【課題を解決するための手段】
【0008】
この背景技術に対して、本発明に関する技術的な課題は、汚染物による、具体的にはバックアップロールおよび/またはワークロール上の残渣フィルムの形成による、圧延工程および圧延製品の不良を、できるだけ圧延油と共に利用できる費用対効果の大きい手法により避けることができる、ロール表面をコンディショニングする圧延装置および方法を提供することである。
【0009】
この課題は、ロールを、好ましくは少なくとも2つのワークロールおよび少なくとも2つのバックアップロールを備えた圧延スタンドを有する圧延装置によって、本発明により解決される。これは、圧延装置が、圧延動作中にロールの表面から汚染物を機械的に除去することができるコンディショニングツールを有し、圧延装置が、圧延動作中に実質的にロールの長手方向にロールの表面を横切るようにコンディショニングツールを移動させることができる被動搬送装置を有することによる。除去される汚染物には、具体的にはロールの表面上の残渣フィルムを含めることができる。
【0010】
圧延装置には、具体的には、アルミニウムストリップの冷間圧延のための圧延装置、たとえば、アルミニウム箔の製造のための4段冷間圧延機を含めることができる。
【0011】
搬送装置は、たとえば、ガイドレールおよび駆動装置を備えることができ、駆動装置によって、ガイドレールに沿ってロールの表面を横切るようにコンディショニングツールを移動させることができる。
【0012】
さらに、上記で言及した課題は、ロール表面をコンディショニングする方法であって、コンディショニングツールによってロールの表面から汚染物が、具体的には残渣フィルムが機械的に除去され、汚染物の除去中に実質的にロールの長手方向にロールの表面を横切るようにコンディショニングツールが移動され、汚染物の除去がロールの圧延動作中に実行される方法によって、本発明により解決される。本方法を用いて、好ましくは、アルミニウム箔の製造のための4段冷間圧延機のロールのロール表面がコンディショニングされる。具体的には、この方法によって、本発明による圧延装置の圧延スタンドのロールのロール表面をコンディショニングすることもできる。
【0013】
本発明による圧延装置についても本発明による方法についても、ロール表面からの汚染物の、具体的にはアルミニウム製品の圧延中に生じる残渣フィルムの機械的な除去による、ロール表面の効果的かつ経済的なコンディショニングが、圧延動作中に実質的にロールの長手方向にロールの表面を横切るように移動するコンディショニングツールによって可能であることが分かった。これは、稼働中に、すなわち生産工程が進行している間にロール表面をクリーニングでき、そうすることで、クリーニングのために生産工程を中断することがもはや必要なくなるという利点を有する。メンテナンスの労力が軽減される結果、休止時間および生産停止を大幅に軽減でき、そうすることで、圧延装置のより効率的な動作が可能になる。
【0014】
この圧延装置および方法は、そのクリーニング方法が複雑な設計を必要とせず、その代わりにコンパクトな構造を可能にするという点でさらに優れている。
【0015】
本発明による圧延装置または本発明による方法を用いたロール上の汚染物の機械的な除去により、圧延油と共に利用できるようにしてロール表面をコンディショニングすることもできる。圧延油として、一般に、石油など、炭化水素を含有する低粘度の混合物が用いられ、これは具体的には圧延中に潤滑および冷却の働きをする。したがって、こうした圧延油の汚染を防止するために、圧延機では、炭化水素を含有する低粘度の混合物によって損傷を受けない物質および材料であって、後から混合物内で発見され脱脂または食品材料との適合性に悪影響を及ぼし得る物質が溶け出さない、物質および材料を使用しなければならない。汚染物の機械的な除去のためにコンディショニングツールを用いると、可能な限り少ない、好ましくは、せいぜい取るに足らない程度の圧延油の汚染しかもたらさない物質および材料の使用が可能になる。
【0016】
コンディショニングツールによってクリーニングされるロールは、好ましくは、バックアップロール、具体的には冷間圧延機のバックアップロールである。ワークロールに直接的に作用する必要なしに、バックアップロールをクリーニングすることによって、ロール上に発生する残渣フィルムを適切に除去できることが示されている。
【0017】
