(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、下記順序にて詳細に説明する。
1.エッチング製品の製造方法
2.エッチング製品の具体例
3.実施例
【0016】
<1.エッチング製品の製造方法>
本発明の一実施の形態に係るエッチング製品の製造方法は、マスク材のパターンにより露出された基板の表面に、ウエットエッチングにより開孔部を形成するものであり、金属材料表面又はセラミック材料表面に所望する開孔深さ及び形状となるようにエッチングすることが可能な異方性エッチング方法である。底面に開孔部を形成するエッチングモードと、開孔部の側壁を保護するパッシベーションモードとを交互に繰り返すことにより、アスペクト比の大きい形状を得ることができる。
【0017】
図1は、エッチング製品の製造方法を示すフローチャートである。このエッチング製品の製造方法は、基板上にマスク材のパターンを形成するステップS1と、マスク材のパターンにより露出された基板表面をエッチングし、1段目の開口部を形成する初期エッチングモード(ステップS2)と、N段目(Nは自然数)の開孔部の側壁にイオンエッチングによりウエットエッチングに対して耐性を有する保護膜を形成するパッシベーションモード(ステップS3)と、保護膜が形成されたN段目の開孔部の底面をウエットエッチングによりエッチングし、N+1段目の開孔部を形成するエッチングモード(ステップS4)と、所望の開孔深さか否かを判別するステップS5と、マスク材や保護膜を除去し、開孔部形成を完了させるステップS6とを有する。
【0018】
ステップS1では、加工対象となる基板の表面にウエットエッチングに対して耐性を有するマスク材を塗布する。基板としては、タンタル、タングステン、モリブデン、ニオブ、チタン、鉄、又は、これらを主成分とする合金等の金属や、Al
2O
3、SiO
2等を主成分とするセラミックが用いられる。マスク材としては、微細なパターンを形成可能なフォトレジストが好ましく用いられる。
【0019】
ステップS2では、マスク材により所望のパターンに露出した基板表面をウエットエッチングでエッチングする。ウエットエッチングは、電解エッチング法又は化学エッチング法のどちらを用いてもよいが、基板が耐腐食性の高い金属又は合金の場合や、開口径(幅)が20μm以下の開孔部を形成する場合、電解エッチング法を用いることが望ましい。
【0020】
図2は、電解エッチングの原理を説明するための図である。
図2に示す例では、アノードとしてSUS304、カソードとしてCuが用いられ、電解エッチングが行われる。電解エッチングは、式(1)に示すようにファラデーの法則に基づく。
【0021】
【数1】
m:原子量、e:電気素量、Na:アヴォガドロ数、ρ:密度、ν:イオンの価数
【0022】
アノードとカソードとの両極間に電圧が印加されることによって、電極と電解液の界面にある電位傾度を持った電界が形成される。この電界によって、被加工物表面の原子から電子が引き出され、結合がゆるめられる結果、電子を除去された原子は正に帯電してイオンとなり、電解液中の電界によって被加工物から引きはがされ、液中に移動する。
【0023】
電解エッチングは、耐腐食性の高い金属や合金など、化学エッチングが困難な場合に適しており、要求精度の高い開孔パターン、ナノパターンなどの微細パターンでは、加工パターンの細い部分に電荷を集中させることにより、エッチングを行うことができる。また、電流波形、液の組成、温度などによっても、エッチング形状を制御することが可能である。電解液は、シュウ酸、クエン酸、硫酸、硝酸、塩酸、塩化ナトリウム等、エッチング対象物に適した電解質を適宜選択すれば良い。また、特開2004−175839に記載されているように、電解液に添加剤を加えたものを用いても良い。また、カソードは、Cu、Ti、SUS等の導電性のある金属を用いれば良い。
【0024】
化学エッチング法では、パターンの開口径(幅)が20μm以下の場合、エッチング液の挙動がほぼ拡散支配であり、スプレーによる流動や対流といった物質移動が起こり難いことが一般的に知られているが(例えば、特開2004−175839参照。)、パターンの開口径(幅)が20μmを超えるような場合には、十分なエッチングファクターを得ることができる。エッチング液としては、シュウ酸、塩化第二鉄、塩化第二鉄と塩酸、硝酸、塩化クロムの混合液等を用いることができる。また、特開2004−175839に記載されているように、エッチング液に添加剤を加えたものを用いても良い。
【0025】
ステップS3では、プラズマ雰囲気中でArイオンなどによるイオンエッチングを行う。このイオンエッチングは、真空装置を使用して真空雰囲気下で行われても良く、大気圧プラズマ装置を使用して大気圧雰囲気下で行われても良い。このようにイオンエッチングを行うことにより、ウエットエッチングにて形成されたN段目(Nは自然数)の開孔部の側壁に保護膜を形成することができる。保護膜は、マスク材、開孔部底面の基材などの物質が反応してできた生成物(エッチング残渣)を含むため、ウエットエッチングに対して耐性を有する。
