【実施例1】
【0032】
図1は、本発明による3次元表示装置の断面図模式図である。
図1に示す装置は、液晶表示パネル3000によって形成された画像を液晶パララックスバリアパネル1000を用いて3次元画像を視認できる構成となっている。液晶パララックスバリアパネル(以後パララックスバリアパネルという)1000と液晶表示パネル3000は透明接着部材2000によって接着している。
【0033】
液晶表示装置は、自分では発光しないので、液晶表示パネル3000の背面にバックライト4000が配置されている。バックライト4000は光源の他、導光板、拡散板、場合によっては、光の利用効率を向上させるためのプリズムシート等の光学部品を含んでいる。
【0034】
図2はパララックスバリア方式の3次元画像表示の原理を示す断面図である。バリアパターン600に形成されたバリア領域610と開口領域620によって、右眼は表示装置800に形成された右眼用の画像のみを認識し、左眼は左眼用の画像のみを認識することによって、人間は、3次元画像を認識することが出来る。
【0035】
本発明では、表示装置として、IPS方式の液晶表示パネルを用いる。IPS方式の液晶表示パネルは画面を視る角度を大きくしても画像の表示品質が劣化しないという特徴を有する。
図3(a)および(b)は、IPS方式の液晶表示パネルの代表的な画素構造を示す平面図である。
図3(a)および(b)において、映像信号線202と走査線201に囲まれた領域に画素が形成されている。
【0036】
図3(a)は、縦方向にスリット204を有する画素電極203が形成され、その下の図示しない層間絶縁膜を介して平面状にコモン電極205が形成されている。画素電極203には、映像信号線202からTFT207およびTFTのソース電極と接続するスルーホール206を介して映像信号が供給される。TFT207は、走査線201から分岐したゲート電極によってスイッチングされる。
【0037】
図3(a)において、画素電極203に映像信号線202から電圧が供給されるとコモン電極205との間に電気力線が発生するが、この電気力線は、一旦液晶層をとおり、画素電極203に形成されたスリット204あるいは画素電極203の端部を通って画素電極203より下方に形成されたコモン電極205に達する。画素電極203から出た電気力線の横電界成分、すなわち、基板の主面と平行な電界成分によって、液晶層中の液晶分子300が回転する。IPS方式の液晶表示装置では、この液晶分子300の回転の量によって、画素毎に、画素を透過するバックライトからの光の量を制御して画像を形成する。
【0038】
液晶分子300は、画素電極203の上に形成された配向膜によって初期配向を受けており、この初期配向の向きからの回転量によって光の透過率を制御している。以後配向膜に形成された液晶分子300に対する初期配向の向きを配向膜の配向軸と呼ぶ。配向膜に対する配向処理は、ラビング配向あるいは偏光紫外線を用いた光配向等が用いられる。
図3(a)における配向軸は、画素電極203のスリット204の長手方向、すなわち、
図3のy方向に対して8度程度傾いている。
図3(a)における液晶分子300の長軸の傾きが初期配向の向き、すなわち、配向軸を示している。これは、液晶分子300が横電界を受けたさいに、画素内の全ての液晶分子に対して同一方向に回転させるためである。このように、画素内において、全ての液晶分子が同一方向に回転するような構成をシングルドメインと呼んでいる。以後、
図3(a)の画素構造を縦櫛歯と呼ぶ。
【0039】
図3(b)の場合も
図3(a)の場合もIPS方式としての基本動作原理は同じである。
図3(b)が
図3(a)と異なる点は、画素電極203の形状と配向膜に形成された液晶分子300に対する配向軸方向である。
図3(b)においては、画素電極203に形成されたスリット204の向きが横方向であり、かつ、スリット204が中央部において屈曲している。また、
図3(b)における配向膜の配向軸は、走査線の方向、すなわち、
図3のx方向と平行である。
図3(b)において、液晶分子300の長軸方向が初期配向の向きである。なお、
図3(a)、
図3(b)において、初期配向の向きをわかりやすくするために、液晶分子を大きく記載しているが、実際には、液晶分子は視認不可能なほど小さい。
【0040】
