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特許6207076アニオン電着塗料組成物及び塗膜形成方法
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  • 特許6207076-アニオン電着塗料組成物及び塗膜形成方法 図000010
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6207076
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】アニオン電着塗料組成物及び塗膜形成方法
(51)【国際特許分類】
   C09D 201/06 20060101AFI20170925BHJP
   C09D 5/44 20060101ALI20170925BHJP
   C09D 201/08 20060101ALI20170925BHJP
   C09D 133/24 20060101ALI20170925BHJP
   C09D 161/28 20060101ALI20170925BHJP
   C09D 175/04 20060101ALI20170925BHJP
   C09D 171/02 20060101ALI20170925BHJP
   C09D 7/12 20060101ALI20170925BHJP
   B05D 1/36 20060101ALI20170925BHJP
   B05D 7/14 20060101ALI20170925BHJP
   C25D 13/00 20060101ALI20170925BHJP
   C25D 13/06 20060101ALI20170925BHJP
【FI】
   C09D201/06
   C09D5/44 B
   C09D201/08
   C09D133/24
   C09D161/28
   C09D175/04
   C09D171/02
   C09D7/12
   B05D1/36 A
   B05D7/14 101Z
   C25D13/00 N
   C25D13/06 B
【請求項の数】7
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2014-15563(P2014-15563)
(22)【出願日】2014年1月30日
(65)【公開番号】特開2015-140419(P2015-140419A)
(43)【公開日】2015年8月3日
【審査請求日】2016年8月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001409
【氏名又は名称】関西ペイント株式会社
(72)【発明者】
【氏名】山口 高史
(72)【発明者】
【氏名】溝口 佳孝
(72)【発明者】
【氏名】小林 昌浩
【審査官】 菅野 芳男
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−009059(JP,A)
【文献】 特開2008−001788(JP,A)
【文献】 特開2010−138373(JP,A)
【文献】 特開2013−053304(JP,A)
【文献】 特開2010−241926(JP,A)
【文献】 特開2002−126404(JP,A)
【文献】 特開昭52−121640(JP,A)
【文献】 特開昭49−94728(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 201/06
B05D 1/36
B05D 7/14
C09D 5/44
C09D 7/12
C09D 133/24
C09D 161/28
C09D 171/02
C09D 175/04
C09D 201/08
C25D 13/00
C25D 13/06
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水酸基及びカルボキシル基を含有する樹脂(A)、架橋剤(B)及び下記一般式(1)で表されるポリエーテルポリオール(C)を含有するアニオン電着塗料組成物であって、水酸基及びカルボキシル基を含有する樹脂(A)と架橋剤(B)との固形分合計100質量部に対して、該ポリエーテルポリオール(C)を固形分で0.1〜10質量部含有することを特徴とするアニオン電着塗料組成物。
【化1】
式(1)
(式(1)において、l、m及びnは、それぞれ独立して1以上の整数で、かつl+m+n=3〜15、並びに(OAl、(OA、及び(OAの各Aは、それぞれ同一又は相異なってもよいエチレン基及び/又はプロピレン基を表す)
【請求項2】
水酸基及びカルボキシル基を含有する樹脂(A)が、構成するラジカル重合性不飽和単量体の総量を基準として、下記の式(2)で表されるラジカル重合性不飽和単量体を3〜15質量%含有する樹脂である請求項1に記載のアニオン電着塗料組成物。
【化2】
式(2)
(式(2)中、Rは、水素原子又は炭素原子数1〜6のアルキル基を表し、Rは、水素原子又はメチル基を表す)
【請求項3】
架橋剤(B)が、メラミン樹脂及び/又はブロック化イソシアネート化合物である請求項1又は2に記載のアニオン電着塗料組成物。
【請求項4】
水酸基及びカルボキシル基を含有する樹脂(A)と架橋剤(B)との固形分合計100質量部に対して、エポキシリン酸エステル化合物(E)を固形分で0.05〜10.0質量部含有する請求項1〜3のいずれか一項に記載のアニオン電着塗料組成物。
【請求項5】
陽極酸化処理したアルミニウム基材に、請求項1〜4のいずれか一項に記載のアニオン電着塗料を電着塗装し、焼付け硬化して乾燥膜厚3〜9μmのアニオン電着塗膜を形成する塗膜形成方法。
【請求項6】
陽極酸化処理したアルミニウム基材に、請求項1〜4のいずれか一項に記載のアニオン電着塗料を電着塗装してアニオン電着塗膜を形成し、該アニオン電着塗膜上に上塗り塗料を塗装し、加熱乾燥して複層塗膜を形成する塗膜形成方法。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の塗膜形成方法によって得られた塗装物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗料安定性が良好で、かつ均一膜厚性、耐衝撃性、耐候性及び上塗り塗膜の付着性に優れた塗膜を形成できるアニオン電着塗料組成物及び塗膜形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、陽極酸化処理(アルマイト処理)したアルミニウム材は、軽量で強度や耐蝕性等に優れることから、成型加工した後、アクリル樹脂/メラミン硬化型のアニオン電着塗料を電着塗装して塗膜を施し、必要に応じて上塗り塗膜が施されて、アルミサッシ等用に使用されている。
