特許第6207180号(P6207180)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6207180
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】レンズ保持装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/04 20060101AFI20170925BHJP
【FI】
   G02B7/04 E
   G02B7/04 D
【請求項の数】8
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-48278(P2013-48278)
(22)【出願日】2013年3月11日
(65)【公開番号】特開2014-174403(P2014-174403A)
(43)【公開日】2014年9月22日
【審査請求日】2016年2月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】505259022
【氏名又は名称】台湾東電化股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001494
【氏名又は名称】前田・鈴木国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】徐 尚楡
(72)【発明者】
【氏名】林 坤仕
(72)【発明者】
【氏名】呉 富源
【審査官】 登丸 久寿
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−014890(JP,A)
【文献】 特開2011−102823(JP,A)
【文献】 特開2011−154120(JP,A)
【文献】 特開2010−061031(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0061712(US,A1)
【文献】 特開2010−066286(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0061000(US,A1)
【文献】 特開2012−047794(JP,A)
【文献】 特開平07−110520(JP,A)
【文献】 特開2012−105201(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズを保持するレンズキャリアと、
前記レンズキャリアを相対移動可能に支持するベース部と、
導電性を有しており、前記ベース部と前記レンズキャリアとを弾性的に接続するスプリングと、
前記ベース部に設置される接続端子と、を有し、
前記ベース部には、前記レンズの光軸方向に略平行な方向に延在する側面に開口を備え前記光軸方向に略直交する方向に沿って延在して互いに対向する一対の壁部を有する収納溝が形成されており、
前記接続端子は、前記スプリングと電気的に接続される第1端部と、前記第1端部とは反対側の端部である第2端部と、前記光軸方向に略直交する方向に延在して前記第1端部と前記第2端部とを接続しており前記収納溝に収納される接続部とを有することを特徴とするレンズ保持装置。
【請求項2】
前記接続端子の前記第1端部及び前記第2端部は、前記光軸方向に略平行な方向に延在することを特徴とする請求項1に記載のレンズ保持装置。
【請求項3】
前記ベース部は、前記光軸方向に略直交する方向に延在し前記スプリングの一部が設置されるスプリング設置面を有し、
前記第1端部は、前記スプリング設置面から突出している突出部を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のレンズ保持装置。
【請求項4】
前記ベース部には、前記スプリング設置面及び前記側面に開口を備え前記収納溝に連通する連通溝が形成されており、
前記第1端部は、前記連通溝を挿通することを特徴とする請求項3に記載のレンズ保持装置。
【請求項5】
前記スプリングは、前記光軸方向から見て前記突出部と前記側面との間を通過する外縁部を有することを特徴とする請求項3又は請求項4に記載のレンズ保持装置。
【請求項6】
前記スプリングには、前記突出部が挿通する貫通孔が形成されていることを特徴とする請求項3から請求項5までのいずれかに記載のレンズ保持装置。
