(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
面方向へスライドして開閉動作する可撓性シート状の開閉体と、前記開閉体の横幅方向の両端側にそれぞれ開閉方向へわたって設けられるとともに前記開閉体よりも開閉体厚さ方向の寸法が大きい係脱部材と、前記開閉体及び前記係脱部材の開放方向側に設けられた環状係合部及び巻取体とを備え、前記係脱部材を前記環状係合部に掛けて導くとともに、前記開閉体及び前記係脱部材を前記巻取体によって巻き取ったり繰り出したりするようにした開閉装置において、
前記開閉体の横幅方向の中央寄りに、前記開閉体の厚みを部分的に増加する可撓性厚肉部材を設け、前記開閉体、前記係脱部材及び前記可撓性厚肉部材が前記巻取体に巻き取られるようにし、
前記可撓性厚肉部材の外面側を覆う可撓性の汚れ防止カバーを設け、前記可撓性厚肉部材の外面の異物が巻重ねられる開閉体に付着するのを前記汚れ防止カバーによって阻むようにしたことを特徴とする開閉装置。
面方向へスライドして開閉動作する可撓性シート状の開閉体と、前記開閉体の横幅方向の両端側にそれぞれ開閉方向へわたって設けられるとともに前記開閉体よりも開閉体厚さ方向の寸法が大きい係脱部材と、前記開閉体及び前記係脱部材の開放方向側に設けられた環状係合部及び巻取体とを備え、前記係脱部材を前記環状係合部に掛けて導くとともに、前記開閉体及び前記係脱部材を前記巻取体によって巻き取ったり繰り出したりするようにした開閉装置において、
前記開閉体の横幅方向の中央寄りに、前記開閉体の厚みを部分的に増加する可撓性厚肉部材を設け、前記開閉体、前記係脱部材及び前記可撓性厚肉部材が前記巻取体に巻き取られるようにし、
前記環状係合部、前記巻取体、及び前記巻取体に巻かれた際の前記開閉体を収納する収納部を備えた開閉装置であって、
前記可撓性厚肉部材は、前記開閉体の全閉状態で前記収納部から露出しないで該収納部内に位置するように設けられていることを特徴とする開閉装置。
面方向へスライドして開閉動作する可撓性シート状の開閉体と、前記開閉体の横幅方向の両端側にそれぞれ開閉方向へわたって設けられるとともに前記開閉体よりも開閉体厚さ方向の寸法が大きい係脱部材と、前記開閉体及び前記係脱部材の開放方向側に設けられた環状係合部及び巻取体とを備え、前記係脱部材を前記環状係合部に掛けて導くとともに、前記開閉体及び前記係脱部材を前記巻取体によって巻き取ったり繰り出したりするようにした開閉装置において、
前記開閉体の横幅方向の中央寄りに、前記開閉体の厚みを部分的に増加する可撓性厚肉部材を設け、前記開閉体、前記係脱部材及び前記可撓性厚肉部材が前記巻取体に巻き取られるようにし、
前記開閉体の開放方向側に、軸方向の両端側に前記環状係合部を一体的に有するガイド軸を設け、このガイド軸の上半部側に前記開閉体を沿わせるとともに前記環状係合部の上半部側に前記係脱部材を掛合して、前記開閉体を開閉体開閉方向に対する交差方向へ導き、この開閉体を、前記ガイド軸から離隔した前記巻取体に巻き取らせるようにした開閉装置であって、
前記可撓性厚肉部材は、前記開閉体の全閉状態で前記巻取体に巻かれないように前記ガイド軸側に配置されていることを特徴とする開閉装置。
前記汚れ防止カバーは、開閉体開放方向の端部側と開閉体閉鎖方向の端部側にそれぞれ開閉体側の面に止着される止着部を有するとともに、これら止着部の間に、前記可撓性厚肉部材に対しては止着されない非止着部を有することを特徴とする請求項1又は4記載の開閉装置。
前記可撓性厚肉部材における開閉体開閉方向の一端側には、前記一端へ向かって該可撓性厚肉部材の厚みを徐々に小さくする傾斜面が形成され、この傾斜面が、前記汚れ防止カバーの接着面積を確保していることを特徴とする請求項1乃至7何れか1項記載の開閉装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本実施の形態の第一の特徴は、面方向へスライドして開閉動作する可撓性シート状の開閉体と、前記開閉体の横幅方向の両端側にそれぞれ開閉方向へわたって設けられるとともに前記開閉体よりも開閉体厚さ方向の寸法が大きい係脱部材と、前記開閉体及び前記係脱部材の開放方向側に設けられた環状係合部及び巻取体とを備え、前記係脱部材を前記環状係合部に掛けて導くとともに、前記開閉体及び前記係脱部材を前記巻取体によって巻き取ったり繰り出したりするようにした開閉装置において、前記開閉体の横幅方向の中央寄りに、前記開閉体の厚みを部分的に増加する可撓性厚肉部材を設け、前記開閉体、前記係脱部材及び前記可撓性厚肉部材が前記巻取体に巻き取られるようにした。