【0003】
上記アルミサッシ等には、耐候性のみならず、アルミサッシ同士の接触による塗膜剥がれ、レール作動による塗膜剥がれなどの問題が生じることがあり、付着性、特に上塗り塗膜の付着性が求められていた。
【0004】
またアルミニウム材は、多数同時にアニオン電着塗装される為、アルミニウム部材間で膜厚が不均一であったり、アルミニウム材における特定部位の膜厚が不必要に厚くなることがあった(所謂、均一膜厚性が不十分である)。
【0005】
例えば、特許文献1には、耐候性や上塗り塗膜の付着性の向上を目的として、水酸基及びカルボキシル基を含有する樹脂(A)、ブロック化ポリイソシアネート化合物(B)及びポリプロピレングリコールを含有するアニオン電着塗料が開示されている。しかしながら、上記アニオン電着塗料では、均一膜厚性、上塗り塗膜の付着性において満足する塗装物品は得られなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−9059号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
発明が解決しようとする課題は、塗料安定性が良好で、かつ均一膜厚性、耐衝撃性、耐候性及び上塗り塗膜の付着性に優れた塗装物品を提供できるアニオン電着塗料組成物を見出すことである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者等は、水酸基及びカルボキシル基を含有する樹脂(A)、架橋剤(B)及び特定のポリエーテルポリオール(C)を含有するアニオン電着塗料組成物によって、上記課題を解決できることを見出し、発明を完成するに至った。
【0009】
即ち、本発明は、以下の態様に関する。
「1.水酸基及びカルボキシル基を含有する樹脂(A)、架橋剤(B)及び下記一般式(1)で表されるポリエーテルポリオール(C)を含有するアニオン電着塗料組成物であって、水酸基及びカルボキシル基を含有する樹脂(A)と架橋剤(B)との固形分合計100質量部に対して、該ポリエーテルポリオール(C)を固形分で0.1〜10質量部含有することを特徴とするアニオン電着塗料組成物、
【0010】
【化1】
【0011】
式(1)
(式(1)において、l、m及びnは、それぞれ独立して1以上の整数で、かつl+m+n=3〜15、並びに(OAl、(OA、及び(OAの各Aは、それぞれ同一又は相異なってもよいエチレン基及び/又はプロピレン基を表す)
2.水酸基及びカルボキシル基を含有する樹脂(A)が、構成するラジカル重合性不飽和単量体の総量を基準として、下記の式(2)で表されるラジカル重合性不飽和単量体を3〜15質量%含有する樹脂である1項に記載のアニオン電着塗料組成物、
【0012】
【化2】
【0013】
式(2)
(式(2)中、Rは、水素原子又は炭素原子数1〜6のアルキル基を表し、Rは、水素原子又はメチル基を表す)
3.架橋剤(B)が、メラミン樹脂及び/又はブロック化イソシアネート化合物である1項又は2項に記載のアニオン電着塗料組成物、
4.水酸基及びカルボキシル基を含有する樹脂(A)と架橋剤(B)との固形分合計100質量部に対して、エポキシリン酸エステル化合物(E)を固形分で0.05〜10.0質量部含有する1〜3項のいずれか一項に記載のアニオン電着塗料組成物、
5.陽極酸化処理したアルミニウム基材に、1〜4項のいずれか一項に記載のアニオン電着塗料を電着塗装し、焼付け硬化して乾燥膜厚3〜9μmのアニオン電着塗膜を形成する塗膜形成方法、
6.陽極酸化処理したアルミニウム基材に、1〜4項のいずれか一項に記載のアニオン電着塗料を電着塗装してアニオン電着塗膜を形成し、該アニオン電着塗膜上に上塗り塗料を塗装し、加熱乾燥して複層塗膜を形成する塗膜形成方法、
7.5項又は6項に記載の塗膜形成方法によって得られた塗装物品」
【発明の効果】
【0014】
本発明のアニオン電着塗料組成物は、塗料安定性に優れる為、長期間に渡って塗装ラインで使用でき、また均一膜厚性、耐衝撃性、耐候性及び上塗り塗膜の付着性に優れた塗装物品を提供できる。
【0015】
詳細には、本発明のアニオン電着塗料組成物を用いることによって、多くの被塗物を同時に塗装する場合でも、膜厚が均一なアルミニウム材を得ることができる。また、上塗り塗膜の付着性に優れることからアルミサッシ同士の接触やレール作動による上塗り塗膜の剥がれ発生を抑制できる。さらに窓際などにおいて太陽光に晒されても塗膜劣化が少なく長期間に渡って優れた意匠性を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】均一膜厚性試験用の治具と配線図のモデル図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、水酸基及びカルボキシル基を含有する樹脂(A)と架橋剤(B)との固形分合計100質量部に対して、特定のポリエーテルポリオール(C)を含有するアニオン電着塗料組成物及び該アニオン電着塗料組成物を用いた塗膜形成方法に関する。
【0018】
水酸基及びカルボキシル基を含有する樹脂(A)
水酸基及びカルボキシル基を含有する樹脂(A)は、1分子中に少なくとも1個のカルボキシル基と1分子中に少なくとも1個の水酸基を有する樹脂である。水酸基及びカルボキシル基を含有する樹脂(A)としては、具体的には、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ウレタン樹脂等の樹脂が挙げられ、耐候性向上の面からアクリル樹脂が好適である。
【0019】
上記アクリル樹脂は、カルボキシル基含有ラジカル重合性不飽和単量体(a1)、水酸基含有ラジカル重合性不飽和単量体(a2)、必要に応じてその他のラジカル重合性不飽和単量体(a3)の混合物を共重合することによって製造できる。
【0020】
上記カルボキシル基含有ラジカル重合性不飽和単量体(a1)としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸等の単量体が挙げられる。
