(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
(食器洗い用液体洗浄剤)
本発明の食器洗い用液体洗浄剤(以下単に「液体洗浄剤」ともいう)は、(A)成分:一般式(a1)で表される化合物と、(B)成分:直鎖アルキルベンゼンスルホン酸又はその塩と、(C)成分:前記(B)成分以外のアニオン界面活性剤と、(D)成分:半極性界面活性剤及び両性界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも一種と、を含有する。
【0010】
<(A)成分:一般式(a1)で表される化合物>
本発明における(A)成分は、下記一般式(a1)で表される化合物であって、ノニオン界面活性剤である。該(A)成分は、アルコールにオキシエチレン基及び/又はオキシプロピレン基が導入され、疎水部(炭化水素基)がβ位の炭素原子でC
xH
2x+1とC
yH
2y+1とに分岐した構造を有する。
【0011】
【化2】
[式中、AOはオキシエチレン基及び/又はオキシプロピレン基を表す。mはAOの平均繰返し数を表し、6〜12の数である。xとyはそれぞれ1〜6の整数であり、6≦x+y≦12である。]
【0012】
前記式(a1)中、AOは、オキシエチレン基及び/又はオキシプロピレン基を表し、中でも液体洗浄剤の泡立ち及び泡量の持続性が向上することから、オキシエチレン基を含むものが好ましい。この中でも、オキシエチレン基のみからなるもの、オキシエチレン基とオキシプロピレン基とが混在しているものであってオキシエチレン基の方を多く含んでいるものがより好ましく、その中でもオキシエチレン基のみからなるものが特に好ましい。
AOにおいて、オキシエチレン基とオキシプロピレン基とが混在している場合、これらはランダム状に混在していてもよく、ブロック状に混在していてもよい。
【0013】
前記式(a1)中、mは、AOの平均繰返し数を表し、6〜12の数であり、8〜11の数であることが好ましく、10であることがより好ましい。mが6以上であると、油汚れ共存下で使用しても泡立ち及び泡量の持続性が優れる。mが12以下であると、油汚れに対する洗浄力が高まる。
なお、ここでのmは、AOの「平均」繰返し数を示している。したがって、一般式(a1)で表される化合物は、AOの繰返し数が異なる分子の集合体である。
【0014】
前記式(a1)中、xとyは、それぞれ1〜6の整数であり、6≦x+y≦12である。中でも、スポンジに汚れがより残りにくくなることから、6≦x+y≦10が好ましく、6≦x+y≦8がより好ましく、x+y=8が特に好ましい。
x+yが6以上であると、スポンジに油汚れ等が残りにくくなる。x+yが12以下であると、液体洗浄剤の液の均一性が保たれやすく、スポンジからの油汚れ等の除去の効果が安定に得られる。
C
xH
2x+1、C
yH
2y+1としては、それぞれ、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が挙げられ、直鎖状のアルキル基であることが好ましく、たとえばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基が好適なものとして挙げられる。中でも、C
xH
2x+1とC
yH
2y+1との組合せは、エチル基とブチル基との組合せ、プロピル基とペンチル基との組合せ(以上、いずれの組合せも一方がどちらの基であってもよい)が好ましく、プロピル基とペンチル基との組合せ(一方がどちらの基であってもよい)が特に好ましい。
【0015】
(A)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記のなかでも、(A)成分としては、ガーベット反応による2分子縮合で得られた、β位に分岐構造を有するアルコールのエチレンオキシド付加物が特に好ましい。
このような市販品としては、BASF社製のポリオキシエチレンモノ(2−プロピルへプチル)エーテルが挙げられる。具体的には、上記一般式(a1)におけるm=6の化合物である商品名「Lutensol XP60」、上記一般式(a1)におけるm=8の化合物である商品名「Lutensol XP80」、上記一般式(a1)におけるm=9の化合物である商品名「Lutensol XP90」、上記一般式(a1)におけるm=10の化合物である商品名「Lutensol XP100」が挙げられる。
また、(A)成分としては、日本乳化剤株式会社製のポリオキシエチレンモノ(2−エチルヘキシル)エーテルが挙げられる。具体的には、上記一般式(a1)におけるm=8の化合物である商品名「ニューコール1008」が挙げられる。
また、(A)成分としては、BASF社製のポリオキシエチレンポリオキシプロピレンモノ(2−プロピルへプチル)エーテルも挙げられる。具体的には、上記一般式(a1)におけるm=9の化合物(オキシエチレン基とオキシプロピレン基とが混在したもの)である商品名「Lutensol XL90」、上記一般式(a1)におけるm=10の化合物(オキシエチレン基とオキシプロピレン基とが混在したもの)である商品名「Lutensol XL100」が挙げられる。
【0016】
液体洗浄剤における(A)成分の含有量は、該液体洗浄剤の総質量に対して1〜15質量%であることが好ましく、2〜12質量%であることがより好ましい。
(A)成分の含有量が、前記の好ましい下限値以上であると、スポンジに油汚れ等が残りにくくなり、スポンジの消臭効果がより得られやすい。一方、前記の好ましい上限値以下であると、液体洗浄剤の液の均一性が保たれやすい。前記の好ましい上限値を超えると、食器洗い用スポンジ内で液体洗浄剤のゲル化が起こり、スポンジから油汚れ等が除去されにくくなる場合がある。
【0017】
<(B)成分:直鎖アルキルベンゼンスルホン酸又はその塩>
