特許第6207170号(P6207170)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アイメックの特許一覧

特許6207170欠陥の無いヘテロエピタキシャルのためのマスク構造および方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6207170
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】欠陥の無いヘテロエピタキシャルのためのマスク構造および方法
(51)【国際特許分類】
   C30B 25/04 20060101AFI20170925BHJP
   H01L 21/205 20060101ALI20170925BHJP
【FI】
   C30B25/04
   H01L21/205
【請求項の数】13
【外国語出願】
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2013-27626(P2013-27626)
(22)【出願日】2013年2月15日
(65)【公開番号】特開2013-166689(P2013-166689A)
(43)【公開日】2013年8月29日
【審査請求日】2016年2月5日
(31)【優先権主張番号】61/599,120
(32)【優先日】2012年2月15日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591060898
【氏名又は名称】アイメック
【氏名又は名称原語表記】IMEC
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(74)【代理人】
【識別番号】100100479
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 三喜夫
(74)【代理人】
【識別番号】100112911
【弁理士】
【氏名又は名称】中野 晴夫
(72)【発明者】
【氏名】ベンジャマン・ヴァンソン
(72)【発明者】
【氏名】アーロン・テアン
(72)【発明者】
【氏名】リースベト・ウィッテルス
【審査官】 村岡 一磨
(56)【参考文献】
【文献】 特表2012−503340(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0093622(US,A1)
【文献】 特開平03−292723(JP,A)
【文献】 特開平04−373121(JP,A)
【文献】 特開平03−125459(JP,A)
【文献】 特開2011−063502(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C30B 1/00−35/00
H01L 21/205
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本質的に欠陥の無いエピタキシャル成長構造を作製する方法であって、
第1結晶材料から形成された基板(3)を提供する工程と、
基板の表面上にマスク構造を配置または形成する工程であって、このマスク構造は、
膜厚全体に渡って少なくとも1つの開口部(1、50、61)を有する第1誘電体層(4、60)を含み、基板(3)の表面の一部(5)により開口部の底が形成される第1レベル(10)と、
開口部(1、61)または開口部(50)のグループのそれぞれの対向する側面の上に少なくとも形成された、1またはそれ以上のバリア(100)を含み、第1レベルの上に形成された第2レベル(20)と、
を有する工程と、
表面部分(5)の上にエピタキシャル成長で第2結晶材料を成長させる工程であって、第2材料は第1材料の格子定数とは異なる格子定数を有し、第2材料は開口部(1、61、50)を超えて成長して第2材料の層(11)を形成し、開口部(1、61、50)の深さと形状は、少なくとも1つの方向に表面部分(5)から伝搬する格子欠陥が開口部(1、61、50)中でトラップされるようになる工程と、
バリア(100)の頂上の少なくとも一部が第2材料の層(11)で覆われた場合に成長が停止する工程と、
第2材料の層(11)を平坦化する工程と、を含み、
開口部は第1誘電体層(4)中に形成された第1トレンチ(1)であり、または第1誘電体層(4)は開口部(50)の列を含み、
第2レベルは、更に、第1トレンチ(1)に対してまたは開口部(61)の列に対してゼロとは異なる角度で配置された少なくとも1つの第2トレンチ(2)を備えた第2誘電体層(6)を含み、第2トレンチ(2)の少なくとも一部は、第1トレンチ(1)または開口部(50)の列の長手方向に対して横方向に配置され、
第2トレンチ(2)の長手方向に伝搬するいずれの欠陥も、第1トレンチ(1)中または開口部(50)の列中でトラップされ、
第2トレンチ(2)の深さおよび幅は、本質的に欠陥の無い材料が、第2トレンチ(2)の少なくとも一部の中で成長するようになり、
バリア(100)は、第1トレンチ(1)または開口部(50)の列の長手方向の少なくとも2つの対向する側面上に配置される方法。
【請求項2】
第2レベル(20)は、互いに平行なトレンチ(2)の1またはそれ以上のアレイを含み、それぞれのアレイは、第1トレンチまたは開口部の列の長手方向に対して横方向に配置された請求項に記載の方法。
【請求項3】
第2トレンチ(2)は、第1トレンチ(1)または開口部(50)の列に対して垂直に配置された請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