【0021】
上記水酸基含有ラジカル重合性不飽和単量体(a2)としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、及びこれ以外に、プラクセルFM1、プラクセルFM2、プラクセルFM3、プラクセルFA1、プラクセルFA2、プラクセルFA3(以上、ダイセル化学社製、商品名、カプロラクトン変性(メタ)アクリル酸ヒドロキシエステル類)等が挙げられる。
【0022】
上記その他のラジカル重合性不飽和単量体(a3)としては、例えば、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のアルコキシシリル基含有不飽和単量体;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレートのC1〜C18のアルキル又はシクロアルキルエステル類、スチレン等の芳香族ビニルモノマー類;(メタ)アクリル酸アミド、N,N−ジメチロール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジn−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル−N−メチロール(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド系単量体;下記の式(2)で表されるラジカル重合性不飽和単量体等が挙げられる。
【0023】
【化3】
【0024】
式(2)
(式(2)中、Rは、水素原子又は炭素原子数1〜8のアルキル基を表し、Rは、水素原子又はメチル基を表す)
上記式(2)で表されるラジカル重合性不飽和単量体としては、例えば、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−プロポキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロポキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−イソブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ヘキソキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−イソヘキソキシメチル(メタ)アクリルアミドを挙げることができる。
【0025】
これらのラジカル重合性不飽和単量体の配合割合は、構成するラジカル重合性不飽和単量体の総量を基準として、カルボキシル基含有重合性不飽和単量体(a1)を1〜20質量%、好ましくは4〜10質量%、水酸基含有ラジカル重合性不飽和単量体(a2)を1〜40質量%、好ましくは5〜30質量%、そしてその他のラジカル重合性不飽和単量体(a3)を40〜98質量%、好ましくは60〜91質量%の範囲で含むことが好ましい。
【0026】
特に、構成するラジカル重合性不飽和単量体の総量を基準として、前記式(2)で表されるラジカル重合性不飽和単量体を3〜15質量%、好ましくは5〜12質量%含有するアクリル樹脂であることが、耐衝撃性の向上の為に好ましい。
本発明のアニオン電着塗料組成物に使用する水酸基及びカルボキシル基を含有する樹脂(A)は、上記のカルボキシル基含有重合性不飽和単量体(a1)、水酸基含有ラジカル重合性不飽和単量体(a2)、必要に応じて、その他のラジカル重合性不飽和単量体(a3)、重合開始剤を加えて混合し、次いで、例えば、窒素等の不活性ガスの存在下で約50℃〜約300℃、好ましくは約60℃〜250℃に保持された有機溶剤中で、ラジカル重合性不飽和単量体の混合物を、約1時間〜約24時間、好ましくは約2時間〜約10時間、ラジカル重合反応させることによって得ることができる。
【0027】
上記ラジカル重合反応に用いられる有機溶剤としては、例えば、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、t−ブチルアルコール、イソブチルアルコール等のアルコール類、エチレングリコールモノブチルエーテル、メチルカルビトール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−イソプロポキシエタノール、2−ブトキシエタノール、エチレングルコールモノメチルエーテル、エチレングルコールモノエチルエーテル、エチレングルコールモノブチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル類などが好適に使用できる。また、これ以外にも必要に応じて、例えば、キシレン、トルエンなどの芳香族類、アセトン、メチルエチルケトン、2−ペンタノン、2−ヘキサノン、メチルイソブチルケトン、イソホロン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ペンチル、3−メトキシブチルアセテート、2−エチルヘキシルアセテート、酢酸ベンジル、酢酸シクロヘキシル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル等のエステル類も併用することができる。
【0028】
ラジカル重合反応に用いる重合開始剤として、例えば、過酸化ベンゾイル、ジ−t−ブチルハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クミルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ラウリルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、アゾビスジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル等が挙げられる。
【0029】
得られた水酸基及びカルボキシル基を含有する樹脂(A)の重量平均分子量(注1)は、5,000〜100,000、特に20,000〜50,000の範囲が好ましく、酸価は5〜180mgKOH/gの範囲、特に10〜80mgKOH/gの範囲、水酸基価は3〜150mgKOH/g、特に10〜80mgKOH/gの範囲が適している。
(注1)重量平均分子量:ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)を用いて測定した重量平均分子量を、標準ポリスチレンの分子量を基準にして換算した値である。
