特許第6207385号(P6207385)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6207385
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
   H02J 1/00 20060101AFI20170925BHJP
   H02M 7/12 20060101ALI20170925BHJP
【FI】
   H02J1/00 308C
   H02M7/12 G
【請求項の数】3
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-268608(P2013-268608)
(22)【出願日】2013年12月26日
(65)【公開番号】特開2015-126588(P2015-126588A)
(43)【公開日】2015年7月6日
【審査請求日】2016年10月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227180
【氏名又は名称】日置電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104787
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 伸司
(72)【発明者】
【氏名】岩井 淳一
【審査官】 坂東 博司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−196239(JP,A)
【文献】 特開平11−301064(JP,A)
【文献】 特開2008−187871(JP,A)
【文献】 特開平05−205352(JP,A)
【文献】 特開2001−175365(JP,A)
【文献】 米国特許第03962611(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 1/00
H02M 7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部電源を入力したときに当該外部電源から作動用電源を生成する電源部と、供給対象に対する前記作動用電源の供給開始を指示する開始操作および当該作動用電源の供給停止を指示する停止操作が可能な操作部と、前記電源部が前記外部電源を入力したときに前記操作部に対する前記開始操作の有無に拘わらず前記供給対象に対して前記生成した作動用電源を供給する第1供給処理と当該電源部が前記外部電源を入力している状態でかつ前記開始操作がされたときに当該供給対象に対して当該生成した作動用電源を供給する第2供給処理とを実行する電源制御部とを備え、
内部電源で常時作動すると共に、クロック信号を出力する第1のモードおよび当該クロック信号の出力を停止する第2のモードに設定可能なリアルタイムクロックを備え、
前記電源制御部は、前記開始操作の有無に拘わらず作動して、前記リアルタイムクロックが前記第1のモードおよび前記第2のモードのうちのいずれか一方のモードに設定されている状態において前記電源部が前記外部電源を入力しているときに前記第1供給処理を実行し、前記リアルタイムクロックが前記第1のモードおよび前記第2のモードのうちの他方のモードに設定されている状態において前記電源部が前記外部電源を入力したときに前記第2供給処理を実行する電子機器。
【請求項2】
前記電源制御部は、前記作動用電源に基づくクリア信号を入力するCLR端子、開始操作の際に出力される操作信号を入力するPR端子、前記作動用電源に基づくD信号を入力するD端子、前記クロック信号を入力するCK端子、および前記電源部に対して前記作動用電源の供給の開始を指示するQ信号を出力するQ端子を有するD型フリップフロップを備えて構成されて、前記電源部による前記外部電源の入力の有無および前記クロック信号の出力の有無に応じて前記Q信号の出力および出力停止を行って前記第1供給処理および前記第2供給処理を実行する請求項1記載の電子機器。
【請求項3】