更に、第1トレンチ(1)または開口部(50)の列の中、および第1トレンチまたは開口部の直上の、エピタキシャル成長した材料を少なくとも除去し、本質的に欠陥の無い材料からなる、第2トレンチ(2)のみが残り、または第2トレンチの少なくとも一部が残る請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
開口部(61)は、深さと形状を有して、表面部分(5)から伝搬する本質的に全ての欠陥は開口部中にトラップされ、第2レベルはバリア(100)のみからなり、バリアは全ての側面上でそれぞれの開口部(61)を囲むように配置される請求項1に記載の方法。
【請求項6】
第1および第2の材料は、半導体材料である請求項1〜のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
第1結晶材料から形成された基板(3)の表面部分(5)の上に、第2の結晶材料をエピタキシャル成長させるためのマスクであって、これらの材料は異なる格子定数を有し、マスク構造が基板上に存在する場合に、このマスク構造は、
膜厚全体を通って少なくとも1つの開口部(1、50、61)を有する第1誘電体層(4、60)を含む第1レベル(10)であって、開口部の底は基板(3)の表面の一部(5)により形成される第1レベルと、
第1レベルの上の第2レベル(20)であって、開口部(1、61)または開口部(50)のグループのそれぞれの、少なくとも2つの対向する側面の上に配置された1またはそれ以上のバリア(100)を含む第2レベルと、を含み、
開口部は第1誘電体層(4)の中に形成された第1トレンチ(1)であり、または第1誘電体層(4)は開口部(50)の列を含み、
第2レベルは更に、第1トレンチ(1)に対して、または開口部(61)の列に対してゼロとは異なる角度で配置された少なくとも1つの第2トレンチ(2)を有する第2誘電体層(6)を含み、第2トレンチの少なくとも一部は、第1トレンチ(1)または開口部(50)の列の長手方向に対して横方向に配置され、
バリア(100)は、少なくとも、第1トレンチ(1)または開口部(50)の列の長手方向の、2つの対向する側面の上に配置され、
第1トレンチ(1)の深さと幅、または開口部の列中の開口部(50)の深さと断面は、第2トレンチ(2)の長手方向に伝搬する格子欠陥が第1トレンチ(1)中または開口部(50)中にトラップされるように形成され、第2トレンチの深さと幅は、本質的に欠陥の無い材料が第2トレンチ(2)の少なくとも一部の中に成長するように形成されたマスク構造。
【請求項8】
第2レベル(20)は、互いに平行なトレンチ(2)の1またはそれ以上のアレイを含み、それぞれのアレイは、第1トレンチまたは開口部の列の長手方向に対して横方向に配置される請求項に記載のマスク構造。
【請求項9】
第2トレンチ(2)は、第1トレンチ(1)または開口部(50)の列に対して垂直に配置される請求項7または8に記載のマスク構造。
【請求項10】
第1トレンチ(1)の深さは、その幅の3倍以上であり、第2トレンチ(2)の深さは、その幅の3倍以上である請求項7〜9のいずれかに記載のマスク構造。
【請求項11】
本質的に欠陥の無いエピタキシャル成長構造の製造方法であって、
第1結晶材料から形成された基板(3)を提供する工程と、
基板の表面上にマスク構造を配置または形成する工程であって、マスク構造は、
第1トレンチ(1)または開口部(50)の列を有する第1誘電体層(4)を含む第1レベル(10)であって、第1トレンチまたは開口部は第1誘電体層(4)の膜厚全体を通って形成されて、第1トレンチまたは開口部の底は基板(3)の表面の一部(5)で形成される第1レベルと、
第1誘電体層(4)の上の第2誘電体層(6)を含む第2レベル(20)であって、第2誘電体層は第1トレンチ(1)に対して、または開口部(50)の列に対してゼロとは異なる角度で配置された1またはそれ以上の第2トレンチ(2)を備え、第2トレンチ(2)の少なくとも一部は、第1トレンチ(1)または開口部(50)の列の長手方向に対して横方向に配置された第2レベルと、を含む工程と、
表面部分(5)の上にエピタキシャル成長で第2結晶材料を成長させる工程であって、第2材料は第1材料の格子定数とは異なる格子定数を有し、第2材料は第1トレンチ(1)を超えて成長し、第1誘電体層(4)の上に第2材料の層(11)を形成する工程であって、
第1トレンチ(1)の深さと幅、または開口部の列中の開口部(50)の深さと断面は、第2トレンチ(2)の長手方向に伝搬する格子欠陥が第1トレンチ(1)中または開口部(50)中にトラップされるように形成され、
第2トレンチの深さと幅は、本質的に欠陥の無い材料が第2トレンチ(2)の少なくとも一部の中に成長するように形成された、工程と、
第2材料の層(11)が第2トレンチ(2)の全てを覆って充填した時に、成長を止める工程と、
第2材料の層(11)を平坦化する工程と、を含む製造方法。
【請求項12】
第1結晶材料から形成された基板(3)の表面部分(5)の上に第2結晶材料をエピタキシャル成長するためのマスク構造であって、これらの材料は異なる格子定数を有し、マスク構造が基板上に存在する場合に、マスク構造は、
第1トレンチ(1)または開口部(50)の列を有する第1誘電体層(4)を含む第1レベル(10)であって、第1トレンチまたは開口部は第1誘電体層(4)の膜厚全体を通って形成されて、第1トレンチまたは開口部の底は基板(3)の表面の一部(5)で形成された第1レベルと、
第1誘電体層の上の第2誘電体層(6)を含む第2レベル(20)であって、第2誘電体層は第1トレンチ(1)に対して、または開口部(50)の列に対してゼロとは異なる角度で配置された1またはそれ以上の第2トレンチ(2)を有し、第2トレンチ(2)の少なくとも一部は、第1トレンチ(1)または開口部(50)の列の長手方向に対して横方向に配置された第2レベルと、を含み、