【請求項7】
前記接続端子は板材を折り曲げて形成されており、
前記板材の面の延在方向は、前記第2端部においては前記側面に略平行であり、前記第1端部と前記第2端部とで互いに略直交することを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれかに記載のレンズ保持装置。
【請求項8】
2つの前記接続端子を有しており、
前記ベース部には、それぞれの前記接続端子が収納される前記収納溝が、前記接続端子に対応して形成されており、
前記レンズキャリアは駆動用コイルを備えており、
前記スプリングは、いずれか一方の前記接続端子と前記駆動用コイルの一方の端部とを電気的に接続する第1部分と、他方の前記接続端子と前記駆動用コイルの他方の端部とを電気的に接続する第2部分とを有し、前記第1部分と前記第2部分とは互いに絶縁されていることを特徴とする請求項1から請求項7までのいずれかに記載のレンズ保持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば携帯電話のカメラモジュールなどに好適に用いられるレンズ保持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話のカメラモジュール等に好適に用いられるレンズ保持装置では、フォーカシング動作等を行うことができるように、レンズキャリアを相対移動させる機能を有するものが提案されている。
【0003】
また、このようなレンズ保持装置には、レンズキャリアを相対移動させるための電力を供給等するための接続端子を備えるものがあり、組立工程の効率化等を目的として、接続端子の設置態様の改善等が提案されている(特許文献1等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−154120号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来技術に係るレンズ保持装置では、接続端子と他の部材との導通を確保する工程の前に、接続端子を熱溶着等により固定する工程が含まれ、組み立てに手間がかかるという問題があり、また、その形状が複雑であるという問題を有する。
【0006】
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、その目的は、接続端子を所定の位置に簡単で確実に配置可能であり、組み立てが容易なレンズ保持装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係るレンズ保持装置は、
レンズを保持するレンズキャリアと、
前記レンズキャリアを相対移動可能に支持するベース部と、
導電性を有しており、前記ベース部と前記レンズキャリアとを弾性的に接続するスプリングと、
前記ベース部に設置される接続端子と、を有し、
前記ベース部には、前記レンズの光軸方向に略平行な方向に延在する側面に開口を備え前記光軸方向に略直交する方向に延在する収納溝が形成されており、
前記接続端子は、前記スプリングと電気的に接続される第1端部と、前記第1端部とは反対側の端部である第2端部と、前記光軸方向に略直交する方向に延在して前記第1端部と前記第2端部とを接続しており前記収納溝に収納される接続部とを有する。
【0008】
本発明に係るレンズ保持装置は、収納溝が形成されたベース部と、ベース部に収納される接続部を有する接続端子を有する。収納溝及び接続端子を上述のような形状とすることにより、接続端子を、ベース部の側面側から、収納溝に沿ってスライドさせながら挿入することにより、所定の位置に容易かつ確実に配置することが可能である。また、本発明に係るレンズ保持装置は、接続端子に関連する組み立てが容易である。
【0009】
また、例えば、前記接続端子の前記第1端部及び前記第2端部は、前記光軸方向に略平行な方向に延在しても良い。
【0010】
第1端子が光軸方向に略平行な方向に延在することにより、スプリングと接続端子との電気的な導通を容易に確保することが可能であり、前記第2端部が光軸方向に略平行な方向に延在することにより、接続端子の外部基板への接続が容易である。
【0011】
また、例えば、前記ベース部は、前記光軸方向に略直交する方向に延在し前記スプリングの一部が設置されるスプリング設置面を有しても良く、
前記第1端部は、前記スプリング設置面から突出している突出部を有しても良い。
