【実施例】
【0032】
以下、実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明する。なお、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
【0033】
〔試験1〕
(吸湿垂れ下がり試験(硬化体比重:0.50g/cm
3))
各実施例及び各比較例において、焼石膏300gに、水600g、並びに表1に示される種類及び添加量の添加剤を加え、それらを混合することでスラリーを調製した。このスラリーを、9mm×9mm×1000mmの型枠に装填し、60分間放置して硬化させた。その装填物を、脱型した後、40℃で恒量になるまで乾燥させて、比重(密度)が約0.50g/cm
3である角棒状の硬化体を得た。そして、この硬化体を長さ650mmに切断したものを試験片とした。
【0034】
試験片を、35℃、90%RHの条件下、600mm幅で2点支持し、表1に示される経過時間毎に、試験片の中央位置(2点支持されている600mm幅の部分の中央)の垂れ下がり量(mm)を、測定器(株式会社ミツトヨ製、デジタルノギス)を利用して測定した。なお、試験開始時に真っ直ぐに延びた状態の試験片の位置が、垂れ下がり量(mm)の基準位置(0.0mm)とされ、試験片の中央位置が、その基準位置から下方に移動した距離(mm)が、試験片の垂れ下がり量(mm)となる。試験1の垂れ下がり量(mm)の測定結果は表1に示した。
【0035】
【表1】
【0036】
表1に示されるように、石膏部材(試験片)の密度を、約0.50g/cm
3に設定した場合に、酒石酸カリウム、酒石酸水素カリウム、酒石酸ナトリムカリウム四水和物を添加剤として用いると、石膏部材(試験片)の垂れ下がり量を抑制できることが確かめられた。特に、酒石酸カリウムを用いた場合、48時間後の垂れ下がり量がいずれの添加量の場合も、9.0mm未満となり、良好な結果が得られた。
【0037】
〔試験2〕
(吸湿垂れ下がり試験(硬化体比重:0.75g/cm
3))
「水600g、並びに表1に示される種類及び添加量の添加剤」に代えて、「水360g、並びに表2に示される種類及び添加量の添加剤」を焼石膏300gに加えること以外は、上記試験1の場合と同様にして、各実施例及び各比較例の試験片(9mm×9mm×650mmの角棒状の硬化体、比重:約0.75g/cm
3)を作製した。
【0038】
得られた試験片に対して、上記試験1と同様の試験を行い、各実施例及び各比較例における試験片の垂れ下がり量(mm)を測定した。試験2の垂れ下がり量(mm)の測定結果は表2に示した。
【0039】
【表2】
【0040】
表2に示されるように、石膏部材(試験片)の密度を、上述の場合よりも高くして、約0.75g/cm
3に設定した場合、酒石酸カリウム等を添加剤として用いると、石膏部材(試験片)の垂れ下がり量を抑制できることが確かめられた。このように石膏部材(試験片)の密度が高い場合、吸湿時の垂れ下がり量は小さくなるものの、酒石酸カリウムを用いた場合、特に垂れ下がりを抑制する効果が現れることが確かめられた。
【0041】
〔試験3〕
(乾燥圧縮強度試験)
各実施例及び各比較例において、焼石膏300gに、水216g、並びに表3に示される種類及び添加量の添加剤を加え、それらを混合することでスラリーを調製した。このスラリーを、50mm×50mm×50mmの型枠に装填し、60分間放置して硬化させた。その装填物を、脱型した後、40℃で恒量になるまで乾燥させて、比重(密度)が約1.0g/cm
3の立方体状の硬化体を得た。この硬化体を試験片として、測定装置(株式会社島津製作所製、オートグラフAG−10TE)に供し、荷重速度1mm/minで試験片に荷重を加え、試験片が座屈したときの荷重値を圧縮強度(N/mm
2)として測定した。試験3の圧縮強度(N/mm
2)の測定結果は表3に示した。