本発明における(B)成分は、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸又はその塩である。
(B)成分において、ベンゼン環に結合する直鎖アルキル基の炭素数は、10〜18が好ましく、12〜14がより好ましい。
塩の形態としては、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩;モノエタノールアンモニウム塩、ジエタノールアンモニウム塩などのアルカノールアンモニウム塩等が挙げられる。これらの中でも、アルカリ金属塩が好ましく、ナトリウム塩、カリウム塩がより好ましく、ナトリウム塩が特に好ましい。
(B)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0018】
液体洗浄剤における(B)成分の含有量は、該液体洗浄剤の総質量に対して0.1〜8質量%であることが好ましく、0.5〜3質量%であることがより好ましい。
(B)成分の含有量が、前記の好ましい下限値以上であると、油汚れに対する洗浄力が高まる。加えて、スポンジに油汚れ等が残りにくくなり、スポンジの消臭効果がより得られやすい。一方、前記の好ましい上限値以下であると、液体洗浄剤の液の均一性が保たれやすい。前記の好ましい上限値を超えると、食器洗い用スポンジ内で液体洗浄剤のゲル化が起こり、スポンジから油汚れ等が除去されにくくなる場合がある。
【0019】
本発明において、「(A)成分/(B)成分で表される質量比」とは、液体洗浄剤に含まれる(B)成分の含有量に対する、(A)成分の含有量の質量割合を意味する。
液体洗浄剤中の(A)成分と(B)成分との質量比、すなわち、(A)成分/(B)成分で表される質量比は、0.70〜60であり、好ましくは0.75〜15であり、より好ましくは2〜12である。
(A)成分/(B)成分で表される質量比が前記の範囲内であれば、スポンジに油汚れ等が残りにくくなり、スポンジの消臭効果が得られる。また、この質量比が、前記の好ましい下限値以上であると、油汚れに対する洗浄力がより高まり、一方、前記の好ましい上限値以下であると、スポンジに油汚れ等が残りにくくなる。
【0020】
<(C)成分:前記(B)成分以外のアニオン界面活性剤>
本発明における(C)成分は、前記(B)成分以外のアニオン界面活性剤である。
(C)成分としては、例えば、α−オレフィンスルホン酸塩、直鎖状のアルキル硫酸エステル塩、分岐鎖状のアルキル硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩、アルケニルエーテル硫酸エステル塩、アルカンスルホン酸塩、α−スルホ脂肪酸エステル塩などが挙げられる。
塩の形態としては、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩;モノエタノールアンモニウム塩、ジエタノールアンモニウム塩などのアルカノールアンモニウム塩等が挙げられる。
【0021】
好ましい(C)成分としては、下記一般式(c1)で表される化合物、アルカンスルホン酸塩が挙げられる。
【0022】
【化3】
[式中、R
1は、炭素数8〜18の直鎖状アルキル基であり、R
1−O−における酸素原子に結合している炭素原子は第1級炭素原子である。nはオキシエチレン基の平均繰返し数を示し、0<n≦4である。M
+は、水素イオン以外の陽イオンである。]
【0023】
前記式(c1)中、R
1の炭素数は、8〜18であり、10〜14が好ましく、12〜14がより好ましい。R
1としては、洗浄力及び環境負荷の点から、油脂原料由来のアルキル基であることが好ましい。好適な油脂原料としては、パーム核油、ヤシ油等が挙げられる。
前記式(c1)中、Mは、水溶性の塩を形成し得るものであればよく、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、又はアルカノールアンモニウムが挙げられる。
アルカリ金属としては、ナトリウム、カリウム等が挙げられる。アルカリ土類金属としては、カルシウム、マグネシウム等が挙げられる。アルカノールアンモニウムとしては、モノエタノールアンモニウム、ジエタノールアンモニウム、トリエタノールアンモニウム等が挙げられる。Mがアルカリ土類金属の場合、アルカリ土類金属イオンは、陰イオン(R
1−O−(CH
2CH
2O)n−SO
3−)1モルに対して0.5モルとなる。
【0024】
(C)成分として具体的には、ポリオキシエチレン(1)直鎖アルキル(C12)硫酸エステルナトリウム塩、ポリオキシエチレン(2)直鎖アルキル(C12)硫酸エステルナトリウム塩、ポリオキシエチレン(4)直鎖アルキル(C12)硫酸エステルナトリウム塩、ポリオキシプロピレン(0.4)ポリオキシエチレン(1.5)直鎖アルキル(C12)硫酸エステルナトリウム塩、ポリオキシエチレン(1)直鎖アルキル(C12/14=75/25;天然油脂由来)硫酸エステルナトリウム塩、ポリオキシエチレン(2)直鎖アルキル(C12/14=75/25;天然油脂由来)硫酸エステルナトリウム塩、ポリオキシエチレン(4)直鎖アルキル(C12/14=75/25;天然油脂由来)硫酸エステルナトリウム塩;炭素数14〜17の2級アルカンスルホン酸ナトリウム塩などが挙げられる。
上記の中でも、本発明の効果が特に得られやすいことから、ポリオキシエチレン(1)直鎖アルキル(C12/14=75/25;天然油脂由来)硫酸エステルナトリウム塩が好ましい。
ここで、例えば「ポリオキシエチレン(1)」とは、オキシエチレン基の平均繰返し数が1(エチレンオキシドの平均付加モル数が1)であることを意味する。