【0026】
ステップS4では、初期エッチングモードと同様に、ウエットエッチングを行う。ステップS4のエッチングモードでは、N段目の開孔部の側壁に保護膜が形成されているため、サイド方向へのエッチング進行が抑えられる。このため、N段目の開孔部の底面にN+1段目の開孔部が形成され、深さ方向にエッチングを進めることができる。
【0027】
ステップS5では、所望の開孔深さに達したかを判別する。例えば、エッチングの1回あたりの開孔深さを見積もり、同一のエッチング条件でエッチングをN+1回行ったかを判別することにより所望の開孔深さに達したかを判別する。所望の開孔深さに達していない場合、ステップS3のパッシベーションモードに戻り、所望の開孔深さに達している場合、ステップS6に進む。
【0028】
ステップ6では、所望の開孔形状が得られた段階でマスク材及び開孔部側壁の保護膜をアッシング、洗浄などにより除去する。これにより、アスペクト比の大きい開孔形状を得ることができる。
【0029】
図3(A)〜
図3(C)は、本技術のウエットエッチングと従来のウエットエッチングとの違いを説明するための図である。
図3に示す例では、基板11上にマスク材12によりピッチが820nm、開口径が570nmのパターンが形成されており、エッチングファクターが1.0である場合について説明する。
【0030】
図3(A)に示すように、本法及び従来法においても1回目のウエットエッチングは共通であり、等方的なエッチングである。このため、深さ方向と横方向へのエッチング量は同じであり、深さ方向に100nmエッチングされた場合、横方向にも100nmエッチングされる。
【0031】
図3(B)に示すように、従来法では、2回目のウエットエッチングを行った場合にも等方的なエッチングであるため、深さ方向と横方向へのエッチング量は同じだけ進む。このため、深さ方向に100nmエッチングされた場合、横方向にも100nmエッチングされ、
図3(B)に示すように隣接する開孔部が繋がってしまい、所望の開孔形状を得ることができない。
【0032】
図3(C)に示すように、本法では、N=1のウエットエッチングモードの際、初期エッチングで形成された開孔部の側壁に保護膜が形成されているため、横方向へのエッチングの進行が抑えられる。したがって、本法によれば、深さ方向へのエッチング量は進むが、横方向へのエッチングの進行は抑制されるため、ウエットエッチングモードの際の横方向へのエッチング量が初期エッチングで進行した100nmと同等になる。
図3(C)に示すように、初期エッチングモード後にパッシベーションモードとエッチングモードとを交互に3回繰り返し行うことにより、サイドエッチングを抑えながら深さ方向にのみエッチングを進めることができ、所望の開孔形状(高アスペクト形状)を得ることができる。
【0033】
<1−1.具体例1>
図4(A)〜
図4(E)は、エッチング製品の製造方法の具体例1を説明するための断面図である。この具体例1では、
図1に示すフォローチャートにおいて、N=3とし、合計4回のウエットエッチングを行う。
【0034】
図4(A)は、ステップS2の初期ウエットエッチングモード時を示す断面図である。
図4(A)に示すように、初期ウエットエッチングモードでは、マスク材12により露出した基板11が等方的にエッチングされ、1段目の開孔部11aが形成される。
【0035】
図4(B)は、N=1のときのパッシベーションモード時を示す断面図である。
図4(B)に示すように、N=1のときのパッシベーションモードでは、プラズマ雰囲気中でArイオンなどによるイオンエッチングを行うことにより、1段目の開孔部11aの側壁に保護膜13aが形成される。この保護膜13aは、マスク材や、開孔部底面の基材などの物質が反応してできた生成物(エッチング残渣)を含むため、ウエットエッチングに対して耐性を有する。
【0036】
図4(C)は、N=1のときのエッチングモード時を示す断面図である。
図4(C)に示すように、N=1のときのエッチングモードでは、1段目の開孔部の側壁に保護膜13aが形成されているため、横方向へのエッチングの進行が抑えられ、深さ方向に2段目の開孔部11bを形成することができる。
【0037】
図4(D)は、N=2のときのエッチングモード時を示す断面図である。
図4(D)に示すように、N=2のときのエッチングモードでは、1段目及び2段目の開孔部の側壁に保護膜13bが形成されているため、横方向へのエッチングの進行が抑えられ、深さ方向に3段目の開孔部11cを形成することができる。
【0038】
図4(E)は、ステップS6の開孔部の形成完了時を示す断面図である。N=3のときのエッチングモードにより4段目の開孔部が形成された後、マスク材12及び1段目〜3段目の開孔部の側壁に形成された保護膜をアッシング、洗浄などにより除去する。これにより、