図3(b)の画素構造では、画素電極203におけるスリット204は水平方向である配向軸に対して画素の右側と左側において、傾きが異なっている。したがって、画素電極203に電圧が印加されると、液晶分子300の回転する方向が画素の左側と右側において異なる。これによって、液晶表示パネルの視野角特性をより均一にすることが出来る。このように、画素内において、液晶分子300の回転方向が複数存在する場合をマルチドメインと呼んでいる。マルチドメインは視野角特性を改良することが出来るが、ドメインの境界において、光を透過しない領域が発生し、この分、画素の透過率が小さくなる。
図3(b)においては、スリット204の屈曲部を結ぶ画素の縦中央線付近がこの境界に該当する。以後
図3の画素電極構造を横櫛歯と呼ぶ。
【0041】
図4は液晶パララックスバリアパネルの動作原理を示す断面図である。
図4(a)も
図4(b)もTN(Twisted Nematic)方式の液晶パネルである。
図4(a)において、対向基板50には対向電極55が平面べたで形成され、バリアパネル60には、所定のピッチでストライプ状のバリア電極65が紙面垂直方向に延在している。
図4(a)は、対向電極55とバリア電極65との間に電圧が印加されていない状態であり、液晶表示パネルからの光は変調を受けない。したがって、この場合は、2次元画素が表示される。
【0042】
図4(b)は同じパララックスバリアパネルのバリア電極65に対して1つおきに電圧を印加した場合である。バリア電極65に電圧が印加された領域は光が遮光され、バリア電極に電圧が印加されない領域は光が透過する。これによって、パララックスバリアパネル主面から見ると、ストライプ状の遮光領域とストライプ状の開口領域が交互に形成されて見える。
【0043】
本発明は、パララックスバリアパネルにTN方式の液晶パネルを用い、表示装置にIPS方式の液晶表示パネルを用いるものである。液晶表示パネルにいわゆるe−modeを用いるかo−modeを用いるかによって、液晶表示パネルの配向軸方向、および、液晶表示パネルに貼り付けられる偏光板の透過軸方向が異なってくる。また、画素電極が横櫛歯の場合と縦櫛歯の場合とでも、液晶表示パネルの配向軸方向、および、液晶表示パネルに貼り付けられる偏光板の透過軸方向が異なってくる。したがって、e−modeを使用するかo−modeを使用するか、画素電極に縦櫛歯を使用するか横櫛歯を使用するかによって、4つの組み合わせが存在する。
【0044】
図5は、画素電極203に縦櫛歯を使用した場合であり、
図5(a)がe−mode、
図5(b)がo−modeの場合である。
図5(a)および
図5(b)において、液晶表示パネルを構成するTFT基板20の配向軸21とカラーフィルタ基板30の配向軸31は同じ方向のy方向である。実際には液晶表示パネルの配向軸はy方向に対して8度程度傾いているが、図では、y方向として表している。
【0045】
図5(a)はe−modeであるから、TFT基板20の下に貼り付けられる第1の偏光板10の透過軸11はTFT基板20の配向軸方向21と直角方向、すなわち、x方向である。また、カラーフィルタ基板30の上に貼り付けられる第2の偏光板40の透過軸31は、液晶表示パネルのカラーフィルタ基板30の配向軸方向31と同じy方向である。パララックスバリアパネルを構成する対向基板50の配向軸方向51は、第2の偏光板40の透過軸方向41と同じy方向であり、バリア基板60の配向軸方向61はx方向となっている。パララックスバリアパネルはTN方式の液晶表示装置を用いているからである。バリア基板60の外側に貼り付けられる第3の偏光板70の透過軸71は、バリアパネルの配向軸方向61と同じx方向である。
【0046】
図5(b)はo−modeであるから、TFT基板20の下に貼り付けられる第1の偏光板10の透過軸11はTFT基板20の配向軸方向21と平行方向、すなわち、y方向である。また、カラーフィルタ基板30の上に貼り付けられる第2の偏光板40の透過軸41は、液晶表示パネルのカラーフィルタ基板30の配向軸方向31と直角方向であるx方向である。パララックスバリアパネルを構成する対向基板50の配向軸方向51は、第2の偏光板40の透過軸方向41と同じx方向であり、バリア基板60の配向軸方向61はy方向となっている。パララックスバリアパネルはTN方式の液晶表示装置を用いているからである。バリア基板60の外側に貼り付けられる第3の偏光板70の透過軸71は、バリア基板60の配向軸方向61と同じy方向である。
【0047】
図6は、画素電極203に横櫛歯を使用した場合であり、