第1トレンチ(1)の深さと幅、または開口部の列中の開口部(50)の深さと断面は、第2トレンチ(2)の長手方向に伝搬する格子欠陥が第1トレンチ(1)中または開口部(50)中にトラップされるように形成され、第2トレンチの深さと幅は、本質的に欠陥の無い材料が第2トレンチ(2)の少なくとも一部の中に成長するように形成されたマスク構造。
【請求項13】
第1トレンチ(1)の深さは、その幅の3倍以上であり、第2トレンチ(2)の深さは、その幅の3倍以上である請求項12に記載のマスク構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、欠陥の無い(defect-free)半導体材料のヘテロエピタキシャル成長のための方法およびマスクデザインに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体のヘテロエピタキシャル成長は、格子パラメータの違い(ミスマッチ)により、ひずみ緩和転位の形成に影響される。文献で提案されている1つの解決は、狭い酸化物トレンチ中の半導体の選択成長である。アスペクト比トラッピング(Aspect Ratio Trapping:ART)と呼ばれるこの技術は、酸化物トレンチサイドウォールを用いて、トレンチの底に全ての欠陥をトラップできる。トレンチ中に成長させた半導体の上部は、次に、欠陥無しに緩和される。ART技術が適用された例が、米国特許出願US20100216277に記載されている。
【0003】
それらのトレンチにおいてのみ、欠陥の無い緩和された半導体が形成できるため、最先端のART技術は、狭くて短いトレンチでのみ機能する。しかしながら、先端ロジックCMOSデバイスやフォトニクスのような様々な応用において、長いトレンチが必要とされる。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、他の結晶材料の基板上に、結晶材料の欠陥無しにエピタキシャル成長させた構造を作製するのに適したマスク構造に関し、2つの材料は異なった格子定数を有する。マスクは、以下の2つのレベルを含む。第1レベルは、例えば第1トレンチのような第1開口部を有する第1層を含み、開口部の底部は第1材料から形成された基板により形成される。第2レベルは、トレンチの少なくとも2つの対向する側面の上に配置されたバリアを少なくとも含む。好適な具体例では、第2レベルは、第1トレンチに垂直に配置された1またはそれ以上の第2トレンチを含む。第1トレンチおよび第2トレンチの深さおよび幅は、第1トレンチの底の基板部分で第2材料のエピタキシャル成長層中に形成された欠陥と、第2トレンチの方向への伝搬とが、第1トレンチでトラップされるようになる。このように、第2トレンチのより広い部分で、本質的に欠陥の無い材料が成長できる。
【0005】
本発明は、エピタキシャル成長させた半導体材料中の全ての方向で、歪緩和転位(以下において「欠陥(defect)」と呼ぶ。)をトラップするように形成されたマスク構造に関する。更には、マスク構造は、長いトレンチに沿った歪緩和転位をトラップするように形成される。
【0006】
更に本発明は、全ての方向、特に長いトレンチに沿って歪緩和転位をトラップするように形成されたマスク構造中に、半導体材料をヘテロエピタキシャル成長する方法に関する。
【0007】
本発明は、添付の請求項に記載された方法及び製品に関する。
【0008】
本発明は、このように、本質的に欠陥の無いエピタキシャル成長構造を形成する方法であって、
第1結晶材料から形成された基板を提供する工程と、
基板の表面上にマスク構造を配置または形成する工程であって、このマスク構造は、
膜厚全体に渡って少なくとも1つの開口部を有する第1誘電体層を含み、基板の表面の一部により開口部の底が形成される第1レベルと、
開口部または開口部のグループのそれぞれの対向する側面の上に少なくとも形成された、1またはそれ以上のバリアを含み、第1レベルの上に形成された第2レベルと、
を有する工程と、
表面部分の上にエピタキシャル成長で第2結晶材料を成長させる工程であって、第2材料は第1材料の格子定数とは異なる格子定数を有し、第2材料は開口部を超えて成長して第2材料の層を形成し、開口部の深さと形状は、少なくとも1つの方向に表面部分から伝搬する格子欠陥が開口部中でトラップされるようになる工程と、
バリアの頂上の少なくとも一部が第2材料の層で覆われた場合に成長が停止する工程と、
第2材料の層を平坦化する工程と、を含む方法に関する。
【0009】
本発明の方法の具体例では、
開口部は第1誘電体層中に形成された第1トレンチであり、または第1誘電体層は開口部の列を含む。
第2レベルは、更に、第1トレンチに対して、または開口部の列に対してゼロとは異なる角度で配置された少なくとも1つの第2トレンチを備えた第2誘電体層を含み、第2トレンチの少なくとも一部は、第1トレンチまたは開口部の列の長手方向に対して横方向に配置される。換言すれば、第2トレンチの少なくとも一部は、第1トレンチまたは開口部の列の一方および/または他方の側面に対して横方向に配置され、第1誘電体層を覆う。この方法では、第1トレンチを覆う材料は、第1誘電体層を超えて第2トレンチ中に成長することができる。
第2トレンチの長手方向に伝搬するいずれの欠陥も、第1トレンチ中または開口部の列中でトラップされる。
第2トレンチの深さおよび幅は、本質的に欠陥の無い材料が、第2トレンチの少なくとも一部で成長するようになる。
バリアは、第1トレンチまたは開口部の列の長手方向の少なくとも2つの対向する側面上に配置される。
【0010】
