(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。
【0028】
<1.第1の実施の形態>
<1−1.通信システムの概要>
図1は、本実施の形態に係る通信システム100の概要を示す図である。通信システム100は、自動車などの車両5に関するデータを蓄積する機関であるデータセンター10に設けられるサーバ装置1と、車両5に搭載される車載装置2とを備えている。サーバ装置1と車載装置2とはインターネットなどのネットワーク9を介して通信可能となっている。
【0029】
車載装置2は、ユーザとなる車両5のドライバが車両5において用いる車両用装置である。また、サーバ装置1は、車載装置2からデータを取得するとともに、車載装置2にデータを提供する。なお、図中では、車載装置2を一つのみ示しているが、実際には、通信システム100は互いに異なる車両に搭載された複数の車載装置2を含み、サーバ装置1はこれら複数の車載装置2それぞれと通信可能となっている。
【0030】
車両5に搭載される車載装置2は、ユーザが車両5を運転した場合において、その運転に関する運転データをサーバ装置1に送信する。サーバ装置1は、車載装置2から受信した運転データを当該ユーザに関連付けて蓄積する。このようにサーバ装置1に蓄積されたユーザの過去の運転に関する運転データは、当該ユーザの車両5の使用用途を特定するために利用される。
【0031】
また、車載装置2においては複数のアプリケーションが実行可能とされている。一方でサーバ装置1には、ユーザごとに、車両5の使用用途に必要なアプリケーションを示すデータが登録されている。車載装置2においては、車両5の使用用途の特定後、このサーバ装置1に登録されたデータに基づいて使用用途に不要なアプリケーションの実行が禁止される。これにより、車載装置2においては、車両5の使用用途に不要なアプリケーションが無駄に実行されないようになっている。以下、このような通信システム100の構成及び処理について詳細に説明する。
【0032】
<1−2.車載装置の構成>
まず、車載装置2の構成について説明する。
図2は、主に車載装置2の構成を示す図である。車載装置2は、例えば、ナビゲーション装置であり、制御部20と、ディスプレイ21と、操作部22と、GPS23と、ナビゲーション部24とを備えている。制御部20は、例えば、CPU、RAM、ROM、及び、計時回路などを備えるマイクロコンピュータであり、車載装置2の全体を制御する。
【0033】
ディスプレイ21は、例えば、液晶などの薄型の表示パネルを備えた表示装置であり、各種の情報や画像を表示する。ディスプレイ21は、その画面をユーザが視認できるように、車両5のインストルメントパネルなどに配置される。
【0034】
操作部22は、ユーザの操作を受け付ける操作部材である。操作部22は、ユーザが物理的に操作可能な操作ボタンと、ディスプレイ21の画面に重ねて配置されるタッチパネルとを含んでいる。ユーザは、このタッチパネルを介して、ディスプレイ21の画面に表示されたアイコンやコマンドボタンを指定することで、車載装置2に対して各種の指示を行うことが可能である。
【0035】
GPS23は、車両5の位置を示す位置情報を取得する。GPS23は、複数の衛星からの信号を受信して車両5の位置を緯度及び経度で取得する。
【0036】
ナビゲーション部24は、GPS23で得られた位置情報を利用して、現時点の車両5の位置からユーザに設定された目的地までのルートを案内するナビゲーション機能を実現する。車載装置2は、このナビゲーション部24を備えることにより、ナビゲーション装置として機能する。
【0037】
また、車載装置2は、外部通信部26と、情報出力部27と、車内通信部28と、電源検知部29とを備えている。
【0038】
外部通信部26は、LTEやWiMAXなどの無線通信規格を利用した通信機能を備えており、ネットワーク9を介して通信を行う。車載装置2は、外部通信部26により、サーバ装置1との間でデータの送受信を行うことが可能となる。また、外部通信部26は、通信システム100のサーバ装置1のみならず、ネットワーク9に接続された他のサーバ装置からも情報を取得することができる。
【0039】
情報出力部27は、ユーザに提供すべき情報(以下、「案内情報」という。)を車載装置2の外部の表示装置に送信し、送信した案内情報を表示装置に表示させる。車両5には、ヘッドアップディスプレイ51、メータディスプレイ52及びミラーディスプレイ53など、複数の表示装置がユーザから視認可能に設けられている。情報出力部27は、これら複数の表示装置のうちから選択された表示装置に案内情報を出力し、その表示装置に案内情報を表示させることができる。
【0040】
ヘッドアップディスプレイ51は、ガラス板などに情報を投影することで、運転中のユーザの視野に重ね合わせて情報を表示する表示装置である。メータディスプレイ52は、車両5のメータパネル内に含まれる表示装置である。また、ミラーディスプレイ53は、車両5のルームミラー内に含まれる表示装置である。
【0041】
車両5を運転中のユーザは、ヘッドアップディスプレイ51、メータディスプレイ52、車載装置2のディスプレイ21、ミラーディスプレイ53の順で、より少ない視線の移動量で表示された案内情報を確認できる。すなわち、ユーザにとっては、ヘッドアップディスプレイ51、メータディスプレイ52、車載装置2のディスプレイ21、ミラーディスプレイ53の順で、表示された案内情報を確認しやすいことになる。
【0042】
また、情報出力部27は、車両5の車室内に設けられたスピーカ(図示省略)に音声信号を出力し、スピーカを介して案内情報を音声でユーザに提供することもできる。