図6(a)がe−mode、
図6(b)がo−modeの場合である。
図6(a)および
図6(b)において、液晶表示パネルを構成するTFT基板20の配向軸21とカラーフィルタ基板30の配向軸31は同じ方向のx方向である。
【0048】
図6(a)はe−modeであるから、TFT基板20の下に貼り付けられる第1の偏光板10の透過軸11はTFT基板20の配向軸方向21と直角方向、すなわち、y方向である。また、カラーフィルタ基板30の上に貼り付けられる第2の偏光板40の透過軸41は、液晶表示パネルのカラーフィルタ基板30の配向軸方向31と同じx方向である。パララックスバリアパネルを構成する対向基板50の配向軸方向51は、第2の偏光板40の透過軸方向41と同じx方向であり、バリア基板60の配向軸方向61はy方向となっている。パララックスバリアパネルはTN方式の液晶表示装置を用いているからである。バリア基板60の外側に貼り付けられる第3の偏光板70の透過軸71は、バリア基板60の配向軸方向61と同じy方向である。
【0049】
図6(b)はo−modeであるから、TFT基板20の下に貼り付けられる第1の偏光板10の透過軸11はTFT基板20の配向軸方向21と平行方向、すなわち、x方向である。また、カラーフィルタ基板30の上に貼り付けられる第2の偏光板40の透過軸41は、液晶表示パネルのカラーフィルタ基板30の配向軸方向31と直角方向であるy方向である。パララックスバリアパネルを構成する対向基板50の配向軸方向51は、第2の偏光板40の透過軸方向41と同じy方向であり、バリア基板60の配向軸方向61はx方向となっている。パララックスバリアパネルはTN方式の液晶表示装置を用いているからである。バリア基板60の外側に貼り付けられる第3の偏光板70透過軸71は、バリア基板60の配向軸と同じx方向である。
【0050】
ところで、TN方式の液晶表示パネルは、視野角が問題である。すなわち、斜め方向が見た場合、画面のコントラストが低下したり、色度が変化したりする。したがって、パララックスバリアパネルとしてTN方式の液晶パネルを使用する場合、視野角が問題となる。TN液晶パネルでは、配向膜の配向処理はラビング方式が使用される。TN液晶パネルにおける視野角はラビング方向、すなわち、配向軸と45度方向が視野角が最も広くなる方向であり且つ対称となる。
【0051】
図5あるいは
図6においては、TN液晶パネルにおける対向基板50あるいはバリア基板60の配向軸は、液晶表示パネルとして使用するIPS方式の液晶表示パネルにおけるTFT基板20あるいはカラーフィルタ基板30の配向軸と一致させているので、配向軸方向は、x方向あるいはy方向となり、視野角が広く且つ対称となる領域は、x方向あるいはy方向に対して45度の方向である。
【0052】
このような場合のコントラスト分布を示したものが
図7(a)である。
図7(a)において、曲線は、コントラストの等高線である。
図7(a)において、TMで示した等高線がコントラストが最も大きい範囲である。
図7(a)において、水平方向、すなわち、0度−180度におけるコントラストが大きい部分THは限られた範囲である。
【0053】
しかし、パララックスバリア方式の液晶表示装置では、視線がバリアパターンの延在方向に対して直角方向、すなわち、x方向に移動した場合が問題となる。本発明においては、パララックスバリアパネルにおける対向基板およびバリア基板の配向軸をx方向に対し45度方向にすることによって、バリアパターンの延在方向に対して直角方向、すなわち、x方向の視野角を増大させるものである。
【0054】
図7(b)は、本発明におけるパララックスバリアパネルの視野角特性を示す等高線分布である。
図7(b)において、コントラストの最も大きい範囲の等高線をTMで示している。0度−180度におけるコントラストが大きい部分THは、
図7(a)の場合に比較して拡大している。これによって、パララックスバリア方式において、視線が移動した場合のコントラストの低下や色度の変化を緩和することができる。
【0055】
図8は、画素電極が横櫛歯でe−modeの場合における第1乃至第3偏光板の透過軸、TFT基板20、カラーフィルタ基板30、パララックスバリアパネルにおける対向基板50、バリア基板60の配向軸の関係を示す模式図である。第1偏光板10と第2偏光板40の透過軸、TFT基板20、カラーフィルタ基板30の配向軸の関係は、e−modeであるかo−modeであるかによって変化する。
