特許第6207305号(P6207305)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6207305
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】クリーニング装置
(51)【国際特許分類】
   H01J 37/20 20060101AFI20170925BHJP
   G01N 1/28 20060101ALI20170925BHJP
   G01N 23/225 20060101ALI20170925BHJP
【FI】
   H01J37/20 G
   G01N1/28 F
   G01N23/225
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-177644(P2013-177644)
(22)【出願日】2013年8月29日
(65)【公開番号】特開2015-46338(P2015-46338A)
(43)【公開日】2015年3月12日
【審査請求日】2016年2月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004271
【氏名又は名称】日本電子株式会社
(72)【発明者】
【氏名】小 塚 心 尋
(72)【発明者】
【氏名】長 谷 川 史 憲
(72)【発明者】
【氏名】野 元 寛 之
【審査官】 山口 敦司
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第89/001698(WO,A1)
【文献】 特開2002−162324(JP,A)
【文献】 特開平01−187752(JP,A)
【文献】 特開2005−251656(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 37/20
G01N 1/28
G01N 23/225
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気手段に接続されたチャンバーにガス供給手段からガスを供給し、前記チャンバーと前記チャンバー底面に前記チャンバーから絶縁されて配置される上面を有する電極との間に設けた電源により、前記チャンバーと前記電極に電圧を印加して放電を起こし、前記チャンバー内にプラズマ空間を発生させ、前記プラズマ空間で試料と前記試料を試料支持面で保持する試料ホルダをクリーニングするクリーニング装置において、
前記試料ホルダは、前記チャンバーに係合する係合部を備え、
前記チャンバーは、前記試料ホルダの前記試料支持面が前記電極の方向を向くと共に前記上面に対して垂直になるように前記試料ホルダが保持されるように、前記試料ホルダの前記係合部を係止する係止部を備えたことを特徴とするクリーニング装置。
【請求項2】
前記試料ホルダは、上部に試料支持面と下部に係合部を有し、
前記係合部の形状がアリ溝であることを特徴とする請求項1に記載のクリーニング装置。
【請求項3】
前記試料ホルダは、上部に試料支持面と下部に係合部を有し、
前記係合部は前記試料ホルダ側面に張り出すように設けられた膨出部であることを特徴とする請求項1に記載のクリーニング装置
【請求項4】
前記チャンバーの前記係止部は、前記試料ホルダの前記係合部を係止する複数本の棒であることを特徴とする請求項1乃至3に記載のクリーニング装置
【請求項5】
前記チャンバーは、前記チャンバー底面に前記試料ホルダを嵌合させて保持する溝部を設けたことを特徴とする請求項1乃至4に記載のクリーニング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子顕微鏡等の試料等をクリーニングする装置に関する。
【背景技術】
【0002】
透過電子顕微鏡や走査電子顕微鏡等の電子顕微鏡での試料観察において、試料表面に汚れ(カーボン、金属、油脂、水分、酸化物等)が付着していると試料の観察・分析等に支障を来すことは良く知られていることである。
【0003】
この様な問題を避けるために、一般的に、観察に先立って試料表面をクリーニングしている。
【0004】
クリーニング装置は、試料をグロー放電で発生させたプラズマ空間中に配置し、イオン、オゾン、ラジカル等との化学反応によって試料表面に付着した汚れを除去している。また、試料を保持した状態で試料ホルダごとクリーニング装置に入れて試料と共に試料ホルダのクリーニングが行える装置もある(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
