特許第6207192号(P6207192)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6207192
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】半導体加工用粘着シート
(51)【国際特許分類】
   C09J 7/02 20060101AFI20170925BHJP
   C09J 201/00 20060101ALI20170925BHJP
   C09J 153/00 20060101ALI20170925BHJP
   C09J 153/02 20060101ALI20170925BHJP
   C09J 11/02 20060101ALI20170925BHJP
   C09J 123/08 20060101ALI20170925BHJP
   C09J 109/06 20060101ALI20170925BHJP
   C09J 109/00 20060101ALI20170925BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20170925BHJP
   B32B 25/08 20060101ALI20170925BHJP
【FI】
   C09J7/02 Z
   C09J201/00
   C09J153/00
   C09J153/02
   C09J11/02
   C09J123/08
   C09J109/06
   C09J109/00
   B32B27/00 M
   B32B25/08
【請求項の数】10
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2013-62464(P2013-62464)
(22)【出願日】2013年3月25日
(65)【公開番号】特開2014-185285(P2014-185285A)
(43)【公開日】2014年10月2日
【審査請求日】2016年1月15日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000102980
【氏名又は名称】リンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001494
【氏名又は名称】前田・鈴木国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】山岸 正憲
(72)【発明者】
【氏名】若山 洋司
【審査官】 磯貝 香苗
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−174784(JP,A)
【文献】 特開昭59−177943(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 7/02
C09J 11/02
C09J 109/00
C09J 109/06
C09J 123/08
C09J 153/00
C09J 153/02
C09J 201/00
B32B 25/08
B32B 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持シートの片面に、接着性樹脂層およびフィルム状粘着剤がこの順に積層された半導体加工用粘着シートであって、
フィルム状粘着剤が、接着性樹脂層の外周部に形成され、かつ、開口部を有し、
JIS Z0237;2009に準拠した、フィルム状粘着剤のシリコンウエハ(鏡面)に対する粘着力が0.1N/25mm以上であり、
JIS Z1528;2009に準拠した、フィルム状粘着剤のクリープ試験による保持力が70000秒以上であり、
フィルム状粘着剤が、アクリル共重合体を除く熱可塑性エラストマーを含む粘着剤組成物からなり、
接着性樹脂層に半導体ウエハまたは半導体チップを貼付して用いられる、半導体加工用粘着シート。
【請求項2】
フィルム状粘着剤の厚みが5〜100μmである請求項1に記載の半導体加工用粘着シート。
【請求項3】
フィルム状粘着剤のヤング率が0.1〜20MPaである請求項1または2に記載の半導体加工用粘着シート。
【請求項4】
フィルム状粘着剤の破断エネルギーが0.2J以上である請求項1〜3のいずれかに記載の半導体加工用粘着シート。
【請求項5】
熱可塑性エラストマーが、イソプレン、エチレンまたはブタジエンから選ばれる少なくとも一つを重合してなるソフトセグメントと、スチレンを重合してなるハードセグメントとから構成されるブロック共重合体である請求項1〜4のいずれかに記載の半導体加工用粘着シート。
【請求項6】
ブロック共重合体におけるハードセグメントの割合が28質量%以下である請求項5に記載の半導体加工用粘着シート。
【請求項7】
ブロック共重合体におけるソフトセグメントがブタジエンを重合してなり、
ソフトセグメントの一部または全部が水素添加されている請求項5または6に記載の半導体加工用粘着シート。
【請求項8】
フィルム状粘着剤が、ロジン、テルペン、染料、顔料またはフィラーから選ばれる少なくとも一つを含有する請求項1〜7のいずれかに記載の半導体加工用粘着シート。
【請求項9】
熱可塑性エラストマーがトルエン溶液に可溶である請求項1〜8のいずれかに記載の半導体加工用粘着シート。
【請求項10】
JIS K7361−1;1997に準拠した全光線透過率の最小値が80%以下である請求項1〜9のいずれかに記載の半導体加工用粘着シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハ等の被加工物(以下、「ワーク」と記載することがある)の一時的な表面保護、研磨、ダイシングなどの加工を行う際に、当該ワークが貼付、保持される半導体加工用粘着シートに関する。
【0002】
シリコン、ガリウムヒ素などの半導体ウエハは大径の状態で製造される。半導体ウエハは、素子小片(半導体チップ)に切断分離(ダイシング)された後に、次工程であるボンディング工程に移されている。この際、半導体ウエハは予め接着剤層と基材フィルムとからなる接着シートに貼着された状態でダイシング、洗浄、乾燥、エキスパンディングおよびピックアップの各工程が加えられた後、次工程のボンディング工程に搬送される。
【0003】
上記ダイシング工程や工程間における搬送において、接着シートは金属製治具に固定されることがある。接着シートの接着剤層が十分なタックを有しない場合、該工程中に金属製治具から接着シートが剥離するおそれがあるため、接着シートと金属製治具との間に粘着剤層を設け、接着シートと金属製治具とを固定する技術が知られている(例えば特許文献1、特許文献2参照)。
特許文献1においては、接着シートと金属製治具との間の粘着剤層として、金属製治具側の粘着剤層と接着シート側の粘着剤層の接着力が異なる両面粘着シートを用い、金属製治具への糊残りを防止している。
また、特許文献2においては、接着シートと金属製治具との間の粘着剤層として、UV硬化型の粘着剤層を用い、粘着剤層と金属製治具の間の剥離力を、基材フィルムと接着剤層の間の剥離力よりも小さくすることで、金属製治具への糊残りを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−66336号公報
