特許第6207402号(P6207402)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6207402
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】発光装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/62 20100101AFI20170925BHJP
【FI】
   H01L33/62
【請求項の数】8
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2013-556521(P2013-556521)
(86)(22)【出願日】2013年2月1日
(86)【国際出願番号】JP2013052380
(87)【国際公開番号】WO2013115379
(87)【国際公開日】20130808
【審査請求日】2016年1月14日
(31)【優先権主張番号】特願2012-20708(P2012-20708)
(32)【優先日】2012年2月2日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2012-28264(P2012-28264)
(32)【優先日】2012年2月13日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズン時計株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000131430
【氏名又は名称】シチズン電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100165191
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 章
(74)【代理人】
【識別番号】100151459
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 健一
(72)【発明者】
【氏名】今津 健二
(72)【発明者】
【氏名】和田 譲
【審査官】 高椋 健司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−333014(JP,A)
【文献】 特開平05−343744(JP,A)
【文献】 特開2006−054211(JP,A)
【文献】 特開2009−049386(JP,A)
【文献】 特開2009−218274(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/069671(WO,A1)
【文献】 特開昭61−263191(JP,A)
【文献】 特開2011−233552(JP,A)
【文献】 特開2007−019096(JP,A)
【文献】 特開平07−176791(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00−33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光装置において、
マザー基板電極を有するマザー基板と、
前記マザー基板に実装された半導体発光装置と、を有し、
前記半導体発光装置は、
第1のリードフレームと、
前記第1のリードフレームの長手方向に沿って配置され、前記第1のリードフレームの1つの端部と間隙を空けて配置された1つの端部を有する第2のリードフレームと、
前記間隙を跨ぐようにして、前記第1のリードフレーム及び前記第2のリードフレームの表面と裏面にそれぞれフリップチップ実装された複数の半導体発光素子と、
前記複数の半導体発光素子を被覆する被覆部材と、を有し、
前記第1のリードフレームにおいて前記第2のリードフレームの前記1つの端部と近接していない他の端部、又は、前記第2のリードフレームにおいて前記第1のリードフレームの前記1つの端部と近接していない他の端部が、前記被覆部材から露出し、
前記第1のリードフレーム及び前記第2のリードフレームは、共に、前記マザー基板に対して垂直に配置され、
前記第1のリードフレーム及び前記第2のリードフレームにおける前記被覆部材から露出した部分で、前記マザー基板電極と接続される、
ことを特徴とする発光装置。
【請求項2】
前記第1のリードフレームの前記他の端部の表面と前記被覆部材の表面とは面一であり、第2のリードフレームの前記他の端部の表面と前記被覆部材の表面とは面一である、請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記被覆部材は反射性微粒子を含む反射部材及び蛍光体を含む蛍光部材を含む、請求項1又は2に記載の発光装置。
【請求項4】
発光装置において、
マザー基板電極を有するマザー基板と、
前記マザー基板に実装された半導体発光装置と、を有し、
前記半導体発光装置は、
第1のリードフレームと、
前記第1のリードフレームの長手方向に沿って配置され、前記第1のリードフレームの1つの端部と間隙を空けて配置された1つの端部を有する第2のリードフレームと、
前記間隙を跨ぐようにして、前記第1のリードフレーム及び前記第2のリードフレームの表面と裏面にそれぞれフリップチップ実装された複数の半導体発光素子と、
前記複数の半導体発光素子を被覆する被覆部材と、を有し、
前記第1のリードフレームにおいて前記第2のリードフレームの前記1つの端部と近接していない他の端部、又は、前記第2のリードフレームにおいて前記第1のリードフレームの前記1つの端部と近接していない他の端部が、前記被覆部材から露出し、
前記第1のリードフレーム及び前記第2のリードフレームは、共に、前記マザー基板に対して垂直に配置され、
前記第1のリードフレーム及び前記第2のリードフレームにおける前記被覆部材から露出した部分で、前記マザー基板電極と接続し、
前記被覆部材は反射性微粒子を含む反射部材及び蛍光体を含む蛍光部材を含み、
前記蛍光部材が第1の蛍光部材及び第2の蛍光部材を含み、
前記反射部材が前記複数のリードフレームの外周部に配置され前記第1及び第2の蛍光部材の側面を被覆し、
前記第1の蛍光部材が前記複数の半導体発光素子の上面と前記第2の蛍光部材の上面を被覆し、
前記第2の蛍光部材が前記反射部材と前記複数の半導体発光素子との間及び前記複数のリードフレームの表面と裏面に実装されて対向する前記複数の半導体発光素子の間に充填される、
ことを特徴とする発光装置。
【請求項5】
前記蛍光部材が前記複数の半導体発光素子の上面を被覆し、
前記反射部材が前記複数の半導体発光素子の側部及び前記複数のリードフレームの表面と裏面に実装されて対向する前記複数の半導体発光素子の間に配置される、
請求項4に記載の発光装置。
【請求項6】
発光装置において、
マザー基板電極を有するマザー基板と、
前記マザー基板に実装された半導体発光装置と、を有し、
前記半導体発光装置は、
第1のリードフレームと、
前記第1のリードフレームの長手方向に沿って配置され、前記第1のリードフレームの1つの端部と第1の間隙を空けて配置された1つの端部を有する第2のリードフレームと、
前記第1のリードフレームの長手方向に沿って配置され、前記第2のリードフレームの前記他の端部と近接し且つ第2の間隙を空けて配置された1つの端部を有する第3のリードフレームと、
前記第1の間隙及び第2の間隙を跨ぐようにして、前記第1のリードフレーム、前記第2のリードフレーム、及び前記第3のリードフレームの表面と裏面にそれぞれフリップチップ実装された複数の半導体発光素子と、
前記複数の半導体発光素子を被覆する被覆部材と、を有し、
前記第1のリードフレーム、前記第2のリードフレーム、及び前記第3のリードフレームは、共に、前記マザー基板に対して垂直に配置され、
前記第1のリードフレーム及び前記第3のリードフレームは、前記被覆部材から露出した部分で、前記マザー基板電極と接続される、
