特許第6207281号(P6207281)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6207281
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】粘着シート
(51)【国際特許分類】
   C09J 7/00 20060101AFI20170925BHJP
   C09J 7/02 20060101ALI20170925BHJP
   C09J 11/04 20060101ALI20170925BHJP
   C09J 175/04 20060101ALI20170925BHJP
   C09J 123/00 20060101ALI20170925BHJP
【FI】
   C09J7/00
   C09J7/02 Z
   C09J11/04
   C09J175/04
   C09J123/00
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-159639(P2013-159639)
(22)【出願日】2013年7月31日
(65)【公開番号】特開2015-30766(P2015-30766A)
(43)【公開日】2015年2月16日
【審査請求日】2016年4月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101362
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 幸久
(72)【発明者】
【氏名】設樂 浩司
(72)【発明者】
【氏名】徐 創矢
【審査官】 松原 宜史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−193335(JP,A)
【文献】 特開平02−001719(JP,A)
【文献】 特開2011−148876(JP,A)
【文献】 特開2003−313429(JP,A)
【文献】 特開2008−115328(JP,A)
【文献】 永井 進,「実用プラスチック用語辞典」,株式会社プラスチックス・エージ,1989年 9月10日,第3版,p.112
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00−201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースポリマーである水酸基含有ポリオレフィン系樹脂とイソシアネート系架橋剤との反応物及び層状シリケートを含有する粘着剤層を有し、前記層状シリケートの含有量が、前記ベースポリマー100重量部に対し、1〜5重量部であることを特徴とする粘着シート。
【請求項2】
接着力が3.0gf/25mm以上であり、透過率が80%以上である請求項1記載の粘着シート。
【請求項3】
下記で求められる透湿度が、125g/m・day以下である請求項1又は2記載の粘着シート。
透湿度:粘着剤層の厚みが35μmである粘着シートをトリアセチルセルロースフィルム(厚み25μm)に貼り合わせることにより得られる測定用サンプルを用いて、下記条件で、透湿度試験方法(カップ法)により求める。
測定温度:40℃
相対湿度:90%
測定時間:24時間
【請求項4】
接着力が3.0gf/25mm以上であり、透過率が80%以上であり、且つ、下記で求められる透湿度が、125g/m・day以下である請求項1〜3の何れか1項に記載の粘着シート。
透湿度:粘着剤層の厚みが35μmである粘着シートをトリアセチルセルロースフィルム(厚み25μm)に貼り合わせることにより得られる測定用サンプルを用いて、下記条件で、透湿度試験方法(カップ法)により求める。
測定温度:40℃
相対湿度:90%
測定時間:24時間
【請求項5】
前記水酸基含有ポリオレフィン系樹脂が、水添ポリオレフィンである請求項1〜4の何れか1項に記載の粘着シート。
【請求項6】
前記粘着剤層が、架橋構造を有する請求項1〜の何れか1項に記載の粘着シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着シートに関する。より詳細には、防湿性に優れる粘着シートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、防湿用の接着剤や粘着剤として、エポキシ硬化樹脂を用いることが知られている(特許文献1及び特許文献2参照)。しかし、エポキシ硬化樹脂は、接着力を確保するために、貼り合わせ後に熱処理や紫外線処理(UV処理)などの硬化処理が必要であり、熱や紫外線に弱いものに対しては使用をすることが難しく、また、硬化条件の緩和や接着力の確保の点で問題があった。
【0003】
さらに、近年、防湿用の粘着シート分野では、より高いレベルの防湿性が求められるようになってきている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−126699号公報
