【文献】
Semiconductor Science and Technology,2005年,20(8),p.805-808
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0003】
有機材料を利用する光電子デバイスは、いくつもの理由から、次第に望ましいものとなりつつある。そのようなデバイスを作製するために使用される材料の多くは比較的安価であるため、有機光電子デバイスは無機デバイスを上回るコスト優位性の可能性を有する。加えて、柔軟性等の有機材料の固有の特性により、該材料は、フレキシブル基板上での製作等の特定用途によく適したものとなり得る。有機光電子デバイスの例は、有機発光デバイス(OLED)、有機光トランジスタ、有機光電池及び有機光検出器を含む。OLEDについて、有機材料は従来の材料を上回る性能の利点を有し得る。例えば、有機放出層が光を放出する波長は、概して、適切なドーパントで容易に調整され得る。
【0004】
OLEDはデバイス全体に電圧が印加されると光を放出する薄い有機膜を利用する。OLEDは、フラットパネルディスプレイ、照明及びバックライティング等の用途において使用するための益々興味深い技術となりつつある。数種のOLED材料及び構成は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、特許文献1、特許文献2、及び特許文献3に記載されている。
【0005】
リン光性放出分子の1つの用途は、フルカラーディスプレイである。そのようなディスプレイの業界標準は、「飽和」色と称される特定の色を放出するように適合された画素を必要とする。特に、これらの標準は、飽和した赤色、緑色及び青色画素を必要とする。色は、当技術分野において周知のCIE座標を使用して測定することができる。
【0006】
緑色放出分子の一例は、下記の構造を有する、
【化1】
Ir(ppy)
3と表示されるトリス(2−フェニルピリジン)イリジウムである。
【0007】
この図面及び本明細書における後出の図面中で、本発明者らは、窒素から金属(ここではIr)への配位結合を直線として描写する。
【0008】
本明細書において使用される場合、用語「有機」は、有機光電子デバイスを製作するために使用され得るポリマー材料及び小分子有機材料を含む。「小分子」は、ポリマーでない任意の有機材料を指し、且つ「小分子」は実際にはかなり大型であってよい。小分子は、いくつかの状況において繰り返し単位を含み得る。例えば、長鎖アルキル基を置換基として使用することは、「小分子」クラスから分子を除去しない。小分子は、例えばポリマー骨格上のペンダント(pendent)基として、又は該骨格の一部として、ポリマーに組み込まれてもよい。小分子は、コア部分上に構築された一連の化学的シェルからなるデンドリマーのコア部分として役立つこともできる。デンドリマーのコア部分は、蛍光性又はリン光性小分子エミッターであってよい。デンドリマーは「小分子」であってよく、OLEDの分野において現在使用されているデンドリマーは全て小分子であると考えられている。
【0009】
本明細書において使用される場合、「頂部」は基板から最遠部を意味するのに対し、「底部」は基板の最近部を意味する。第一層が第二層「の上に配置されている」と記述される場合、第一層のほうが基板から遠くに配置されている。第一層が第二層「と接触している」ことが指定されているのでない限り、第一層と第二層との間に他の層があってもよい。例えば、間に種々の有機層があるとしても、カソードはアノード「の上に配置されている」と記述され得る。
【0010】
本明細書において使用される場合、「溶液プロセス可能な」は、溶液又は懸濁液形態のいずれかの液体媒質に溶解、分散若しくは輸送することができ、及び/又は該媒質から堆積することができるという意味である。
【0011】
配位子は、該配位子が放出材料の光活性特性に直接寄与していると考えられる場合、「光活性」と称され得る。配位子は、該配位子が放出材料の光活性特性に寄与していないと考えられる場合には「補助」と称され得るが、補助配位子は、光活性配位子の特性を変化させることができる。
【0012】
本明細書において使用される場合、当業者には概して理解されるであろう通り、第一の「最高被占分子軌道」(HOMO)又は「最低空分子軌道」(LUMO)エネルギー準位は、第一のエネルギー準位が真空エネルギー準位に近ければ、第二のHOMO又はLUMOエネルギー準位「よりも大きい」又は「よりも高い」。イオン化ポテンシャル(IP)は、真空準位と比べて負のエネルギーとして測定されるため、より高いHOMOエネルギー準位は、より小さい絶対値を有するIP(あまり負でないIP)に相当する。同様に、より高いLUMOエネルギー準位は、より小さい絶対値を有する電子親和力(EA)(あまり負でないEA)に相当する。頂部に真空準位がある従来のエネルギー準位図において、材料のLUMOエネルギー準位は、同じ材料のHOMOエネルギー準位よりも高い。「より高い」HOMO又はLUMOエネルギー準位は、「より低い」HOMO又はLUMOエネルギー準位よりもそのような図の頂部に近いように思われる。
【0013】
本明細書において使用される場合、当業者には概して理解されるであろう通り、第一の仕事関数がより高い絶対値を有するならば、第一の仕事関数は第二の仕事関数「よりも大きい」又は「よりも高い」。仕事関数は概して真空準位と比べて負数として測定されるため、これは「より高い」仕事関数が更に負であることを意味する。頂部に真空準位がある従来のエネルギー準位図において、「より高い」仕事関数は、真空準位から下向きの方向に遠く離れているものとして例証される。故に、HOMO及びLUMOエネルギー準位の定義は、仕事関数とは異なる慣例に準ずる。
【0014】
OLEDについての更なる詳細及び上述した定義は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる特許文献4において見ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0035】
概して、OLEDは、アノード及びカソードの間に配置され、それらと電気的に接続された少なくとも1つの有機層を備える。電流が印加されると、アノードが正孔を注入し、カソードが電子を有機層(複数可)に注入する。注入された正孔及び電子は、逆帯電した電極にそれぞれ移動する。電子及び正孔が同じ分子上に局在する場合、励起エネルギー状態を有する局在電子正孔対である「励起子」が形成される。光は、励起子が緩和した際に、光電子放出機構を介して放出される。いくつかの事例において、励起子はエキシマー又はエキシプレックス上に局在し得る。熱緩和等の非放射機構が発生する場合もあるが、概して望ましくないとみなされている。
【0036】
初期のOLEDは、例えば、参照によりその全体が組み込まれる米国特許第4,769,292号において開示されている通り、その一重項状態から光を放出する放出分子(「蛍光」)を使用していた。蛍光発光は、概して、10ナノ秒未満の時間枠で発生する。
