特許第6207182号(P6207182)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6207182基礎ブロックの設置方法及び基礎ブロック
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6207182
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】基礎ブロックの設置方法及び基礎ブロック
(51)【国際特許分類】
   E02D 27/01 20060101AFI20170925BHJP
   E02D 27/32 20060101ALI20170925BHJP
【FI】
   E02D27/01 102A
   E02D27/32 Z
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-49811(P2013-49811)
(22)【出願日】2013年3月13日
(65)【公開番号】特開2014-173399(P2014-173399A)
(43)【公開日】2014年9月22日
【審査請求日】2016年1月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】593070321
【氏名又は名称】奥田 智一
(74)【代理人】
【識別番号】100101409
【弁理士】
【氏名又は名称】葛西 泰二
(74)【代理人】
【識別番号】100175385
【弁理士】
【氏名又は名称】葛西 さやか
(72)【発明者】
【氏名】奥田 智一
【審査官】 竹村 真一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−219708(JP,A)
【文献】 実開昭52−154903(JP,U)
【文献】 実開昭58−191242(JP,U)
【文献】 特開2003−206563(JP,A)
【文献】 特開2008−174926(JP,A)
【文献】 特開平06−294107(JP,A)
【文献】 特開2007−262773(JP,A)
【文献】 特開平07−259048(JP,A)
【文献】 特開2003−129496(JP,A)
【文献】 特開平04−261918(JP,A)
【文献】 米国特許第05934037(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 17/00−17/20、27/00−27/32
E04G 23/06
H02S 20/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造物をその上に取付けるためのコンクリートよりなる基礎ブロックの設置方法であって、
前記基礎ブロックの、上方に向けられた底面に、設置高さを調整するための調整ボルトを螺合させる工程と、
前記基礎ブロックを吊上げ、前記底面を下方に反転させて基礎地盤の上に設置する工程と、
前記調整ボルトを調整して、前記基礎ブロックの設置高さを所望の位置に合わせる工程と、
前記基礎ブロックの側壁の下方部分を含むように生コンクリートを前記基礎地盤の上に打設する工程とを備えた、基礎ブロックの設置方法。
【請求項2】
前記調整ボルトは、少なくとも3本取付けられる、請求項1記載の基礎ブロックの設置方法。
【請求項3】
前記基礎地盤の上であって前記調整ボルトに対応する位置に、金属プレートが配置される、請求項1又は請求項2記載の基礎ブロックの設置方法。
【請求項4】
前記基礎ブロックは複数個が前記基礎地盤の上の所定の位置に配置され、
前記金属プレートは、前記基礎地盤の上であって前記基礎ブロックの各々の前記調整ボルトに対応する位置に配置される、請求項3記載の基礎ブロックの設置方法。
【請求項5】
基礎地盤上に設置され、構造物をその上に取付けるためのコンクリートよりなる基礎ブロックであって、
ブロック本体と、
前記ブロック本体の前記基礎地盤からの設置高さを調整するための調整ボルトを着脱自在に取付け可能なように、前記ブロック本体の底面に埋め込まれる、少なくとも3つのインサートと、
前記ブロック本体の側面の対向する位置に設けられ、前記ブロック本体を上下反転可能とするための吊上げ用の一対の穴とを備えた、基礎ブロック。
【請求項6】
基礎地盤上に設置され、構造物をその上に取付けるためのコンクリートよりなる基礎ブロックであって、
ブロック本体と、
前記ブロック本体の底面に着脱自在に取付けられ、前記ブロック本体の前記基礎地盤からの設置高さを調整する、少なくとも3本の調整ボルトと、
前記ブロック本体の側面の対向する位置に設けられ、前記ブロック本体を上下反転可能とするための吊上げ用の一対の穴とを備え、
