(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
気泡又は気泡と水を添加した気泡混合土を安定液として掘削、混合を行う掘削、混合工程と、掘削、混合工程の完了後に、造壁組成物を、掘削の底部に送り込み、気泡混合土と造壁組成物の置換工程からなる地中連続止水壁工法であって、
気泡混合土が、掘削、混合時に、湿潤密度を1.03〜1.72g/cm3の範囲に調整した気泡混合土であり、
置換工程に用いる造壁組成物が、スメクタイト系粘土鉱物粒状体と水又はスメクタイト系粘土鉱物粒状体と水及び気泡を混練した造壁組成物であり、
前記スメクタイト系粘土鉱物粒状体を予め、1〜10%濃度の水溶性樹脂、セメントミルク、70〜100%濃度の硅酸ソーダ、油脂液のいずれかに浸漬して乾燥させ、
前記スメクタイト系粘土鉱物粒状体と水を1:1〜1:0.5の重量比で混合させて用いることを特徴とする地中連続止水壁工法。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、本発明の地中連続止水壁工法について詳述する。
【0024】
本発明の地中連続止水壁工法は、気泡又は気泡と水を添加した気泡混合土を安定液として掘削、混合を行う掘削、混合工程と、掘削、混合工程の完了後に、造壁組成物を掘削の底部に送り込み、気泡混合土と造壁組成物を置換する置換工程からなる構築法である。
【0025】
まず、掘削、混合工程について
図1を用いて説明する。
【0026】
本発明の掘削、混合工程では、地中連続壁施工機械1の掘削機の先端部から気泡を添加しながら掘削、混合を行い、気泡と掘削土が混合した気泡混合土2を造成する。気泡混合土2の湿潤密度は、後述する置換工程(I、II)で置換する造壁組成物3よりも小さく、かつ、溝壁の安定を保つために1.03g/cm
3より大きくなるように、気泡もしくは気泡と水の添加量により調節を行う。
【0027】
ここで、気泡混合土2の湿潤密度が置換工程で置換する造壁組成物3よりも小さい具体的な条件としては、従来経験的に得られたデータを基にした数値として、後述する造壁組成物3の湿潤密度の上限値の1.72g/cm
3とすることができる。
【0028】
なお、気泡混合土2の湿潤密度と気泡添加量は、下記式(1)に基づいて算定することができる。
【0030】
ここで、γ
cは気泡混合土の湿潤密度(g/cm
3)、wは気泡混合土の含水比(%)、Qは気泡添加率(%)、γ
sは土粒子の密度(g/cm
3)、γ
wは水の密度(g/cm
3)、γ
bは気泡の密度(g/cm
3)を表す。
【0031】
また気泡添加率Qは下記式(2)で表すことができる。
【0033】
ここで使用する気泡は、起泡剤を24倍の空気により発泡させた気泡であり、掘削土の混練性、分離性等から、その物性値は密度が0.04g/cm
3、平均粒径は500μm以下であることが望ましい。掘削土の土粒子の密度は概ね2.6〜2.7g/cm
3であるので、密度が0.04g/cm
3の気泡を掘削土に混ぜると容易に気泡混合土2の湿潤密度を低下させることができる。
【0034】
さらに気泡を混合することにより、気泡混合土2の流動性がよくなるので、置換工程での造壁組成物3との置換が容易になる。
【0035】
なお、気泡混合土2は掘削時の安定液として有効であることは、本発明者らの研究による特許(特許第3725750号)で明らかであり、さらに溝壁面の安定を保つためには気泡混合土2の湿潤密度を1.03g/cm
3以上に保つことが必要であることが知られている。
【0036】
また、地中連続止水壁を構築する地盤が地下水位以下にある場合は、気泡のみの添加により気泡混合土2を容易に作成できるが、地下水位以上の部分においては気泡のみでは消泡が生じるので、気泡の添加と一緒に加水をするが、加水量が多いと気泡混合土が分離する可能性があるので、掘削土1m