図8における重要な点は、カラーフィルタ基板30の配向軸方向31あるいは第2偏光板40の透過軸41がパララックスバリアパネルにおける対向基板50の配向軸方向51と一致していない点である。
図8では、パララックスバリアパネルの対向基板50およびバリア基板60の配向軸方向51、61をx方向に対して45度傾けるので、パララックスバリア方式の3次元表示装置の水平方向の視野角を向上させることが出来る。この場合の45度は厳密な意味での45度でなくともよい。実用的には、45度±10度であればよい。
【0056】
図9は、実施例1における第1乃至第3偏光板の透過軸、液晶表示パネルおよびパララックスバリアパネルの基板の配向軸の関係を示す表である。
図5および
図6で説明した構成は比較例として記載されている。実施例1の欄は次のとおりである。実施例1は、画素電極が縦櫛歯、または、横櫛歯の場合、あるいは、動作モードがe−mode、または、o−modeの場合のいずれについても適用することが出来る。実施例1における第1および第2偏光板の透過軸方向、TFT基板およびカラーフィルタ基板の配向軸方向は、比較例と同じである。実施例1は、パララックスバリアパネルにおける対向基板50およびバリア基板60の配向軸51、61、あるいは、第3の偏光板の偏光軸方向71が45度あるいは135度である点で比較例と異なっている。
図9において、45度と135度は互いに交換可能である。プラスx方向であれ、マイナスx方向であれ、x方向に対して45度の角度で交差すればよい。以下の
図18、
図20の表についても同様である。なお、この場合の45度は厳密な意味での45度でなくともよい。実用的には、45度±10度でよい。
【0057】
図10は、パララックスバリアパネルにおける対向基板とバリア基板における配向軸を第2あるいは第3偏光板の透過軸と合わせた場合(0度)と、本実施例におけるように、パララックスバリアパネルにおける対向基板とバリア基板における配向軸を第2あるいは第3偏光板の透過軸と45度の角度とした場合における光の透過を比較したものである。
図10において、横軸は、対向電極とバリア電極との間の電圧、縦軸はパララックスバリアパネルの透過率である。
図10に示すように、パララックスバリアパネルにおける対向基板とバリア基板における配向軸を第2あるいは第3偏光板の透過軸と45度の角度とした場合は、0度とした場合に比較してパララックスバリアパネルの透過率は大きく変化していないことがわかる。この結果から、45度の角度としたとしても光学的には影響がないと言える。 この影響をパララックスバリア方式における正面クロストークと視野角が画面の法線方向から30度の場合におけるクロストークとで比較したものが、
図11である。
図11では実施例2−4も記載しているが、これらについては、後で説明する。
図11において、正面のクロストークは、比較例は0.6%であるのに対し、実施例1では1.5%と、劣化している。一方、法線方向から30度傾いた方向から見た場合のクロストークは、比較例は6%であるのに対し、実施例1では3%と、大幅に向上している。したがって、視野角も考慮した全体的な3次元表示としては、実施例1のほうが向上しているといえる。
【0058】
このように、本発明は、パララックスバリアパネルとして使用するTN液晶パネルの視野角を向上させることによって、視線を移動させてもクロストークが大きくなることを防止することに主眼がある。視線の移動に合わせてパララックスバリアの位置を移動させると、視線を移動させた場合におけるクロストークをさらに減少させることが出来る。この場合、まず、視線の移動を感知し、これを表示装置にフィードバックさせる必要がある。
【0059】
図12は、視線の移動をカメラによって追跡し、このデータを表示装置にフィードバックするシステムを示すブロック図である。以後このシステムをアイトラッキング方式と呼ぶ。
図12において、人間の眼110の位置をカメラで測定する。このカメラは、携帯電話等における写真用カメラを使用すれば、特別に専用カメラを用いなくとも、このシステムを適用することが出来る。
【0060】
図12において、カメラで検出した人間の眼110の位置を位置検出器に入力し、位置検出器からバリア制御器にこの信号を入力する。バリア制御器は、バリア基板におけるバリアパターンの位置を制御するための信号を作り、この信号をパララックスバリアパネルを有する3次元表示装置に入力する。
【0061】