前記供給対象に対して前記作動用電源が供給されたときに当該作動用電源によって作動すると共に前記リアルタイムクロックを前記いずれか一方のモードに設定し、前記供給対象に対して前記作動用電源が供給されている状態で前記停止操作がされたときに前記リアルタイムクロックを前記他方のモードに設定するクロック制御部を備えている請求項1または2記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部電源から作動用電源を生成する電源部と、供給対象に対する作動用電源の供給を制御する電源制御部とを備えた電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の電子機器として、下記特許文献1に開示された電子機器が知られている。この電子機器は、主電源から供給される交流電力をDC電圧に変換するスイッチング電源、スイッチング電源によって変換されたDC電圧を負荷に適した電圧に変換するDC−DCコンバータ、電源のオン/オフ状態を切り換えるスイッチ、電源のオン/オフ状態やユーザによって選択されたモードの情報を記録する不揮発メモリ、FETを制御して負荷に対する電力の供給を制御するマイコン等を備えて構成されている。この電子機器では、スイッチが押されたときに出力されるパルス信号をマイコンが検知し、不揮発メモリに記録されている電源のオン/オフ状態やモードの情報を読み出し、その情報に従って負荷に対する電源のオン/オフ処理を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−187871号公報(第4−5頁、第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、従来の電子機器には、改善すべき以下の課題がある。すなわち、上記の電子機器では、電源のオン/オフ状態やモードの情報を不揮発メモリに記録し、マイコンがその情報を読み出してその情報に従って負荷に対する電源のオン/オフ処理を行う。この場合、例えば、スイッチング電源に対する交流電力の供給が開始されたとき(電源コンセントに電源プラグが差し込まれたとき)にスイッチに対する操作の有無に拘わらず負荷に対する電力供給を直ちに開始する処理(第1処理)と、電源コンセントに電源プラグが差し込まれたときに負荷に対して直ちには電力供給を開始せずに待機し、スイッチに対する操作がされたときに電力供給を開始する処理(第2処理)とのいずれかを指定して実行させるような、比較的単純な処理を行う場合においても、第1処理および第2処理のいずれを実行するかを指定する情報を不揮発メモリに記録し、マイコンがその情報を読み出していずれかの処理を実行することとなる。この場合、不揮発メモリの構成によっては、情報の読み出しに時間を要することがある。このため、この電子機器には、上記のような比較的単純な処理を行う場合においても、不揮発メモリからの情報の読み出しに時間を要することに起因して、負荷に対する短時間での電力の供給開始が困難であるという課題が存在する。
【0005】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、供給対象に対する電源供給の開始時間を短縮し得る電子機器を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成すべく請求項1記載の電子機器は、外部電源を入力したときに当該外部電源から作動用電源を生成する電源部と、供給対象に対する前記作動用電源の供給開始を指示する開始操作および当該作動用電源の供給停止を指示する停止操作が可能な操作部と、前記電源部が前記外部電源を入力したときに前記操作部に対する前記開始操作の有無に拘わらず前記供給対象に対して前記生成した作動用電源を供給する第1供給処理と当該電源部が前記外部電源を入力している状態でかつ前記開始操作がされたときに当該供給対象に対して当該生成した作動用電源を供給する第2供給処理とを実行する電源制御部とを備え、内部電源で常時作動すると共に、クロック信号を出力する第1のモードおよび当該クロック信号の出力を停止する第2のモードに設定可能なリアルタイムクロックを備え、前記電源制御部は、前記開始操作の有無に拘わらず作動して、前記リアルタイムクロックが前記第1のモードおよび前記第2のモードのうちのいずれか一方のモードに設定されている状態において前記電源部が前記外部電源を入力しているときに前記第1供給処理を実行し、前記リアルタイムクロックが前記第1のモードおよび前記第2のモードのうちの他方のモードに設定されている状態において前記電源部が前記外部電源を入力したときに前記第2供給処理を実行する。
【0007】