【特許文献2】特開2005−203749号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような金属製治具への貼付を目的とした粘着剤層が積層された半導体加工用粘着シートは、以下のように製造される。
すなわち、2枚の剥離シート(以下、第1の剥離シート、第2の剥離シートと呼ぶ)間で製膜された粘着剤層から、第2の剥離シートを剥がし、第1の剥離シート上の粘着剤層を金属製治具の内径と略同形状の円形に切り込み、切り込まれた円形の粘着剤層を除去し、開口部を有する粘着剤層を形成する。
次いで、別途用意した接着剤層を有する接着シートの接着剤層面に上記開口部を有する粘着剤層に貼り合せ、さらに接着シートと粘着剤層をリングフレームの外径と略同径に型抜きして、余剰部分を除去することで、第1の剥離シート上に半導体加工意用粘着シートが形成される。この製造工程は、ロールトゥロール(role to role)で連続して行われる。この際、粘着剤層には、湾曲と剥離と転写の工程が繰り返される。
【0006】
本発明者らが鋭意検討を行った結果、特許文献1における両面粘着シートを用い、上記工程により半導体加工用粘着シートを製造すると、開口部を有する両面粘着シートを接着シートに転写する際に剥離シートと接着シートとの間に空気が噛み込み、接着剤層が変形することがあった。接着剤層が変形すると、ワークへの貼付性が低下することや、チップとの密着性が低下することがある。その結果、半導体装置の信頼性に劣ることがあった。
また、特許文献2の粘着剤層を用い、上記工程により半導体加工用粘着シートを製造すると、円形の粘着剤層を除去する際に、粘着剤層が破断もしくは延伸し、半導体加工用粘着シートの製造効率が低下することがあった。
【0007】
本発明は、上記のような従来技術に伴う問題を解決しようとするものである。すなわち、本発明は、ロールトゥロール(role to role)で効率よく製造可能であり、該製造工程中において剥離シートと半導体加工用粘着シートとの間に空気が噛み込むことがない半導体加工用粘着シートを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する本発明の要旨は以下の通りである。
〔1〕支持シートの片面に、接着性樹脂層およびフィルム状粘着剤を有する半導体加工用粘着シートであって、
フィルム状粘着剤が、接着性樹脂層の外周部に形成され、
JIS Z0237;2009に準拠した、フィルム状粘着剤のシリコンウエハ(鏡面)に対する粘着力が0.1N/25mm以上であり、
JIS Z1528;2009に準拠した、フィルム状粘着剤のクリープ試験による保持力が70000秒以上であり、
フィルム状粘着剤が熱可塑性エラストマーを含む粘着剤組成物からなる、半導体加工用粘着シート。
【0009】
〔2〕フィルム状粘着剤の厚みが5〜100μmである〔1〕に記載の半導体加工用粘着シート。
【0010】
〔3〕フィルム状粘着剤のヤング率が0.1〜20MPaである〔1〕または〔2〕に記載の半導体加工用粘着シート。
【0011】
〔4〕フィルム状粘着剤の破断エネルギーが0.2J以上である〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の半導体加工用粘着シート。
【0012】
〔5〕熱可塑性エラストマーが、イソプレン、エチレンまたはブタジエンから選ばれる少なくとも一つを重合してなるソフトセグメントと、スチレンを重合してなるハードセグメントとから構成されるブロック共重合体である〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の半導体加工用粘着シート。
【0013】
〔6〕ブロック共重合体におけるハードセグメントの割合が28質量%以下である〔5〕に記載の半導体加工用粘着シート。
【0014】
〔7〕ブロック共重合体におけるソフトセグメントがブタジエンを重合してなり、
ソフトセグメントの一部または全部が水素添加されている〔5〕または〔6〕に記載の半導体加工用粘着シート。
【0015】
〔8〕フィルム状粘着剤が、ロジン、テルペン、染料、顔料またはフィラーから選ばれる少なくとも一つを含有する〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載の半導体加工用粘着シート。
【0016】
〔9〕熱可塑性エラストマーがトルエン溶液に可溶である〔1〕〜〔8〕のいずれかに記載の半導体加工用粘着シート。
【0017】
〔10〕JIS K7361−1;1997に準拠した全光線透過率の最小値が80%以下である〔1〕〜〔9〕のいずれかに記載の半導体加工用粘着シート。
【発明の効果】
【0018】
本発明では、金属製治具との貼付に用いられる粘着剤層として、所定の物性を有するフィルム状粘着剤を用いることで、その製造工程中におけるフィルム状粘着剤の破断や延伸、空気の噛み込みを防止できる。その結果、半導体加工用粘着シートの製造効率に優れ、また、該粘着シートを用いて製造される半導体装置は信頼性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の第1の構成に係る半導体加工用粘着シートと金属製治具とを仮固定した状態を示す図である。
図2】本発明の第2の構成に係る半導体加工用粘着シートと金属製治具とを仮固定した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明について、その最良の形態も含めてさらに具体的に説明する。
図1または図2に示すように、本発明に係る半導体加工用粘着シート100は第1または第2の構成とすることができ、支持シート1の少なくとも片面に、接着性樹脂層2およびフィルム状粘着剤10を有する。接着性樹脂層2やフィルム状粘着剤10は単層であっても複数層であってもよい。
【0021】
(フィルム状粘着剤)
本発明におけるフィルム状粘着剤10は、図1または図2に示すように、接着性樹脂層2の外周部に形成され、接着性樹脂層2と金属製治具5とを仮固定するために用いられる。本発明において「仮固定」とは、接着性樹脂層2が、フィルム状粘着剤10を介して金属製治具5に保持され、かつ、半導体装置を製造するための各工程(例えばダイシング工程、ピックアップ工程や各工程間における搬送等)では剥離しないが、工程前後においては容易に剥離できる状態をいう。
【0022】
フィルム状粘着剤は、JIS Z0237;2009に準拠したシリコンウエハ(鏡面)に対する粘着力が0.1N/25mm以上であり、好ましくは0.5〜6N/25mmであり、より好ましくは1〜5N/25mmである。
上記の粘着力が0.1N/25mm未満であると、フィルム状粘着剤と金属製治具(例えばリングフレーム等)との密着性が不十分となり、半導体装置の製造工程中に金属製治具とフィルム状粘着剤とがその界面で剥離し、該工程を円滑に行うことができない。
また、上記の粘着力が6N/25mmを超えると、フィルム状粘着剤と金属製治具との密着性は十分であるものの、金属製治具からフィルム状粘着剤を剥離する際に、金属製治具への糊残り(フィルム状粘着剤を構成する粘着剤組成物の残渣)が発生することがある。残渣が半導体装置内に混入すると、半導体装置の信頼性が低下するおそれがあり、また、残渣により半導体装置の製造工程間における搬送等に用いられる搬送アーム等の装置が汚染されることがある。
