特許第6207090号(P6207090)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6207090石膏部材、石膏ボード、及び石膏部材の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6207090
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】石膏部材、石膏ボード、及び石膏部材の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C04B 28/14 20060101AFI20170925BHJP
   C04B 24/06 20060101ALI20170925BHJP
【FI】
   C04B28/14
   C04B24/06 Z
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-262905(P2014-262905)
(22)【出願日】2014年12月25日
(65)【公開番号】特開2016-121048(P2016-121048A)
(43)【公開日】2016年7月7日
【審査請求日】2015年12月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000199245
【氏名又は名称】チヨダウーテ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】特許業務法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山中 誠次
(72)【発明者】
【氏名】平田 倫也
【審査官】 小川 武
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−145655(JP,A)
【文献】 特表2010−536696(JP,A)
【文献】 実開昭55−046633(JP,U)
【文献】 特開昭62−041747(JP,A)
【文献】 特開平09−328837(JP,A)
【文献】 特開平05−017316(JP,A)
【文献】 特開2001−226165(JP,A)
【文献】 米国特許第04645548(US,A)
【文献】 特開平11−012019(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0048680(US,A1)
【文献】 特開昭60−171261(JP,A)
【文献】 赫多 清,小倉 英夫,P−3 せっこうの諸性質に及ぼす硬化促進剤・遅延剤複合添加の影響,歯学,1987年 9月,Vol.75 No.3,P.28-29
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B 2/00−32/02,
C04B 40/00−40/06,
C04B 103/00−111/94
C01F 11/46
E04F 13/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
焼石膏、及び水を含有するスラリーを硬化させたものからなり、ボード状をなした芯材と、この芯材の両面に積層される一対のボード用原紙とを備える石膏ボードであって、
前記スラリーは、酒石酸塩として、酒石酸カリウムのみを含有し、かつ前記酒石酸塩の含有量が、前記焼石膏100質量部当たり、0.02〜1.0質量部であり、
前記芯材の密度が、0.4g/cm以上1.04g/cm以下であることを特徴とする石膏ボード。
【請求項2】
前記芯材の密度が、0.4g/cm以上0.75g/cm以下である請求項1に記載の石膏ボード。
【請求項3】
35℃、90%RHの条件下で48時間経過後の垂れ下がり量(mm)が11.5mm以下である請求項1又は2に記載の石膏ボード。
【請求項4】
一対のボード用原紙と、焼石膏、及び水を含有するスラリーを前記一対のボード用原紙の間で硬化させてなる芯材と、を有する石膏ボードの製造方法であって、