図13は、人間の眼110が移動した場合にも、右眼用の画素と左眼用の画素がクロストークしないように、人間の眼110の移動に合わせてバリアパターン600を移動することを示す模式図である。
図13において、人間の眼110はバリアパターン600を介して画素パターン800を視認するので、人間は3次元画像を認識することが出来る。
図13は、
図13(a)から(c)にかけて人間の眼が紙面に向かって左から右方向に移動していることを示し、それに合わせてバリアパターンが左から右方向に移動している。これによって、右眼用の画素と左眼用の画素のクロストークを防止することができる。
【0062】
図14は、パララックスバリアパネルにおいてバリアパターン600を移動させるための電極構造を示すものである。
図14において、対向基板50には対向電極55が平面状に形成されていることは従来と同じである。一方、バリア基板60におけるバリア電極65は紙面垂直方向に延在するストライプ状である。
図14においては、5本のバリア電極65をonすることによってバリア領域を形成し、off状態の5本のバリア電極65に対応して開口領域620が形成されている。バリア領域610の位置を移動させるには、バリア領域610における片側のバリア電極65をoffし、バリア領域610の他の側のバリア電極65をonさせればよい。
【0063】
このように、複数のバリア電極65によってバリア領域610を形成することで、バリア領域610の位置を移動させることが出来、アイトラッキングによるフィードバックをより正確に行うことが出来る。
【0064】
なお、
図14において、バリア電極65がonになっている領域にバリア領域610が形成され、バリア電極65がoffになっている領域に透過領域620が形成されている。また、バリア電極65がonになっている状態は、バリア電極65に電圧が印加されている状態のことである。このバリア領域610の幅あるいは透過領域620の幅が、1画素の幅、すなわち、赤画素(R)、緑画素(G)、青画素(B)のサブピクセルの合計の幅となっている。
【0065】
図15は、バリア領域610を複数のバリア電極65によって形成する場合における他の例である。
図11の例では、複数に分割されたバリア電極65間に隙間が存在するので、この隙間において、光漏れが発生する危険がある。この光もれは右眼用画像と左眼用画像のクロストークの原因になる。
図15は、バリア基板60側において、バリア電極65を絶縁膜を挟んで2層形成し、対向基板50側から見た場合、バリア電極65間に隙間が発生しないようにしている。これによって、バリア領域610における光漏れは、完全に阻止され、光もれによるクロストークの発生を防止することが出来る。
【0066】
図16は、バリア領域610を複数のバリア電極65によって形成する場合におけるさらに他の例である。
図16が
図15と異なる点は、上層のバリア電極65の間隔がバリア電極65の幅よりも小さく、下層のバリア電極652の幅が、上層のバリア電極65の幅よりも小さいことである。バリア基板60側において、バリア電極65を絶縁膜653を挟んで2層形成し、対向基板50側から見た場合、バリア電極65間に隙間が発生しないようにする目的は
図15と同様である。すなわち、上層のバリア電極65と下層のバリア電極652の幅は必ずしも同じ幅である必要は無い。
【0067】
図16のようなバリア電極65の構成においては、絶縁膜653を挟んで隣同士の上層のバリア電極65と下層のバリア電極652の電圧を同電位とすると動作が容易である。
【0068】
以上のように、本実施例では、パララックスバリアパネルにおける対向基板50とバリア基板60の配向軸51,61が第2偏光板40の透過軸と異なることによるパララックスバリアパネルの透過率の減少、および、正面におけるクロストークの増大等をきたすが、視線が移動した場合に、パララックスバリアパネルの視野角が小さいことによるクロストークの増大等による画質の劣化を抑えることが出来るので、全体としてパララックスバリア方式による3次元表示の表示品質を向上させることが出来る。
【0069】
以上のように、バリア電極を複数に分割し、視線に合わせてバリア領域の位置を移動させることによって、よりクロストークの小さい3次元画像を形成することが出来る。また、アイトラッキング方式を用いることによって、パララックスバリアにおいて、視線を移動させた場合にもクロストークを抑え、良好な3次元画像を認識することが出来る。