前記調整ボルトは、ターンバックル式ナットと、前記ターンバックル式ナットの一方に螺合され、前記ブロック本体の底面に取付けられるボルトと、前記ターンバックル式ナットの他方に螺合され、前記ボルトとは反対方向のねじ山が切られた平頭ボルトとを備えた、基礎ブロック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は基礎ブロックの設置方法及び基礎ブロックに関し、特に構造物をその上に取付けるためのコンクリートよりなる基礎ブロックの設置方法及びそれに用いる基礎ブロックに関するものである。
【背景技術】
【0002】
太陽光発電で利用される太陽光パネルは、近年、屋根への設置だけではなく、地上への設置の需要も増加している。又、2012年7月からの再生可能エネルギー固定買取制度の開始を受けて、メガソーラー(大規模太陽光発電所)の導入に関心が高まっている。
【0003】
図11は、従来の、地上に設置されたメガソーラーの外観形状を示した概略図である。
【0004】
図を参照して、メガソーラー61は、太陽光パネル62と、太陽光パネル62を支持する支柱64と、基礎地盤83上に設けられた基礎コンクリート70と、その上に配置された基礎ブロック67と、支柱64に接続され、基礎ブロック67上に支柱64を取付けるための支柱ベース65とを中心として構成されている。
【0005】
図12図11におけるXII−XIIラインの断面図である。
【0006】
図を参照して、プレキャストされた基礎ブロック67を設置するにあたり、初めに、不陸整正された基礎地盤83上に基礎コンクリート70を打設する。次にその上に空練の敷モルタル71(2cm程度)を引き均し、その上に基礎ブロック67は設置される。又、基礎ブロック67上方にはインサート68が埋め込まれており、支柱64は、支柱ベース65の図示しない穴を貫通させたボルト73をインサート68にねじ込むことで取付けられている。
【0007】
このようにしてプレキャストされた基礎ブロックを設置する方法の他に、例えばメガソーラーを設置する現場において基礎ブロックを打設する方法が存在する。
【0008】
図13は、他の従来の、現場での打設によって形成された基礎ブロックの周辺の概略構成を示した断面図である。
【0009】
図を参照して、基礎ブロック67を打設するにあたり、初めに、不陸整正された基礎地盤83上に基礎コンクリート70を打設する。次にその上にアンカーボルト75を差筋して埋め込む。そして基礎コンクリート70を養生後、アンカーボルト75に下部用ナット76を装着し、さらに支柱64に接続された支柱ベース65の図示しない穴にアンカーボルト75を貫通させ、さらに上部用ナット77を装着して支柱64を仮留めする。それから下用部ナット76を回転させて支柱ベース65の高さ調整を行う。そして高さ調整が終了したら上部用ナット77を締付けて支柱64を固定する。それから支柱64を囲むように型枠79を配置し、その内部に生コンクリートを打設し、それを硬化させることで基礎ブロック67を形成する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら図12に示した基礎ブロックの設置方法であれば、モルタル71を均等に敷き均さなければ基礎ブロック67の正確な高さ調整を行うことができない。しかしながらモルタル71は手作業で感に頼りながら引き均すため、均等に引き均すのは困難である。このような理由により、基礎ブロック67の高さ調整の際には、支柱ベース65の下に図示しない鉄板等を挿入しなければならない。
【0011】
一方で、図13に示した現場で基礎ブロックを打設する方法であれば、基礎ブロックを完成させるまでに多数の工程を経なければならない。そのため、メガソーラーの設置等で多数の基礎ブロック67の設置を要する場合、工期が長くかかってしまう。
【0012】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、基礎ブロックの効率的な設置を可能とする基礎ブロックの設置方法、及びそれに用いる基礎ブロックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の目的を達成するために、請求項1記載の発明は、構造物をその上に取付けるためのコンクリートよりなる基礎ブロックの設置方法であって、基礎ブロックの、上方に向けられた底面に、設置高さを調整するための調整ボルトを螺合させる工程と、基礎ブロックを吊上げ、底面を下方に反転させて基礎地盤の上に設置する工程と、調整ボルトを調整して、基礎ブロックの設置高さを所望の位置に合わせる工程と、基礎ブロックの側壁の下方部分を含むように生コンクリートを前記基礎地盤の上に打設する工程とを備えたものである。
【0014】