前記スラリーに、酒石酸カリウムのみからなる酒石酸塩が、前記焼石膏100質量部当たり、0.02〜1.0質量部の割合で、粉末状態、又は水に分散若しくは溶解された状態で添加される工程を有する石膏ボードの製造方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、石膏部材、石膏ボード、及び石膏部材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
石膏を主成分とする石膏ボード等の石膏部材は、耐火性、断熱性、遮音性等に優れており、建材等として汎用されている。例えば、特許文献1には、天井材等に利用される石膏ボードが開示されている。
【0003】
ところで、特許文献1に示されるように、石膏ボード等の石膏部材は、厨房等の湿度の高い環境下で用いられると、空気中の水分を吸収して強度が低下してしまうことがあった。例えば、石膏ボードを天井材として用いた場合に、湿気を吸収して石膏ボードに撓みや垂れ下がり等の変形が発生することがあった。近年の建築物は、高気密化が進んでおり、室内の湿度が上昇した場合に、石膏部材が多湿環境下に置かれ易い。そのため、石膏部材の湿気対策が重要視されている。
【0004】
また、近年の建築物には高い耐震性が要求されており、その一環として、低密度化による石膏部材の軽量化が図られている。しかしながら、石膏部材が低密度化されると、石膏部材の強度が低下するため、空気中の水分を吸収した際に石膏部材が影響を受け易く、上述したような撓み等の変形が起き易い状況となっている。
【0005】
このような湿気による石膏部材の変形を抑制するために、特許文献1には、石膏部材(石膏ボード)中に、ホウ酸や酒石酸を添加することが示されている。
【0006】
また、特許文献2及び3には、石膏部材を多湿環境下で使用した場合に、撓み等の変形が発生しないように、石膏部材中にトリメタリン酸ナトリウムを添加することが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平9−328837号公報
【特許文献2】特許第4332223号公報
【特許文献3】特許第4618888号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ホウ酸が石膏部材中に含まれていると、多湿環境下であっても、石膏部材の強度がある程度確保され、撓み等の変形が抑えられる。しかしながら、石膏部材(例えば、石膏ボード)の継目に目地処理を施す場合に、ホウ酸が目地材(パテ)中のポリビニルアルコール等と反応して目地材が目地処理の途中でゲル化してしまい、目地処理を妨げる原因となっていた。そのため、ホウ酸を石膏部材に適用できないのが実情であった。
【0009】
また、石膏部材中に酒石酸が含まれていると、多湿環境下であっても、石膏部材の強度がある程度確保され、撓み等の変形が抑えられる。しかしながら、酒石酸が添加されていると、石膏部材の原料である焼石膏の硬化時間が酒石酸の作用によって大幅に遅延してしまう問題があった。そのため、石膏部材中に酒石酸を添加することは汎用されるには至っていない。
【0010】
また、石膏部材中にトリメタリン酸ナトリウムが含まれていると、石膏部材の強度がある程度確保され、撓み等の変形が抑えられる。しかしながら、トリメタリン酸ナトリウムは、常に水に溶解させた状態で焼石膏に添加しないと、最終的に得られる石膏部材の効果が現れず、製法(添加方法)上、大きな制約があった。
【0011】
本発明の目的は、硬化時間の遅延が抑制され、かつ多湿環境下で使用されても、撓み、垂れ下がり等の変形が抑制される石膏部材等を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る石膏部材は、焼石膏、及び水を含有するスラリーを硬化させたものからなる石膏部材であって、前記スラリーは、酒石酸カリウム、酒石酸水素カリウム、及び酒石酸ナトリウムカリウム四水和物からなる群より選択される少なくとも1種の酒石酸塩を含有し、かつ前記酒石酸塩の含有量が、前記焼石膏100質量部当たり、0.02〜1.0質量部であることを特徴とする。
【0013】
前記石膏部材において、前記酒石酸塩が、酒石酸カリウムのみからなることが好ましい。