【特許文献2】特開2012−151109号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明の目的は、粘着シートを被着体に貼り合わせた後に熱処理や紫外線処理などの処理の必要がなく、十分な接着性を発揮するとともに、防湿性に優れる粘着シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、本発明者らが鋭意検討した結果、粘着剤層を有する粘着シートにおいて、粘着剤層の含有するベースポリマーをポリオレフィン系樹脂とし、且つ、粘着剤層に層状シリケートを含有させると、硬化処理(粘着シートを被着体に貼り合わせた後の処理)が不要であり、且つ防湿性に優れる粘着剤層が得られることを見出し、本発明を完成させた。
【0007】
すなわち、本発明は、ベースポリマー及び層状シリケートを含有する粘着剤層を有し、
上記ベースポリマーがポリオレフィン系樹脂であることを特徴とする粘着シートを提供する。
【0008】
上記粘着シートでは、接着力が3.0gf/25mm以上であり、透過率が80%以上であることが好ましい。
【0009】
上記粘着シートでは、下記で求められる透湿度が、125g/m2・day以下であることが好ましい。
透湿度:粘着剤層の厚みが35μmである粘着シートをトリアセチルセルロースフィルム(厚み25μm)に貼り合わせることにより得られる測定用サンプルを用いて、下記条件で、透湿度試験方法(カップ法)により求める。
測定温度:40℃
相対湿度:90%
測定時間:24時間
【0010】
上記ポリオレフィン系樹脂は、主鎖に、水酸基、アミノ基、エポキシ基、カルボキシル基、酸無水物基、シリル基からなる群より選ばれる少なくとも1の官能基を有することが好ましい。
【0011】
上記粘着剤層は、架橋構造を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明粘着シートは、上記構成を有するので、十分な接着性を発揮するとともに、防湿性に優れる。また、粘着シートを被着体に貼り合わせた後に熱処理や紫外線処理などの処理の必要がない。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[粘着シート]
本発明の粘着シートは、ベースポリマーがポリオレフィン系樹脂であり、ベースポリマー及び層状シリケートを含有する粘着剤層を有する。すなわち、本発明の粘着シートは、粘着剤層として、層状シリケートを含有するポリオレフィン系粘着剤層を少なくとも有することが好ましい。なお、本明細書では、上記の「ベースポリマー及び層状シリケートを含有し、ベースポリマーがポリオレフィン系樹脂である粘着剤層」を「粘着剤層A」と称する場合がある。
【0014】
本発明の粘着シートは、粘着剤層A以外にも、基材による層、粘着剤層A以外の粘着剤層(その他の粘着剤層)、他の層(例えば、中間層、下塗り層など)を有していてもよい。また、本発明の粘着シートの粘着剤層表面(粘着面)は、剥離ライナーにより保護されていてもよい。
なお、本明細書において、「粘着シート」には、「粘着テープ」の意味も含むものとする。すなわち、本明細書において、粘着シートは、テープ状(巻回体)の形態を有する粘着シートであってもよい。また、本明細書において、粘着剤層Aを形成する際に用いられる組成物を、「粘着剤組成物A」と称する場合がある。粘着剤組成物は、粘着剤層の形成に用いられる組成物であり、粘着剤の形成に用いられる組成物の意味を含むものとする。
【0015】
本発明の粘着シートは、基材を有する粘着シート(基材付き粘着シート)であってもよく、基材を有していない粘着シート(基材レス粘着シート)であってもよい。本発明の粘着シートとしては、例えば、(1)粘着剤層Aのみからなり、基材を有していない粘着シート(粘着剤層Aのみからなる基材レスの両面粘着シート)、(2)基材の少なくとも一方の面側(両面側又は片面側)に粘着剤層Aを有する粘着シート(基材付き片面粘着シート、基材付き両面粘着シート)などが挙げられる。なお、本発明の粘着シートが両面粘着シートである場合、本発明の粘着シートは、両方の粘着面が粘着剤層Aにより提供される形態を有していてもよいし、一方の粘着面が粘着剤層Aにより提供され、他方の粘着面がその他の粘着剤層(粘着剤層A以外の粘着剤層)により提供される形態を有していてもよい。
【0016】
(粘着剤層A)
本発明の粘着シートは、粘着剤層Aを少なくとも有する。粘着剤層Aは、ベースポリマーとしてポリオレフィン系樹脂を含有する。また、粘着剤層Aは、ベースポリマー以外の成分として、層状シリケートを少なくとも含有する。
【0017】
粘着剤層Aにおけるベースポリマーの割合は、特に限定されないが、十分な接着性を得る点より、粘着剤層A全量(全重量、100重量%)に対して、20重量%以上であることが好ましく、より好ましくは25重量%以上、さらに好ましくは30重量%以上である。
【0018】
本発明の粘着シートにおいて、粘着剤層Aにおけるベースポリマーは、ポリオレフィン系樹脂である。粘着剤層Aは、ポリオレフィン系樹脂をベースポリマーとして含有するので、十分な接着性を有するとともに、優れた防湿性を有する。なお、粘着剤層Aは、本発明の効果を損なわない範囲で、ポリオレフィン系樹脂以外の樹脂を含んでいてもよい。例えば、アクリル系樹脂、ビニルアルキルエーテル系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ウレタン系樹脂、フッ素系樹脂、エポキシ系樹脂などを、本発明の効果を損なわない範囲で、含んでいてもよい。なお、ベースポリマーとしてのポリオレフィン系樹脂は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0019】