「C12/14=75/25;天然油脂由来」とは、炭素数12の直鎖アルキル基を有する化合物と、炭素数14の直鎖アルキル基を有する化合物と、の質量比で75/25の混合物であること、及び天然油脂由来の直鎖状のアルキル基であることを意味する。
【0025】
(C)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
液体洗浄剤における(C)成分の含有量は、該液体洗浄剤の総質量に対して4〜25質量%であることが好ましく、8〜15質量%であることがより好ましい。
(C)成分の含有量が、前記の好ましい下限値以上であると、油汚れに対する洗浄力が高まる。一方、前記の好ましい上限値以下であると、液体洗浄剤の液の均一性が保たれやすく、スポンジからの油汚れ等の除去の効果が安定に得られる。
【0026】
液体洗浄剤における(B)成分と(C)成分との合計の含有量、すなわち、液体洗浄剤におけるアニオン界面活性剤の総量は、該液体洗浄剤の総質量に対して5〜30質量%であることが好ましく、7〜20質量%であることがより好ましい。
アニオン界面活性剤の総量が、前記の好ましい下限値以上であると、油汚れに対する洗浄力が高まる。一方、前記の好ましい上限値以下であると、(A)成分又は(D)成分との配合バランスを取りやすい。また、液体洗浄剤の液の均一性が保たれやすい。
【0027】
液体洗浄剤に含まれるアニオン界面活性剤に占める(B)成分の割合、すなわち、(B)成分と(C)成分との合計の含有量に占める、(B)成分の含有量の質量割合は、(B)成分/((B)成分+(C)成分)で表される質量比で、0.005〜0.45が好ましく、0.04〜0.35がより好ましく、0.06〜0.25がさらに好ましい。
(B)成分/((B)成分+(C)成分)で表される質量比が前記の範囲内であれば、スポンジに油汚れ等が残りにくく、スポンジの消臭効果が得られやすくなる。また、この質量比が、前記の好ましい下限値以上であると、油汚れに対する洗浄力がより高まり、一方、前記の好ましい上限値以下であると、スポンジに油汚れ等が残りにくくなる。
【0028】
<(D)成分:半極性界面活性剤及び両性界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも一種>
本発明における(D)成分は、半極性界面活性剤及び両性界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも一種である。(D)成分と上記アニオン界面活性剤とを併有することにより、食器洗い用洗剤の基本特性である『油汚れに対する洗浄力』及び『泡立ち』が高まる。
【0029】
本発明において、「半極性界面活性剤」とは、半極性結合(無極性結合及び極性結合の中間の性質を有する結合)を有する界面活性剤であり、半極性界面活性剤が溶解する溶液又は分散する分散液のpHにより、陽イオン性、陰イオン性又は両極性となるものをいう。
(D)成分における半極性界面活性剤としては、例えばアミンオキシド型界面活性剤が挙げられ、具体的には、アルキルアミンオキシド、アルカノイルアミドアルキルアミンオキシドが挙げられる。
好ましい半極性界面活性剤としては、下記一般式(d1)で表される化合物が挙げられる。
【0030】
【化4】
[式中、R
2は、炭素数8〜18の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基又はアルケニル基を表す。R
3及びR
4は、それぞれ独立して、炭素数1〜3のアルキル基又はヒドロキシアルキル基を表す。R
5は、炭素数1〜4のアルキレン基を表す。pは、0又は1である。]
【0031】
前記式(d1)中、R
2は、炭素数8〜18の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、又は炭素数8〜18の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルケニル基であり、炭素数8〜18の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基が好ましい。R
2における炭素数は、8〜18であり、好ましくは炭素数10〜14である。
前記式(d1)中、R
3及びR
4は、それぞれ独立して、炭素数1〜3のアルキル基、又は炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基であり、炭素数1〜3のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。中でも、R
3及びR
4がいずれもメチル基であることがさらに好ましい。
前記式(d1)中、R
5における炭素数は、1〜4であり、好ましくは炭素数1〜3であり、より好ましくは炭素数3である。
前記式(d1)中、pは、0又は1であり、0が好ましい。
【0032】
半極性型界面活性剤として具体的には、ラウリルジメチルアミンオキシド、ヤシアルキルジメチルアミンオキシド、ラウリルジエチルアミンオキシド、ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド等が挙げられる。
中でも、本発明の効果が特に得られやすいことから、一般式(d1)(式中のpが0)で表される化合物が好ましく、その中でも、ラウリルジメチルアミンオキシドがより好ましい。
【0033】
(D)成分における両性界面活性剤としては、例えばカルボン酸型のもの、硫酸エステル型のもの、スルホン酸型のもの、リン酸エステル型のものが挙げられ、これらの中でも、カルボン酸型のものが好ましい。
カルボン酸型のものとして具体的には、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシアルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシアルキルアミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン等のベタイン型両性界面活性剤が挙げられる。