【0014】
前記石膏部材が、石膏ボードの芯材として利用されてもよい。
【0015】
前記石膏部材の密度が、0.4g/cm以上であってもよい。
【0016】
35℃、90%RHの条件下で48時間経過後の垂れ下がり量(mm)が11.5mm以下であることが好ましい。
【0017】
また、本発明に係る石膏ボードは、上記石膏部材からなり、ボード状をなした芯材と、この芯材の両面に貼り付けられる一対のボード用原紙とを備えるものからなる。
【0018】
また、本発明に係る石膏部材の製造方法は、焼石膏、及び水を含有するスラリーを硬化させて石膏部材を製造する石膏部材の製造方法であって、前記スラリーに、酒石酸カリウム、酒石酸水素カリウム、及び酒石酸ナトリウムカリウム四水和物からなる群より選択される少なくとも1種の酒石酸塩を、前記焼石膏100質量部当たり、0.02〜1.0質量部の割合で、粉末状態、又は水等の溶媒に分散若しくは溶解された状態で添加される工程を有する。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、硬化時間の遅延が抑制され、かつ多湿環境下で使用されても、撓み、垂れ下がり等の変形が抑制される石膏部材等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】石膏部材の一例である石膏ボードの構成を模式的に表した説明図
【発明を実施するための形態】
【0021】
〔石膏部材〕
本発明の石膏部材は、焼石膏(CaSO・1/2HO)、水、及び所定の酒石酸塩(後述)を少なくとも含有するスラリーを硬化させたもの(硬化体)からなる。
【0022】
石膏部材は、内装建材(例えば、天井材、床材、壁材)等の様々な用途で用いられ、特に、厨房等の多湿環境になり易い箇所で好適に用いられる。石膏部材の外観形状は、特に制限はなく、目的に応じて適宜、設定されればよい。石膏部材は、例えば、図1に示されるような、石膏ボード1のボード状の芯材2に利用される。なお、芯材2の両面には、ボード用原紙3,4が積層されている。芯材2の厚みや密度等の諸条件は、本発明の目的を損なわない限り、特に制限はなく、適宜、選択される。
【0023】
(酒石酸塩)
前記酒石酸塩は、石膏部材の硬化時間(硬化終了時間)の遅延が抑制され、かつ石膏部材の耐湿性を向上させる等の目的で、所定の割合で石膏部材を調製するためのスラリー中に添加されるものである。
【0024】
前記酒石酸塩としては、酒石酸カリウム、酒石酸水素カリウム、及び酒石酸ナトリウムカリウム四水和物からなる群より選択される少なくとも1種が利用される。
【0025】
石膏部材中(スラリー中)の前記酒石酸塩の含有量は、前記焼石膏100質量部当たり、0.02〜1.0質量部であり、好ましくは0.02〜0.8質量部である。前記酒石酸塩の含有量がこのような範囲であると、スラリー(石膏部材)の硬化終結時間を遅延させることなく、石膏部材が多湿環境下に置かれても、石膏部材の強度低下が抑制され、ひいては、石膏部材に撓み、垂れ下がり等の変形が発生することが抑制される。
【0026】
前記酒石酸塩としては、特に、酒石酸カリウムのみを用いることが好ましい。酒石酸カリウムは、酒石酸水素カリウム、及び酒石酸ナトリウムカリウム四水和物と比べて、スラリー(石膏部材)の硬化終結時間がより短縮され、かつ後述する石膏部材の乾燥時の圧縮強度等の各種強度が優れるものとなる。
【0027】
前記酒石酸塩を、スラリーに添加する場合、粉末状態で添加しても良いし、水等の溶媒に溶解若しくは分散させた状態で添加しても良い。本発明で用いられる酒石酸カリウム等の酒石酸塩は、水に対する溶解性が良好であり、粉末の状態でスラリーに添加されても、スラリーの混合(撹拌)時に均一に分散乃至溶解され、石膏部材の隅々に行き渡り易い。なお、水等の溶媒に分散乃至溶解させて、スラリー中に添加してもよい。
【0028】
石膏部材の製造方法としては、成型工程、乾燥工程、仕上工程等を含む公知の方法を適用することができる。
【0029】
なお、本発明の目的を損なわない限り、石膏部材を製造するためのスラリーに、焼石膏、水、酒石酸塩以外のその他の成分が添加されてもよい。
【0030】