具体的には、ゲルパーミュエーションクロマトグラフとして、「HLC8120GPC」(商品名、東ソー社製)を使用し、カラムとして、「TSKgel G−4000HXL」、「TSKgel G−3000HXL」、「TSKgel G−2500HXL」及び「TSKgel G−2000HXL」(商品名、いずれも東ソー社製)の4本を使用し、移動相テトラヒドロフラン、測定温度40℃、流速1mL/min及び検出器RIの条件下で測定することができる。
【0030】
架橋剤(B)
本発明のアニオン電着塗料組成物に使用できる架橋剤(B)は、従来から公知の化合物を使用することができ、例えば、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、尿素樹脂及びブロック化ポリイソシアネート等を挙げることができる。これらの架橋剤の中でも、耐衝撃性、上塗り塗膜の付着性の面から、メラミン樹脂、ブロック化ポリイソシアネート化合物が好ましい。
【0031】
メラミン樹脂の具体例としては、完全アルキル型メチル/ブチル混合エーテル化メラミン樹脂、メチロール基型メチル/ブチル混合エーテル化メラミン樹脂、イミノ型メチル/ブチル混合エーテル化メラミン樹脂、完全アルキル型メチル化メラミン樹脂、イミノ基型メチル化メラミン樹脂を挙げることができる。
【0032】
上記メラミン樹脂の市販品としては、例えばサイメル232、サイメル232S、サイメル235、サイメル236、サイメル238、サイメル266、サイメル267、サイメル285などの完全アルキル型メチル/ブチル混合エーテル化メラミン樹脂;サイメル272などのメチロール基型メチル/ブチル混合エーテル化メラミン樹脂;サイメル202、サイメル207、サイメル212、サイメル253、サイメル254などのイミノ型メチル/ブチル混合エーテル化メラミン樹脂;サイメル300、サイメル301、サイメル303、サイメル350などの完全アルキル型メチル化メラミン樹脂;サイメル325、サイメル327、サイメル703、サイメル712、サイメル254、サイメル253、サイメル212、サイメル1128などのイミノ基型メチル化メラミン樹脂(以上、日本サイテックインダストリーズ社製)、ユーバン20SE60(三井サイテック株式会社製、ブチルエーテル化メラミン樹脂)等が挙げられる。
【0033】
ブロック化ポリイソシアネート化合物におけるポリイソシアネート化合物は、1分子中に2個以上の遊離のイソシアネート基を有する化合物であり、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート化合物;水素添加キシリレンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、イソホロンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート化合物;トリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート化合物;2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトカプロエート、3−イソシアナトメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、4−イソシアナトメチル−1,8−オクタメチレンジイソシアネート(通称、トリアミノノナントリイソシアネート)等の3価以上の有機ポリイソシアネート化合物を挙げることができる。これらのポリイソシアネート化合物の環化重合体又はビュレット体;又はこれらの組合せを挙げることができる。
【0034】
一方、ポリイソシアネート化合物をブロックするブロック剤としては、メチルエチルケトオキシム、メチルアミルケトオキシム、シクロヘキサノンオキシム等のオキシム系化合物;フェノール、パラ−t−ブチルフェノール、クレゾール等のフェノール系化合物;n−ブタノール、2−エチルヘキサノール等の脂肪族アルコール類;フェニルカルビノール、メチルフェニルカルビノール等の芳香族アルキルアルコール類;エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等のエーテルアルコール系化合物;ε−カプロラクタム、γ−ブチロラクタム等のラクタム系化合物等が挙げられる。
【0035】
上記ブロック化ポリイソシアネート化合物の市販品としては、例えば、バーノックD−750、バーノックD−800、バーノックDN−950、バーノックDN−970もしくはバーノックDN−15−455(以上、大日本インキ化学工業社製、商品名)、デスモジュールL、デスモジュールN、デスモジュールHL、デスモジュールILもしくはデスモジュールN3390(以上、バイエル社製品社製)、タケネートD−102、タケネートD−202、タケネートD−110NもしくはタケネートD−123N(武田薬品工業社製、商品名)、コロネートL、コロネートHL、コロネートEHもしくはコロネート203(日本ポリウレタン工業社製、商品名)、デュラネート24A−90CX(旭化成工業社製、商品名)等が挙げられる。
【0036】
アニオン電着塗料組成物における水酸基及びカルボキシル基を含有する樹脂(A)と架橋剤(B)の配合割合は、水酸基及びカルボキシル基を含有する樹脂(A)と架橋剤(B)との固形分合計100質量部を基準にして、水酸基及びカルボキシル基を含有する樹脂(A)50〜90質量部、好ましくは60〜75質量部、架橋剤(B)10〜50質量部、好ましくは25〜40質量部含むことが、均一膜厚性や耐衝撃性の面から好ましい。
【0037】
ポリエーテルポリオール(C)
本発明のアニオン電着塗料組成物は、下記一般式(1)で表されるポリエーテルポリオール(C)を含有する。
【0038】
【化4】
【0039】
式(1)
(式(1)において、l、m及びnは、それぞれ独立して1以上の整数で、かつl+m+n=3〜15、並びに(OAl、(OA、及び(OAの各Aは、それぞれ同一又は相異なってもよいエチレン基及び/又はプロピレン基を表す)
上記ポリエーテルポリオール(C)は、市販品を使用でき、例えば、サンニックスGP−250、サンニックスGP−400、サンニックスGP−600、サンニックスGP−1000(以上、三洋化成(株)製、商品名)、レオコンGP−250、レオコンGP−300、レオコンGP−400、レオコンGP−700(以上、ライオン(株)製)、ポリプロピレントリオールグリコール・トリオール型(以上、和光純薬工業(株)製)を挙げることができる。