ベースポリマーとしてのポリオレフィン系樹脂は、オレフィンに由来する構成単位を有するポリマーである。なお、上記ポリオレフィン系樹脂は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0020】
上記ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、2−メチルプロペン、1−ヘキセン、及びα−オレフィンからなる群から選ばれる一つの単量体から形成されるα−オレフィン単独重合体が挙げられる。α−オレフィンとしては、特に限定されないが、例えば、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン等が挙げられる。
【0021】
さらには、上記ポリオレフィン系樹脂の具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、ポリイソブチレン等が挙げられる。
【0022】
また、上記ポリオレフィン系樹脂としては、エチレン、プロピレンおよびα−オレフィンからなる群から選ばれる少なくとも二つの単量体から形成されるα−オレフィン共重合体が挙げられる。より具体的には、エチレンを主たる単量体とする共重合体(エチレン系α−オレフィン共重合体)、プロピレンを主たる単量体とする共重合体(プロピレン系α−オレフィン共重合体)などが挙げられる。なお、α−オレフィン共重合体は、ランダム共重合体、ブロック共重合体、またはグラフト共重合体のいずれでもよい。
【0023】
さらに、上記ポリオレフィン系樹脂としては、芳香族ビニル化合物に由来する構成単位(以下、「芳香族ビニル化合物単位」と称する場合がある)を主に含有してなるブロックAと、イソプレンに由来する構成単位(以下、「イソプレン単位」と称する場合がある)および1,3−ブタジエンに由来する構成単位(以下、「1,3−ブタジエン単位」と称する場合がある)からなるブロックBとからなるブロック共重合体の水添物(「水添TPE」と称する場合がある)が挙げられる。
【0027】
さらにまた、上記ポリオレフィン系樹脂としては、主鎖に水酸基を有するポリオレフィン系樹脂が挙げられる。このような主鎖に水酸基を有するポリオレフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン系ポリオール、ポリプロピレン系ポリオール、ポリブタジエンポリオール、水添ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオール、水添ポリイソプレンポリオールなどが挙げられる。
【0028】
特に、上記ポリオレフィン系樹脂は、粘着剤層の耐候性及び透湿性の観点より、主鎖に二重結合を含まないポリオレフィン系樹脂や水添されているポリオレフィン系樹脂が好ましい。
【0029】
また、上記ポリオレフィン系樹脂は、架橋構造を有する粘着剤層の得やすさの点、良好な熱的安定性を有する粘着剤層の得やすさの点より、主鎖に、水酸基(ヒドロキシル基)、アミノ基、エポキシ基、カルボキシル基、酸無水物基、シリル基からなる群より選ばれる少なくとも1の官能基を有することが好ましい。例えば、上記ポリオレフィン系樹脂は、主鎖に水酸基などの官能基を有するポリオレフィン系樹脂であることが好ましい。
【0030】
本発明の粘着シートの粘着剤層Aは、上記のベースポリマーとともに、層状シリケートを少なくとも含有する。上記層状シリケートは、シリケートがイオンを介して層状に積層した構造を有する平板状の物質である。本発明の粘着シートの粘着剤層Aは、上記のベースポリマーとともに、層状シリケートを含有するので、より透湿度を小さくすることができる。これは、層状シリケート自身が水蒸気を透過させるものではなく、また、粘着剤層中に含まれる層状シリケートが、水蒸気が粘着剤層を通過しようとする際に、水蒸気の経路を遮断したり、長くしたり、あるいは狭くしたりする等、水蒸気の粘着剤層の通過を阻害するためと推測される。
【0031】
上記層状シリケートしては、特に限定されないが、例えば、モンモリロナイト、ヘクトライト、サポナイト、ソーコナイト、バイデライト、ステブンサイト、ノントロナイト、ボルホンスコアイト、ソーコナイト、マガジアイト、メドモンタイト、ケニアイト、クロライト、フロゴパイト、レピドライト、マスコバイト、バイオタイト、パラゴナイト、マーガライト、テニオライト、テトラシリシックマイカ、トリオクタヘドラルバーミキュライト、ジオクタヘドラルバーミキュライト、白雲母、黒雲母、パラゴナイト、レビトライト、マーガライト、クリントナイト、アナンダイトなどが挙げられる。なお、層状シリケートは、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0032】
