特許第6207218号(P6207218)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6207218情報処理装置及びコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6207218
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】情報処理装置及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01T 1/161 20060101AFI20170925BHJP
【FI】
   G01T1/161 B
   G01T1/161 C
【請求項の数】9
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-94074(P2013-94074)
(22)【出願日】2013年4月26日
(65)【公開番号】特開2014-215221(P2014-215221A)
(43)【公開日】2014年11月17日
【審査請求日】2016年3月2日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 集会名:第76回 日本核医学会 中部地方会 開催日:平成25年2月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000149837
【氏名又は名称】富士フイルムRIファーマ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000279
【氏名又は名称】特許業務法人ウィルフォート国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 憲一
(72)【発明者】
【氏名】奥田 光一
(72)【発明者】
【氏名】細谷 徹夫
(72)【発明者】
【氏名】桐原 ゆみ子
(72)【発明者】
【氏名】石川 丈洋
【審査官】 伊藤 昭治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−054514(JP,A)
【文献】 横山剛,123I-MIBG心縦隔比(H/M)の装置間の標準化:ファントムによる校正と臨床例での検証,核医学,2012年 8月,第49巻第3号,262頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01T 1/161
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の撮像環境でファントムを所定の撮像条件で撮像したファントム画像のデータであるファントムデータと、心臓ROI及び縦隔ROIを有するデジタルファントムのデータであるデジタルファントムデータとを記憶した記憶部を有する情報処理装置に実行させるためのコンピュータプログラムであって、
前記ファントムデータ及び前記デジタルファントムデータに基づいて、前記ファントム画像に前記デジタルファントムの位置合わせを行って、前記心臓ROI及び前記縦隔ROIを設定するステップと、
前記心臓ROI及び前記縦隔ROIが設定されている前記ファントム画像のファントムデータに基づいて、前記第1の撮像環境における前記ファントムのHeart/Mediastinum比(H/M比)である第1のファントムH/M比を算出するステップと、
前記第1のファントムH/M比を、撮像環境に依存しない前記撮像条件から定まるH/M比に変換するための変換関数を導出するステップと、を前記情報処理装置に実行させるためのコンピュータプログラム。
【請求項2】
変換関数を用いて、第1の撮像環境の所定の撮像条件におけるH/M比を、撮像環境に依存しない前記撮像条件から定まるH/M比へ変換するための処理を情報処理装置に実行させるコンピュータプログラムであって、
前記情報処理装置は、
前記第1の撮像環境で被験者を撮像した被験者画像のデータである被験者データを記憶した記憶部を有し、
前記変換関数は、
前記第1の撮像環境でファントムを前記所定の撮像条件で撮像したファントム画像のデータであるファントムデータと、心臓ROI及び縦隔ROIを有するデジタルファントムのデータであるデジタルファントムデータとに基づいて、前記ファントム画像に前記デジタルファントムの位置合わせを行って、前記心臓ROI及び前記縦隔ROIを設定し、
前記心臓ROI及び前記縦隔ROIが設定されている前記ファントム画像のファントムデータに基づいて、前記第1の撮像環境における前記ファントムのHeart/Mediastinum比(H/M比)である第1のファントムH/M比を算出し、
前記第1のファントムH/M比及び前記撮像条件から定まるH/M比から導出された、変換関数であり、
前記コンピュータプログラムは、
前記被験者データに基づいて、前記被験者画像に心臓ROI及び縦隔ROIを設定するステップと、
前記心臓ROI及び前記縦隔ROIが設定されている前記被験者画像の被験者データに基づいて、前記第1の撮像環境における前記被験者のH/M比である第1の被験者H/M比を算出するステップと、
前記第1の被験者H/M比を、前記変換関数を用いて変換するステップと、を前記情報処理装置に実行させるコンピュータプログラム。
【請求項3】
前記被験者画像は、MIBG(123I−3−iodobenzylguanidine)が投与された前記被験者を撮像したプラナ画像である、請求項2に記載のコンピュータプログラム。
【請求項4】