後者の具体例では、第2レベル(20)は、互いに平行なトレンチの1またはそれ以上のアレイを含み、アレイは、第1トレンチまたは開口部の列の長手方向に対して横方向に配置されても良い。第2トレンチは、第1トレンチまたは開口部の列に垂直に配置されても良い。
【0011】
本発明の方法は、更に、第1トレンチまたは開口部の中、および第1トレンチまたは開口部の直上に、エピタキシャル成長した材料を少なくとも除去し、本質的に欠陥の無い材料からなる、第2トレンチが残り、または第2トレンチの少なくとも一部が残る。
【0012】
本発明の具体例では、開口部は深さと形状を有して、表面部分から伝搬する本質的に全ての欠陥は開口部中にトラップされ、第2レベルはバリアのみからなり、バリアは、全ての側面上でそれぞれの開口部を囲むように配置される。
【0013】
本発明で使用される第1および第2の材料は、半導体材料でも良い。
【0014】
また、本発明は、第1結晶材料から形成された基板の表面の一部の上に、第2の結晶材料をエピタキシャル成長させるためのマスクであって、これらの材料は異なる格子定数を有し、マスク構造が基板上に存在する場合に、このマスク構造は、
膜厚全体を通って少なくとも1つの開口部を有する第1誘電体層を含む第1レベルであって、開口部の底は基板の表面の一部により形成される第1レベルと、
第1レベルの上の第2レベルであって、開口部または開口部のグループのそれぞれの、少なくとも2つの対向する側面の上に配置された1またはそれ以上のバリアを含む第2レベルと、を含む。
【0015】
マスク構造の特定の具体例では、
開口部は第1誘電体層の中に形成され、または第1誘電体層は開口部の列を含み、
第2レベルは更に、第1トレンチに対して、または開口部の列に対してゼロとは異なる角度で配置された少なくとも1つの第2トレンチを備えた第2誘電体層を含み、第2トレンチの少なくとも一部は、第1トレンチまたは開口部の列の長手方向に対して横方向に配置され、
バリアは、少なくとも、第1トレンチまたは開口部の列の長手方向の、2つの対向する側面の上に配置される。
【0016】
マスク構造の後者の具体例では、第2レベルは、互いに平行なトレンチの1またはそれ以上のアレイを含み、それぞれのアレイは、第1トレンチまたは開口部の列の長手方向に対して横方向に配置される。第2トレンチは、第1トレンチまたは開口部の列に対して垂直に配置されても良い。
【0017】
マスク構造の好適な具体例では、第1トレンチの深さは、その幅の3倍以上であり、第2トレンチの深さは、その幅の3倍以上である。
【0018】
また、本発明は、本質的に欠陥の無いエピタキシャル成長構造の製造方法に関し、この製造方法は、
第1結晶材料から形成された基板を提供する工程と、
基板の表面上にマスク構造を配置または形成する工程であって、マスク構造は、
トレンチまたは開口部の列を有する第1誘電体層を含む第1レベルであって、トレンチまたは開口部は第1誘電体層の膜厚全体を通って形成され、トレンチまたは開口部の底は基板の表面の一部で形成される第1レベルと、
第1誘電体層の上の第2誘電体層を含む第2レベルであって、第2誘電体層は第1トレンチに対して、または開口部の列に対してゼロとは異なる角度で配置された1またはそれ以上のトレンチを有し、第2トレンチの少なくとも一部は、第1トレンチまたは開口部の列の長手方向に対して横方向に配置された第2レベルと、を含む工程と、
表面部分の上にエピタキシャル成長で第2結晶材料を成長させる工程であって、第2材料は、第1材料の格子定数とは異なる格子定数を有し、第2材料は第1トレンチを覆って成長し、第1誘電体層の上に第2材料の層を形成する工程であって、
第1トレンチの深さと幅、または開口部の列中の開口部の深さと断面は、第2トレンチの長手方向に伝搬する格子欠陥が第1トレンチまたは開口部にトラップされるように形成され、
第2トレンチの深さと幅は、本質的に欠陥の無い材料が第2トレンチの少なくとも一部の中に成長するように形成された、工程と、
誘電体層が第2トレンチの全てを覆って充填した時に、成長を止める工程と、
第2材料の層を平坦化する工程と、を含む。
【0019】
また、本発明は、第1結晶材料から形成された基板の表面部分の上に第2結晶材料をエピタキシャル成長するためのマスク構造に関し、これらの材料は異なる格子定数を有し、マスク構造が基板上に存在する場合に、マスク構造は、
トレンチまたは開口部の列を有する第1誘電体層を含む第1レベルであって、トレンチまたは開口部は第1誘電体層の膜厚全体を通って形成され、トレンチまたは開口部の底は基板の表面の一部で形成された第1レベルと、
第1誘電体層の上の第2誘電体層を含む第2レベルであって、第2誘電体層は第1トレンチに対して、または開口部の列に対してゼロとは異なる角度で配置された1またはそれ以上のトレンチを有し、第2トレンチの少なくとも一部は、第1トレンチまたは開口部の列の長手方向に対して横方向に配置された第2レベルと、を含む。
【0020】
先のパラグラフにかかるマスク構造の特定の具体例では、第1トレンチの深さは、その幅の3倍以上であり、第2トレンチの深さは、その幅の3倍以上である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
全ての図面は、本発明のいくつかの形態および具体例を示す。記載された図面は模式的であり、限定的ではない。
【0022】
図1a】トレンチに垂直な断面透過電子顕微鏡(XTEM)写真であり、最先端の技術でトレンチの底での欠陥トラッピングを示す。
図1b】トレンチに沿ったXTEM写真であり、この方向には欠陥トラッピングが存在しないために、トレンチの上部になおも欠陥が残ることを示す。
図2】本発明にかかるマスク構造を模式的に示す。
図3a】本発明にかかる方法の、第1トレンチの過剰成長を示す。トレンチに垂直な欠陥(実線)はトラップされ、トレンチに沿った欠陥(点線)はトラップされない。