ことを特徴とする発光装置。
【請求項7】
前記第1のリードフレームの前記他の端部の表面と前記被覆部材の表面とは面一であり、前記第3のリードフレームの前記他の端部の表面と前記被覆部材の表面とは面一である、請求項6に記載の発光装置。
【請求項8】
前記マザー基板上に配置され、開口部を有する導光板を更に有し、
前記半導体発光装置は、前記開口部中において前記マザー基板に実装される、請求項1〜7の何れか一項に記載の発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リードフレームの両面に半導体発光素子をフリップチップ実装した両面発光型の半導体発光装置を含む発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ウェハーから切り出された半導体発光素子(以後とくに断らない限りLEDダイと呼ぶ)をリードフレームや回路基板に実装し、樹脂やガラス等で被覆してパッケージ化した半導体発光装置(以後とくに断らない限りLED装置と呼ぶ)が普及している。この様なLED装置は用途に応じて様々な形態をとるが、LEDダイの持つ強い指向性を補償しながらLED装置の放射角を広げ、同時に発光量を増加させることを目的としてリードフレームや回路基板の両面にLEDダイを実装することがある。
【0003】
リードフレームの両面にLEDダイを実装したLED装置は古くから知られている(例えば、特許文献1参照)。図25は、特許文献1の図2を示す図である。なお、便宜上、部材を示す番号の一部を変えている。
【0004】
図25において、2個の発光素子421(LEDダイ)がリードフレーム422aの先端部において左右の面に実装されている。また各発光素子421はワイヤでリードフレーム422bと電気的に接続している。リードフレーム422a、422bはそれぞれ共通の正の端子,負の端子である。発光素子421はエポキシ樹脂423で封止され、エポキシ樹脂423の左右には集光部404が形成されている。図25に示す半導体発光装置は、図に404a、404bとして示す様な指向性をもっている。
【0005】
LEDダイをワイヤで接続すると、ワイヤの影によりLED装置の発光効率が低下する。また、ワイヤを張るための領域が必要になるためLED装置が大型化する。これに対しアノードとカソードを一方の面(以後底面と呼ぶ)にだけ備えたLEDダイを、リードフレームや回路基板上の電極に直接的に接続することがある(以下フリップチップ実装と呼ぶ)。フリップチップ実装は、発光効率が良く実装面積が小さくて済むことが知られている。その主な理由は、LEDダイのアノードやカソードが、リードフレームや回路基板の電極と積層し前述のワイヤが不要となるからである。
【0006】
この様な、回路基板の両面にLEDダイをフリップチップ実装したLED装置が知られている(例えば、特許文献2参照)。図26は、特許文献2の図2を示す図である。なお、便宜上、部材を示す番号の一部を変えている。
【0007】
図26において、回路基板502の略中央部にはLEDチップ504cを収納する反射カップ505が形成されており、反射カップ505は表面側と裏面側が対称となっている。また、反射カップ505は底面505a及び斜面部505bを含み、回路基板502の表面若しくは裏面に形成された電極パターン507a、507bが反射カップ505の底面505aで間隙をもって相対している。また、反射カップ505の底面505aにおいて、電極パターン507a、507bの間隙を跨ぐようにLEDチップ504cがフリップチップ実装されている。反射カップ505には透光性樹脂508が充填されている。
【0008】
LED装置の輝度を向上させる別の方法としてLEDダイの数を増やす場合がある。そこで、回路基板の両面に4個以上のLEDダイを実装することが知られている(例えば、特許文献3の図1参照)。図27は、特許文献3の図1を示す図である。なお、便宜上、部材を示す番号の一部を変えている。
【0009】
図27は、発光素子(LEDダイ)実装用ホーロー基板601aを備えた光源装置605A(LED装置)の断面図である。光源装置605Aは、発光素子実装用ホーロー基板601aの両面J、Kに設けられた反射凹部604dにそれぞれ発光素子606を実装するとともに、各反射凹部604dに透明樹脂609を充填して発光素子606を封止している。発光素子実装用ホーロー基板601aは、コア金属602aをホーロー層603で被覆したホーロー基板であり、その両面J、Kに発光素子606が実装される6個の反射凹部604dが設けられている。さらに、ホーロー層603上には発光素子606の給電用の電極607cが設けられている。電極607cの一部は、反射凹部604dの底面に延設され、その上に発光素子606がダイボンディング及びワイヤボンディングにより実装される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】実開昭56−149477号公報 (2図)
【特許文献2】特開2003−229603号公報 (図2
【特許文献3】特開2006−310584号公報 (図1
【発明の概要】
【0011】
前述のように図25に示したLED装置(半導体発光装置)はワイヤを使っているためフリップチップ実装に比べ発光効率が悪い。
【0012】
図26に示したLED装置はフリップチップ実装になってはいるが、回路基板502の凹部にLEDダイ(LEDチップ504c)をフリップチップ実装しているため製造が容易ではない。なお、特許文献2ではLEDダイの実装工程に係る記載が少ないため詳細な部分が明らかになっていない。想定される製造方法として例えば、一個のLEDダイをピックアップし、回路基板に配置したらLEDダイを加圧及び加熱して回路基板に接続させるものが考えられる。しかしながらこのような単純な手法では、LEDダイを搭載するたびに加圧と加熱を行うためスループットが良くない。
【0013】
他の方法として、量産においてしばしば採用される集合工法も適用できる。まず、切断すると個々の回路基板502が得られる集合基板を準備する。次に、半田ペーストをLEDダイ504cの電極若しくは集合基板の電極に塗り、LEDダイ504cの電極と集合基板の電極を半田ペーストで仮接続してから、リフロー炉で半田ペーストを溶融し多数のLEDダイ504cを一括して接続させる。次に、透明樹脂509を充填して発光素子506を封止する。最後に、集合基板を切断してLED装置を得ることになる。上記の一括接続する工程では、まず表面側のLEDダイ504cの接続をとり、続いて裏面側のLEDダイ504cの接続をとることとなる。即ち、この製造方法は、リフロー炉を2回通すこととなり、製造工程が長くなるばかりでなく、製造条件も複雑化する。さらに図26のLED装置1は、2個のLEDダイ504cしか実装されていないので輝度不足となる可能性が高い。
【0014】
図27のLED装置(光源装置605A)は6個のLEDダイ(発光素子606)が実装されているので輝度を大きくできる。しかしながら、このLED装置は、図26で示したLED装置と同様に回路基板(発光素子実装用ホーロー基板601a)の反射凹部604d中にLEDダイ606を実装しているので製造が容易ではない。さらに、LEDダイ606と回路基板601aの電極607cとをワイヤで接続しているため発光効率を下げている。
【0015】
本発明は、半導体発光素子をフリップチップ実装しても製造が容易な両面発光型の半導体発光装置及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0016】
また、本発明は、輝度を大きくするため4個以上の半導体発光素子をフリップチップ実装しても製造が容易な両面発光型の半導体発光装置を提供することを目的とする。
【0017】