また、上記層状シリケートは、表面が有機化処理されていることが好ましい。上記層状シリケートに有機化処理がなされていると、粘着剤層Aの上記ベースポリマーとよりなじみやすくなり、粘着剤層Aにより分散しやすくなる。このため、粘着剤層Aにおける防湿性をより高めることができ、また粘着剤層Aにおいて場所による防湿性のバラツキを抑制し、均一な防湿性を得やすくなる。さらに、粘着剤層Aの透明性をより向上できる。
【0033】
このような有機化処理としては、特に限定されないが、例えば、アルキルアンモニウムによる処理、4級アンモニウムによる処理などが挙げられる。なお、有機化処理は、複数、施されていてもよい。
【0034】
本発明の粘着シートの粘着剤層Aにおける層状シリケートの含有量は、特に限定されないが、粘着剤層A中のベースポリマー100重量部に対して、1〜50重量部であることが好ましく、より好ましくは2〜40重量部、さらに好ましくは3〜30重量部である。
【0035】
また、粘着剤層Aは、十分な接着性を得る点より、粘着付与樹脂を含有することが好ましい。粘着付与樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ロジン、ロジン誘導体樹脂、ポリテルペン樹脂、石油樹脂、クマロン・インデン樹脂、スチレン系樹脂、フェノール系樹脂、キシレン樹脂などが挙げられる。なお、粘着付与樹脂は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0036】
特に、上記粘着付与樹脂としては、ベースポリマーに対する相溶性及び透湿性の観点から、水素添加型の粘着付与樹脂が好ましく挙げられる。上記水素添加型の粘着付与樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ロジン系樹脂、石油系樹脂、テルペン系樹脂、クマロン・インデン系樹脂、スチレン系樹脂、アルキルフェノール樹脂、キシレン樹脂などの粘着付与樹脂に水素添加した誘導体(水素添加型ロジン系樹脂、水素添加型石油系樹脂、水素添加型テルペン系樹脂など)が挙げられる。上記水素添加型ロジン系粘着付与樹脂としては、例えば、ガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジンなどの未変性ロジン(生ロジン)を水添化により変性した変性ロジンなどが挙げられる。
【0037】
上記粘着付与樹脂の軟化点は、特に限定されないが、例えば、80〜200℃が好ましく、より好ましくは90〜200℃である。粘着付与樹脂の軟化点が当該範囲であることにより、凝集力が一層向上する。
【0038】
本発明の粘着シートの粘着剤層Aにおける、上記粘着付与樹脂の含有量は、特に限定されないが、粘着剤層A中のベースポリマー100重量部に対して、0.1〜50重量部であることが好ましく、より好ましくは0.5〜30重量部である。
【0039】
また、粘着剤層Aは、架橋構造を得る点より、架橋剤を含有することが好ましい。架橋剤としては、特に限定されないが、例えば、エポキシ系架橋剤、イソシアネート系架橋剤、シリコーン系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、シラン系架橋剤、アルキルエーテル化メラミン系架橋剤、金属キレート系架橋剤などが挙げられる。なお、架橋剤は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0040】
中でも、上記架橋剤は、エポキシ系架橋剤やイソシアネート系架橋剤が好ましい。特に、粘着剤層Aのベースポリマーが主鎖に水酸基を有するポリオレフィン系樹脂である場合、イソシアネート系架橋剤が好ましい。
【0041】
上記イソシアネート系架橋剤としては、例えば、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ナフタリンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、および、これらとトリメチロールプロパンなどのポリオールとのアダクト体などが挙げられる。また、1分子中に少なくとも1つ以上のイソシアネート基と、1つ以上の不飽和結合を有する化合物、具体的には、2−イソシアナートエチル(メタ)アクリレートなども挙げられる。
【0042】
上記エポキシ系架橋剤としては、例えば、ビスフェノールA、エピクロルヒドリン型のエポキシ系樹脂、エチレングリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン、ジアミングリシジルアミン、N,N,N′,N′−テトラグリシジル−m−キシリレンジアミンおよび1,3−ビス(N,N′−ジアミングリシジルアミノメチル)シクロヘキサンなどが挙げられる。
【0043】
本発明の粘着シートの粘着剤層Aにおける、上記架橋剤の含有量は、特に限定されないが、粘着剤層A中のベースポリマー100重量部に対して、0.01〜80重量部であることが好ましく、より好ましくは0.1〜50重量部である。
【0044】
さらに、粘着剤層Aは、本発明の効果を損なわない範囲で、用途等に応じて、添加剤を含んでいてもよい。このような添加剤としては、例えば、分散剤、界面活性剤、シランカップリング剤、可塑剤、連鎖移動剤、老化防止剤、軟化剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、安定剤、着色剤(顔料や染料など)などが挙げられる。なお、上記添加剤は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0045】