このように構成すると、調整ボルトは上方に向けられた底面に取付けられる。
【0015】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の構成において、調整ボルトは、少なくとも3本取付けられるものである。
【0016】
このように構成すると、調整ボルトの少なくとも3本は、基礎地盤の上に常に当接状態になる。
【0017】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の発明の構成において、基礎地盤の上であって調整ボルトに対応する位置に、金属プレートが配置されるものである。
【0018】
このように構成すると、金属プレートの上に設置された調整ボルトの下面の摩擦抵抗が軽減する。
【0019】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の発明の構成において、基礎ブロックは複数個が基礎地盤の上の所定の位置に配置され、金属プレートは、基礎地盤の上であって基礎ブロックの各々の調整ボルトに対応する位置に配置されるものである。
【0020】
このように構成すると、金属プレートの配置が基礎ブロックの各々の設置位置の目安になる。
【0021】
請求項5記載の発明は、基礎地盤上に設置され、構造物をその上に取付けるためのコンクリートよりなる基礎ブロックであって、ブロック本体と、ブロック本体の基礎地盤からの設置高さを調整するための調整ボルトを着脱自在に取付け可能なように、ブロック本体の底面に埋め込まれる、少なくとも3つのインサートと、ブロック本体の側面の対向する位置に設けられ、ブロック本体を上下反転可能とするための吊上げ用の一対の穴とを備えたものである。
【0022】
このように構成すると、ブロック本体の底面を上方に向けた状態で調整ボルトをインサートに対して取付けることができる。
請求項6記載の発明は、基礎地盤上に設置され、構造物をその上に取付けるためのコンクリートよりなる基礎ブロックであって、ブロック本体と、ブロック本体の底面に着脱自在に取付けられ、ブロック本体の基礎地盤からの設置高さを調整する、少なくとも3本の調整ボルトと、ブロック本体の側面の対向する位置に設けられ、ブロック本体を上下反転可能とするための吊上げ用の一対の穴とを備え、調整ボルトは、ターンバックル式ナットと、ターンバックル式ナットの一方に螺合され、ブロック本体の底面に取付けられるボルトと、ターンバックル式ナットの他方に螺合され、ボルトとは反対方向のねじ山が切られた平頭ボルトとを備えたものである。
このように構成すると、ターンバックル式ナットをいずれか一方向に回転させることによって、ボルトの上端部と平頭ボルトの下面との距離が増減する。
【発明の効果】
【0023】
以上説明したように、請求項1記載の発明は、調整ボルトは上方に向けられた底面に取付けられるので、調整ボルトの取付けが容易となると共に、設置時の安全性が向上する。
【0024】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の効果に加えて、調整ボルトの少なくとも3本は、基礎地盤の上に常に当接状態になるので、設置高さの調整が容易となる。
【0025】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の発明の効果に加えて、金属プレートの上に設置された調整ボルトの下面の摩擦抵抗が軽減するので、調整ボルトの水平方向への微調整が可能となる。
【0026】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の発明の効果に加えて、金属プレートの配置が基礎ブロックの各々の設置位置の目安になるので、基礎ブロックの設置作業が効率化する。
【0027】
請求項5記載の発明は、ブロック本体の底面を上方に向けた状態で調整ボルトをインサートに対して取付けることができるので、調整ボルトの取付けが容易となると共に、設置時の安全性が向上する。
請求項6記載の発明は、ターンバックル式ナットをいずれか一方向に回転させることによって、ボルトの上端部と平頭ボルトの下面との距離が増減するので、ブロック本体の底面から平頭ボルトの上面までの距離を増減させることにより基礎ブロックの設置高さの調整が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】この発明の第1の実施の形態による基礎ブロックの外観形状を示した斜視図である。
図2図1の基礎ブロックに取付けられる調整ボルトの概略構成及び使用状態を示した図である。
図3図1で示した基礎ブロックの設置過程を説明するための概略工程図の一部である。
図4図3で示した工程図に続く基礎ブロックの設置過程を説明するための概略工程図の他の一部である。
