特許第6207085号(P6207085)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 豊田興産株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6207085-家畜用飼料 図000002
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6207085
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】家畜用飼料
(51)【国際特許分類】
   A23K 10/37 20160101AFI20170925BHJP
   A23K 20/189 20160101ALI20170925BHJP
   A23K 40/10 20160101ALI20170925BHJP
   A01G 1/04 20060101ALI20170925BHJP
【FI】
   A23K10/37
   A23K20/189
   A23K40/10
   A01G1/04 C
   A01G1/04 A
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-143277(P2014-143277)
(22)【出願日】2014年7月11日
(65)【公開番号】特開2016-15962(P2016-15962A)
(43)【公開日】2016年2月1日
【審査請求日】2016年5月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】504376289
【氏名又は名称】豊田興産株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001726
【氏名又は名称】特許業務法人綿貫国際特許・商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】勝山 正美
【審査官】 門 良成
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−029125(JP,A)
【文献】 特開昭63−291543(JP,A)
【文献】 特開平02−031651(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23K10/00−50/00
A01G 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒径が2mm以下のコーンコブを主原料とする茸廃培地と、アニマーゼ・アイワ(株式会社アイワ製)と、ふすまと、濃厚飼料と、が用いられてなる家畜用飼料において、
前記茸廃培地と、前記アニマーゼ・アイワと、前記ふすまおよび前記濃厚飼料と、における質量割合が、前記茸廃培地が80〜90%、前記アニマーゼ・アイワが5%、前記ふすまと前記濃厚飼料の混合体が5〜15%であって、かつ、ペレット形状に加工されていることを特徴とする家畜用飼料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は家畜用飼料に関し、より詳細には、えのき茸の人工栽培後に発生する茸廃培地を用いた家畜用飼料に関する。
【背景技術】
【0002】
茸の人工栽培後に排出される茸廃培地の有効利用方法の一例として、茸廃培地を家畜用飼料の原材料として使用する技術がある。このような技術の一例として特許文献1に開示されているようなものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5282213号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されている技術は、りんご果実を用いて調整した茸培地であることが前提であるため、広く一般に用いられているコーンコブを主原料とする茸培地の有効利用については何ら開示されていない。
【0005】
そこで本願発明は広く一般に用いられているコーンコブを主原料とする茸廃培地を家畜用飼料として有効利用することを可能にした茸廃培地を用いた家畜用飼料の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため本願発明者が鋭意研究した結果、以下の構成に想到した。