【0012】
このようなレンズ保持装置は、突出部を利用して、スプリングと接続端子との電気的な導通を容易に確保することが可能である。
【0013】
また、例えば、前記ベース部には、前記スプリング設置面及び前記側面に開口を備え前記収納溝に連通する連通溝が形成されても良く、
前記第1端部は、前記連通溝を挿通しても良い。
【0014】
第1端部によって挿通される連通溝が、ベース部に形成されていることにより、接続端子は、前記ベース部に確実に保持される。
【0015】
また、例えば、前記スプリングは、前記光軸方向から見て前記突出部と前記側面との間を通過する外縁部を有しても良く、前記スプリングには、前記突出部が挿通する貫通孔が形成されていても良い。
【0016】
このようなレンズ保持装置は、前記接続端子と前記スプリングとの導通を確保するような工程において、前記接続端子が前記ベースから脱落することを、確実に防止することができる。
【0017】
また、例えば、前記接続端子は板材を折り曲げて形成されており、
前記板材の面の延在方向は、前記第2端部においては前記側面に略平行であり、前記第1端部と第2端部とで互いに略直交しても良い。
【0018】
このような接続端子は、形状が単純でありながら、狭いスペースに配置することが可能であり、レンズ保持装置の小型化に資する。
【0019】
また、例えば、本発明に係るレンズ保持装置は、2つの前記接続端子を有しても良く、
前記ベース部には、それぞれの前記接続端子が収納される前記収納溝が、前記接続端子に対応して形成されていても良く、
前記レンズキャリアは駆動用コイルを備えていても良く、
前記スプリングは、いずれか一方の前記接続端子と前記駆動用コイルの一方の端部とを電気的に接続する第1部分と、他方の前記接続端子と前記駆動用コイルの他方の端部とを電気的に接続する第2部分とを有し、前記第1部分と前記第2部分とは互いに絶縁されていても良い。
【0020】
このようなレンズ保持装置は、レンズキャリアの駆動用コイルへの給電構造を、組み立てが容易な態様で構成することができるので、生産性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、本発明の一実施形態に係るレンズ保持装置の斜視図である。
図2図2は、図1に示すレンズ保持装置の分解斜視図である。
図3図3は、Bスプリング、ボトム及び接続端子の部分組み立て状態を表す斜視図である。
図4図4は、Bスプリング、ボトム及び接続端子の部分組み立て状態を表す側面図である。
図5図5は、Bスプリング、ボトム及び接続端子の部分組み立て状態を表す平面図である。
図6図6は、Bスプリング、ボトム及び接続端子の部分組み立て工程を説明するための分解斜視図である。
図7図7は、ボトムに対する接続端子の配置を表す平面図である。
図8図8は、Bスプリングと接続端子の電気的な導通の確保を説明した拡大平面図である。
図9図9は、接続端子の作製に用いる板材の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
第1実施形態
図1は、本発明の一実施形態に係るレンズ保持装置10の斜視図である。レンズ保持装置10は、略直方体形状の外形状を有している。レンズ保持装置10の中心部には、図示省略のレンズを保持するレンズキャリア50が配置されており、レンズキャリア50の外周側には、レンズキャリア50を囲むように、ヨーク40と、ベース部としてのボトム70が配置されている。
【0023】
レンズ保持装置10では、レンズを保持するレンズキャリア50を、キャップ20(図2参照)およびボトム70が、相対移動自在に保持する。また、後述するように、レンズ保持装置10の内部には、ボイスコイルモータが内蔵されており、レンズ保持装置10は、ボイスコイルモータによってレンズキャリア50を、ボトム70等に対して光軸α方向に相対移動させることが可能である。レンズ保持装置10は、出射側に配置される撮像素子と組み合わせて、フォーカス機構を有するカメラモジュール等として使用されるが、レンズ保持装置10の用途はこれに限定されない。
【0024】
図2は、図1に示すレンズ保持装置10の分解斜視図である。レンズ保持装置10は、ヨーク40、キャップ20、Fスプリング30、レンズキャリア50、マグネット44、コイル48、Bスプリング60、ボトム70、接続端子R80a及び接続端子L80bを有する。なお、レンズ保持装置10の説明では、レンズの光軸αに沿って、撮影光がレンズに入射してくる側を入射側とし、入射した撮影光を出射する側を出射側として説明を行う。