【0043】
車内通信部28は、CANなどの車載ネットワーク58に接続され、車両5に設けられる他の電子装置と通信を行う。車載ネットワーク58には、例えば、レーダ54、車載カメラ55、車速センサ56及びクリアランスソナー57などの電子装置が接続される。このため、車内通信部28は、これらの電子装置54〜57が送信するデータを、車載ネットワーク58を介して受信できる。
【0044】
レーダ54は、車両5の前方や後方に存在する物体を検出し、その検出結果を車載装置2に送信する。車載カメラ55は、車両5の周辺の様子を示す画像、及び、車両5の車室内の様子を示す画像を取得し、これらの画像を車載装置2に送信する。車速センサ56は、車両5の走行速度を検出し、その走行速度を車載装置2に送信する。また、クリアランスソナー57は、車両5の近傍に存在する物体を検出し、その検出結果を車載装置2に送信する。
【0045】
電源検知部29は、車両5のACCなどの電源線59の状態を検出する。車載装置2は、電源線59から電力の供給を受ける。したがって、車載装置2は、電源線59が通電状態となると起動し、電源線59が非通電状態となると動作を停止する。通常、電源線59が通電状態となると車両5は走行が可能な状態(エンジンの始動状態)となり、電源線59が非通電状態となると車両5は走行が不可能な状態(エンジンの停止状態)となる。
【0046】
さらに、車載装置2は、車載装置2の動作に必要な各種の情報を記憶する記憶部25を備えている。記憶部25は、例えば、フラッシュメモリなどの不揮発性の記憶装置である。記憶部25は、制御用のプログラム25cを記憶している。制御部20のCPUがこのプログラム25cを実行する(プログラム25cに従った演算処理を行う)ことにより、制御部20として必要な各種の機能部が実現される。制御用のプログラム25cの実行により実現される制御部20の機能部については後述する。
【0047】
また、記憶部25は、運転系アプリ25a、及び、情報系アプリ25bのプログラムをさらに記憶している。運転系アプリ25a及び情報系アプリ25bは、車載装置2にインストールされたアプリケーションであり、これらは車載装置2において実行可能となっている。このようなアプリケーションは、ネットワーク9に接続された所定のサーバ装置からダウンロードしてインストールすることができる。
【0048】
運転系アプリ25a及び情報系アプリ25bは、それぞれ複数のアプリケーションを含んでいる。これら運転系アプリ25a及び情報系アプリ25bに含まれるいずれかのアプリケーションを実行した場合、そのアプリケーションに対応する機能が車載装置2において実現される。
【0049】
運転系アプリ25aは、車両5の運転に関係する運転系アプリケーションであり、運転に関して必要となる案内情報や機能をユーザに提供する。運転系アプリ25aは、例えば、以下の(a1)〜(a6)に示すようなアプリケーションを含んでいる。なお、これら(a1)〜(a6)はあくまで一例であり、運転系アプリ25aは(a1)〜(a6)以外のアプリケーションを含んでよい。
【0050】
(a1)「歩行者検知」:車両5の前方の画像などに基づいて車両5の周辺の歩行者を検出し、歩行者が存在する場合はその旨の案内情報をユーザに提供する。
【0051】
(a2)「車線逸脱判定」:車両5の前方の画像などに基づいて車両5が車線を逸脱したかを判定し、車線を逸脱した場合はその旨の案内情報をユーザに提供する。
【0052】
(a3)「車間距離判定」:レーダ54の検出結果などに基づいて前方の車両との車間距離を導出し、車間距離が基準よりも小さい場合はその旨の案内情報をユーザに提供する。
【0053】
(a4)「カーブ速度判定」:車両5がカーブの手前を走行している場合に、走行速度が基準よりも大きい場合はその旨の案内情報をユーザに提供する。
【0054】
(a5)「脇見運転防止」:車両5の車室内の画像などに基づいてユーザの視線の方向を検出し、視線が車両5の前方を向いていない場合はその旨の案内情報をユーザに提供する。
【0055】
(a6)「近接物体検知」:クリアランスソナー57の検出結果などに基づいて車両5に近接する物体を検出し、物体が存在している場合はその旨の案内情報をユーザに提供する。
【0056】
これに対して、情報系アプリ25bは、車両5の運転に関係しない非運転系アプリケーションであり、運転に関わらない各種の案内情報や機能をユーザに提供する。情報系アプリ25bは、必要に応じて外部通信部26を利用してネットワーク9に接続された各種のサーバ装置から情報を取得し、取得した情報を案内情報としてユーザに提供する。情報系アプリ25bは、例えば、以下の(b1)〜(b6)に示すようなアプリケーションを含んでいる。なお、これら(b1)〜(b6)はあくまで一例であり、情報系アプリ25bは(b1)〜(b6)以外のアプリケーションを含んでよい。
【0057】
(b1)「仕事メール」:仕事に用いるアドレス宛の電子メールの内容を示す案内情報を音声でユーザに提供する。
【0058】
(b2)「駐車場情報」:サービスエリアなどの駐車場の混雑状況を示す案内情報をユーザに提供する。
【0059】
(b3)「予定表」:ユーザの予定表の内容を示す案内情報を音声でユーザに提供する。
【0060】
(b4)「仕事ニュース」:仕事に関連するニュースの内容を示す案内情報を音声でユーザに提供する。
【0061】
(b5)「クーポン取得」:ユーザが利用する店舗で利用可能なクーポンを取得し、そのクーポンの内容を示す案内情報をユーザに提供する。
【0062】