また、請求項2記載の電子機器は、請求項1記載の電子機器において、前記電源制御部は、前記作動用電源に基づくクリア信号を入力するCLR端子、開始操作の際に出力される操作信号を入力するPR端子、前記作動用電源に基づくD信号を入力するD端子、前記クロック信号を入力するCK端子、および前記電源部に対して前記作動用電源の供給の開始を指示するQ信号を出力するQ端子を有するD型フリップフロップを備えて構成されて、前記電源部による前記外部電源の入力の有無および前記クロック信号の出力の有無に応じて前記Q信号の出力および出力停止を行って前記第1供給処理および前記第2供給処理を実行する。
【0008】
また、請求項3記載の電子機器は、請求項1または2記載の電子機器において、前記供給対象に対して前記作動用電源が供給されたときに当該作動用電源によって作動すると共に前記リアルタイムクロックを前記いずれか一方のモードに設定し、前記供給対象に対して前記作動用電源が供給されている状態で前記停止操作がされたときに前記リアルタイムクロックを前記他方のモードに設定するクロック制御部を備えている。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の電子機器では、クロック信号を出力する第1のモードおよびクロック信号の出力を停止する第2のモードに設定可能なリアルタイムクロックを備え、電源制御部は、リアルタイムクロックが第1のモードおよび第2のモードのうちのいずれか一方のモードに設定されている状態において電源部が外部電源を入力しているときに第1供給処理を実行し、リアルタイムクロックが第1のモードおよび第2のモードのうちの他方のモードに設定されている状態において電源部が外部電源を入力したときに第2供給処理を実行する。このため、この電子機器では、電源部が外部電源を入力したときに第1供給処理および第2供給処理のいずれの処理を実行するかの情報をメモリに記録することなく、電源部が外部電源を入力したときのリアルタイムクロックのモードに応じて第1供給処理および第2供給処理のいずれかを実行させることができる。したがって、この電子機器によれば、このような情報をメモリに記録して作動用電源の供給を開始する際に情報をメモリから読み出す構成と比較して、情報の読み出しに要する時間を不要とすることができる分、供給対象に対する電源供給の開始時間を十分に短縮することができる。
【0010】
また、請求項2記載の電子機器では、D型フリップフロップを備えて電源制御部が構成されている。この場合、例えば、第2供給処理を実行する際に、操作部に対する操作の有無をCPU等の主制御部が監視する構成では、監視のために主制御部に作動用電源を常時供給する必要がある。これに対して、この電子機器では、このような主制御部による監視を行うことなく、簡易な構成で低消費電力化が可能な電源制御部(D型フリップフロップ)の動作によって操作部に対して操作がされたときに第2供給処理を実行させることができる。このため、この電子機器によれば、主制御部による監視のための電力消費を削減することができる結果、電力消費量を低減することができる。
【0011】
また、請求項3記載の電子機器によれば、作動用電源によって作動してリアルタイムクロックのモードの設定を制御するクロック制御部を備えたことにより、作動用電源とは別の電源で作動するクロック制御部を設けることなくリアルタイムクロックのモードの設定を確実に制御することができるため、このようなクロック制御部用の別の電源を設ける必要がない分、構成を簡易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】測定装置1の構成を示す構成図である。
図2】電源制御部14の構成を示す構成図である。
図3】測定装置1の動作を説明する第1の説明図である。
図4】測定装置1の動作を説明する第2の説明図である。
図5】測定装置1の動作を説明する第3の説明図である。
図6】測定装置1の動作を説明する第4の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、電子機器の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0014】