【0025】
ヨーク40は、マグネット44の磁束をコイル48に対して導く部材であり、鉄等の軟磁性材料によって作製される。本実施形態におけるレンズ保持装置10においては、ヨーク40は、キャップ20やボトム70の外周を覆う外周部40aを有するが、ヨーク40の形状は特に限定されず、キャップ20及びボトム70の内部に配置される形状であっても良い。また、本実施形態におけるヨーク40は、略直方体状の外観形状を有する一部材で構成されているが、マグネット44のように、複数の部材に分割されていてもよい。
【0026】
キャップ20は、Fスプリング30を介して、レンズキャリア50を入射側から支持する。キャップ20は、略矩形の額縁形状を有するキャップ枠部22と、キャップ枠部22の四隅から光軸α方向の出射側に突出するキャップ柱部24とを有する。キャップ枠部22における出射側の端面には、Fスプリング設置面22aが形成されている。Fスプリング設置面22aは、光軸α方向に略直交する方向に延在している。Fスプリング設置面22aには、Fスプリング30の外環部32が、接着剤等により固定される。また、キャップ20のキャップ柱部24は、接着剤等により、ボトム70のボトム柱部74に接続される。
【0027】
図2に示すFスプリング30は、キャップ20とレンズキャリア50とを弾性的に接続する。レンズキャリア50は、Fスプリング30とBスプリング60を介して、キャップ20が固定されたボトム70に対して、光軸α方向に移動自在に支持される。Fスプリング30は、外環部32と、内環部34と、アーム部36とからなる多重のリング形状を有している。
【0028】
Fスプリング30の外周部分を構成する外環部32は、キャップ枠部22のFスプリング設置面22aに固定される。Fスプリング30の内環部34は、外環部32より内周側に配置されており、レンズキャリア50の入射側内環設置部54に、接着剤等によって固定される。外環部32と内環部34は、アーム部36によって連結されている。
【0029】
Fスプリング30は、金属等の弾性材料によって構成されており、アーム部36は、弾性変形することができる。アーム部36が弾性変形することによって、内環部34は、外環部32に対して光軸α方向に相対移動することができる。
【0030】
マグネット44は、キャップ20のキャップ枠部22と、ボトム70のボトム枠部72とに挟まれて設置される。本実施形態において、マグネット44は、キャップ20及びボトム70の柱部24,74の内周側に近接するように、レンズ保持装置10の四隅に配置されており、組み立て状態において、レンズキャリア50に取り付けられたコイル48に対向する。マグネット44は、ヨーク40およびコイル48とともに、レンズキャリア50を駆動するためのボイスコイルモータを構成する。
【0031】
コイル48は、レンズキャリア50の外周部に形成されているコイル設置部52に固定される。また、コイル48を構成する巻線の一方の端部は、BスプリングR60aの内環部R64a(図5参照)に電気的に接続されており、他方の端部は、BスプリングL60bの内環部L64b(図5参照)に電気的に接続されている。また、図5等に示すように、BスプリングR60aの外環部R62aには接続端子R80a(突出部R84aは接続端子R80aの一部)が電気的に接続されており、BスプリングL60bの外環部L62bには接続端子L80b(突出部L84bは接続端子L80bの一部)が電気的に接続されている。したがって、図2に示すコイル48には、BスプリングR60a、BスプリングL60bおよびこれらに接続される接続端子R80a、接続端子L80bを介して、レンズキャリア50を駆動するための電力が供給される。
【0032】
レンズキャリア50は、中空無底の円筒形状を有しており、レンズキャリア50の内周面にはレンズ(不図示)が固定される。レンズキャリア50における入射側の端面には、入射側内環設置部54が形成されており、入射側内環設置部54には、Fスプリング30の内環部34が固定される。一方、レンズキャリア50における出射側の端面には、出射側内環設置部56が形成されており、Bスプリング60の内環部R64a及び内環部L64b(図5参照)が固定される。
【0033】