図4(E)に示すように、断面が4段のくびれを有するアスペクト比の大きい開孔形状を得ることができる。
【0039】
<1−2.具体例2>
また、
図5(A)〜
図5(G)は、エッチング製品の製造方法の具体例2を説明するための断面図である。この具体例2では、
図1に示すフォローチャートにおいて、N=3とし、合計4回のウエットエッチングを行う。また、ステップS3のパッシベーションモードにおいて、CVD(Chemical Vapor Deposition)、ALD(Atomic Layer Deposition)、ゾルゲル法などにより、開孔部及びマスク材12のエッチング表面にウエットエッチングに対して耐性を有する表面保護膜14を形成する。
【0040】
図5(A)は、ステップS1のマスクパターン形成時を示す断面図である。
図4(A)に示すように、マスク材12のパターンにより、基板11が露出されている。
【0041】
図5(B)は、ステップS2の初期ウエットエッチングモードを示す断面図である。
図5(B)に示すように、初期ウエットエッチングモードでは、マスク材12により露出した基板11が等方的にエッチングされ、1段目の開孔部11aが形成される。
【0042】
図5(C)は、パッシベーションモードにおける表面保護膜の形成時を示す断面図である。
図5(C)に示すように、パッシベーションモードにおいて、CVD、ALD、ゾルゲル法などにより、開孔部及びマスク材12のエッチング表面にウエットエッチングに対して耐性を有する表面保護膜14を形成する。表面保護膜14は、基板11が金属の場合、SiO
2、Al
2O
3等を使用し、基板11がセラミックの場合、タングステン、クロム等を使用することが好ましい。
【0043】
図5(D)は、パッシベーションモードにおけるイオンエッチング時を示す断面図である。
図5(D)に示すように、表面保護膜14の形成後、プラズマ雰囲気中でArイオンなどによるイオンエッチングを行うことにより、1段目の開孔部11aの側壁に保護膜14aが形成される。この保護膜14aは、表面保護膜14、マスク材12、開孔部底面の基材などの物質が反応してできた生成物(エッチング残渣)を含むため、ウエットエッチングに対して耐性を有する。
【0044】
図5(E)は、N=1のときのエッチングモード時を示す断面図である。
図5(E)に示すように、N=1のときのエッチングモードでは、1段目の開孔部の側壁に保護膜14aが形成されているため、横方向へのエッチングの進行が抑えられ、深さ方向に2段目の開孔部11bを形成することができる。
【0045】
図5(F)は、N=2のときのエッチングモード時を示す断面図である。
図5(F)に示すように、N=2のときのエッチングモードでは、1段目及び2段目の開孔部の側壁に保護膜14bが形成されているため、横方向へのエッチングの進行が抑えられ、深さ方向に3段目の開孔部11cを形成することができる。
【0046】
図5(G)は、ステップS6の開孔部の形成完了時を示す断面図である。N=3のときのエッチングモードにより4段目の開孔部が形成された後、マスク材12、表面保護膜14及び1段目〜3段目の開孔部の側壁に形成された保護膜をアッシング、洗浄などにより除去する。これにより、
図5(G)に示すように、断面が4段のくびれを有するアスペクト比の大きい開孔形状を得ることができる。
【0047】
このように具体例2として示すエッチング製品の製造方法によれば、開孔部及びマスク材12のエッチング表面にウエットエッチングに対して耐性を有する表面保護膜14を形成した後、イオンエッチングが行われることにより、開孔部の側壁に確実に保護膜を形成することができ、横方向へのエッチングの進行を確実に抑えることができる。
【0048】
<1−3.具体例3>
また、
図6(A)〜
図6(G)は、エッチング製品の製造方法の具体例3を説明するための断面図である。この具体例3では、
図1に示すフローチャートにおいて、N=3とし、合計4回のウエットエッチングを行う。また、ステップS1のマスクパターン形成において、CVD(Chemical Vapor Deposition)、ALD(Atomic Layer Deposition)、スパッタ法、蒸着法、ゾルゲル法などにより、基板11上にウエットエッチングに対して耐性を有する表面保護膜15を形成した後、マスク12材によりパターンを形成する。
【0049】
図6(A)は、ステップS1のマスクパターン形成における表面保護膜の形成時を示す断面図である。
図6(A)に示すように、CVD、ALD、スパッタ法、蒸着法、ゾルゲル法などにより、基板11上にウエットエッチングに対して耐性を有する表面保護膜15をハード膜として形成する。表面保護膜15は、基板11が金属の場合、SiO
2、Al
2O
3等を使用し、基板15がセラミックの場合、タングステン、クロム等を使用することが好ましい。
【0050】
図6(B)は、ステップS1のマスクパターン形成における基板の露出時を示す断面図である。マスク材12のパターン形成後、表面保護膜15が基板表面を被覆しているため、