最初に、電子機器の一例としての測定装置1の構成について、図面を参照して説明する。図1に示す測定装置1は、測定対象の被測定量(一例として、インピーダンス、インダクタンスおよび静電容量等の物理量)を測定可能に構成されている。具体的には、測定装置1は、同図に示すように、電源部11、メインスイッチ12、電源スイッチ13、電源制御部14、測定部15、リアルタイムクロック16(以下、「RTC16」ともいう)、および主制御部(CPU)17を備えて構成されている。
【0015】
電源部11は、一例としてAC−DCコンバータを備えて構成され、図1に示すように、外部から入力した外部電源Pe(例えば、商用交流電源)から作動用電源Po(例えば、直流電源)を生成する。また、電源部11は、電源制御部14における後述するD型フリップフロップ21の電源入力端子およびD端子、並びに電源制御部14におけるリセットIC22および抵抗23に対して、生成した作動用電源Poを生成開始から継続的に(後述する電源スイッチ13による開始操作の有無に拘わらず)出力する(図2参照)。また、電源部11は、電源制御部14の制御に従い、作動用電源Poを供給対象の一例としての測定部15および主制御部17に供給する。具体的には、電源部11は、電源制御部14のD型フリップフロップ21から出力されるQ信号Sqに従い、図外のスイッチを作動させて作動用電源Poを測定部15および主制御部17に供給する(図2,3参照)。
【0016】
メインスイッチ12は、図1に示すように、外部電源Peが供給されている電源コンセントに差し込まれる電源プラグ(いずれも図示せず)と電源部11との間に配設されて、接続操作および切断操作に応じて、電源部11への外部電源Peの入力および入力停止(電源コンセントと電源部11との接続および切断)を行う。
【0017】
電源スイッチ13は、操作部に相当し、供給対象としての測定部15および主制御部17に対する作動用電源Poの供給開始を指示する開始操作、および作動用電源Poの供給停止を指示する停止操作を行うことが可能となっている。具体的には、電源スイッチ13は、一例として、モーメンタリスイッチとして機能するプッシュスイッチで構成されて、図1,2に示すように、後述する抵抗23および低電位(接地電位)の間に接続されている。この場合、電源スイッチ13に対するプッシュ操作に応じて、ローレベルおよびハイレベルのPR信号Spr(図3参照)が、電源制御部14のD型フリップフロップ21のPR端子および主制御部17に出力される。また、後述するように、PR信号Sprのレベルの変化によって供給対象に対する作動用電源Poの供給開始および供給停止が行われる。つまり、電源スイッチ13に対するプッシュ操作が開始操作および停止操作に相当する。
【0018】
電源制御部14は、電源スイッチ13による開始操作の有無に拘わらず電源部11から出力される作動用電源Poを入力して作動して、供給対象としての測定部15および主制御部17に対する作動用電源Poの供給および供給停止を制御する。具体的には、電源制御部14は、電源部11が外部電源Peを入力したときに電源スイッチ13に対する開始操作の有無に拘わらず供給対象に対して作動用電源Poを供給する第1供給処理と、電源部11が外部電源Peを入力している状態でかつ電源スイッチ13に対する開始操作がされたときに供給対象に対して作動用電源Poを供給する第2供給処理とを実行する。
【0019】
ここで、この測定装置1では、電源制御部14は、RTC16が後述する第1のモード(第1のモードおよび第2のモードのうちのいずれか一方のモードの一例)に設定されている状態において電源部11が外部電源Peを入力しているときに第1供給処理を実行し、RTC16が後述する第2のモード(第1のモードおよび第2のモードのうちの他方のモードの一例)に設定されている状態において電源部11が外部電源Peを入力したときに第2供給処理を実行する。つまり、この測定装置1では、電源部11が外部電源Peを入力したときに、設定されているRTC16のモードに応じて、電源制御部14が第1供給処理および第2供給処理のいずれかを実行する。
【0020】
また、電源制御部14は、一例として、図2に示すように、PR端子、CLR端子、CK端子、D端子およびQ端子を有するD型フリップフロップ21(以下、「FF21」ともいう)と、リセットIC22と、抵抗23とを備えて構成されている。この場合、CLR端子は、作動用電源Poに基づいて生成されるCLR信号Sclr(図3参照)を入力し、PR端子は、電源スイッチ13に対するプッシュ操作が行われたときに生成される操作信号としてのPR信号Spr(同図参照)を入力する。また、D端子は、作動用電源PoをD信号Sd(同図参照)として入力し、CK端子は、RTC16から出力される後述するCK信号(クロック信号)Sck(同図参照)を入力する。さらに、Q端子は、供給対象に対する作動用電源Poの供給を指示するQ信号としてのQ信号Sqを電源部11に出力する。なお、このFF21では、CLR端子およびPR端子がローアクティブにそれぞれ規定されている。