半導体発光装置は、複数のリードフレームと、複数のリードフレームと接続された複数の半導体発光素子と、複数の半導体発光素子を被覆する被覆部材を有し、複数のリードフレームの内の1つのリードフレームの端部が他のリードフレームの端部と近接して間隙を形成し、間隙を跨ぐようにして1つのリードフレーム及び他のリードフレームの表面と裏面に複数の半導体発光素子がフリップチップ実装されることを特徴とする。
【0018】
半導体発光装置では、複数のリードフレームが第1のリードフレーム及び第2のリードフレームを含み、複数の半導体発光素子が第1の半導体発光素子及び第2の半導体発光素子を含み、第1のリードフレーム及び第2のリードフレームは端部が近接して間隙を形成し、第1の半導体発光素子は間隙を跨ぐようにして第1及び第2のリードフレームの一方の面にフリップチップ実装され、第2の半導体発光素子は間隙を跨ぐようにして第1及び第2のリードフレームの他方の面にフリップチップ実装され、第1の半導体発光素子の一部と第2の半導体発光素子の一部とが対向して配置される、ことが好ましい。
【0019】
半導体発光装置では、複数のリードフレームは3個のリードフレームを含み、複数の半導体発光素子が直並列回路を構成している、ことが好ましい。
【0020】
半導体発光装置では、前記複数の半導体発光素子は4個の半導体発光素子を含み、4個の半導体発光素子が並列回路を構成している、ことが好ましい。
【0021】
半導体発光装置では、被覆部材は、反射性微粒子を含む反射部材及び蛍光体を含む蛍光部材を含む、ことが好ましい。
【0022】
半導体発光装置では、反射部材が複数のリードフレームの外周部に配置され蛍光部材の側面を被覆し、蛍光部材が複数の半導体発光素子の上面を被覆し、蛍光樹脂が反射部材と複数の半導体発光素子との間及び複数のリードフレームの表面と裏面に実装されて対向する複数の半導体発光素子の間に充填される、ことが好ましい。
【0023】
半導体発光装置では、蛍光部材が複数の半導体発光素子の上面を被覆し、反射部材が複数の半導体発光素子の側部及び複数のリードフレームの表面と裏面に実装されて対向する複数の半導体発光素子の間に配置される、ことが好ましい。
【0024】
半導体発光装置では、複数のリードフレームの一部が被覆部材から突き出ている、ことが好ましい。
【0025】
半導体発光装置の製造方法は、切断すると個別の半導体発光装置に含まれるリードフレームが得られる大判リードフレームを準備する大判リードフレーム準備工程と、第1の粘着シートに複数の半導体発光素子を配列する第1の配列工程と、第2の粘着シートに複数の半導体発光素子を配列する第2の配列工程と、複数の半導体発光素子を配列した第1の粘着シートと大判リードフレームとを位置合わせする第1の位置合わせ工程と、複数の半導体発光素子を配列した第2の粘着シートと大判リードフレームとを位置合わせする第2の位置合わせ工程と、第1及び第2の粘着シートごと大判リードフレームを加圧及び加熱して半導体発光素子と大判リードフレームとを接続する接続工程と、大判リードフレームに接続した半導体発光素子を被覆部材で被覆する被覆工程と、大判リードフレームを切断する切断工程を有することを特徴とする。
【0026】
半導体発光装置の製造方法では、被覆部材は反射性部粒子を含む反射部材と蛍光体を含む蛍光部材を含み、被覆工程において、反射部材により複数の半導体発光素子の側面を被覆し、蛍光部材により複数の半導体発光素子の上面を被覆する、ことが好ましい。
【0027】
半導体発光装置の製造方法では、反射部材をスキージにより半導体発光素子の側面部に配置する、ことが好ましい。
【0028】
半導体発光装置の製造方法では、蛍光部材は蛍光体シートであり、蛍光体シートを複数の半導体発光素子の上面に貼り付ける、ことが好ましい。
【0029】
半導体発光装置は、2枚の粘着シートと大判リードフレームにより、一括して接続及び被覆を行い、切断により個片化する集合工法で製造できる。集合工法では、接続のための加熱工程が一回で済ませられるので、製造条件が複雑化せず工程も短縮する。この結果、製造が容易な両面発光型の半導体発光装置を提供できる。
【0030】
半導体発光装置は、簡単な製造方法により製造することができる。つまり、2枚の粘着シートと大判リードフレームを準備し、一括接続工程を含む集合工法で製造できる。回路基板の両面に半導体発光素子を実装するのに2回の加熱工程が必要な半田リフロー工程を使う製造方法に比べ、この集合工法は加圧及び加熱が一回で済むため工程が短縮化し製造条件も簡単化する。また、大判リードフレームは、開口を備えた板状の金属板であるため準備に係る工程を大幅に簡単化できる。同時に半導体発光装置では、4個以上の半導体発光素子が実装されていること、及び各半導体発光素子がフリップチップ実装されていることにより明るくすることができる。
【0031】
半導体発光装置の製造方法は、粘着シートと大判リードフレームを使い、一括して接続及び被覆を行い、個片化により所望の製品を得る集合工法において、2枚の粘着シートを使い大判リードフレームの両面に半導体発光素子を配置するよう改良したものである。この集合工法により、接続のための加熱工程が一回で済ませられるようになり、製造条件が複雑化せず工程も短縮する。この結果、両面発光型の半導体発光装置の製造方法が簡単になる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】LED装置10の外形図であり、(a)が平面図、(b)が正面図、(c)が右側面図である。
図2図1(b)のAA´の断面図である。
図3】LED装置10をマザー基板35に実装した実装図である。
図4】(a)〜(f)はLED装置10の製造方法を説明するための説明図(1)である。
図5】(g)〜(i)はLED装置10の製造方法を説明するための説明図(2)である。
図6】大判リードフレームとLEDダイの位置関係を示す平面図である。
図7】LED装置70の外形図であり、(a)が平面図、(b)が正面図、(c)が右側面図である。
図8図7(b)のBB´断面図である。
図9】LED装置70の製造方法を説明するための説明図である。
図10】LED装置100の外形図であり、(a)が斜視図、(b)が(a)のCC´断面図である。
図11】LED装置(半導体発光装置)100を平面照明装置110に利用した応用例を示す図であり、(a)が平面図、(b)が(a)のDD´断面図である。
図12】LED装置120の断面図である。
図13】LED装置200の外形図であり、(a)が平面図、(b)が正面図、(c)が右側面図である。
図14図13(b)のEE´断面図である。
図15】LED装置200の回路図である。
図16】LED装置200をマザー基板245に実装した実装図である。
図17】LED装置200の製造方法を説明するための説明図である。
図18】大判リードフレーム251とLEDダイ215、216との位置関係を説明するための図である。
図19】LED装置270の外形図であり、(a)が平面図、(b)が正面図、(c)が右側面図である。
図20】(a)は図19(b)のHH´断面図であり、(b)は図19(b)においてリードフレーム271、272の表面側の被覆部材273を除去した状態の正面図である。
図21】LED装置270の回路図である。
図22】LED装置300の外形図であり、(a)が平面図、(b)が正面図、(c)が右側面図である。
図23図22(b)のII´断面図である。
図24】LED装置300の製造方法を説明するための説明図である。
図25】従来のLED装置(1)を示す図。
図26】従来のLED装置(2)を示す図。
図27】従来のLED装置(3)を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下図面を参照して、半導体発光装置及び半導体発光装置の製造方法について説明する。但し、本発明の技術的範囲はそれらの実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。なお図面の説明において、同一または相当要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。また説明のため部材の縮尺は適宜変更している。