第1の撮像環境でファントムを所定の撮像条件で撮像したファントム画像のデータであるファントムデータと、心臓ROI及び縦隔ROIを有するデジタルファントムのデータであるデジタルファントムデータとを記憶した記憶手段と、
前記ファントムデータ及び前記デジタルファントムデータに基づいて、前記ファントム画像に前記デジタルファントムの位置合わせを行って、前記心臓ROI及び前記縦隔ROIを設定する位置合わせ手段と、
前記心臓ROI及び前記縦隔ROIが設定されている前記ファントム画像のファントムデータに基づいて、前記第1の撮像環境における前記ファントムのHeart/Mediastinum比(H/M比)である第1のファントムH/M比を算出するH/M比算出手段と、
前記第1のファントムH/M比を、前記撮像条件から定まるH/M比に変換するための変換関数を算出する変換関数算出手段と、を備える情報処理装置。
【請求項5】
第1の撮像環境で被験者を撮像した被験者画像のデータである被験者データを記憶した記憶手段と、
前記被験者データに基づいて、前記被験者画像に心臓ROI及び縦隔ROIを設定するROI設定手段と、
前記心臓ROI及び前記縦隔ROIが設定されている前記被験者画像の被験者データに基づいて、前記第1の撮像環境における前記被験者のH/M比である第1の被験者H/M比を算出するH/M比算出手段と、
前記第1の被験者H/M比を変換関数を用いて変換する変換手段と、を備え、
前記変換関数は、
前記第1の撮像環境でファントムを所定の撮像条件で撮像したファントム画像のデータであるファントムデータと、心臓ROI及び縦隔ROIを有するデジタルファントムのデータであるデジタルファントムデータとに基づいて、前記ファントム画像に前記デジタルファントムの位置合わせを行って、前記心臓ROI及び前記縦隔ROIを設定し、
前記心臓ROI及び前記縦隔ROIが設定されている前記ファントム画像のファントムデータに基づいて、前記第1の撮像環境における前記ファントムのH/M比である第1のファントムH/M比を算出し、
前記第1のファントムH/M比、及び撮像環境に依存しない前記撮像条件から定まるH/M比に基づいて導出された関数である、情報処理装置。
【請求項6】
第1の撮像環境でファントムを所定の撮像条件で撮像したファントム画像のデータであるファントムデータを記憶した記憶部を有する情報処理装置に実行させるためのコンピュータプログラムであって、
前記ファントム画像に心臓ROI及び縦隔ROIを設定するステップと、
前記心臓ROI及び前記縦隔ROIが設定されている前記ファントム画像のファントムデータに基づいて、前記第1の撮像環境における前記ファントムのHeart/Mediastinum比(H/M比)である第1のファントムH/M比を算出するステップと、
前記第1のファントムH/M比を、撮像環境に依存しない前記撮像条件から定まるH/M比に変換するための変換関数を導出するステップと、を前記情報処理装置に実行させるためのコンピュータプログラム。
【請求項7】
変換関数を用いて、第1の撮像環境の所定の撮像条件におけるH/M比を、撮像環境に依存しない前記撮像条件から定まるH/M比へ変換するための処理を情報処理装置に実行させるコンピュータプログラムであって、
前記情報処理装置は、
前記第1の撮像環境で被験者を撮像した被験者画像のデータである被験者データを記憶した記憶部を有し、
前記変換関数は、
前記第1の撮像環境でファントムを前記所定の撮像条件で撮像したファントム画像に心臓ROI及び縦隔ROIを設定し、
前記心臓ROI及び前記縦隔ROIが設定されている前記ファントム画像のファントムデータに基づいて、前記第1の撮像環境における前記ファントムのHeart/Mediastinum比(H/M比)である第1のファントムH/M比を算出し、
前記第1のファントムH/M比及び前記撮像条件から定まるH/M比から導出された、変換関数であり、
前記コンピュータプログラムは、
前記被験者データに基づいて、前記被験者画像に心臓ROI及び縦隔ROIを設定するステップと、
前記心臓ROI及び前記縦隔ROIが設定されている前記被験者画像の被験者データに基づいて、前記第1の撮像環境における前記被験者のH/M比である第1の被験者H/M比を算出するステップと、
前記第1の被験者H/M比を、前記変換関数を用いて変換するステップと、を前記情報処理装置に実行させるコンピュータプログラム。
【請求項8】
第1の撮像環境でファントムを所定の撮像条件で撮像したファントム画像のデータであるファントムデータを記憶した記憶手段と、
前記ファントム画像に心臓ROI及び縦隔ROIを設定する手段と、
前記心臓ROI及び前記縦隔ROIが設定されている前記ファントム画像のファントムデータに基づいて、前記第1の撮像環境における前記ファントムのHeart/Mediastinum比(H/M比)である第1のファントムH/M比を算出するH/M比算出手段と、
前記第1のファントムH/M比を、前記撮像条件から定まるH/M比に変換するための変換関数を算出する変換関数算出手段と、を備える情報処理装置。
【請求項9】
第1の撮像環境で被験者を撮像した被験者画像のデータである被験者データを記憶した記憶手段と、
前記被験者データに基づいて、前記被験者画像に心臓ROI及び縦隔ROIを設定するROI設定手段と、
前記心臓ROI及び前記縦隔ROIが設定されている前記被験者画像の被験者データに基づいて、前記第1の撮像環境における前記被験者のH/M比である第1の被験者H/M比を算出するH/M比算出手段と、
前記第1の被験者H/M比を変換関数を用いて変換する変換手段と、を備え、