実質的にロールの長手方向にロールの表面を横切るようなコンディショニングツールの移動とは、実質的にロールの回転軸に平行にロールの表面を横切るようにコンディショニングツールが移動されることを意味する。同時にロールが回転するので、仮定の同時回転座標系に関してロールの表面上の重ね合わせられた移動は、ロールの長手方向のコンディショニングツールの移動およびロールの回転によるものである。したがって、コンディショニングツールがロールの表面を横切るように移動すると、同時回転座標系においてロール表面上でコンディショニングツールが螺旋軌道をとる。
【0018】
コンディショニングツールによる汚染物の機械的な除去は、機械的接触によって、すなわち、ロール表面または汚染物それぞれとのコンディショニングツールの剛体表面の接触により、コンディショニングツールが汚染物を除去することを意味する。一例として、汚染物は、別の機械的な手法でロール表面から研磨するか、平削りするか、はがすか、または除去することができる。
【0019】
以下に記載する好ましい実施形態は、圧延装置または方法にそれぞれ限定されるものではないが、圧延装置にも方法にも等しく適用される。その実施形態の方法の特徴の観点から、圧延装置は、特に好ましくは、対応する工程段階を実行するように構成される。
【0020】
方法または圧延装置の第1の実施形態によれば、コンディショニングツールは、すくい面と、逃げ面と、ロールの表面から汚染物を除去するための刃先とを有する、くさび形の領域を有する。平らに当てたフリクションブロックを用いるより、鋭利な刃先を用いる方が良好にロール表面の汚染物を除去できることが分かっている。具体的には、刃先を用いると、ロール表面に非常に効果的かつ明確なクリーニングを実現することができる。具体的には、刃先を用いると、平らに当てたフリクションブロックと比べて接触面が小さくなるので、クリーニングブロックによってロール表面上に加えられる圧力をより高いものに設定することができる。
【0021】
すくい面は、ロールの回転によるコンディショニングツールとロール表面との間の相対移動方向に向かった面を指し、逃げ面は、くさび形の領域のうちこの相対移動と反対方向を向いた面を指す。
【0022】
長手方向からの最大のずれが最大20°、好ましくは最大10°の状態で、刃先が実質的にロールの長手方向に延びるということから、汚染物のより効果的な除去が確実になる。刃先とロール表面との間の相対移動は、大方、ロールの回転の結果である。したがって、実質的にロールの長手方向に刃先を配置することにより、相対移動に対して実質的に横断方向の刃先の配置が実現され、それゆえ、ロール表面から汚染物がより効果的に除去される。
【0023】
圧延装置または方法の別の実施形態では、すくい面と、刃先を通りロール表面に垂直に延びる平面との間のすくい角が負である。刃先を通りロール表面に垂直に延びる平面は架空であり、すくい角を画定するように働く。ロール表面に垂直な向きとは、刃先のそれぞれその時の位置を通るロール表面の局所接平面に対する相対的な向きを意味する。すくい角が負の場合、すくい面は刃先から切削方向に延びる(刃先を通るロール表面の局所接平面に対するすくい面の投影から明らかである)。ロールが刃先に対して回転するとき、切削方向はロールの回転方向の逆になる。すくい角が負であると、ロール表面から除去された汚染物がコンディショニングツールの領域に集まらず、そこに長い小片が形成されることもない。それらがあると、ロール表面は再度汚染されるか、またはそれどころか損傷を受ける可能性がある。特に適切なすくい角が、−5°から−40°、好ましくは−10°から−40°、特に−15°から−35°の範囲にある角度であることが判明している。
【0024】
圧延装置または方法の別の実施形態では、クリーニングブロックがコンディショニングツールとして用いられる。このようなクリーニングブロックは、好ましくは、粒子がマトリックスに埋め込まれている。マトリックスに埋め込まれた粒子により、ロール表面上のクリーニングブロックの研磨効果が良好になり、したがって、ロール表面上の残渣フィルムが効果的に除去される。試験により、クリーニングブロックのマトリックスに酸化アルミニウム粒子が、たとえば、コランダム粒子が埋め込まれている場合に特に良好なクリーニング効果が実現されることが示されている。
【0025】