【0034】
(第1の実施形態)
図1は、LED装置(半導体発光装置)10の外形図であり、(a)が平面図、(b)が正面図、(c)が右側面図である。
【0035】
LED装置10を上部から眺めると、長方形の被覆部材13の中に水平方向に延びるリードフレーム11(第1のリードフレーム)とリードフレーム12(第2のリードフレーム)が見える(図1(a)参照)。リードフレーム11とリードフレーム12とは、端部が近接している。リードフレーム11とリードフレーム12との反対側の端部は、被覆部材13の側端部と一致している。LED装置10を正面から眺めると、被覆部材13のみが見える(図1(b)参照)。LED装置10を右側面から眺めると、被覆部材13を分断するように垂直方向に延びるリードフレーム12が見える(図1(c)参照)。なお図示していないが、LED装置10の底面図は、図1(a)の平面図と一致している。また、LED装置10の左側面図は、図1(c)の右側面図と同等で、リードフレーム12がリードフレーム11に置き換わったものとなる。
【0036】
図2は、図1(b)のAA´の断面図である。
【0037】
LED装置10は、リードフレーム11、12、及び被覆部材13の他に、LEDダイ14(第1の半導体発光素子)とLEDダイ15(第2の半導体発光素子)を含んでいる。LEDダイ14及び15はサファイア基板16、半導体層17、突起電極18等から構成される。なお、LEDダイ14、15において、半導体層17を備えていない面を上面と呼び、半導体層17及び突起電極18が形成されている面を底面と呼び、上面と底面をつなぐ面を側面と呼ぶ。
【0038】
LEDダイ14、15は、サファイア基板16の下面に半導体層17が形成され、半導体層17に突起電極18が付着している。サファイア基板16は透明絶縁基板であり、その厚さは80〜120μmである。半導体層17は、n型半導体層、p型半導体層、層間絶縁膜及び金属配線を含み、その厚さは10μm弱である。発光層は、n型半導体層とp型半導体層の境界部にあり、平面形状はp型半導体層とほぼ等しい。n型半導体層の一部とp型半導体層とは、層間絶縁膜で被覆され、層間絶縁膜上に金属配線が形成され、金属配線と突起電極18が接続している。金属配線は、フリップチップ実装が容易になるよう、アノード及びカソードをそれぞれひとつにまとめ、LEDダイ14、15の左右の端部に突起電極18として配置し直している。突起電極18は、10〜30μm程度のCu又はAuをコアとするバンプであり、下面にAuSn共晶を備えている。
【0039】
リードフレーム11、12は、Ni、Ag、Au等をメッキした銅板であり、その厚さは100〜400μmである。リードフレーム11、12の間隙19は、幅が200〜400μmである。リードフレーム11、12の上側の面(一方の面)において、LEDダイ14が間隙19を跨ぐようにフリップチップ実装され、リードフレーム11、12の下側の面(他方の面)において、LEDダイ15が間隙19を跨ぐようにフリップチップ実装される。なお、ピッチに合うようにLEDダイ14、15の底面において前述した突起電極18の再配置を行った。上記の構成によって、LEDダイ14、15の一部は、互いに対向して配置されることとなる。
【0040】
リードフレーム11、12のうち外気に対し露出している部分(切断面)は、半田等でメッキしておくのが良い。リードフレーム11、12の表面をAgメッキしている場合は、酸化や硫化を防止するため実装部を除いてリードフレーム11、12の表面にSiO2等の無機透明絶縁膜を形成しておくと良い。リードフレーム11、12と突起電極18の接続部は、LED装置10をマザー基板に実装する際のリフロー温度で溶融してはならないので、AuSn共晶若しくは高融点半田により接続すると良い。なお被覆部材13は、蛍光体を含有したシリコーン樹脂である。
【0041】
図3は、LED装置10をマザー基板35に実装した実装図である。
【0042】
図3は、LED装置10を正面から眺めた状態を示している。マザー基板35上には、マザー基板電極33、34が形成されている。マザー基板電極33は、リードフレーム11(図1、2参照)と半田31により接続する。同様に、マザー基板電極34は、リードフレーム12(図1、2参照)と半田32により接続する。接続強度を高めるため半田31、32は、LED装置10の底部と共に側部にも存在するようにしても良い。マザー基板電極33、34の間隙は、異物等によるショートを避けるためLED装置10の間隙19(図2参照)より幅を広くしている。
【0043】
図4及び図5はLED装置10の製造方法を説明するための説明図である。
【0044】
最初に、切断すると個別のLED装置10に含まれるリードフレーム11、12(図1、2参照)が得られる大判リードフレーム41を準備する(大判リードフレーム準備工程)(図4(a)参照)。大判リードフレーム41は板状であり、多数のLEDダイ14、15を実装できるが、図4及び図5では説明のためLEDダイ14、15がそれぞれ3個だけ実装できるように描いている(以下同様)。大判リードフレーム41は銅版をエッチングし所望の開口部を形成したものであり、エッチング後表面をメッキする。
【0045】
次に、第1の粘着シート42上に複数のLEDダイ14を配列する(第1の配列工程)(図4(b)参照)。第1の粘着シート42は、ポリイミドシートの上面に粘着層を形成したものである。ピッカーによりLEDダイ14を拾い上げ、LEDダイ14を第1の粘着シート42に一個ずつ配置する。第1の粘着シート42にはLEDダイ14の上面(図では下側になっている面)を貼り付ける。LEDダイ14の配列ピッチは大判リードフレーム41の実装部のピッチと一致させている。また、LEDダイ14のアノードとカソードが所定の位置になるよう方向を定めている。
【0046】
次に、第2の粘着シート43に複数のLEDダイ15を配列する(第2の配列工程)(図4(c)参照)。図1(b)に示した第1の配列工程と同様に、第2の配列工程でも第2の粘着シート43に複数のLEDダイ15を配列する。なお第1の粘着シート42を積層する大判リードフレーム41の面に対し、第2の粘着シート43を積層する大判リードフレーム41の面は反対側となる。大判リードフレーム準備工程、第1の配列工程、及び第2の配列工程の順番は上述した通りでなくても良い。
【0047】
次に、複数のLEDダイ14を配列した第1の粘着シート42と大判リードフレーム41とを位置合わせする(第1の位置合わせ工程)(図4(d)参照)。第1の粘着シート42を上下反転し、透光性の第1の粘着シート42越しに大判リードフレーム41を観察しながら位置を合わせる。位置合わせが完了したら大判リードフレーム41の周辺部で第1の粘着シート42を仮止めする。
【0048】
次に、複数のLEDダイ15を配列した第2の粘着シート43と大判リードフレーム41とを位置合わせする(第2の位置合わせ工程)(図4(e)参照)。第1の粘着シート42を仮止めした大判リードフレーム41を上下反転する。このとき第1の粘着シート42は大判リードフレーム41に接触している。第1の位置合わせ工程と同様に第2の粘着シート43を反転し、第2の粘着シート43越しに大判リードフレーム41を観察しながら位置を合わせる。位置合わせが完了したら大判リードフレーム41の周辺部で第2の粘着シート43を仮止めする。
【0049】
次に、第1及び第2の粘着シート42、43ごと大判リードフレーム41を加圧及び加熱し、LEDダイ14、15と大判リードフレーム41とを接続する(接続工程)(図4(f)参照)。なお、図4(e)に対し図4(f)は上下反転して描いている。第1及び第2の粘着シート42、43を仮止めした大判リードフレーム41を台(図示せず)に乗せ、加圧ヘッド(図示せず)により第1及び第2の粘着シート42、43ごと大判リードフレーム41を加圧する。更に、圧力を保ったまま加圧ヘッドを300〜350℃程度にする。この温度ではAuSn共晶が融解するので、所定の時間が経過したら加圧ヘッドの温度を下げ、その後加圧ヘッドを大判リードフレーム41等から離す。