(b6)「店舗検索」:ユーザが所望する商品を安く販売している店舗を検索し、検索結果を示す案内情報をユーザに提供する。
【0063】
運転系アプリ25aは、車両5のエンジンが始動して車両5が走行可能となった時点で速やかに実行される。これに対して、情報系アプリ25bは、所定の実行条件が満足した場合に実行される。このような情報系アプリ25bの実行条件は、情報系アプリ25bごとに設定されている。例えば、「仕事メール」及び「仕事ニュース」は、車両5の位置がユーザの勤務先に近づいた場合に実行条件が満足する。したがって、ユーザが通勤のために勤務先に向けて車両5を運転すると「仕事メール」及び「仕事ニュース」が自動的に実行されるため、ユーザは、勤務先に到着する前に仕事に関連する電子メールやニュースの内容を把握できることになる。
【0064】
また、情報系アプリ25bは、ユーザが操作部22を介して実行を指示した場合にも実行される。
図3は、情報系アプリ25bの実行を指示するための、ディスプレイ21に表示されるアプリケーション指定画面の一例を示す図である。このアプリケーション指定画面は、操作部22を介して所定の操作を行うことで表示される。
【0065】
図3に示すように、アプリケーション指定画面においては、車載装置2にインストールされた情報系アプリ25bのアイコン21aの一覧が表示される。このように表示されるアイコン21aはそれぞれ、一つの情報系アプリ25bに対応しており、対応する情報系アプリ25bの実行の指示をユーザから受け付ける。情報系アプリ25bの数が多く、一つの画面に全てのアイコン21aを表示できない場合は、アプリケーション指定画面の端部に切替ボタン21bが表示される。ユーザがタッチパネルを介して切替ボタン21bを指定した場合は、アプリケーション指定画面に表示されるアイコン21aが変更される。
【0066】
ユーザは、所望の情報系アプリ25bを実行させたい場合は、このようなアプリケーション指定画面から所望の情報系アプリ25bのアイコン21aを探し出し、タッチパネルを介してそのアイコン21aを指定する。これにより、指定したアイコン21aに対応する情報系アプリ25bを実行させることができる。なお、運転系アプリ25aは、車両5が走行可能となった時点で実行されるため、アプリケーション指定画面には運転系アプリ25aに対応するアイコンは表示されない。
【0067】
<1−3.サーバ装置の構成>
次に、サーバ装置1の構成について説明する。
図4は、主にサーバ装置1の構成を示す図である。サーバ装置1は、CPU10、RAM11及びROM12を備えるコンピュータである。また、サーバ装置1は、ネットワーク9を介して通信を行う通信部13と、不揮発性の記憶装置であるハードディスク14とを備えている。サーバ装置1は、通信部13により、車両5に搭載された車載装置2との間でデータの送受信を行うことが可能となる。
【0068】
ハードディスク14には、プログラム16が記憶されている。CPU11がプログラム16を実行する(プログラム16に従った演算処理を行う)ことにより、サーバ装置1として必要な機能部が実現される。
図4に示す、走行データ処理部101、及び、アプリデータ処理部102は、プログラム16の実行により実現される機能部の一部である。
【0069】
また、ハードディスク14には、データベース15が記憶されている。このデータベース15においては、走行データテーブル15aと、アプリデータテーブル15bとが含まれている。これら走行データテーブル15a及びアプリデータテーブル15bは車載装置2を利用するユーザごとに用意され、ユーザの識別情報に関連付けて登録されている。
【0070】
走行データテーブル15aは、当該ユーザが過去に車両5を運転したときの状況を示している。
図5は、走行データテーブル15aの一例を示す図である。走行データテーブル15aは、複数のレコードRaを有している。走行データテーブル15aの各レコードRaは、当該ユーザによる車両5の一回の運転ごとの状況を示している。このようなレコードRaは、ユーザが車両5を運転するごとに追加される。したがって、走行データテーブル15aは、当該ユーザによる過去の運転履歴を示すことになる。
【0071】
各レコードRaにおいては、レコードRaを識別するための「運転ID」と、当該運転の状況を示す具体的な運転データ(「日付」「曜日」「出発時刻」「到着時刻」「出発地」「到着地」など)と、当該運転における車両5の使用用途(運転の目的)を示す「使用用途」とが対応付けられている。「使用用途」としては、「通勤」「出張」「買い物」「送り迎え」「レジャー」などがある。
【0072】
運転データは、ユーザが車両5を運転するごとに車載装置2から送信される。走行データ処理部101(
図4参照。)は、このようにして車載装置2から受信した運転データに「運転ID」と「使用用途」とを付加して、走行データテーブル15aの一のレコードRaとして登録する。走行データ処理部101は、このようにして車載装置2から受信した運転データ(特に「到着地」)に基づいて「使用用途」を判断する。また、このような各レコードRaの「使用用途」は、ユーザが車載装置2などを利用して編集できるようにもなっている。
【0073】
一方、アプリデータテーブル15bは、車両5の「使用用途」ごとに当該ユーザが必要とする情報系アプリ25bを示している。前述のように、車載装置2においては様々な情報系アプリ25bがインストールされているが、車両5の「使用用途」によっては、全ての情報系アプリ25bをユーザが必要とするわけではない。
【0074】