クリーニングブロックのマトリックスは、好ましくは、圧延油と融和性の材料、すなわち、石油または灯油など、炭化水素を含有する低粘度の混合物に特に耐性のある材料から実質的に構成される。このようにして、クリーニングブロックによる圧延油の汚染を防止することができる。
【0026】
クリーニングブロックのマトリックスは、好ましくは、繊維と、具体的には合成不織と、樹脂との、具体的にはアミノ樹脂との混合物をベースとしている。マトリックスに埋め込まれた粒子、すなわち、たとえば、酸化アルミニウム粒子は樹脂によって接着させることができる。
【0027】
埋め込まれた粒子の、具体的には、埋め込まれた酸化アルミニウム粒子の粒度分布は、好ましくは、50〜800μmの範囲の累積比率が埋め込まれた粒子の総重量のうちの少なくとも85%、好ましくは、少なくとも90%、より好ましくは、少なくとも95%、特に、少なくとも99%である。これは、埋め込まれた粒子のうちの少なくとも85、90、95または99重量%は粒度が50〜800μmの範囲にあることを意味する。より好ましくは、粒度分布の中央値は150から250μmの範囲にある。このような粒度分布の場合、ロール表面に好ましくないテクスチャを形成することなく良好なクリーニング効果が実現される。
【0028】
クリーニングブロックは、好ましくは、気孔領域割合が70〜90%の範囲にある高い気孔率を有する。クリーニングブロックの気孔領域割合は、クリーニングブロックの表面に平行な、たとえば表面の下方50μmの位置の、少なくとも2.5mm×2.5mmの切削表面から判定される。本明細書では、気孔領域割合は切削表面のうちの気孔が占める割合に相当する。それに対応して、切削表面のうちそれ以外の部分は、すなわち、この場合は、好ましくは気孔領域割合以外の30〜10%は、繊維、樹脂および埋め込まれた粒子が占める。
【0029】
クリーニングブロックの気孔率のうち好ましくは少なくとも50%、より好ましくは70%、特に80%が開放気孔によって占められ、そうすることで、対応する割合の気孔が開放し、したがって、互いにつながっている。
【0030】
クリーニングブロックの気孔率が高いと油の循環が良好になり、その結果、クリーニングブロックの良好な冷却を実現することができる。気孔率が高いと、ロールから除去される汚染物を吸収する容量も有利に高くなる。
【0031】
クリーニングブロックの密度は、好ましくは、700〜850kg/m
3である。このような低密度は特に高い気孔率によって実現することができる。
【0032】
具体的にはクリーニングブロックのm
eが125から175MPaの範囲にありかつ/またはR
d(50%)が50から70MPaの範囲にあるという機械的性質を有する場合に、ロール表面の効果的なクリーニングが実現される。m
eはDIN6892−1:2009による準弾性直線の勾配であり、R
d(50%)は50%の座屈の場合の圧縮応力であると理解される。
【0033】
変数m
eおよびR
d(50%)は、クリーニングブロックに関して、開始時断面積400mm
2(20mm×20mm)、開始時長さL
025mmの直方体の試験片を用いた、圧縮速度10
−2s
−1のDIN50134:2008−10およびISO13314:2011による圧力試験によって判定することができる。DIN50134は、(弾性係数の代わりに)パラメータmを準弾性直線の勾配と定義している。このパラメータは構造依存の剛性であり、その判定は、その圧力試験では、ヒステリシスループをたどることが必要とされる。適切なクリーニングブロックが、具体的には上記に記載した組成を有するクリーニングブロックが多くの場合このようなヒステリシスを有しないので、変数m
eはDIN6892−1:2009によるクリーニングブロックの特徴付けに用いられる。
【0034】
圧延装置または方法の別の好ましい実施形態では、クリーニングブロックの表面は、クリーニングブロックによってロール上に作り出すことができるロール表面構造が、コンディショニングされるロールの表面構造に、具体的には粗さに対応するようにして、コンディショニングされるロールに適合される。クリーニングブロックの表面は、クリーニングブロックに埋め込まれた粒子の分布、割合および/またはサイズによって、コンディショニングされるロールの表面構造に特に適合させることができる。このようにして、コンディショニングされるロールの表面構造は、具体的には粗さは、コンディショニングによって損なわれることはなく、それどころか長期間にわたって維持することができる。
【0035】