図5図4で示した工程図に続く基礎ブロックの設置過程を説明するための概略工程図の更に他の一部である。
図6図5で示した工程図に続く基礎ブロックの設置過程を説明するための概略工程図の更に他の一部である。
図7図1で示した基礎ブロックの設置方法を用いたメガソーラーの設置過程を示した概略工程図である。
図8】この発明の第2の実施の形態による基礎ブロックの外観形状を示した正面図である。
図9図8で示した基礎ブロックの外観形状を示した平面図である。
図10】この発明の第3から第5の実施の形態による種々の基礎ブロックの外観形状を示した平面図である。
図11】従来の、地上に設置されたメガソーラーの外観形状を示した概略図である。
図12図11におけるXII−XIIラインの断面図である。
図13】他の従来の、現場での打設によって形成された基礎ブロックの周辺の概略構成を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1はこの発明の第1の実施の形態による基礎ブロックの外観形状を示した斜視図である。
【0030】
図を参照して、基礎ブロック11はプレキャストコンクリートよりなるブロック本体12を中心として構成されている。尚、本実施の形態おけるブロック本体12の形状は、基礎ブロック11の設置工程全体のコストを低減させるべく、製造コストが安価で、施工に優れた単純な直方体としているが、立方体でも良い。
【0031】
上方に向けられたブロック本体12の底面13には、後述する調整ボルトが螺合されるインサート14が3箇所に埋め込まれている。又、ブロック本体12の側面の対向する位置には、ブロック本体12を上下反転可能とするための吊上げ用の一対の穴15a、15bが備えられている。更に、底面13と対向する上面には、後述する支柱が取付けられる図示しない支柱用インサートが埋め込まれている。
【0032】
図2は、図1の基礎ブロックに取付けられる調整ボルトの概略構成及び使用状態を示した図である。
【0033】
まず図2の(1)を参照して、調整ボルト21はターンバックル式ナット23を中心として構成されている。ターンバックル式ナット23の下方には全ネジボルト24が螺合され、ターンバックル式ナット23の上方には全ネジボルト24とは反対方向のねじ山が切られた平頭ボルト26が螺合されている。そして使用時には、全ネジボルト24は、ブロック本体の底面13に埋め込まれたインサート14にその一部が螺合された状態でセットされる。次に図2の(2)を参照して、ターンバックル式ナット23をいずれか一方向に回転させることによって、全ネジボルト24の上端部25と平頭ボルト26の下面27との距離が増減するため、底面13から平頭ボルト26の上面28までの距離Hを増減させることにより基礎ブロック11(図1参照)の設置高さの調整が可能となる。
【0034】
図3から図6図1で示した基礎ブロックの設置過程を説明するための概略工程図の一部である。
【0035】
これらの図を参照して、まず図3に示されているように、基礎ブロック11の、上方に向けられた底面13に、インサート14を介して調整ボルト21を螺合させる。このように上方に向けられた底面13に調整ボルト21を取付けることで取付けが容易となる。次に一対の穴15a、15bにワイヤ18に接続された吊り金具19a、19bを取付け、図示しないクレーン機能付きバックホウ等を用いてワイヤ18を介して基礎ブロック11を吊上げた状態で、底面13を下方に反転させる。尚、吊上げ作業中に反転させた基礎ブロック11が吊り金具19から不用意に脱落しても、調整ボルト21が取付けられていることで基礎ブロック11は着地面から浮いた状態で着地する。そのため、脱落によって作業者の脚等が基礎ブロック11に挟まれる危険性は低くなり、設置時の安全性が向上する。
【0036】
次に、図4に示されているように、基礎地盤83上の調整ボルト21に対応する位置に前もって配置された金属プレート30上に調整ボルト21が位置するように基礎ブロック11を設置する。
【0037】
次に調整ボルト21を調整し、基礎ブロック11の設置高さを所望の位置に合わせる。
【0038】
このようにすることで、金属プレート30の配置が基礎ブロック11の設置位置の目安となり設置作業が効率化する。又、これにより金属プレート30上に設置された調整ボルト21の下面22の摩擦抵抗が軽減するため、調整ボルト21の高さ方向のみならず水平方向への微調整が可能となる。
【0039】
次に、図5に示されているように、基礎ブロック11の下方部分を型枠32で囲み、型枠32内の基礎地盤83上に図示しない所定量の生コンクリートを打設する。
【0040】