【0021】
この測定装置1では、図3図6に示すように、FF21が、電源部11による外部電源Peの入力の有無、PR信号SprやCLR信号Sclrのレベル、およびCK信号Sckの出力の有無などに応じてQ信号Sqを出力することにより、第1供給処理および第2供給処理が実行される。
【0022】
測定部15は、電源部11から供給される作動用電源Poで作動し、主制御部17の制御に従って測定対象(図示せず)の被測定量を測定する測定処理を実行する。
【0023】
RTC16は、外部電源Peや作動用電源Poとは別の独立した内部電源(例えば、測定装置1内に配設された電池の直流電源)で常時作動して時刻を演算し、主制御部17の要求に応じて時刻データを出力する。また、RTC16は、時刻の演算に用いるCK信号Sck(例えば、32768Hzのパルス信号)を出力する第1のモード、およびCK信号Sckの出力を停止する第2のモード(第2のモードにおいても、時刻の演算は停止することなく継続する)のいずれかのモードを設定可能に構成されている。この場合、RTC16は、主制御部17から出力されるモード指示信号Smに従って第1のモードおよび第2のモードを切り替える。
【0024】
主制御部17は、電源部11から供給される作動用電源Poで作動し(つまり、供給対象であって)、測定部15を制御する。また、主制御部17は、クロック制御部として機能し、RTC16に対してモード指示信号Smを出力することにより、RTC16を上記した第1のモードおよび第2のモードのいずれかのモードに設定する。
【0025】
具体的には、主制御部17は、供給対象(測定部15および主制御部17自身)に対する作動用電源Poの供給が開始されたときにRTC16を第1のモードに設定し、供給対象に対して作動用電源Poが供給されている状態で電源スイッチ13によって停止操作がされたときにRTC16を第2のモードに設定する。また、供給対象に対して作動用電源Poが供給されている状態で電源部11が外部電源Peの入力を停止したとき(メインスイッチ12に対する切断操作がされたとき)には、主制御部17が作動を停止するため、RTC16は主制御部17の作動停止の直前に設定されているモードを維持する。
【0026】
また、主制御部17は、供給対象に対して作動用電源Poが供給されている状態で電源スイッチ13によって停止操作がされたときに、停止指示信号Scを電源部11に出力して、供給対象に対する作動用電源Poの供給を停止させる。
【0027】
次に、測定装置1の動作について、図面を参照して説明する。なお、初期状態において、RTC16が第1のモード(CK信号Sckを出力するモード)に設定されているものとする。
【0028】
この測定装置1では、電源プラグが電源コンセント(いずれも図示せず)に差し込まれている状態において、メインスイッチ12に対して接続操作が操作されたときには、電源部11が外部電源Peを入力する。次いで、電源部11は、外部電源Peから作動用電源Poを生成する。この際に、生成された作動用電源Poが電源制御部14に出力されて、電源制御部14が作動する。
【0029】
一方、初期状態においてRTC16が第1のモードに設定されているため(つまり、RTC16が第1のモードに設定されている状態において電源部11が外部電源Peを入力したため)、電源制御部14は、第1供給処理を実行する。この第1供給処理では、電源制御部14は、電源部11が外部電源Peを入力したときに、電源スイッチ13に対する開始操作の有無に拘わらず、供給対象としての測定部15および主制御部17に対する作動用電源Poの供給を開始する。
【0030】
この第1供給処理について、図1図3を参照して詳細に説明する。まず、電源部11が作動用電源Poを生成した際には、作動用電源Poが、電源制御部14のFF21における電源端子に入力されると共にD端子(図2参照)にD信号Sdとして入力される(図3参照)。また、電源部11が生成した作動用電源Poが、電源制御部14の抵抗23(図2参照)に供給されて、PR信号Spr(図3参照)としてFF21のPR端子(図2参照)に入力する。