図2に示すBスプリング60は、ベース部としてのボトム70と、レンズキャリア50とを、弾性的に接続する。Bスプリング60は、互いに分離及び絶縁されている2つの部材であるBスプリングR60aと、BスプリングL60bによって構成されており、コイル48に電力を供給するための配線の一部を兼ねている。Bスプリング60は、2つに分離されていることを除いて、Fスプリング30と類似する構造を有しており、図3に示すように、BスプリングR60aは、外環部R62a、内環部R64a、アーム部R66aとからなり、BスプリングL60bは、外環部L62b、内環部L64b、アーム部L66bとからなる。
【0034】
図3に示すように、Bスプリング60の外周部分を構成する外環部R62a及び外環部L62bは、ボトム枠部72におけるBスプリング設置面72aに固定される。Bスプリング60の内環部R64a,内環部L64bは、外環部R62a及び外環部L62bより内周側に配置されており、レンズキャリア50の出射側内環設置部56(図2参照)に、接着材等によって固定される。外環部R62aと内環部R64aは、アーム部R66aによって連結されており、外環部L62bと内環部L64bは、アーム部L66bによって連結されている。
【0035】
Bスプリング60も、Fスプリング30と同様に、金属等の弾性材料によって構成されており、アーム部R66a及びアーム部L66bは、弾性変形することができる。アーム部R66a及びアーム部L66bが弾性変形することによって、内環部R64a及び内環部L64bは、外環部R62a及び外環部L62bに対して、光軸α方向に相対移動することができる。
【0036】
図2に示すボトム70は、Bスプリング60と、キャップ20を介して連結されるFスプリング30とを介して、レンズキャリア50を相対移動可能に支持する。ボトム70は、中央部に貫通孔が形成されており、光軸α方向から見て略矩形の外周形状を有するボトム枠部72と、ボトム枠部72の4隅から光軸α方向の入射側に突出するボトム柱部74とを有する。ボトム70は、ボトム枠部72の入射側の端面に、Bスプリング設置面72aを有する。Bスプリング設置面72aは、光軸α方向に略直交する方向に延在し、Bスプリング60の外環部R62a及び外環部L62bが設置される(図5参照)。
【0037】
図3及び図4に示すように、ボトム枠部72は、光軸α方向に略平行な方向に延在する4つの外周側面を有しており、その一つである側面75には、接続端子R80a及び接続端子L80bを組み立て及び設置するための溝等が形成されている。すなわち、側面75には、接続端子R80aを設置するための収納溝R76a、連通溝R77a及び切り欠きR78aと、接続端子L80bを設置するための収納溝L76b、連通溝L77b及び切り欠きL78bとが形成されている。
【0038】
収納溝R76a及び収納溝L76bは、側面75に開口を備えており、光軸α方向に略直交する方向に延在し、光軸α方向に略直交する方向に延在する面を収納する。なお、収納溝R76a及び収納溝L76bが光軸α方向に略直交する方向に延在するということは、収納溝R76a及び収納溝L76bは、光軸α方向に略直交する方向に沿って延在して互いに対向する一対の壁部を有するということを意味する。
【0039】
連通溝R77a及び連通溝L77bは、Bスプリング設置面72a及び側面75に開口を備える。また、連通溝R77aは収納溝R76aに連通し、連通溝L77bは収納溝L76bに連通する。連通溝R77a及び連通溝L77bは、光軸α方向に略平行な方向に延在し、光軸α方向に略平行な方向に延在する面を収納する。なお、連通溝R77a及び連通溝L77bが光軸α方向に略平行な方向に延在するということは、連通溝R77a及び連通溝L77bは、光軸α方向に略平行な方向に沿って延在して互いに対向する一対の壁部を有するということを意味する。
【0040】
切り欠きR78aは、収納溝R76aに続く溝における出射側の壁の一部を切り欠いた形状を有しており、接続端子R80aの第2端部R82aを、出射側に逃がすことができる。また、切り欠きL78bは、収納溝L76bに続く溝における出射側の壁の一部を切り欠いた形状を有しており、接続端子L80bの第2端部L82bを、出射側に逃がすことができる。
【0041】