【0042】
【表3】
【0043】
表3に示されるように、酒石酸を用いる場合、添加量が多くなると(特に、比較例19)、乾燥時の圧縮強度が低下することが確かめられた。また、酒石酸水素カリウム、及び酒石酸ナトリウムカリウム四水和物を用いた場合、乾燥時の圧縮強度は、8.0N/mm
2以上確保されるものの、9.0N/mm
2未満となり、酒石酸カリウムを用いた場合と比べて劣る結果となった。なお、酒石酸カリウムの場合(実施例16〜18)は、表3に示されるように、添加剤を加えていない場合(比較例16)と、同等の圧縮強度を備えている。
【0044】
〔試験4〕
(吸湿圧縮強度試験)
「表3に示される種類及び添加量の添加剤」に代えて、「表4に示される種類及び添加量の添加剤」を用いること以外は、上記試験3の場合と同様にして、各実施例及び各比較例の試験片(50mm×50mm×50mmの立方体状の硬化体、比重:約1.0g/cm
3)を作製した。
【0045】
得られた試験片を、35℃、90%RHの条件下で2時間静置させた後、上記試験3と同様にして、各実施例及び各比較例における試験片の圧縮強度(N/mm
2)を測定した。試験4の圧縮強度(N/mm
2)の測定結果は表4に示した。
【0046】
【表4】
【0047】
表4に示されるように、酒石酸が添加された場合(比較例23)、及び酒石酸ナトリムが添加された場合(比較例25)、吸湿後の圧縮強度が大幅に低下すること(5.9N/mm
2以下になること)が確かめられた。
【0048】
〔試験5〕
(硬化時間測定試験)
各実施例及び各比較例において、焼石膏300gに、水600g、並びに表5に示される種類及び添加量の添加剤を加え、それらを混合することでスラリーを調製した。このスラリーを用いて、JIS−R9112に準拠しつつ、スラリーの硬化終了時間を測定した。試験5の測定結果は表5に示した。
【0049】
【表5】
【0050】
表5に示されるように、石膏部材(スラリー)の硬化終了時間は、添加剤として酒石酸カリウムを用いた場合、添加剤を加えない場合と同程度、又はそれよりも短縮されることが確かめられた。
【0051】
また、添加剤として酒石酸水素カリウム、及び酒石酸ナトリウムカリウム四水和物を用いた場合、石膏部材(スラリー)の硬化終了時間が、添加剤を加えない場合と比べて、ある程度、長くなるものの、酒石酸や酒石酸エチレンジアミンを添加した場合よりは、遅延しないことが確かめられた。
【0052】
〔試験6〕
(実機における石膏ボード垂れ下がり量試験)
一般的な石膏ボードライン(実機)を用いて、以下に示されるような条件で石膏ボードを作製し、その作製した石膏ボードを用いて垂れ下がり試験を行った。具体的には、実施例31として、焼石膏に添加する酒石酸カリウムの量を、焼石膏100質量部に対して0.1質量部と設定しつつ、石膏ボードラインを用いて、芯材の両面にボード用原紙(1枚の厚み:約0.2mm)が積層されてなる石膏ボードを作製した。また、比較例38として、酒石酸カリウムを添加しないこと以外は、実施例31と同様にして、酒石酸カリウムが添加されていない石膏ボードを作製した。実施例31及び比較例38の各石膏ボードより、ボード用原紙の流れ方向の長さが125mmであり、その流れ方向に垂直な方向(製品の幅方向)の長さが650mmである大きさの試験片をそれぞれ切り出した(試験片の芯材の厚み:約9.5mm)。そして、その切り出された試験片を、35℃、90%RHの条件下、600mm幅で2点支持し、表6に示される経過時間毎に、試験片の中央位置(2点支持されている600mm幅の中央)の垂れ下がり量(mm)を、測定器(株式会社ミツトヨ製、デジタルノギス)を利用して測定した。測定結果は表6に示した。
【0053】
【表6】
【0054】
表6に示されるように、実機を用いて製造された石膏ボードについても、酒石酸カリウムを添加すると、垂れ下がり防止効果が得られることが確かめられた。