【0023】
フィルム状粘着剤は、JIS Z1528;2009に準拠したクリープ試験による保持力が70000秒以上である。上限は特に限定されない。
上記のクリープ試験による保持力が70000秒未満であると、フィルム状粘着剤と金属製治具とを仮固定し縦置きにした状態での保管時にフィルム状粘着剤が変形し、所定の位置で仮固定された半導体加工用粘着シートと金属製治具において位置ずれが生じ、その後の半導体装置の製造工程において不具合が生じることや、金属製治具から半導体加工用粘着シートが脱離することがある。
【0024】
また、フィルム状粘着剤のヤング率は、好ましくは0.1〜20MPa、より好ましくは1〜10MPa、特に好ましくは2〜6MPaである。
フィルム状粘着剤のヤング率を上記範囲とすることで、半導体加工用粘着シートの製造工程中におけるフィルム状粘着剤の凝集破壊を防止できる。その結果、半導体加工用粘着シートの製造工程で用いる加工機の汚染が防止されるとともに、フィルム状粘着剤の加工性が向上する。
【0025】
また、フィルム状粘着剤の破断エネルギーは、好ましくは0.2J以上、より好ましくは1〜8J、特に好ましくは2〜6Jである。
フィルム状粘着剤の破断エネルギーを上記範囲とすることで、半導体加工用粘着シートの製造工程中におけるフィルム状粘着剤の凝集破壊を防止できる。その結果、半導体加工用粘着シートの製造工程で用いる加工機の汚染が防止されるとともに、フィルム状粘着剤の加工性が向上する。
【0026】
本発明におけるフィルム状粘着剤は、熱可塑性エラストマーを含む粘着剤組成物からなる。特にゴム系エラストマーからなることが好ましい。熱可塑性エラストマーを含む粘着剤組成物を用いてフィルム状粘着剤を形成することで、フィルム状粘着剤の物性の調整が容易になる。本発明において、アクリル共重合体は、熱可塑性エラストマーに含まれない。
【0027】
また、本発明における熱可塑性エラストマーは、有機溶剤に可溶であることが好ましく、特にトルエン溶液に可溶であることが好ましい。本発明において、「可溶」とは、室温(18〜28℃の温度範囲)において、溶液中で最大粒子径が1μmを超える粒子が存在しないことをいう。「最大粒子径」とは、複数存在する粒子の中で最も粒子径の大きい粒子の粒子径をいう。
【0028】
フィルム状粘着剤を構成する熱可塑性エラストマーは特に限定されないが、イソプレン、エチレンまたはブタジエンから選ばれる少なくとも一つを重合してなるソフトセグメントと、スチレンを重合してなるハードセグメントとから構成されるブロック共重合体であることが好ましい。
また、上記ブロック共重合体におけるハードセグメントの割合は、好ましくは28質量%以下、より好ましくは5〜25質量%、特に好ましくは10〜22質量%である。
上記のブロック共重合体を用いることにより、フィルム状粘着剤の物性の調整が容易になる。
【0029】
また、ブロック共重合体におけるソフトセグメントは、ブタジエンを重合してなり、ソフトセグメントの一部または全部が水素添加されていることが好ましい。水素添加することで、エネルギー線反応性の炭素−炭素二重結合の量を減少させることができるため、半導体装置の製造工程中にエネルギー線照射(例えば紫外線照射)工程を含む場合であっても組成の変化を抑え、フィルム状粘着剤が金属製治具に固着し、金属製治具への糊残りが発生することを防止できる。
【0030】
このようなブロック共重合体の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは1万〜50万、より好ましくは5万〜30万である。
【0031】
上記のような粘着剤組成物からなるフィルム状粘着剤の厚みは、好ましくは5〜100μm、より好ましくは20〜80μm、特に好ましくは30〜60μmである。フィルム状粘着剤の厚みを上記範囲とすることで、フィルム状粘着剤の上記粘着力を所定範囲に調整することが容易になる。また、後述する半導体加工用粘着シートの製造工程において、剥離シートと半導体加工用粘着シートとの間への気泡の噛み込みを抑制できるという効果が高まる。
【0032】
また、フィルム状粘着剤を構成する粘着剤組成物は、ロジン、テルペン、染料、顔料またはフィラーから選ばれる少なくとも一つを含有することが好ましい。フィルム状粘着剤がロジン、テルペン、染料、顔料またはフィラーから選ばれる少なくとも一つを含有することにより、フィルム状粘着剤の物性の調整が容易になる。
【0033】
(接着性樹脂層)
本発明における接着性樹脂層は、シートの用途に応じて、後述する粘着剤層、フィルム状粘着剤層、粘接着剤層、保護膜形成層など様々な機能を有する樹脂の中から適宜に選択される。
【0034】
粘着剤層
本発明の半導体加工用粘着シートをバックグラインドシートなどの表面保護シートや、ダイシングシートとして用いる場合には、接着性樹脂層2は、感圧接着性を有する粘着剤層からなることが好ましい。
【0035】
このような感圧接着性を有する粘着剤層は、従来より公知の種々の粘着剤により形成され得る。粘着剤としては、何ら限定されるものではないが、たとえばゴム系、アクリル系、シリコーン系、ポリビニルエーテル等の粘着剤が用いられる。これらの中でも粘着力の制御が容易なアクリル系粘着剤が特に好ましい。
【0036】
アクリル系粘着剤は、(メタ)アクリル酸エステル共重合体を主剤とする。(メタ)アクリル酸エステル共重合体としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸デシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ミリスチル、メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸エチル、メタアクリル酸プロピル、メタアクリル酸ブチル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸イソボルニルなどの官能基を持たないアルキル基よりなる(メタ)アクリル酸アルキルエステルの1種以上の単量体と、必要に応じて、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−3−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−3−ヒドロキシブチル、アクリル酸−4−ヒドロキシブチル、メタアクリル酸−2−ヒドロキシエチル、メタアクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、メタアクリル酸−3−ヒドロキシプロピル、メタアクリル酸−3−ヒドロキシブチル、メタアクリル酸−4−ヒドロキシブチルなどの水酸基含有(メタ)アクリル酸アルキルエステル;アクリル酸、メタアクリル酸、マレイン酸、フマル酸などのカルボキシル基含有化合物;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアノ基含有化合物;アクリルアミドなどのアミド基含有化合物;スチレン、ビニルピリジンなどの芳香族化合物などの重合性単量体から選ばれる1種以上の単量体の共重合体などが挙げられる。なお、重合性単量体が1種である場合には狭義の共重合体ではないが、そのような場合も含めて共重合体と総称する。また、(メタ)アクリルは、アクリルとメタクリルの両者を含む意味で用いる。