【0034】
(D)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記の中でも、(D)成分としては、本発明の効果が特に得られやすいことから、半極性界面活性剤が好ましい。
液体洗浄剤における(D)成分の含有量は、該液体洗浄剤の総質量に対して2〜20質量%であることが好ましく、6〜12質量%であることがより好ましい。
(D)成分の含有量が前記の好ましい範囲内であれば、油汚れに対する洗浄力がより高まり、加えて、スポンジに油汚れ等が残りにくく、スポンジの消臭効果がより得られやすくなる。また、前記の好ましい下限値以上であると、油汚れに対する洗浄力が高まる。一方、前記の好ましい上限値以下であると、液体洗浄剤の液の均一性が保たれやすく、スポンジからの油汚れ等の除去の効果が安定に得られる。
【0035】
液体洗浄剤に含まれる(B)成分と(C)成分と(D)成分との質量比、すなわち、アニオン界面活性剤((B)成分及び(C)成分)と(D)成分との質量比は、((B)成分+(C)成分)/(D)成分で表される質量比で、0.5〜6が好ましく、0.6〜2.5がより好ましく、1〜2がさらに好ましい。
((B)成分+(C)成分)/(D)成分で表される質量比が前記の範囲内であれば、油汚れに対する洗浄力が高まる。加えて、スポンジに油汚れ等が残りにくく、スポンジの消臭効果が得られやすくなる。また、この質量比が、前記の好ましい下限値以上であると、油汚れに対する洗浄力がより高まり、前記の好ましい上限値以下であると、スポンジに油汚れ等が残りにくくなる。
【0036】
<溶媒>
本発明の液体洗浄剤は、液体洗浄剤の調製しやすさ、使用する際の水への溶解性等の観点から、溶媒として水を含有することが好ましい。
液体洗浄剤中の水の含有量は、液体洗浄剤の総質量に対して75質量%以下が好ましく、40〜70質量%がより好ましく、50〜70質量%がさらに好ましい。
水の含有量が、前記の好ましい下限値以上であると、ゲル化が抑制され、経時に伴う液体洗浄剤の液安定性がより良好となる。一方、前記の好ましい上限値以下であれば、(A)〜(D)成分の配合バランスがとりやすくなる。また、液粘度が低くなりすぎず、使用性が良好となる。
【0037】
<任意成分>
本発明の液体洗浄剤は、本発明の効果を損なわない範囲で必要に応じて、上述した成分以外の任意成分を含有してもよい。
この任意成分としては、特に限定されず、通常、台所用洗剤に配合される成分が挙げられ、例えば防腐剤、ハイドロトロープ剤、上記の(A)〜(D)成分以外の界面活性剤、pH調整剤、漂白成分、金属捕捉成分、ラジカルトラップ剤、香料などが挙げられる。
【0038】
・防腐剤
本発明の液体洗浄剤においては、(A)〜(D)成分に加えて、防腐剤としてイソチアゾリン系化合物((E)成分)をさらに含有することが好ましい。(E)成分をさらに含有することで、スポンジの消臭効果がより高まる。加えて、特に(A)成分との組合せによって、液体洗浄剤が高温下で保管された場合でも、スポンジからの臭気の発生が抑制される。
(E)成分としては、例えば、ベンズイソチアゾリノン(以下「(E1)成分」ともいう)、メチルイソチアゾリノン(以下「(E2)成分」ともいう);ブチルベンズイソチアゾリノン、クロロメチルイソチアゾリノン、オクチルイソチアゾリノン、ジクロロオクチルイソチアゾリノン等が挙げられる。以下、(E1)成分及び(E2)成分以外のイソチアゾリン系化合物を「(E3)成分」ともいう。
(E)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記の中でも、(E)成分としては、(E1)成分及び(E2)成分からなる群より選ばれる少なくとも一種が好ましい。その中でも、長期間に渡ってスポンジからの臭気の発生が抑制されることから、(E1)成分と(E2)成分とを併有することがより好ましく、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンと2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンとを併有することが特に好ましい。
【0039】
(E)成分を用いる場合、液体洗浄剤における(E)成分の含有量は、該液体洗浄剤の総質量に対して0.0002〜0.01質量%(2〜100ppm)であることが好ましく、0.0005〜0.004質量%(5〜40ppm)であることがより好ましい。
(E)成分の含有量が、前記の好ましい下限値以上であると、スポンジからの臭気の発生がより抑制され、スポンジの消臭効果が高まる。一方、前記の好ましい上限値以下であると、手肌などの皮膚への刺激がより低減される。
【0040】
(E)成分として(E1)成分と(E2)成分とを用いる場合、液体洗浄剤における(E1)成分の含有量は、該液体洗浄剤の総質量に対して0.0002〜0.005質量%(2〜50ppm)であることが好ましく、0.0005〜0.002質量%(5〜20ppm)であることがより好ましい。
液体洗浄剤における(E2)成分の含有量は、該液体洗浄剤の総質量に対して0.0002〜0.005質量%(2〜50ppm)であることが好ましく、0.0005〜0.002質量%(5〜20ppm)であることがより好ましい。
(E1)成分及び(E2)成分の含有量が、それぞれ前記の好ましい下限値以上であると、スポンジからの臭気の発生がより抑制され、スポンジの消臭効果が高まる。一方、前記の好ましい上限値以下であると、手肌などの皮膚への刺激がより低減される。
【0041】