図1に従来のクリーニング装置を示す。図1(a)は正面図、図1(b)は図1(a)を点線AA′から矢印の方向を見た断面図である。
【0006】
従来のクリーニング装置における処理室1は、処理室の側面である処理室側壁2aと、処理室の底面である処理室第一底壁2bおよび処理室第二底壁2cとで構成される処理室壁2によって囲まれた空間である。処理室第二底壁2cは、絶縁体3を介して電極4を支持している。また、電極4は、処理室第一底壁2bと僅かな隙間5を空けて、同一面の高さに配置されている。さらに、処理室1は視認可能なガラス等の材料で構成された蓋6を処理室側壁2aに乗せることにより、密閉された空間となる。蓋6は取り外し可能であり、処理室側壁2aとの接触部分にはOリング7が設けられている。また、処理室の排気を行う排気手段(真空ポンプ)10と、流量調整用バルブ11で流量調整可能なガス供給手段(ガスボンベ)12が処理室1に接続されている。
【0007】
処理室側壁2aには、透過電子顕微鏡(TEM)試料8を先端に保持したTEM試料ホルダ9を挿入するための挿入孔が設けられている。TEM試料ホルダ9は、処理室側壁2aの一部として処理室壁2の役割も担っている。TEM試料8のクリーニングを行う場合、電極4の上空にTEM試料8が位置するようTEM試料ホルダ9を挿入孔に挿入する。
【0008】
さらに、従来のクリーニング装置には、電極4と処理室壁2との間に交流電圧を印加するための交流電源13が設けられている。交流電源13の処理室壁側はグランドに接続される。
【0009】
この様な構成の装置において、試料観察面14aを有する走査電子顕微鏡(SEM)の試料14を試料支持面15aで保持したSEM試料ホルダ15を処理室1に入れてクリーニングを行うことがある。SEMの試料14をクリーニングする際には、処理室側壁2aの挿入孔にTEM試料ホルダ9と同型のダミーTEM試料ホルダを挿入して挿入孔を塞いでおく。
【0010】
そして、オペレータがタイマーにより処理時間をセットした後、クリーニングのスタートを指示すると、クリーニング装置は、まず、真空ポンプ10によって処理室1の排気を行った後、排気は継続させつつ流量調整用バルブ11によってガスボンベ12から処理室1へのガス導入を行い、排気とガス供給のバランスを取って、処理室1を35〜40Pa程度の圧力に維持した状態にする。この時、処理室1の圧力が処理室1の外(大気圧)よりも低いため、蓋6は処理室1の内側に押圧される。このため、試料クリーニング中の蓋6は、処理室壁2から取り外しできなくなる。
【0011】
次に、クリーニング装置は、交流電源13を作動させて300V程度の電圧を電極4に印加し、グロー放電を発生させる。すると、電極4上にプラズマ空間16が発生し、プラズマ空間16にある試料14の試料観察面14aとSEM試料ホルダ15の表面に付着した汚れがプラズマ空間16のイオン、オゾン、ラジカル等との化学反応によってクリーニングされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2002−162324号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
このようなクリーニング装置で走査電子顕微鏡の試料をクリーニングする場合、走査電子顕微鏡観察用の試料ホルダを置く位置や向きによって、プラズマ空間16に晒される試料観察面14aの当たり方が一定ではなくなってしまう。
【0014】
また、図1の様に構成したクリーニング装置の場合、電極4の面積が処理室壁2の面積に比べて小さいため、プラズマと電極4との間の電位差がプラズマと処理室壁2との間の電位差より大きくなり、プラズマ空間16の領域は電極4に近い場所に偏り、電極4付近ほどイオン、オゾン、ラジカル等の密度が高くなる。
【0015】
このため、試料観察面14aの処理には、SEM試料ホルダ15の置く位置や向きによって、クリーニングの効果に差が生じてしまい、試料観察面14aの均一なクリーニングが困難であった。
【0016】
さらに、TEM試料ホルダ9とSEM試料ホルダ15の両方のクリーニングが行える装置では、TEM試料ホルダ9もしくはダミーTEM試料ホルダが電極4の上部に常に位置している。このため、試料観察面14aを電極4に対して平行に維持するために、SEM試料ホルダ15を処理室の上部もしくは蓋側で保持することはTEM試料ホルダ9もしくはダミーTEM試料ホルダとの位置関係により難しい。