さらに、クリーニングブロックは、より好ましくは、ロールから放出される物質に対して吸収性がある。クリーニングブロックの吸収性は、好ましくは、クリーニングブロックによって吸収された汚染物がクリーニングサイクル中に再度放出されない程度に十分に高い。クリーニングブロックの吸収性により、好ましくは、洗浄力が良好になり、そうなると、クリーニングブロックのクリーニング中に吸収された汚染物は、最大80重量%、好ましくは最大90重量%、具体的には実質的に残渣を残さないように除去することができる。汚染物に対する良好な吸収性および良好な洗浄力は、たとえば、マトリックスが合成不織と樹脂との混合物ベースとされたクリーニングブロックに対する試験で実現されている。
【0036】
クリーニングブロックは、たとえば、実質的に直方体または刃先の形状として、具体的にはたとえば三角形のベースを有する角柱のブロックとして設計することができる。
【0037】
圧延装置または方法の別の好ましい実施形態では、コンディショニングツールの刃先は長さがロールのロール本体幅の5%から50%、好ましくは15%から40%である。刃先の長さがロール本体幅の少なくとも5%、好ましくは少なくとも15%の場合、ロールが1回転するたびに、コンディショニングツールは、許容できる時間枠内でロール全体のコンディショニングを実行するのに十分大きい、ロールの1ストリップ分に影響を与えることができる。刃先の長さをロール本体幅の最大50%に制限することにより、ロール表面のどの領域も、コンディショニングツールがロールの長手方向に移動するときに刃先によって連続して加工されて過度に摩耗することが避けられる。
【0038】
通常のロール本体幅1000から2200mmのときに前述の長さを有する刃先が、ロールを保護しながら汚染物を除去するための有利な圧力を設定できるような接触領域をロール表面上に有することがさらに示されている。
【0039】
圧延装置または方法の別の好ましい実施形態では、圧延装置は液圧動力式の搬送装置を有する。たとえば電気式の駆動装置の代わりに液圧式の駆動装置を用いると、短絡またはアーク放電の危険性を低下させることが可能である。これは、圧延中に用いられる圧延油は、通常は非常に燃えやすいか、または気化した場合はそれどころか爆発するので、特に重要である。
【0040】
液圧駆動装置の作動液として、圧延中に用いられる圧延油が、好ましくは、たとえば、灯油などの石油が用いられる。このようにして、作動液の漏出による圧延油の汚染を避けることができる。
【0041】
圧延装置または方法の別の好ましい実施形態では、圧延装置は、搬送装置および/またはコンディショニングツールの移動を監視するために構成された監視装置を有する。さらに、監視装置および搬送装置は、好ましくは、搬送装置および/またはコンディショニングツールの移動に不具合がある場合に、ロールの表面から離れる方にコンディショニングツールが移動されるように構成されている。たとえば、コンディショニングツールまたは搬送装置全体は、旋回する設計を有することができ、そうすることで、コンディショニングツールが第1の旋回位置ではロール表面に作用でき、第2の旋回位置ではロール表面から離間する。
【0042】
ロールの長手方向のコンディショニングツールの移動が中断される場合は、コンディショニングツールが長時間にわたってロールの同じストリップ状の領域に接触する危険がある。これは、ロール表面を損傷させる恐れがあり、ロールを交換する必要があることを意味する。このような損傷は、コンディショニングツールがほんの30秒を超えて1か所に留まるだけでも起こる恐れがある。搬送装置および/またはコンディショニングツールの上記に記載した監視により、コンディショニングツールは、不具合の場合にロール表面から確実に引っ込められ、そうすることで、ロール表面の損傷が防止される。
【0043】
液圧式の駆動装置の場合は、監視装置は、好ましくは、駆動装置の液圧を監視する。このようにして、電子的な監視、したがって短絡またはアーク放電のリスクを避けることができる。
【0044】
ロール表面のクリーニングをさらに改善するために、圧延装置および方法の他の実施形態では、複数の、好ましくは2つのコンディショニングツールが設けられる。この複数のコンディショニングツールを、ロールの円周上の異なる位置で、汚染物の除去のために長手方向にロールの表面を横切るように移動させることができる。このようにして、複数のコンディショニングツールを用いて単一のロールを同時にクリーニングすることができる。