【0040】
アニオン電着塗料組成物におけるポリエーテルポリオール(C)の配合割合は、水酸基及びカルボキシル基を含有する樹脂(A)と架橋剤(B)との固形分合計100質量部を基準にして、ポリエーテルポリオール(C)を固形分で0.1〜10質量部、好ましくは0.5〜8質量部、さらに好ましくは1〜6質量部含むことが、塗料安定性、均一膜厚性及び上塗り塗膜の付着性の向上の面から好ましい。
【0041】
トリアジン系の紫外線吸収剤(D)
本発明のアニオン電着塗料組成物は、必要に応じて、トリアジン系の紫外線吸収剤(D)を含有できる。トリアジン系の紫外線吸収剤(D)は、上塗り塗膜の付着性を低下させることなく耐候性を向上できる。
【0042】
上記トリアジン系の紫外線吸収剤(D)としては、例えば、2−(4,6−ジフェニル-1,3,5−トリアジン−2−イル)−5[(ヘキシル)オキシ]−フェノール(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商品名、チヌビン577FF)、2−[4−[6(2−ヒドロキシ−3−ドデシルオキシプロピル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジンと2−[4−[6(2−ヒドロキシ−3−ドデシルオキシプロピル)オキシ]−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジンの混合物(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商品名、チヌビン400)、2,4−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−6−(2−ヒドロキシ−4−iso−オクチルオキシフェニル)−s−トリアジン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商品名、チヌビン411L)2,4−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−6−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン(三井サイテック株式会社製、商品名、CYAGARD UV1164L)などが挙げられる。
【0043】
アニオン電着塗料組成物においてトリアジン系の紫外線吸収剤(D)を配合する場合、
その配合割合は、水酸基及びカルボキシル基を含有する樹脂(A)と架橋剤(B)との固形分合計100質量部を基準にして、トリアジン系の紫外線吸収剤(D)の固形分量で0.1〜10質量部、好ましくは0.5〜5質量部、さらに好ましくは0.8〜3質量部の範囲内であることが、塗料安定性や耐候性向上の面から望ましい。
【0044】
エポキシリン酸エステル化合物(E)
本発明のアニオン電着塗料組成物は、必要に応じて、エポキシ樹脂にリン酸化合物を付加することにより得られるエポキシリン酸エステル化合物を含有できる。
上記エポキシ樹脂は、例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、これらのエポキシ樹脂中のエポキシ基又は水酸基に変性剤を反応させた変性エポキシ樹脂等を挙げることができる。
【0045】
上記ビスフェノール型エポキシ樹脂は、例えば、エピクロルヒドリンとビスフェノールとを、所望によりアルカリ触媒等の触媒の存在下で、高分子量まで縮合させることにより製造した樹脂、エピクロルヒドリンとビスフェノールとを、所望によりアルカリ触媒等の触媒の存在下で縮合させて低分子量エポキシ樹脂と合成し、次いで当該低分子量エポキシ樹脂とビスフェノールとを重付加反応することにより得られた樹脂であることができる。上記エポキシ樹脂のエポキシ当量は、好ましくは172〜4,000、より好ましくは175〜1,000である。
上記ビスフェノールとしては、例えば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン[ビスフェノールF]、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン[ビスフェノールA]、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン[ビスフェノールB]、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1−イソブタン、ビス(4−ヒドロキシ−tert−ブチル−フェニル)−2,2−プロパン、p−(4−ヒドロキシフェニル)フェノール、オキシビス(4−ヒドロキシフェニル)、スルホニルビス(4−ヒドロキシフェニル)、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、ビス(2−ヒドロキシナフチル)メタンを挙げることができる。上記ビスフェノール類は、単独又は2種以上の混合物として使用できる。
上記ノボラック型エポキシ樹脂としては、例えば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、分子内に複数のエポキシ基を有するフェノールグリオキザール型エポキシ樹脂等を挙げることができる。 上記リン酸化合物としては、例えば、オルトリン酸及びピロリン酸を挙げることができる。
なおエポキシリン酸エステル化合物の市販品としては、例えば、XU−8096.07、XU−71899.00、XQ−82908.00、XQ−82919.00、DER620−PP50、DER621−EB50、DER621−PP50(以上、ダウケミカル日本社製商品名)、エポトートZX1300、ZX1300−1(以上、東都化成社製、商品名)等が挙げられる。
【0046】
アニオン電着塗料組成物においてエポキシリン酸エステル化合物(E)を配合する場合、その配合割合は、水酸基及びカルボキシル基を含有する樹脂(A)と架橋剤(B)との固形分合計100質量部に基づいて、エポキシリン酸エステル化合物(E)の固形分量で0.05〜10.0質量部、好ましくは0.1〜5.0質量部、より好ましくは0.5〜3.0質量部の範囲内であることが、塗料安定性、耐衝撃性及び上塗り塗膜の付着性の向上の面から好ましい。
【0047】