【0031】
また、電源制御部14のリセットIC22(図2参照)が、電源部11が生成した作動用電源Poを入力する。この場合、リセットIC22内部では、内部に入力容量を有しているため、作動用電源Poの入力開始直後においては、作動用電源Poによって充電される入力容量の電圧レベルが徐々に増加する。このため、図3に示すように、リセットIC22は、作動用電源Poのレベルが予め決められたレベルに達したときにH信号(ハイレベル信号)のCLR信号Sclr(図3参照)をFF21のCLR端子(図2参照)に出力する。
【0032】
一方、初期状態において、第1のモードに設定されているRTC16が、CK信号Sckを出力しているため、FF21のCK端子(図2参照)にCK信号Sckが出力される(図3参照)。この場合、図3に示すように、CLR端子にH信号のCLR信号Sclrが入力した直後におけるCK信号Sckの立ち上がりに同期してQ端子からH信号のQ信号Sqが出力される。
【0033】
続いて、図3に示すように、H信号のQ信号Sqの出力に応じて、電源部11が、図外のスイッチをオン状態に作動させて、供給対象としての測定部15および主制御部17に対する作動用電源Poの供給を開始する。これにより、主制御部17が起動して各処理を開始する。このように、電源制御部14は、RTC16が第1のモードに設定されている状態において電源部11が外部電源Peを入力したとき(メインスイッチ12に対する接続操作が行われたとき)には、電源スイッチ13に対する開始操作の有無に拘わらず供給対象に対する作動用電源Poの供給を直ちに開始する第1供給処理を実行する。
【0034】
次いで、主制御部17は、図3に示すように、RTC16のモードを第1のモードに設定させるモード指示信号SmをRTC16に出力する。この場合、RTC16は、この時点において第1のモードに既に設定されているため、この第1のモードに設定された状態を維持する。
【0035】
続いて、測定部15に対して測定処理を実行させる際には、図外の操作部を操作して、測定処理の実行を指示する。これに応じて、主制御部17は、測定部15を制御して測定処理を実行させる。
【0036】
次いで、測定が終了したときには、供給対象としての測定部15および主制御部17に対する作動用電源Poの供給を停止させる。具体的には、電源スイッチ13に対してプッシュ操作を行う。この場合、図4に示すように、電源スイッチ13に対してプッシュ操作がされている間だけ抵抗23が低電位(接地電位)に接続されて、L信号(ローレベル信号)のPR信号SprがPR端子に出力される。この際に、主制御部17は、PR信号Sprの立ち下がりに同期して、同図に示すように、RTC16のモードを第2のモードに設定させるモード指示信号SmをRTC16に出力する。
【0037】
続いて、RTC16が、モード指示信号Smに従って第2のモードに設定し、図4に示すように、CK信号Sckの出力を停止する。次いで、主制御部17は、同図に示すように、作動用電源Poの供給を停止させるH信号の停止指示信号Scを電源部11に出力する。この場合、電源部11は、停止指示信号Scの立ち上がりに同期して、供給対象としての測定部15および主制御部17に対する作動用電源Poの供給を停止する。
【0038】
続いて、メインスイッチ12に対する切断操作を行う。これにより、図4に示すように、電源部11が外部電源Peの入力を停止し、作動用電源Poの生成を停止する。また、これに伴い、PR信号Spr、CLR信号SclrおよびD信号Sdの入力、並びにQ信号Sqの出力が停止する。このように、電源スイッチ13に対してプッシュ操作を行って供給対象に対する作動用電源Poの供給を停止した後に、メインスイッチ12に対して切断操作を行ったときには、RTC16が第2のモードに設定された状態となった後に、電源部11による作動用電源Poの生成が停止される。
【0039】
次に、RTC16が第2のモードに設定されている状態において、メインスイッチ12に対する接続操作が行われたときには、電源部11が、外部電源Peを入力して、外部電源Peから作動用電源Poを生成する。
【0040】