例えば、車両5の「使用用途」が「通勤」の場合は「仕事メール」や「仕事ニュース」は必要となるが、「クーポン取得」や「店舗検索」は必要とならない。このため、アプリデータテーブル15bにおいては、「使用用途」ごとにユーザが必要とする情報系アプリ25bが登録されている。なお、アプリデータテーブル15bには運転系アプリ25aに関するデータは登録されていない。
【0075】
図6は、アプリデータテーブル15bの一例を示す図である。アプリデータテーブル15bは、複数のレコードRbを有している。アプリデータテーブル15bの各レコードRbは一の「使用用途」に対応し、その「使用用途」に必要とする一以上の情報系アプリ25bを示している。
【0076】
各レコードRbにおいては、「使用用途」と、車載装置2にインストールされた複数の情報系アプリ25bのそれぞれに関して必要か否かの要否データとが対応付けられている。レコードRbにおいては、要否データとして、「仕事メール」「駐車場情報」「予定表」などの各情報系アプリ25bに関して必要な場合は「要」、不要な場合は「−」がそれぞれ登録されている。すなわち、各レコードRbにおいて「要」と示された情報系アプリ25bが、当該「使用用途」において必要となる情報系アプリ25bとなる。なお、「使用用途」が「その他」となるレコードRbにおいては、全ての情報系アプリ25bに関して「要」が要否データとして登録されている。このような各レコードRbの要否データの内容は、ユーザが車載装置2などを利用して編集できるようになっている。
【0077】
アプリデータ処理部102は、車載装置2から車両5のその時点の「使用用途」を受信する。そして、アプリデータ処理部102は、アプリデータテーブル15bを参照し、当該「使用用途」に対応する要否データ(すなわち、当該「使用用途」において必要となる一以上の情報系アプリ25bを示すデータ)を、車載装置2に送信する。
【0078】
<1−4.通信システムの処理>
次に、通信システム100の処理について説明する。
図7は、車載装置2における制御用のプログラム25c(
図2参照。)の実行により実現される制御部20の機能部を含む、通信システム100の機能的な構成を示す図である。図中の情報取得部201、運転データ送信部202、ユーザ特定部203、用途特定部204、アプリ選択部205、実行禁止部206、アプリ実行部207、終了処理部208及び表示装置決定部209は、制御用のプログラム25cの実行により実現される制御部20の機能部である。
【0079】
情報取得部201は、制御部20の計時回路、GPS23、ナビゲーション部24及び電源検知部29などを利用して、各種の情報を取得する。情報取得部201は、例えば、計時回路が計時する時刻情報(日時、曜日及び時刻)、GPS23が取得する位置情報(車両5の位置)、ナビゲーション部24が設定する目的地、及び、電源検知部29が検出する電源線59の状態などを取得できる。さらに、情報取得部201は、車内通信部28を利用して、レーダ54の検出結果、車載カメラ55が取得した画像、車速センサ56が検出した走行速度、及び、クリアランスソナー57の検出結果なども取得できる。
【0080】
運転データ送信部202は、このように情報取得部201が取得した情報を、ユーザが車両5を運転するごとに、運転データとして外部通信部26を利用してサーバ装置1に送信する。走行データ処理部101は、このようにして車載装置2から送信された運転データを、走行データテーブル15aに登録することになる。
【0081】
また、ユーザ特定部203、用途特定部204、アプリ選択部205、実行禁止部206、アプリ実行部207、終了処理部208及び表示装置決定部209は、アプリケーションの実行に係る処理を行う。
図8は、アプリケーションの実行に係る車載装置2の処理の流れを示す図である。以下、
図7及び
図8を参照して、アプリケーションの実行に係る車載装置2の処理の流れについて説明する。
【0082】
車載装置2は、車両5の電源線59が通電状態となると起動する。車載装置2が起動すると、まず、アプリ実行部207が、全ての運転系アプリ25aを実行(起動)する(ステップS11)。車載装置2が起動した時点は電源線59が通電状態となった直後であることから、車両5のエンジンが始動して車両5は走行可能となった時点となる。したがって、アプリ実行部207は、実質的に、車両5が走行可能となった時点で運転系アプリ25aを実行することになる。このように車両5が走行可能となった時点で運転系アプリ25aを実行することにより、車両5の「使用用途」に関わらず、運転に関して必要となる案内情報や機能を速やかにユーザに提供できる。
【0083】
次に、情報系アプリ25bの選択結果を示すアプリ選択情報20aが、記憶部25に記憶されているか否かが判定される(ステップS12)。このアプリ選択情報20aが記憶されている場合は、車載装置2にインストールされた複数の情報系アプリ25bのうちから「使用用途」に応じた情報系アプリ25bがアプリ選択部205によって既に選択されている。この場合は(ステップS12にてYes)、ステップS13〜S15が省略され、処理はステップS16に進む。
【0084】
一方、アプリ選択情報20aが記憶されていない場合は(ステップS12にてNo)、次に、ユーザ特定部203が、車両5のユーザ(ドライバ)を特定する(ステップS13)。ユーザ特定部203は、例えば、車載カメラ55が取得した車室内の画像に基づいて、ユーザを特定することができる。なお、車両5が、ICカード等を用いた個人認証や生体認証などを行う認証装置を備えている場合は、その認証装置の結果を用いてユーザを特定してもよい。また、ユーザ特定部203が、車両5のドライバ以外の同乗者をさらに特定してもよい。
【0085】