この構成によれば、開閉体及び両係脱部材を巻取体に巻いた際、両係脱部材の間において、開閉体が自重によって垂れ下がるように弛むのを、可撓性厚肉部材の介在により防ぐことができ、ひいては、巻取体に巻かれた開閉体が、前記弛みにより偏心した巻太りを生じたり、収納部等に接触したりするのを防ぐことができる。さらには、収納部等の上下寸法を小さくすることが可能になる。
【0010】
第二の特徴としては、前記可撓性厚肉部材の外面側を覆う可撓性の汚れ防止カバーを設け、前記可撓性厚肉部材の外面の汚れが巻重ねられる開閉体に付着するのを前記汚れ防止カバーによって阻むようにした。
【0011】
第三の特徴としては、前記可撓性厚肉部材を、前記開閉体が前記巻取体に巻かれた際に外径側となる面に固定し、前記汚れ防止カバーを、前記可撓性厚肉部材より開閉体開閉方向へ長く形成した。
この構成によれば、可撓性厚肉部材及び汚れ防止カバーが巻取体に巻かれる際に、巻取体外周面に沿う可撓性厚肉部材の屈曲が汚れ防止カバーによって抑制されてしまうのを防ぐことができ、ひいては、巻取体による開閉体及び可撓性厚肉部材の巻取りをスムーズに行うことができる。
【0012】
第四の特徴としては、前記汚れ防止カバーは、開閉体開放方向の端部側と開閉体閉鎖方向の端部側にそれぞれ開閉体側の面に止着される止着部を有するとともに、これら止着部の間に、前記可撓性厚肉部材に対しては止着されない非止着部を有する。
この構成によれば、可撓性厚肉部材及び汚れ防止カバーが巻取体に巻かれる際に、巻取体外周面に沿う可撓性厚肉部材の屈曲が汚れ防止カバーによって抑制されてしまうのをより効果的に防ぐことができる。
【0013】
第五の特徴としては、前記開閉体側の面と前記可撓性厚肉部材との双方に止着される部分を有する。
この構成によれば、可撓性厚肉部材と開閉体との止着強度を向上することができ、可撓性厚肉部材が開閉体の面から容易に剥がれてしまうようなことを防ぐことができる。
【0014】
第六の特徴としては、前記環状係合部、前記巻取体、及び前記巻取体に巻かれた際の前記開閉体を収納する収納部を備えた開閉装置であって、前記可撓性厚肉部材は、前記開閉体の全閉状態で前記収納部から露出しないで該収納部内に位置するように設けられている。
この構成によれば、可撓性厚肉部材が収納部の挿通部分(まぐさ部分)に引っ掛かったり、可撓性厚肉部材が収納部外に露出して開閉体の意匠上の体裁を損ねたりするようなことを防ぐことができる。
【0015】
第七の特徴としては、前記開閉体の開放方向側に、軸方向の両端側に前記環状係合部を一体的に有するガイド軸を設け、このガイド軸の上半部側に前記開閉体を沿わせるとともに前記環状係合部の上半部側に前記係脱部材を掛合して、前記開閉体を開閉体開閉方向に対する交差方向へ導き、この開閉体を、前記ガイド軸から離隔した前記巻取体に巻き取らせるようにした開閉装置であって、前記可撓性厚肉部材は、前記開閉体の全閉状態で前記巻取体に巻かれないように前記ガイド軸側に配置されている。
この構成によれば、開閉体の全閉状態で可撓性厚肉部材が巻取体に巻かれないので、巻取体に巻き取られる可撓性厚肉部材の長さを比較的短くすることができ、ひいては、巻取体に巻かれた際の開閉体の巻径を小さくすることができる。
【0016】
さらに、好ましい特徴としては、巻取体に巻かれた際の開閉体の弛みをより効果的に抑制するために、前記可撓性厚肉部材の厚みを、前記係脱部材の厚みと略同等に設定する。
【0017】
さらに、好ましい特徴としては、巻取体に巻かれた際の開閉体の弛みをより効果的に抑制するために、前記可撓性厚肉部材は、前記開閉体の横幅方向の中央寄りに複数設けられる。
【0018】
さらに、好ましい特徴としては、巻取体に巻かれた際の開閉体の弛みをより効果的に抑制するとともに、可撓性厚肉部材の長さを必要最小限とするために、前記可撓性厚肉部材の開閉体開閉方向の長さは、前記巻取体1周分の長さに設定される。
【0019】
さらに、好ましい特徴としては、可撓性厚肉部材を巻取体に巻かれ易いようにするために、前記可撓性厚肉部材の材質を弾性材料とする。
【0020】
さらに、好ましい特徴としては、汚れ防止カバーによる効果を良好に得るために、前記汚れ防止カバーを、前記可撓性厚肉部材よりも耐摩耗性の高い材料によって形成する。
【0021】