前記変換関数は、
前記第1の撮像環境でファントムを所定の撮像条件で撮像したファントム画像に心臓ROI及び縦隔ROIを設定し、
前記心臓ROI及び前記縦隔ROIが設定されている前記ファントム画像のファントムデータに基づいて、前記第1の撮像環境における前記ファントムのH/M比である第1のファントムH/M比を算出し、
前記第1のファントムH/M比、及び撮像環境に依存しない前記撮像条件から定まるH/M比に基づいて導出された関数である、情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被験者の診断を支援するための指標を標準化する技術に関し、例えば、異なる環境下で取得したデータから算出した指標を互いに比較可能にする情報処理技術に関する。
【背景技術】
【0002】
心臓の機能を診断するための診断薬(心機能診断薬)を被験者に投与し、その被験者を撮像した画像を解析して診断支援のための指標を算出することが行われている。心機能診断薬には、例えば、心筋などに集積する性質を有する放射性医薬品(以下、RI(Radio Isotope)薬剤と称する場合がある)として、MIBG(3−iodobenzylguanidine)、MIBI(technetium hexakis−2−methoxyisobutylisonitrile)、または塩化タリウム(thallium chloride)等がある。例えば、MIBGを被験者に投与した後、その被験者から放出された放射能を検出して得られるRIプラナ画像からは、心臓領域の平均カウント値と縦隔領域の平均カウント値を比較した心/縦隔比(Heart/Mediastinum比、H/M比)という指標が求まる。このH/M比は、心臓疾患を有する被験者の診断、重症度および予後評価に用いられている(非特許文献1〜3)。さらに、神経疾患でも、レビー小体病の鑑別を行う際に利用される(非特許文献4)。
【0003】
MIBIにおいては心筋からの洗い出しの定量により、虚血性心疾患、心不全、心サルコイドーシス等の心疾患における心筋傷害の評価に用いられる。その際にはRI薬剤投与後の第1の時間帯に撮影した早期像のカウント値と、第1の時間帯より後の第2の時間帯に撮像した後期像のカウント値から求まる、心筋から洗い出されたRI薬剤の割合を示す心筋洗い出し率(Washout rate、WR)が指標として用いられる。また、その他の放射性医薬品、例えば塩化タリウムにおいても、心筋への取り込みを測定するためにH/M比を診断に利用することがある。
【0004】
また、H/M比を算出する際に術者間で個人差を生じないようにするための技術が、特許文献1に記載されている。
【0005】
さらに、異なる撮像環境で撮像されたRIプラナ画像から算出されたH/M比を比較する際に、その撮像環境の違いに起因するH/M比の違いを除去し、異なる撮像環境で撮像されたRIプラナ画像から算出されたH/M比を互いに比較可能にするための技術が知られている(非特許文献5)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2012−78088号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】日本循環器学会、循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2003−2004年度合同研究班報告)「心臓核医学検査ガイドライン」、Circulation Journal Vol.69、Suppl.IV、1125−1202、2006
【非特許文献2】心不全と交感神経機能 病態生理から予後評価までの画像診断 「MIBG検査と定量法」、中嶋 憲一著、34−42、2002、メジカルビュー社
【非特許文献3】臨床で交感神経活動をどう評価するか−MIBGによる心疾患の交感神経イメージング−、福山 尚哉著、Heart View、14(8) 14−20、2010
【非特許文献4】特集 MIBG心筋シンチグラフィーと神経疾患「神経疾患におけるMIBG シンチグラフィーの位置づけ」、滝 淳一著、神経内科、64(6):585−592、2006
【非特許文献5】Standardization of metaiodobenzylguanidine heart to mediastinum ratio using a calibration phantom:effects of correction on normal database and a multicentre study, Kenichi Nakajima他、Eur J Nucl Med Mol Imaging(2012) 39:113−119
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
非特許文献5の技術により、異なる撮像環境で撮像されたRIプラナ画像から算出されたH/M比を互いに比較することが可能になっている。すなわち、非特許文献5の技術では、ある撮像環境から求まるH/M比を他の撮像環境から求まるべきH/M比へ変換するための関数(回帰式)を算出し、これを用いることにより、両者を比較可能としている。
【0009】