【0037】
ごく最近では、三重項状態から光を放出する放出材料(「リン光」)を有するOLEDが実証されている。参照によりその全体が組み込まれる、Baldoら、「Highly Efficient Phosphorescent Emission from Organic Electroluminescent Devices」、395巻、151〜154、1998;(「Baldo−I」)及びBaldoら、「Very high−efficiency green organic light emitting devices based on electrophosphorescence」、Appl.Phys.Lett.、75巻、3号、4〜6(1999)(「Baldo−II」)。リン光については、参照により組み込まれる米国特許第7,279,704号5〜6段において更に詳細に記述されている。
【0038】
図1は、有機発光デバイス100を示す。図は必ずしも一定の縮尺ではない。デバイス100は、基板110、アノード115、正孔注入層120、正孔輸送層125、電子ブロッキング層130、放出層135、正孔ブロッキング層140、電子輸送層145、電子注入層150、保護層155、カソード160、及び障壁層170を含み得る。カソード160は、第一の導電層162及び第二の導電層164を有する化合物カソードである。デバイス100は、記述されている層を順に堆積させることによって製作され得る。これらの種々の層の特性及び機能並びに材料例は、参照により組み込まれるUS7,279,704、6〜10段において更に詳細に記述されている。
【0039】
これらの層のそれぞれについて、更なる例が利用可能である。例えば、フレキシブル及び透明基板−アノードの組合せは、参照によりその全体が組み込まれる米国特許第5,844,363号において開示されている。p−ドープされた正孔輸送層の例は、参照によりその全体が組み込まれる米国特許出願公開第2003/0230980号において開示されている通りの、50:1のモル比でm−MTDATAをF4−TCNQにドープしたものである。放出材料及びホスト材料の例は、参照によりその全体が組み込まれるThompsonらの米国特許第6,303,238号において開示されている。n−ドープされた電子輸送層の例は、参照によりその全体が組み込まれる米国特許出願公開第2003/0230980号において開示されている通りの、1:1のモル比でBPhenをLiにドープしたものである。参照によりその全体が組み込まれる米国特許第5,703,436号及び同第5,707,745号は、上を覆う透明の、導電性の、スパッタリング蒸着したITO層を持つMg:Ag等の金属の薄層を有する化合物カソードを含むカソードの例を開示している。ブロッキング層の理論及び使用は、参照によりその全体が組み込まれる米国特許第6,097,147号及び米国特許出願公開第2003/0230980号において更に詳細に記述されている。注入層の例は、参照によりその全体が組み込まれる米国特許出願公開第2004/0174116号において提供されている。保護層についての記述は、参照によりその全体が組み込まれる米国特許出願公開第2004/0174116号において見ることができる。
【0040】
図2は、反転させたOLED200を示す。デバイスは、基板210、カソード215、放出層220、正孔輸送層225、及びアノード230を含む。デバイス200は、記述されている層を順に堆積させることによって製作され得る。最も一般的なOLED構成はアノードの上に配置されたカソードを有し、デバイス200はアノード230の下に配置されたカソード215を有するため、デバイス200は「反転させた」OLEDと称されることがある。デバイス100に関して記述されたものと同様の材料を、デバイス200の対応する層において使用してよい。
図2は、いくつかの層が如何にしてデバイス100の構造から省略され得るかの一例を提供するものである。
【0041】
図1及び2において例証されている単純な層構造は、非限定的な例として提供されるものであり、本発明の実施形態は多種多様な他の構造に関連して使用され得ることが理解される。記述されている特定の材料及び構造は、事実上例示的なものであり、他の材料及び構造を使用してよい。機能的なOLEDは、記述されている種々の層を様々な手法で組み合わせることによって実現され得るか、又は層は、設計、性能及びコスト要因に基づき、全面的に省略され得る。具体的には記述されていない他の層も含まれ得る。具体的に記述されているもの以外の材料を使用してよい。本明細書において提供されている例の多くは、単一材料を備えるものとして種々の層を記述しているが、ホスト及びドーパントの混合物等の材料の組合せ、又はより一般的には混合物を使用してよいことが理解される。また、層は種々の副層を有してもよい。本明細書における種々の層に与えられている名称は、厳しく限定することを意図するものではない。例えば、デバイス200において、正孔輸送層225は正孔を輸送し、正孔を放出層220に注入し、正孔輸送層又は正孔注入層として記述され得る。一実施形態において、OLEDは、カソード及びアノードの間に配置された「有機層」を有するものとして記述され得る。有機層は単層を備えていてよく、又は、例えば
図1及び2に関して記述されている通りの異なる有機材料の多層を更に備えていてよい。
【0042】
参照によりその全体が組み込まれるFriendらの米国特許第5,247,190号において開示されているもののようなポリマー材料で構成されるOLED(PLED)等、具体的には記述されていない構造及び材料を使用してもよい。更なる例として、単一の有機層を有するOLEDが使用され得る。OLEDは、例えば、参照によりその全体が組み込まれるForrestらの米国特許第5,707,745号において記述されている通り、積み重ねられてよい。OLED構造は、
図1及び2において例証されている単純な層構造から逸脱してよい。例えば、基板は、参照によりその全体が組み込まれる、Forrestらの米国特許第6,091,195号において記述されている通りのメサ構造及び/又はBulovicらの米国特許第5,834,893号において記述されている通りのくぼみ構造等、アウトカップリングを改良するための角度のついた反射面を含み得る。
【0043】