次に、用途特定部204が、ユーザ特定部203に特定されたユーザによる車両5の「使用用途」を特定する(ステップS14)。この「使用用途」の特定には、サーバ装置1に登録された走行データテーブル15aが利用される。
【0086】
用途特定部204は、走行データテーブル15aを要求する要求信号をサーバ装置1に送信する。要求信号は、ユーザ特定部203に特定された車両5のユーザの識別情報を含んでいる。サーバ装置1の走行データ処理部101は、この要求信号に応答して当該ユーザの識別情報に関連付けられた走行データテーブル15aをデータベース15から選択して、車載装置2に送信する。これにより、用途特定部204は、車両5のユーザの走行データテーブル15a(すなわち、ユーザの過去の運転履歴)を取得する。
【0087】
また、用途特定部204は、情報取得部201を利用して、「曜日」、「時刻」及び「位置」などの車両5の走行前の情報(車両5の現時点の情報)を取得する。そして、用途特定部204は、これらの走行前の情報に基づいて、走行データテーブル15aを参照して、車両5の「使用用途」を推定する。例えば、用途特定部204は、走行データテーブル15aに登録された複数のレコードRaのうちから、運転データが車両5の走行前の情報に類似するいくつかのレコードRaを抽出する。用途特定部204は、抽出したレコードRaの運転データと車両5の走行前の情報との類似の程度、及び、抽出したレコードRaに含まれる「使用用途」の頻度などに基づいて、車両5の「使用用途」を推定する。
【0088】
ユーザが、特定の「使用用途」で習慣的に車両5を運転する場合は、一般に、「曜日」、「時刻」及び「位置」などの走行前の情報は類似する。例えば、ユーザが「通勤」の「使用用途」で習慣的に車両5を運転する場合は、例えば、「曜日」は平日、「時刻」は午前7時前後、「位置」は自宅というように、走行前の情報は大きくは変化しない。この原理により、用途特定部204は、走行前の情報と、走行データテーブル15a(ユーザの過去の運転履歴)とに基づいて車両5の「使用用途」を推定できる。
【0089】
なお、走行データテーブル15aに類似するレコードRbが存在しないなどにより、車両5の「使用用途」を推定できない場合は、用途特定部204は「使用用途」を「その他」と特定すればよい。また、ユーザがナビゲーション機能のための目的地を設定している場合は、この目的地や目的地までのルートを考慮して車両5の「使用用途」を推定してもよい。また、ユーザ特定部203が車両5のドライバ以外の同乗者を特定している場合は、この同乗者を考慮して車両5の「使用用途」を推定してもよい。
【0090】
このようにして用途特定部204が車両5の「使用用途」を特定すると、次に、アプリ選択部205が、車載装置2にインストールされた複数の情報系アプリ25bのうちから「使用用途」に応じた一以上の情報系アプリ25bを選択する(ステップS15)。この情報系アプリ25bの選択には、サーバ装置1に登録されたアプリデータテーブル15bが利用される。
【0091】
アプリ選択部205は、「使用用途」において必要となる情報系アプリ25bを示すデータを要求する要求信号をサーバ装置1に送信する。要求信号は、用途特定部204に特定された「使用用途」と、ユーザ特定部203に特定された車両5のユーザの識別情報とを含んでいる。サーバ装置1のアプリデータ処理部102は、この要求信号に応答して当該ユーザの識別情報に関連付けられたアプリデータテーブル15bから、「使用用途」に対応するレコードRb選択し、そのレコードRbの要否データを車載装置2に送信する。これにより、アプリ選択部205は、「使用用途」に対応する要否データ(すなわち、「使用用途」において必要となる一以上の情報系アプリ25bを示すデータ)を取得する。
【0092】
アプリ選択部205は、取得した要否データに従って、車載装置2にインストールされた複数の情報系アプリ25bのうちから「使用用途」に応じた一以上の情報系アプリ25bを選択する。そして、用途特定部204は、情報系アプリ25bの選択結果を示すアプリ選択情報20aを生成して記憶部25に記憶する。
【0093】
このようにアプリ選択情報20aが記憶されると、次に、実行禁止部206が、アプリ選択情報20aに基づいて、アプリ選択部205に選択されなかった非選択の情報系アプリ25bの実行を禁止する。一方で、実行禁止部206は、アプリ選択部205に選択された情報系アプリ25bの実行を許可する(ステップS16)。
【0094】
実行禁止部206は、具体的には、非選択の情報系アプリ25bを実行(起動)しないようにアプリ実行部207を制御する。これにより、以降は、車両5の「使用用途」に必要な情報系アプリ25bのみが実行され、車両5の「使用用途」に不要な情報系アプリ25bが無駄に実行されなくなる。
【0095】
また、実行禁止部206は、非選択の情報系アプリ25bのアイコン21aをアプリケーション指定画面に表示させないようにディスプレイ21を制御する。これにより、アプリケーション指定画面には、車両5の「使用用途」に必要な情報系アプリ25bのアイコン21aのみが表示され、車両5の「使用用途」に不要な情報系アプリ25bのアイコン21aが表示されなくなる。
【0096】
図9は、車両5の「使用用途」が「通勤」の場合のアプリケーション指定画面の例を示している。
図9のアプリケーション指定画面においては、「通勤」に必要な情報系アプリ25bとなる「仕事メール」、「予定表」及び「仕事ニュース」のアイコン21aのみが表示されている。また、
図10は、車両5の「使用用途」が「買い物」の場合のアプリケーション指定画面の例を示している。