本発明の別の目的は、異なる撮像環境で撮像した画像から算出したH/M比を互いに比較する際の精度を向上することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一つの実施態様に従うコンピュータプログラムは、第1の撮像環境でファントムを撮像した第1のファントム画像及び第2の撮像環境で前記ファントムを撮像した第2のファントム画像のデータであるファントムデータと、心臓ROI及び縦隔ROIを有するデジタルファントムのデータであるデジタルファントムデータとを記憶した記憶部を有する情報処理装置に実行させるためのコンピュータプログラムであって、前記ファントムデータ及び前記デジタルファントムデータに基づいて、前記第1のファントム画像に前記デジタルファントムの位置合わせを行って、前記心臓ROI及び前記縦隔ROIを設定するステップと、前記ファントムデータ及び前記デジタルファントムデータに基づいて、前記第2のファントム画像に前記デジタルファントムの位置合わせを行って、前記心臓ROI及び前記縦隔ROIを設定するステップと、前記心臓ROI及び前記縦隔ROIが設定されている前記第1のファントム画像のファントムデータに基づいて、前記第1の撮像環境における前記ファントムのHeart/Mediastinum比(H/M比)である第1のファントムH/M比を算出するステップと、前記心臓ROI及び前記縦隔ROIが設定されている前記第2のファントム画像のファントムデータに基づいて、前記第2の撮像環境における前記ファントムのH/M比である第2のファントムH/M比を算出するステップと、前記第1のファントムH/M比を、前記第2のファントムH/M比に変換するための変換関数を導出するステップと、を前記情報処理装置に実行させる。
【0011】
本発明の一つの実施態様に従うコンピュータプログラムは、第1の撮像環境でファントムを所定の撮像条件で撮像したファントム画像のデータであるファントムデータと、心臓ROI及び縦隔ROIを有するデジタルファントムのデータであるデジタルファントムデータとを記憶した記憶部を有する情報処理装置に実行させるためのコンピュータプログラムであって、前記ファントムデータ及び前記デジタルファントムデータに基づいて、前記ファントム画像に前記デジタルファントムの位置合わせを行って、前記心臓ROI及び前記縦隔ROIを設定するステップと、前記心臓ROI及び前記縦隔ROIが設定されている前記ファントム画像のファントムデータに基づいて、前記第1の撮像環境における前記ファントムのHeart/Mediastinum比(H/M比)である第1のファントムH/M比を算出するステップと、前記第1のファントムH/M比を、撮像環境に依存しない前記撮像条件から定まるH/M比に変換するための変換関数を導出するステップと、を前記情報処理装置に実行させる。
【0012】
本発明の一つの実施態様に従うコンピュータプログラムは、第1の撮像環境におけるH/M比を、第2の撮像環境におけるH/M比へ変換する変換関数によってH/M比を変換するための処理を情報処理装置に実行させるコンピュータプログラムであって、前記情報処理装置は、前記第1の撮像環境で被験者を撮像した被験者画像のデータである被験者データを記憶した記憶部を有し、前記変換関数は、第1の撮像環境でファントムを撮像した第1のファントム画像及び第2の撮像環境で前記ファントムを撮像した第2のファントム画像のデータであるファントムデータと、心臓ROI及び縦隔ROIを有するデジタルファントムのデータであるデジタルファントムデータとに基づいて、前記第1のファントム画像に前記デジタルファントムの位置合わせを行って、前記心臓ROI及び前記縦隔ROIを設定し、かつ、前記第2のファントム画像に前記デジタルファントムの位置合わせを行って、前記心臓ROI及び前記縦隔ROIを設定し、前記心臓ROI及び前記縦隔ROIが設定されている前記第1のファントム画像のファントムデータに基づいて、前記第1の撮像環境における前記ファントムのHeart/Mediastinum比(H/M比)である第1のファントムH/M比を算出し、かつ、前記心臓ROI及び前記縦隔ROIが設定されている前記第2のファントム画像のファントムデータに基づいて、前記第2の撮像環境における前記ファントムのH/M比である第2のファントムH/M比を算出し、
【0013】
前記第1のファントムH/M比及び前記第2のファントムH/M比に基づいて導出された、前記変換関数であり、前記コンピュータプログラムは、前記被験者データに基づいて、前記被験者画像に心臓ROI及び縦隔ROIを設定するステップと、前記心臓ROI及び前記縦隔ROIが設定されている前記被験者画像の被験者データに基づいて、前記第1の撮像環境における前記被験者のH/M比である第1の被験者H/M比を算出するステップと、前記第1の被験者H/M比を、前記変換関数を用いて変換するステップと、を前記情報処理装置に実行させる。
【0014】
本発明の一つの実施態様に従うコンピュータプログラムは、第1の撮像環境の所定の撮像条件におけるH/M比を、撮像環境に依存しない前記撮像条件から定まるH/M比へ変換するための処理を情報処理装置に実行させるコンピュータプログラムであって、前記情報処理装置は、前記第1の撮像環境で被験者を撮像した被験者画像のデータである被験者データを記憶した記憶部を有し、前記変換関数は、前記第1の撮像環境でファントムを前記所定の撮像条件で撮像したファントム画像のデータであるファントムデータと、心臓ROI及び縦隔ROIを有するデジタルファントムのデータであるデジタルファントムデータとに基づいて、前記ファントム画像に前記デジタルファントムの位置合わせを行って、前記心臓ROI及び前記縦隔ROIを設定し、前記心臓ROI及び前記縦隔ROIが設定されている前記ファントム画像のファントムデータに基づいて、前記第1の撮像環境における前記ファントムのHeart/Mediastinum比(H/M比)である第1のファントムH/M比を算出し、前記第1のファントムH/M比及び前記撮像条件から定まるH/M比から導出された、前記変換関数であり、前記コンピュータプログラムは、前記被験者データに基づいて、前記被験者画像に心臓ROI及び縦隔ROIを設定するステップと、前記心臓ROI及び前記縦隔ROIが設定されている前記被験者画像の被験者データに基づいて、前記第1の撮像環境における前記被験者のH/M比である第1の被験者H/M比を算出するステップと、前記第1の被験者H/M比を、前記変換関数を用いて変換するステップと、を前記情報処理装置に実行させる。