また、上記構成とは独立して作用効果を奏する他の特徴としては、面方向へスライドして開閉動作する開閉体と、前記開閉体の開放方向側に設けられた巻取体と、該巻取体の軸方向の端部側を回転不能に受ける軸受部材とを備え、前記開閉体を、前記ガイド軸から離隔した前記巻取体によって巻き取ったり繰り出したりするようにした開閉装置であって、前記巻取体の軸方向の端部側を、径方向において一方向へ潰れた形状に形成し、この潰れた形状の部分が回転不能に嵌り合うように前記軸受部材を形成した(
図2及び
図11参照)。
この構成によれば、巻取体の前記潰れた形状の部分を前記軸受部材に嵌め合すだけで、巻取体が回転不能に固定されるため、巻取体の潰れた形状の部分と軸受部材との間にボルト等の止着具を貫通挿入する場合に、双方の貫通孔の位置合わせを容易に行うことができ、さらには、前記止着具を省くことも可能である。
【0022】
また、上記構成とは独立して作用効果を奏する他の特徴としては、複数の可撓性シートの重ね合わせて、その重ね合わせ部分を上型と下型の間に挟んで高周波溶着するようにした開閉体の製造方法であって、前記高周波溶着の際に、前記上型における開閉体面方向の一端側を、前記下型における同方向の一端部に被せるようにして開閉体面方向へずらした(
図10参照)。
この製造方法によれば、前記重ね合わせ部分が上型と下型により押圧されることで、その押圧された部分における開閉面方向の端部に他の部分よりも盛り上がった隆起部が形成されるのを防ぐことができ、ひいては、開閉体の使用中に、前記隆起部に重ね合わせられた可撓性シートが、前記隆起部から受ける押圧力によって損傷や破断等するようなことを防ぐことができる。
【0023】
また、前記製造方法において、前記隆起部の形成をより効果的に抑制するには、下型側の可撓性シートを、上型側の可撓性シートよりも変形し難い材料によって形成する。
【0024】
なお、本明細書中において「開閉体厚さ方向」とは、閉鎖状態における上記開閉体の厚みの方向を意味する。
また、本明細書中において「開閉体幅方向」及び「開閉体の横幅方向」とは、上記開閉体の開閉方向と略直交する方向であって、上記開閉体の厚さ方向ではない前記開閉体の幅方向を意味する。
また、本明細書中において「開閉体開閉方向」とは、上記開閉体が空間を仕切ったり開放したりするためにスライドする方向を意味する。
また、本明細書中において開閉体の「面方向」とは、閉鎖状態で開閉体の表面又は裏面が連続する方向を意味し、この方向には、前記開閉体開閉方向及び前記開閉体幅方向を含む。
【0025】
次に、上記形態の好ましい具体例を、図面に基づいて詳細に説明する。
以下に説明する開閉装置は、住宅やビル、倉庫、工場、地下街、トンネル、車両の荷台等の躯体の開口部分や内部に配設され、前記開口部分を開閉したり、躯体内部の空間を仕切ったり開放したりするシャッター装置として適用可能である。
【0026】
この開閉装置1は、
図1に示すように、上下方向のスライドにより空間を仕切ったり開放したりして開閉動作する開閉体10と、開閉体10をその横幅方向の端部側で上下方向へ案内するガイドレール20と、開放動作した際の開閉体10をその上方側で収納する収納部30とを備える。
【0027】
開閉体10は、収納部30内の巻取体31の外周部に止着される吊元側シート11と、該吊元側シート11の閉鎖方向側に位置する本体シート12と、これら吊元側シート11及び本体シート12を着脱可能に接続する着脱手段13と、本体シート12に開閉方向の所定の間隔を置いて複数設けられたロッド部材14と、これら複数のロッド部材14を、本体シート12の幅方向の端部側で開閉方向へ連結するチェーン状の係脱部材15とを具備している(
図2〜
図5参照)。
なお、
図5は、ロッド部材14及び係脱部材15を省いた状態を示している。
【0028】
吊元側シート11は、
図5に示すように、巻取体31の外周長さよりも短い長さの矩形シート状に形成される。この吊元側シート11の開放方向側の端部には、後述する巻取体31の係止凹部31b1内に内在可能な大きさで開閉体厚さ方向へ突出する被係止突起11aが設けられる。この被係止突起11aは、例えば、ジッパー(ファスナーやチャックとも称される)の片半部を開閉体横幅方向へわたって複数止着したものとすればよい。
また、この吊元側シート11の閉鎖方向端部側には、横幅方向の略中央寄りにマーキング11bが設けられる。このマーキング11bは、例えば、下向き三角形状を呈し、塗料を塗布した態様や、シート材を止着した態様等とすればよい。
そして、この吊元側シート11の閉鎖方向側の端部には、着脱手段13の係合片が止着されている。
【0029】