図6(B)に示すように、イオンエッチングやKOH水溶液などを使用した電解ウエットエッチングなどにより、マスク材12のパターンにより露出された表面保護膜15を除去し、基板11を露出させる。
【0051】
図6(C)は、ステップS2の初期ウエットエッチングモード時を示す断面図である。
図6(C)に示すように、初期ウエットエッチングモードでは、マスク材12により露出した基板11が等方的にエッチングされ、1段目の開孔部11aが形成される。
【0052】
図6(D)は、N=1のときのパッシベーションモード時を示す断面図である。
図6(D)に示すように、N=1のときのパッシベーションモードでは、プラズマ雰囲気中でArイオンなどによるイオンエッチングを行うことにより、1段目の開孔部11aの側壁に保護膜16aが形成される。この保護膜16aは、マスク材や、開孔部底面の基材などの物質が反応してできた生成物(エッチング残渣)を含むため、ウエットエッチングに対して耐性を有する。
【0053】
図6(E)は、N=1のときのエッチングモード時を示す断面図である。
図6(E)に示すように、N=1のときのエッチングモードでは、1段目の開孔部の側壁に保護膜16aが形成されているため、横方向へのエッチングの進行が抑えられ、深さ方向に2段目の開孔部11bを形成することができる。
【0054】
図6(F)は、N=2のときのエッチングモード時を示す断面図である。
図6(F)に示すように、N=2のときのエッチングモードでは、1段目及び2段目の開孔部の側壁に保護膜16bが形成されているため、横方向へのエッチングの進行が抑えられ、深さ方向に3段目の開孔部11cを形成することができる。
【0055】
図6(G)は、ステップS6の開孔部の形成完了時を示す断面図である。N=3のときのエッチングモードにより4段目の開孔部が形成された後、マスク材12、表面保護膜15及び1段目〜3段目の開孔部の側壁に形成された保護膜をアッシング、洗浄などにより除去する。これにより、
図6(G)に示すように、断面が4段のくびれを有するアスペクト比の大きい開孔形状を得ることができる。
【0056】
このように具体例3として示すエッチング製品の製造方法によれば、基板11上にウエットエッチングに対して耐性を有する表面保護膜15をハード膜として形成するため、マスク材12の膜厚を薄くすることができる。また、パッシベーションモード及びエッチングモードの回数が増えた場合、表面保護膜15が基板11を保護するため、アスペクト比の大きい開孔形状を得ることができる。
【0057】
また、その他の具体例として、上記で述べた具体例2(ウエットエッチングに対して耐性を有する表面保護膜を側壁保護膜として使用する例)と具体例3(ハードマスク)のプロセスを組み合わせても良い。
【0058】
以上説明したように、本実施の形態に係るエッチング製品の製造方法によれば、開孔部が、多段階の開孔部から形成されることにより、開孔部の断面形状が、多段的にくびれている。これにより、開孔部の開口径が20μm以下であり、アスペクト比が0.2以上のエッチング製品を得ることができる。さらに、開孔部の開口径が10μm以下であり、アスペクト比が0.5以上のエッチング製品も得ることができるため、ナノパターンの形成に有用である。
【0059】
<2.エッチング製品の具体例>
次に、エッチング製品の具体例として、太陽熱を利用する熱吸収材(レシーバ)について説明する。本明細書において、可視光線の波長は、下界が360nm〜400nm、上界が760nm〜830nmである(JIS Z8120)。また、赤外光線の波長は、0.7μm〜1000μmであり、波長によって、赤外光線は、近赤外線、中赤外線、及び遠赤外線に分けられる。近赤外線の波長は、およそ0.7〜2.5μmであり、中赤外線の波長は、およそ2.5〜4μmであり、遠赤外線の波長は、およそ4〜1000μmである。また、透過、反射、及び吸収の関係は、入射した単位エネルギーに対して、反射、吸収、透過の起こる割合を、それぞれ反射率、吸収率、透過率としたとき、反射率+吸収率+透過率=1の関係が成り立つものとする。
【0060】
代替エネルギーとしての太陽エネルギーの利用には、おおよそ二つのアプローチがある。一つ目は光として利用する太陽光発電であり、二つ目は熱として利用する太陽熱発電である。太陽光発電は、これまでに多くの実績があるが、近年、太陽熱発電も北米などで商用炉が建設され、ヨーロッパ/北アフリカでは、DESERTECなどの巨大プロジェクトが進行中である。
【0061】
集光型太陽熱発電(Concentrated Solar Power, CSP)は、太陽光をミラーで反射し、レシーバに集め、太陽光の熱によって発電を行う方式である。CSPは、主にトラフ型とタワー型に大別される。トラフ型は、線状のレシーバへ円筒放物面型のミラーで集光する方式であり、タワー型は、地上に分散したヘリオスタットと呼ばれるミラーによって塔の上にある点状(数メートル角)のレシーバに集光する方式である。現在、これらのCSPの最も大きな問題点は、変換効率の低さであり、両者とも15%程度しかない。