図6に示すように、接続端子R80aは、光軸α方向に略平行な方向に延在しBスプリングR60aと電気的に接続される第1端部R81aと、第1端部R81aとは反対側の端部である第2端部R82aと、第1端部R81aと第2端部R82aとを接続する接続部R83aとを有する。第1端部R81a及び第2端部R82aは光軸α方向に略平行な方向に延在し、接続部R83aは光軸α方向に略直交する方向に延在する。
【0042】
図4に示すように、接続端子R80aの接続部R83aは、ボトム70の収納溝R76aに収納されている。第1端部R81aは、ボトム70の連通溝R77aを挿通しており、その一部がBスプリング設置面72a及びBスプリングR60aから入射側に突出している。すなわち、第1端部R81aは、Bスプリング設置面72aから突出している突出部R84aを有する。また、第2端部R82aは、切り欠きR78aを通っている。
【0043】
図6に示すように、接続端子L80bも、接続端子R80aと同様に、光軸α方向に略平行な方向に延在しBスプリングL60bと電気的に接続される第1端部L81bと、第1端部L81bとは反対側の端部である第2端部L82bと、第1端部L81bと第2端部L82bとを接続する接続部L83bとを有する。第1端部L81b及び第2端部L82bは光軸α方向に略平行な方向に延在し、接続部L83bは光軸α方向に略直交する方向に延在する。
【0044】
接続端子L80bは、接続端子R80aに対して対称に配置されている。すなわち、図4に示すように、接続端子L80bの接続部L83bは、ボトム70の収納溝L76bに収納されており、第1端部L81bは、ボトム70の連通溝L77bを挿通しており、第1端部L81bの一部である突出部L84bが、Bスプリング設置面72a及びBスプリングL60bから入射側に突出している。また、第2端部L82bは、切り欠きL78bを通っている。
【0045】
接続端子R80a及び接続端子L80bは、外部からレンズ保持装置10のボイスコイルモータへ電力を供給するための給電端子として機能する。したがって、第2端部R82a及び第2端部L82bは、不図示の外部基板等に対して、電気的に接続される。
【0046】
図6から図8を用いて、ボトム70に対する接続端子R80a、接続端子L80b及びBスプリング60の組み立て方法を説明する。図6において矢印90a及び矢印90bで示すように、接続端子R80aと接続端子L80bを、ボトム70に対して組み付ける。接続端子R80a及び接続端子L80bは、その接続部R83aと接続部L83bが、それぞれ収納溝R76a、収納溝L76bに収納されるように、側面75側からボトム70に装着される。
【0047】
図7に示すように、第1端部R81a及び第1端部L81bによって挿通される連通溝R77a及び連通溝L77bは、Bスプリング設置面72a及び側面75に開口を備える。したがって、第1端部R81a及び第1端部L81bも、接続部R83aと接続部L83bが収納溝R76a、収納溝L76bに入るのと同時に、側面75側から連通溝R77a及び連通溝L77bに入ることができる。図6及び図7に示す第2端部R82a及び第2端部L82bも、同様にして、切り欠きR78a及び切り欠きL78b(図4参照)に入ることができる。
【0048】
図7に示すように、接続端子R80aと接続端子L80bをボトム70に対して組み付けた状態では、第1端部R81aの突出部R84a及び第1端部L81bの突出部L84bが、Bスプリング設置面72aから突出している。接続端子R80aと接続端子L80bが組み付けられたボトム70に対して、次に、図6の矢印91a及び矢印91bで示すように、BスプリングR60a及びBスプリングL60bを、Bスプリング設置面72aに配置する。
【0049】
図5は、ボトム70に対して接続端子R80a、接続端子L80b及びBスプリングR60a、BスプリングL60bを配置した状態を表している。BスプリングR60aの外環部R62aには貫通孔R67aが形成されており、BスプリングL60bの外環部L62bには貫通孔L67bが形成されている。Bスプリング設置面72aから突出している突出部R84aと突出部L84bは、対応する貫通孔R67aまたは貫通孔L67bを挿通する。
【0050】
突出部R84の周辺を拡大した図8に示すように、光軸α方向から見て突出部R84aとボトム70の側面75との間を、外環部L62b(BスプリングR60aの一部)の外縁部R68aが通過している。外縁部R68aは、連通溝R77aの開口の一部を塞ぎ、第1端部R81aの移動を規制するため、次に述べるはんだ付け工程が終了するまでの間に、接続端子R80aが脱落することを防止する。