本発明において、「(E1)成分/(E2)成分で表される質量比」とは、液体洗浄剤に含まれる(E2)成分の含有量に対する、(E1)成分の含有量の質量割合を意味する。
液体洗浄剤中の(E1)成分と(E2)成分との質量比、すなわち、(E1)成分/(E2)成分で表される質量比は、0.2〜5が好ましく、0.5〜2がより好ましい。
(E1)成分/(E2)成分で表される質量比が前記の範囲内であれば、長期間に渡ってスポンジからの臭気の発生が抑制される。
【0042】
また、「(A)成分/(E)成分で表される質量比」とは、液体洗浄剤に含まれる(E)成分の含有量に対する、(A)成分の含有量の質量割合を意味する。
液体洗浄剤中の(A)成分と(E)成分との質量比、すなわち、(A)成分/(E)成分で表される質量比は、1000〜5000が好ましく、2000〜4000がより好ましい。
(A)成分/(E)成分で表される質量比が、前記の好ましい下限値以上であると、長期間に渡ってスポンジからの臭気の発生が抑制されやすくなり、一方、前記の好ましい上限値以下であると、手肌などの皮膚への刺激がより低減される。
【0043】
・ハイドロトロープ剤
ハイドロトロープ剤としては、例えば、炭素数2〜4の1価アルコール、炭素数4〜10のグリセリルエーテル、トルエンスルホン酸、トルエンスルホン酸塩、クメンスルホン酸、クメンスルホン酸塩、安息香酸、安息香酸塩などが挙げられる。
炭素数2〜4の1価アルコールとしては、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、ノルマルブタノール、セカンダリーブタノール、ターシャリーブタノール等が挙げられる。
炭素数4〜10のグリセリルエーテルとしては、グリセリン、ヘキシルグリセリルエーテル等が挙げられる。
中でも、液体洗浄剤中の(A)〜(D)成分の溶解効果、及び使用感の点から、炭素数2〜4の1価アルコール、トルエンスルホン酸又はその塩が好ましく、エタノール、パラトルエンスルホン酸塩がより好ましい。
ハイドロトロープ剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ハイドロトロープ剤を用いる場合、液体洗浄剤におけるハイドロトロープ剤の含有量は、該液体洗浄剤の総質量に対して1〜30質量%であることが好ましく、5〜20質量%であることがより好ましい。
【0044】
・界面活性剤
上記の(A)〜(D)成分以外の界面活性剤としては、(A)成分以外のノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤などが挙げられる。
【0045】
このノニオン界面活性剤としては、(A)成分以外であれば特に限定されず、例えば直鎖型のものが挙げられる。具体的には、ポリオキシアルキレン付加型ノニオン界面活性剤、アルキルグリコシド、ソルビタン脂肪酸エステル等が挙げられ、これらの中でも、ポリオキシアルキレン付加型ノニオン界面活性剤が好ましい。
ポリオキシアルキレン付加型ノニオン界面活性剤の中でも、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルがより好ましく、一般式:R
6−O−(R
7O)q−Hで表される化合物がさらに好ましい。
前記の一般式中、R
6は、炭素数10〜18の直鎖状の炭化水素基、又は炭素数10〜18の分岐鎖状の炭化水素基である。R
7Oは、オキシアルキレン基である。R
7は、炭素数1〜3の炭化水素基であり、好ましくはエチレン基、プロピレン基である。qは、R
7Oの平均繰返し数を表し、1〜20の数であり、好ましくは5〜20の数であり、より好ましくは5〜15の数である。前記一般式で表される化合物の中でも、R
6の炭素数が10〜18、R
7の炭素数が2又は3、qが5〜20の数であるポリオキシアルキレンアルキルエーテルが好ましい。
【0046】
カチオン界面活性剤としては、特に限定されず公知のものを使用することができる。具体的には、ジデシルジメチルアンモニウムクロライド、ジデシルジメチルアンモニウムメトサルフェート、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド、ジオクチルジメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルジヒドロキシエチルアンモニウムクロライド、ジ牛脂アルキルジメチルアンモニウムクロライド、ジ(ステアロイルオキシエチル)ジメチルアンモニウムクロライド、ジ(オレオイルオキシエチル)ジメチルアンモニウムクロライド、ジ(パルミトイルオキシエチル)ジメチルアンモニウムメトサルフェート、ジ(ステアロイルオキシイソプロピル)ジメチルアンモニウムクロライド、ジ(オレオイルオキシイソプロピル)ジメチルアンモニウムクロライド、ジ(オレオイルオキシブチル)ジメチルアンモニウムクロライド、ジ(ステアロイルオキシエチル)メチルヒドロキシエチルアンモニウムメトサルフェート、トリ(ステアロイルオキシエチル)メチルメトサルフェート等が挙げられる。尚、「牛脂アルキル」基の炭素数は14〜18である。
【0047】
本発明の液体洗浄剤における、(A)〜(D)成分を含む界面活性剤の総量は、該液体洗浄剤の総質量に対して10〜50質量%であることが好ましく、15〜35質量%であることがより好ましい。
【0048】
・pH調整剤
pH調整剤としては、塩酸、硫酸、リン酸、グリコール酸、クエン酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等が挙げられる。
pH調整剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0049】
本発明の液体洗浄剤における25℃のpHは、6〜9であることが好ましく、6〜8であることがより好ましい。