すなわち、本発明は、粒径が2mm以下のコーンコブを主原料とする茸廃培地と、アニマーゼ・アイワ(株式会社アイワ製)と、ふすまと、濃厚飼料と、が用いられてなる家畜用飼料において、前記茸廃培地と、前記アニマーゼ・アイワと、前記ふすまおよび前記濃厚飼料と、における質量割合が、前記茸廃培地が80〜90%、前記アニマーゼ・アイワが5%、前記ふすまと前記濃厚飼料の混合体が5〜15%であって、かつ、ペレット形状に加工されていることを特徴とする家畜用飼料である。
【0007】
これにより、えのき茸に代表される茸の人工栽培後に生じる茸廃培地の有効利用が可能になる。また、茸廃培地には、ミネラル分やたんぱく質成分が添加剤として豊富に含まれているため、家畜用飼料として用いることで、家畜の食欲が向上し発育が良好になる。また、アニマーゼ・アイワ(株式会社アイワ製)を加えたことにより、家畜の腸内環境が良好になり、排泄物の悪臭を大幅に低減させることが可能になる。また、ペレット形状に加工されているため運搬や保管が容易である。
【発明の効果】
【0008】
本発明にかかる家畜用飼料の構成を採用することにより、従来最も再利用が困難であった細粒分の茸廃培地を家畜用飼料の主原料にすることができ、広く一般に用いられているコーンコブを主原料とする茸廃培地の有効利用が可能になる。また、茸廃培地には、茸栽培前に添加剤として添加されたミネラル分やたんぱく質成分が豊富に含まれているため、家畜用飼料として用いることで、家畜の肥育や健康度が良好になる。さらには、複雑な加工処理をすることなく家畜用飼料を得ることができるため、大量に発生する茸廃培地を確実に再利用することができ、ペレット形状に加工されていることで運搬や保管も容易である。
さらにまた、アニマーゼ・アイワ(株式会社アイワ製)を加えたことにより、家畜の腸内環境が良好になり、排泄物の悪臭を大幅に低減させることが可能になり、発育や肥育を促進させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態における家畜用飼料の原料として用いて好適な茸廃培地を得るための茸廃培地処理装置の概略構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明にかかる家畜用飼料について、図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態における家畜用飼料の原料として用いて好適な茸廃培地を得るための茸廃培地処理装置の概略構成を示す説明図である。図1に示す茸廃培地処理装置は、乾燥処理後の茸廃培地を粒度調整した後に、粗粒分の一部を燃料として循環利用すると共に、細粒分を家畜用飼料の原料として採取するものである。本実施形態にかかる家畜用飼料は、えのき茸の人工栽培後に生じるコーンコブを主原料とした茸廃培地を主体としている。
【0011】
図1に示す茸廃培地処理装置100は、運転開始時には重油バーナー10を用いて重油を燃焼させることにより生じた燃焼ガスを熱風発生機20に熱風として供給している。熱風発生機20に供給された熱風は、熱風供給路22を介して縦型乾燥機30に供給される。熱風供給路22は縦型乾燥機30の底部分に配設された熱風取込部32に連結されている。図1に示すように縦型乾燥機30は縦長形状に形成されていて、熱風取込部32から取り込まれた熱風は縦型乾燥機30の内部空間を上昇し、縦型乾燥機の上部に配設された排出口34から縦型乾燥機30の外部に排出される。
【0012】
縦型乾燥機30には、熱風取込部32よりも下側位置に回転破砕機33が配設されていると共に、熱風取込部32よりも上側位置には乾燥処理対象物供給口である茸廃培地供給口36が配設されている。茸廃培地供給口36には乾燥処理対象物供給路42が連結されている。ここでは乾燥処理対象物供給路42としてフィードスクリューを用いている。乾燥処理対象物供給路42の上流側には茸廃培地を投入するための材料投入口40を有する混合機44が配設されている。ここでは混合機としてパドルミキサーを採用した。
【0013】
材料投入口40から供給された茸廃培地は、混合機44および乾燥処理対象物供給路42を経由して茸廃培地供給口36に供給され、縦型乾燥機30の内部空間に投入される。起動時においては混合機44を通過する茸廃培地は単に搬送されるのみとなる。
【0014】