【0037】
(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体における官能基を持たないアルキル基よりなる(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来する単位の含有割合は、10〜98質量%が好ましく、20〜95質量%がより好ましく、50〜93質量%がさらに好ましい。(メタ)アクリル酸エステル共重合体の重量平均分子量は、10万〜250万が好ましく、20万〜150万がより好ましく、30万〜100万が特に好ましい。なお、本明細書において、重量平均分子量とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法により測定した標準ポリスチレン換算の値である。
【0038】
これらの粘着剤は、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの粘着剤のうち、アクリル系粘着剤が好ましく用いられる。特に、(メタ)アクリル酸エステル共重合体を、ポリイソシアナート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、アジリジン系架橋剤、キレート系架橋剤などの架橋剤の1種以上で架橋させて得られるアクリル系粘着剤が好ましい。
【0039】
エポキシ系架橋剤としては、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N',N'−テトラグリジル−m−キシリレンジアミン、N,N,N',N'−テトラグリジルアミノフェニルメタン、トリグリシジルイソシアネート、m−N,N−ジグリシジルアミノフェニルグリシジルエーテル、N,N−ジグリシジルトルイジン、N,N−ジグリシジルアニリン、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル等が挙げられる。
【0040】
ポリイソシアナート系架橋剤としては、トリレンジイソシアナート(TDI)、ヘキサメチレンジイソシアナート(HMDI)、イソホロンジイソシアナート(IPDI)、キシリレンジイソシアナート(XDI)、水素化トリレンジイソシアナート、ジフェニルメタンジイソシアナート及びその水添体、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアナート、ナフチレン−1,5−ジイソシアナート、ポリイソシアナートプレポリマー、ポリメチロールプロパン変性TDIなどが挙げられる。
【0041】
架橋剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。架橋剤の使用量は、(メタ)アクリル酸エステル共重合体100質量部に対して、0.01〜20質量部が好ましい。
【0042】
さらに、粘着剤層は、エネルギー線硬化や加熱発泡、水膨潤などにより接着力を制御できる粘着剤であってもよい。粘着剤層がエネルギー線硬化性を有する場合(エネルギー線硬化型粘着剤層)には、粘着剤層にエネルギー線を照射し、粘着力を低下させることで、ウエハやチップの剥離がより容易になる。また、エネルギー線硬化型粘着剤層は、従来より公知のガンマ線、電子線、紫外線、可視光等のエネルギー線の照射により硬化する種々のエネルギー線硬化型粘着剤により形成され得るが、特に紫外線硬化型粘着剤を用いることが好ましい。
【0043】
エネルギー線硬化型粘着剤としては、例えばアクリル系粘着剤に、多官能エネルギー線硬化樹脂を混合した粘着剤が挙げられる。多官能エネルギー線硬化樹脂としては、エネルギー線重合性の官能基を複数有する低分子化合物、ウレタンアクリレートオリゴマーなどが挙げられる。また、側鎖にエネルギー線重合性の官能基を有する(メタ)アクリル酸エステル共重合体を含む粘着剤も用いることができる。このようなエネルギー線重合性官能基としては(メタ)アクリロイル基が好ましい。
【0044】
粘着剤層のガラス転移温度(Tg)は、−50〜30℃が好ましく、−25〜30℃であることが好ましい。ここで、粘着剤層のTgとは、粘着剤層を積層させた試料の周波数11Hzでの動的粘弾性測定において、−50〜50℃の領域で損失正接(tanδ)が最大値を示す温度を指す。なお、粘着剤層がエネルギー線硬化型粘着剤である場合には、エネルギー線照射により粘着剤層を硬化させる前のガラス転移温度を指す。粘着剤層が前記したアクリル系粘着剤からなる場合は、粘着剤層のガラス転移温度は、前記したアクリル系粘着剤を構成する単量体の種類および重合比を規制し、場合によって添加される紫外線硬化性化合物や架橋剤の影響を見積もることにより制御できる。
【0045】
フィルム状接着剤
また、本発明の半導体加工用粘着シートにおいて、接着性樹脂層2は、フィルム状接着剤であってもよい。このようなフィルム状接着剤は、チップのダイボンド工程において近年多用されている。このようなフィルム状接着剤は、好ましくはエポキシ系接着剤またはポリイミド系接着剤を製膜、半硬化したもの(B−ステージ状態)であり、本発明の半導体加工用粘着シートの支持シート上に剥離可能に形成される。
【0046】
フィルム状接着剤は、半導体ウエハや半導体チップに貼付される。その半導体ウエハやチップとフィルム状接着剤とをチップサイズにダイシングすることで、接着剤付チップが得られ、これを後述する支持シート(例えば基材または粘着シート)からピックアップし、接着剤を介して、所定の位置にチップを固着する。なお、接着剤付チップのピックアップ時には、エキスパンドを行うことが好ましい。
【0047】
粘接着剤層
さらに、本発明の半導体加工用粘着シートは、ダイシング時のウエハ固定機能とダイボンド時のダイ接着機能とを同時に兼ね備えたダイシング・ダイボンド兼用シートであってもよい。
【0048】
半導体加工用粘着シートが、ダイシング・ダイボンド兼用シートある場合、接着性樹脂層は、ダイシング工程において半導体ウエハやチップを保持し、ダイシング時には、ウエハとともに切断され、切断されたチップと同形状の接着性樹脂層が形成される。そして、ダイシング終了後、チップのピックアップを行うと、接着性樹脂層は、チップとともに支持シートから剥離する。接着性樹脂層はダイボンド時にはチップを固着するための接着剤として機能する。接着性樹脂層を伴ったチップを基板に載置し、加熱等を行い、チップと、基板や他のチップ等の被着体とを接着性樹脂層を介して接着する。
【0049】
本発明の半導体加工用粘着シートが、このようなダイシング・ダイボンド兼用シートである場合は、支持シート上に、接着性樹脂層として、感圧接着性を有し、かつダイ接着機能とを兼ね備えた、粘接着剤層が形成されてなる。このようなウエハ固定機能とダイ接着機能とを兼ね備えた接着性樹脂層は、たとえば前記したアクリル系粘着剤と、エポキシ接着剤を含み、また必要に応じ、エネルギー線硬化型化合物および硬化助剤等を含む。また、接着性樹脂層のチップへの転写を容易にするため、ダイシング・ダイボンド兼用シートにおける支持シートは剥離処理されていてもよい。なお、粘接着剤層付チップのピックアップ時には、前記と同様にエキスパンドを行うことが好ましい。