別段の規定がない限り、種々の実施形態の層のいずれも、任意の適切な方法によって堆積され得る。有機層について、好ましい方法は、参照によりその全体が組み込まれる米国特許第6,013,982号及び同第6,087,196号において記述されているもの等の熱蒸発、インクジェット、参照によりその全体が組み込まれるForrestらの米国特許第6,337,102号において記述されているもの等の有機気相堆積(OVPD)、並びに参照によりその全体が組み込まれる米国特許出願第10/233,470号において記述されているもの等の有機気相ジェットプリンティング(OVJP)による堆積を含む。他の適切な堆積法は、スピンコーティング及び他の溶液ベースのプロセスを含む。溶液ベースのプロセスは、好ましくは、窒素又は不活性雰囲気中で行われる。他の層について、好ましい方法は熱蒸発を含む。好ましいパターニング法は、参照によりその全体が組み込まれる米国特許第6,294,398号及び同第6,468,819号において記述されているもの等のマスク、冷間圧接を経由する堆積、並びにインクジェット及びOVJD等の堆積法のいくつかに関連するパターニングを含む。他の方法を使用してもよい。堆積する材料は、特定の堆積法と適合するように修正され得る。例えば、分枝鎖状又は非分枝鎖状であり、且つ好ましくは少なくとも3個の炭素を含有するアルキル及びアリール基等の置換基は、溶液プロセシングを受ける能力を増強するために、小分子において使用され得る。20個以上の炭素を有する置換基を使用してよく、3〜20個の炭素が好ましい範囲である。非対称構造を持つ材料は、対称構造を有するものよりも良好な溶液プロセス性を有し得、これは、非対称材料のほうが再結晶する傾向が低くなり得るからである。溶液プロセシングを受ける小分子の能力を増強するために、デンドリマー置換基が使用され得る。
【0044】
本発明の実施形態に従って製作されたデバイスは、場合により障壁層を更に備え得る。障壁層の1つの目的は、電極及び有機層を、水分、蒸気及び/又はガス等を含む環境における有害な種への損傷性暴露から保護することである。障壁層は、基板、電極の上、下若しくは隣に、又はエッジを含むデバイスの任意の他の部分の上に堆積し得る。障壁層は、単層又は多層を備えてよい。障壁層は、種々の公知の化学気相堆積技術によって形成され得、単相を有する組成物及び多相を有する組成物を含み得る。任意の適切な材料又は材料の組合せを障壁層に使用してよい。障壁層は、無機若しくは有機化合物又は両方を組み込み得る。好ましい障壁層は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第7,968,146号、PCT特許出願第PCT/US2007/023098号及び同第PCT/US2009/042829号において記述されている通りの、ポリマー材料及び非ポリマー材料の混合物を備える。「混合物」とみなされるためには、障壁層を構成する前記のポリマー及び非ポリマー材料は、同じ反応条件下で及び/又は同時に堆積されるべきである。ポリマー材料対非ポリマー材料の重量比は、95:5から5:95の範囲内となり得る。ポリマー材料及び非ポリマー材料は、同じ前駆体材料から作成され得る。一例において、ポリマー材料及び非ポリマー材料の混合物は、ポリマーケイ素及び無機ケイ素から本質的になる。
【0045】
本発明の実施形態に従って製作されたデバイスは、フラットパネルディスプレイ、コンピュータモニター、医療モニター、テレビ、掲示板、屋内若しくは屋外照明及び/又は信号送信用のライト、ヘッドアップディスプレイ、完全透明ディスプレイ、フレキシブルディスプレイ、レーザープリンター、電話、携帯電話、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、ラップトップコンピュータ、デジタルカメラ、カムコーダー、ファインダー、マイクロディスプレイ、車、大面積壁、劇場又はスタジアムのスクリーン、或いは看板を含む多種多様な消費者製品に組み込まれ得る。パッシブマトリックス及びアクティブマトリックスを含む種々の制御機構を使用して、本発明に従って製作されたデバイスを制御することができる。デバイスの多くは、摂氏18度から摂氏30度、より好ましくは室温(摂氏20〜25度)等、ヒトに快適な温度範囲内での使用が意図されている。
【0046】
本明細書において記述されている材料及び構造は、OLED以外のデバイスにおける用途を有し得る。例えば、有機太陽電池及び有機光検出器等の他の光電子デバイスが、該材料及び構造を用い得る。より一般的には、有機トランジスタ等の有機デバイスが、該材料及び構造を用い得る。
【0047】
用語ハロ、ハロゲン、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリルキル(arylkyl)、複素環式基、アリール、芳香族基及びヘテロアリールは当技術分野において公知であり、参照により本明細書に組み込まれるUS7,279,704、31〜32段において定義されている。
【0048】
ある特定の2−フェニルピリジン金属錯体は、緑色リン光発光を産出する。2−フェニルピリジン配位子のピリジン環上にカルバゾール又はジアリールアミノ置換基を含む新たな金属錯体が提供される。ジアリールアミン又はカルバゾール部分は共役を増大させ、電子供与体として機能する。そのような置換は、優れた熱及びデバイス安定性による高量子効率を持つ緑色リン光発光を呈する化合物につながり、これが稼働寿命の改良につながる。
【0049】
新たなヘテロレプティック金属錯体が提供され、ここで、該金属は、カルバゾール又はジアリールアミノ部分で更に置換されている少なくとも1つの2−フェニルピリジン配位子と錯体を形成している。そのような錯体は、OLEDにおいて有利に使用され得る。特定のそのようなヘテロレプティック錯体は、式(I)の化合物:
【化13】
(I)
[式中、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5及びR
6は、モノ、ジ、トリ、テトラ若しくはペンタ置換又は無置換であることをそれぞれ表し;Zは、2つのフェニル環を接続する単結合であるか又は存在せず、Zが存在しない場合、フェニル環上の位置はR
5又はR
6によって置換されていてよく;任意の2個の隣接する置換基は、互いに結合して環を形成していてもよく、該環は、更に置換されていてよく;R
1、R
2、R
3、R
4、R
5及びR
6のそれぞれは、水素、重水素、ハロゲン化物、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、ホスフィノ、及びそれらの組合せからなる群から独立に選択され、且つmは1又は2である]
を含む。
【0050】
式(II)のヘテロレプティック錯体:
【化14】
(II)
[式中、変数は、上記で提供されている定義を有する]
も提供される。
【0051】
式(III)のヘテロレプティック錯体:
【化15】
(III)
[式中、変数は、上記で提供されている定義を有する]
も提供される。
【0052】
式(IV)のヘテロレプティック錯体:
【化16】
(IV)
[式中、変数は、上記で提供されている定義を有する]
も提供される。
【0053】
式(V)のヘテロレプティック錯体:
【化17】
(V)
[式中、変数は、上記で提供されている定義を有する]
も提供される。
【0054】
前述のヘテロレプティック錯体のいずれかについて、mは任意の適切な値を有し得る。いくつかの実施形態において、mは1である。他の実施形態において、mは2である。
【0055】
前述のヘテロレプティック錯体のいくつかの実施形態において、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5及びR
