(WO,A1)
【文献】 国際公開第2009/110223(WO,A1)
【文献】 国際公開第2010/113446(WO,A1)
【文献】 特開2002−087942(JP,A)
【文献】 特開2010−163377(JP,A)
【文献】 特開昭62−190298(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00−8/99
A61Q 1/00−90/00
C11D 1/00−1/94
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の(a)成分、(b)成分:
(a)成分:下記一般式(1)で表される硫酸塩型アニオン界面活性剤
1−O−(CH2CH2O)n1−SO3M (1)
(一般式(1)中、R1はアルキル基またはアルケニル基であり、R1の炭素数は10以上、16以下である。n1は(CH2CH2O)の平均付加モル数であり、1.5以上、3.5以下の数である。MはH、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、アルカノールアンモニウム、又は塩基性アミノ酸残基である。)
(b)成分:下記一般式(2)で表されるエーテルカルボン酸塩型アニオン界面活性剤
2−Z−(CH2CH2O)n2−Y−COOX (2)
(一般式(2)中、R2はアルキル基又はアルケニル基であり、R2の炭素数は10以上、16以下である。Zは−O−又は−CONH−である。n2は(CH2CH2O)の平均付加モル数であり、8以上、13以下の数である。Yは炭素数1以上、3以下のアルキレン基である。XはH、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、アルカノールアンモニウム、又は塩基性アミノ酸残基である。)
及び水を含有し、
(a)成分の含有量と(b)成分の含有量の合計が質量%以上、7質量%以下であり、(a)成分の含有量と(b)成分の含有量の質量比〔(b)/(a)〕が1/2以上、3/2以下であり、多価アルコールの含有量が10質量%以下である、介護用皮膚洗浄剤組成物。
【請求項2】
(a)成分の含有量が1質量%以上、5質量%以下であり、(b)成分の含有量が0.5質量%以上、3.5質量%以下である請求項1記載の介護用皮膚洗浄剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高齢者の乾燥しやすい脆弱な皮膚を洗浄するために用いられる介護用皮膚洗浄剤組成物に関する。更に詳しくは、本発明は、低皮膚刺激性、洗浄性及び低温安定性に優れた介護用皮膚洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
高齢者の肌は乾燥しやすく、バリアー機能が低下しており、様々な刺激を感じやすい脆弱な肌であるため、できるだけ刺激を与えないことが必要とされる。そのため介護施設等の入浴時や陰部洗浄時等に用いられる皮膚洗浄剤組成物は、一般の健常な壮年者と異なり、肌への負担をできるだけ抑え優しく洗うことができるものが求められる。
【0003】
一般に低刺激性の洗浄剤にするためには界面活性剤の濃度を低減させる方法が考えられる。しかし、界面活性剤の濃度を低減させると洗浄力不足や、低温時の安定性に問題を生じる場合がある。
【0004】
特許文献1では、特定の硫酸型アニオン界面活性剤と特定のエーテルカルボン酸型界面活性剤を併用することで、優れた泡立ちを有し、角層膨潤を抑えることで頭皮への刺激を低減した水性毛髪洗浄剤が示されている。
【0005】
特許文献2では、特定の硫酸型アニオン界面活性剤と特定の高級脂肪酸塩またはエーテルカルボン酸型界面活性剤を併用し、活性剤総量が特定範囲であり、更に特定のIOB値を有する2種類の多価アルコールを特定の比率で組み合わせ、フォーマー容器に充填した洗浄剤が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−235523号公報
【特許文献2】特開2011−12034号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
高齢者の脆弱な肌は油汚れを有する頭皮とは異なるため、特許文献1で開示された毛髪洗浄剤組成物は、高齢者にとっては界面活性剤による刺激が強すぎる懸念がある。
【0008】
特許文献2で開示された洗浄剤は、硫酸型アニオン界面活性剤と併用する活性剤として、主に高級脂肪酸塩が示されている。そのため、高齢者の脆弱な肌には刺激性が高いという点に課題がある。また、実施例に示された、EO付加モル数が5のエーテルカルボン酸型界面活性剤との併用では、低温時の安定性に課題がある。
【0009】