そして図6に示されるように、生コンクリートが硬化した後で型枠32(図5参照)を取り外すと、生コンクリートが硬化してなる基礎コンクリート36上に設置された基礎ブロック11が、その上面の高さ調整がされた状態で得られる。これによれば、基礎ブロック11の下方は基礎コンクリート36によって固定されているため、基礎ブロック11上に取付けられる支柱64を強固に保持することができる。又、所望の基礎コンクリート36の形状に対応した型枠32(図5参照)を使用することで、基礎コンクリート36を効率良く形成することができる。
【0041】
このようにして基礎ブロック11を設置した後に、基礎ブロック11上に支柱64を取付けることができる。このとき、基礎ブロック11の上方には予め支柱用インサート16が埋め込まれているため、支柱64を取付けるための穴開け作業を省略することができ、設置時間の短縮が可能となる。
【0042】
このような工程とすることで、従来と比較して迅速且つ正確に基礎ブロックを設置することができる。
【0043】
又、基礎ブロック11の撤去時には、支柱64を外した後、上述した基礎ブロック11を反転させる作業と同様に、穴15a、15bに吊り金具を取付け、クレーン機能付きバックホウ等でワイヤを介して基礎ブロック11を吊上げれば、基礎コンクリート36と共に容易に撤去できる。このように本実施の形態によれば、基礎ブロック11の撤去も迅速且つ低コストで行うことが可能となる。
【0044】
図7図1で示した基礎ブロックの設置方法を用いたメガソーラーの設置過程を示した概略工程図である。
【0045】
まず、図7の(1)を参照して、雑草等を伐採してから、図示しないモータグレーダで地盤を不陸整正し、振動ローラにて転圧する。そして防草効果のある砕石(粒調砕石又はクラッシャラン)を10〜20cm敷均して基礎地盤83を整備する。次に、後述する基礎ブロックを設置するために図示しない丁張を上げる。それから基礎地盤83上の、設置される基礎ブロックの調整ボルトに対応する位置に金属プレート30を配置する。
【0046】
次に、図7の(2)を参照して、先の設置方法で示したように、基礎コンクリート36を形成し、基礎ブロック11上に支柱64を取付ける。
【0047】
次に、図7の(3)を参照して、支柱64に太陽光パネル62を取付け、メガソーラー61を完成させる。
【0048】
以上により、本実施の形態によれば、基礎ブロックの設置を迅速且つ正確に行うことでメガソーラーの大幅な工期の短縮が実現できる。具体的には、例えば図示しないクレーン機能付きバックホウを使用すれば、一日当たり60基程度の多数の基礎ブロックを設置することができる。
【0049】
図8はこの発明の第2の実施の形態による基礎ブロックの外観形状を示した正面図であり、図9図8で示した基礎ブロックの外観形状を示した平面図である。
【0050】
これらの図を参照して、基礎ブロック41は、そのブロック本体42が、下方に配置された直方体部分43と、その上方に配置され、上に凸状の四角錐体部分47とから構成されており、これらは一体成形されたプレキャストコンクリートから構成されている。直方体部分43の底面44には、その四隅に配置された調整ボルト21a、21b、21d、21eと、調整ボルト21bと21dとの間に配置された調整ボルト21cとがそれぞれ着脱自在に取付けられている。一方、四角錐体部分47の上方には底面44と平行な面が形成されることで、支柱ベース65が設置される平面視四角形状の設置部48が設けられている。更に設置部48には支柱64を取付けるための図示しないボルトがねじ込まれる支柱用インサート16が埋め込まれている。尚、他の構成については第1の実施の形態と同様であるのでここでの説明は繰り返さない。
【0051】
このような基礎ブロック41であれば、例えば基礎ブロック41が雨に晒されても、雨水はブロック本体42の四角錐体部分47の傾斜表面を伝って下方に流れるため、基礎ブロック41の水捌けは良くなる。従って基礎ブロック41を用いることで、さらに雨水等による支柱64の劣化も低減することができる。
【0052】
尚、基礎ブロック41にあっては、平面視逆三角形状に配置された調整ボルト21a、21c、21eは、それぞれ基礎ブロック41の高さ調整に用いられるが、残りの調整ボルト21b、21dについては、作業者の安全性を確保するため、即ち、基礎ブロック41上を作業者が歩くときに基礎ブロック41がバランスを崩してしまい、作業者が転倒するのを防ぐために取付けられている。従って調整ボルト21b、21dについては短めに固定した状態で基礎ブロック41に取付ければ良い。このように調整ボルト21a、21c、21eの少なくとも3本は基礎地盤83上に常に当接状態とすれば、基礎ブロック41の設置高さの調整が容易となる。
【0053】