【0062】
変換効率を決定している最も大きな要素は、熱吸収材であるレシーバである。レシーバは、集められた太陽光を効率よく吸収し、レシーバ自信としては熱を逃がしにくいというという特性が望まれる。
【0063】
CSPでは、レシーバが400度以上の高温となり、それによる熱放射損失を無視することはできない。熱放射の強度と波長分布は、プランク(Planck)の法則より物体の温度の関数となる。
【0064】
図7は、太陽放射及び熱放射のスペクトルを示すグラフである。図中、熱放射は、温度が200℃、400℃、800℃のときを示し、温度が高いほど短波長側へ分布が移動する。そして、約6000℃では、当然太陽放射の波長領域と一致する。
【0065】
図7に示すように、太陽放射と熱放射のスペクトルを比べてみると、太陽放射は、可視領域で強く、熱放射は、赤外領域で強いことがわかる。従って、可視領域で吸収が大きく、赤外領域で放射が小さい波長選択性材料、すなわち、可視領域で吸収が大きく、赤外領域で吸収が小さい波長選択性材料が、レシーバとして有用である。
【0066】
波長選択性を有するレシーバは、すでに開発され、一部商品化がされているものもある。
図8は、従来のレシーバの構成を示す断面図である。このレシーバは、SUS基板21上に、バリア膜22と、IR反射膜23と、第1のサーメット(Mo〔100%〕)24と、第2のサーメット(Mo〔40%〕+Al
2O
3)25と、第2のサーメット(Mo〔20%〕+Al
2O
3)26と、反射防止膜27とが、この順番に形成されている。第1〜第3のサーメット24、25、26によって可視光線を吸収し、IR反射膜23で赤外光線を反射する。
【0067】
しかしながら、このレシーバは、SUS基板上に波長選択性の膜を積層しているため、高温化の環境において積層膜界面で拡散が発生してしまい、500℃以下の環境でしか使用できない。太陽熱発電(CSP)では、熱利用効率を上げるため溶融塩を熱媒体とした高温化の検討などが進められており、高耐熱性を有するレシーバが求められている。
【0068】
特開2003-332607号公報には、金属表面に微細構造(キャビティ構造)を形成することにより、金属の耐熱性を利用し、かつ可視光域の吸収率を平面よりも増やすことが提案されている。この技術によれば、キャビティ構造を形成し、キャビティの共鳴効果を利用することにより、効率良く可視光領域の光を吸収することができるため、機能性膜の構成を少なくすることができる。
【0069】
図9は、耐熱性金属の光入射面のキャビティの一例を示す斜視図である。このキャビティは、矩形であり、周期的かつ左右対称にx軸方向及びy軸方向に対して配置される。図中、Λは構造上の周期、aは開口サイズ、及び、dは深さである。
【0070】
特開2003−332607号公報に記載されているように、
図9に示すキャビティにおいて、開口比(a/Λ)を0.5〜0.9の範囲とし、アスペクト比(d/a)を0.7〜3.0の範囲とすることが好ましい。これにより、可視光線及び近赤外線の波長領域で高い吸収率を得ることができる。
【0071】
アスペクト比を1.0程度にするには、製作プロセスとして高度な技術が必要となる。特に安価なウエットエッチング法は、等方的なエッチングのため、アスペクト比が1.0を超えるキャビティを製作するのは困難であるが、本実施の形態に係るエッチング方法によれば、開口比(a/Λ)を0.5〜0.9の範囲とし、アスペクト比(d/a)を0.7〜3.0の範囲とするキャビティを得ることができる。
【0072】
図10は、キャビティの共鳴効果を示すグラフである。
図10に示すグラフにおいて、曲線aは、ステンレス平板の計算値であり、曲線bは、
図9に示すキャビティにおいてステンレス表面に形成された開口サイズaを500nm、深さdを500としたときの計算値である。
【0073】
また、
図11(A)〜
図11(C)は、特定波長太陽光の波長λと実質的に同じ開口サイズを有するキャビティによる吸収を説明するための図である。
図11(A)に示すように可視光は、キャビティに入ることができ、キャビティが深いほど吸収が大きくなる。また、
図11(B)に示すようにカットオフ光も、キャビティに入ることができ、キャビティが深いほど吸収が大きくなる。一方、
図11(C)に示すように赤外光は、キャビティに入ることができず、吸収が起こらず、反射される。このように光入射面に可視光線及び近赤外線の波長領域での特定波長太陽光の波長と実質的に同じ周期構造を有することにより、太陽光の優れた熱吸収材となる。
【0074】
図12は、太陽光の熱吸収材の具体例を示す断面図である。この熱吸収材は、
図12に示すように、光入射面に可視光線及び近赤外線の波長領域での特定波長太陽光の波長と実質的に同じ周期構造を有する耐熱性金属31と、耐熱性金属の光入射面上に形成されたサーメット32と、サーメット32上に形成された保護膜33とを備える。