本発明の解決しようとする課題は、高齢者の脆弱な肌への皮膚刺激が低く、油汚れの少ない高齢者の肌に対して優れた洗浄性とすすぎ性を有し、低温安定性に優れた、おしり周りの洗浄に好適な、介護用皮膚洗浄剤組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは高齢者皮膚洗浄剤組成物に関する種々の要素について検討した結果、高齢者の脆弱な肌を考慮して活性剤量を低減した皮膚への刺激が低い洗浄剤であり、それでもなお、十分な洗浄性を有し、すすぎ性に優れ、かつ低温安定性に優れた介護用皮膚洗浄剤組成物を見出し、本発明に至った。
【0011】
即ち、本発明の要旨は、
次の(a)成分、(b)成分:
(a)成分:下記一般式(1)で表される硫酸塩型アニオン界面活性剤
1−O−(CH2CH2O)n1−SO3M (1)
(一般式(1)中、R1はアルキル基またはアルケニル基であり、R1の炭素数は10以上、16以下である。n1は(CH2CH2O)の平均付加モル数であり、1.5以上、3.5以下の数である。MはH、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、アルカノールアンモニウム、又は塩基性アミノ酸残基である。)
(b)成分:下記一般式(2)で表されるエーテルカルボン酸塩型アニオン界面活性剤
2−Z−(CH2CH2O)n2−Y−COOX (2)
(一般式(2)中、R2はアルキル基又はアルケニル基であり、R2の炭素数は10以上、16以下である。Zは−O−又は−CONH−である。n2は(CH2CH2O)の平均付加モル数であり、8以上、13以下の数である。Yは炭素数1以上、3以下のアルキレン基である。XはH、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、アルカノールアンモニウム、又は塩基性アミノ酸残基である。)
及び水を含有し、
(a)成分の含有量と(b)成分の含有量の合計が1質量%以上、7質量%以下である、介護用皮膚洗浄剤組成物、に関するものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、高齢者の脆弱な肌への皮膚刺激が低く、油汚れの少ない高齢者の肌に対して優れた洗浄性とすすぎ性を有し、低温安定性に優れた、おしり周りの洗浄に好適な、介護用皮膚洗浄剤組成物が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の介護用皮膚洗浄剤組成物は、下記の(a)成分、(b)成分及び水を含有し、(a)成分の含有量と(b)成分の含有量の合計が1質量%以上、7質量%以下というものである。本発明において介護用とは、要介護度認定を受け、高齢者介護施設や在宅で介護を必要とする高齢者に使用されることを想定したものを言う。
【0014】
<(a)成分>
本発明で用いる(a)成分は下記一般式(1)で表される硫酸塩型アニオン界面活性剤である。
【0015】
1−O−(CH2CH2O)n1−SO3M (1)
一般式(1)中、R1はアルキル基またはアルケニル基であり、R1の炭素数は10以上、16以下である。n1は(CH2CH2O)の平均付加モル数であり、1.5以上、3.5以下の数である。MはH、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、アルカノールアンモニウム、又は塩基性アミノ酸残基である。
【0016】
上記一般式(1)中、R1の炭素数は、洗浄時の起泡性の観点から、10以上であり、好ましくは12以上であり、そして、16以下であり、好ましくは14以下である。n1は、皮膚刺激性の観点から、1.5以上であり、好ましくは1.8以上、より好ましくは2.5以上、より好ましくは2.8以上であり、そして、洗浄性及びすすぎ性の観点から、3.5以下であり、好ましくは3.2以下、より好ましくは2.5以下、より好ましくは2.2以下である。また、n1は、皮膚刺激性の観点から、好ましくは2.5〜3.5、より好ましくは2.8〜3.2であり、洗浄性及びすすぎ性の観点から、好ましくは1.5〜2.5、より好ましくは1.8〜2.2である。
Mは、汎用性及び入手性の観点から、好ましくは、アルカリ金属、アンモニウムであり、より好ましくはアルカリ金属であり、さらに好ましくはナトリウムである。
【0017】
これらの中で、さらに好ましくは、皮膚刺激性、洗浄性、すすぎ性及び低温安定性の観点から、上記一般式(1)中、R1が炭素数10以上、より好ましくは12以上、16以下、より好ましくは14以下のアルキル基であり、n1が2以上、3以下、より好ましくは2であり、かつMがナトリウムであるポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウムである。