縦型乾燥機30の内部空間に投入された茸廃培地は、縦型乾燥機30の底部に配設された回転破砕機33により粉砕されると共に熱風取込部32側に放出され(かき上げられ)、熱風取込部32からの熱風によって乾燥処理を受けることになる。先にも説明したとおり、縦型乾燥機30の内部空間には、熱風による上昇流が生じているため、熱風により乾燥された茸廃培地(乾燥茸廃培地)は、熱風と共に縦型乾燥機30の内部空間を上方位置まで上昇し、排出口34から縦型乾燥機30の外部に排出されることになる。
【0015】
縦型乾燥機30の排出口34には搬送路38が連結されている。搬送路38の下流側端部は熱風と乾燥処理体である乾燥茸廃培地の混合体を熱風と乾燥茸廃培地とに分離するためのサイクロン炉50に連結されている。
サイクロン炉50により分離された熱風は、ウォータースクラバーに代表されるバグフィルター52による排気処理がなされた後、大気中に排出される。
【0016】
一方、サイクロン炉50により熱風と分離された乾燥茸廃培地は、逆Y字型をなす管体に形成された分割部60を通過させることにより分離した乾燥茸廃培地を略二分割する。分割部60における一方の分岐先62は戻りコンベア66に向けて開口しており、乾燥茸廃培地のうちの約半分が戻りコンベア66に排出される。戻りコンベア66の終端位置には混合機44であるパドルミキサーの第2投入部46が位置決めされた状態で設置されている。
【0017】
戻りコンベア66から混合機44に供給された乾燥茸廃培地は、縦型乾燥機30を少なくとも一回通過しているので、材料投入口40から投入される乾燥処理対象物としての茸廃培地(含水率50%)に比較して大幅に低い含水率(含水率10〜20%)になっている。このように含水率が低い乾燥茸廃培地を材料投入口40から投入された茸廃培地と混合機44によって混合させることにより、乾燥処理対象物供給路42から縦型乾燥機30に供給される茸廃培地の含水率は、当初の含水率に比較して半分程度の30%程度にするいわゆる事前乾燥処理を行うことができる。このように事前乾燥処理がなされた茸廃培地を乾燥処理対象物として用いることにより、縦型乾燥機30による処理時間の短縮や、縦型乾燥機30内に供給すべき熱風の温度低減が可能になる等、縦型乾燥機30の負担を軽減することができる点で、きわめて好都合である。
【0018】
また、分割部60の他方の分岐先64には分級部である振動篩70が配設されている。振動篩70は、熱風による乾燥処理(縦型乾燥機30)によって、茸廃培地の主な構成であるコーンコブを所定粒径に基づいて粗粒分と細粒分とに分別するためのものである。
茸廃培地内の粗粒分には栄養分がほとんど含まれていないが、熱量となる成分(カロリー成分)が豊富である。これに対して茸廃培地の細粒分には、熱量となる成分が少ないと共に灰分には不具合があるため燃焼材料としては不適切ではあるが、いわゆる栄養分が豊富である。このように茸廃培地は、燃料向けの粗粒分(粒径寸法が2mmより大きい成分)と家畜用飼料向けの細粒分(粒径寸法が2mm以下の成分)に分けることができるのである。
【0019】
振動篩70を通過した栄養分を高濃度で含む乾燥茸廃培地の細粒分は、回収部80により家畜用飼料の原材料として回収される。回収部80に回収された乾燥茸廃培地の細粒分には、株式会社アイワにより提供されている純植物性の複数種類の天然消化酵素を含有するアニマーゼ・アイワを適量混合する。このように、十分に水分が除去された茸廃培地の細粒分にアニマーゼ・アイワを混合することにより栄養成分に優れた家畜用飼料を得ることができる。なお、回収部80に回収された直後の乾燥茸廃培地の含水率は10〜20%程度であるが、アニマーゼ・アイワを混合させる際には、自然乾燥等により含水率を5〜15%程度にした乾燥茸廃培地を用いるのが好適である。
【0020】
本実施形態においては、乾燥茸廃培地の細粒分とアニマーゼ・アイワの混合体に、米糠やふすまに代表される糠やいわゆる濃厚飼料を適量混入してさらに栄養価の高い家畜用飼料としている。これらの混合割合は特に限定されるものではないが、乾燥茸廃培地が80〜90%、アニマーゼ・アイワが5%、ふすまと濃厚飼料の混合体が5〜15%(いずれも質量割合)とするのが好適である。
【0021】
以上のようにして得た家畜用飼料は、必要に応じてペレタイザに供給してペレット形状に加工してもよい。ペレット加工する材料の含水率が5〜15%であることは、ペレタイザにとっても好都合な含水率である。ペレタイザによりペレット形状に加工された家畜用飼料は、ペレット化する前の状態に比較して運搬や保管がさらに容易になる点で好都合である。
【0022】