本発明の粘着シートの粘着剤層Aは、粘着剤組成物Aにより形成される。粘着剤組成物Aは、粘着剤層Aの形成に用いられる組成物であり、上記ベースポリマー及び上記層状シリケートを少なくとも含有することが好ましい。粘着剤組成物Aは、特に限定されないが、例えば、上記ベースポリマー、上記層状シリケート、希釈溶剤などを混合することにより得ることができる。
【0046】
粘着剤組成物Aの粘度は、特に限定されないが、作業性、取り扱い性、均一な粘着剤層の形成しやすさ、層状シリケートの分散性の点より、0.1〜100Pa・sが好ましく、より好ましくは0.5〜50Pa・sである。なお、本明細書において粘度とは、粘度計としてBH粘度計を用いて、ローター:No.5ローター、回転数:10rpm、測定温度:30℃の条件で測定された粘度をいうものとする。
【0047】
粘着剤組成物Aの粘度は、例えば、アクリルゴム、増粘性添加剤などの各種ポリマー成分を配合することにより調整されてもよい。
【0048】
粘着剤層Aは、粘着剤組成物Aを層状にして、硬化させることにより形成される。例えば、粘着剤組成物Aより粘着剤組成物層を得て、該粘着剤組成物層を加熱乾燥(例えば、80〜140℃の温度で、1〜10分加熱処理すること)することにより、形成される。
【0049】
粘着剤層Aの厚みは、特に限定されないが、接着信頼性の点より、5〜200μmが好ましく、より好ましくは10〜100μmである。
【0050】
本発明の粘着シートの粘着剤層Aは、架橋構造を有することが好ましい。粘着剤層Aが架橋構造を有していると、粘着剤層の熱的安定性をより向上させることができる。例えば、高温環境下(例えば、80〜100℃の温度環境下)で使用されたとしても、粘着剤が流動して剥がれるといった問題の発生を効果的に抑制できる。架橋構造は、例えば、架橋剤を用いることにより得ることができる。
【0051】
(基材)
上述のように、本発明の粘着シートは、基材及び粘着剤層Aを少なくとも有する基材付き粘着シートであってもよい。このような基材付き粘着シートに用いられる基材としては、特に限定されないが、プラスチック基材(ポリマー基材)が好ましく挙げられる。なお、基材は、1層からなる基材であってもよいし、2層以上の積層構造を有していてもよい。
【0052】
上記プラスチック基材を構成する材料としては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート等のポリエステル;ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体等のポリオレフィン;ポリビニルアルコール;ポリ塩化ビニリデン;ポリ塩化ビニル;塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体;ポリ酢酸ビニル;ポリアミド;ポリイミド;トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロースなどのセルロース類;フッ素系樹脂;ポリエーテル;ポリエーテルアミド;ポリエーテルエーテルケトン;ポリフェニレンスルフィド;ポリスチレン等のポリスチレン系樹脂;ポリカーボネート;ポリエーテルスルホン;ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂などが挙げられる。なお、上記材料は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0053】
中でも、上記プラスチック基材を構成する材料としては、強度、取り扱い性(ハンドリング性)、コスト、寸法安定性、投錨力のバランスの良さから、ポリエステルやセルロース類、アクリル樹脂などが好ましく、より好ましくはポリエチレンテレフタレート(PET)、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)である。つまり、上記基材は、ポリエチレンテレフタレート基材、トリアセチルセルロース基材、ポリメチルメタクリレート基材であることが好ましい。
【0054】
上記基材は、必要に応じて、表面処理が施されていてもよい。例えば、基材としての上記プラスチック基材は、延伸処理(一軸延伸又は二軸延伸)等により変形性が制御されていてもよい。また、基材の表面には、粘着剤層との密着性を高めるため、慣用の表面処理、例えば、クロム酸処理、オゾン暴露、火炎暴露、高圧電撃暴露、イオン化放射線処理等の化学的又は物理的方法による酸化処理等が施されていてもよい。さらには、粘着剤層との密着性を高めるためのプライマー処理が施されていてもよい。
【0055】
他にも、上記基材は、表面の耐擦傷性(耐擦過性)を向上させる点より、ハードコート処理が施されていてもよい。このようなハードコート処理が施されていると、表面保護用として用いる場合、その保護機能をより向上させることができる。また、基材は、静電気の発生を抑制する点より、帯電防止処理が施されていてもよい。
【0056】
上記基材は、例えば、一方の面に粘着剤層との密着性を向上させるためにプライマー処理が施され、他方の面にハードコート処理が施された基材であってもよい。