【0050】
次に、LEDダイ14、15が接続した大判リードフレーム41から第1と第2の粘着シート42、43を剥がし、金型44、45にリードフレーム41を組み入れる(被覆工程)(図5(g)参照)。図示ししていないが、大判リードフレーム41の周辺部を金型44、45が支持している。支持量が不足する場合、金型44、45内に支持構造を持たせてもよい。大判リードフレーム41を金型に組み込んだら、射出成型により被覆部材46を形成する。
【0051】
次に、金型44、45から大判リードフレーム41を取り出す(図5(h)参照)。
【0052】
最後に、大判リードフレーム41を切断して個片化したLED装置10を得る(切断工程)(図5(i)参照)。被覆した大判リードフレーム41をダイシングシート(図示せず)に貼り付け、ダイサーで大判リードフレーム41を切断し、LED装置10に個片化する。
【0053】
図6は、大判リードフレームとLEDダイの位置関係を示す平面図である。
【0054】
図6では、図5(h)の状態から被覆部材46を取り除いた状態で大判リードフレーム41の一部を上部から眺めた場合を示している。大判リードフレーム41上ではLEDダイ14が格子状に配列している。また、大判リードフレーム41は、図中、縦方向に延びる長方形の銅板が配列しているように見える。なお板状の銅板は上端部又は下端部で連結しているが図示していない。また、図中、サファイア基板16越しに存在する突起電極18を点線で示した。
【0055】
(第2実施形態)
LED装置10では、リードフレーム11、12と平行な方向にも光を放射する。LED装置10の使い方によっては、この放射光が利用しづらいばかりでなく有害になることもある。例えば、LED装置10において、リードフレーム11、12と垂直な方向に放射する光が被覆部材13を通る距離と、水平方向に放射する光が被覆部材13を通る距離とが異なる場合、蛍光体により波長変換される度合いが違ってくる。したがって、LED装置10では、放射方向によって発光色が異なってしまう可能性がある。そこで、以下では、リードフレーム11、12と平行な方向には光を放射せず、リードフレーム11、12に垂直な方向にだけ光を放射するLED装置(半導体発光装置)70について説明する。なお、LED装置70において、LED装置10と同じ部材については、同じ番号を使用した。
【0056】
図7はLED装置70の外形図であり、(a)が平面図、(b)が正面図、(c)が右側面図である。
【0057】
LED装置70を上部から眺めると、蛍光体シート71、73と、蛍光体シート71、73に挟まれる反射部材72と、反射部材72の中で水平方向に延びるリードフレーム11(第1のリードフレーム)及びリードフレーム12(第2のリードフレーム)とが見える(図7(a)参照)。リードフレーム11とリードフレーム12は端部が近接している。またリードフレーム11とリードフレーム12の反対側の端部は蛍光体シート71、73及び反射部材72の左右の側端部と一致している。LED装置70を正面から眺めると反射部材72のみが見える(図7(b)参照)。LED装置70を右側面から眺めると、蛍光体シート71、73と、蛍光体シート71、73に挟まれた反射部材72と、反射部材72に挟まれたリードフレーム12とが見える(図7(c)参照)。なお図示していないが、LED装置70の底面図は、図7(a)の平面図と一致する。また、LED装置70の左側面図は、図7(c)の右側面図と同等になり、リードフレーム12がリードフレーム11に置き換わったものとなる。
【0058】
図8は、図7(b)のBB´断面図である。
【0059】
LED装置70は、リードフレーム11、12及び反射部材72、蛍光体シート71、73及びLEDダイ14(第1の半導体発光素子)とLEDダイ15(第2の半導体発光素子)とを含んでいる。LED装置10と同様に(図2参照)、リードフレーム11、12の上側の面(一方の面)においてLEDダイ14が間隙19を跨ぐようにフリップチップ実装されている。また、リードフレーム11、12の下側の面(他方の面)においてLEDダイ15が間隙19を跨ぐようにフリップチップ実装されている。なおリードフレーム11、12及びLEDダイ14、15は、LED装置70とLED装置10で同じものとなる。LED装置70におけるリードフレーム11、12の表面処理及びリードフレーム11、12とLEDダイ14、15の接続構造もLED装置10と等しい。
【0060】
LEDダイ14、15の底面及び側面は反射部材72で被覆され、LEDダイ14、15の上面は蛍光体シート71、73で被覆されている。すなわち、LED装置70では、被覆部材が反射部材72と蛍光体シート71、73から構成されている。反射部材72は、シリコーン樹脂やオルガノポリシロキサンのような透明バインダー中に酸化チタンやアルミナなどの反射性微粒子を混練し硬化させたものである。蛍光体シート71、73はシリコーン樹脂に蛍光体を混練し硬化させたものである。蛍光体シート71、73は透明接着剤(図示せず)によりLEDダイ14、15の上面及び反射部材72と接着している。
【0061】
図9は、LED装置70の製造方法を説明するための説明図である。
【0062】
LED装置70の製造方法では、LED装置10における大判リードフレーム準備工程(図4(a)参照)、第1の配列工程(図4(b)参照)、第2の配列工程(図4(c)参照)、第1の位置合わせ工程(図4(d)参照)、第2の位置合わせ工程(図4(e)参照)、及び接続工程(図4(f)参照)が同じものとなるので省略した。
【0063】
図9(a)は図4(f)で示したものと同じ図であり、LED装置70の製造方法で特徴的な工程のスタート(初期状態)として示した。
【0064】
次に、図9(a)の状態から第1の粘着シート42だけを剥がす(第1部分工程)(図9(b)参照)。なお、図9(b)、図9(c)及び図9(d)は、LEDダイ14、15を反射部材92と蛍光体シート91、93で被覆する被覆工程を構成する3つの部分工程である。
【0065】
次に、LEDダイ14、15の側面と底面を被覆するためLEDダイ14、15間に硬化前の反射部材92を充填する(第2部分工程)(図9(c)参照)。充填後、150℃程度で反射部材92を硬化させる。充填はスキージで良く、硬化後LEDダイ14の上面に残った反射部材92を研磨によって除去する。なお、ディスペンサを使って正確に計量された反射部材92を充填しても良い。その場合はLEDダイ14の上面の研磨が不要となる。
【0066】
次に、蛍光体シート91、93でLEDダイ14、15の上面を被覆する(第3部分工程)(図9(d)参照)。LEDダイ14及び反射部材92の上面に、透明接着剤を塗布して蛍光体シート91を貼り付ける。これと並行し第2の粘着シート43を剥がし、LEDダイ15の上面及び反射部材92(図では下の面)に透明接着剤を塗布して蛍光体シート93を貼り付ける。なお、蛍光体シート91、93の代わりに、シリコーン等の透明バインダー中に蛍光体を混連させた蛍光樹脂をLEDダイ14、15の上面及び反射部材92に塗布し、これを硬化させて蛍光体層を形成し、LEDダイ14、15の上面を被覆する蛍光部材としても良い。しかしながら、蛍光部材が蛍光体シート91、93である場合、反射部材92による被覆と蛍光シート91、93の準備とを同時並行して行えるので、被覆工程を短時間に処理できるという利点がある。
【0067】
最後に、被覆が完了した大判リードフレーム41を切断して、個片化したLED装置70を得る(切断工程)(図9(e)参照)。図9(e)は、被覆部材の違うことを除き、図5(i)の切断工程と同じものである。
【0068】