また本発明のアニオン電着塗料組成物は、必要に応じて、硬化触媒、塩基性化合物、界面活性剤及びヒンダードアミン系の光安定剤などを含有することができる。前記硬化触媒としては、例えば、n−ブチルベンゼンスルホン酸、n−アミルベンゼンスルホン酸、n−オクチルベンゼンスルホン酸、n−ドデシルベンゼンスルホン酸、n−オクタデシルベンゼンスルホン酸、n−ジブチルベンゼンスルホン酸、i−プロピルナフタレンスルホン酸、ドデシルナフタレンスルホン酸、ジノニルナフタレンスルホン酸、ジノニルナフタレンジスルホン酸等、及びこれらのスルホン酸のアミン中和物等;ジオクチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジベンゾエート、ジブチル錫ジベンゾエート等の液状錫化合物;等が挙げられる。
【0048】
アニオン電着塗料組成物において硬化触媒を配合する場合、その配合割合は、水酸基及びカルボキシル基を含有する樹脂(A)と架橋剤(B)との固形分合計100質量部を基準にして、硬化触媒の固形分量で0.05〜10質量部、好ましくは0.1〜5質量部、さらに好ましくは0.2〜3質量部の範囲内であることが、塗料安定性や耐候性向上の面から望ましい。
【0049】
前記塩基性化合物は、前記カルボキシル含有樹脂(A)の中和及び/又はアニオン電着塗料浴のpHの調整の為に含有する。具体的には、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ベンジルアミン、モノエタノールアミン、ネオペンタノールアミン、2−アミノプロパノール、3−アミノプロパノール等の第1級モノアミン;ジエチルアミン、ジエタノールアミン、ジ−n−又はジ−iso −プロパノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン等の第2級モノアミン;ジメチルエタノールアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリイソプロピルアミン、メチルジエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール等の第3級モノアミン;ジエチレントリアミン、ヒドロキシエチルアミノエチルアミン、エチルアミノエチルアミン、メチルアミノプロピルアミン等のポリアミンが挙げられる。上記塩基性化合物の配合割合は、中和当量として0.1〜1.2当量、好ましくは0.2〜0.8当量の範囲が好ましい。
前記界面活性剤は、表面湿潤作用を有するものであれば、非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、いずれも使用できるが、金属素材等への影響の少ない非イオン界面活性剤が好ましい。
【0050】
非イオン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレントリデシルエーテル系の界面活性剤、ポリオキシアルキレントリデシルエーテル系の界面活性剤、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル系の界面活性剤、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテルなどが挙げられる。
【0051】
なお、界面活性剤の市販品としては、ノイゲンTDS−30、ノイゲンTDS−50、
ノイゲンTDS−70、ノイゲンTDS−80等のポリオキシエチレントリデシルエーテル系の界面活性剤;ノイゲンXL−40、ノイゲンXL−50、ノイゲンXL−60、ノイゲンXL−70、ノイゲンTDX−50、ノイゲンTDX−80D等のポリオキシアルキレントリデシルエーテル;ノイゲンLF−60X、ノイゲンLF−100X等のポリオキシアルキレンアルキルエーテル;ノイゲンEA−87、ノイゲンEA−137、ノイゲンEA−157などのポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル(以上、第一工業製薬);ニューコール2303Y、ニューコール2306Hなどのポリオキシアルキレンアルキルエーテル系の界面活性剤;ニューコールNT−3、ニューコールNT−5、ニューコールNT−7などのポリオキシアルキレンアルキルエーテル系の界面活性剤(以上、日本乳化剤社製、商品名)が挙げられる。
【0052】
またポリエーテル変性シロキサン系の界面活性剤も好適に使用できる。ポリエーテル変性シロキサン系界面活性剤の商品名としては、ビッグケミー社製のBYK−307、BYK−345、BYK−346、BYK−348、BYK−3455等が挙げられる。上記界面活性剤の中でもポリオキシエチレントリデシルエーテル系の界面活性剤が、均一膜厚性向上の面から好適である。
【0053】
本発明のアニオン電着塗料組成物において界面活性剤を配合する場合、その配合割合は、水酸基及びカルボキシル基を含有する樹脂(A)と架橋剤(B)との固形分合計100質量部を基準にして、界面活性剤を固形分量で0.1〜10質量部、好ましくは0.5〜8質量部、さらに好ましくは1.0〜5.0質量部の範囲内であることが、塗料安定性の為に望ましい。
【0054】
また前記光安定剤としては、ヒンダードアミン誘導体が好ましく、具体的には、ビス−(2,2´,6,6´−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバテ−ト、4−ベンゾイルオキシ−2,2´,6,6´−テトラメチルピペリジンなどが挙げられ、これらは1種又は2種以上適宜選択して使用できる。市販品は具体例としては、チヌビン123、チヌビン144、チヌビン152、チヌビン292、チヌビン5100、チヌビン765、チヌビン770、(以上、チバ・ジャパン社製)、サノールLS292、サノールLS440、サノールLS744、サノールLS2626、サノールLS944(以上、三共ライフテック社製)、ホスタビン(HOSTAVIN)N20、ホスタビンN24、ホスタビンN30、ホスタビンN321、ホスタビンPR31、ホスタビン3050、ホスタビン3051、ホスタビン3052、ホスタビン3053、ホスタビン3055、ホスタビン3058、ホスタビン3063、ホスタビン3212(以上、クラリアントジャパン社製)等が例示できるが、これらに限定されない。これらの光安定剤は、単独で用いても良いし、2種以上を併用してもよい。