【0057】
(剥離ライナー)
上述のように、本発明の粘着シートは、粘着面を保護するために、剥離ライナーが設けられていてもよい。上記剥離ライナーは、特には限定されず、公知乃至慣用の剥離ライナーを用いることができる。例えば、上記剥離ライナーとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル系樹脂;ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリメチルペンテン(PMP)、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等のα−オレフィンをモノマー成分とするオレフィン系樹脂;ポリ塩化ビニル(PVC);酢酸ビニル系樹脂;ポリカーボネート(PC);ポリフェニレンスルフィド(PPS);ポリアミド(ナイロン)、全芳香族ポリアミド(アラミド)等のアミド系樹脂;ポリイミド系樹脂;ポリエーテルエーテルケトン(PEEK);ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のオレフィン系樹脂;ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、クロロフルオロエチレン−フッ化ビニリデン共重合体などのフッ素系樹脂などから構成されるプラスチックフィルムが好ましく挙げられる。
【0058】
また、上記剥離ライナーとしては、例えば剥離ライナー基材の少なくとも一方の表面に剥離層(剥離処理層)を有する剥離ライナー、フッ素系ポリマーからなる低接着性の剥離ライナー、無極性ポリマーからなる低接着性の剥離ライナーなども挙げられる。さらに、剥離層を有しない剥離ライナー基材(つまり、剥離ライナー基材そのもの)も挙げられる。上記フッ素系ポリマーとしては、特に限定されないが、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、クロロフルオロエチレン−フッ化ビニリデン共重合体などが挙げられる。また、上記無極性ポリマーとしては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のオレフィン系樹脂などが挙げられる。中でも、剥離ライナー基材の少なくとも一方の表面に剥離層を有する剥離ライナー、剥離層を有しない剥離ライナー基材(つまり、剥離ライナー基材そのもの)を使用することが好ましい。
【0059】
上記剥離ライナー基材としては、特に限定されないが、プラスチックフィルム等が挙げられる。このようなプラスチックフィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル系樹脂;ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリメチルペンテン(PMP)、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等のα−オレフィンをモノマー成分とするオレフィン系樹脂;ポリ塩化ビニル(PVC);酢酸ビニル系樹脂;ポリカーボネート(PC);ポリフェニレンスルフィド(PPS);ポリアミド(ナイロン)、全芳香族ポリアミド(アラミド)等のアミド系樹脂;ポリイミド系樹脂;ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などから構成されるプラスチックフィルムが挙げられる。中でも、加工性、入手性、作業性、防塵性、コスト等の観点から、ポリエステル系樹脂から形成されるプラスチックフィルムが好ましく、さらに好ましくはPETフィルムである。
【0060】
上記剥離層を構成する剥離処理剤としては、特に限定されないが、例えば、シリコーン系剥離処理剤、フッ素系剥離処理剤、長鎖アルキル系剥離処理剤、硫化モリブデンなどの剥離処理剤が挙げられる。中でも、剥離コントロール、経時安定性の観点から、シリコーン系剥離処理剤が好ましい。なお、剥離処理剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0061】
上記剥離ライナーは、公知慣用の方法により製造することができる。また、上記剥離ライナーの厚みは、特に限定されない。
【0062】
(粘着シート)
本発明の粘着シートの製造方法は、特に限定されないが、公知の形成方法を利用することができる。例えば、本発明の粘着シートが基材付き粘着シートである場合、上記基材の少なくとも一方の面側に、粘着剤組成物Aより粘着剤層Aを形成することにより、作製できる。また、本発明の粘着シートが粘着剤層Aのみからなる基材レスの粘着シートである場合、上記剥離ライナー上に、粘着剤組成物Aより粘着剤層Aを形成することにより、作製できる。
【0063】
本発明の粘着シートにおける、下記で求められる透湿度は、特に限定されないが、優れた防湿性を得る点より、125g/m2・day以下であることが好ましい。
透湿度:粘着剤層の厚みが35μmである粘着シートをトリアセチルセルロースフィルム(厚み25μm)に貼り合わせることにより得られる測定用サンプルを用いて、下記条件で、透湿度試験方法(カップ法)により求める。