LED装置10及びLED装置70では、2個のLEDダイ14、15が並列接続していた。この場合、LEDダイ14とLEDダイ15の順方向電圧降下量を等しくしておかなければならない。例えば生産現場においては順方向電圧降下量の違いを0.1V以内に収めることになる。つまりLEDダイが密集したダイシング後のウェハーから順方向電圧降下量によってLEDダイをランク分けすることになる。このときランク分けと同時に第1及び第2の配列工程を実施してしまえばピックアップ作業を共通化でき製造工程を短縮することができる。
【0069】
LED装置70では、LEDダイ14、15の側面を反射部材72で被覆し、LEDダイ14、15の上面とともに反射部材72の上下の面(図8参照)に蛍光体シート71、73を貼り付け、リードフレーム11、12に対し垂直な方向にだけ光を放射させていた。リードフレーム11、12に対し垂直な方向にだけ光を放射させようとする場合、蛍光部材が積層したLEDダイの側面とともに、LEDダイの上部に積層した蛍光部材の側面部にも反射部材を設けても良い。その様なLED装置は、予めウェハー状態でサファイア基板上に蛍光体層を形成しておき、このウェハーをダイシングし上部に蛍光体層を備えたLEDダイを利用する。次に、その様なLEDダイを、LED装置10の製造方法で示したように2枚の粘着シートを使って大判リードフレームに実装する。次に、LEDダイの周囲に反射部材を充填する。最後に、大判リードフレームを切断することによってLED装置を製造する。なお、蛍光体層のバインダーは、LEDダイと大判リードフレームの接合温度に耐えられるようガラスなどの透明無機材料から選ぶことが好ましい。
【0070】
(第3実施形態)
LED装置10及びLED装置70では、リードフレーム11、12の切断面と被覆部材13(LED装置70では反射部材72)の切断面とが一致していた。LED装置10及びLED装置70をマザー基板に実装する際、強度が不足する場合はリードフレーム11、12の端部を被覆部材13(第2実施形態では反射部材72)の切断面からはみ出させても良い。そこで、以下では、リードフレーム11、12を被覆部材から水平方向に延ばした(突き出した)LED装置(半導体発光装置)100について説明する。なお、LED装置100において、LED装置10と同じ部材については、同じ番号を使用した。
【0071】
図10はLED装置100の外形図であり、(a)が斜視図、(b)が(a)のCC´断面図である。
【0072】
LED装置100は、リードフレーム11、12の左右の端部が被覆部材101から突き出ていることを除いて、LED装置10と等しい。すなわち、LED装置100は、2枚の平板状のリードフレーム11、12が被覆部材101に埋め込まれ、その左右の端部が被覆部材101から突き出ている。このとき被覆部101の上面及びリードフレーム11、12の上端面は高さが一致し、同様に被覆部材101の下面及びリードフレーム11、12の下端面も高さが一致している。リードフレーム11、12の間隙を跨ぐようにして、リードフレームの一方の面と他方の面にそれぞれLEDダイ14、15がフリップ実装されている。被覆部材101はシリコーン樹脂に蛍光体を混練し硬化させた蛍光樹脂である。なお、リードフレーム11、12及びLEDダイ14、15は、LED装置100とLED装置10で同じものとなる。LED装置100におけるリードフレーム11、12の表面処理及びリードフレーム11、12とLEDダイ14、15の接続構造もLED装置10と等しい。
【0073】
LED装置100の製造方法は、LED装置10に関して、図5(h)で示したように被覆部材16で被覆された大判リードフレーム41が完成したら、大判リードフレームの一部が露出するように被覆部材46を切削等で除去し、被覆部材101とする。その後、突き出た部分が残るようにして大判リードフレーム41を個片化して、LED装置100を完成する。
【0074】
なお、LED装置100において、突き出したリードフレーム11、12をLED装置100の側面に沿って曲げても良い。また、LED装置10ではリードフレーム11、12とLEDダイ14,15とをAgSn共晶で接続していたが、接合用に高融点ハンダを使用しても良い。この高融点ハンダは、マザー基板にLED装置を実装するときに使用するハンダより融点が高い合金である。
【0075】
図11は、LED装置100を平面照明装置110に利用した応用例を示す図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のDD´断面図である。
【0076】
図11(a)に示す様に、平面照明装置110は、開口部112を有する導光板111を含み、開口部112には、LED装置100が配置されている。LED装置100は、導光板111の下側に配置された実装基板113に電気的及び機械的に接続している。また、開口部112から実装基板113の表面が覗いている。
【0077】
平面照明装置110において、LED装置100から、図の左右方向に出射した光は導光板111に入射する。この入射光は、導光板111内を伝播する際、導光板111が包含する拡散粒子によって進行方向を変えられ、導光板111の上方から出射する。なお、実装基板113の下面側に進行方向を変えられた光は、実装基板113の上面又は導光板112の下面に設けられた反射層で反射し上方に向かう。なお、平面照明装置110は導光板111に1個の開口部112を備えていたが、導光板111に複数の開口部を備え、各開口部にLED装置100を配置しても良い。
【0078】
(第4実施形態)
LED装置100は被覆部材101が蛍光樹脂だけからなっていたので、光はLED装置100の全ての面から出射する。この場合、正面から出射する光と側面から出射する光は、被覆部材101を構成する蛍光樹脂内を伝播する光路長が異なり、蛍光樹脂により波長変換される度合いに差が出ることがある。このときLED装置100の正面と側面では発光色が異なるという不具合が起きる。そこで、以下では、光の出射面を制限して正面及び裏面からだけ光が出射するLED装置(半導体発光装置)120について説明する。なお、LED装置120において、LED装置10と同じ部材については、同じ番号を使用した。
【0079】
図12は、LED装置120の断面図である。
【0080】
LED装置120の外形は、図10(a)に示すLED装置100と同様であるので、図12は、LED装置120における、図10(a)のCC´断面図に相当する。LED装置120とLED装置100との違いは、LED装置120では被覆部材が複数の部材からなっていることである。LED装置120の被覆部材は、2枚の平板状のリードフレーム11、12に実装されたLEDダイ14、15の側部及び底部に充填された蛍光樹脂122と、LEDダイ14、15の上面及び蛍光樹脂の上部を覆う蛍光体シート121と、蛍光樹脂122及び蛍光体シート121の周囲を囲む枠状の反射部材123と、から構成される。なお、LEDダイ14、15の上面を、サファイア基板16側としている。
【0081】
LED装置120の製造方法は、最初に、図4(f)で示したように大判リードフレーム41の両面にLEDダイ14、15を実装したら、金型やスキージなどでLED装置の間(断面図において左右及び上下方向)に蛍光部材122を充填し硬化させる。次に、上下のLEDダイ14、15のサファイア基板16及び蛍光樹脂122の上部に蛍光体シート121を貼りつける。次に、大判リードフレーム41が残るようにLEDダイ間に溝を形成し、この溝に白色反射部材を充填し硬化させる。このようにして被覆された大判リードフレームが完成したら、大判リードフレームの一部が露出するように白色反射部材の一部を切削等で除去し、その後突き出た部分が残るようにして大判リードフレーム41を個片化してLED装置120を完成する。なお、個片化した際に、白色反射部材が、LED装置120の反射部材123となる。
【0082】
LED装置120では、反射部材123とLEDダイ14、15の側面との間及びLEDダイ14、15の底面間に蛍光樹脂122が充填されている。したがって、LEDダイ14、15の側面又は底面から出射した光は、蛍光樹脂122内を反射しながらLED装置120の正面又は裏面から出射し、そのとき光の一部が波長変換される。