【0050】
保護膜形成層
さらに、本発明の半導体加工用粘着シートがチップの裏面に保護膜を形成するための保護膜形成用シートとして用いられる場合には、接着性樹脂層は、チップの裏面に保護膜を形成するための保護膜形成層であってもよい。
この場合、保護膜形成層に半導体ウエハを貼付し、保護膜形成層を硬化させ、保護膜とし、その後、半導体ウエハと保護膜をダイシングし、保護膜付チップを得ることができる。また、保護膜形成層に半導体ウエハを貼付し、半導体ウエハと保護膜形成層とをダイシングし、保護膜形成層付チップを得、その後、保護膜形成層を硬化して保護膜付チップを得てもよい。
このような保護膜形成用シートは、支持シート上に接着性樹脂層として、保護膜となる接着性の樹脂層(保護膜形成層)を有する。このような保護膜となる接着性樹脂層は、前記したアクリル系粘着剤と、エポキシ接着剤および硬化助剤を含み、また必要に応じフィラー等が含まれていてもよい。
【0051】
本発明の半導体加工用粘着シートにおける接着性樹脂層の厚みは、その用途により様々であるが、おおよそ1〜300μm、好ましくは10〜200μm、特に好ましくは20〜100μm程度である。
【0052】
接着性樹脂層は、支持シートの片面に直接塗工して形成してもよく、また剥離シート上に接着性樹脂層を形成した後、これを支持シート上に転写してもよい。
【0053】
接着性樹脂層を形成する方法としては、公知の方法を選択すればよく、特に限定されない。このような方法としては、粘着剤等の接着性樹脂層形成材料をそのまま無溶剤で、または溶剤希釈やエマルション化して、グラビアコーター、メイヤーバーコーター、エアナイフコーター、ロールコーターなどにより塗布して、常温もしくは加熱または電子線硬化させたり、ウェットラミネーションやドライラミネーション、熱溶融ラミネーション、溶融押出ラミネーション、共押出加工などで基材上に形成すればよい。
【0054】
(支持シート)
支持シートとしては特に限定されず、剥離シートや粘着シートを用いることができる。
【0055】
剥離シートとしては、たとえばポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリブチレン テレフタレートフィルム、ポリウレタンフィルム、エチレン酢酸ビニル共重合体フィルム、アイオノマー樹脂フィルム、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体フィルム、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリイミドフィルム、フッ素樹脂フィルム等が用いられる。またこれらの架橋フィルムも用いられる。さらにこれらの積層フィルムであってもよい。
【0056】
剥離シートの接着性樹脂層に接する面の表面張力は、好ましくは40mN/m以下、さらに好ましくは37mN/m以下、特に好ましくは35mN/m以下である。下限値は通常25mN/m程度である。このような表面張力が比較的低い剥離シートは、材質を適宜に選択して得ることが可能であるし、また剥離シートの表面に剥離剤を塗布して剥離処理を施すことで得ることもできる。
【0057】
剥離処理に用いられる剥離剤としては、アルキッド系、シリコーン系、フッ素系、不飽和ポリエステル系、ポリオレフィン系、ワックス系などが用いられるが、特にアルキッド系、シリコーン系、フッ素系の剥離剤が耐熱性を有するので好ましい。
【0058】
上記の剥離剤を用いて剥離シートの基体となるフィルム等の表面を剥離処理するためには、剥離剤をそのまま無溶剤で、または溶剤希釈やエマルション化して、グラビアコーター、メイヤーバーコーター、エアナイフコーター、ロールコーターなどにより塗布して、剥離剤が塗布された剥離シートを常温下または加熱下に供するか、または電子線により硬化させて剥離剤層を形成させればよい。
【0059】
また、ウェットラミネーションやドライラミネーション、熱溶融ラミネーション、溶融押出ラミネーション、共押出加工などによりフィルムの積層を行うことにより剥離シートの表面張力を調整してもよい。すなわち、少なくとも一方の面の表面張力が、上述した剥離シートの接着性樹脂層と接する面のものとして好ましい範囲内にあるフィルムを、当該面が接着性樹脂層と接する面となるように、他のフィルムと積層した積層体を製造し、剥離シートとしてもよい。
【0060】
半導体加工用粘着シート上で半導体ウエハ等の被着体にダイシング等の所要の加工を施す場合には、基材11上に粘着剤層12を形成した粘着シートを支持シート1として用いることが好ましい(図2参照)。
この態様においては、接着性樹脂層は、粘着剤層12上に積層される。粘着シートの基材11としては、剥離シートとして例示した上記のフィルムが挙げられる。粘着剤層は、接着性樹脂層を剥離できる程度の粘着力を有する弱粘着性のものを使用してもよいし、エネルギー線照射により粘着力が低下するエネルギー線硬化性のもの、あるいは加熱発泡性のものを使用してもよい。粘着剤層と接着性樹脂層との粘着力は、粘着剤層と基材との粘着力よりも小さいほうが好ましい。
【0061】
粘着剤層12は、従来より公知の種々の粘着剤(例えば、ゴム系、アクリル系、シリコーン系、ウレタン系、ビニルエーテル系などの汎用粘着剤、表面凹凸のある粘着剤、エネルギー線硬化型粘着剤、熱膨張成分含有粘着剤等)により形成できる。
半導体加工用粘着シートの構成がかかる構成であると、半導体加工用粘着シートが、ダイシング工程において被着体を支持するためのダイシングシートとして機能する場合に支持シートと接着性樹脂層の間の密着性が保たれ、ダイシング工程において接着性樹脂層付チップが支持シートから剥がれることを抑制するという効果が得られる。半導体加工用粘着シートが、ダイシング工程において被着体を支持するためのダイシングシートとして機能する場合、ダイシング工程において接着性樹脂層付ウエハに別途ダイシングシートを貼り合せてダイシングをする必要がなくなり、半導体装置の製造工程を簡略化できる。
【0062】
(半導体加工用粘着シート)
半導体加工用粘着シートは、支持シートの片面に接着性樹脂層およびフィルム状接着剤を有し、フィルム状粘着剤を接着性樹脂層の外周部に形成して得られる。半導体加工用粘着シートの形状は、枚葉のものに限られず、長尺の帯状のものであってもよく、これを巻収してもよい。
【0063】
また、JIS K7631−1;1997に準拠した、半導体加工用粘着シートの全光線透過率の最小値は、好ましくは80%以下、より好ましくは0〜75%、特に好ましくは1〜70%、特に好ましくは10〜65%である。半導体加工用粘着シートにおける全光線透過率が最小となる部分の値を上記範囲とすることで、半導体装置を製造するための各工程で用いる装置による該粘着シートの検知性が向上する。なお、本発明における全光線透過率は、図1図2における支持シート1、接着性樹脂層2およびフィルム状粘着剤10が積層された部分における測定値である。半導体加工用粘着シートの全光線透過率は、支持シート1、接着性樹脂層2またはフィルム状粘着剤10を、染料または顔料等で着色することにより調整できる。特に、フィルム状粘着剤10に染料または顔料を含有することにより着色することが好ましい。