図3b】本発明にかかる方法の、111ファセット成長で埋められる横方向のトレンチを示す。
図3c】本発明にかかる方法の、111ファセット成長によるダブルトレンチ(第1トレンチおよび第2トレンチ)アレイ構造を完全に覆う成長を示す。
図3d】本発明にかかる方法の、化学機械研磨(CMP)工程後の全体構造を示す。
図3e】本発明にかかる方法の、欠陥領域のエッチング後に得られる構造を示す。
図4a】本発明にかかるマスク構造の作製方法の、SiSTIウエハ上へのポリ堆積工程を示す。
図4b】本発明にかかるマスク構造の作製方法の、犠牲ポリ層のパターニング工程であり、形成されたポリのラインは、続く工程で半導体材料を成長させる第2トレンチに必要な幅に対応する幅を有する。
図4c】本発明にかかるマスク構造の作製方法の、ポリ材料中に形成されたトレンチの酸化物充填工程であり、続いてCMPが行われる。
図4d】本発明にかかるマスク構造の作製方法の、ポリを除去し、酸化物で分離された第2トレンチを形成する工程である。
図5a】同じマスク構造の他の作製方法であり、STI酸化物CMP後のSiSTIウエハを示す。
図5b】同じマスク構造の他の作製方法であり、窒化物ハードマスクに対するSTI酸化物の選択パターニングを示す。
図5c】同じマスク構造の他の作製方法であり、窒化物ハードマスクおよび/または下層のパッド酸化物層の除去を示す。
図6】連続したライン(中断されないライン)と図2に示すようなトレンチの2つの分離したアレイに代えてSTI酸化物の上に形成されたトレンチを有する発明の具体例にかかるマスク構造を示す。
図7】ホール/バイアにより置き換えられた1つの狭いトレンチ(第1トレンチ)を有し、半導体材料の最初の成長が1つの狭いトレンチの代わりにホール/バイア中で行われる発明の他の具体例にかかるマスク構造を示す。
図8a】マスクが2つのレベルを含み、第1レベルは複数の開口部を含み、第2レベルはエッチ開口部の周囲に配置されたバリアを含む具体例を示す。
図8b図8aに示すようなマスク構造を用いる、本発明にかかる方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1aは、30nmトレンチ中に成長した緩和されたSiGeのための、上述の公知のARTアプローチを示す。SiGe/Si界面から来る全ての111欠陥はトラップされ、上部SiGe層には欠陥は無い。トレンチに沿ってARTは得られないために、この技術は転位形成問題を部分的のみ実際に解決する。図1bにおいて、トレンチに沿って行われた断面TEM(XTEM)は、トラップされていないトレンチの上部ですら、多数の転位を示す。
【0024】
最先端のART技術は、次に、狭く短いトレンチでのみ働く。なぜならば、それらのトレンチでのみ、欠陥の無い緩和された半導体が形成できるからである。しかしながら、最先端のロジックCMOSデバイスおよびフォトニクスのような様々な応用では、長いトレンチが必要とされる。例えば、1つのトランジスタに対するトレンチの最小長さは、14nm技術ノードでは100nm程度である。しかしながら、1つのより長いトレンチを有することは、部分的な相互接続配線を通して連続するトランジスタを接続するより、トレンチを通した接続を許容し、これはトランジスタの実装密度を増加させる。それゆえに、数μmまでのトレンチは、最先端デバイスに必要である。
【0025】
先端技術が貧弱な結果を与える、トレンチに沿った方向を含む全ての方向において欠陥をトラップするために、本発明の1つの具体例は、図2に示す新しいマスク構造を提供する。このマスク構造では、表面が(001)結晶面に沿って配置されたSiウエハ3の上で、半導体材料が実質的に欠陥無しに成長する。マスク構造は、第1レベル10の上の第1トレンチ10またはバイア(ホール)と、第2レベル20の上の第2トレンチ2の2レベルシステムを含む3D構造を有する。マスク構造は、第1(下方)トレンチ1のアレイと、第2(上方)トレンチ2のアレイを含み、第1トレンチは、第1トレンチのピッチが第2トレンチ2の長さより長く、第1トレンチのそれぞれは、底部で基板3を露出し(図2の基板部分5参照)、一方、それぞれの第2トレンチの底は、基板からhの距離にある。好適には、図2の具体例に示すように、hは第1トレンチの高さに等しい。
【0026】
第1レベルは、第1トレンチのアレイを含む必要はない、最も一般的な形成では、マスクの第1レベルは、誘電体層4の膜厚全体を通る少なくとも1つのトレンチ1を有する、即ち、基板3の表面の部分5を露出させる、誘電体層4(例えばシリコン酸化物層)を含み、またはからなる。
【0027】
第2トレンチ2のアレイは、第1トレンチ1のアレイよりずっと密度が高く、より小さいピッチを有し、好適には第1トレンチに対して直角に配置される。これは、図2の具体例の場合であり、第1トレンチ1は、[1−10]方向に沿って配置され、第2トレンチは[110]方向に沿って配置される。しかしながら、垂直方向からのずれは許容される。第2トレンチの異なる方向は、第2トレンチ中で横方向に充填される(成長する)半導体材料が異なる結晶方向になるとともに、欠陥トラッピング効果は保持する。本発明の異なる具体例では、第2トレンチ中に成長した半導体材料は、FinFETデバイスのチャネルを形成する。結論として、図2を参照すると、第2レベル20は第2トレンチを有する誘電体層2(例えばシリコン酸化物)を含み、またはからなる。第2トレンチは、誘電体層6の全体の膜厚に達しても、達さなくても良い。
【0028】