【0083】
図7に示したLED装置70では、白色反射部材72がLED装置70の側面と底面を直接的に被覆しているため、この側面及び底面から出射しようとする光はLEDダイ70内に戻される。このため発光層で再吸収されたり、迷光となったりして発光損失が発生する。これに対しLED装置120は、側面及び底面から出射した光の多くの部分がLEDダイ14、15内に戻らないため発光効率が向上する。また波長変換を受けた光はたとえLEDダイ14、15内に戻っても発光層で再吸収されない。このことも発光効率の向上に寄与する。なお、被覆部材として使用している蛍光樹脂122は、この部分が波長変換機能を必要としないときは、透明部材に置き換えても良い。しかしこの場合は若干発光効率が低下する。
【0084】
LED装置120において、LEDダイ14、15の上面を覆う蛍光体シート121の代わりに、蛍光樹脂を用いても良い。この場合、蛍光体シートを貼る工程を省略できる。前述したLED装置120の製造方法では、蛍光体シート121の貼り付け前に蛍光樹脂122がLEDダイ14、15の上面に付着したとき、LEDダイ14、15の上面の研磨等により蛍光樹脂を除去することが好ましい。蛍光体シート121の代わりに蛍光樹脂122でLEDダイ14、15の上面を被覆すればこの工程も不要になる。一方、蛍光体シート121は安価であるため、あらかじめ複数通りの波長変換特性をもつ蛍光体シート群を準備しておき、このなかからLEDダイ14、15の発光特性(ピーク波長など)にあわせて貼りつける蛍光体シートを選ぶことができる。このように蛍光体シートを使うとLED装置の発光色の管理が容易になる。
【0085】
LED装置120では白色反射部材を枠状に形成していた。しかしながら光の出射面を制限する方法は、枠状の反射部材を設けることに限定されない。例えば、LED装置120の上部と底部(断面図において紙面に垂直な方向)にのみ白色反射部材で反射部材を形成し、側面(断面図において紙面と平行な方向)からは光を放射できるようにしても良い。
【0086】
(第5実施形態)
図13は、LED装置200の外形図であり、(a)が平面図、(b)が正面図、(c)が右側面図である。
【0087】
LED装置(半導体発光装置)200を上部から眺めると長方形の被覆部材214の中に水平方向に延びるリードフレーム211、212、213が見える(図13(a)参照)。リードフレーム211とリードフレーム212、並びにリードフレーム212とリードフレーム213は端部が近接している。またリードフレーム211の左側の端部及びリードフレーム213の右側の端部は被覆部材214の側端部と一致している。LED装置200を正面から眺めると被覆部材214のみが見える(図13(b)参照)。LED装置200を右側面から眺めると、被覆部材214を分断するように垂直方向に延びるリードフレーム213が見える(図13(c)参照)。なお、図示していないが、LED装置200の底面図は図13(a)の平面図と一致する。また、LED装置200の左側面図は図13(c)の右側面図と同等で、リードフレーム213がリードフレーム211に置き換わることとなる。
【0088】
図14は、図13(b)のEE´断面図である。
【0089】
LED装置200は、リードフレーム211、212、213及び被覆部材214の他にLEDダイ215、216、217、218を含んでいる。LEDダイ215〜218はサファイア基板231、半導体層232、突起電極233からなる。なお、LEDダイ215〜218において、半導体層232を備えていない面を上面と呼び、半導体層232及び突起電極233が形成されている面を底面と呼び、上面と底面をつなぐ面を側面と呼ぶ。
【0090】
LEDダイ215〜218はサファイア基板231の下面に半導体層232が形成され、半導体層232に突起電極233が付着している。サファイア基板231は透明絶縁基板であり厚さが80〜120μmである。半導体層232は、n型半導体層、p型半導体層、層間絶縁膜及び金属配線を含み厚さが10μm弱である。発光層はn型半導体層とp型半導体層の境界部にあり、平面形状はp型半導体層とほぼ等しい。n型半導体層の一部とp型半導体層は層間絶縁膜で被覆され、層間絶縁膜上に金属配線が形成されている。この金属配線は突起電極233と接続している。また金属配線は、フリップチップ実装が容易になるよう、アノード及びカソードをそれぞれひとつにまとめ、LEDダイ215〜218の左右の端部に突起電極233として配置し直している。突起電極233は10〜30μm程度のCu又はAuをコアとするバンプであり、下面にAuSn共晶を備えている。
【0091】
リードフレーム211〜213は、Ni、Ag、Au等をメッキした銅板であり、厚さが100〜400μmである。リードフレーム211〜213の間隙219は幅が200〜400μmである。リードフレーム211、212の上側の面(以後表面と呼ぶ)においてLEDダイ215が間隙219を跨ぐようにフリップチップ実装されている。また、リードフレーム212、213の表面においてLEDダイ216が間隙219を跨ぐようにフリップチップ実装されている。同様に、リードフレーム211、212の下側の面(以後裏面と呼ぶ)においてLEDダイ217が間隙219を跨ぐようにフリップチップ実装されている。また、リードフレーム212、213の裏面においてLEDダイ218が間隙219を跨ぐようにフリップチップ実装されている。なお、間隙219を問題なく跨げるようにLEDダイ215〜218の底面において前述の突起電極233の再配置を行った。
【0092】
リードフレーム211〜213のうち外気に対し露出している部分(切断面)は半田等でメッキしておくことが好ましい。リードフレーム211〜213の表面をAgメッキしている場合は、酸化や硫化を防止するため実装部を除いてリードフレーム211〜213の表面にSiO2等の無機透明絶縁膜を形成しておくことが好ましい。リードフレーム211〜213と突起電極233の接続部は、LED装置200をマザー基板に実装する際のリフロー温度で溶融してはならないので、本実施形態のようなAuSn共晶若しくは高融点半田により接続すると良い。なお、被覆部材214は蛍光体を含有したシリコーン樹脂である。
【0093】
図15は、LED装置200の回路図である。
【0094】
LED装置200において、LEDダイ215とLEDダイ217が並列接続され、LEDダイ216とLEDダイ218も並列接続され、二つの並列回路が直列接続している。すなわち、LEDダイ215〜218は直並列回路を構成し、直並列回路のアノードとカソードがそれぞれリードフレーム211、213に相当する。なお中間部の配線はリードフレーム212に相当する。
【0095】
図16は、LED装置200をマザー基板245に実装した実装図である。
【0096】
図16は、LED装置200を正面から眺めた状態を示している。マザー基板245上にはマザー基板電極243、244が形成されている。マザー基板電極243は、リードフレーム211(図13参照)と半田241により接続する。マザー基板電極244は、リードフレーム213(図13参照)と半田242により接続する。接続強度を高めるため半田241、242はLED装置200の底部と共に側部にも存在することが好ましい。マザー基板電極243、244の間隙は、異物等によるショートを避けるためLED装置200の底部におけるリードフレーム211、213の露出部の間隙(図13参照)より幅を広くしている。
【0097】
図17は、LED装置200の製造方法を説明するための説明図である。
【0098】