本発明のアニオン電着塗料組成物において光安定剤を配合する場合、その配合割合は、水酸基及びカルボキシル基を含有する樹脂(A)と架橋剤(B)との固形分合計100質量部に対して、光安定剤を固形分量で0.1〜10質量部、好ましくは0.2〜5.0質量部、さらに好ましくは0.3〜1.0質量部の範囲内であることが、塗料安定性や耐候性向上の為に望ましい。
【0055】
本発明のアニオン電着塗料組成物は、水酸基及びカルボキシル基を含有する樹脂(A)、架橋剤(B)、ポリエーテルポリオール(C)、必要に応じて、トリアジン系の紫外線吸収剤(D)、エポキシリン酸エステル化合物(E)、硬化触媒、塩基性化合物、界面活性剤、光安定剤等を混合し、脱イオン水等で希釈して固形分濃度を約5〜40質量%、好ましくは10〜25質量%とし、pHを7.0〜10.0、好ましくは7.5〜9.5の範囲内に調整して得ることができる。
【0056】
塗膜形成方法
本発明のアニオン電着塗料組成物を用いた塗膜形成方法は、該塗料組成物を浴として、通常、浴温15〜35℃に調整し、負荷電圧100〜400Vの条件で、浴中にてアルミニウム又はアルミニウム合金などの被塗物を陽極としてアニオン電着塗装した後、水洗を行わず(ノンリンス)又は水洗(リンス)を行って、次いで室温でセッティングし、その後、約130〜200℃、好ましくは140〜160℃で、約15〜50分間好ましくは15〜30分間加熱乾燥して、アニオン電着塗膜を得る。アニオン電着塗膜の乾燥膜厚は、約30μm以下、好ましくは1〜12μm、さらに好ましくは3〜9μmであることが好ましい。
【0057】
さらに、本発明のアニオン電着塗膜上には、必要に応じて、上塗り塗料を塗装することができる。該上塗り塗料としては、基体樹脂、硬化剤を主成分とする、それ自体すでに公知の塗料を用いることができる。また、アニオン電着塗膜を水洗し、室温でセッティングした後に、焼付け硬化することなく未硬化のアニオン電着塗膜上に上塗り塗料を塗装し、両塗膜を同時に焼付け硬化して複層の塗膜を得ることもできる(所謂、2コート1ベーク塗装)。
【0058】
上記上塗り塗料の基体樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、アルキド系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂及びこれらの変性物などに、アミノ樹脂、(ブロック化)ポリイソシアネート化合物などの硬化物を配合してなる上塗り塗料が挙げられる。上塗り塗料は、有機溶剤を媒体とした有機溶液型塗料、非水ディスパージョン塗料、水を媒体とした水溶性及び/又はエマルジョン塗料及び粉体塗料などのいずれであってもよい。
上塗り塗膜は、アニオン電着塗膜面に、通常の塗装手段、例えば刷毛塗り、スプレー塗り、浸漬塗り、流し塗り、ローラー塗り、静電吹付塗装などの塗装方法で、次いで乾燥(加熱も含む)を行って得られる。上塗り塗膜の膜厚は、要求される性能などによって異なるが、通常、乾燥膜厚で約10〜100μm、好ましくは15〜40μmの範囲である。また、乾燥は、室温もしくは加熱により、適宜適した条件を設定できる。
【実施例】
【0059】
以下、製造例、実施例及び比較例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、以下の記載において、「質量部」は「部」と、「質量%」は「%」と略記する。
【0060】
製造例1 アクリル樹脂溶液No.1の製造
反応容器中にイソプロピルアルコール16.7部、プロピレングリコールモノメチルエーテル13.3部を仕込み80℃に保持した中へ以下の「混合物(1)」を4時間掛けて滴下し、次いでアゾビスジメチルバレロニトリル0.5部を添加し、80℃で3時間保持して反応を行い、さらにプロピレングリコールモノメチルエーテルで調整して、固形分70質量%のアクリル樹脂溶液No.1を得た。アクリル樹脂溶液No.1の樹脂固形分は、酸価43mgKOH/g、水酸基価63mgKOH/g、重量平均分子量約30,000であった。
「混合物(1)」
アクリル酸 5.5部
スチレン 5部
メチルメタクリレート 45部
n−ブチルアクリレート 20部
2−ヒドロキシエチルクリレート 13部
KBM−503(注2) 2部
シクロヘキシルメタクリレート 9.5部
アゾビスジメチルバレロニトリル 1.5部
(注2)KBM−503:信越化学工業社製、商品名、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン。
【0061】
製造例2 アクリル樹脂溶液No.2の製造
反応容器中にイソプロピルアルコール16.7部、プロピレングリコールモノメチルエーテル13.3部を仕込み80℃に保持した中へ以下の「混合物(2)」を4時間掛けて滴下し、次いでアゾビスジメチルバレロニトリル0.5部を添加し、80℃で3時間保持して反応を行い、さらにプロピレングリコールモノメチルエーテルで調整して、固形分70質量%のアクリル樹脂溶液No.2を得た。
アクリル樹脂溶液No.2の樹脂固形分は、酸価43mgKOH/g、水酸基価63mgKOH/g、重量平均分子量約31,000であった。
「混合物(2)」
アクリル酸 5.5部
スチレン 5部
メチルメタクリレート 40部
n−ブチルアクリレート 15部
2−ヒドロキシエチルアクリレート 13部
KBM−503(注2) 2部
N−ブトキシメチルアクリルアミド 10部
シクロヘキシルメタクリレート 9.5部
アゾビスジメチルバレロニトリル 1.5部。
【0062】
実施例1 アニオン電着塗料No.1の製造例
製造例1で得たアクリル樹脂溶液No.1を60部(固形分)、サイメル235(注3)40部(固形分)、サンニックスGP−250(注5)3部(固形分)、ジノニルナフタレンスルホン酸0.1部(固形分)、中和剤としてトリエチルアミン(0.4当量中和分)を加えて混合分散した後、攪拌を行いながら脱イオン水を徐々に滴下し、更にpHが8.2になるようにトリエチルアミンを添加し、脱イオン水で調整して固形分10%のアニオン電着塗料No.1を得た。
【0063】
実施例2〜18、比較例1〜12 アニオン電着塗料No.2〜No.30の製造例
実施例1と同様にして、表1及び表2のような配合で固形分10%のアニオン電着塗料No.2〜No.30を得た。
【0064】
【表1】
【0065】
(注3)サイメル235:日本サイテックインダストリーズ株式会社製、商品名、メチル−ブチル混合エーテル化メラミン樹脂
(注4)デュラネート24A−90CX:旭化成工業株式会社製、商品名、ブロックポリイソシアネート、固形分80%