(a)成分は、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0018】
本発明の組成物における(a)成分の含有量は、洗浄性の観点から、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、より好ましくは2.5質量%以上、より好ましくは2.8質量%以上であり、そして、皮膚刺激性及びすすぎ性の観点から、好ましくは5質量%以下、より好ましくは4.2質量%以下、より好ましくは3.5質量%以下、より好ましくは3.2質量%以下である。
【0019】
<(b)成分>
本発明で用いる(b)成分は下記一般式(2)で表されるエーテルカルボン酸塩型アニオン界面活性剤である。
【0020】
2−Z−(CH2CH2O)n2−Y−COOX (2)
一般式(2)中、R2はアルキル基又はアルケニル基であり、R2の炭素数は10以上、16以下である。Zは−O−又は−CONH−である。n2は(CH2CH2O)の平均付加モル数であり、8以上、13以下の数である。Yは炭素数1以上、3以下のアルキレン基である。XはH、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、アルカノールアンモニウム、又は塩基性アミノ酸残基である。
【0021】
上記一般式(2)中、R2の炭素数は、洗浄時の起泡性の観点から、10以上であり、好ましくは12以上であり、そして、16以下であり、好ましくは14以下である。n2は、低温安定性及び皮膚刺激性の観点から、8以上であり、好ましくは9以上、より好ましくは9.5以上であり、そして、洗浄性及びすすぎ性の観点から、13以下であり、好ましくは12以下、より好ましくは11以下であり、より好ましくは10.5以下である。Yは、汎用性及び入手性の観点からメチレン基及びエチレン基が好ましく、メチレン基がより好ましい。Xは、汎用性及び入手性の観点から、好ましくはアルカリ金属、アンモニウムであり、より好ましくはアルカリ金属であり、更に好ましくはナトリウムである。
【0022】
上記一般式(2)中、汎用性及び入手性の観点から、Zは好ましくは−O−である。
【0023】
これらの中で、さらに好ましくは、皮膚刺激性、洗浄性、すすぎ性及び低温安定性の観点から、上記一般式(2)中、R2が炭素数12以上、14以下のアルキル基であり、n2が好ましくは9以上、より好ましくは9.5以上であり、そして、好ましくは11以下、より好ましくは10.5以下、XがNaであり、Yが−CH2−であり、かつZが−O−であるポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸ナトリウムである。
(b)成分は、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0024】
本発明の組成物における(b)成分の含有量は、洗浄性及び低温安定性の観点から、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上、より好ましくは1.5質量%以上であり、そして、すすぎ性の観点から、好ましくは3.5質量%以下、より好ましくは3.2質量%以下、より好ましくは2.5質量%以下、より好ましくは2.2質量%以下である。
【0025】
また、(a)成分の含有量と(b)成分の含有量の合計は、洗浄性と低温安定性の観点から、組成物中、1質量%以上であり、好ましくは2質量%以上、より好ましくは3質量%以上、より好ましくは4質量%以上、より好ましくは4.5質量%以上であり、そして、皮膚刺激性とすすぎ性の観点から、7質量%以下であり、好ましくは6質量%以下、より好ましくは5.5質量%以下である。
【0026】
更に、(a)成分の含有量と(b)成分の含有量の質量比〔(b)/(a)〕は、皮膚刺激性、洗浄性及びすすぎ性の観点から、好ましくは1/4以上、より好ましくは2/5以上、より好ましくは1/2以上であり、そして、洗浄性、すすぎ性の観点から、好ましくは3/2以下、より好ましくは5/4以下、より好ましくは4/5以下である。
【0027】
また、(a)成分の含有量と(b)成分の含有量の質量比〔(b)/(a)〕は、好ましくは1/4〜3/2、より好ましくは2/5〜3/2、より好ましくは2/5〜5/4、より好ましくは2/5〜4/5である。
【0028】
<水>
本発明の介護用皮膚洗浄剤組成物は水を含有する。水の含有量は、粘度の観点から、組成物中、好ましくは80質量%以上、より好ましくは85質量%以上、より好ましくは87質量%以上である。
【0029】
<その他の成分>