6は、式(I)の化合物について定められた通りの値を有する。しかしながら、いくつかの実施形態において、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5及びR
6のそれぞれは、水素、重水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、及びそれらの組合せからなる群から独立に選択される。いくつかの他の実施形態において、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5及びR
6のそれぞれは、水素、重水素、アルキル、及びそれらの組合せからなる群から独立に選択される。いくつかの更なる実施形態において、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5及びR
6のそれぞれは、水素、重水素、メチル、エチル、プロピル、1−メチルエチル、ブチル、1−メチルプロピル、2−メチルプロピル、ペンチル、1−メチルブチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、1,1−ジメチルプロピル、1,2−ジメチルプロピル、2,2−ジメチルプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニル、2,6−ジメチルフェニル、2,4,6−トリメチルフェニル、2,6−ジイソプロピルフェニル、及びそれらの組合せからなる群から独立に選択される。
【0056】
ヘテロレプティック錯体が提供され、該錯体は、
【化18】
からなる群から選択される。
【0057】
ヘテロレプティック錯体が提供され、該錯体は、
【化19】
からなる群から選択される。
【0058】
ヘテロレプティック錯体が提供され、該錯体は、
【化20】
【化21】
からなる群から選択される。
【0059】
ヘテロレプティック錯体が提供され、該錯体は、
【化22】
からなる群から選択される。
【0060】
デバイスも提供される。デバイスは、アノードと、カソードと、アノード及びカソードの間に配置された有機層とを含み得、ここで、該有機層は、先の実施形態のいずれかのヘテロレプティック錯体を備える。
【0061】
本発明は、任意の特定の種類のデバイスに限定されない。いくつかの実施形態において、デバイスは消費者製品である。いくつかの実施形態において、デバイスは有機発光デバイス(OLED)である。他の実施形態において、デバイスはライティングパネルを備える。
【0062】
いくつかの実施形態において、デバイスの有機層は放出層である。いくつかのそのような実施形態において、ヘテロレプティック錯体は放出ドーパントである。いくつかの他の実施形態において、ヘテロレプティック錯体は非放出ドーパントである。
【0063】
いくつかの実施形態において、デバイスの有機層は、ホストを更に備える。
【0064】
いくつかのそのような実施形態において、ホストは、ベンゾ縮合チオフェン又はベンゾ縮合フランを含有するトリフェニレンを備え、該ホスト中の任意の置換基は、C
nH
2n+1、OC
nH
2n+1、OAr
1、N(C
nH
2n+1)
2、N(Ar
1)(Ar
2)、CH=CH−C
nH
2n+1、C≡CHC
nH
2n+1、Ar
1、Ar
1−Ar
2、C
nH
2n−Ar
1からなる群から独立に選択される非縮合置換基であるか、又は無置換であり、nは1から10までであり、且つ、Ar
1及びAr
2は、ベンゼン、ビフェニル、ナフタレン、トリフェニレン、カルバゾール、及びそれらのヘテロ芳香族類似体からなる群から独立に選択される。いくつかのそのような実施形態において、ホストは、
【化23】
及びそれらの組合せからなる群から選択される化合物である。
【0065】
いくつかの他の実施形態において、ホストは金属錯体を備える。
【0066】
他の材料との組合せ
有機発光デバイス中の特定の層に有用として本明細書において記述されている材料は、デバイス中に存在する多種多様な他の材料と組み合わせて使用され得る。例えば、本明細書において開示されている化合物は、多種多様なホスト、輸送層、ブロッキング層、注入層、電極、及び存在し得る他の層と併せて使用され得る。以下で記述又は参照される材料は、本明細書において開示されている化合物と組み合わせて有用となり得る材料の非限定的な例であり、当業者であれば、組み合わせて有用となり得る他の材料を特定するための文献を容易に閲覧することができる。
【0067】
本発明において使用される正孔注入/輸送材料は特に限定されず、その化合物が正孔注入/輸送材料として典型的に使用されるものである限り、任意の化合物を使用してよい。材料の例は、フタロシアニン又はポルフィリン(porphryin)誘導体;芳香族アミン誘導体;インドロカルバゾール誘導体;フッ化炭化水素を含有するポリマー;伝導性ドーパントを持つポリマー;PEDOT/PSS等の導電性ポリマー;ホスホン酸及びシラン(sliane)誘導体等の化合物に由来する自己集合モノマー;MoO
x等の金属酸化物誘導体;1,4,5,8,9,12−ヘキサアザトリフェニレンヘキサカルボニトリル等のp型半導体有機化合物;金属錯体、並びに架橋性化合物を含むがこれらに限定されない。
【0068】
HIL又はHTL中に使用される芳香族アミン誘導体の例は、下記の一般構造:
【化24】
を含むがこれらに限定されない。
【0069】
Ar
1からAr
9のそれぞれは、ベンゼン、ビフェニル、トリフェニル、トリフェニレン、ナフタレン、アントラセン、フェナレン、フェナントレン、フルオレン、ピレン、クリセン、ペリレン、アズレン等の芳香族炭化水素環式化合物からなる群;ジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、ジベンゾセレノフェン、フラン、チオフェン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ベンゾセレノフェン、カルバゾール、インドロカルバゾール、ピリジルインドール、ピロロジピリジン、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、チアゾール、オキサジアゾール、オキサトリアゾール、ジオキサゾール、チアジアゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン、オキサジン、オキサチアジン、オキサジアジン、インドール、ベンズイミダゾール、インダゾール、インドキサジン、ベンゾオキサゾール、ベンズイソオキサゾール、ベンゾチアゾール、キノリン、イソキノリン、シンノリン、キナゾリン、キノキサリン、ナフチリジン、フタラジン、プテリジン、キサンテン、アクリジン、フェナジン、フェノチアジン、フェノキサジン、ベンゾフロピリジン、フロジピリジン、ベンゾチエノピリジン、チエノジピリジン、ベンゾセレノフェノピリジン及びセレノフェノジピリジン等の芳香族複素環式化合物からなる群;並びに芳香族炭化水素環式基及び芳香族複素環式基から選択される同じ種類又は異なる種類の基である2から10個の環式構造単位からなる群から選択され、且つ、直接的に、又は酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ケイ素原子、リン原子、ホウ素原子、鎖構造単位及び脂肪族環式基の少なくとも1つを介して、互いに結合している。ここで、各Arは、水素、重水素、ハロゲン化物、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、ホスフィノ、及びそれらの組合せからなる群から選択される置換基によって更に置換されている。