本発明において、液体洗浄剤(25℃に調温)のpHは、pHメーターを用い、JIS K3362−1998に準拠した方法により測定される値を示す。
【0050】
本発明の液体洗浄剤は、定法により、溶媒と、(A)成分と、(B)成分と、(C)成分と、(D)成分と、必要に応じて前記任意成分と、を混合することにより製造される。
【0051】
以上説明したように、本発明の液体洗浄剤においては、(A)成分と(B)成分と(C)成分と(D)成分とを含有する。かかる液体洗浄剤は、主として(C)成分と(D)成分とを併有することにより、食器等に付着した油汚れに対して高い洗浄力を有する。これに加えて、(A)成分と(B)成分とが特定の質量比、すなわち、(A)成分/(B)成分で表される質量比が0.8〜60で併用されることにより、スポンジに付着した油汚れ等が、かかる液体洗浄剤を希釈した洗浄液に容易に溶解又は分散する。このため、食器洗いの後、スポンジに残存する、微生物の栄養源となり得る油汚れ等が少なく、スポンジからの悪臭の発生が抑えられる。したがって、本発明の液体洗浄剤によれば、通常の使用方法(食器洗い用液体洗浄剤が注ぎ足されたスポンジで食器等を擦り洗いする操作)であっても、スポンジに油汚れ等が残りにくく、スポンジを消臭できる。
【実施例】
【0052】
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、「%」は特に断りがない限り「質量%」を示す。
【0053】
各例の液体洗浄剤の組成を表1〜5に示した。
本実施例において使用した原料は下記の通りである。
【0054】
・(A)成分:一般式(a1)で表される化合物
a−1:ポリオキシエチレンモノ(2−プロピルへプチル)エーテル(EO10)、BASF社製、商品名「Lutensol XP100」;上記一般式(a1)におけるm=10、x=3、y=5の化合物。
a−2:ポリオキシエチレンモノ(2−プロピルへプチル)エーテル(EO8)、BASF社製、商品名「Lutensol XP80」;上記一般式(a1)におけるm=8、x=3、y=5の化合物。
a−3:ポリオキシエチレンモノ(2−エチルヘキシル)エーテル(EO8)、日本乳化剤株式会社製、商品名「ニューコール1008」;上記一般式(a1)におけるm=8、x=2、y=4の化合物。
【0055】
・(A)成分の比較成分[以下「(A’)成分」と表す。]
a’−1:C10オキソアルコールエトキシレート(EO11)、BASF社製、商品名「Lutensol ON−110」。
a’−2:C12〜13アルコールエトキシレート(EO10)、日本乳化剤株式会社製、商品名「ニューコール2310」。
【0056】
・(B)成分:直鎖アルキルベンゼンスルホン酸又はその塩
b−1:炭素数10〜14のアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、テイカ株式会社製の商品名「テイカパワーL121」が水酸化ナトリウムで中和されたもの。
【0057】
・(C)成分:(B)成分以外のアニオン界面活性剤
c−1:AES(1EO)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム;上記一般式(c1)におけるR
1=炭素数12〜14の直鎖状アルキル基、n=1、M=ナトリウム。
[c−1の調製例]
4Lオートクレーブ中に、原料アルコールとしてP&G社製の商品名CO1270アルコール(C12/C14=75%/25%,質量比)400gと、反応用触媒として水酸化カリウム触媒0.8gと、をそれぞれ仕込み、オートクレーブ内を窒素で置換した後、撹拌しながら昇温した。続いて、温度を180℃、圧力を0.3MPa以下に維持しつつ、エチレンオキシド91gを導入し、反応させた。得られたポリオキシアルキレンエーテルのエチレンオキシドの平均付加モル数は1であった。
次に、このようにして得られたアルコールエトキシレート237gを、撹拌装置付の500mLフラスコに採り、窒素置換の後、液体無水硫酸(サルファン)96gを、反応温度40℃に保ちながらゆっくりと滴下した。滴下終了の後、撹拌を1時間続け(硫酸化反応)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸を得た。
次いで、これを、水酸化ナトリウム水溶液で中和することによりc−1を得た。
【0058】
c−2:AES(2EO)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、BASF社製、商品名「Texapon N70T」;上記一般式(c1)におけるR
1=炭素数12〜14の直鎖状アルキル基、n=2、M=ナトリウム。
【0059】
c−3:AES(4EO)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム;上記一般式(c1)におけるR
1=炭素数12〜14の直鎖状アルキル基、n=4、M=ナトリウム。
[c−3の調製例]
c−1の調製例と同様にして、エチレンオキシド364gを導入し、反応させることにより、ポリオキシアルキレンエーテルのエチレンオキシドの平均付加モル数4の化合物を得た。次に、液体無水硫酸(サルファン)96gを反応させ、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸を得た。次いで、これを、水酸化ナトリウム水溶液で中和することによりc−3を得た。
【0060】
c−4:炭素数14〜17の2級アルカンスルホン酸ナトリウム、クラリアントジャパン株式会社製、商品名「HOSTAPUR SAS 30A」。
【0061】
・(D)成分:半極性界面活性剤及び両性界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも一種