3当たり50〜100L程度の加水にとどめることが望ましい。
【0037】
孔壁の安定のための気泡混合土2の最低の湿潤密度1.03g/cm
3を得るために必要な気泡量を式(1)より計算すると、掘削土1m
3当たり砂質土では概ね780L、粘性土では概ね550Lとなる。
【0038】
なお、上記本発明の掘削、混合工程の施工に使用する地中連続壁施工機械1は特に限定されるものではないが、例えば、ソイルセメント地中連続壁の施工に使用される等厚式ソイルセメント地中連続壁施工機械や、柱列式ソイルセメント地中連続壁の造成に用いられる地中連続壁施工機械を使用することができ、これらの中でも壁厚を一定に造成することができる点で、等厚式ソイルセメント地中連続壁施工機械を好適に用いることができる。
【0039】
次に、掘削、混合工程の完了後に、造壁組成物3を掘削の底部に送り込み、気泡混合土2と造壁組成物3を置換する置換工程に移る。
【0040】
置換工程に用いる造壁組成物3は、スメクタイト系粘土鉱物粒状体と水、又はスメクタイト系粘土鉱物粒状体と水及び気泡を混練した造壁組成物3である。
【0041】
造壁組成物3は、地上部の混練機4により、気乾状態にあるスメクタイト系粘土鉱物粒状体と水を重量比で概ね1:1〜1:0.5、好ましくは1:0.6の範囲で混合して、組成を調整したものである。そして、このような条件で調整した造壁組成物3の湿潤密度は凡そ1.46〜1.72g/cm
3となる。また、スメクタイト系粘土鉱物粒状体と水に、さらに気泡を添加した造壁組成物3は流動性が増加するため、置換作業をより容易にすることができる。
【0042】
なお、スメクタイト系粘土鉱物の形状として粉体を使用した場合、粉体は水と混合すると、直ちに水を吸収し膨張を始めると共に粘性が増加する。そのために、例えばスメクタイト系粘土と水を1:0.6の重量比で混合した場合でも急速に団子状となり、混練やさらにはトレミー5での置換が困難となる。しかしながら、大量の水を使用すると、スメクタイト系の粘土は混練時に吸水し膨張が終了するため、吸水、膨張による自己修復性が期待できない。
【0043】
それ故、スメクタイト系粘土鉱物粒状体を用いることが必要であり、この場合は造壁組成物3中のスメクタイト系粘土鉱物粒状体の表面のみが水を吸収した状態で、トレミー5を用いて気泡混合土2と置換でき、造壁組成物3中のスメクタイト系粘土鉱物粒状体は混練水や地中の水を吸収し、膨張して地中連続止水壁を構築する。
【0044】
なお、スメクタイト系粘土鉱物粒状体は、地中においてより多くの水を吸収させて膨張させるために、気乾状態に近い含水比のスメクタイト系粘土鉱物粒状体を使用することが望ましい。
【0045】
また、本発明で用いるスメクタイト系粘土鉱物粒状体は、原鉱石を破砕し、又は粉体から造粒し、含水比、粒度を調整したスメクタイト系粘土鉱物粒状体であってもよく、特に経済的な観点から、原鉱石を粉砕したスメクタイト系粘土鉱物粒状体を用いるのが望ましい。
【0046】
また、本発明では掘削、混合時
に湿潤密度を調整した気泡混合土2と、上記のスメクタイト系粘土鉱物粒状体及び水、又はスメクタイト系粘土鉱物粒状体と水及び気泡を混練した造壁組成物3を使用することもできる。
【0047】
この場合には、地上に排泥した気泡混合土2と、スメクタイト系粘土鉱物粒状体の混合体を供試体として膨張試験を行い、溝壁の土圧以上の膨張圧が得られることを確認して造壁組成物3を利用することが望ましい。
【0048】
さらに本発明では、スメクタイト系粘土鉱物粒状体を予め、水溶性樹脂、セメントミルク、硅酸ソーダ、あるいは油脂液に浸漬し、乾燥させ、その表面を水溶性樹脂、セメントミルク、硅酸ソーダ、あるいは油脂液により被覆・含浸させたスメクタイト系粘土鉱物粒状体を使用することができる。
【0049】