【0070】
一態様において、Ar
1からAr
9は、
【化25】
からなる群から独立に選択される。
【0071】
kは1から20までの整数であり;X
1からX
8はC(CHを含む)又はNであり;Ar
1は、上記で定義したものと同じ基を有する。
【0072】
HIL又はHTL中に使用される金属錯体の例は、下記の一般式:
【化26】
を含むがこれに限定されない。
【0073】
Mは、40より大きい原子量を有する金属であり;(Y
1−Y
2)は二座配位子であり、Y
1及びY
2は、C、N、O、P及びSから独立に選択され;Lは補助配位子であり;mは、1から金属に付着し得る配位子の最大数までの整数値であり;且つ、m+nは、金属に付着し得る配位子の最大数である。
【0074】
一態様において、(Y
1−Y
2)は2−フェニルピリジン誘導体である。
【0075】
別の態様において、(Y
1−Y
2)はカルベン配位子である。
【0076】
別の態様において、Mは、Ir、Pt、Os及びZnから選択される。
【0077】
更なる態様において、金属錯体は、約0.6V未満のFc
+/Fcカップルに対して、溶液中で最小酸化電位を有する。
【0078】
上述したホスト材料に加えて、デバイスは、他のホスト材料を更に備え得る。そのような他のホスト材料の例は特に限定されず、ホストの三重項エネルギーがドーパントのものより大きい限り、任意の金属錯体又は有機化合物を使用してよい。以下の表では、種々の色を放出するデバイスに好ましいものとしてホスト材料を分類しているが、三重項の基準が満たされている限り、任意のホスト材料を任意のドーパントとともに使用してよい。
【0079】
ホストとして使用される金属錯体の例は、下記の一般式:
【化27】
を有することが好ましい。
【0080】
Mは金属であり;(Y
3−Y
4)は二座配位子であり、Y
3及びY
4は、C、N、O、P及びSから独立に選択され;Lは補助配位子であり;mは、1から金属に付着し得る配位子の最大数までの整数値であり;且つ、m+nは、金属に付着し得る配位子の最大数である。
【0081】
一態様において、金属錯体は、
【化28】
である。
【0082】
(O−N)は、原子O及びNに配位された金属を有する二座配位子である。
【0083】
別の態様において、Mは、Ir及びPtから選択される。
【0084】
更なる態様において、(Y
3−Y
4)はカルベン配位子である。
【0085】
ホストとして使用される有機化合物の例は、ベンゼン、ビフェニル、トリフェニル、トリフェニレン、ナフタレン、アントラセン、フェナレン、フェナントレン、フルオレン、ピレン、クリセン、ペリレン、アズレン等の芳香族炭化水素環式化合物からなる群;ジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、ジベンゾセレノフェン、フラン、チオフェン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ベンゾセレノフェン、カルバゾール、インドロカルバゾール、ピリジルインドール、ピロロジピリジン、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、チアゾール、オキサジアゾール、オキサトリアゾール、ジオキサゾール、チアジアゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン、オキサジン、オキサチアジン、オキサジアジン、インドール、ベンズイミダゾール、インダゾール、インドキサジン、ベンゾオキサゾール、ベンズイソオキサゾール、ベンゾチアゾール、キノリン、イソキノリン、シンノリン、キナゾリン、キノキサリン、ナフチリジン、フタラジン、プテリジン、キサンテン、アクリジン、フェナジン、フェノチアジン、フェノキサジン、ベンゾフロピリジン、フロジピリジン、ベンゾチエノピリジン、チエノジピリジン、ベンゾセレノフェノピリジン及びセレノフェノジピリジン等の芳香族複素環式化合物からなる群;並びに芳香族炭化水素環式基及び芳香族複素環式基から選択される同じ種類又は異なる種類の基である2から10個の環式構造単位からなる群から選択され、且つ、直接的に、又は酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ケイ素原子、リン原子、ホウ素原子、鎖構造単位及び脂肪族環式基の少なくとも1つを介して、互いに結合している。ここで、各基は、水素、重水素、ハロゲン化物、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、ホスフィノ、及びそれらの組合せからなる群から選択される置換基によって更に置換されている。
【0086】
一態様において、ホスト化合物は、分子中に下記の群:
【化29】
の少なくとも1つを含有する。
【0087】
R
1からR
7は、水素、重水素、ハロゲン化物、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、ホスフィノ、及びそれらの組合せからなる群から独立に選択され、それがアリール又はヘテロアリールである場合、上記で言及したArのものと同様の定義を有し;kは0から20までの整数であり;X
1からX
8はC(CHを含む)又はNから選択され;且つZ
1及びZ
2はNR
1、O又はSから選択される。
【0088】
正孔ブロッキング層(HBL)を使用して、放出層から出る正孔及び/又は励起子の数を低減させることができる。デバイスにおけるそのようなブロッキング層の存在は、ブロッキング層を欠く同様のデバイスと比較して大幅に高い効率をもたらし得る。また、ブロッキング層を使用して、放出をOLEDの所望の領域に制限することもできる。
【0089】
一態様において、HBL中に使用される化合物は、上述したホストとして使用されるものと同じ分子又は同じ官能基を含有する。
【0090】
別の態様において、HBL中に使用される化合物は、分子中に下記の群:
【化30】
の少なくとも1つを含有する。
【0091】
kは0から20までの整数であり;Lは補助配位子であり、mは1から3までの整数である。
【0092】
電子輸送層(ETL)は、電子を輸送することができる材料を含み得る。電子輸送層は、真性である(ドープされていない)か、又はドープされていてよい。ドーピングを使用して、伝導性を増強することができる。ETL材料の例は特に限定されず、電子を輸送するために典型的に使用されるものである限り、任意の金属錯体又は有機化合物を使用してよい。