【0015】
好適な実施態様では、前記被験者画像は、MIBG(123I−3−iodobenzylguanidine)が投与された前記被験者を撮像したプラナ画像であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本実施形態に係る情報処理装置1の全体構成を示す。
図2】ファントム5の一例を示す。
図3】ファントム5の4層の各アクリル板のそれぞれの平面図を示す。
図4】変換関数を示す。
図5】変換関数を算出する手順を示すフローチャートを示す。
図6】H/M比を変換する手順を示すフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態に係る情報処理装置について、図面を参照して説明する。
【0018】
本実施形態に係る情報処理装置は、異なる撮像環境で撮像された画像から算出された診断指標であるH/M比を互いに比較可能にするための処理を行う。
【0019】
本実施形態では、心機能診断薬が投与された被験者を、所定の撮像装置を含むある撮像環境で撮像したプラナ画像、及びファントムに同じ薬剤を保持させて撮像したプラナ画像が用いられる。以下の実施形態では、心機能診断薬としてMIBG(123I−3−iodobenzylguanidine)を用いた場合について説明する。
【0020】
図1は、本実施形態に係る情報処理装置1の全体構成を示す。同図に示すように、情報処理装置1は、情報処理装置本体10に入力装置2、出力装置3及び入出力装置4の一つ以上が接続されている。情報処理装置本体10は、例えば、プロセッサ及びメモリを備えた汎用的なコンピュータシステムにより構成され、以下に説明する情報処理装置本体10内の個々の構成要素または機能は、例えば、コンピュータプログラムを実行することにより実現される。このコンピュータプログラムは、コンピュータが読み取り可能な記録媒体に格納することができる。入力装置2は、例えば、キーボード、ポインティングデバイスなどでよい。出力装置3は、例えば、ディスプレイ装置、プリンタなどでよい。入出力装置4は、例えば、大容量記憶装置あるいはネットワークインタフェース装置などで良い。
【0021】
情報処理装置本体10は、ファントム画像データ記憶部11と、デジタルファントムデータ記憶部13と、H/M比データ記憶部15と、変換関数記憶部17と、被験者画像データ記憶部19と、位置合わせ処理部21と、ROI設定部23と、H/M比算出部25と、変換関数算出部27と、H/M比変換処理部29とを備える。
【0022】
ファントム画像データ記憶部11は、異なる撮像環境で所定の撮像条件に調整されたファントムを撮像したファントム画像のデータであるファントム画像データを記憶する。ファントム画像データは、例えば、入力装置2または入出力装置4を介して取得する。ファントム画像データ記憶部11には、例えば、第1の撮像環境、第2の撮像環境などの撮像環境別、及び撮像条件別にファントム画像データが記憶されている。撮像環境とは、例えば、撮像装置が設置されている施設、撮像装置の機種、撮像時に用いられるコリメータの種類等により特定される。撮像条件とは、ファントムの種類(後述するファントムの構造の違い)及び撮像方向(後述する平板状のファントムの平面視で表または裏)などにより定まる。
【0023】
本実施形態では、所定の撮像条件でファントムを撮像したファントム画像が用いられる。すなわち、ファントム画像は、各撮像環境で複数の共通の撮像条件で撮像されたファントムの画像である。本実施形態では、例えば、各撮像環境で4つの異なる撮像条件で撮像されたファントム画像が用いられる。
【0024】
以下、本実施形態で共通に用いられるファントムの構造について説明する。ファントムは、所定の厚みを有し、人体の胸部の断面を模した平板形状を有する。ファントムは、その内部に液体が収容可能な空間を有する。ファントム内部の空間には、被験者に投与する薬剤と同じ薬剤を含む溶液を収容することができる。ファントム内部の空間は、人体(バックグラウンド)領域と、その人体領域内にさらに設けられた心臓領域、甲状腺領域、肝臓領域、肺領域などの各臓器に対応する領域とがある。それぞれの領域は互いに連通している。以下、具体例を用いてさらに詳細に説明する。なお、ここで必要とされる臓器の領域は、用いる薬剤の種類に応じて異なるようにしても良い。
【0025】
図2は、ファントム5の一例を示す。同図Aは、ファントム5の平面図であり、同図Bは、ファントム5の側面図である。
【0026】
同図に示すファントム5は、4枚の透明のアクリル板51〜54を階層状に重ねた4層構造で構成される。各アクリル板51〜54の構成は後述する。4枚のアクリル板51〜54は、さらに、同じ材質で構成される透明な板材である外層板50,50で挟まれている。外層板50の厚みは例えば10mmである。ファントム5は、同図Aに示すような平面視において、人体領域61と、心臓領域62と、肝臓領域63と、甲状腺領域64と、肺領域65(65a,65b)とを有する。ただし、後述するように、これらの各領域61〜65はすべて連通している。以下、この連通している領域を内部空間と呼ぶ。ファントム5は、さらに注入/排出口60を有する。ファントムの内部空間は、注入/排出口60を介して外部と連通している。つまり、注入/排出口60を介して、ファントム5の内部空間に、液体の注入及び排出を行うことができる。注入/排出口60はネジ式の栓60aによって封止され、内部空間が密閉される。