測定温度:40℃
相対湿度:90%
測定時間:24時間
【0064】
なお、本発明の粘着シートでは、粘着剤層Aが、上記透湿度を有することが好ましい。
【0065】
本発明の粘着シートの接着力(測定温度:23℃、相対湿度:50%RH、引張速度:300mm/min、剥離角度:180°の剥離条件、対ガラス板)は、特に限定されないが、良好な接着信頼性を得る点より、1.0gf/25mm以上であることが好ましく、より好ましくは3.0gf/25mm以上である。なお、本発明の粘着シートでは、粘着剤層Aにより提供される粘着面における接着力が、上記の範囲を満たすことが好ましい。
【0066】
本発明の粘着シートは、透明であることが好ましい。
【0067】
また、本発明の粘着シートの透過率(可視光波長領域における全光線透過率、JIS K7361−1に準じる)は、特に限定されないが、高い透明性を得る点より、80%以上が好ましい。なお、透過率は、例えば、スライドガラス(品番「S−1112」、松浪硝子工業株式会社製、厚さ1.0mm、ヘイズ0.1%)に本発明の粘着シートを貼り合わせ、ヘイズメーター(株式会社村上色彩技術研究所製、商品名「HM−150」)を用いて測定することができる。
【0068】
特に、本発明の粘着シートは、被着体に対する十分な接着性及び透明性を両立させる点より、接着力が3.0gf/25mm以上であり、且つ、上記透過率が80%以上であることが好ましい。
【0069】
本発明の粘着シートの厚みは、特に限定されないが、5〜200μmが好ましく、より好ましくは10〜100μmである。
【0070】
本発明の粘着シートは、粘着剤層Aを有するので、被着体に対して十分な接着性を発揮するとともに、防湿性に優れる。また、粘着シートを被着体に貼り合わせた後、接着性を働かせるために、あるいはより接着性を向上させるために、熱処理や紫外線処理などの処理(硬化処理)を行う必要がない。
【0071】
本発明の粘着シートは、被着体に対して十分な接着性を発揮するとともに、防湿性に優れるので、表面保護用途や補強用途などに用いることができる。例えば、本発明の粘着シートは、表面保護フィルムや補強フィルムとして用いることができる。
【0072】
また、本発明の粘着シートは、上記の特性を有するので、さまざまな分野で用いることができる。例えば、電気又は電子機器に用いることができる。特に、電気又は電子機器製造時の表面保護用途、電気又は電子機器の使用時の表面保護用途などに好ましく用いることができる。また、光学用途(例えば、光学製品や光学部材の製造時の表面保護用途、光学製品や光学部材の使用時の表面保護用途など)に好ましく用いることができる。
【0073】
上記電気機器としては、特に限定されないが、例えば、テレビ、冷蔵庫、洗濯機、掃除機などの家電機器、空調屋外機などが挙げられる。また、上記電子機器としては、特に限定されないが、例えば、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイなどの画像表示装置、携帯電話、スマートフォン、タブレットPC(タブレット型コンピューター)、ノートブック型パーソナル・コンピューター、携帯型情報端末(PDA)、携帯型音楽プレーヤー、携帯型ゲーム機、携帯型テレビなどのモバイル機器が挙げられる。
【0074】
上記光学製品とは、当該製品において光学的特性(例えば、偏光性、光屈折性、光散乱性、光反射性、光透過性、光吸収性、光回折性、旋光性、視認性など)が利用された製品をいう。上記光学製品としては、例えば、液晶表示装置、PDP(プラズマディスプレイパネル)、電子ペーパーなどの表示装置や、タッチパネルなどの入力装置、又はこれら表示装置と入力装置とを適宜組み合わせた装置などが挙げられる。
【0075】
上記光学部材とは、上記光学的特性を有する部材をいう。上記光学部材としては、例えば、上記表示装置(画像表示装置)、上記入力装置等の機器(光学機器)を構成する部材又はこれらの機器に用いられる部材が挙げられ、例えば、偏光板、波長板、位相差板、光学補償フィルム、輝度向上フィルム、導光板、反射フィルム、反射防止フィルム、透明導電フィルム(ITOフィルム)、意匠フィルム、装飾フィルム、表面保護板、プリズム、レンズ、カラーフィルター、透明基板や、さらにはこれらが積層されている部材(これらを総称して「光学フィルム」と称する場合がある)などが挙げられる。なお、上記の「板」及び「フィルム」は、それぞれ板状、フィルム状、シート状等の形態を含むものとし、例えば、「偏光フィルム」は、「偏光板」、「偏光シート」を含むものとする。なお、本発明における「光学部材」には、上記の通り、表示装置や入力装置における表示部の視認性や優れた外観を保ちながら、加飾や保護の役割を担う部材(意匠フィルム、装飾フィルムや表面保護フィルム等)も含むものとする。
【0076】
より具体的には、本発明の粘着シートは、薄層表示部材(例えば、LCDを用いたタッチパネルなど)、薄層表示装置(例えば、LCDあるいはそれに使用されるカラーフィルター)、画像認識部材、薄層光学フィルム(例えば、偏光板など)、電子機器(特に薄層の電子機器)などの表面保護用途に用いることができる。
【実施例】
【0077】