図10は、この発明の第3から第5の実施の形態による種々の基礎ブロックの外観形状を示した平面図である。尚、これら各実施の形態による基礎ブロックは、そのブロック本体上方の形状が異なる以外は、第2の実施の形態のものと同一であるため、ここでの説明は繰り返さない。
【0054】
まず図10の(1)を参照して、第3の実施の形態にあっては、ブロック本体42の上方部分を上に凸状の三角錐形状とし、その上部に設置部48を設けるとともに支柱用インサート16を埋め込むことで、平面視三角形状の基礎ブロック41となっている。そしてブロック本体42の底面44の角の3箇所には、調整用ボルト21a、21b、21cが均等な間隔で配置され、これらはブロック本体42に着脱自在に取付けられている。
【0055】
次に図10の(2)を参照して、第4の実施の形態にあっては、ブロック本体42の上方部分を上に凸状の円錐状とし、その上部に設置部48を設けるとともに支柱用インサート16を埋め込むことで、平面視円形の基礎ブロック41となっている。そしてブロック本体42の底面44の3箇所には、調整用ボルト21a、21b、21cが均等な間隔で配置され、これらはブロック本体42に着脱自在に取付けられている。
【0056】
次に図10の(3)を参照して、第5の実施の形態にあっては、ブロック本体42の上方部分を上に凸状の六角形状とし、その上部に設置部48を設けるとともに支柱用インサート16を埋め込むことで、平面視六角形状の基礎ブロック41となっている。そしてブロック本体42の底面44の角のうち3箇所には、調整用ボルト21a、21b、21cが均等な間隔で配置され、これらはブロック本体42に着脱自在に取付けられている。
【0057】
これらの基礎ブロック41構造を採用しても、第2の実施の形態と同様に、基礎ブロックの水捌けが良くなるという効果が得られる。又、調整ボルト21a、21b、21cが均等な間隔で配置されることでブロック本体42の重量は調整ボルト21a、21b、21cに均等にかかるため、基礎ブロック41がバランスを崩して転倒する虞もない。従って、調整ボルトの本数をそれ以上に増加させることなく、基礎ブロック41を安定した状態で設置することができる。
【0058】
尚、上記の各実施の形態では、基礎ブロックの、上方に向けられた底面に、設置高さを調整するための調整ボルトを螺合させているが、これに代えて、底面が下方に向けられた基礎ブロックを反転させてから、底面に調整ボルトを螺合させる構成としても良い。
【0059】
又、上記の各実施の形態では、基礎ブロックを太陽光パネルの支柱を取付ける基礎として用いているが、他の構造物を取付ける構成としても良い。従ってフェンス、防音壁、看板、落石防護柵等の支柱を取付ける基礎としても同様に適用できる。
【0060】
更に、上記の各実施の形態では、一対の穴は基礎ブロック内部を貫通することで一体化されていても良い。あるいは基礎ブロックに穴を設けずに、他の手段によって基礎ブロックを反転させる構成としても良い。
【0061】
更に、上記の各実施の形態では、調整ボルトを3本又は5本取付けているが、取付ける調整ボルトの本数はそれ以外であっても良い。
【0062】
更に、上記の各実施の形態では、金属プレートを用いているが、これに代えて、強化プラスチック等の他の摩擦係数の小さいプレートを用いても本発明と同様の効果が得られる。
【0063】
更に、上記の各実施の形態では、配置された金属プレートを介して基礎地盤上に基礎ブロックを設置しているが、金属プレートを設けずに、基礎地盤上に直接、基礎ブロックを調整ボルトを介して設置しても良い。
【0064】
更に、上記の各実施の形態では、高さ調整可能な調整ボルトを用いて基礎ブロックの高さ調整を行っているが、通常のボルトを用いて高さ調整を行っても良い。
【0065】
更に、上記の各実施の形態では、型枠は基礎ブロックの形状に対応した平面視の形状としているが、型枠の形状は他の形状であっても良い。
【0066】
更に、基礎ブロックの形状は、上記の各実施の形態における基礎ブロック以外の形状であっても良い。
【0067】
更に、上記の各実施の形態では、支柱ベースが設置される設置部は、基礎ブロックの平面視の形状と同一形状であるが、設置部は、支柱ベースが収まるのであれば、三角形、四角形、略円形状、又は多角形等のどのような形状であっても良い。
【0068】
更に、上記の各実施の形態では、支柱を取付けるためにインサートを埋め込んでいるが、それに代えてアンカーボルトを埋め込む構成としても良い。
【符号の説明】
【0069】
11…基礎ブロック
13…底面
15a、15b…穴
21…調整ボルト
30…金属プレート
83…基礎地盤
尚、各図中同一符号は同一又は相当部分を示す。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13