以上のような細粒分の有効利用に対して振動篩70に残留した粗粒分の乾燥茸廃培地は、循環供給路90に供給される。循環供給路90の下流側端部は熱風発生機20に連結されている。循環供給路90は送風ファン92により供給されたエアによる搬送がおこなわれている。
【0023】
本実施形態においては、図1に示すように循環供給路90は、熱風発生機20の上部位置において、重油バーナー10の燃焼ガスの供給口と同じ高さ位置に設けられた燃料供給口24に連結されている。燃料供給口24から燃料である乾燥茸廃培地が供給されれば、乾燥茸廃培地のみで熱風を発生させることもできる。このように、ひとたび熱風発生機20に循環供給路90から連続運転用の燃料としての乾燥茸廃培地が供給されれば、材料投入口40から新規の茸廃培地の供給が続く限り乾燥茸廃培地のみを熱風発生機20内で燃焼させて熱風を得ることができる。これにより従来技術にかかる茸廃培地の乾燥装置に比較して重油の使用量を大幅に削減することができる。
【0024】
また、連続運転用の燃料として循環供給路90に供給される粗粒分の乾燥茸廃培地は、燃焼後に凝固体となる成分が大幅に低減されている。このような成分が低減(除去)された乾燥茸廃培地を、熱風発生機20の燃料として用いることにより、熱風発生機20の内壁面に凝固体成分の付着が大幅に抑制される(防止される)ことになり、熱風発生機20のメンテナンス頻度の低減も可能になる点において好都合である。
【0025】
以上に本願発明にかかる茸廃培地を用いた家畜用飼料について、実施形態に基づいて詳細に説明したが、本願発明は以上の実施形態に限定されるものではない。
例えば以上の実施形態においては、茸廃培地処理装置100の起動時における熱源供給部として重油バーナー10を用いているが、ガスバーナーや茸廃培地を原料とするペレットを起動時の燃料とした他のバーナーを採用することもできる。また、予め製造しておいたペレットを連続運転用燃料として循環供給路90または熱風発生機20に供給することもできる。
【0026】
また、材料投入口40に供給される茸廃培地の時間あたりの供給量が一定となるように、図示しない動作制御部により、材料投入口40からの茸廃培地の供給動作が制御されている形態を採用してもよい。
さらには、材料投入口40から供給される茸廃培地の含水率を計測する含水率計測手段を材料投入口40、乾燥処理対象物供給路42、混合機44のいずれかまたは複数を配設し、含水率計測手段により計測された茸廃培地の含水率に応じて、材料投入口40への茸廃培地の投入量を調整する図示しない動作制御部を配設することもできる。
【0027】
また、図示しないが、熱風供給路22には縦型乾燥機30に供給する熱風温度を調整する熱風温度調整部を配設してもよい。この熱風温度調整部としては、外気を取り込む外気取込口や熱交換器を採用することが好ましい。この熱風温度調整部は、熱風供給路22または縦型乾燥機30の内部に配設された温度計により計測された温度に基づいて第2制御部により動作を制御するように構成してもよい。特に熱風温度調整部に熱交換器を採用した場合には、熱交換器により得た熱エネルギーを用いた発電装置(図示せず)をさらに付加すれば、茸廃培地処理装置100の自立運転も可能になり、好適である。
【0028】
また、本実施形態においては、図1に示した茸廃培地処理装置100を用いた家畜用飼料の製造方法を含んだ茸廃培地の再利用方法について例示しているが、この製造方法に限定されるものではない。本願発明にかかる家畜用飼料の主たる構成分であるコーンコブを主原料とする茸廃培地は、購入等により入手したものを用いることも可能である。
【0029】
さらにまた、本実施形態においては家畜用飼料における粗飼料が茸廃培地により構成されているが、これに限定されるものではない。本願発明にかかる家畜用飼料においては、茸廃培地と藁の混合体の他、茸廃培地と青草またはサイレージの混合体、さらには、茸廃培地と藁および青草またはサイレージの混合体により粗飼料を構成することもできる。
【符号の説明】
【0030】
10 重油バーナー,20 熱風発生機,22 熱風供給路,24 燃料供給口,
30 縦型乾燥機,32 熱風取込部,33 回転破砕機,34 排出口,
36 茸廃培地供給口,38 搬送路,
40 材料投入口,42 乾燥処理対象物供給路,44 混合機,46 投入部,
50 サイクロン炉,52 バグフィルター,
60 分割部,62 一方の分岐先,64 他方の分岐先,66 戻りコンベア,
70 振動篩,80 回収部,
90 循環供給路,92 送風ファン,
100 茸廃培地の乾燥装置
図1