着脱手段13は、係合片と被係合片とを重ね合わせて厚さ方向へ押圧することで接続し、逆方向へ引っ張ることで隔離するように構成される。この着脱手段13は、図示される好ましい一例によれば、係合片と該係合片に着脱可能な被係合とからなるベルベットファスナーであり、前記係合片を吊元側シート11の閉鎖方向端部側に横幅方向の略全長にわたって止着するとともに、前記被係合片を後述する本体シート12の開放方向側端部に横幅方向の略全長にわたって止着している。
この着脱手段13は、
図3に示すように、本体シート12の開放方向側(巻取体31側)に設けられる余巻部分の内面と、該内面に重ね合わせられる吊元側シート11の外面との間に挟むようにして配置される。
ここで、前記余巻部分とは、開閉体10の閉鎖方向端部を着座対象部位p(例えば、床面や地面、下枠等)に接触させた全閉状態で、巻取体31に巻き残される開閉体10の一部分である。
また、前記外面とは、開閉体10が巻取体31に巻かれた際に外径側となる面であり、前記内面とは、前記外面に対する反対側の面である。
【0030】
本体シート12は、全閉時に躯体開口部の略全面を覆う広さの矩形状に形成され、吊元側シート11の下端に上述した着脱手段13を介して着脱可能に接続されている。
この本体シート12は、複数の可撓性シートを開閉方向へ着脱不能に止着してなり、図示例によれば、それぞれ可撓性の上部側シート12aと、中央側シート12bと、下部側シート12cの三枚のシートから構成される。
【0031】
なお、吊元側シート11及び本体シート12を構成する各シートには、例えば、ガラスクロスやシリカクロス等の難燃性布地や、フッ素加工を施した塩化ビニル樹脂シート材、ガラス繊維を含んだ合成樹脂シート材等、遮煙性、必要に応じ耐火性(難燃性を含む)の可撓性のシート材が用いられる。
【0032】
上部側シート12aは、後述する収納部30内において吊元側シート11よりも閉鎖方向側に位置するシートである。
この上部側シート12aの開放方向端部側には、吊元側シート11のマーキング11bに対応するようにマーキング12a1が設けられる。このマーキング12a1は、例えば、マーキング11bに対向する三角形状を呈し、塗料を塗布した態様や、シート材を止着した態様等とすればよい。
また、上部側シート12aにおける下端寄りの表面には、本体シート12の厚みを部分的に増加する厚み調整手段16が設けられる。
【0033】
厚み調整手段16は、
図6及び
図7に示すように、本体シート12の表面に直接止着される基部シート16aと、該基部シート16aの表面に止着される可撓性厚肉部材16bと、可撓性厚肉部材16bの外面側を覆う可撓性の汚れ防止カバー16cとから一体的に構成される。
【0034】
基部シート16aは、吊元側シート11や本体シート12と同材質の可撓性シート材によって長尺帯状に形成される。
【0035】
可撓性厚肉部材16bは、可撓性の材料、より好ましくは可撓性及び弾性を有する材料によって長尺板状に形成される。図示例についてより詳細に説明すれば、この可撓性厚肉部材16bは、ゴム材料によって基部シート16aよりも短い長尺帯状に形成される。この可撓性厚肉部材16bの厚みは、上部側シート12a、基部シート16a、可撓性厚肉部材16b及び汚れ防止カバー16cを含む開閉体10の厚みが、係脱部材15の厚みと略同等になるように設定されている。
この可撓性厚肉部材16bの両端部の各々には、該可撓性厚肉部材16bの長手方向の一方へ向かって該可撓性厚肉部材16bの厚みを徐々に小さくする傾斜面16b1(
図7参照)が形成される。この傾斜面16b1は、後述する汚れ防止カバー16cの接着面積を確保するために設けられる。
【0036】
汚れ防止カバー16cは、可撓性厚肉部材16bよりも耐摩耗性の高い材料(図示例によれば、基部シート16aと同材質の可撓性シート)によって長尺帯状に形成される。この汚れ防止カバー16cは、その長手方向の寸法が可撓性厚肉部材16bよりも大きく設定され、幅方向の寸法が可撓性厚肉部材16bよりも大きく且つ基部シート16aよりも小さく設定される。
この汚れ防止カバー16cは、接着剤や加熱溶着等の止着手段によって、開閉体開放方向の端部側と開閉体閉鎖方向の端部側に、開閉体側の面(詳細には基部シート16a表面と可撓性厚肉部材16b表面との双方)に止着される止着部16c1(
図8の二点鎖線のハッチングで示す部分)を有するとともに、これら止着部16c1,16c1の間に、可撓性厚肉部材16bに対しては止着されない非止着部16c2を有する。