【0017】
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、その目的は、走査電子顕微鏡の観察に用いられる試料表面の汚れが均一にクリーニングされるクリーニング装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記目的を達成する本発明のクリーニング装置は、排気手段に接続されたチャンバーにガス供給手段からガスを供給し、前記チャンバーと前記チャンバー底面に前記チャンバーから絶縁されて配置される上面を有する電極との間に設けた電源により、前記チャンバーと前記電極に電圧を印加して放電を起こし、前記チャンバー内にプラズマ空間を発生させ、前記プラズマ空間で試料と前記試料を試料支持面で保持する試料ホルダをクリーニングするクリーニング装置において、
前記試料ホルダは、前記チャンバーに係合する係合部を備え、
前記チャンバーは、前記試料ホルダの前記試料支持面が前記電極の方向を向くと共に前記上面に対して垂直になるように前記試料ホルダが保持されるように、前記試料ホルダの前記係合部を係止する係止部を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、走査電子顕微鏡用試料の試料表面を均一にクリーニングできるクリーニング装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】従来のクリーニング装置を説明するために示したものである。
図2】試料ホルダを走査電子顕微鏡装置に装着した状態の一例を示したものである。
図3】試料を保持した状態の試料ホルダの一例を示したものである。
図4】本発明のクリーニング装置の一例を示したものである。
図5】本発明の試料ホルダをセットしたクリーニング装置の一例を示したものである。
図6】試料ホルダを走査電子顕微鏡装置に装着した状態の他の例を示したものである。
図7】試料を保持した状態の試料ホルダの他の例を示したものである。
図8】本発明のクリーニング装置の他の例を示したものである。
図9】試料ホルダをセットしたクリーニング装置の他の例を示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を用いて本発明の実施例の形態について説明する。ただし、図1に示した従来のクリーニング装置と同一ないし類似の構成要素には同一の番号を付しその詳細な説明は省略する。
【0022】
図2は試料ホルダを走査電子顕微鏡装置に装着した状態の一例を示したものである。
【0023】
試料室壁17によって形成される試料室21は、電子線19を照射するための電子線照射手段18と、試料室21を排気するための真空ポンプ20と、アリ溝と係合する試料ステージ23を備えている。
【0024】
図3に試料14を保持した状態のアリ溝試料ホルダを示す。図3(a)は正面図、図3(b)は側面図、図3(c)は上面図である。
【0025】
図3(a)に示すように、アリ溝試料ホルダ22は、ホルダ本体上面に試料支持面22aを有し、ホルダ本体下部にアリ溝(係合部)22fを有した構造となっている。アリ溝22fはアリ溝試料ホルダ22のホルダ下面22dに対して平行な平行面22eと、ホルダ下面22dに対して鋭角なテーパー面22bとテーパー面22cによって囲まれる空間で構成されている。
【0026】
アリ溝試料ホルダ22は、走査電子顕微鏡装置で観察したい試料観察面14aが上を向くようにして試料支持面22上に試料14を保持する。さらに、ホルダ下面22dが試料支持面22aと平行となる。
【0027】
ここで、本発明のクリーニング装置でクリーニングされるアリ溝試料ホルダ22が、走査電子顕微鏡装置で使用される場合の動作例を説明する。図2、3に示すように、走査電子顕微鏡装置の試料ステージ23のほぞ(係止部)にアリ溝試料ホルダ22のアリ溝22fが嵌合して保持される。この状態で、試料室21を真空ポンプ20で排気する。次に、試料観察面14aに電子線19を照射し、試料観察面14aに照射された電子によって発生した2次電子を図示していない2次電子検出器で検出する。電子線19を試料観察面14aに照射する際に、2次元的に走査することにより2次電子像が得られる。
【0028】
図4に本発明のクリーニング装置を示す。図4(a)は正面図であり、図4(b)は図4(a)の点線BB′から矢印の方向に見た断面図である。
【0029】