【0027】
図3は、4層の各アクリル板のそれぞれの平面図である。
【0028】
図Aは第1層のアクリル板51を示す。第1層のアクリル板51は、人体領域61を形成するための開口51aを有する。第1層のアクリル板51の厚みは例えば15mmである。
【0029】
図Bは第2層のアクリル板52を示す。第2層のアクリル板52は、心臓領域62、肝臓領域63、甲状腺領域64、及び肺領域65をそれぞれ形成するための開口52b,52c,52d,52eを有する。第2層のアクリル板52の厚みは例えば5mmである。
【0030】
図Cは第3層のアクリル板53を示す。第3層のアクリル板53は、心臓領域62及び肝臓領域63を形成するための開口53b,53cを有する。第3層のアクリル板53の厚みは例えば5mmである。
【0031】
図Dは第4層のアクリル板54を示す。第4層のアクリル板54は、肝臓領域63を形成するための開口54cを有する。第4層のアクリル板54の厚みは例えば5mmである。
【0032】
アクリル板51〜54を重ねると、平面視において同じ場所に位置する各開口が厚み方向でつながり、内部空間が形成される。その結果、人体領域61、心臓領域62、肝臓領域63、甲状腺領域64、及び肺領域65は、それぞれ厚み方向の幅が異なるので、それに応じて各領域61〜65に存在する溶液の厚み方向の深さが異なる。例えば、心臓領域62は、開口51a,52b,53bで形成され、甲状腺領域64は、開口51a、52dで形成される。その結果、均一な薬剤濃度の溶液で内部空間が充填されると、各領域61〜65はそれぞれの厚みに応じて単位面積あたり異なる放射能量が蓄積されることになる。
【0033】
第1〜第4層のアクリル板51〜54及び外層板50,50の厚みは、上述したものに限られない。従って、これと異なる厚みを有する第1〜第4層のアクリル板51〜54及び外層板50,50でファントムを構成しても良い。本実施形態では、第1〜第4層の厚みの異なる複数のタイプのファントムを用いて撮像したファントム画像を用いる。すなわち、ファントム画像データ記憶部11には、少なくとも、各撮像環境で、2種類のファントムを表及び裏から撮像して得られる、撮像条件が異なる4枚のファントム画像のデータが記憶される。
【0034】
図1に戻ると、デジタルファントムデータ記憶部13は、デジタルファントムデータを記憶する。デジタルファントムデータは、例えば、入力装置2または入出力装置4を介して取得する。デジタルファントムデータは、上述した実物のファントム5の平面視における形状を示すデータである。すなわち、デジタルファントムデータは、図2Aに示すファントム5内の各領域61〜65の相対的な位置及び形状を示す。デジタルファントムデータには、さらに、所定領域にROI(Reagion of Interest)を設定するためのデータを有する。例えば、本実施形態であれば、デジタルファントムデータには、心臓ROI及び縦隔ROIを設定するための領域を示すデータが含まれる。
【0035】
H/M比データ記憶部15は、H/M比算出部25によって算出されたH/M比のデータを記憶する。H/M比データ記憶部15には、入力装置2または入出力装置4から取得したH/M比のデータを記憶しても良い。
【0036】
変換関数記憶部17は、変換関数算出部27によって算出された変換関数を示すデータが記憶される。例えば、変換関数記憶部17には、変換関数と、変換前後の撮像環境の識別情報とが対応づけて記憶される。撮像環境の識別情報としては、例えば、施設名、撮像装置の機種及びコリメータの種類等の組み合わせでも良い。ある撮像環境から、後述する理論上のH/M比への変換関数の場合、変換前の撮像環境と理論値への変換であることを示す情報が対応づけられている。変換関数記憶部17には、入力装置2または入出力装置4から取得した変換関数のデータを記憶しても良い。
【0037】
被験者画像データ記憶部19は、MIBGが投与された被験者を撮像したプラナ画像である被験者画像の画像データを記憶する。被験者画像データは、例えば、入力装置2または入出力装置4を介して取得する。被験者画像の各画素値はRIのカウント値を示す。各被験者画像は、それぞれ撮像環境を示す情報と対応づけられている。
【0038】
位置合わせ処理部21は、ファントム画像データ記憶部11に保存されているファントム画像データ及びデジタルファントムデータ記憶部13に保存されているデジタルファントムデータを取得し、ファントム画像に対してデジタルファントムデータの位置を合わせる位置合わせを行う。この位置合わせ処理は、例えば公知の位置合わせアルゴリズムを用いることができる。ここで、デジタルファントムデータは、ファントム画像の心臓領域及び縦隔領域に対応する心臓ROI及び縦隔ROIを有する。従って、ファントム画像データにデジタルファントムが位置合わせされると、自動的に心臓ROI及び縦隔ROIも設定される。すなわち、位置合わせ処理部21は、デジタルファントムを位置合わせすることによりROIを設定する。
【0039】
これにより、ファントム画像に対するROI設定が標準化される。そのため、ROI設定に関しては術者間のバラツキがなくなり、H/M比の精度が向上する。