(注5)サンニックスGP−250:三洋化成工業(株)製、商品名、ポリエーテルポリオール(C)、数平均分子量250
(注6)サンニックスGP−400:三洋化成工業(株)製、商品名、ポリエーテルポリオール(C)、数平均分子量400
(注7)サンニックスGP−1000:三洋化成工業(株)製、商品名、ポリエーテルポリオール(C)、数平均分子量1000
(注8)サンニックスPP−1000:三洋化成工業(株)製、商品名、ポリプロピレングリコール、数平均分子量1,000
(注9)チヌビン400:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商品名、トリアジン系の紫外線吸収剤
(注10)チヌビン577FF:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商品名、トリアジン系の紫外線吸収剤
(注11)チヌビン384:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商品名、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤
(注12)Uvinal3050:BASFジャパン社製、商品名、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤
(注13)XQ−82908.00:ダウケミカル日本社製、商品名、エポキシリン酸エステル化合物
(注14)エポトートZX1300:東都化成社製、商品名、エポキシリン酸エステル化合物
(注15)ノイゲンTDS−50:第一工業製薬社製、商品名、ポリオキシエチレントリデシルエーテル系の界面活性剤
(注16)BYK−348:ビックケミー社製、商品名、ポリエーテル変性シロキサン系フッ素含有界面活性剤。
【0066】
【表2】
【0067】
(注17)塗料安定性:
塗料を試験管(高さ20cm、容量20ml)に充填し、30℃で7日間静置した後、塗料組成物の状態を調べた。
◎は、塗料組成物の沈降もなく、良好な状態である。
○は、塗料組成物の沈降はわずかにあるが、簡単な攪拌によって元の状態に戻る。
×は、塗料組成物の沈降がみられ、元の状態に戻らない。
【0068】
試験板の作成
実施例及び比較例で得られたアニオン電着塗料組成物の浴中に、2次電解処理(脱脂−エッチング−中和−陽極酸化処理−封孔)を施した処理被膜厚さ約10μmの陽極酸化アルミニウム材(70mm×150mm×0.5mm)を浸漬し、乾燥塗膜厚が8μmになるように電着塗装を行った後、水洗後、180℃で20分間焼き付けて試験板を得た。各試験板を用いて、後記の試験条件に従って試験した結果を、併せて前記表1〜表2に示す。
【0069】
(注18)均一膜厚性:
図1のように、5枚のアルミニウム材(70mm×150mm×0.5mm)を1cm間隔で吊るした均一膜厚性試験用の治具を用いて、塗装浴温21℃、アルミニウム材と電極との極間距離10cm、通電時間3分間にて、外板乾燥膜厚8μmとなる電圧にて電着塗装した。均一膜厚性は「(5枚目のアルミニウム板の乾燥塗膜質量/1枚目のアルミニウム板の乾燥塗膜膜厚)×100(%)」で評価した。
◎は、(5枚目のアルミニウム板の乾燥塗膜質量/1枚目のアルミニウム板の乾燥塗膜質量)×100=80%を超える
○は、(5枚目のアルミニウム板の乾燥塗膜質量/1枚目のアルミニウム板の乾燥塗膜質量)×100=70%以上で、かつ80%未満である
△は、(5枚目のアルミニウム板の乾燥塗膜質量/1枚目のアルミニウム板の乾燥塗膜質量)×100=60%以上で、かつ70%未満である
×は、(5枚目のアルミニウム板の乾燥塗膜質量/1枚目のアルミニウム板の乾燥塗膜質量)×100=60%未満である。
【0070】
(注19)耐衝撃性:
各試験板を、温度20℃±1、湿度75±2%の恒温恒湿室に24時間置いた後、JIS K 5600−5−3(1999)に規定されるデュポン衝撃試験器に規定の大きさの受台に撃心を取り付けて、試験板を間に挟んだ。次に500gの重さのおもりを撃心(1/2インチ)の上に落とし、衝撃による塗膜(おもて面)にワレ、ハガレが発生する落下高さ(cm)を測定し、下記基準によって評価した。
◎は、ワレ、ハガレが発生する落下高さが、50cm超
○は、ワレ、ハガレが発生する落下高さが、40cm超、かつ50cm以下
△は、ワレ、ハガレが発生する落下高さが、30cm超、かつ40cm以下
×は、ワレ、ハガレが発生する落下高さが、30cm以下。
【0071】
(注20)耐候性:
JIS K5600−7−8(1999)に準拠した促進耐候性試験によって、試験前の塗膜の光沢に対して、試験後の塗膜の光沢保持率が75%を割る時間を測定した。
◎は、光沢保持率が75%を割る時間が3,000時間を越える
○は、光沢保持率が75%を割る時間が2,500時間以上、かつ3,000時間未満
△は、光沢保持率が75%を割る時間が2,000時間以上、かつ2,500時間未満、
×は、光沢保持率が75%を割る時間が2,000時間未満。
【0072】
(注21)上塗り塗膜の付着性:
試験板に、フッカロン(関西ペイント社製、商品名、フッ素系焼付け硬化型塗料)を膜厚30μmになるよう塗装し、215℃で20分間乾燥させた。その後、沸水に4時間浸漬後、取り出し室温にて1時間放置した。
この試験板にカッターナイフで1mm間隔に碁盤目状に切れ目を入れて、できた100個のマス目に、セロテープ(登録商標)を貼り付けて剥離した。
◎は、残存したマス目(個)/全体のマス目(個)=100/100で問題なし
○は、残存したマス目(個)/全体のマス目(個)=95〜99/100で製品での使用は問題なし、
△は、残存したマス目(個)/全体のマス目(個)=90〜94/100で、上塗り塗装した製品使用に問題あり
×は、残存したマス目(個)/全体のマス目(個)=89以下/100で、上塗り塗装した製品使用は困難。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明のアニオン電着塗料組成物によって、均一膜厚性、耐衝撃性、上塗り塗膜の付着性、耐候性に優れる塗装物品を得ることができる。
【符号の説明】
【0074】
1.均一膜厚性試験用の治具における1枚目のアルミニウム板を示す。
2.均一膜厚性試験用の治具における5枚目のアルミニウム板を示す。
3.アニオン電着塗料の浴
4.極間距離10cm
図1