本発明の介護用皮膚洗浄剤組成物は、高齢者の乾燥しやすい皮膚を保湿するための保湿剤を含有することが好ましい。保湿剤としては通常の皮膚洗浄剤組成物に用いられる成分である多価アルコール類(例えばグリセリン等)、植物エキス、天然セラミド、セラミド類似化合物が挙げられる。保湿剤としては、このような成分の一種を単独で使用してもよく、二種以上を併用してもよい。中でも、保湿性の観点から、グリセリン、セラミド類似化合物が好ましい。グリセリンの含有量は、洗浄後の肌感触と保湿性の観点から、組成物中、好ましくは1質量%以上、5質量%以下である。セラミド類似化合物の含有量は、水溶性の観点から、組成物中、好ましくは0.0001質量%以上、より好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.005質量%以上であり、そして、好ましくは0.05質量%以下、より好ましくは0.02質量%以下である。
グリセリンとセラミド類似化合物は、保湿性の観点から、併用することが好ましい。
【0030】
本発明の介護用皮膚洗浄剤組成物中、多価アルコールの含有量は、洗浄後の肌感触の観点から、好ましくは10質量%以下、より好ましくは7質量%以下、より好ましくは5質量%以下であり、そして、好ましくは1質量%以上である。
【0031】
本発明の組成物がセラミド類似化合物を含有する場合は、低温時の保存安定性の観点から、可溶化剤としてプロピレングリコール又はジプロピレングリコールをさらに含有することが好ましく、ジプロピレングリコールを含有することがより好ましい。プロピレングリコール又はジプロピレングリコールの含有量は、組成物中、同様の観点から、好ましくは2質量%以上、より好ましくは3質量%以上であり、そして、好ましくは8重量%以下、より好ましくは7重量%以下である。
【0032】
さらに本発明の介護用皮膚洗浄剤組成物は、通常の皮膚洗浄剤組成物に用いられる成分、例えば、防腐剤、キレート剤、香料、抗炎症剤、酸化防止剤、粘度調整剤等を本発明の効果を損なわない範囲で含有してもよい。
【0033】
<介護用皮膚洗浄剤組成物>
本発明の介護用皮膚洗浄剤組成物の25℃におけるpHは、肌への刺激の観点から、好ましくは4.8以上であり、そして、好ましくは5.2以下である。このようなpHに調整するためには、汎用性の観点から、クエン酸、リンゴ酸、乳酸などの有機酸を用いることが好ましく、クエン酸を用いることがより好ましい。
【0034】
本発明の介護用皮膚洗浄剤組成物は室温(例えば25℃)で液状であり、BM型粘度計を用いて測定した30℃における粘度(ローターNO.M1、回転数 60r/min、攪拌開始後から1分後)は10mPa・s以下が好ましい。
【0035】
本発明の介護用皮膚洗浄剤組成物は、良好な洗浄性と皮膚への刺激が低く、低温時の保存安定性に優れるため、高齢者施設入浴時の皮膚洗浄剤及び陰部洗浄剤として最適である。
【0036】
本発明の介護用皮膚洗浄剤組成物は、ポンプ容器、フォーマー容器等、通常用いられるディスペンサーに充填して使用することができる。介護現場における作業効率上、片手で押して泡で出るハンディタイプのフォーマー容器に充填するのが好ましい。
【0037】
本発明の介護用皮膚洗浄剤組成物は、通常の方法により、配合成分を混合することにより製造される。
【実施例】
【0038】
以下に、本発明を実施例等に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
【0039】
実施例1−1〜実施例1−7、比較例1−1〜比較例1−4
表1に示す組成の介護用皮膚洗浄剤組成物を下記の方法で調製し、下記の方法で(1)皮膚刺激性、(2)洗浄性、(3)すすぎ性、(4)5℃保存安定性を評価した。なお、何れの組成物も25℃におけるpHは5であった。また、何れの組成物も30℃における粘度は10mPa・s以下であった。但し、実施例1−4及び1−5は参考例である。
【0040】
介護用皮膚洗浄剤組成物の調製方法:
表1に示す割合で、合計量が100gとなるように、水、ES及びECをビーカーに量りとり、70℃まで昇温し、均一に溶解させた。次いで25℃まで冷却し、クエン酸にてpH調整を行った後、フォーマー容器に充填した。
【0041】
(1)皮膚刺激性
株式会社ジャパン・ディッシュ・エンジニアリング社のヒト3次元培養表皮LabCyte EPI-MODEL24をモデル皮膚として用い、2010年10月付のメーカー作成の取り扱い説明書に準じて試験を行った。介護用皮膚洗浄剤組成物50μLを適用し、暴露時間10分後の生細胞率(%)を求めた。試験は3回行って平均値を求めた。なお、数値が大きいほど、皮膚刺激性が弱く、優れると言える。
【0042】
(2)洗浄性
介護用皮膚洗浄剤組成物について、洗浄性を以下の方法で評価した。