【0040】
位置合わせ処理部21は、被験者画像データ記憶部19に保存されている被験者画像に対しても同様に、デジタルファントムの位置合わせを行ってもよい。
【0041】
ROI設定部23は、被験者画像データ記憶部19から被験者画像データを取得し、被験者画像の所定の領域にROIを設定する。例えば、ROI設定部23は、被験者画像の心臓領域及び縦隔領域に、それぞれ心臓ROI及び縦隔ROIを設定する。このROI設定は、例えば、特許文献1に記載の手法を用いても良い。なお、オペレターが手作業でROIを設定する場合には、ROI設定部23による処理を省略することができる。
【0042】
位置合わせ処理部21で被験者画像に対してデジタルファントムの位置合わせを行ったときは、ROI設定部23によるROI設定を省略しても良い。
【0043】
H/M比算出部25は、ファントム画像データまたは被験者画像データに基づいて、H/M比を算出する。H/M比算出部25は、例えば、ファントム画像または被験者画像に設定された心臓ROI及び縦隔ROI内の画素値(カウント値)に基づいて、H/M比を算出する。例えば、H/M比算出部25は、心臓ROIのカウント値の平均値、及び縦隔ROI内のカウント値の平均値を算出し、縦隔ROI内のカウント値の平均値を分母として両者の比を算出する。H/M算出部25は、対象画像がファントム画像及び被験者画像のいずれであっても、対象画像に基づいてH/M比を算出する。H/M比算出部25が算出したH/M比は、出力装置3に表示させるようにしてもよい。
【0044】
変換関数算出部27は、ある撮像環境から求まるH/M比を、別の撮像環境から求まるH/M比または理論上のH/M比へ変換する変換関数を算出する。算出された変換関数のデータは、変換関数記憶部17に保存される。
【0045】
例えば、図4に示すように、変換関数算出部27は、ある撮像環境(第1の撮像環境)で撮像した画像から算出したH/M比を、別の撮像環境(第2の撮像環境)で撮像した画像から算出されるべきH/M比へ変換する変換関数を算出する。変換関数算出部27は、H/M比データ記憶部15から第1の撮像環境で複数の撮像条件で撮像したファントム画像から算出した複数のH/M比、及び第2の撮像環境で上記の撮像条件と共通の撮像条件で撮像したファントム画像から算出された複数のH/M比のデータを読み出す。そして、変換関数算出部27は、共通の撮像条件のH/M比を対応づけて、図4に示すグラフ上にプロットし、回帰分析を行って両者を変換するための関数を導出する。
【0046】
この変換関数によれば、例えば、第1の撮像環境を有する施設と、第2の撮像環境を有する施設など、異なる施設で撮像された画像から算出されたH/M比が比較可能となる。あるいは、同一施設であっても、撮像装置を交換した場合など撮像環境を変更したときに、変更前の撮像環境で撮像された画像から算出したH/M比と、変更後の撮像装置で撮像された画像から算出したH/M比とを比較可能にするための変換関数を、変換関数算出部27を用いて算出できる。
【0047】
また、変換関数算出部27は、ある撮像環境で撮像した画像から算出したH/M比を、撮像環境に依存しない理論値に標準化する関数を算出する。変換関数算出部27は、H/M比データ記憶部15から、ある撮像環境で複数の撮像条件で撮像したファントム画像から算出したH/M比を読み出す。このとき、撮像条件として、ファントムの構成(例えば材質、厚さ等)、及び内部空間に収容されている薬剤の種類、濃度等が予め定められた状態に調整されている。この撮像条件に基づいて、ファントムによる放射線の散乱及び吸収なども考慮した上で、そのファントム画像から求められるH/M比が理論的に定まる。そこで、変換関数算出部27は、撮像されたファントム画像から求めたH/M比と理論上のH/M比とに基づいて、回帰分析を行って両者を変換するための変換関数を導出する。
【0048】
上述のように、デジタルファントムを用いてファントム画像にROIを自動設定することによりH/M比の精度が向上している。本実施形態では、このH/M比を用いて変換関数を算出しているので、変換関数も精度よく算出することができる。
【0049】
H/M比変換処理部29は、変換関数記憶部17から所望の変換関数のデータを取得し、H/Mデータ記憶部15に保存されているH/M比の変換を行う。例えば、H/M比変換処理部29は、第1の撮像環境で撮像した被験者画像から算出したH/M比を、第2の撮像環境で撮像した被験者画像から算出されるべきH/M比へ変換するためには、それに対応する変換関数のデータを変換関数記憶部17から取得し、その変換関数を用いてH/Mデータ記憶部15に保存されているH/M比の変換処理を行う。あるいは、H/M比変換処理部29は、同様にして、ある撮像環境で撮像した被験者画像から算出したH/M比を、理論上のH/M比へ変換する。
【0050】
上述のように、変換関数の精度が高いので、被験者画像から求めたH/M比の変換も高精度で行うことができる。
【0051】
上記のような構成を備える本実施形態の情報処理装置は、以下に説明する手順で変換関数の算出及びH/M比の変換処理を行う。
【0052】
図5は、変換関数を算出する手順を示すフローチャートである。ここでは、第1の撮像環境のH/M比を第2の撮像環境のH/M比へ変換する関数、及び第1の撮像環境のH/M比を理論上のH/M比へ変換する関数を算出する処理について説明する。
【0053】