本発明のクリーニング装置は、従来例で示したクリーニング装置に対してさらに、アリ溝試料ホルダ22のアリ溝22fに嵌合して試料ホルダを保持するための棒(係止部)25と、アリ溝試料ホルダ22本体と嵌合する溝部26を備えている。また、SEM用の試料14をクリーニングする際に使用するダミーTEM試料ホルダ24を備えている。ダミーTEM試料ホルダ24は、処理室側壁2aに設けられた挿入孔をTEM試料ホルダ9に代わって密閉し、処理室壁2の一部の役割を果たしている。
【0030】
棒25は電極4付近に設けた円柱状の棒であり、処理室第一底壁2bに設けられた溝26上に所定の間隔で2箇所に立設されている。
【0031】
2箇所に立設される棒25の所定の間隔は、アリ溝試料ホルダ22のアリ溝22fを構成する平行面22eとテーパー面22bに棒25aが接し、平行面22eとテーパー面22cに棒25bが接する程度となる。
【0032】
次に、クリーニング装置に試料ホルダをセットする手順を説明する。
【0033】
まず、蓋6をクリーニング装置から外し、アリ溝試料ホルダ22のアリ溝22fを棒25に嵌合させて取り付ける。この時、試料支持面22aが電極4の方向に向くように嵌合させる。ここで、アリ溝試料ホルダ22の本体は溝26に棒25と同時に嵌合することにより、更なる安定性を保てる。そして、蓋6をOリング7を設けた処理室壁2にのせて試料ホルダ22のセットを終える。
【0034】
図5に試料ホルダをセットした状態のクリーニング装置を示す。図5(a)は正面図であり、図5(b)は図5(a)の点線CC′から矢印の方向を見た断面図である。
【0035】
図5に示すように、処理室第一底壁2bの溝26に立設している棒25にアリ溝22fを嵌合させているため、アリ溝試料ホルダ22の試料支持面22aは処理室1の底面に配置された電極4に対して垂直方向に立った状態で保持されている。
【0036】
ここで、本発明のクリーニング装置のクリーニング手順を説明する。
【0037】
まず、アリ溝試料ホルダ22を既に述べたクリーニング装置にセットする手順に従ってセットする。
【0038】
次に、クリーニング装置の真空ポンプ10によって処理室1の排気を行った後、流量調整用バルブ11でガスボンベ12からガスを導入し、処理室1の圧力を35〜40Pa程度に保つ。この際、ガスボンベ12は必ずしも必要ではなく、ガスとして大気を導入しても良い。
【0039】
その後に、交流電源13によって電極4と処理室壁2の間に300V程度の交流電圧を印加し、電極4上にグロー放電を発生させて、電極4上にプラズマ空間16を形成させる。ここで、試料観察面14aは、発生したプラズマ空間16におけるイオン、オゾン、ラジカル等の密度が高い電極4付近に配置されるため、イオン、オゾン、ラジカル等との化学反応の影響を強く受けて効率良くクリーニングされる。
【0040】
試料観察面14aは、電極4の方向を向いて、電極4に対して垂直方向に立った状態で保持されている。このため、試料観察面14aから電極4までの距離が試料観察面14aの全面に対して略一定となり、試料観察面14aの全面がイオン、オゾン、ラジカル等のエッチング作用と化学反応の影響を略均一に受けてクリーニングされる。
【0041】
以上、アリ溝を有する試料ホルダを本発明の一つの実施例について説明した。
【0042】
以下に、他の実施例を説明する。ただし、図1図5で説明したものと同一ないし類似の構成要素には同一の番号を付しその詳細な説明は省略する。
【0043】
図6は他の実施例で使用する試料ホルダを走査電子顕微鏡装置に装着した状態の一例である。
【0044】
他の実施例の走査電子顕微鏡装置は、ホルダ側面に溝部を有する横溝試料ホルダ27と、横溝試料ホルダ27の溝部を係止する押さえ部を設けた試料ステージ28を備えている。
【0045】
図7に試料14を保持した状態の横溝試料ホルダを示す。図7(a)は正面図、図7(b)は側面図、図7(c)は上面図である。
【0046】
図7(a)に示すように、横溝試料ホルダ27は、ホルダ本体上面に試料支持面27aを有しており、ホルダ側面27d側に溝部(係合部)27bとホルダ側面27e側に溝部(係合部)27cを有した構造となっている。このため、ホルダ本体上部には膨出部27fと27gが形成され、さらにホルダ本体下部には膨出部27hと27iが形成される。
【0047】
横溝試料ホルダ27は、試料観察面14aが上を向くようにして試料支持面27aの上に試料14を保持する。さらに、ホルダ下面27jが試料支持面27aと平行となる。
【0048】