イソステアリン酸コレステリルに0.1重量%でスダンIII(着色剤)を溶解した人工汚れ0.03mLを、各パネラーの前腕内側部に直径3cmに均一に塗り広げ、ティッシュペーパーで軽く押さえた。
【0043】
10名の専門パネラーがフォーマー容器を用いて組成物の1pushを手にとり、前記人工汚れをつけた前腕内側部に対して、通常の手洗いと水によるすすぎを行った。すすぎ後の色落ちから洗浄性の官能評価を以下の基準で行った。
【0044】
5:洗浄性が良いと感じた。
4:洗浄性がやや良いと感じた。
3:洗浄性が普通と感じた。
2:洗浄性があまり良くないと感じた。
1:洗浄性が良くないと感じた。
【0045】
そして、パネラー10名の平均値に基づき洗浄性を評価した。数値が大きいほど、洗浄性に優れると言える。
【0046】
(3)すすぎ性
介護用皮膚洗浄剤組成物について、10名の専門パネラーが、(2)洗浄評価の後、すすぎ直後の肌の感触により、すすぎ性の官能評価を以下の基準で行った。
【0047】
5:すすぎ性が良いと感じた。
4:すすぎ性がやや良いと感じた。
3:すすぎ性が普通と感じた。
2:すすぎ性があまり良くないと感じた。
1:すすぎ性が良くないと感じた。
【0048】
そして、パネラー10名の平均値に基づきすすぎ性を評価した。数値が大きいほど、すすぎ性に優れると言える。
【0049】
(4)5℃保存安定性
介護用皮膚洗浄剤組成物を無色透明のガラス容器(容量100mL)に入れ、5℃で3ヶ月保存し、製造直後と比較した時の外観を、以下の基準で評価とした。
【0050】
○:結晶析出を認めず、固化していない。
△:結晶析出は認めないが、全体に白濁している。
×:結晶析出及び/又は固化を認める。
【0051】
【表1】
【0052】
表1から、実施例1−1〜1−7の組成物は全ての評価項目について良好であることが分かった。ただし、実施例1−4では、洗浄性と5℃保存安定性が低下する傾向が見られ、実施例1−5では、皮膚刺激性が強くなる傾向が見られた。
比較例1−1では(a)成分に該当しないES−1を使用したので、皮膚刺激性が強すぎる結果となり、比較例1−2では(b)成分に該当しないEC−1を使用したので、5℃での保存安定性に劣る結果となった。(a)成分と(b)成分の含有量の合計が所定の範囲に満たない比較例1−3では、洗浄性及び5℃での保存安定性に劣る結果となり、該含有量の合計が所定の範囲を超過した比較例1−4では、皮膚刺激性が強すぎ、かつすすぎ性に劣る結果となった。
【0053】
表中の各成分の詳細は次の通りである。
・ES−1:式(1)のR1がC1225、n1が1、MがNaである、ポリオキシエチレン(1)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム。
・ES−2:式(1)のR1がC1225、n1が2、MがNaである、ポリオキシエチレン(2)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム。
・ES−3:式(1)のR1がC1225、n1が3、MがNaである、ポリオキシエチレン(3)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム。
・EC−1:式(2)のR2がC1225、n2が4.6、XがNa、Yが−CH2−、Zが−O−であるポリオキシエチレン(4.6)ラウリルエーテル酢酸ナトリウム。
・EC−2:式(2)のR2がC1225、n2が10、XがNa、Yが−CH2−、Zが−O−であるポリオキシエチレン(10)ラウリルエーテル酢酸ナトリウム。
・EC−3:式(2)のR2がC1225、n2が12、XがNa、Yが−CH2−、Zが−O−であるポリオキシエチレン(12)ラウリルエーテル酢酸ナトリウム。
なお、以上の化合物は、いずれも、通常の方法にて合成されたものを用いた。
【0054】
実施例2〔おしり周り洗浄剤〕
本発明の介護用皮膚洗浄剤組成物をおしり周り洗浄剤に適用した処方を以下に示す(〔〕内の数値は質量%である。)。
ES−2〔3.0〕
EC−2〔2.0〕
ジプロピレングリコール〔4.0〕
グリセリン〔3.0〕
防腐剤 安息香酸ナトリウム 適量
pH調整剤 クエン酸 pHを5.0に調整
セラミド類似化合物〔0.01〕
イオン交換水 バランス
合計〔100〕
【0055】
実施例2のおしり周り洗浄剤は洗浄性、すすぎ性に優れ、皮膚への刺激も低く、低温時の保存安定性に優れていた。
【0056】
尚、実施例2のES−2とEC−2は、それぞれ、実施例1のES−2とEC−2である。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明の介護用皮膚洗浄剤組成物は、高齢者の皮膚を洗浄するための組成物として好適に利用することができる。