d−1:AX、n−ドデシルジメチルアミンオキシド、ライオン・アクゾ株式会社製、商品名「アロモックス DM12D−W」;上記一般式(d1)におけるR
2=炭素数12の直鎖状アルキル基、R
3=メチル基、R
4=メチル基、p=0。
d−2:APAX、ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド、クラリアント社製、商品名「GENAMINOX AP」;上記一般式(d1)におけるR
2=炭素数12の直鎖状アルキル基、R
3=メチル基、R
4=メチル基、p=1、R
5=プロピレン基。
d−3:LDB、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、第一工業製薬株式会社製、商品名「アミーゲンS」。
【0062】
・(E)成分:イソチアゾリン系化合物
e1−1:(E1)成分、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、アーチケミカルズ社製、商品名「PROXEL XL2」。
e2−1:(E2)成分、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、ローム・アンド・ハース社製、商品名「ネオロン M−10」。
e3−1:(E3)成分、N−n−ブチル−1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、アーチケミカルズ社製、商品名「VANQUISH 100」。
e3−2:(E3)成分、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン(1.15質量%)と2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン(0.35質量%)との混合物、ローム・アンド・ハース社製、商品名「ケーソンCG」。
e3−3:(E3)成分、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、東京化成工業株式会社製。
【0063】
・任意成分
エタノール、関東化学株式会社製。
p−TSH:パラトルエンスルホン酸、関東化学株式会社製。
pH調整剤:水酸化ナトリウム、関東化学株式会社製。
【0064】
・溶媒
水:蒸留水。
【0065】
<液体洗浄剤の製造>
(実施例1〜60、比較例1〜18)
表1〜5に示す配合組成に従って、以下に示す製造方法(未配合の成分がある場合、その成分は配合しない。)により、各例の液体洗浄剤1000gをそれぞれ調製した。
表中の配合量の単位は質量%であり、いずれの成分も純分換算量を示す。なお、各例の液体洗浄剤は、表に記載の各成分の合計が100質量%となるように、水でバランスして調製した。
表中、「質量比(A)/(B)」は、(A)成分/(B)成分で表される質量比、と同義であり、液体洗浄剤に含まれる(B)成分の含有量に対する、(A)成分の含有量の質量割合を意味する。
「質量比(B)/((B)+(C))」は、(B)成分/((B)成分+(C)成分)で表される質量比、と同義であり、液体洗浄剤に含まれる(B)成分と(C)成分との合計の含有量に占める、(B)成分の含有量の質量割合を意味する。
「質量比((B)+(C))/(D)」は、((B)成分+(C)成分)/(D)成分で表される質量比、と同義であり、液体洗浄剤に含まれる(D)成分の含有量に対する、(B)成分と(C)成分との合計の含有量の質量割合を意味する。
「質量比(E1)/(E2)」は、(E1)成分/(E2)成分で表される質量比、と同義であり、液体洗浄剤に含まれる(E2)成分の含有量に対する、(E1)成分の含有量の質量割合を意味する。
「質量比(A)/(E)」は、(A)成分/(E)成分で表される質量比、と同義であり、液体洗浄剤に含まれる(E)成分の含有量(質量%)に対する、(A)成分の含有量(質量%)の質量割合を意味する。
【0066】
[液体洗浄剤の製造方法]
まず、1Lビーカーに、(A)成分又は(A’)成分と、(B)成分と、エタノールと、を入れ、マグネチックスターラー(Fine製、製品名F−606N)で充分に撹拌した。続いて、(C)成分と(D)成分と(E)成分とp−TSHとを入れて混合した。
該混合が終了した後、25℃でのpHが6〜8の範囲になるように、必要に応じてpH調整剤を適量添加した。
その後、全体量が100質量%になるように蒸留水を入れ、さらに撹拌することにより液体洗浄剤を得た。
上記のpHは、25℃に調温し、ガラス電極式pHメーター(東亜ディーケーケー株式会社製、製品名HM−30G)を用い、ガラス電極を組成物に直接に浸漬し、1分間経過後に示す値を測定した。この25℃のpHを表中に示した。
【0067】
<液体洗浄剤の評価>
各例の液体洗浄剤について、以下に示す評価方法によって、油汚れに対する洗浄力、スポンジへの汚れの残りにくさ、スポンジの消臭効果をそれぞれ評価した。その結果を表1〜5に併記した。
【0068】
[油汚れに対する洗浄力についての評価]
1)油汚れの調製
油汚れとして、固体脂である牛脂(和光純薬工業株式会社製)とスダンIV(関東化学株式会社製)とを混合し、着色した牛脂(着色牛脂)を調製した。着色牛脂におけるスダンIV濃度は1質量%に設定した。
2)汚垢モデルの作製
前記着色牛脂1gを、縦10cm×横15cm×高さ5cmのプラスチック製の容器(商品名ネオキーパー、岩崎工業株式会社製)内側の全面に均一になるように塗布し、これを汚垢モデルとした。
3)洗浄試験