この時点では、RTC16が第2のモードに設定されているため、電源制御部14は、第2供給処理を実行する。この第2供給処理では、電源制御部14は、電源部11が外部電源Peを入力している状態でかつ電源スイッチ13に対するプッシュ操作(開始操作)がされたときに、供給対象としての測定部15および主制御部17に対する作動用電源Poの供給を開始する。
【0041】
この第2供給処理について、図1,2,5を参照して詳細に説明する。まず、電源部11が作動用電源Poを生成した際には、作動用電源Poが電源端子に入力されると共にFF21のD端子(図2参照)に入力される。また、作動用電源Poが、電源制御部14の抵抗23(図2参照)に供給されて、PR信号Spr(図5参照)としてFF21のPR端子(図2参照)に入力する。
【0042】
また、リセットIC22(図2参照)が、作動用電源Poを入力して、作動用電源Poのレベルが予め決められたレベルに達したときに(作動用電源Poの入力時点からある程度の時間が経過したときに)、図5に示すように、H信号のCLR信号SclrをFF21のCLR端子(図2参照)に出力する。
【0043】
一方、図5に示すように、RTC16が第2のモードに設定されて、CK信号Sckを出力していないため、Q端子からはH信号のQ信号Sqが出力されない状態が継続する。
【0044】
続いて、電源スイッチ13に対してプッシュ操作がされたときには、電源スイッチ13に対してプッシュ操作がされている間だけ抵抗23が低電位(接地電位)に接続されて、PR信号Sprが図5に示すようにL信号となる。この際には、PR端子にL信号が入力され、かつCLR端子にH信号が入力されるため、図5に示すように、Q端子からH信号のQ信号Sqが出力される。
【0045】
この場合、Q端子からH信号のQ信号Sqが出力された時点で、図5に示すように、電源部11が、供給対象としての測定部15および主制御部17に対する作動用電源Poの供給を開始し、主制御部17が起動して各処理を開始する。このように、電源制御部14は、RTC16が第2のモードに設定されている状態において電源部11が外部電源Peを入力したとき(メインスイッチ12に対する接続操作が行われたとき)には、供給対象としての測定部15および主制御部17に対する作動用電源Poの供給を直ちには開始せずに、電源スイッチ13に対する開始操作(プッシュ操作)がされるまで待機し、開始操作がされたときに供給対象に対する作動用電源Poの供給を開始する。
【0046】
続いて、主制御部17は、図5に示すように、RTC16のモードを第1のモードに設定させるモード指示信号SmをRTC16に出力する。次いで、RTC16が、モード指示信号Smの立ち上がりに同期して第1のモードに設定されて、同図に示すように、CK信号Sckの出力を開始する。
【0047】
続いて、測定部15に対して測定処理を実行させる際には、図外の操作部を操作して、測定処理の実行を指示する。これに応じて、主制御部17は、測定部15を制御して測定処理を実行させる。
【0048】
一方、測定が終了したときに、例えば、電源スイッチ13に対するプッシュ操作を行うことなく、メインスイッチ12に対する切断操作を行ったときには、図6に示すように、主制御部17がRTC16を第2のモードに設定するモード指示信号Smを出力する以前に、主制御部17に対する作動用電源Poの供給が停止する。このため、このときには、RTC16が第1のモード(主制御部17に作動用電源Poの供給が停止される直前のモード)の状態に維持される。この状態でメインスイッチ12に対する接続操作が行われたときには(電源部11が外部電源Peを入力したときには)、上記したように、電源制御部14は、第1供給処理を実行して、電源スイッチ13に対する開始操作の有無に拘わらず、供給対象に対する作動用電源Poの供給を直ちに開始する。
【0049】
つまり、この測定装置1では、作動用電源Poが停止されたときの態様(切断方法)をメモリに記録することなく、次にメインスイッチ12に対して接続操作をしたときのRTC16のモードに応じて第1供給処理および第2供給処理のいずれかを実行させることが可能となっている。
【0050】