最初に、中央トレンチ1(以降において、「第1トレンチ」または「下方のトレンチ」とも言う。)は、Si基板上に堆積した酸化物中に形成される。好適な具体例では、第1トレンチ1のアレイは、実際に基板上に形成されるが、それらの第1トレンチは互いに離れ、第2トレンチの、より高密度のアレイが、隣り合う2つの第1(中央)トレンチの間に形成できる。コンセプトをより容易に理解するために、第1(中央)トレンチのみが図示され、異なった例に記載される。しかしながら、類似の方法で、複数の第1トレンチの周囲に、マスク構造が反復できることが理解できる。この第1トレンチは長さl、幅w、高さhを有する。好適な具体例では、この第1トレンチ中での緩和された半導体の成長中に、アスペクト比トラッピング効果の利益を得るために、高さhは、幅wの少なくとも3倍である(h>=3w)。
【0029】
酸化物マスクにおいて、第1トレンチ1と直交するトレンチ2の第2アレイは、高さl、幅w、高さhを有するように形成される。好適には、第2トレンチ中での緩和された半導体の成長中に、アスペクト比トラッピング効果の利益を得るために、高さhは、幅wの少なくとも3倍である(h>=3w)。l、w、h実際の値は、応用に応じて適用される。例として、FinFETデバイスでは、14nmノードまたはそれ以下で、以下のような数字が好ましい。hは約300nm、wは約10nm、およびlは数マイクロメーター。
【0030】
本発明のマスク構造の具体例は、図2に示すように、このように第1トレンチと、マスク材料(即ち、酸化物)中に形成された第2トレンチのアレイを含む。
【0031】
更に、間隔sは、図2に示すように、第1トレンチの端部と第2トレンチのアレイの端部との間の距離を表す。間隔sは、0nm(間隔無し)から数10nmまで変わる。距離(2s+w)は、第2トレンチのアレイの110の沿ったピッチを表す。
【0032】
図2に示されたようなマスク構造を用いて、一の材料を、異なった格子定数を有する他の材料の上にエピタキシャル成長させることにより、半導体構造を作製する本発明の方法が、図3a〜図3eを参照しながら、以下に記載される。マスク構造は、例えば(001)方位のSiウエハのような、第1結晶材料の基板3の上に配置または形成される。図1に記載されたように、標準的なARTアプローチの場合に行われたように、第1トレンチ1は、エピタキシャル成長材料の成長層11により満たされる。材料層11は、基板の格子定数とは異なる格子定数を有する結晶材料である。次に、図3aのように、111ファセット12が成長中に形成される。トレンチ1に直交する欠陥13はトラップされ、一方、トレンチに沿った欠陥14は層の中に残る。
【0033】
成長を継続させることにより、第2トレンチ2のアレイは(図3bに示すように)111面から横方向に充填される。第2の欠陥のトラッピングは、中央(第1)トレンチに近い第2トレンチ2の第1ナノメーターの上で起きる。エピタキシャル成長工程の最後の、すべてのトレンチが図3cに示すように満たされる。
【0034】
過剰成長した材料の化学機械研磨(CMP)の後に、図3dに示すように、第1トレンチ2が、表面上に再度見える。中央トレンチの中および上の欠陥領域(半導体材料が、なおも欠陥を有する領域)は、続いて除去され(例えば、追加のマスク工程を用いたドライエッチによりエッチングされ)、その中ですべての方向に対して欠陥がトラップされたトレンチ2の最終的に分離されたアレイを得る。次に、図3eに示すように、欠陥の無い緩和された材料が、それらのトレンチの中で得られる。
【0035】
以下のパラグラフでは、図2のマスク構造の2つの代わりの製造方法について説明する。
【0036】
製造方法1(図4a〜図4d)
標準SiSTI(シャロウトレンチ分離)ウエハ21が、出発基板として使用される。標準SiSTIウエハは、標準STIプロセスが行われたSiウエハである。即ち、トレンチの間にSi領域を有するトレンチを作製するためにリソグラフィ+エッチングを行い、酸化物によりトレンチを充填し、基板の平坦化のためにCMPを行い、この結果、酸化物領域23により分離されたSi領域22を形成する。本発明にかかるマスクを形成するための出発点としての標準SiSTIウエハは、このようにSTI酸化物中に形成された第1の狭い領域22を有し、アスペクト比トラッピング効果の利益を得る(好適にはw<h/3)。第1領域のピッチは、STI酸化物の上で垂直に処理される第2トレンチ(l)の長さより長い。
【0037】
STI酸化物の上に、狭い幅を有する垂直な第2トレンチ2のアレイを形成するために、以下に示すような、犠牲マスク材料中にトレンチが最初に形成される、連続したアプローチが用いられる。
【0038】
1)犠牲マスク材料として働く多結晶シリコン(ポリSi)層24が、SiSTIウエハ21の上に堆積される(図4a)。酸化シリコン酸化物またはCVD酸化物の薄い層であるパッド酸化物(図示せず)は、理想的には、ポリのエッチング除去(工程4)中にSiが攻撃されるのを避けるために、ポリとSiトレンチの間に存在する。
【0039】
2)特定のパターンを有する集積されたトレンチ25が、ポリSi層中に、リソグラフィとエッチングで形成される(図4b)。
【0040】
3)ポリSi層中に、工程2)で形成されたトレンチ25が、その後、ギャップ充填シリコン酸化物26で充填され、次にCMPが行われる(図4c)。小さなピッチを有するパターンのために、ギャップ充填酸化物は、高アスペクト比酸化物(high-aspect-ratio-oxide:HARP)、またはリフロー可能な酸化物、または高密度プラズマ(high-density plasma:HDP)酸化物のいずれかでも良い。HARP酸化物は、オゾン/テトラエチル−オルソシリケイト(O/TEOS)系の低圧化学気相堆積(SACVD)プロセスを用いて堆積される。
【0041】
4)ポリSiラインが酸化物充填物に対して選択的に除去され(図4d)、これにより第1(中央)Si領域22の上に垂直に、第2トレンチ2のアレイが形成される。