【0064】
半導体加工用粘着シート100の接着性樹脂層2は、図1図2に示すように、支持シート1と同形状とすることができ、フィルム状粘着剤10は、接着性樹脂層2の外周部に形成され、半導体装置の製造工程において金属製治具5に仮固定される。
【0065】
支持シートの厚さは、通常は10〜500μm、好ましくは15〜300μm、特に好ましくは20〜250μmである。支持シートとして基材上に粘着剤層を形成した粘着シートを用いる場合には、支持シート中3〜50μmが粘着剤層の厚さである。
【0066】
接着性樹脂層の表面には、カバーフィルムを仮着しておいてもよい。カバーフィルムは、上述の剥離シートと同じものを用いることができる。
【0067】
カバーフィルムの膜厚は、通常は5〜300μm、好ましくは10〜200μm、特に好ましくは20〜150μm程度である。
【0068】
また、半導体加工用粘着シートの製造方法は特に限定されないが、図1の構成を例に挙げて具体的に説明する。
まず、フィルム状粘着剤を形成するための粘着剤組成物を準備する。粘着剤組成物は、上記各成分を適宜の割合で、適当な溶媒中で混合して得られ、粘着剤組成物を剥離シート上に塗布、乾燥して粘着剤層を形成する。そして、粘着剤層に別の剥離シートを貼り合わせて、2枚の剥離シートに挟持された状態(剥離シート/粘着剤層/剥離シート)とする。
【0069】
剥離シートは、粘着剤層を保護し支持性を付与する役割を担う。粘着剤層の両面に積層される剥離シートが、軽剥離タイプ・重剥離タイプのように剥離力に差を有するように構成すれば、支持シート1上に形成された接着性樹脂層2とフィルム状粘着剤10とを貼り合わせる際の作業性が向上し好ましい。
剥離シートとして、軽剥離タイプの剥離シートと重剥離タイプの剥離シートを用いて粘着剤層を挟持し、軽剥離タイプの剥離シートを剥離して、軽剥離タイプの剥離シートが貼付されていた側から抜き型を用いて、粘着剤層を円形に切り込み、円形に切り込んだ粘着剤層を取り除いて開口部を形成し、重剥離タイプの剥離シート上にフィルム状粘着剤を得る。
【0070】
次に、支持シート1上に接着性樹脂層2を形成する。支持シート1上に接着性樹脂層2を形成する方法は特に限定されず、支持シート1上に、接着性樹脂層2を構成する組成物を塗布乾燥することで形成してもよく、また、接着性樹脂層2を剥離シート上に設け、これを支持シートに転写することで形成してもよい。
【0071】
そして、上記で得られたフィルム状粘着剤と接着性樹脂層2とを積層し、積層体とする。
【0072】
その後、リングフレーム等の金属製治具5に対する糊しろの外径に合わせて、開口部と同心円状に積層体全体を型抜きし、型抜きされた積層体の周囲を除去する。最後に重剥離タイプの剥離シートを剥離し、フィルム状粘着剤を露出させることで、本発明の半導体加工用粘着シートを得ることができる。なお、フィルム状粘着剤を金属製治具5に貼付すれば、図1に示す、金属製治具5に仮固定された状態とすることができる。
上記の製造方法により得られるフィルム状粘着剤10は環状の粘着剤層であり、環状の粘着剤層の内径(開口部の直径)は、金属製治具5の内径と略同一である。環状の粘着剤層の幅は、好ましくは1〜50mmである。
このような製造工程により得られる本発明の半導体加工用粘着シートは、所定の物性を有するフィルム状粘着剤を有することにより、フィルム状粘着剤と接着性樹脂層とを積層する工程において、剥離シートと半導体加工用粘着シートとの間に空気(気泡)が噛み込むことを抑制できる。そのため、気泡に起因した接着性樹脂層の変形を防止でき、その結果、平滑な接着性樹脂層を得ることができる。このような本発明の半導体加工用粘着シートによれば、半導体ウエハ等の被加工物に密着して貼付できるため、該粘着シートを用いて製造される半導体装置の信頼性に優れる。
【0073】
以上、フィルム状粘着剤の組成や構成、接着性樹脂層の代表的な組成や用途及び半導体加工用粘着シートの構成について概説したが、本発明の半導体加工用粘着シートにおける接着性樹脂層は上記のものに限定されることはなく、またその用途も特に限定されない。
【実施例】
【0074】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。本発明において採用した測定、評価方法は次の通りである。
【0075】
<粘着力測定>
JIS Z 0237;2009に準拠して、万能引張試験機(島津製作所社製オートグラフ)を用い、被着体としてシリコンウエハ(鏡面)に貼付して30分経過後における、測定温度23℃、相対湿度50%での180°引き剥がし法によるフィルム状粘着剤の粘着力を測定した。なお、引張速度は300mm/分、フィルム状粘着剤のサイズは250mm×25mmとした。また、実施例1〜8、比較例2〜5については、フィルム状粘着剤にリンテック社製PET25(A)PLシン11BLを裏打ちして測定した。
【0076】
<金属製リングフレームの糊残り>
フィルム状粘着剤を、図1の態様で接着性樹脂層と積層し、リンテック社製RAD2700(フルオートモード)を用い、接着性樹脂層に8インチシリコンウエハ(厚み100μm)を貼付して、フィルム状粘着剤により、半導体加工用粘着シートと金属製リングフレームとを仮固定した状態を作成した。
その後、金属製リングフレームとフィルム状粘着剤とを剥離し、目視にて金属製リングフレームの表面における糊残りの有無を確認した。
なお、支持シート上に接着性樹脂層が形成された接着シートとして、リンテック社製LE5000を用いた。
【0077】
<フィルム状粘着剤の剥がれ>
フィルム状粘着剤を、図1の態様で接着性樹脂層と積層し、リンテック社製RAD2700(フルオートモード)を用い、接着性樹脂層に8インチシリコンウエハ(厚み100μm)を貼付して、フィルム状粘着剤により、半導体加工用粘着シートと金属製リングフレームとを仮固定した状態を作成した。なお、支持シート上に接着性樹脂層が形成された接着シートとして、リンテック社製LE5000を用いた。
その後、搬送を行い、目視にて、フィルム状粘着剤と金属製リングフレームとの界面において剥がれの有無を確認した。また、フィルム状粘着剤と接着性樹脂層との界面において剥がれの有無を確認した。両界面においてフィルム状粘着剤の剥がれが無ければ、半導体装置の製造工程において金属製リングフレームに仮固定できていることを示す。
【0078】
<クリープ試験>
JIS Z1528:2009に準拠して、幅25mm×100mmに切り出したフィルム状粘着剤を貼付面積が25mm×25mmとなるように被着体(SUS304)に貼付して試験サンプルとし、その後、保持力試験機を用い、40℃環境下、1kgの錘で荷重(9.8N)をかけてフィルム状粘着剤の保持力を測定した。また、実施例1〜8、比較例2〜5については、フィルム状粘着剤にリンテック社製PET25(A)PLシン11BLを裏打ちして測定した。なお、試験時間は70000秒とし、表1中の「70000秒以上」は70000秒でも貼付面のずれがなかったことを示す。
【0079】
<ヤング率>
幅15mm、長さ100mmに切り出したフィルム状粘着剤を、23℃環境下で万能引張試験機(島津製作所社製オートグラフ AG−IS)を用いて速度200mm/分で引っ張り、得られた応力−ひずみ曲線によりヤング率(MPa)を求めた。