【0093】
一態様において、ETL中に使用される化合物は、分子中に下記の群:
【化31】
の少なくとも1つを含有する。
【0094】
R
1は、水素、重水素、ハロゲン化物、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、シリル、アルケニル、シクロアルケニル、ヘテロアルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アシル、カルボニル、カルボン酸、エステル、ニトリル、イソニトリル、スルファニル、スルフィニル、スルホニル、ホスフィノ、及びそれらの組合せからなる群から選択され、それがアリール又はヘテロアリールである場合、上記で言及したArのものと同様の定義を有し;Ar
1からAr
3は、上記で言及したArのものと同様の定義を有し;kは0から20までの整数であり;X
1からX
8はC(CHを含む)又はNから選択される。
【0095】
別の態様において、ETL中に使用される金属錯体は、下記の一般式:
【化32】
を含有するがこれらに限定されない。
【0096】
(O−N)又は(N−N)は、原子O、N又はN、Nに配位された金属を有する二座配位子であり;Lは補助配位子であり;mは、1から金属に付着し得る配位子の最大数までの整数値である。
【0097】
OLEDデバイスの各層中に使用される任意の上記で言及した化合物において、水素原子は、部分的に又は完全に重水素化されていてよい。故に、メチル、フェニル、ピリジル等であるがこれらに限定されない任意の具体的に挙げられている置換基は、それらの重水素化されていない、部分的に重水素化された、及び完全に重水素化されたバージョンを包含する。同様に、アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール等であるがこれらに限定されない置換基のクラスは、それらの重水素化されていない、部分的に重水素化された、及び完全に重水素化されたバージョンも包含する。
【0098】
本明細書において開示されている材料に加えて及び/又はそれらと組み合わせて、多くの正孔注入材料、正孔輸送材料、ホスト材料、ドーパント材料、励起子/正孔ブロッキング層材料、電子輸送及び電子注入材料がOLEDにおいて使用され得る。OLED中で本明細書において開示されている材料と組み合わせて使用され得る材料の非限定的な例を、以下の表1に収載する。表1は、材料の非限定的なクラス、各クラスについての化合物の非限定的な例、及び該材料を開示している参考文献を収載する。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【表1-5】
【表1-6】
【表1-7】
【表1-8】
【表1-9】
【表1-10】
【表1-11】
【表1-12】
【表1-13】
【表1-14】
【表1-15】
【表1-16】
【表1-17】
【表1-18】
【表1-19】
【表1-20】
【表1-21】
【表1-22】
実験
【0100】
ヘテロレプティック錯体のいくつかは、次の通りに合成した。
【0102】
5−ブロモ−2−フェニルピリジンの調製
【化33】
【0103】
5−ブロモ−2−ヨードピリジン(15g、52.8mmol)、フェニルボロン酸(6.44g、52.8mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.611g、0.528mmol)及び炭酸カリウム(83g、598mmol)を、260mLの4:1 DME及び水に添加した。反応混合物を、発泡させた窒素ガスで30分間脱気し、不活性環境において18時間撹拌還流した。冷却した反応混合物を水の上に注ぎ、ブラインと酢酸エチルとに分配した。有機層を合わせ、MgSO
4で乾燥させ、溶媒を減圧下で除去した。5〜15%DCM/ヘキサンを溶離液として使用するシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーにより、粗生成物を精製した。4.18g(33.8%)の5−ブロモ−2−フェニルピリジンが白色固体として単離された。
【0104】
N,N,6−トリフェニルピリジン−3−アミンの調製
【化34】
【0105】
5−ブロモ−2−フェニルピリジン(7.0g、29.9mmol)及びジフェニルアミン(6.07g、35.9mmol)を、500mlの三口丸底フラスコ中の300mlのm−キシレンに溶解し、次いで透明溶液中に窒素を直接30分間パージした。ナトリウムt−ブトキシド(5.75g、59.8mmol)、バイナップ(1.49g、2.39mmol)及びPd
2dba
3(1.10g、1.20mmol)を、溶液にその順序で添加した。反応物を窒素下で終夜激しく加熱還流した。次いで、暗褐色の反応物を、酢酸エチル及び水とともに分液漏斗に移した。水性分を酢酸エチルで2回抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、ロータリーエバポレーターにかけて褐色固体とした。粗生成物をセライトに吸着させ、25/75 DCM/ヘキサンから100%DCM勾配溶媒系を使用するシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。主な生成物スポットを回収し、蒸発させて、ベージュ色の固体(8.0g)とした。
【0107】
N,N,6−トリフェニルピリジン−3−アミン(6.37g、19.75mmol)、フェニルピリジンイリジウムトリフラート中間体(4.7g、6.58mmol)及び130mLのエタノールを、250mlの一口丸底フラスコ中に合わせた。コンデンサーを付着させ、次いでシステムを排気し、窒素で3回パージした。懸濁液を油浴中で終夜激しく加熱還流した。反応物を室温に冷却し、セライトを添加し、次いで焼結濾過漏斗中のセライトパッドを使用して、鮮黄色懸濁液を濾過除去した。固体をエタノールでよく洗浄した。セライトをDCMで洗浄することによって粗生成物を回収し、次いで濾液を蒸発させて、黄色固体とした。50/50 DCM/ヘキサン溶媒系を用いるシリカゲルカラムクロマトグラフィーを使用して、試料を精製した。所望の画分を合わせ、ロータリーエバポレーターにかけて橙黄色固体(4.1g)とした。
【0108】
250mlの一口丸底フラスコ内の150mlのトルエン中、窒素下、油浴を使用して、試料を4時間還流させた。懸濁液を除去し、室温に1時間冷却させ、次いでブフナー漏斗中の濾紙に通して濾過した。60℃に設定した真空オーブン内で終夜、固体を更に乾燥させて、化合物1(2.70g、42.5%収率)を得た。
【0111】
N,N,6−トリフェニルピリジン−3−アミン(2.27g、7.03mmol)及び塩化イリジウム(III)(1g、3.35mmol)を、40mLのエトキシエタノール及び水の3:1混合物中で一緒に混合した。反応混合物に窒素ガスを吹き込んで発泡させることによって脱気し、それを窒素下で18時間撹拌還流した。反応混合物を室温に冷却し、50mLのメタノールで希釈した。固体沈殿物を収集し、更に精製することなく使用した。