乾燥したスメクタイト系粘土鉱物粒状体は、水と混合すると直ちに水を吸収し始め粘性が増加するので、時間の経過とともに置換が困難になる。そこで、スメクタイト系粘土鉱物粒状体を1〜10%濃度の水溶性樹脂に短時間浸漬し、乾燥させ、スメクタイト系粘土鉱物粒状体表面を水溶性樹脂で被覆することにより、吸水開始時間を遅らせることができ、造壁組成物3の混練、置換作業のための時間的な余裕をとることが可能となる。
【0050】
スメクタイト系粘土鉱物粒状体の表面を被覆する水溶性樹脂としては、通常公知の水溶性樹脂であれば制限なく用いることができ、例えば、合成ポリマーとして、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチレンイミン、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン等、半合成ポリマーとして、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、酸化デンプン等、天然ポリマーとして、アルギン酸等を挙げることができる。
【0051】
これらの中でもポリビニルアルコールを好適に用いることができ、重合度100〜400の超低重合度でケン化度(モル%)が88〜90のポリビニルアルコール(日本酢ビ・ポバール(株)製 商品名:アニオン変性PVA AP−17)は水に溶けやすく、粘土の安定性がよい等の特徴があり特に好適に用いることができる。
【0052】
また本発明では、スメクタイト系粘土鉱物粒状体をセメントミルク、硅酸ソーダ、あるいは油脂液に浸漬し、乾燥させ、その表面をそれぞれ、セメント凝結体、硅酸ソーダ固化体、ないし油脂体により被覆・含浸させたスメクタイト系粘土鉱物粒状体を使用することもできる。
【0053】
この処理は、前記の水溶性樹脂により被覆する処理と同じく、スメクタイト系粘土鉱物粒状体への水の浸入を一時的に遅らせることにより、軟泥化の程度を防ぎ、施工時間に余裕を持たせるために、気乾状態のベントナイト粒状体の表面にセメント凝結体、硅酸ソーダ固化体、ないし油脂体の被膜を造成するものである。
【0054】
セメントミルク、硅酸ソーダ、あるいは油脂液中に固形の粘土鉱物粒状体を浸漬し、セメントミルク、硅酸ソーダ、ないし油脂液を付着させ、乾燥させることによりセメントミルク、硅酸ソーダ、ないし油脂液の被膜を固定化させた粘土鉱物粒状体は、水が被膜を通過し固形の粘土鉱物粒状体まで到達するのに少なくとも100分の時間がかかることが確認されている。
【0055】
気乾状態の粘土鉱物粒状体にセメント被膜を造成するためのセメントと水の比率としては、好ましくは40〜80%、より好ましくは50%程度の範囲である。水とセメントの比率がこの範囲であればセメントの被膜が十分に形成され、固形の粘土鉱物粒状体の粒子同士が付着することがなく、良質な固形物とすることができる。
【0056】
また、スメクタイト系粘土鉱物粒状体の表面を被覆する硅酸ソーダとしては、通常公知の硅酸ソーダであれば制限なく用いることができ、70〜100%濃度に希釈して使用することができる。
【0057】
これらの中でも、地盤改良等で用いられている硅酸ソーダ3号は廉価であり、また入手が容易であることから好適に用いることができる。
【0058】
スメクタイト系粘土鉱物粒状体の表面を被覆する油脂液としては、通常の油脂類であれば制限なく用いることができ、例えば、食用油、機械油類、あるいは水溶性切削油等を挙げることができる。
【0059】
さらに本発明では、スメクタイト系粘土鉱物粒状体に粘土、シルト、砂、礫、フライアッシュのいずれかを組み合わせて添加することにより乾燥密度を大きくした造壁組成物3とすることができる。
【0060】
なお、土質工学会の基準(JSF)によれば、砂は粒径0.075〜2mm、礫は粒径2mm以上と定義されており、本発明で用いる砂、礫もこれに準拠したものである。
【0061】