石膏部材の密度(g/cm)は、特に制限されず、目的に応じて適宜、設定されればよい。なお、本発明の石膏部材は、例えば、密度が0.5g/cm程度であっても、多湿環境下において強度低下が抑制され、撓み、垂れ下がり等の変形が抑制される。
【0031】
本発明の石膏部材は、硬化時間の遅延が抑制され、かつ多湿環境下で使用されても、撓み、垂れ下がり等の変形が抑制される。また、本発明の石膏部材は、目地処理の際に利用される目地材と反応して、処理途中で目地材をゲル化させることも抑制される。
【実施例】
【0032】
以下、実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明する。なお、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
【0033】
〔試験1〕
(吸湿垂れ下がり試験(硬化体比重:0.50g/cm))
各実施例及び各比較例において、焼石膏300gに、水600g、並びに表1に示される種類及び添加量の添加剤を加え、それらを混合することでスラリーを調製した。このスラリーを、9mm×9mm×1000mmの型枠に装填し、60分間放置して硬化させた。その装填物を、脱型した後、40℃で恒量になるまで乾燥させて、比重(密度)が約0.50g/cmである角棒状の硬化体を得た。そして、この硬化体を長さ650mmに切断したものを試験片とした。
【0034】
試験片を、35℃、90%RHの条件下、600mm幅で2点支持し、表1に示される経過時間毎に、試験片の中央位置(2点支持されている600mm幅の部分の中央)の垂れ下がり量(mm)を、測定器(株式会社ミツトヨ製、デジタルノギス)を利用して測定した。なお、試験開始時に真っ直ぐに延びた状態の試験片の位置が、垂れ下がり量(mm)の基準位置(0.0mm)とされ、試験片の中央位置が、その基準位置から下方に移動した距離(mm)が、試験片の垂れ下がり量(mm)となる。試験1の垂れ下がり量(mm)の測定結果は表1に示した。
【0035】
【表1】
【0036】
表1に示されるように、石膏部材(試験片)の密度を、約0.50g/cmに設定した場合に、酒石酸カリウム、酒石酸水素カリウム、酒石酸ナトリムカリウム四水和物を添加剤として用いると、石膏部材(試験片)の垂れ下がり量を抑制できることが確かめられた。特に、酒石酸カリウムを用いた場合、48時間後の垂れ下がり量がいずれの添加量の場合も、9.0mm未満となり、良好な結果が得られた。
【0037】
〔試験2〕
(吸湿垂れ下がり試験(硬化体比重:0.75g/cm))
「水600g、並びに表1に示される種類及び添加量の添加剤」に代えて、「水360g、並びに表2に示される種類及び添加量の添加剤」を焼石膏300gに加えること以外は、上記試験1の場合と同様にして、各実施例及び各比較例の試験片(9mm×9mm×650mmの角棒状の硬化体、比重:約0.75g/cm)を作製した。
【0038】
得られた試験片に対して、上記試験1と同様の試験を行い、各実施例及び各比較例における試験片の垂れ下がり量(mm)を測定した。試験2の垂れ下がり量(mm)の測定結果は表2に示した。
【0039】
【表2】
【0040】
表2に示されるように、石膏部材(試験片)の密度を、上述の場合よりも高くして、約0.75g/cmに設定した場合、酒石酸カリウム等を添加剤として用いると、石膏部材(試験片)の垂れ下がり量を抑制できることが確かめられた。このように石膏部材(試験片)の密度が高い場合、吸湿時の垂れ下がり量は小さくなるものの、酒石酸カリウムを用いた場合、特に垂れ下がりを抑制する効果が現れることが確かめられた。
【0041】
〔試験3〕
(乾燥圧縮強度試験)
各実施例及び各比較例において、焼石膏300gに、水216g、並びに表3に示される種類及び添加量の添加剤を加え、それらを混合することでスラリーを調製した。このスラリーを、50mm×50mm×50mmの型枠に装填し、60分間放置して硬化させた。その装填物を、脱型した後、40℃で恒量になるまで乾燥させて、比重(密度)が約1.0g/cmの立方体状の硬化体を得た。この硬化体を試験片として、測定装置(株式会社島津製作所製、オートグラフAG−10TE)に供し、荷重速度1mm/minで試験片に荷重を加え、試験片が座屈したときの荷重値を圧縮強度(N/mm)として測定した。試験3の圧縮強度(N/mm)の測定結果は表3に示した。