【0112】
イリジウムトリフラート中間体の調製
【化37】
【0113】
シルバートリフラート(0.597g、2.325mmol)を8mLのメタノールに溶解し、それにイリジウム二量体(1.84g、1.057mmol)、続いて15mLのジクロロメタンを添加した。反応混合物を、窒素下、暗所で18時間加熱還流した。冷却した反応混合物をセライトプラグに通して濾過した。溶媒を濾液から除去し、単離された固体を更に精製することなく次のステップに使用した。
【0115】
N,N,6−トリフェニルピリジン−3−アミン(1.846g、5.72mmol)及びイリジウムトリフラート中間体(2g、1.908mmol)を60mLのエタノールに添加し、これを18時間撹拌還流した。次いで、冷却した混合物をセライトに通して濾過し、ケーキをエタノールで洗浄した。次いで、濾過漏斗を分離漏斗上に置き、生成物をジクロロメタンで抽出した。濾液の蒸発により、2.0グラムの粗固体を得、これを、1:1から7:3のジクロロメタン/ヘキサンを溶離液として使用しシリカゲル上で精製して、1.45グラム(66%)の化合物Dを取得した。
【0117】
5−ブロモ−4−メチル−2−フェニルピリジンの調製
【化39】
【0118】
2,5−ジブロモ−4−メチルピリジン(25g、100mmol)及びフェニルボロン酸(12.15g、100mmol)を、1Lのフラスコに添加した。次いで、DME(250mL)、水(100mL)及び炭酸カリウム(27.5グラム、200mmol)を添加した。これを脱気した後、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(5.76グラム、5%)を添加した。反応物を終夜撹拌還流した。
【0119】
混合物をセライトに通して濾過し、ケーキを酢酸エチルで洗浄した。次いで、濾液を更なる酢酸エチル及びブラインで希釈した。層を分離した。有機層を濃縮し、ヘキサン中0〜15%DCM、続いてヘキサン中10%酢酸エチルでクロマトグラフィー(シリカゲル)溶離にかけて、18.9グラム(77%)の生成物を油として得た。
【0120】
4−メチル−N,N,6−トリフェニルピリジン−3−アミンの調製
【化40】
【0121】
5−ブロモ−4−メチル−2−フェニルピリジン(7.44g、30.0mmol)を500mLの三口フラスコに添加した。反応混合物をキシレン(250ml)で希釈した。ジフェニルアミン(6.09g、36.0mmol)を添加し、混合物を脱気した。ナトリウムt−ブトキシド(5.77g、60.0mmol)及び2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフタレン(バイナップ)(1.494g、2.400mmol)及びPd
2dba
3(1.099g、1.200mmol)を添加した。これを18時間撹拌還流した。粗混合物をセライトに通して濾過し、最初に1:1 DCM−ヘキサン、次いでヘキサン中5〜10%酢酸エチルの移動相を使用するクロマトグラフィーにかけて、7.68グラム(76%)の生成物を薄黄色の泡状物として生じさせた。
【0123】
4−メチル−N,N,6−トリフェニルピリジン−3−アミン(7.65g、22.74mmol)及びフェニルピリジンイリジウムトリフラート中間体(5.41g、7.58mmol)を、500mLの丸底フラスコに添加した。反応混合物をエタノール(120ml)で希釈し、反応物を23時間撹拌還流した。混合物をセライトに通して濾過し、エタノールで洗浄した。濾過漏斗を異なる濾過フラスコに移動させ、DCMで洗浄した。濾液を蒸発させ、セライトに吸着させ、1:1 DCM−ヘキサンで溶離するクロマトグラフィーにかけて、5.65グラムの化合物2を得た。
【0125】
9−(6−フェニルピリジン−3−イル)−9H−カルバゾールの調製
【化42】
【0126】
5−ブロモ−2−フェニルピリジン(8.0g、34.2mmol)及び9H−カルバゾール(6.86g、41.0mmol)を、1000mlの三口丸底フラスコ中の300mlのm−キシレンに溶解し、次いで反応物中に窒素を直接30分間パージした。ナトリウムtert−ブトキシド(6.57g、68.3mmol)、2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフタレン(1.70g、2.73mmol)、及びPd
2dba
3(1.25g、1.37mmol)を、反応物にその順序で添加した。反応物を窒素下で終夜激しく加熱還流した。
【0127】
暗褐色の反応物を酢酸エチル及び水とともに分液漏斗に移した。ブライン溶液を添加し、次いで水性分を酢酸エチルで2回抽出した。合わせた有機分を飽和ブライン溶液で1回洗浄した。有機分を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、ロータリーエバポレーターにかけて帯赤褐色固体とした。粗生成物をセライトに吸着させ、90/10、次いで85/15 酢酸エチル/ヘキサン溶媒系を使用するシリカゲルカラムで精製した。適切な画分を蒸発させて褐色固体とした。(11.5gの)試料を(600mlの)ヘキサン中で還流し、次いで酢酸エチルを添加することによって再結晶させて、溶液を得た。溶液を冷却させ、次いで焼結フリット漏斗を使用して沈殿物を濾過除去し、ヘキサンで洗浄して、所望生成物(6.3グラム)をオフホワイトの固体として取得した。
【0129】
9−(6−フェニルピリジン−3−イル)−9H−カルバゾール(5.52g、17.2mmol)、フェニルピリジンイリジウムトリフラート中間体(4.1g、5.74mmol)及び120mLのエタノールを、250mlの一口丸底フラスコ中に合わせた。コンデンサーを付着させ、次いでシステムを排気し、窒素で3回パージした。懸濁液を油浴中で40時間激しく加熱還流した。反応物を室温に冷却した。セライトを反応物に添加し、これを濾過して、鮮黄色固体を得た。濾過ケーキをエタノールでよく洗浄した。固体をジクロロメタンに溶解することによってセライトから除去し、次いで溶媒を蒸発させて、黄色固体とした。試料をセライトに吸着させ、次いで、75/25、50/50、その後25/75 ヘキサン/DCM溶媒系で溶離するシリカゲルカラムで精製して、2つのスポットの完全分離を実現した。生成物を含有する画分を合わせ、ロータリーエバポレーターにかけて橙色〜黄色固体を得た。水中95%アセトニトリルで溶離するC18カラム上での逆相クロマトグラフィーを使用して、これを更に精製した。生成物を含有する画分を合わせ、蒸発させて、化合物3の橙色〜黄色固体(1.35g)とした。
【0131】
5−ヨード−4−メチル−2−フェニルピリジンの調製
【化44】
【0132】