第1及び第2の撮像環境において、所定の撮像条件で撮像された複数のファントム画像の画像データをファントム画像データ記憶部11に保存する(S11)。この画像データは、各ファントム画像を撮像した撮像環境及び撮像条件を示す識別情報と対応づけて保存される。デジタルファントムデータは、デジタルファントムデータ記憶部13に保存される(S13)。画像データ及びデジタルファントムデータは、例えば、入出力装置4を介して外部から取得しても良い。ファントム画像データとデジタルファントムデータとが準備されると、これ以降の処理が実行可能となる。ステップS11とS13はいずれを先に行っても良いし、既にこれらのデータが準備されているときには、それぞれ対応するステップを省略することができる。また、本実施形態では、複数のファントム画像のデータをファントム画像データ記憶部11に蓄積してからステップS15以降を行っているが、一つのファントム画像の画像データをファントム画像データ記憶部11に蓄積するごとにステップS15以降を行うようにしても良い。
【0054】
位置合わせ処理部21は、一つのファントム画像を処理対象とし、ファントム画像データ記憶部11から処理対象のファントム画像の画像データを読み出す。位置合わせ処理部21はさらに、デジタルファントムデータ記憶部13からデジタルファントムデータを読み出す。そして、位置合わせ処理部21は、処理対象のファントム画像に対してデジタルファントムの位置合わせを行う。これにより、同時にファントム画像の心臓領域及び縦隔領域にROIが設定される(S15)。
【0055】
H/M比算出部25が、ステップS15でファントム画像に設定されたROI内の画像のカウント値に基づいて、H/M比を算出する(S19)。ここで算出されたH/M比のデータはH/M比データ記憶部15に保存される。
【0056】
ここで、処理対象のファントム画像のすべてについてH/M比の算出が終わるまで、ステップS15へ戻り、H/M比の算出処理を繰り返す(S21:No)。
【0057】
処理対象のファントム画像のすべてのH/M比の算出が終わると(S21:Yes)、変換関数算出部27がH/M比データ記憶部15から第1及び第2の撮像環境のファントム画像から算出したH/M比のデータを読み出し、2つの環境間の変換関数を算出する(S23)。また、第1の撮像環境のH/M比を理論上のH/M比へ変換する変換関数を算出する場合は、変換関数算出部27が予め有している、撮像条件毎の理論上のH/M比を用いて変換関数を算出する。変換関数算出部27が算出した変換関数を示すデータが変換関数記憶部17に保存される。
【0058】
ここで算出された変換関数に関する情報は、出力装置3によって出力されても良い。
【0059】
次に、図6は、上記の変換関数を用いて、第1の撮像環境で被験者を撮像した画像から求めたH/M比を変換する手順を示すフローチャートである。
【0060】
第1の撮像環境において、MIBGが投与された被験者を撮像した被験者画像の画像データを被験者画像データ記憶部19に保存する(S31)。画像データは、例えば、入出力装置4を介して外部から取得しても良い。被験者画像データが準備されると、これ以降の処理が実行可能となる。既に被験者画像データが準備されているときには、ステップS31を省略することができる。
【0061】
ROI設定部23は、被験者画像データ記憶部19から処理対象の被験者画像の画像データを読み出す。ROI設定部23は、さらに、対象の被験者画像に対して、心臓領域及び縦隔領域にROIを設定する(S37)。
【0062】
H/M比算出部25が、ステップS37で設定されたROI内の画像のカウント値に基づいて、H/M比を算出する(S39)。ここで算出されたH/M比のデータはH/M比データ記憶部15に保存される。
【0063】
H/M比変換処理部29は、H/M比データ記憶部15からステップS39で算出されたH/M比のデータを読み出し、変換関数記憶部17から所望の変換関数のデータを読み出す。そして、H/M比変換処理部29は、その変換関数を用いて、H/M比を変換する(S41)。例えば、H/M比変換処理部29は、変換関数記憶部17から第1の撮像環境から第2の撮像環境へ変換するための変換関数のデータを読み出し、第1の撮像環境のH/M比を第2の撮像環境のH/M比へ変換する。あるいは、H/M比変換処理部29は、変換関数記憶部17から第1の撮像環境のH/M比を理論上のH/M比へ変換するための変換関数のデータを読み出し、第1の撮像環境のH/M比を理論値へ変換する。
【0064】
この変換前後のH/M比は、出力装置3によって出力されても良い。
【0065】
本実施形態によれば、MIBGなどの心機能診断薬が投与された被験者を異なる撮像環境で撮像した画像から算出したH/M比を互いに精度良く比較することが可能となる。特に、H/M比を理論値へ変換することにより、撮像環境に依存しないH/M比に精度良く標準化することができる。
【0066】
上述した本発明の実施形態は、本発明の説明のための例示であり、本発明の範囲をそれらの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。当業者は、本発明の要旨を逸脱することなしに、他の様々な態様で本発明を実施することができる。
【符号の説明】
【0067】
1 情報処理装置、5 ファントム、10 情報処理装置本体、11 ファントム画像データ記憶部、13 デジタルファントムデータ記憶部、15 H/M比データ記憶部、17 変換関数記憶部、19 被験者画像データ記憶部、21 位置合わせ処理部、23 ROI設定部、25 H/M比算出部、27 変換関数算出部、29 H/M比変換処理部
図1
図2
図3
図4
図5
図6