【0045】
円周上の位置とは、ロールの回転軸に対するコンディショニングツールの方位角位置であると理解される。たとえば、コンディショニングツールは、ロール表面の反対側の2つの位置に設けることができる。
【0046】
圧延装置または方法の別の実施形態では、圧延スタンドは、アルミニウム箔の製造のための2つのワークロールおよび2つのバックアップロールを有する4段冷間圧延機として設計され、圧延装置は、汚染物の除去のためのコンディショニングツールを各バックアップロールについて少なくとも1つ備える。4段圧延スタンドの上側および下側のバックアップロールのコンディショニングにより、アルミニウム圧延中の残渣フィルムの形成を有意に低減することができ、それゆえ、圧延されたアルミニウム製品の表面品質が実質的に改善される。4段圧延スタンドの2つのバックアップロールからの汚染物の除去は、好ましくは、同時に連続して実行される。
【0047】
圧延装置または方法の別の好ましい実施形態では、コンディショニングツールが実質的に長手方向にロールの表面を横切るように移動される速度は、ロールの周速の0.001倍から0.015倍、好ましくは、0.005倍から0.010倍に相当する。試験によれば、このような速度で十分なクリーニング効果が実現され、ロール表面上のパターン形成が避けられ、同時にコンディショニングツールが十分に短い総経過時間内にロールの全表面を処理し、そうすることで、残渣フィルムの形成が概して十分に防止される。さらに、コンディショニングツールの速度は、炭化水素を含有する混合物の蒸気またはエアゾールの(たとえば火花または過熱による)引火の原因がロール周囲に生じない程度に十分に低い。
【0048】
本方法の好ましい実施形態では、ロールの表面を横切るように往復運動するようにコンディショニングツールが移動される。コンディショニングツールの往復運動とロールの回転とを重ね合わせることにより、ロール表面の同時回転座標系では、ロール表面に対してコンディショニングツールが螺旋軌道を繰り返すことになり、そうすることで、コンディショニングツールの単純な移動を用いてロールの表面全体をクリーニングすることができる。
【0049】
ロールが1回転する際に、コンディショニングツールの長手方向の延在に応じて、具体的にはコンディショニングツールの刃先の長さに応じて、実質的に円形のストリップの分だけロール表面をクリーニングすることができる。したがって、ロールの長手方向にロール表面を横切るようなコンディショニングツールの移動により、ロール表面全体を連続的に一様にクリーニングすることができ、パターンの形成を防止することができる。
【0050】
実質的に長手方向にロールの表面を横切るようにコンディショニングツールを移動させることができる速度は、圧延装置または方法の別の実施形態では、ロールの所定の回転数以内、たとえば、最大2000または最大1500回転以内にコンディショニングツールがロールのロール表面全体に影響を与えることができるように設定することができ、そうすることで、この所定の回転数以内にロール表面全体をクリーニングすることができる。
【0051】
圧延装置または方法の別の好ましい実施形態では、ロールの表面を横切るように連続して横断移動するようにコンディショニングツールが移動される。このようにして、ロール表面の一様のクリーニングを実現することができ、パターンの形成およびコンディショニングツールによるロール表面に対する損傷を防止することができる。
【0052】
連続した横断移動とは、ロール表面を完全にクリーニングするために、中断せずに、好ましくは、コンディショニングツールの方向を変えるときを除いて実質的に一定の速度で、ロールの長手方向にロールの表面を横切るようにコンディショニングツールが常に移動されることを意味する。
【0053】
圧延装置または方法の別の実施形態では、コンディショニングツールは、0.1から2.5MPa(=N/mm
2)の範囲、好ましくは0.5から2.2MPaの範囲、特に1から2MPaの範囲の圧力でロールの表面に押し付けられる。これらの圧力ではロール表面またはコンディショニングツールに損傷を与えることなく非常に良好なクリーニング効果が実現されることが示されている。
【0054】