【0042】
5)半導体材料のエピタキシャル成長前に、例えばHClにより、領域22中に、その場で、好適には成長が行われたのと同じエピタキシャルリアクタ中で、Siにリセスが形成される。
【0043】
代わりに、STI基板と、上の例のポリシリコン犠牲マスクの代わりに、2つの誘電体層を含む誘電体スタックを、ブランケット基板上に形成しても良い。誘電体スタックは、異なる除去(ドライエッチング)速度を有するが、誘電体に接触する半導体材料のエピ成長には互換性を有する2つの誘電体材料を含んでも良い。他の具体例では、スタックは同じ誘電体材料の2つの層を含んでも良い。
【0044】
第1トレンチ1と第2トレンチ2は、誘電体スタック中にパターニングされ、図4dに示すような最終構造を形成する。任意的に、エッチングストップ層が、パターニングプロセスを制御するために、2つの誘電体層の間に用いられても良い。このエッチングストップ層は、欠陥を形成しないために、半導体材料のエピタキシャル成長と互換性がある材料から形成されるべきである。代わりに、第2および第1のトレンチのアレイのそれぞれのプロセスを制御するために、時間エッチング除去が用いられても良い。特徴的には、堆積し、パターニングした誘電体または誘電体スタックは、良好なギャップの充填の必要性に応じることなく、より良い集積化および/またはフィン高さ制御に対して最適化される。
【0045】
製造方法2(図5a−b−c)
1)この製造技術では、基板は、STIの作製プロセスが完全に完了していないSiSTIウエハ30である。より特別には、STI作製中の窒化物ハードマスク除去前の基板が使用される。製造のこのステージでは、シリコン窒化物ハードマスクとSTI酸化物領域32を分離するパッド酸化物30スタックは、図5aに示すように、Si領域33の上のウエハ上になおも存在する。
【0046】
2)次に、図5bに示すように、第2トレンチ2のアレイが、窒化物ハードマスクに対して選択的にパターニング(リソグラフィおよびエッチング)することにより、STI酸化物中に形成される。第2トレンチのアレイのパターニングのために、例えばAPF(登録商標)のような炭素材料から形成されたソフトマスク(図示せず)が用いられても良い。
【0047】
3)次に、図5cに示すように、Si−STIプロセスで使用される窒化物ハードマスク31が除去される。
【0048】
4)Si領域33が除去され(図示せず)、これにより既に形成された第2トレンチのアレイに直交する第1中央トレンチ1を形成する。可能であれば、この領域33は、例えばHCl気体により、好適には成長が行われたのと同じエピタキシャルリアクタ中で、その場で掘られる。
【0049】
本発明の特別の具体例は、本発明の方法で用いるのに適した代わりのマスク構造を記載する。
【0050】
図6は、図2のように、中央トレンチの両側の、2つの分離した第2トレンチのアレイの代わりに、STI酸化物の上に中断しない(連続した)第2トレンチ2のアレイを形成する誘電体材料の連続したライン40(中断しないライン)を有する、本発明の具体例にかかるマスク構造を示す。
【0051】
図7は、一般的には「開口部」と呼ばれるホール/バイア50により置き換えられた、図2の具体例の1つの狭いトレンチ1(第1トレンチ)を有する本発明の他の具体例にかかるマスク構造を示す。この構造では、半導体材料の最初の成長は、1つの狭いトレンチの代わりに、開口部中で起きる。図2のトレンチ1のように、開口部50は、マスクの第1レベルの誘電体層4の膜厚全体を通って形成される。バイアは、多角形または実質的に円形の断面を有しても良い。第2トレンチ2のアレイは、図2に関して記載されたアレイと類似であり、即ち第2トレンチは、開口部50の列に対してゼロとは異なる角度(図7の場合は垂直)である。
【0052】
本発明の方法は、例えばFinFETデバイスやフォトニックデバイスを形成するために使用できる、狭いトレンチ中の高品質エピタキシャル成長半導体材料を形成するのに適している。半導体材料は、Si、Ge、およびSiGeのようなIV族半導体材料または合金、または二元系または三元系のIII−V化合物のようなIII−V族化合物のいずれかである。III−V化合物の、限定しない例は、GaAs、InP、InGaAs、InSb、およびこれらのいずれかの組み合わせまたは混物合を含む。
【0053】
マスク構造は、シリコン酸化物またはシリコン窒化物またはそれらの組み合わせおよび混合物のような誘電体材料中の層または積層として形成されても良い。
【0054】
上で述べ、図3aから図3eに示したような、エピタキシャル成長による欠陥の無い構造の製造方法は、
例えば、図3aに示したSi基板3のような第1結晶材料から形成された基板3を提供する工程と、
基板の表面上にマスク構造を配置または形成する工程であって、マスク構造は、
少なくとも1つのトレンチ1を有する第1誘電体層を含む第1レベル10であって、トレンチ1は第1誘電体層4の膜厚全体を通って形成され、トレンチの底は基板の表面の一部5で形成される第1レベルと、
第1誘レベルの上の第2レベル20であって、第2レベルは第2誘電体層6を含み、第2誘電体層6は、第1トレンチ1に対してゼロとは異なる角度で配置された1またはそれ以上のトレンチ2を備え、第2トレンチの少なくとも一部は、第1トレンチの列の長手方向に対して横方向に配置された第2レベルと、を含む工程と、
表面部分5の上にエピタキシャル成長で第2結晶材料を成長させる工程であって、第2材料は第1材料の格子定数とは異なる格子定数を有し、第2材料は第1トレンチ1を覆って成長し、第1誘電体層の上に第2材料の層11を形成する工程であって、