以下、本発明について実施例及び比較例を挙げてさらに具体的に説明する。本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
【0078】
(実施例1)
ポリオレフィン系樹脂(水酸基末端液状ポリオレフィン、商品名「エポール」、出光興産株式会社製):100重量部、イソシアネート系架橋剤(商品名「デュラネート TSE−100」、旭化成株式会社製):30重量部、錫触媒(商品名「OL−1」、東京ファインケミカル株式会社製):0.03重量部、層状シリケート(商品名「オルガナイト」、株式会社ホージュン製):5重量部、及び、粘着付与樹脂(脂環族飽和炭化水素樹脂、商品名「アルコン P−125」、荒川化学工業株式会社製):1重量部を混合して、粘着剤組成物を得た。
粘着剤組成物を、剥離ライナー(ポリエチレンテレフタレート基材の一方の面に剥離処理が施された剥離ライナー、商品名「ダイアホイルMRF−38」、三菱樹脂株式会社)の剥離処理面上に塗布して、塗布層(粘着剤組成物層)を得た。
次に、加熱処理(温度:130℃、時間3分)を行い、厚みが35μmの粘着剤層を形成した。
そして、得られた粘着剤層上に剥離ライナーを貼り合わせ、粘着剤層の両面が剥離ライナーにより保護されている粘着シート(粘着剤層のみからなる両面粘着シート)を得た。
【0079】
(実施例2)
層状シリケートとして、層状シリケート(商品名「エスベン NZ」、株式会社ホージュン製):5重量部を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、粘着シートを得た。
【0080】
(実施例3)
層状シリケートとして、層状シリケート(商品名「エスベン NX」、株式会社ホージュン製):5重量部を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、粘着シートを得た。
【0081】
(比較例1)
層状シリケートを使用しなかったこと以外は、実施例1と同様にして、粘着シートを得た。
【0082】
(評価)
実施例及び比較例で得られた粘着シートについて、下記の測定又は評価を行った。そして、その結果を、表1に示した。
【0083】
(透湿度の測定方法)
粘着シートの一方の剥離ライナーを剥がし粘着面を露出させて、該粘着面により、粘着シート(粘着剤層の厚み:35μm)をトリアセチルセルロースフィルム(TACフィルム、厚み25μm、コニカミノルタ株式会社製)に貼り合わせた。そして、もう一方の剥離ライナーを剥がして、測定用サンプルを得た。
次に、この測定用サンプルを用いて、下記条件で、透湿度試験方法(カップ法、JIS Z 0208に準じる)により、透湿度(水蒸気透過率)を測定した。
測定温度:40℃
相対湿度:90%
測定時間:24時間
なお、測定の際には、恒温恒湿槽を使用した。
【0084】
(接着力の測定)
粘着シートより、長さ100mm、幅25mmのシート片を得た。次に、シート片から一方の剥離ライナーを剥離して、粘着面を露出させて、該粘着面により、シート片をPETフィルム(厚み25μm)に貼り合わせた。そして、剥離ライナー/粘着剤層/PETフィルムの積層構造を有する測定用サンプルを得た。
次いで、23℃、50%RH雰囲気下で、上記測定用サンプルから剥離ライナーを剥離して、粘着面(測定面)を露出させ、該粘着面により、測定用サンプルを、ガラス板(ソーダライムガラス ♯0050、松浪硝子工業株式会社製)に、2kgローラーを1往復させることにより圧着して、貼り合わせた。
上記測定サンプルを、23℃、50%RHの雰囲気中で30分間放置した後、引張試験機(商品名「TCM−1kNB」、ミネベア社製)を用いて、180°剥離試験を行い、ガラス板に対する180°ピール粘着力(180度引き剥がし粘着力)(gf/25mm)を測定した。測定は、23℃、50%RHの雰囲気下、剥離角度180°、引張速度300mm/分の条件で行った。
【0085】
(透過率の測定)
粘着シートの一方の剥離ライナーを剥がし粘着面を露出させて、該粘着面により、粘着シートをスライドガラス(品番「S−1112」、松浪硝子工業株式会社製、厚さ1.0mm、ヘイズ0.1%)に貼り合わせた。そして、もう一方の剥離ライナーを剥がして、測定用サンプルを得た。
次に、ヘイズメーター(装置名「HM−150」、株式会社村上色彩技術研究所製)により、透過率(全光線透過率)を測定した。
【0086】
【表1】
【0087】
上記表1において、下記の表現は下記の意味である。
エポール:ポリオレフィン系樹脂(水酸基末端液状ポリオレフィン、商品名「エポール」、出光興産株式会社製)
TSE−100:イソシアネート系架橋剤(商品名「デュラネート TSE−100」、旭化成株式会社製)
OL−1:錫触媒(商品名「OL−1」、東京ファインケミカル株式会社製)
アルコンP125:粘着付与樹脂(脂環族飽和炭化水素樹脂、商品名「アルコン P−125」、荒川化学工業株式会社製)
オルガナイト:層状シリケート(商品名「オルガナイト」、株式会社ホージュン製)
NZ:層状シリケート(商品名「エスベン NZ」、株式会社ホージュン製)
NX:層状シリケート(商品名「エスベン NX」、株式会社ホージュン製)
【0088】
実施例1〜3と比較例1とを対比すると、実施例1〜3は層状シリケートを含有するので、透湿度が20%程度低下した。