【0075】
耐熱性金属31は、高融点金属からなることが望ましく、具体的には、タンタルTa、タングステンW、モリブデンMo、ニオブNb、チタンTi、鉄Fe、又は、これらを主成分とする合金のいずれかからなることが好ましい。また、耐熱性金属31として、ステンレスを用いることが好ましい。ステンレスは、安価であり、大面積のものが容易に入手可能であるだけでなく、耐熱性が比較的高く、機械加工もし易い等の利点がある。
【0076】
耐熱性金属31の光入射面のキャビティは、可視光線及び近赤外線の波長領域での特定波長太陽光の波長と実質的に同じ長さの開口径及び所定の深さを有する。具体的なキャビティの大きさは、直径を200nm以上800nm以下とし、深さを100nm以上とすることが好ましい。また、表面微細凹凸パターンは、キャビティを蜂の巣状に配置するハニカム構造であることが好ましい。
【0077】
サーメット(Cermet)32は、セラミック(Ceramic)と金属(Metal)とを複合させた材料である。セラミックとしては、Al
2O
3、SiO
2などの酸化物が好ましく用いられ、金属としては、タンタルTa、タングステンW、モリブデンMo、ニオブNb、チタンTi、鉄Fe、又は、これらを主成分とする合金などの耐熱性金属が好ましく用いられる。サーメット中の金属濃度は、10%以下であることが好ましく、2wt%程度でも十分効果を得ることができる。サーメット中の金属濃度が高いと反射率が高くなってしまう。
【0078】
サーメット32の膜厚は、100nm以上2000nm以下であることが好ましい。膜厚が100nm未満の場合、可視光域の反射率低下の効果を得ることができず、膜厚が2000nmを超える場合、赤外光域の反射率が低下していまい、望ましい特性を得ることができない。
【0079】
保護膜33は、サーメット32のセラミックと同様、Al
2O
3、SiO
2などの酸化物から形成されることが好ましい。これにより、高温時にサーメット32の金属が表面に拡散するのを防ぐことができる。また、保護膜33として、透明導電膜を成膜しても良い。透明導電膜としては、酸化亜鉛系透明導電膜、酸化インジウム系透明導電膜、酸化スズ系透明導電膜などを用いることができる。透明導電膜は、可視光線を透過し、近赤外線及び中赤外線を反射するため、優れた吸収放射特性を得ることができる。
【0080】
また、耐熱性金属31とサーメット32との間に金属膜を形成しても良い。例えば耐熱性金属31として、安価に大面積が得られるステンレスを用いた場合、ステンレスよりも可視光域の吸収が大きいTa等の金属膜を成膜することにより、可視光域の反射率を増加させることなく、サーメット32の膜厚を薄くすることができる。
【0081】
金属膜としては、耐熱性金属21と同様、高融点金属からなることが望ましく、具体的には、タンタルTa、タングステンW、モリブデンMo、ニオブNb、チタンTi、鉄Fe、又は、これらを主成分とする合金のいずれかからなることが好ましい。
【0082】
また、金属膜の膜厚は、20nm以上500nm以下であることが好ましい。膜厚が20nm未満の場合、可視光域の反射率低下の効果を得ることが難しい。また、膜厚が500nmを超える場合、金属膜とサーメット32との総膜厚が大きくなってしまう。
【0083】
このような構成からなる熱吸収材は、耐熱性金属表面上のキャビティによる共鳴効果とサーメットによる可視光域の反射率低下の効果とを同時に利用することにより、可視光域で吸収し、赤外光域で反射するといった望ましい吸収放射特性を得ることができる。また、サーメットは、複雑な成膜制御を必要としないため、高い耐熱性を維持することができる。
【0084】
また、熱吸収材のキャビティの形成には、前述したエッチング方法が用いられる。すなわち、本実施の形態に係る熱吸収材の製造方法は、耐熱性金属の光入射面に可視光線及び近赤外線の波長領域での特定波長太陽光の波長と実質的に同じ周期構造を形成する工程と、耐熱性金属の光入射面上にサーメットを成膜する工程とサーメット上に前記サーメット中のセラミックスと実質的に同じセラミックスを含有する保護膜を成膜する工程とを有し、周期構造を形成する工程では、マスク材のパターンにより露出された耐熱性金属の表面に、ウエットエッチングにより開孔部を形成する際、N段目(Nは自然数)の開孔部の側壁にイオンエッチングによりウエットエッチングに対して耐性を有する保護膜を形成し、保護膜が形成されたN段目の開孔部の底面をウエットエッチングによりエッチングし、N+1段目の開孔部を形成する。これにより、アスペクト比の大きいキャビティを得ることができる。
【実施例】
【0085】
<3.実施例>
<3−1 実施例1>
実施例1は、