第1トレンチ1の深さまたは幅、および開口部の列中の開口部50の深さと断面は、第2トレンチ2の長手方向に伝搬する格子欠陥13が第1トレンチ1または開口部50にトラップされるように形成され、
第2トレンチ2の深さと幅は、本質的に欠陥の無い材料が第2トレンチ2の少なくとも一部の中に成長するように形成された、工程と、
誘電体層11が第1トレンチの全てを覆って充填した時に、成長を止める工程と、
第2材料の誘電体層11を平坦化する工程と、を含むものと要約される。
【0055】
本発明の方法の上記記載では、第1トレンチは、図7の具体例のように、開口部50の列で置き換えても良い。
【0056】
本発明は、また、2つの先のパラグラフに記載したように、マスク構造に関する。
【0057】
図2から図7に示された具体例では、マスク構造は、第1トレンチ(図2から図6)または開口部の列(図7)の対向する側面上にバリアウォール100を含む。それらのバリアの機能は、図3cに示すように、バリアを超えて横方向にエピタキシャル成長が更に拡大するのを防止することである。第1トレンチ1が、トレンチのアレイの一部である場合、バリア100は、更に望まない欠陥を形成するであろう2つの隣り合うトレンチ1から生じたエピタキシャル成長層11の結合を、確実に防止する。図4aから図4dに示すマスク構造の製造方法では、バリア100は、ポリマスクのパターニングで考慮される。こうする場合、第1トレンチ1に垂直なトレンチ25の中だけでなく、第1トレンチの対向する側面上の横の領域99においても、ポリを除去することにより、ポリはパターニングされる。バリア100は、第1トレンチ1のいずれかの側面上の2つの対向する側面のみではなく、マスクの全ての4つの側面上に存在する。図3eに示しように、第1トレンチ1の中および上の欠陥領域の除去と一緒に、バリア100はCMP工程後に除去されても良い。
【0058】
バリア100を使用しなくても、上述の具体例は、マスクの第2レベル上のトレンチ中に、エピタキシャル成長する材料の少なくとも一部の中に、欠陥の無いフィン形状の構造を得るための方法およびマスク構造を提供する。もし、バリアが無いために2つの隣り合う層が結合した場合、結合した部分は、(図5bのバリアの除去と同様に)、方法の最後に除去されても良い。
【0059】
マスクの第2レベル20が1またはそれ以上のバリア100を含む具体例は、図8aおよび図8bに示すように、実際の本発明の他の具体例である。この形態では、本発明は、上述のような構造をエピタキシャル成長するための方法に関するものであるが、マスクは、1または多くの、バリアの組のみからなる第2レベルを有する2つのレベルを含む。図8aの具体例では、第1レベル10は、層60の膜厚全体を通って規則的に配置されたホール61を有する誘電体層60(例えばSi酸化物)を含む。第2レベル20は、バリア100のフレームワークを含み、四角形状のバリアは、それぞれのホール61の周囲に同心円状に配置される。このマスクは、第1結晶材料(例えばシリコンウエハ)の基板3の上に配置または形成される。例えば、図4aから図4dの方法で、ポリ層24のパターニングを適当に変えることにより、図2のマスク構造を作製するための上述に方法の1つにより、マスクが形成されても良い。
【0060】
図8bは、基板3の第1結晶材料と格子不整合の第2結晶材料70のエピタキシャル堆積および成長を示す。ホール61の深さと断面は、ホール61の底で、基板の表面5(図示せず)から伝搬する本質的に全ての欠陥がこのホール中でトラップされ、ホールの端部を超えて成長する全ての材料は本質的に欠陥が無いように形成される。バリア100は、隣り合うホール61から成長したエピタキシャル材料の接合により、追加の欠陥が形成されないことを確実にする。エピタキシャル層がバリア100の頂上の少なくとも一部を覆った場合に、成長工程は停止する。好適には、図8bに示すように、バリアの全体の頂上に層が達するまたは超えるまで成長は続く。これに続いてCMP工程が行われ、バリア100の頂上の全ての材料が除去され、例えば半導体デバイスの活性領域として使用するのに適した、欠陥の無いエピタキシャル成長材料の2次元領域71となる。
【0061】
本発明は、図面と先の記載中に詳しく図示および記載されたが、そのような図示や記載は、実例または例示であり、限定では無いと考えられる。記載された具体例の他の変形は、図面、明細書および添付の請求項の研究から、請求された発明を実施する当業者により理解され達成できる。請求の範囲において、「含む(comprising)」の用語は、他の要素や工程を排除するものではなく、不定冠詞「1つの(a)」や「1つの(an)」は、複数を排除しない。所定の評価が互いに異なる従属請求項で引用されるという事実は、それらの評価の組み合わせはいつも優位であるとは限らないことを示すものではない。請求項中の参照符号は、範囲を限定するものと考えるべきではない。
【0062】
先の記載は、本発明の所定の具体例を詳述する。しかしながら、先の記載がいかに詳細にテキストに表されても、本発明は多くの方法で実施でき、それゆえに記載された具体例に限定されない。なお、本発明の所定の長所や形態を記載する場合、特定の専門用語の使用は、その専門用語が関連する本発明の長所や形態の特別な特徴を含むように、その専門用語がここで再限定されることを暗示するものと取るべきでは無い。
【0063】
特別には限定しないが、他の層や基板の「上(on)」に堆積または形成された層の記載は、
その層が、他の層や基板の上に直接、即ち接触して形成または堆積される場合と、
その層が、その層と他の層や基板との間の、1または積層の中間層の上に形成される場合と、の選択肢を含む。
図1a
図1b
図2
図3a
図3b
図3c
図3d
図3e
図4a
図4b
図4c
図4d
図5a
図5b
図5c
図6
図7
図8a
図8b