縦11.5cm×横7.5cm×高さ3cmの食器洗い用スポンジ(商品名スコッチブライト、住友スリーエム株式会社製)に、水道水38gと各例の液体洗浄剤2gとをそれぞれ採り、10回手で揉んだ後、擦り洗いを行った。具体的には、水道水と液体洗浄剤とを含んだスポンジで、上記汚垢モデルの内側底面を10回、内側面を1回、内側の四隅を5回擦った後、水道水で濯ぐ操作を施した。
4)油汚れに対する洗浄力についての評価
擦り洗いの後、容器内面の油汚れの落ち具合を評価した。
かかる評価は、下記の評価基準(4段階評価)に基づいて行い、油汚れに対する洗浄力についての評価とした。
評価基準
◎:着色牛脂の汚れ残りが目視で認められず、着色牛油の残留によるヌルつきがない。
○:着色牛脂の汚れ残りが目視で認められないが、着色牛脂の残留によるヌルつきが僅かにある。
△:着色牛脂の汚れ残りが目視で認められ、着色牛脂の残留によるヌルつきがある。
×:着色牛脂の汚れ残りがかなり多く見られる。
【0069】
[スポンジへの汚れの残りにくさについての評価]
縦11.5cm×横7.5cm×高さ3cmの食器洗い用スポンジ(商品名スコッチブライト、住友スリーエム株式会社製)の片面の中央部にゴマ油(かどや製油製)1gを載せた。次いで、ゴマ油が載せられた側の面を上方に向けて、そのスポンジを、1Lガラスビーカー内の底部に、両面テープで固定した。
次いで、各例の液体洗浄剤を水道水で希釈した洗浄液(液体洗浄剤濃度5質量%)700mLを、前記ガラスビーカーに泡立たないようにゆっくり注ぎ入れた。
そして、食器洗い用スポンジと前記洗浄液との界面を、マイクロスコープ(キーエンス製、製品名VHX−500)を用いて観察し、以下に示す2通りの方法(評価の開始から3分が経過するまで、10分が経過した後)によって、スポンジへの汚れの残りにくさについて評価した。
【0070】
前記洗浄液700mLの全量を前記ガラスビーカーに注ぎ入れてから3分が経過するまでの間、食器洗い用スポンジに載せられ含浸したゴマ油が前記洗浄液へ溶解する挙動を、下記の評価基準(3段階評価)に基づいて評価した。
尚、ゴマ油が前記洗浄液へ溶解する挙動は、黄色味を帯びたゴマ油が前記洗浄液中で揺らいで見えることにより観察される。
評価基準
◎:評価の開始直後から、ゴマ油の前記洗浄液への溶解が継続的に見られる。
○:評価の開始直後は、ゴマ油の前記洗浄液への溶解が見られたが、3分経過時点では見られない。
×:評価の開始直後から、ゴマ油の前記洗浄液への溶解が見られない。
【0071】
また、前記洗浄液700mLの全量を前記ガラスビーカーに注ぎ入れてから10分が経過した後、前記ガラスビーカーから食器洗い用スポンジを取り出し、その際の該スポンジ面におけるゴマ油の残存状態を、下記の評価基準(4段階評価)に基づいて評価した。
評価基準
◎:食器洗い用スポンジにゴマ油が全く残存していなかった。
○:食器洗い用スポンジにゴマ油がわずかに残存していた。
△:食器洗い用スポンジにゴマ油がはっきりと残存していた。
×:食器洗い用スポンジからゴマ油が全く除去されていなかった。
【0072】
[スポンジの消臭効果についての評価]
1)試験用の液体洗浄剤の調製
各例の液体洗浄剤をそれぞれ50℃恒温槽内で1ヶ月間静置保管し、これを試験用の液体洗浄剤として用いた。
2)試験用菌液の調製
アシネトバクター(Acinetobacter ursingii;ATCC BAA−617)を、SCD寒天培地(Soybean−Casein Digest Agar、日本製薬株式会社製)を用いて37℃、24時間の条件で前培養した。
前記SCD寒天培地上に発育したコロニーを、白金耳で掻き取り、生理食塩水(0.85%塩化ナトリウム水溶液)に懸濁させて試験用菌液とした。この試験用菌液は、その懸濁液1mLと生理食塩水9mLとを試験管内で混ぜ合わせ、波長660nmの吸光度が1.0になるように調整した。
3)試験用スポンジの作製
試験用菌液1mLをピペットで量り取り、縦11.5cm×横7.5cm×高さ3cmの食器洗い用スポンジ(商品名スコッチブライト)を6等分したもの(3.8×3.8×3cm)にそれぞれ載せた。続いて、大豆油(関東化学株式会社製)1mLをピペットで量り取り、前記の6等分にされた各スポンジに載せ、これらを試験用スポンジとした。
4)スポンジの消臭効果についての評価
試験用の液体洗浄剤を滅菌水で希釈した洗浄液(液体洗浄剤濃度5質量%)50mLを滅菌採水瓶(栄研化学株式会社製)に入れ、そこに、試験用スポンジを沈めて10分間静置した。次いで、取り出した試験用スポンジを、イオン交換水200mL中で10回揉み洗いする操作を3回繰り返し、試験用スポンジから液体洗浄剤を除去した。
かかる試験用スポンジに対する、10分間静置及び10回揉み洗いする操作を計3回繰り返した。
次いで、試験用スポンジを滅菌採水瓶に入れて、滅菌水3mLを含ませた後、37℃で3日間培養した。
次いで、3日間培養後の試験用スポンジにおける臭気を、下記の評価基準に基づいて評価した。この臭気の評価は、試験用スポンジ3個について行った。
臭気の評価基準
0点:無臭。
1点:やっと感知できるニオイ。
2点:何のニオイであるかが分かる程度の弱いニオイ。
3点:楽に感知できるニオイ。
4点:強いニオイ。
5点:強烈なニオイ。
前記試験用スポンジ3個における臭気の評価点の平均値を算出し、下記の評価基準に基づいて、スポンジの消臭効果を評価した。
スポンジの消臭効果の評価基準
◎:臭気の評価点の平均値が、1点未満。
○:臭気の評価点の平均値が1点以上2点未満。
△:臭気の評価点の平均値が2点以上3点未満。
×:臭気の評価点の平均値が3点以上。
【0073】
【表1】
【0074】
【表2】
【0075】
【表3】
【0076】
【表4】
【0077】
【表5】
【0078】
表1〜5に示す結果から、本発明を適用した実施例1〜60の液体洗浄剤は、食器等に付着した油汚れに対して高い洗浄力を有し、通常の使用方法により、スポンジに油汚れ等が残りにくく、スポンジを消臭できることが確認できた。