図10のアプリケーション指定画面においては、「買い物」に必要な情報系アプリ25bとなる「クーポン取得」及び「店舗検索」のアイコン21aのみが表示されている。
【0097】
このようにアプリケーション指定画面においては、車両5の「使用用途」に必要な情報系アプリ25bのアイコン21aのみが表示される。このため、ユーザは、アプリケーション指定画面から、実行させたい情報系アプリ25bのアイコン21aを容易に探すことができる。
【0098】
ところで、実行禁止部206は、上記のように非選択の情報系アプリ25bの実行を禁止するが、運転系アプリ25aに関しては実行を禁止せず、全ての運転系アプリ25aの実行を許可する。このため、車両5の運転に関係する案内情報や機能については、車両5の「使用用途」に関わらず安定してユーザに提供できる。
【0099】
以降、アプリ実行部207は、アプリ選択部205に選択され実行が許可された情報系アプリ25bのみに関して、実行条件が満足するか、あるいは、ユーザから実行の指示がなされるかを監視する(ステップS17)。そして、実行が許可された情報系アプリ25bのいずれかに関して、実行条件が満足した場合、あるいは、ユーザから実行の指示がなされた場合(ステップS17にてYes)は、アプリ実行部207が当該情報系アプリ25bを実行(起動)する(ステップS18)。
【0100】
また、車両5の目的地が設定されている場合は(ステップS19にてYes)、終了処理部208が、情報取得部201が取得する車両5の位置に基づいて、車両5が目的地に到着したか否かを判定する(ステップS20)。なお、「使用用途」などに基づいて車両5の目的地が推定できる場合も、推定した目的地に関して同様の判定を行うようにしてよい。例えば、「使用用途」が「通勤」の場合は、車両5の目的地は勤務先であると推定可能である。そして、車両5が目的地に到着した場合は、終了処理部208は、記憶部25からアプリ選択情報20aを消去する(ステップS22)。
【0101】
一方、終了処理部208は、車両5の目的地が設定されていない場合は(ステップS19にてNo)、情報取得部201が取得する電源線59の状態に基づいて、車載装置2が動作を停止するか否かを判定する(ステップS21)。終了処理部208は、電源線59が非通電状態となると、車載装置2がまもなく動作を停止すると判定する。そして、車載装置2が動作を停止する場合は、その直前において、終了処理部208は、記憶部25からアプリ選択情報20aを消去する(ステップS22)。
【0102】
このような終了処理部208の処理により、車両5の目的地が存在する場合は、車両5が目的地に到着するまでは、アプリ選択情報20aが記憶部25に記憶された状態とされる。記憶部25は不揮発性の記憶装置であるため、車載装置2が動作を停止した場合であっても、アプリ選択情報20aは記憶部25に記憶されたまま維持される。
【0103】
また、前述のように、車載装置2の起動後においてアプリ選択情報20aが記憶部25に記憶されている場合は、「使用用途」を特定してその「使用用途」に応じた情報系アプリ25bを選択する処理(ステップS13〜S15)が省略される。したがって、アプリ選択部205は、車載装置2が動作を停止した場合であっても、車両5が目的地に到着するまでは、選択した情報系アプリ25bを変更しないことになる。
【0104】
仮に車載装置2が起動するたびに「使用用途」を推定してその「使用用途」に応じた情報系アプリ25bを選択するようにしたと仮定する。この場合には、目的地以外の場所に一時的に車両5を駐車した場合においては、車載装置2を再起動したときに車両5の「位置」などが出発地から変わるため、正しい「使用用途」を特定できない可能性がある。これに対して、本実施の形態の車載装置2では、車両5が目的地に到着するまで選択した情報系アプリ25bを変更しないため、目的地以外の場所に一時的に車両5を駐車した場合であっても、目的地に到着するまで正しい「使用用途」に応じた情報系アプリ25bを継続して実行することができる。
【0105】
<1−5.表示装置の選択>
ところで、車載装置2においては、運転系アプリ25a及び情報系アプリ25bを含む多数のアプリケーションが並列的に実行される。したがって、並列的に実行された複数のアプリケーションが、同時期にユーザに対して案内情報を提供する場合がある。例えば、運転系アプリ25aの「歩行者検知」が歩行者の存在を示す案内情報をユーザに提供するとほぼ同時に、情報系アプリ25bの「駐車場情報」が駐車場の混雑状況を示す案内情報をユーザに提供するといった場合が生じる。
【0106】
このようにユーザに提供すべき複数の案内情報が同時期に存在する場合は、表示装置決定部209(
図7参照。)が、それら複数の案内情報それぞれを表示する表示装置を、ヘッドアップディスプレイ51、メータディスプレイ52、車載装置2のディスプレイ21、及び、ミラーディスプレイ53のうちから決定する。そして、表示装置決定部209は、決定した表示装置に案内情報を表示させるようになっている。
【0107】
アプリケーションが提供する案内情報にはそれぞれ優先度が付されている。通常、運転系アプリ25aが提供する案内情報の優先度は比較的高く、情報系アプリ25bが提供する案内情報の優先度は比較的低くなっている。表示装置決定部209は、ユーザに提供すべき複数の案内情報それぞれの優先度を比較し、優先度の高い案内情報からユーザにとって確認しやすい表示装置に表示させる。
【0108】