造壁組成物3中のスメクタイト系粘土鉱物粒状体の配合量を多くし、かつ乾燥密度を大きくすることにより、スメクタイト系粘土鉱物粒状体が吸水膨張した時の膨張圧は大きくなるため、より安定した地中連続止水壁を構築することができる。
【0062】
造壁組成物3の粒度分布をよくすることにより乾燥密度及び膨張圧を大きくすることができる。この効果を発現させるために、粒度分布は下記式(3)を満たすことが望ましい。
【0064】
Ucは均等係数、Uc´は曲率係数を表し、これらは土の粒度試験方法(JSF T 131−1990)で規定されている。
【0065】
これによると、Ucは下記式(4)で、Uc´は下記式(5)で表される。
【0066】
Uc=D
60/D
10 (4)
Uc´=(D
30)
2/(D
10×D
60) (5)
ここで、D
10、D
30、D
60は粒径加積曲線から、通過質量百分率10%、30%、60%に対する粒径D(mm)を表す。
【0067】
均等係数Ucは、粒径加積曲線の傾度を表すもので、大きくなるほど、粒度分布が広いことを表している。一般にUcが4〜5以下の土は”粒度分布が悪い“とされ、10以上の土は”粒度分布がよい“とされている。これらの表現は土の締固めの難易度に対応したものである。また、曲率係数Uc´は粒径加積曲線のなだらかさを示すもので、Uc´が1〜3の場合に”粒度分布がよい“としている。すなわち、”粒度分布がよい“ためにはUcとUc´に関する上記の条件を同時に満足する必要がある。
【0068】
また本発明では、地中連続止水壁に強度を求める必要があるときは、固化材としてセメント類を造壁組成物3に添加使用することにより、強度のある地中連続止水壁体を構築することもできる。
【0069】
さらに、本発明の地中連続止水壁工法では、造壁組成物3のみで構成した地中連続止水壁を構造体として使用するために強度が必要な場合には、造壁組成物3が未固結な状態のうちに、H型鋼やシートパイル等の構造体を強化する部材を造壁組成物3中に挿入し、地中連続止水壁強度を高めることができる。
【0070】
置換工程に用いる手段としては、
図1の2)置換工程Iに示すように地中連続壁工法においてコンクリートの打設に通常用いられるトレミー5を用いて、造壁組成物3と気泡混合土2の比重差を利用し、造壁組成物3を気泡混合土2中に打設する手段を用いることができるが、比重差が小さく置換が困難の場合は、
図1の3)置換工程IIに示すように、造壁組成物3を強制的に排出、置換する方法として、スパイラルオーガー7を用いることもできる。
【0071】
気泡混合土2と造壁組成物3の置換手段として、トレミー5に動力機8により回転されるスパイラルオーガー7を内蔵せしめ、トレミー5上部に投入された造壁組成物6をスパイラルオーガー7の回転によりトレミー5の先端より、掘削部底部の気泡混合土2中に強制的に排出し、気泡混合土2と置換しながら上部に引抜き、さらには水平方向に移動して地中連続止水壁全体を造壁組成物3にて満たす置換工程であり、この結果、地中連続止水壁の高密度化と高品質化を図ることが可能である。
【0072】
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
【実施例】
【0073】
以下に、実施例として本発明の地中連続止水壁工法の効果を確認するために行った膨張試験、被覆試験、粒度配合試験、透水試験について詳述する。
<膨張試験>
スメクタイト系粘土鉱物粒状体の吸水による膨張圧について、溝壁からの土圧による拘束圧中での造壁組成物の吸水、膨張を想定し、以下の膨張試験を行った。
【0074】
試験装置は、JIS A 1217:2009に準拠した土の圧密試験で使用する圧密試験機を用い、供試体はスメクタイト系粘土鉱物として、代表的な粘土鉱物であるベントナイトの原鉱石を粉砕し、最大粒径10mmと20mmの気乾状態の粒状体を使用して供試体とするための試料1〜7を調整した。