このように、この測定装置1では、CK信号Sckを出力する第1のモードおよびCK信号Sckの出力を停止する第2のモードに設定可能なRTC16を備え、電源制御部14は、RTC16が第1のモードに設定されている状態において電源部11が外部電源Peを入力しているときに第1供給処理を実行し、RTC16が第2のモードに設定されている状態において電源部11が外部電源Peを入力したときに第2供給処理を実行する。このため、この測定装置1では、電源部11が外部電源Peを入力したときに第1供給処理および第2供給処理のいずれの処理を実行するかの情報をメモリに記録することなく、電源部11が外部電源Peを入力したときのRTC16のモードに応じて第1供給処理および第2供給処理のいずれかを実行させることができる。したがって、この測定装置1によれば、このような情報をメモリに記録して作動用電源Poの供給を開始する際に情報をメモリから読み出す構成と比較して、情報の読み出しに要する時間を不要とすることができる分、供給対象に対する電源供給の開始時間を十分に短縮することができる。
【0051】
また、この測定装置1では、D型フリップフロップ21を備えて電源制御部14が構成されている。この場合、例えば、第2供給処理を実行する際に、電源スイッチ13に対する操作の有無を主制御部17が監視する構成では、監視のために主制御部17に作動用電源Poを常時供給する必要がある。これに対して、この測定装置1では、このような主制御部17による監視を行うことなく、簡易な構成で低消費電力化が可能な電源制御部14(D型フリップフロップ21)の動作によって電源スイッチ13に対して操作がされたときに第2供給処理を実行させることができる。このため、この測定装置1によれば、主制御部17による監視のための電力消費を削減することができる結果、電力消費量を低減することができる。
【0052】
また、この測定装置1によれば、作動用電源Poによって作動してRTC16のモードの設定を制御するクロック制御部としての主制御部17を備えたことにより、作動用電源Poとは別の電源で作動するクロック制御部を設けることなくRTC16のモードの設定を確実に制御することができるため、このようなクロック制御部用の別の電源を設ける必要がない分、構成を簡易にすることができる。
【0053】
なお、電子機器は、上記の構成に限定されない。例えば、RTC16が第1のモードに設定されている状態で電源部11が外部電源Peを入力したときに第1供給処理を実行し、RTC16が第2のモードに設定されている状態で電源部11が外部電源Peを入力したときに第2供給処理を実行する構成例について上記したが、これとは逆に、RTC16が第2のモードに設定されている状態で電源部11が外部電源Peを入力したときに第1供給処理を実行し、RTC16が第1のモードに設定されている状態で電源部11が外部電源Peを入力したときに第2供給処理を実行する電源制御部を備えた構成を採用することもできる。この構成では、上記したD型フリップフロップ21にQバー端子を備えたD型フリップフロップにおけるQバー端子の出力信号(Qバー信号)を用いて電源部11を制御することで、上記した電源制御部14と同様の処理を電源制御部に実行させることができる。
【0054】
また、作動用電源PoでD型フリップフロップ21を作動させる例について上記したが、作動用電源Poとは異なる電源(例えば、電池の電源)でD型フリップフロップ21を作動させる構成を採用することもできる。
【0055】
また、作動用電源Poで作動するクロック制御部としての主制御部17を用いてRTC16のモードの設定を制御する例について上記したが、作動用電源Poとは別の電源(例えば、電池の電源)で作動するクロック制御部を用いてRTC16のモードの設定を制御する構成を採用することもできる。
【0056】
また、D型フリップフロップ21を備えて電源制御部14を構成した例について上記したが、他の型のフリップフロップを備えて電源制御部14を構成することもできる。また、リセットIC22に代えて、CLR信号Sclrを遅延させる(CLR信号SclrをPR信号Sprよりも遅れて入力させる)遅延回路を用いて電源制御部を構成することもできる。
【0057】
また、電子機器の一例としての測定装置1に適用した例について上記したが、例えば、記録計、検査装置および家電製品等の電源供給を必要とする各種の電子機器に適用することができる。
【符号の説明】
【0058】
1 測定装置
11 電源部
12 メインスイッチ
13 電源スイッチ
14 電源制御部
15 測定部
16 リアルタイムクロック
17 主制御部
21 D型フリップフロップ
Pe 外部電源
Po 作動用電源
Sck CK信号
Sclr CLR信号
Sd D信号
Spr PR信号
Sq Q信号
図1
図2
図3
図4
図5
図6