図8に本発明の他の実施例のクリーニング装置を示す。図8(a)は正面図であり、図8(b)は図8(a)の点線DD′から矢印の方向に見た断面図である。
【0049】
図8において、棒(係止部)29は横溝試料ホルダ27の溝部27bと溝部27cに嵌合して横溝試料ホルダ27を保持するための棒である。
【0050】
棒29は電極4付近に設けた円柱状の棒であり、処理室第一底壁2bと溝26上に所定の間隔を空けて2箇所に立設されている。
【0051】
2箇所に立設される棒29の所定の間隔は、横溝試料ホルダ2のホルダ側面27dとホルダ側面27eの幅程度となる。このとき、棒29aは、上部の膨出部27f、ホルダ側面27d、下部の膨出部27hに囲まれており、膨出部27fとホルダ側面27dと膨出部27hに接している。棒29bについても同様に、膨出部27gとホルダ側面27eと膨出部27iに接している。
【0052】
なお、棒29aが膨出部27h、ホルダ側面27dとのみ接しており、棒29bが膨出部27i、ホルダ側面27eとのみ接している場合には、ホルダ下面27jに接する新たな棒を1本設ければよい。
【0053】
次に、他の実施例のクリーニング装置に試料ホルダをセットする手順を説明する。
【0054】
まず、蓋6をクリーニング装置から外し、その後横溝試料ホルダ27の溝部を棒29に嵌合させて取り付ける。この時、棒29aに溝部27bが、棒29bに溝部27cが対応する向きに横溝試料ホルダ27を嵌合させる。ここで、横溝試料ホルダ27の本体は溝26に棒29と同時に嵌合することにより、更なる安定性を保てる。そして、蓋6をOリング7を設けた処理室壁2にのせて横溝試料ホルダ27のセットを終える。
【0055】
図9に他の実施例の試料ホルダをセットしたクリーニング装置を示す。図9(a)は正面図であり、図9(b)は図9(a)の点線EE′から矢印の方向に見た断面図である。
【0056】
図9に示すように、試料支持面27aは、横溝型試料ホルダ27のホルダ本体が棒29に挟まれる形で係合し、電極4に対して垂直方向に立った状態で保持される。
【0057】
他の実施例のクリーニング装置では、横溝試料ホルダ27のような溝部を有する構造であっても棒の配置を調整するだけで、効率よく最小の構成で安定して横溝試料ホルダ27を保持することができる。他の実施例に関しても、先の実施例と同様に、試料観察面14aの汚れが均一かつ効率良くクリーニングできる。
【0058】
なお、本発明のアリ溝試料ホルダ22及び横溝試料ホルダ27を係止する棒は、本来アリ溝22fや溝部27b、27cに嵌合して試料ホルダを動かないように固定できるならば素材も形状も問わない。例えば、クリーニング装置の係止部が棒ではなく、板状であってもよい。また、アリ溝試料ホルダ22だけを使用するならば、クリーニング装置の係止部をアリ溝22fに嵌合するほぞ状の突起としてもよい。
【0059】
さらに、実施例や他の実施例で示した試料ホルダ以外にも、係止部である棒の形状や数を変えることで、保持することが可能である。例えば、他の実施例で示した横溝試料ホルダにおいて、上部の膨出部27fと27gが欠けた構成の試料ホルダならば、係止部である棒を3本使用して、係合部となる膨出部27h(27i)とホルダ側面27d(27e)に接する箇所とホルダ下面27jに接する箇所に棒を配置することで、試料ホルダを保持することができる。
【符号の説明】
【0060】
1…処理室、2…処理室壁、2a…処理室側壁、2b…処理室第一底壁、2c…処理室第二底壁、3…絶縁体、4…電極、5…隙間、6…蓋、7…Oリング、8…TEM試料、9…TEMホルダ、10…真空ポンプ、11…流量調整用バルブ、12…ガスボンベ、13…交流電源、14…試料、14a…試料観察面、15…SEM試料ホルダ、15a…試料支持面、16…プラズマ空間、17…試料室壁、18…電子線照射手段、19…電子線、20…真空ポンプ、21…試料室、22…アリ溝試料ホルダ、22a…試料支持面、22b…テーバー面、22c…テーパー面、22d…ホルダ下面、22e…平行面、22f…アリ溝、23…試料ステージ、24…ダミーTEM試料ホルダ、25…棒、25a…棒、25b…棒、26…溝、27…横溝試料ホルダ、27a…試料支持面、27b…溝部、27c…溝部、27d…ホルダ側面、27e…ホルダ側面、27f…膨出部、27g…膨出部、27h…膨出部、27i…膨出部、27j…ホルダ下面、28…試料ステージ、29…棒、29a…棒、29b…棒
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9