例えば、ユーザに提供すべき案内情報が4つある場合を想定する。この場合、表示装置決定部209は、最も優先度の高い案内情報をヘッドアップディスプレイ51、2番めに優先度の高い案内情報をメータディスプレイ52、3番めに優先度の高い案内情報を車載装置2のディスプレイ21、最も優先度の低い案内情報をミラーディスプレイ53にそれぞれ表示させる。
【0109】
このように表示装置決定部209は、優先度に応じて複数の案内情報それぞれを表示する表示装置を決定するため、優先度の高い案内情報をユーザが確認しやすい表示装置を介してユーザに提供できる。
【0110】
以上のように、本実施の形態の通信システム100では、用途特定部204が車両5の「使用用途」を特定し、アプリ選択部205が複数の情報系アプリ25bのうちから「使用用途」に応じた一以上の情報系アプリ25bを選択する。そして、実行禁止部206が、複数の情報系アプリ25bのうちアプリ選択部205に選択されなかった情報系アプリ25bの実行を禁止する。このため、車両5の「使用用途」に不要な情報系アプリ25bが無駄に実行されることを防止できる。
【0111】
また、用途特定部204は、車両5の走行前の情報に基づいて「使用用途」を推定するため、車両5の「使用用途」の特定のためにユーザの煩雑な操作を不要とすることができる。
【0112】
また、アプリ実行部207は、車両5が走行可能となった時点で運転系アプリ25aを実行する。一方で、アプリ実行部207は、用途特定部204が車両5の「使用用途」を特定した後に情報系アプリ25bを実行する。このように、アプリ実行部207が車両5が走行可能となった時点で運転系アプリ25aを実行するため、車両5の運転に関係する案内情報や機能を速やかにユーザに提供できる。
【0113】
<2.第2の実施の形態>
次に、第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態の通信システム100の構成及び動作は、第1の実施の形態とほぼ同様であるため、以下、第1の実施の形態との相違点を中心に説明する。
【0114】
図11は、第2の実施の形態の通信システム100の概要を示す図である。第2の実施の形態では、ユーザが車両5に持ち込むタブレット端末やスマートフォンなどの携帯情報端末3と車載装置2とが通信可能となっている。そして、車載装置2は、携帯情報端末3で実行されるアプリケーションが提供する案内情報もユーザに提供できるようになっている。本実施の形態では、このように携帯情報端末3で実行されるアプリケーションにおいても、車両5の「使用用途」に不要なアプリケーションであれば、その実行が禁止される。
【0115】
図12は、主に携帯情報端末3の構成を示す図である。携帯情報端末3は、制御部30と、ディスプレイ31と、操作部32と、記憶部35と、データ通信部311とを備えている。制御部30は、CPU、RAM及びROMなどを備え、携帯情報端末3の全体を制御するマイクロコンピュータである。
【0116】
ディスプレイ31は、各種の画像を表示する表示装置である。また、操作部32は、ユーザの操作を受け付ける操作部材である。操作部32は、ユーザが物理的に操作可能な操作ボタンと、ディスプレイ31の画面に重ねて配置されるタッチパネルとを含んでいる。
【0117】
データ通信部311は、Bluetooth(登録商標)などの無線通信規格を利用した近距離で通信可能な通信機能を備えている。本実施の形態の車載装置2は、これと同一の無線通信規格の通信機能を有するデータ通信部211を
図2の構成に加えて備えている。したがって、車載装置2と携帯情報端末3とは、データ通信部211,311により相互にデータの送受信を行うことが可能である。
【0118】
記憶部35は、例えば、フラッシュメモリなどの不揮発性の記憶装置である。記憶部35は、車両5の運転に関係しない非運転系アプリケーションである情報系アプリ35bのプログラムを記憶している。この情報系アプリ35bは、携帯情報端末3にインストールされたアプリケーションであり、携帯情報端末3において実行可能となっている。情報系アプリ35bは、複数のアプリケーションを含んでいる。
【0119】
また、記憶部35は、制御用のプログラム35cを記憶している。制御部30のCPUがこのプログラム35cを実行する(プログラム35cに従った演算処理を行う)ことにより、制御部30として必要な各種の機能部が実現される。図中の実行連携部301及び出力連携部302は、制御用のプログラム35cの実行により実現される制御部30の機能部である。実行連携部301及び出力連携部302は、車載装置2との連携に必要な処理を行う。
【0120】
図13は、携帯情報端末3における制御用のプログラム35cの実行により実現される制御部30の機能部を含む、通信システム100の機能的な構成を示す図である。
【0121】
図13に示す車載装置2の各機能部は、第1の実施の形態とほぼ同様の処理を行うが、車載装置2にインストールされた運転系アプリ25a及び情報系アプリ25bに加えて、携帯情報端末3にインストールされた情報系アプリ35bも処理の対象としている。
【0122】
アプリ選択部205は、車載装置2にインストールされた複数の情報系アプリ25b、及び、携帯情報端末3にインストールされた情報系アプリ35bのうちから「使用用途」に応じた一以上の情報系アプリ25b,35bを選択する。携帯情報端末3にインストールされた情報系アプリ35bを特定するデータは、携帯情報端末3の実行連携部301からアプリ選択部205に受け渡される。
【0123】
実行禁止部206は、アプリ選択情報20aに基づいて、アプリ選択部205に選択されなかった非選択の情報系アプリ25b,35bの実行を禁止し、アプリ選択部205に選択された情報系アプリ25b,35bの実行を許可する。実行を禁止する対象となるアプリケーションには、携帯情報端末3の情報系アプリ35bも含まれる。