図4に示す具体例1のエッチング製品の製造方法に準じて行った。また、実施例1では、1回当たり深さを約100nmエッチングするプロセスを合計4回繰り返し行うことで、Total深さが約400nmとなるようにした。エッチング対象物としてSUS304を用い、マスク材としてi線フォトレジスト(東京応化工業製TDMR-AR80HP)を用いた。前述した初期エッチングモード(S2)及びエッチングモード(S4)では、電解エッチングを行った。電解液としてシュウ酸4%を用い、温度:37℃、攪拌回転数:500rpm、DC:3Vの条件で行った。また、前述したパッシベーションモード(S3)では、イオンエッチング装置(アルバック製、NLD60)を用い、Ar:100sccm、Gas圧:0.3Pa、Power:100w、Bias:100wの条件で行った。
【0086】
先ず、マスクパターン形成工程(S1)として、SUS304基板の洗浄を、中性洗剤→アセトン→IPA→純水の順番にて行った。なお、SUS材専用の脱脂洗浄液を用いて洗浄しても構わない。洗浄後の基板上にマスク材となるフォトレジスト等を塗布し、干渉露光装置を使用して露光、現像を行い、所望のパターン形状を形成した。
【0087】
図13(A)は、レジストパターンを示すSEM写真であり、
図13(B)は、その拡大SEM写真である。パターン形状は、内径φが570nm、ピッチが820nm、レジストパターン高さが250nmの細密配置パターンであった。
【0088】
次に、初期エッチングモード(S2)として、内径φが570nm露出した金属表面をウエットエッチングにてエッチングし、所望の開孔を形成した。電解エッチングにて約20秒間エッチングを行った。エッチング後の開孔部の開口径は約770nmとなり、開孔部間の壁厚は約50nmになった。
【0089】
次に、パッシベーションモード(S3)として、ウエットエッチング処理した基板をプラズマ雰囲気中で物理的なイオンエッチングを行い、1段目の開孔部の側壁に保護膜を形成した。そして、エッチングモード(S4)として、ウエットエッチングにて、側壁に保護膜が形成された1段目の開孔部の底面に、2段目の開孔部を形成した。その後、パッシベーションモード(S3)及びエッチングモード(S4)を交互に2回繰り返すことにより、Toltal約400nmの開孔深さを得た。このときの開口径は、初期エッチングモードで得られた約770nmであった。
【0090】
次に、開孔形成完了工程(S6)として、マスク材や側壁の保護膜を剥離した。詳細には、ヤマト化学製PR−400を使用して、Power:200W、O
2:200sccm、時間:15minの条件にて、O
2アッシング処理を行った。
【0091】
図14(A)は、実施例1におけるSUS板のSEM写真であり、
図14(B)は、
これを斜め45度から観察したSEM写真である。また、
図15は、実施例1におけるSUS板のAFM(原子間力顕微鏡)によるプロファイルを示す図である。実施例1では、開孔深さ:356nm、開口径:φ754nm(開孔部底部φ655nm)、壁厚:66nm(底部壁厚:165nm)、側壁の傾斜角度:82度、アスペクト比:0.47の高アスペクトのエッチング形状が得られた。この結果からも分かるように、本技術によれば、耐久性・耐熱性・耐腐食性を有するSUS304の金属表面に、ウエットエッチングでは限界といわれているナノサイズのパターン形状を高アスペクトで形成することができる。
【0092】
<3−2 実施例2>
実施例2は、
図6に示す具体例3のエッチング製品の製造方法に準じ、ハード膜としてSiO
2膜を成膜して行った。また、実施例2では、1回当たり深さを約100nmエッチングするプロセスを合計6回繰り返し行うことで、Total深さが約600nmとなるようにした。エッチング対象物としてSUS304を用い、マスク材としてi線フォトレジスト(東京応化工業製TDMR-AR80HP)を用いた。前述した初期エッチングモード(S2)及びエッチングモード(S4)では、電解エッチングを行った。電解液としてシュウ酸4%を用い、温度:37℃、攪拌回転数:500rpm、DC:3Vの条件で行った。また、前述したパッシベーションモード(S3)では、イオンエッチング装置(アルバック製、NLD60)を用い、Ar:100sccm、Gas圧:0.3Pa、Power:100w、Bias:100wの条件で行った。
【0093】
先ず、実施例1と同様に、マスクパターン形成工程(S1)として、SUS304基板の洗浄を、中性洗剤→アセトン→IPA→純水の順番にて行った。洗浄後、ハード膜としてSiO
2膜を15nmスパッタ装置にて成膜し、SiO
2膜上にフォトレジスト等を塗布し、干渉露光装置を使用して露光、現像を行い、所望のパターン形状を形成した。このレジストパターンをマスクにして、酸化膜(SiO
2)をイオンエッチングにてエッチングし、SUS基板表面を露出させた。
【0094】
実施例2のパターン形状も、実施例1と同様に、内径φが570nm、ピッチが820nmであり、SiO
2膜の厚さが15nm、レジストパターン高さが210nmの細密配置パターンであった。なお、SiO
2膜上に形成しているレジストパターンは、特に存在していても以降のプロセスに悪影響を与えることはないため、今回は、レジストパターンを剥離せずにプロセスを進めた。