【0051】
ボトム70に対して接続端子R80a、接続端子L80b及びBスプリング60を配置した後、接続端子R80a、接続端子L80bと、BスプリングR60a、BスプリングL60bとの導通を確保する。図8に示す例では、第1端部R81a(突出部R84aを含むことが好ましい)と外環部R62aに跨るように、はんだを固化させてはんだ固化部88を形成する。第1端部L81bと外環部L62bについても、図8と同様にしてはんだ固化部88を形成する。
【0052】
以上のようにして、本実施形態に係るレンズ保持装置10では、ボトム70に対して接続端子R80a、接続端子L80b及びBスプリング60を組み立てることができる。
【0053】
なお、図6に示す接続端子R80a、接続端子L80bの作製方法は特に限定されないが、例えば図9に示すような金属製の板材89a,89bを、折り曲げ加工して作製することができる。この場合、板材89a,89bの面の延在方向は、図6に示すように、第2端部R82a,第2端部L82bにおいては側面75に平行であり、第1端部R81a及び第1端部L81bと第2端部R82a及び第2端部L82bとで互いに直交している。
【0054】
このような接続端子R80a、接続端子L80bは、形状が単純でありながら、ボトム70の狭いスペースに配置することが可能であり、レンズ保持装置10の小型化に資する。
【0055】
レンズ保持装置10は、図6に示すように、接続端子R80aの接続部R83aと接続端子L80bの接続部L83bとを、ボトム70の側面75側から、収納溝R76a、収納溝L76bに沿ってスライドさせながら挿入することにより、所定の位置に容易かつ確実に配置することが可能である。
【0056】
第1端部R81aと第1端部L81bは、接続部R83a又は接続部L83bの端部から、光軸α方向に略平行な方向であって、出射側に向かって延在している。これにより、第1端部R81aと第1端部L81bの先端は、Bスプリング設置面72aに近づき、或いはBスプリング設置面72aから突出するため、Bスプリング設置面72aに配置されるBスプリング60との導通の確保が容易となる。
【0057】
また、ボトム70には、連通溝R77a、連通溝L77bも形成されており、第1端部R81aと第1端部L81bとが、連通溝R77a、連通溝L77bを挿通する。これにより、接続端子R80a及び接続端子L80bは、より正確に所定の場所に組み付けることが可能であり、また、より確実にボトム70に保持される。
【0058】
その他の実施形態
上述のようなレンズ保持装置10は、レンズ保持装置10全体を、光軸αに直交する方向に移動させるボイスコイルモータと組み合わせることによって、フォーカス機構とブレ補正機構を有する光学装置として、使用されてもよい。また、接続端子R80a、接続端子L80bと、BスプリングR60a、BスプリングL60bとの導通を確保する方法としてははんだ付けに限定されず、導電性の接着剤を用いる方法や、溶着やカシメ等によって導通が確保されても良い。また、図6等に示す例とは異なり、BスプリングR60aとBスプリングL60bや、接続端子R80aと接続端子L80bは、ボトム70に対して組み立てられる時点では一体であっても良く、ボイスコイルモータを駆動させるまでの間に分離・絶縁されれば良い。
【符号の説明】
【0059】
10…レンズ保持装置
12…カバー
20…キャップ
22…キャップ枠部
22a…Fスプリング設置面
24…キャップ柱部
30…Fスプリング
32…外環部
34…内環部
36…アーム部
40…ヨーク
40a…外周部
44…マグネット
48…コイル
50…レンズキャリア
52…コイル設置部
54…入射側内環設置部
56…出射側内環設置部
60…Bスプリング
60a…BスプリングR
60b…BスプリングL
62a,62b…外環部
64a,64b…内環部
66a,66b…アーム部
67a,67b…貫通孔
68a…外縁部
70…ボトム
72…ボトム枠部
72a…Bスプリング設置面
74…ボトム柱部
75…側面
76a,76b…収納溝
77a,77b…連通溝
78a,78b…切り欠き
80a,80b…接続端子
81a,81b…第1端部
82a,82b…第2端部
83a,83b…接続部
84a,84b…突出部
88…はんだ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9