5−ブロモ−4−メチル−2−フェニルピリジン(7.01g、28.3mmol)、ヨウ化銅(I)(1.076g、5.65mmol)、N1,N2−ジメチルシクロヘキサン−1,2−ジアミン(1.782ml、11.30mmol)及びヨウ化ナトリウム(12.70g、85mmol)を105mLのジオキサンに添加して、緑色懸濁液を得、これに窒素ガスを吹き込んで発泡させることによって30分間脱気した。反応混合物を20時間加熱還流した。反応混合物を室温に冷却し、飽和塩化アンモニウム溶液と酢酸エチルとに分配した。有機層を合わせ、硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で除去して褐色粗油を得、これを、ヘキサン中10%酢酸エチルを使用するシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製した。5−ヨード−4−メチル−2−フェニルピリジン(7.23g、87%収率)が無色油として単離された。
【0133】
9−(4−メチル−6−フェニルピリジン−3−イル)−9H−カルバゾールの調製
【化45】
【0134】
5−ヨード−4−メチル−2−フェニルピリジン(4g、13.55mmol)、9H−カルバゾール(9.07g、54.2mmol)、(1R,2S)−N1,N2−ジメチルシクロヘキサン−1,2−ジアミン(0.855ml、5.42mmol)、ヨウ化銅(I)(0.516g、2.71mmol)及びリン酸カリウム(14.39g、67.8mmol)を40mLのジオキサンに添加し、30分間脱気した。反応混合物を7日間撹拌還流した。混合物を室温に冷却し、ジオキサンを減圧下で除去した。5〜10%酢酸エチル/ヘキサンを溶離液として使用し、シリカゲル上で粗材料をクロマトグラフィーにかけた。単離された材料を、沸騰しているヘキサン及びDCMから再結晶させた。9−(4−メチル−6−フェニルピリジン−3−イル)−9H−カルバゾール(1.4g、31%収率)が白色結晶性材料として単離された。
【0135】
化合物4及び化合物5の調製
【化46】
【0136】
9−(4−メチル−6−フェニルピリジン−3−イル)−9H−カルバゾール(1.8g、5.38mmol)及びフェニルピリジンイリジウムトリフラート中間体(1.281g、1.794mmol)を50mLのエタノールに添加し、30分間窒素ガスを吹き込んで発泡させることによって脱気した。反応混合物を48時間加熱還流した後、室温に冷却した。粗反応混合物をセライトパッドに通して濾過した。沈殿物を、エタノール、続いてヘキサンで洗浄し、最後にDCMに再溶解した。有機溶媒を減圧下で除去した。20〜50%DCM/ヘキサンを溶離液として使用するシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーによって、暗黄色の粗製物を精製した。90〜95%アセトニトリル/水を使用するC18相上での逆相カラムクロマトグラフィーによって、単離された材料を再精製した。昇華後、化合物4(0.124g)及び化合物5(0.19g)が単離された。
【0138】
全てのデバイス例は、高真空(<10
−7トール)熱蒸発によって製作した。アノード電極は1,200Åのインジウムスズ酸化物(ITO)である。カソードは、10ÅのLiF、続いて1,000ÅのAlからなるものであった。全てのデバイスは、製作直後に、窒素グローブボックス(<1ppmのH
2O及びO
2)中、エポキシ樹脂で密閉したガラスの蓋でカプセル化されており、水分ゲッターをパッケージの内側に組み込んだ。
【0139】
デバイス例の有機積層は、ITO表面から順次、正孔注入層(HIL)としての100Åの化合物B、正孔輸送層(HTL)としての300Åの4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(アルファ−NPD)、ホストとしての化合物C中にイリジウムリン光性化合物である式(I)のヘテロレプティック錯体を10〜15重量パーセントドープした300Åの放出層(EML)、ブロッキング層(BL)としての50Åの化合物C、ETLとしての400又は450ÅのAlq(トリス−8−ヒドロキシキノリンアルミニウム)からなるものであった。比較例は、式(I)のヘテロレプティック錯体の代わりに化合物AをEML中のエミッターとして使用したことを除いて、同じ手法で製作したものである。
【0140】
デバイス試験結果を表2及び3にまとめる。本明細書において使用される場合、NPD、Alq、化合物B及び化合物Cは、下記の構造:
【化47】
を有する。
【表2】
表2:発明化合物及び比較化合物のデバイス構造
【表3】
表3 VTEデバイス結果
【0141】
表3は、デバイスの性能をまとめたものである。駆動電圧(V)、発光効率(LE)、外部量子効率(EQE)及び電力効率(PE)は1,000(nits)で測定したのに対し、寿命(LT
80%)は、40mA/cm
2の一定の電流密度下、その初期輝度(L
0)の80%に減衰するためにデバイスが必要とする時間として定義した。
【0142】
比較例を上回る発明例の利点は、多数且つ明々白々であることの両方である。発明例は、比較例と同じλmax(522nm)を表示する発明例2から出発し、λmaxが538nmである黄色(発明例3)に接近する広範な緑色を提示する。化合物Dは、昇華を試みた際に分解されて、VTEデバイスの形成には無益となった。発明例1〜5の各々は、比較例(6.2V)よりも低い電圧、すなわち、5.2、5.7、6、6.1及び5.6Vをそれぞれ必要とする。効率の全カテゴリーにおいて、発明例は、例外なく、比較例と比べてはるかに高いデバイス効率を実証する。発明例1〜5について発光効率を見ると、値はそれぞれ67.3、58.6、59.6、52.3及び47.4(Cd/A)であり、比較すると、比較例については36.1Cd/Aである。発明例1〜5についての外部量子効率の値は、それぞれ18.9、16.6、16.5、14.4及び13%であるのに対し、比較例についての値はわずか10.1%である。発明例1〜5についての電力効率(PE)の値は、それぞれ40.5、32.2、31、26.9及び26.5lm/Wであるのに対し、比較例の値はわずか18.4lm/Wである。発明例1〜5は、それぞれ18,786、16,462、18,225、16,272及び16,292ニト(nits)の初期輝度値を出したのに対し、比較例は、11,575ニト(nits)の値を出した。最後に、化合物の全てがデバイスにおいて良好な安定性を実証した。発明例1(273時間)及び4(265時間)は、比較例(235時間)のものより優れていた。
【0143】
本明細書において記述されている種々の実施形態は、単なる一例としてのものであり、本発明の範囲を限定することを意図するものではないことが理解される。例えば、本明細書において記述されている材料及び構造の多くは、本発明の趣旨から逸脱することなく、他の材料及び構造に置き換えることができる。したがって、特許請求されている通りの本発明は、当業者には明らかとなるように、本明細書において記述されている特定の例及び好ましい実施形態からの変形形態を含み得る。なぜ本発明が作用するのかについての種々の理論は限定を意図するものではないことが理解される。