【0095】
次に、初期エッチングモード(S2)として、内径φが570nm露出した金属表面をウエットエッチングにてエッチングし、所望の開孔を形成した。実施例1と同様に電解エッチングにて約20秒間エッチングを行った。エッチング後の開孔部の開口径は約770nmとなり、開孔部間の壁厚は約50nmになった。
【0096】
次に、パッシベーションモード(S3)として、ウエットエッチング処理した基板をプラズマ雰囲気中で物理的なイオンエッチングを行い、1段目の開孔部の側壁に保護膜を形成した。そして、エッチングモード(S4)として、ウエットエッチングにて、側壁に保護膜が形成された1段目の開孔部の底面に、2段目の開孔部を形成した。その後、パッシベーションモード(S3)及びエッチングモード(S4)を交互に5回繰り返すことにより、Toltal約600nmの開孔深さを得た。このときの開口径は、初期エッチングモードで得られた約770nmであった。
【0097】
次に、開孔形成完了工程(S6)として、マスク材や側壁の保護膜を剥離した。詳細には、ヤマト化学製PR−400を使用して、Power:200W、O
2:200sccm、時間:15minの条件にて、O
2アッシング処理を行った。また、10%水酸化ナトリウム溶液において、SiO
2膜を溶解除去した。
【0098】
図16(A)は、実施例2におけるSUS板のSEM写真であり、
図16(B)は、これを斜め45度から観察したSEM写真である。また、
図17は、実施例2におけるSUS板のAFM(原子間力顕微鏡)によるプロファイルを示す図である。実施例2では、開孔深さ:548〜589nm、開口径:φ760nm(開孔部底部φ620nm)、壁厚:60nm(底部壁厚:200nm)、側壁の傾斜角度:83度、アスペクト比:0.72〜0.78の高アスペクトのエッチング形状が得られた。この結果からも分かるように、本技術によれば、耐久性・耐熱性・耐腐食性を有するSUS304の金属表面に、ウエットエッチングでは限界といわれているナノサイズのパターン形状を高アスペクトで形成することができる。
【0099】
<3−3 実施例3>
実施例3では、本技術を用いて集光型太陽光発電システム用のレシーバのサンプルの作製し、その効果を確認した。実施例1と同様にして、SUS304の金属表面に、ピッチ820nm、開口径φが760nm程度の細密パターンのキャビティを有するサンプルを作製した。サンプル1は、1回当たり深さを約80nmエッチングするプロセスを合計3回繰り返し行った結果、Total深さが約240nmとなった。また、サンプル2は、1回当たり深さを約80nmエッチングするプロセスを合計4回繰り返し行った結果、Total深さが約350nmとなった。また、サンプル3は、1回当たり深さを約80nmエッチングするプロセスを合計7回繰り返し行った結果、Total深さが約580nmとなった。
【0100】
図18は、サンプル1〜3の反射率を示すグラフである。グラフ中、曲線aはSUS平板であり、曲線b〜dはそれぞれサンプル1〜3である。なお、反射率は、FT−IRによる積分球を用いて測定した。
【0101】
キャビティを有するサンプル1〜3は、SUS304平板の反射率に比べ、可視光領域(特にキャビティ径と同じ光波長域)での反射率が大幅に低減(吸収)することが確認された。また、サンプル1〜3は、キャビティ深さが深いほど反射率は低く(吸収率が高く)なることが確認された。よって、高アスペクト形状を形成できる本技術の優位性が証明された。また、本技術は、高耐久性・高耐熱性・耐腐食性のあるSUS金属表面に安価なウエットエッチングを用い、ウエットエッチングでは不可能と言われているナノサイズパターンを高アスペクト比で形成することができ、工業的にも安価で、大型化にも対応可能である。
【0102】
また、開孔深さが240nmのサンプル1を、
図12に示す熱吸収体の耐熱性金属31として使用し、SUS304金属表面上にAl
2O
3とMoとを複合させたサーメット32を約600nmの厚みで成膜し、サーメット32上にAl
2O
3からなる保護膜33を約220nmの厚みで成膜した。そして、この熱吸収体に対し600℃×100Hの耐熱試験を行い、反射率の測定を行った。
【0103】
図19は、熱吸収体の初期及び耐熱試験後の反射率を示すグラフである。この熱吸収体は、SUS304のキャビティ構造体と、サーメット膜(Al
2O
3+Mo)と、保護膜(Al
2O
3)との単純構成であるため、600℃×100Hの耐熱試験においても反射率特性の変化は見られず、優れた耐熱性を有することが分かった。
【0104】
以上説明したように、本技術は、金属材料表面又はセラミック材料表面にウエットエッチング技術を用い、効率よく所望の開孔深さ及び形状となるようにエッチングすることが可能な異方性エッチング方法であって、エッチングモードとパッシベーションモードとを繰り返すことにより、アスペクト比の大きい形状が得られるエッチング方法である。