各止着部16c1の止着箇所について詳細に説明すれば、上側の止着部16c1は、その上端側が基部シート16a表面に止着され、この止着箇所よりも下側の部分が可撓性厚肉部材16bの傾斜面16b1に止着され、さらに下側の部分が可撓性厚肉部材16bの平坦状分の上端寄りに止着される。下側の止着部16c1は、前記と上下対称に構成される。
この構成によれば、汚れ防止カバー16cが可撓性厚肉部材16bと基部シート16aとの双方に跨るようにして止着されるため、可撓性厚肉部材16bの止着強度を増強して、可撓性厚肉部材16bが基部シート16aから剥がれてしまうようなことを防ぐことができる。
【0037】
そして、上記構成の厚み調整手段16は、開閉体10が巻取体31に巻かれた際に外径側となる面に、その長手方向を開閉体開閉方向へ向けて、本体シート12(詳細には上部側シート12a)の中央寄りに横幅方向の間隔を置いて複数設けられる。図示例によれば、この厚み調整手段16は、左右の係脱部材15の間において、開閉体10の略中央部分と、その両側に間隔を置いた部分とに設けられる。
【0038】
また、この厚み調整手段16の開閉体開閉方向の位置について詳細に説明すれば、この厚み調整手段16は、開閉体10の全閉状態で収納部30(詳細には収納ケース)から露出しないで該収納部30内の挿通部分(まぐさ部分)よりもガイド軸32側に位置し、且つ、開閉体10の全閉状態で巻取体31に巻かれないでガイド軸32側に位置するように(
図1によればガイド軸32を開閉方向へ跨るように)設けられる。
この配置によれば、厚み調整手段16が収納部30の挿通部分(まぐさ部分)に引っ掛かったり、可撓性厚肉部材が収納部外に露出して開閉体10の意匠上の体裁を損ねたりするようなことを防ぐことができる上、開閉体10の全閉状態で可撓性厚肉部材が巻取体31に巻かれないので、巻取体31に巻き取られる厚み調整手段16の長さを必要最小限にすることができ、ひいては、巻取体31に巻かれた際の開閉体10の巻径を小さくすることができる。
【0039】
図示した好ましい一例について、さらに詳細に説明すれば、この厚み調整手段16は、開閉体10の開閉動作の妨げとならないように、係脱部材15とは干渉しない位置にある。また、厚み調整手段16は、製造性や現場性等を良好にするために、着脱手段13に跨らない位置にある。さらに、上部側シート12aと中央側シート12bとの接続箇所にも跨らない位置にある。
なお、図示例以外の他例としては、厚み調整手段16を着脱手段13や前記接続箇所に跨る構成とすることも可能である。
【0040】
また、中央側シート12b(
図5参照)は、上部側シート12aの下端に止着される略矩形状のシートである。この中央側シート12bと前述した上部側シート12aとの止着箇所は、収納部30内の挿通部分(まぐさ部分)よりもガイド軸32側に位置している。
【0041】
また、下部側シート12c(
図5参照)は、中央側シート12bの下端に止着される略矩形状のシートである。
この下部側シート12cの上下方向の途中箇所には、必要に応じて、透明塩ビシートからなる窓部12c2が設けられる。
また、下部側シート12cの下端部には、開閉体10の全閉時の着座対象部位pに当接させるための座板部12c1が設けられる。この座板部12c1は、下部側シート12cの下端部側を、開閉体幅方向の略全長にわたって袋状に形成し、この袋状部位の内部に、錘部材(例えば、砂袋や、棒状部材等)を内在することで構成される。この座板部12c1は、その重量によって開閉体10全体を下方へ引っ張り、該開閉体10に撓みや皺等が発生するのを防いだり、停電等により収納部30の駆動機構が駆動しない場合等に自重によって開閉体10を閉鎖動作させたり等する。
【0042】
厚み調整手段16の基部シート16aと上部側シート12aの止着、上部側シート12aと中央側シート12bの止着、中央側シート12bと下部側シート12cの止着、又は下部側シート12cと窓部12c2の止着に用いる止着手段は、糸による縫い着、接着剤による接着、加熱溶着、高周波溶着等とすることが可能である。
前記止着手段として高周波溶着を用いた製造方法について詳細に説明すれば、この製造方法では、
図10に示すように、例えば下部側シート12c等の下側シートS1に対し、例えば窓部12c2等の上側シートS2を重ね合わせた後、その重ね合わせ部分を、高周波溶着装置40に接続された上型41と下型42の間に挟んで高周波溶着する。この際、上型41における開閉体面方向の一端側(
図10によれば左端側)を、下型42における同方向の一端部(
図10によれば左端部)に被せるようにして開閉体面方向(
図10によれば左方向)へずらし、この状態(