圧延装置または方法の別の実施形態では、コンディショニングツールは、1回、好ましくは所定の時間間隔で複数回、再生される。このようにして、コンディショニングツールのクリーニング効果は、長期間にわたって維持することもできる。コンディショニングツールの再生は、たとえば、コンディショニングツールのクリーニングおよび/またはコンディショニングツールの冷却によって実行することができる。その代わりに、またはそれに加えて、コンディショニングツールのためのアイドル時間を設けることが可能であり、その間はコンディショニングツールがロールの表面を横切るようにガイドされることはない。このアイドル時間は、コンディショニングツールのアクティブなクリーニングまたはアクティブな冷却に用いることもできる。
【0055】
圧延装置または方法の他の実施形態では、除去された汚染物がロールの領域からクリアリング装置によって取り除かれるということから、クリーニング効果の改善が実現される。一方では、このようにして、コンディショニングツールのクリーニング効果は汚染物の蓄積に妨げられないので、この効果を維持することができる。さらに、汚染物は制御された状態でロールの領域から取り除かれる。これは、除去された汚染物がロールに戻るかまたはそれどころか圧延製品に移ることを防止する。特に好ましくは、除去された汚染物は、たとえば圧延領域の外の長手方向の側方に、ロールの形成領域から取り除かれる。
【0056】
汚染物を取り除くことは、たとえば、吸引によって実行することができる。そのために、クリアリング装置として、コンディショニングツールの領域に、対応する吸引装置を設けることができる。このような吸引装置の吸引開口部は、好ましくは、コンディショニングツールと一緒に移動する。その代わりに、またはそれに加えて、洗浄液がコンディショニングツールの領域に導入され、そこから除去される、具体的には吸引されることで、汚染物を洗浄することもできる。その結果、汚染物は洗浄液によって洗い流される。その代わりに、またはそれに加えて、ガス流によって汚染物を吹き飛ばすこともできる。
【0057】
圧延装置または方法の別の実施形態では、圧延装置は、搬送装置、コンディショニングツールおよび/または圧延スタンドを制御する制御装置を有し、制御装置は、本発明による方法の少なくとも1つの実施形態を実行するように構成されている。
【0058】
本発明による圧延装置の実施形態は、本発明による方法の実施形態を実行するのに特に適している。本発明による方法の実施形態も、特に好ましくは、本発明による圧延装置の実施形態を用いて実行される。
【0059】
制御装置は、たとえば、ロールの圧延動作中にコンディショニングを実行させる電子回路として設けることができる。それに加えて、またはその代わりに、制御装置は、少なくともメモリおよび電子処理ユニットを有するコンピュータを備えることもでき、その電子メモリは記載した方法のうちの1つを電子処理ユニットに実行させる命令を含む。
【0060】
圧延装置または方法の好ましい実施形態では、制御装置、搬送装置、コンディショニングツールおよび/または圧延スタンドは、以下のパラメータのうち1つ、複数または全てを変更することによってコンディショニングツールの処理の強さを設定できるように構成される。
− コンディショニングツールの移動速度、
− コンディショニングツールによってロール表面上に加えられる圧力、
− すくい面と、刃先を通りロール表面に垂直に延びる平面との間のすくい角、
− コンディショニングツールによる機械的な除去が実行されるコンディショニング期間の長さおよび間隔、および
− コンディショニング期間内にロールの表面を横切るようにコンディショニングツールが移動される頻度。
【0061】
このパラメータは、たとえばシステムのユーザによってパラメータが制御装置のコンピュータに入力されるという点で、たとえば制御装置を介して調整可能である。その代わりに、上記で言及したパラメータのうちの1つ、複数または全てを手作業で設定することもできる。たとえば、ロールの表面と、コンディショニングツールのすくい面との間の角度は、そのために設けられた角度調整装置によって設定することができる。圧延装置は、好ましくは、上記で言及したパラメータのうちの1つ、複数または全ての円滑な調整を可能にする。この実施形態は、特に円滑に、圧延装置のクリーニングを要件に適合できるという利点を有する。
【0062】
これらの方法および圧延装置の他の特性および利点が、添付の図面が参照される以下の実施形態の説明からさらに明らかになる。