【0042】
【表3】
【0043】
表3に示されるように、酒石酸を用いる場合、添加量が多くなると(特に、比較例19)、乾燥時の圧縮強度が低下することが確かめられた。また、酒石酸水素カリウム、及び酒石酸ナトリウムカリウム四水和物を用いた場合、乾燥時の圧縮強度は、8.0N/mm以上確保されるものの、9.0N/mm未満となり、酒石酸カリウムを用いた場合と比べて劣る結果となった。なお、酒石酸カリウムの場合(実施例16〜18)は、表3に示されるように、添加剤を加えていない場合(比較例16)と、同等の圧縮強度を備えている。
【0044】
〔試験4〕
(吸湿圧縮強度試験)
「表3に示される種類及び添加量の添加剤」に代えて、「表4に示される種類及び添加量の添加剤」を用いること以外は、上記試験3の場合と同様にして、各実施例及び各比較例の試験片(50mm×50mm×50mmの立方体状の硬化体、比重:約1.0g/cm)を作製した。
【0045】
得られた試験片を、35℃、90%RHの条件下で2時間静置させた後、上記試験3と同様にして、各実施例及び各比較例における試験片の圧縮強度(N/mm)を測定した。試験4の圧縮強度(N/mm)の測定結果は表4に示した。
【0046】
【表4】
【0047】
表4に示されるように、酒石酸が添加された場合(比較例23)、及び酒石酸ナトリムが添加された場合(比較例25)、吸湿後の圧縮強度が大幅に低下すること(5.9N/mm以下になること)が確かめられた。
【0048】
〔試験5〕
(硬化時間測定試験)
各実施例及び各比較例において、焼石膏300gに、水600g、並びに表5に示される種類及び添加量の添加剤を加え、それらを混合することでスラリーを調製した。このスラリーを用いて、JIS−R9112に準拠しつつ、スラリーの硬化終了時間を測定した。試験5の測定結果は表5に示した。
【0049】
【表5】
【0050】
表5に示されるように、石膏部材(スラリー)の硬化終了時間は、添加剤として酒石酸カリウムを用いた場合、添加剤を加えない場合と同程度、又はそれよりも短縮されることが確かめられた。
【0051】
また、添加剤として酒石酸水素カリウム、及び酒石酸ナトリウムカリウム四水和物を用いた場合、石膏部材(スラリー)の硬化終了時間が、添加剤を加えない場合と比べて、ある程度、長くなるものの、酒石酸や酒石酸エチレンジアミンを添加した場合よりは、遅延しないことが確かめられた。
【0052】
〔試験6〕
(実機における石膏ボード垂れ下がり量試験)
一般的な石膏ボードライン(実機)を用いて、以下に示されるような条件で石膏ボードを作製し、その作製した石膏ボードを用いて垂れ下がり試験を行った。具体的には、実施例31として、焼石膏に添加する酒石酸カリウムの量を、焼石膏100質量部に対して0.1質量部と設定しつつ、石膏ボードラインを用いて、芯材の両面にボード用原紙(1枚の厚み:約0.2mm)が積層されてなる石膏ボードを作製した。また、比較例38として、酒石酸カリウムを添加しないこと以外は、実施例31と同様にして、酒石酸カリウムが添加されていない石膏ボードを作製した。実施例31及び比較例38の各石膏ボードより、ボード用原紙の流れ方向の長さが125mmであり、その流れ方向に垂直な方向(製品の幅方向)の長さが650mmである大きさの試験片をそれぞれ切り出した(試験片の芯材の厚み:約9.5mm)。そして、その切り出された試験片を、35℃、90%RHの条件下、600mm幅で2点支持し、表6に示される経過時間毎に、試験片の中央位置(2点支持されている600mm幅の中央)の垂れ下がり量(mm)を、測定器(株式会社ミツトヨ製、デジタルノギス)を利用して測定した。測定結果は表6に示した。
【0053】
【表6】
【0054】
表6に示されるように、実機を用いて製造された石膏ボードについても、酒石酸カリウムを添加すると、垂れ下がり防止効果が得られることが確かめられた。
【符号の説明】
【0055】
1…石膏ボード、2…芯材、3,4…ボード用原紙(石膏ボード原紙繊維)
図1