【0080】
<破断エネルギー>
幅15mm、長さ100mmに切り出したフィルム状粘着剤を、23℃環境下で万能引張試験機(島津製作所社製オートグラフ AG−IS)を用いて速度200mm/分で引っ張り、得られた応力−ひずみ曲線の下側の面積により破断エネルギー(J)を求めた。
【0081】
<全光線透過率>
半導体加工用粘着シートの支持シート側から、日本電測製NDH−5000を用いて可視光領域の全光線透過率測定(JIS K7361−1:1997に準拠)を行い、最小となる部分の測定値を求めた。
【0082】
<プリカット適性>
(1)加工性
フィルム状粘着剤の加工性は、半導体加工用粘着シートの製造工程において、フィルム状粘着剤が破断もしくは延伸しないか観察することにより行った。
具体的には、次のような製造工程を行った。
まず、フィルム状粘着剤を形成するための粘着剤組成物を、剥離シート(リンテック社製SP−PET382120)上に塗布し、乾燥(100℃、1分)して粘着剤層を形成し、該粘着剤層に別の剥離シート(リンテック社製SP−PET381031)を貼り合せ、2枚の剥離シートに挟持された粘着剤層を得た。
その後、一方の剥離シートを剥離し、次いで、露出した粘着剤層を円形(直径330mm)に切り込み、円形の粘着剤層を取り除いて開口部を形成し、剥離シート上にフィルム状粘着剤を得た。
円形の粘着剤層を取り除く際において、100枚のフィルム状粘着剤を加工した時に、フィルム状粘着剤が破断もしくは延伸しなかった場合をプリカット精度(加工性)に優れるとして「A」と評価した。また、破断もしくは延伸したフィルム状粘着剤の数が1〜30の場合を「B」、破断もしくは延伸したフィルム状粘着剤の数が30〜100の場合を「C」と評価した。
【0083】
(2)視認性
加工性の評価で得られたフィルム状粘着剤を、支持シート上に接着性樹脂層が形成された接着シート(リンテック社製LE5000)の接着性樹脂層に積層し、リングフレームに対する糊しろに合わせて、開口部と同心円状に円形(直径370mm)に型抜きし、剥離シートと半導体加工用粘着シートの積層体を得た。
得られた積層体についてフィルム状粘着剤を有する部分と、取り除かれた部分(開口部)を認識できるか視認性を評価した。視認性の評価は、100枚の積層体を加工した時に、加工装置により問題なく加工できた場合を「A」、1〜2枚認識できなかった場合を「B」、3枚以上認識できなかった場合を「C」と評価した。
【0084】
(3)エア噛み
エア噛み試験では、型抜き後の積層体を観察し、剥離シートと半導体加工用粘着シートとの間の気泡の有無を評価した。気泡の数を数え、気泡が目視できなかった場合を「A」、1〜50個の気泡が目視できた場合を「B」、51個以上の気泡が目視できた場合を「C」と評価した。
【0085】
(実施例1)
フィルム状粘着剤用粘着剤組成物の調整
水添スチレン・ブタジエン系熱可塑性エラストマー(旭化成社製 タフテックH1052、スチレン比20質量%)99質量部に対して顔料(東洋インキ社製 マルチラックA903B(カーボンブラック))1質量部からなる粘着剤組成物を調整した。
【0086】
フィルム状粘着剤の作製
上記粘着剤組成物をシリコーン処理された剥離シートA(リンテック社製 SP−PET3811(S))上に塗布、乾燥(オーブンにて100℃1分間)した。このようにして、厚み50μmの粘着剤層を作製した。
次いで、上記の粘着剤層に別の剥離シートB(リンテック社製 SP−PET3811(S))を貼り合せて、2枚の剥離シートに挟持された積層シート(剥離シートA/粘着剤層/剥離シートB)を得た。
得られた積層シートから、剥離シートBを除去し、次いで、粘着剤層に対して直径330mmの円形に抜き加工を行った。抜き加工は粘着剤層を完全に切り込み、剥離シートAは完全に切り込まないように行った。
その後、円形に切り込んだ粘着剤層を取り除き、開口部を形成し、剥離シートA上にフィルム状粘着剤を作製した。この際に、プリカット適性(加工性)の評価を行った。また、フィルム状粘着剤について、粘着力測定、ヤング率および破断エネルギーの測定を行った。
【0087】
半導体加工用粘着シートの作製
支持シート上に接着性樹脂層が形成された接着シートとして、ダイシング・ダイボンディングシート(リンテック社製 Adwill LE5000)を準備した。
室温にて、上記のフィルム状粘着剤と接着性樹脂層とを貼付した。
次いで、フィルム状粘着剤の開口部と同心円状に、直径370mmの円形に抜き加工を行い、剥離シートAが貼付された半導体加工用粘着シートを作製し、プリカット適性(視認性およびエア噛み)の評価を行った。
その後、剥離シートAを剥離し、半導体加工用粘着シートを作製し、金属製リングフレームの糊残り、フィルム状粘着剤の剥がれ、クリープ試験および全光線透過率を評価した。各評価結果を表1に示す。
【0088】
(実施例2)
フィルム状粘着剤用粘着剤組成物の調整において、水添スチレン・ブタジエン系熱可塑性エラストマーの代わりに、スチレン・ブタジエン系熱可塑性エラストマー(旭化成社製 アサプレンT412、スチレン比20質量%)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、半導体加工用粘着シートを作製した。各評価結果を表1に示す。
【0089】
(実施例3)
フィルム状粘着剤用粘着剤組成物の調整において、水添スチレン・ブタジエン系熱可塑性エラストマーの代わりに、水添スチレン・ブタジエン系熱可塑性エラストマー(旭化成社製 タフテックH1221、スチレン比12質量%)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、半導体加工用粘着シートを作製した。各評価結果を表1に示す。
【0090】
(実施例4)
フィルム状粘着剤用粘着剤組成物の調整において、水添スチレン・ブタジエン系熱可塑性エラストマーの代わりに、水添スチレン・ブタジエン系熱可塑性エラストマー[(旭化成社製 タフテックH1041、スチレン比30質量%)と(旭化成社製 タフテックH1052、スチレン比20質量%)との混合物(混合比1:1)]を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、半導体加工用粘着シートを作製した。各評価結果を表1に示す。
【0091】
(実施例5)
フィルム状粘着剤用粘着剤組成物の調整において、水添スチレン・ブタジエン系熱可塑性エラストマー(旭化成社製 タフテックH1052、スチレン比20質量%)80質量部に対して顔料(東洋インキ社製 マルチラックA903B(カーボンブラック))20質量部からなる粘着剤組成物を調整したこと以外は、実施例1と同様にして、半導体加工用粘着シートを作製した。各評価結果を表1に示す。
【0092】
(実施例6)
フィルム状粘着剤の作製において、厚みを30μmとしたこと以外は、実施例1と同様にして、半導体加工用粘着シートを作製した。各評価結果を表1に示す。
【0093】
(実施例7)
フィルム状粘着剤用粘着剤組成物の調整において、水添スチレン・ブタジエン系熱可塑性エラストマー(旭化成社製 タフテックH1052、スチレン比20質量%)100質量部からなる粘着剤組成物を調整したこと以外は、実施例1と同様にして、半導体加工用粘着シートを作製した。各評価結果を表1に示す。