【0075】
これらの各試料1〜7を円筒状の圧密リング内に入れ、軽く締めて膨張試験の供試体とした。供試体の上部には膨張量を計測するために変位計と膨張圧を計測するための載荷装置を取り付けた。
表1に試験装置寸法及び試料の初期状態、配合量を示す。
【0076】
【表1】
【0077】
各供試体の下端から給水を始めるとベントナイトは吸水し膨張を始めるので、膨張量が常に1/100mm以下になるように加圧力により調整し、この加圧力を膨張圧とした。表2に膨張試験終了時の試料の状態を、
図2及び
図3に膨張試験結果(時間と膨張圧の関係)のグラフを示す。
【0078】
図2は経過時間0〜3500分のベントナイト粒状体の吸水による膨張圧を示し、
図3は
図2の経過時間0〜200分を示したものである。
【0079】
【表2】
【0080】
図2、3に示す試料1は、最大粒径10mmのベントナイト粒状体のみの場合の時間と膨張圧の関係を示す。このグラフによると、吸水と同時に膨張を始めて、膨張圧が大きくなり始め、約50分程度で膨張圧の増加は緩やかになり、1360分経過後には膨張圧は150kN/m
2となる。
【0081】
給水開始時の供試体の含水比は0.3%であったが、1360分経過後の含水比は65.9%であった。ベントナイトの膨張はその含有物により異なるが、通常は含水比が200〜300%程度なので、まだ十分な膨張が生じる含水比といえる。
<被覆試験>
水溶性樹脂、セメントミルク、硅酸ソーダ、あるいは油脂液を被覆する処理をしたベントナイト粒状体の有効性を確認するための被覆試験を行った。
【0082】
水溶性樹脂としてポリビニルアルコール(日本酢ビ・ポバール(株)製 商品名 AP−17)の重合度100〜400の超低重合度でケン化度(モル%)が88〜90の2%水溶液に、セメントミルクとして普通ポルトランドセメントを水セメント比40%のミルクに、硅酸ソーダとして硅酸ソーダ3号の原液中に、油脂類として水溶性切削油((株)エーゼット製 商品名 No.824)の原液中に、スメクタイト系の粘土鉱物である最大粒径20mmのベントナイト粒状体を1秒間浸漬し、気中で乾燥させ、表面にそれぞれ、ポリビニルアルコール、セメントミルク、硅酸ソーダ、油脂液の被膜を造成した。
【0083】
この表面を被覆したベントナイト粒状体を用いて調整した試料4〜7の膨張試験の結果を
図2に示す。この結果から表面を被覆しない試料1〜3と比較して、表面を被覆した試料4〜7の吸水膨張圧の発現は遅くなり、表面を被覆したスメクタイト系粘土鉱物粒状体が有効に使用できることが確認された。
<粒度配合試験>
表1に試料1〜7のベントナイト粒状体と硅砂との配合割合を、
図4に通過質量百分率の関係を示す。
【0084】
試料1は最大粒径10mm以下のベントナイト粒状体のみによる試料であり、試料2は試料1のベントナイト粒状体を75%、硅砂6号を25%の重量比率で混合した試料であり、試料3は試料1のベントナイト粒状体を60%、硅砂5号を20%、硅砂6号を20%の重量比率で混合した試料であり、試料4、5、6、7は最大粒径20mmのベントナイト粒状体を各々ポリビニルアルコール、セメントミルク、ケイ酸ソーダ及び水溶性切削液にて被覆したスメクタイト系粘土鉱物粒状体を57%、硅砂3号を43%の重量比率で混合した試料である。
【0085】
表2及び
図2によると、数式4、5の条件を満たす粒度分布の良い試料2,3は、粒度分布の悪い試料1、4、5、6、7よりも膨張圧は大きく、粒度調整をすることが有効であることが確認された。
<透水試験>
さらに試料2、3、6についてJIS A 1218:2009に準拠した変水位透水試験機を用いて透水試験を行うと、表2中に示すように透水係数は1×10
−7〜1×10
−8cm/sであり、地中連続止水壁としての遮水性能を十分満たしていることが確認できた。