【0124】
また、アプリ実行部207は、アプリ選択部205に選択され実行が許可された情報系アプリ25b,35bのいずれかに関して、実行条件が満足した場合、あるいは、ユーザから実行の指示がなされた場合は、当該情報系アプリ25b,35bを実行する。実行する対象となるアプリケーションが情報系アプリ35bの場合は、アプリ実行部207は、その情報系アプリ35bの実行を指示する指示信号を携帯情報端末3に送信する。携帯情報端末3の実行連携部301は、この指示信号に応答して指定された情報系アプリ35bを実行する。
【0125】
また、携帯情報端末3で実行された情報系アプリ35bが提供する案内情報が存在する場合は、携帯情報端末3の出力連携部302がその案内情報を車載装置2に送信する。表示装置決定部209は、このように携帯情報端末3で実行された情報系アプリ35bの案内情報を表示する表示装置を決定し、決定した表示装置に案内情報を表示させる。表示装置決定部209は、情報系アプリ35bの案内情報の優先度も考慮して、当該案内情報を表示する表示装置を決定する。
【0126】
以上のように、第2の実施の形態では、アプリ選択部205が車載装置2及び携帯情報端末3のいずれかで実行可能な情報系アプリ25b,35bのうちから「使用用途」に応じた一以上の情報系アプリ25bを選択する。そして、実行禁止部206が、複数の情報系アプリ25b,35bのうちアプリ選択部205に選択されなかった情報系アプリ25b,35bの実行を禁止する。このため、携帯情報端末3で実行可能な情報系アプリ35bにおいても、車両5の「使用用途」に不要であれば無駄に実行されることを防止できる。
【0127】
<3.変形例>
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、この発明は上記実施の形態に限定されるものではなく様々な変形が可能である。以下では、このような変形例について説明する。上記実施の形態及び以下で説明する形態を含む全ての形態は、適宜に組み合わせ可能である。
【0128】
上記実施の形態では、車両5で用いる車両用装置は、車両5に搭載される車載装置2であると説明したが、ユーザが車両5に持ち込むタブレット端末やスマートフォンなどの携帯情報端末であってもよい。
【0129】
また、上記実施の形態では、車両用装置のユーザはドライバであると説明したが、車両5に乗車するドライバ以外の同乗者であってもよい。
【0130】
また、上記実施の形態では、用途特定部204は、車両5の走行前の情報に基づいて車両5の「使用用途」を推定していたが、ユーザの操作や、ユーザとの対話などの他の手法によって車両5の「使用用途」を特定してもよい。
【0131】
また、上記実施の形態では、アプリ選択部205は、車両5の「使用用途」のみに基づいて実行を許可するアプリケーションを選択していた。これに対して、アプリ選択部205は、車両5の「使用用途」とともに、目的地、目的地までのルート、同乗者、時間帯などの他の要素をさらに考慮して実行を許可するアプリケーションを選択してもよい。
【0132】
また、上記実施の形態では、電源線59の状態(エンジンが始動しているか否か)に基づいて車両5が走行可能か否かを判定していたが、他の手法で判定してもよい。例えば、車両が電気自動車などの場合は、走行システムが始動しているか否かに基づいて車両が走行可能か否かを判定すればよい。
【0133】
また、上記実施の形態では、実行禁止部206は、非選択の情報系アプリ25bを実行しないようにアプリ実行部207を制御し、さらに、非選択の情報系アプリ25bのアイコン21aを表示させないようにディスプレイ21を制御していた。これに対して、実行禁止部206は、単に、非選択のアプリケーションのアイコン21aを表示させないようにディスプレイ21を制御することのみで、アプリケーションの実行を禁止してもよい。
【0134】
また、実行が禁止されたアプリケーションは、完全に実行できないようにするのではなく、コマンド入力などユーザが特定の操作を行った場合には実行できるようになっていてもよい。
【0135】
また、上記実施の形態において車載装置2が備えていた機能部及びデータの一部または全部は、サーバ装置1が備えていてもよい。例えば、サーバ装置1が、上記実施の形態の用途特定部204やアプリ選択部205と同様の処理を行う機能部を備えていてもよい。
【0136】
また逆に、上記実施の形態においてサーバ装置1が備えていた機能部及びデータの一部または全部は、車両用装置が備えていてもよい。上記実施の形態においてサーバ装置1と車載装置2との連携により実現されると説明した機能を、単体の車両用装置のみにおいて実現してもよい。
【0137】
また、上記実施の形態において車載装置2の一つの機能部によって行われると説明した処理は、サーバ装置1と車載装置2とで分担して行われてもよい。例えば、車両5の「使用用途」を特定する際に、サーバ装置1の機能部が走行データテーブル15aに基づいて車両5の「使用用途」を推定し、車載装置2の機能部がその推定結果に基づいて車両5の「使用用途」を特定するようにしてもよい。
【0138】
また、上記実施の形態においてプログラムの実行によってソフトウェア的に実現されると説明した機能の全部又は一部は電気的なハードウェア回路により実現されてもよく、ハードウェア回路によって実現されると説明した機能の全部又は一部はソフトウェア的に実現されてもよい。また、上記実施の形態において一つのブロックとして説明した機能が、ソフトウェアとハードウェアとの協働によって実現されてもよい。