図10(b)に示す状態)のまま、下型42に対し上型41を押圧し、高周波溶着が行われる。
この製造方法によれば、前記重ね合わせ部分が上型41と下型42により押圧されることで、その押圧された部分における開閉面方向の端部に他の部分よりも盛り上がった隆起部が形成されるのを防ぐことができ、ひいては、開閉体の使用中に、前記隆起部に重ね合わせられた可撓性シートが、前記隆起部から受ける押圧力によって損傷や破断等するようなことを防ぐことができる。
より詳細に説明すれば、例えば、従来の製造方法では、
図13に示すように、下側シートS1’と上側シートS2’の重ね合わせ部分を、上型41’と下型42’に挟む際、上型41’の開閉面方向の端部側(
図13によれば左端部側)が、下型42’の同面方向の端部(
図13によれば左端部)よりも内側(
図13によれば右側)に位置していた。そして、高周波溶着の後には、上型41’の開閉面方向の端部と下型42’面との間の近傍において、上側シートS2’の表面には、加熱押圧によって隆起部S1a’(
図13(b)参照)が形成される。このため、開閉動作中の開閉体が障害物X(例えば、ガイドレールやまぐさ開口部等)に接触した際等に、上側シートS2’が隆起部S1a’に対応する箇所で破損するおそれがある。
しかしながら、本願発明にかかる上記製造方法によれば、前記隆起部S1a’が形成され難く、上側シートS2の破損を軽減することができる。
なお、前記隆起部S1a’の形成をより効果的に抑制するには、下側シートS1を、上側シートS2よりも熱変形し難い材料によって形成する。
【0043】
そして、上記構成の本体シート12には、開閉方向へ所定の間隔を置いて複数設けられたロッド部材14と、これら複数のロッド部材14を、開閉体開閉方向へ連結するチェーン状の係脱部材15とが設けられる(
図2参照)。
【0044】
ロッド部材14は、開閉体幅方向へわたる長尺軸状の部材であり、本体シート12のロッド部材挿通部12dに貫通状に挿通される。
前記ロッド部材挿通部11bは、本体シート12を部分的に二つ折りにして止着したり、該本体シート12に他のシート材を止着したり等することで形成された横幅方向の貫通孔であり、開閉体開閉方向へ間隔を置いて複数設けられる。
【0045】
係脱部材15は、図示例によればローラチェーン状の部材であり、ロッド部材14を介て、本体シート12と一体化されている。
この係脱部材15は、開閉体10の全閉状態(
図1に示す状態)で、該係脱部材15の開放方向側の部分が、ガイド軸32の環状係合部32dに係合するように、開閉体10の開閉方向へわたって設けられる。そして、開閉体10の全閉状態で、係脱部材15と環状係合部32dとが係合する部分よりも巻取体31側には、係脱部材15を有さない部分を設けている。
特に、本実施の形態の好ましい一例によれば、開閉体10の全閉状態で係脱部材15と環状係合部32dとが接触する位置まで係脱部材15を設け、この位置よりも巻取体31側(開閉体10における巻取体31に巻かれた部分を含む)には、係脱部材15を設けていない。この構成によれば、係脱部材15の長さを必要最小限に短くすることができる上、巻取体31に巻かれる開閉体10の巻径及び弛みをより小さくすることができる。
【0046】
また、ガイドレール20は、開閉体10の幅方向の両端部にそれぞれ設けられ、本体シート12の幅方向端部、ロッド部材14及び係脱部材15を、略凹状に囲んで開閉方向へ導く。
【0047】
また、収納部30は、開閉体10をその開閉方向側で開閉動作させるとともに開閉方向に対する交差方向へ導くガイド軸32と、ガイド軸32によって前記交差方向へ導かれた開閉体10を巻き取ったり巻き戻したりする巻取体31と、これらガイド軸32及び巻取体31をその軸方向の両側で支持する支持ブラケット33と、ガイド軸32及び巻取体31の前後及び上下を覆うケース部34とを備える(
図1及び
図2参照)。
【0048】
ガイド軸32は、開閉体10の開閉方向に略直交する開閉体幅方向へわたって回転可能に支持された筒体又は軸状のガイド本体32aと、該ガイド本体32aの幅方向の端部に固定された略スプロケット状の環状係合部32dと、これら一体のガイド本体32a及び環状係合部32dを駆動回転する回転駆動源(例えば、図示しないチューブラモータ等)とを具備してなる。
このガイド軸32は、ガイド本体32aの上部側に本体シート12を掛けるとともに、環状係合部32dの上部側に係脱部材15を掛けて、本体シート12及び係脱部材15を、開閉方向に交差する方向へ案内する。
【0049】