【0094】
(実施例8)
フィルム状粘着剤の作製において、厚みを10μmとしたこと以外は、実施例1と同様にして、半導体加工用粘着シートを作製した。各評価結果を表1に示す。
【0095】
(比較例1)
下記のフィルム状粘着剤用粘着剤組成物を用い、両面粘着シートを作製した。フィルム状粘着剤の代わりに両面粘着シートを用いて半導体加工用粘着シートを作製した。各評価結果を表1に示す。
【0096】
フィルム状粘着用粘着剤組成物αの調整
ブチルアクリレートを主成分としたアクリル共重合体(日本合成化学工業株式会社製、コーポニールN−3327)100質量部に対して、芳香族性ポリイソシアナート(日本ポリウレタン工業株式会社製コロネートL)2質量部、トルエン50質量部を加えて粘着剤組成物αを調製した。
【0097】
フィルム状粘着用粘着剤組成物βの調整
ブチルアクリレートを主成分としたアクリル共重合体(綜研化学株式会社製、SKダイン1811L)100質量部に対して、芳香族性ポリイソシアナート(綜研化学株式会社製、TD−75)5質量部、トルエン30質量部を加えて粘着剤組成物βを調製した。
【0098】
両面粘着シートの作製
上記粘着剤組成物αをシリコーン処理された剥離シートA(リンテック株式会社製、SP−PET3811(S))上に塗布、乾燥(オーブンにて100℃1分間)した。このようにして厚み10μmの粘着剤層αを作製した。また、上記粘着剤組成物βをシリコーン処理された剥離シートB(リンテック株式会社製、SP−PET3811(S))上に塗布、乾燥(オーブンにて100℃1分 間)し、厚み10μmの粘着剤層βを作製した。
【0099】
次いで、芯材フィルムとしてエチレン−メタクリル酸共重合体フィルム(厚み80μm、理研ビニル工業株式会社製、EN09―80T―M8)の片面にリングフレーム固定用粘着剤層として粘着剤層αを積層した。次いでもう一方の面に積層用粘着剤層として粘着剤層βを積層し、2枚の剥離シートに挟持された両面粘着シート(剥離シートA/粘着剤層α/芯材フィルム/粘着剤層β/剥離シートB)を得た。得られた両面粘着シートに対し、直径330mmの円形に抜き加工を行った。抜き加工は、剥離シートBから粘着剤層αまでを完全に切り込み、剥離シートAは完全に切り込まないように行った。
その後、円形に切り込んだ剥離シートBから粘着剤層αまでを取り除き、開口部を形成し、2枚の剥離シートに挟持された両面粘着シートを作製した。
【0100】
半導体加工用粘着シートの作製
支持シート上に接着性樹脂層が形成された接着シートとして、ダイシング・ダイボンディングシート(リンテック社製 Adwill LE5000)を準備した。
2枚の剥離シートに挟持された両面粘着シートについて、剥離シートBを剥離し、粘着剤層βを露出させ、室温にて、粘着剤層βと接着性樹脂層とを貼付した。
次いで、両面粘着シートの開口部と同心円状に、直径370mmの円形に抜き加工を行い、剥離シートAが貼付された半導体加工用粘着シートを作製した。
その後、剥離シートAを剥離して、半導体加工用粘着シートを作製した。
【0101】
(比較例2)
下記のフィルム状粘着剤用粘着剤組成物を用い、フィルム状粘着剤を作製し、半導体加工用粘着シートを作製した。各評価結果を表1に示す。
【0102】
フィルム状粘着剤用粘着剤組成物の調整
溶媒のトルエン400g中に、n−ブチルアクリレート128g、2−エチルヘキシルアクリレート307g、メチルメタアクリレート67g、メタクリル酸 1.5g、重合開始剤としてベンゾイルペルオキシドの混合液を、適宜、滴下量を調整し、反応温度および反応時間を調整し、官能基をもつ化合物(1)の溶液を得た。
次にこのポリマー溶液に、放射線硬化性炭素−炭素二重結合および官能基を有する化合物(2)として、別にメタクリル酸とエチレングリコールから合成した 2−ヒドロキシエチルメタクリレート2.5g、重合禁止剤としてハイドロキノンを適宜滴下して加え反応させて放射線硬化性炭素−炭素二重結合を有する化合物(A)の溶液を得た。続いて、化合物(A)溶液中の化合物(A)100質量部に対してポリイソシアネート(B)として日本ポリウレタン社製:コロネート Lを1質量部を加え、光重合開始剤として日本チバガイギー社製:イルガキュアー184を0.5質量部、溶媒として酢酸エチル150質量部を化合物(A)溶液に加えて混合して、放射線硬化性の粘着剤組成物を調製した。
【0103】
フィルム状粘着剤の作製
剥離シートとして厚さ38μmのPET系セパレータフィルムを準備した。剥離シートの中央に、直径330mmの開口部を形成するように上記粘着剤組成物をグラビアコーターで塗工し、熱風乾燥炉で乾燥し、乾燥後の厚さ10μmのフィルム状粘着剤を作製した。
【0104】
半導体加工用粘着シートの作製
次に、アクリル酸メチルとメタクリル酸グリシジルとの共重合体(固形分含有率35質量%) :100質量部(固形分質量)、ビスフェノール系グリシジル型エポキシ樹脂(数平均分子量=500):600質量部、光重合性エポキシアクリレート系オリゴマー(二重結合を2個有する化合物):100質量部、および光重合開始剤(2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン):5質量部を混合して得た粘接着剤(1)を、厚さ100μmの表面改質を行っていないポリオレフィン系基材フィルムに塗布し、加熱乾燥して、厚さ25μmの粘接着剤層を形成してテープ(a)を得た。
この粘接着剤層テープ(a)の粘接着剤層とフィルム状粘着剤を貼り合わせて、フィルム状粘着剤の開口部と同心円状に、直径370mmの円形に抜き加工を行い、剥離シートが貼付された半導体加工用粘着シートを作製した。
その後、剥離シートを剥離し、半導体加工用粘着シートを作製した。
【0105】
(比較例3)
フィルム状粘着剤用粘着剤組成物の調整において、水添スチレン・ブタジエン系熱可塑性エラストマーの代わりに、比較例1で調整したフィルム状粘着用粘着剤組成物αを用い、厚み100μmのフィルム状粘着剤を作製したこと以外は、実施例1と同様にして半導体加工用粘着シートを作製した。各評価結果を表1に示す。
【0106】
(比較例4)
フィルム状粘着剤用粘着剤組成物の調整において、水添スチレン・ブタジエン系熱可塑性エラストマーの代わりに、水添スチレン・ブタジエン系熱可塑性エラストマー(旭化成社製 タフテックH1041、スチレン比30質量%)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、半導体加工用粘着シートを作製した。各評価結果を表1に示す。
【0107】
(比較例5)
フィルム状粘着剤用粘着剤組成物の調整において、水添スチレン・ブタジエン系熱可塑性エラストマーの代わりに、水添スチレン・ブタジエン系熱可塑性エラストマー(旭化成社製 タフテックH1051、スチレン比48質量%)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、半導体加工用粘着シートを作製した。各評価結果を表1に示す。
【0108】
【表1】
【符号の説明】
【0109】
1 :支持シート
2 :接着性樹脂層
5 :金属製治具
10:フィルム状粘着剤
11:基材
12:粘着剤層
100:半導体加工用粘着シート


図1
図2