巻取体31は、巻取体31に対し軸受部材31cを介して回転不能に受けられた固定軸31aと、該固定軸31aの周囲に回転自在に支持された筒部31bと、該筒部31bを巻取り方向へ付勢する付勢部材(図示せず)とから構成される。
【0050】
固定軸31aは、その軸方向の端部側をカシメ加工されることで、該端部側を径方向において一方向へ潰れた形状に形成される(
図2及び
図11参照)。
また、軸受部材31cは、上方から固定軸31aの前記潰れ形状の部分を挿入可能な断面コ枠状の受部31c1と、該受部31c1を止着具(図示しないネジやボルト等)によって支持ブラケット33へ止着するための止着片部31c2とから一体に構成され、受部31c1の幅wを、固定軸31a端部の潰れ形状の部分の幅と略同等の幅に形成している。
固定軸31aは、軸受部材31cに嵌め合せられた後、
図11に示すように、横方向へ貫通する軸状止着具31a1(例えば、ボルトやリベット等)によって固定される。この際、前記潰れ形状により固定軸31aが回転方向に位置決めされているため、軸状止着具31a1の挿入作業を容易に行うことができる。なお、他例としては、軸状止着具31a1を省いて、固定軸31aの前記潰れ形状の部分と幅狭状の軸受部材31cとの嵌合のみによって巻取体31を回転不能に固定することも可能である。
【0051】
筒部31bは、開閉体10の幅方向の略全長にわたる略筒状の部材である(
図3、
図4及び
図9参照)。
この筒部31bは、アルミニウム合金材料等から略筒状に成形され、その周壁には、開閉体10の上端部を止着するための係止凹部31b1を有する。また、筒部31bの内周部は、図示しない回転支持部材(ベアリング等を含む)を介して固定軸31aの外周部に回転自在に支持されるとともに、図示しない付勢部材(例えば、コイルスプリングやゼンマイバネ等)によって巻取り方向へ付勢されている。
なお、
図9中、符号31b2は、前記回転支持部材に嵌り合うリブ、符号31b3は前記回転支持部材に嵌り合う嵌合凸部、符号31b4は、図示しない止着具を挿通して前記回転支持部材に止着するための止着孔である。
【0052】
係止凹部31b1は、筒部31bの外周面において接線方向へ開口し、且つ開閉体幅方向へ連続する凹部であり、吊元側シート11の開放方向側の端部及び該端部の被係止突起11aが挿入される。
係止凹部31b1の開口縁側の内壁には、吊元側シート11を厚み方向へ挟むように対向する係止突起31b11,31b11が設けられる(
図4参照)。
吊元側シート11の開放方向側の端部及び該端部の被係止突起11aは、筒部31bの係止凹部31b1に対し、軸方向の端部側から挿入されて、接線方向へ抜けないように係止突起31b11に係止される。
【0053】
また、ケース部34は、左右の支持ブラケット33と協働してガイド軸32及び巻取体31を覆う矩形箱状に構成され、その下端壁に、ガイドレール20及び開閉体10を上下方向へ挿通させるまぐさ部34a(
図1参照)を有する。
【0054】
次に、上記構成の開閉装置1についてその特徴的な作用効果を詳細に説明する。
先ず、
図1に示すように、開閉体10の閉鎖方向端部を着座対象部位pに当接させた全閉状態では、収納部30のケース部34内において、厚み調整手段16が巻取体31から引き出されてガイド軸32側に位置する。
このため、厚み調整手段16が収納部30の下方へ露出して意匠上の体裁を損ねてしまうようなことを防ぐことができる上、巻取体31に巻き残される開閉体10の外径が比較的小さく保持される。
また、この全閉状態では、吊元側シート11と本体シート12の止着箇所(着脱手段13)が、巻取体31の余巻部分に挟まれるため、開閉体10に加わる荷重や衝撃、風圧等に起因して、前記止着箇所が外れてしまうようなことを防ぐことができる。
【0055】
そして、開閉体10を開放動作させて巻取体31に巻き取った際には、巻取体31の周囲には、本体シート12が巻き取られるのに伴って、本体シート12の横幅方向の両端側の係脱部材15が巻き取られるが、開閉体10の横幅方向の中央寄りで厚み調整手段16も巻き取られるため、本体シート12における開閉体10の横幅方向の中央寄りの部分が自重により垂れ下がって、巻取体31に巻かれた開閉体10が偏心した巻太りを生じたりケース部34に接触したりするのを軽減でき、ひいては、ケース部34の上下方向寸法を小型化することが可能になる。
【0056】
また、巻取体31に開閉体10を巻き取った際には、厚み調整手段16の外周に本体シート12が巻き重なることになるが、ゴム製の可撓性厚肉部材16bの周囲に本体シート12が直接巻き重なることがなく、その間に汚れ防止カバー16cが介在するため、可撓性厚肉部材16bの異物(例えば、汚れや表面劣化物等)が本体シート12に転写されるのを防ぐことができる。
さらに、汚れ防止カバー16cが、可撓性厚肉部材16bよりも開閉体開放方向へ長く、且つ長手方向の中央側に可撓性厚肉部材16bに対し止着されない非止着部16c2を有するため、巻取体31に厚み調整手段16を巻き取った際に、可撓性厚肉部材16bの屈曲が損ねられて外径形状がいびつになったり、汚れ防止カバー16cに過剰な張力が作用して破損や剥がれ等を生じたり等するのを防ぐこともできる。
【0057】
また、開閉体10が障害物等との接触により破損し該開閉体10を交換する場合には、
図4に示すように、該開閉体10を巻取体31から強制的に引き出せば、該開閉体10における吊元側シート11と本体シート12の接続箇所(着脱手段13)を露出させることができ、吊元側シート11から本体シート12を剥すようにして容易に外すことができる。
また、新しい本体シート12を吊元側シート11に対し接続する際には、横幅方向において双方のマーキング11b,12a1を位置合わせし、吊元側シート11に対し本体シート12を重ね合わせて押圧すれば、これら双方のシートを容易に接続することができる。
【0058】
また、吊元側シート11は巻取体31外周の接線方向に開口する係止凹部31b1に挿入され係止されているため、その係止部分に、開閉体厚さ方向の力が作用して、吊元側シート11が破損したり外れたりするようなことを防ぐことができる。
【0059】
なお、上記開閉装置1によれば、本体シート12の幅方向の端部から離れた位置にロッド部材14を介して係脱部材15を設けるようにしたが、この係脱部材15は、所定のピッチで環状係合部32dと係脱可能な構成であれば、図示例のものに限定されず、他例としては、本体シート12の幅方向の端部に上記係脱部材15を直接止着した態様や、本体シート12の幅方向端部に、環状係合部32dと係脱可能な複数の凹部、凹凸又は孔を、開閉体開閉方向へわたって設けてなる態様等とすることが可能である。
【0060】
また、上記開閉装置1によれば、ガイド軸32によって導かれる開閉体10を巻取体31に巻き取る二軸式のシャッター装置を構成としたが、他例としては、
図12に示すように、一軸式のシャッター装置を構成することも可能である。この場合、開閉体10の幅方向の両端部に係脱部材15を設けるとともに、一軸式の巻取体31’の幅方向の両端部に係脱部材15と係脱可能な環状係合部32d’を設け、巻取体31’に巻かれる開閉体10の外径側であって左右の係脱部材15,15の間に厚み調整手段16を設け、開閉体10の開放方向側に着脱手段13を設けるようにすればよい。
【0061】
また、上記開閉装置1によれば、特に好ましい形態として、厚み調整手段16を収納部30内に配置したが、他例としては、厚み調整手段16を収納部30外にも設けたり、開閉体10の開閉方向の全長にわたって設けることも可能である。
【0062】
また、上記開閉装置1によれば、特に好ましい形態として、厚み調整手段16を、基部シート16a、可撓性厚肉部材16b及び汚れ防止カバー16cから構成したが、他例としては、前記構成から基部シート16aを省いたり、可撓性厚肉部材16bのみによって厚み調整手段16を構成することも可能である。
【0063】
また、上記開閉装置1によれば、特に好ましい態様として、開閉体10が巻取体31に巻かれた際に外径側となる面に厚み調整手段16を設けたが、他例としては、その内径側となる面に厚み調整手段16を設けたり、両面に厚み調整手段16を設けることも可能である。
【0064】
また、上記開閉装置1によれば、着脱手段13の好ましい一例としてベルベットファスナーを用いたが、着脱手段13の他例としては、凸状の係合部を凹状に被係合部に重ね合わせて厚さ方向へ押圧して接続するようにした所謂スナップボタンや、磁石等とすることも可能である。
【0065】
また、上記開閉装置1によれば、着脱手段13を本体シート12の横幅方向の略全長に連続するように設けたが、他例としては、着脱手段13を本体シート12の横幅方向へ間隔を置いて複数設けるようにしてもよい。
【0066】
また、上記開閉装置1によれば、開閉体10の全閉状態で係脱部材15と環状係合部32dとが接触する位置よりも巻取体31側には、係脱部材15を設けないようにしたが、他例としては、係脱部材15を前記接触する位置よりも巻取体31側にも設けたり、係脱部材15を開閉体10の開閉方向の略全長にわたって設けたりすることも可能である。