最初に、大判リードフレーム251を準備する(図17(a)参照)。大判リードフレーム251は、切断すると個別のLED装置200に含まれるリードフレーム211〜213(図13参照)が得られる。大判リードフレーム251は板状であり、多数のLEDダイ215〜218を実装できるが、図17では説明のためLEDダイ215〜218がそれぞれ2個ずつだけ実装できるように描いている(以下同様)。大判リードフレーム251は銅版をエッチングし所望の開口部を形成したものであり、エッチング後表面をメッキする。
【0099】
次に、粘着シート252に複数のLEDダイ215、216を配列する(図17(b)参照)。粘着シート252はポリイミドシートの上面に粘着層が形成したものである。ピッカーによりLEDダイ215、216を拾い上げ、LEDダイ215、216を粘着シート252に一個ずつ配置する。粘着シート252にはLEDダイ215、216の上面(図では下側になっている面)を貼り付ける。LEDダイ215、216の配列ピッチは大判リードフレーム251の表面における実装部のピッチと一致する。またLEDダイ215、216のアノードとカソードが所定の位置になるよう方向を定めている。
【0100】
次に、粘着シート253に複数のLEDダイ217、218を配列する(図17(c)参照)。図17(b)で示した工程と同様に、粘着シート253に複数のLEDダイ217、218を配列する。なおLEDダイ217、218の配列ピッチ及び方向は大判リードフレーム251の裏面における実装部と一致する。図17(a)〜図17(c)に示した工程の順番は上述した通りでなくても良い。
【0101】
次に、複数のLEDダイ215、216を配列した粘着シート252と複数のLEDダイ217、218を配列した粘着シート253を大判リードフレーム251とを位置合わせし、粘着シート252、253ごと大判リードフレーム251を加圧及び加熱する(図17(d)参照)。即ち、この工程は、LEDダイ215〜218と大判リードフレーム251とを接続する工程である。粘着シート252を上下反転し、透光性の粘着シート252越しに大判リードフレーム251を観察しながら位置を合わせる。位置合わせが完了したら、大判リードフレーム251の周辺部で粘着シート252を仮止めする。次に、粘着シート252を仮止めした大判リードフレーム251を上下反転する。前述の位置合わせと同様に、粘着シート253を反転し、粘着シート253越しに大判リードフレーム251を観察しながら位置を合わせる。位置合わせが完了したら大判リードフレーム251の周辺部で粘着シート253を仮止めする。最後に粘着シート252、253を仮止めした大判リードフレーム251を台に乗せ、加圧ヘッドにより粘着シート252、253ごと大判リードフレーム251を加圧し、圧力を保ったまま加圧ヘッドを300〜350℃程度に加熱する。この温度では、AuSn共晶が融解するので、所定の時間が経過したら加圧ヘッドの温度を下げ、その後加圧ヘッドを大判リードフレーム251等から離す。なお、図17(d)では、接続後の状態として粘着シート252が上側になっているよう描いている。
【0102】
次に、LEDダイ215〜218を被覆部材54で被覆する(図17(e)参照)。LEDダイ215〜218が接続した大判リードフレーム251から粘着シート252、253を剥がし、LEDダイ215〜218を被覆部材254で被覆する。被覆には金型を用いても良い。その場合、大判リードフレーム251を金型に組み込んだら、射出成型により被覆部材254を形成する。図17(e)は、被覆後の大判リードフレーム251を示している。
【0103】
最後に、大判リードフレーム251を切断して、個片化したLED装置200を得る(図17(f)参照)。被覆した大判リードフレーム251をダイシングシートに貼り付け、ダイサーで大判リードフレーム251を切断し、LED装置200に個片化する。
【0104】
図18は、大判リードフレーム251とLEDダイ215、216との位置関係を説明するための図である。
【0105】
図18は、図17(d)の状態から、粘着シート252を取り除いた状態で、大判リードフレーム251の一部を上部から眺めた場合の平面図である。大判リードフレーム251上ではLEDダイ215、216が格子状に配列している。大判リードフレーム251は、図中、縦方向に延びる長方形の銅板が配列しているように見える。なお、図示していないが、板状の銅板は上端部又は下端部で連結している。また、図18において、サファイア基板231越しに存在する突起電極233を点線で示した。被覆後、大判リードフレーム251においてFで示す部分を切り取るとLED装置200が得られることとなる。なお、図18には、後述する第6実施形態の説明用に使う符号284、286及びGを記載している。
【0106】
(第6実施形態)
LED装置200は、LEDダイ215〜218が直並列接続していた。LEDダイの個数を増やしてLED装置を明るくしようとする場合、LEDダイの接続構成は直並列接続に限られず、並列接続であってもよい。そこで、以下に、LEDダイが並列接続したLED装置(半導体発光装置)270を説明する。
【0107】
図19は、LED装置270の外形図であり、(a)が平面図、(b)が正面図、(c)が右側面図である。
【0108】
LED装置270を上部から眺めると長方形の被覆部材273の中に水平方向に延びるリードフレーム271、272が見える(図19(a)参照)。リードフレーム271とリードフレーム272とは、端部が近接している。また、リードフレーム271の左側の端部及びリードフレーム272の右側の端部は、被覆部材273の側端部と一致している。LED装置270を正面から眺めると被覆部材273のみが見える(図19(b)参照)。LED装置270を右側面から眺めると、被覆部材273を分断するように垂直方向に延びるリードフレーム272が見える(図19(c)参照)。なお、図示していないが、LED装置270の底面図は、図19(a)の平面図と一致する。また、LED装置270の左側面図は、図19(c)の右側面図と同等で、リードフレーム272がリードフレーム271に置き換わることとなる。
【0109】
図20(a)は図19(b)のHH´断面図であり、図20(b)は図19(b)においてリードフレーム271、272の表面側の被覆部材273を除去した状態の正面図である。
【0110】
図20(a)に示す様に、LED装置270は、リードフレーム271、272及び被覆部材273の他に、LEDダイ284、285、286、287を含んでいる。なお図20(a)では、LEDダイ286、287はLEDダイ284、285に隠れているため図示していない。LEDダイ284〜287は、LED装置200に含まれていたLEDダイ215〜218と同じものであり、リードフレーム271、272及び被覆部材273の材質もLED装置200に含まれていたリードフレーム211〜213及び被覆部材214と同じものである。
【0111】
図20(b)に示す様に、上下に延びたリードフレーム271、272の間隙279から被覆部材273が見える。LEDダイ284、286は間隙279を跨ぐようにしてリードフレーム271、272と接続している。なお、図示していないが、LEDダイ287はLEDダイ286に対向するようにしてリードフレーム271、272の裏面側で接続されている。なお、LED装置270は、図20(b)の下部を底部として、図16に示したLED装置200と同様にしてマザー基板に接続される(注意:表現をご確認ください。)。
【0112】
図21は、LED装置270の回路図である。
【0113】
LEDダイ284、285、286、287が並列接続している。図27に示す並列回路のアノードとカソードが、それぞれリードフレーム271、272に相当する。
【0114】
図18を利用して、大判リードフレーム251とLEDダイ284、286の位置関係を説明する。図18は、LED装置200について説明した通り、図17(d)の状態から粘着シート252を取り除いた状態で、大判リードフレーム251の一部を上部から眺めた場合の平面図である。LEDダイ284、286は板状の銅板の間隙を跨ぐようにして格子状に配列している。被覆後、大判リードフレーム251から、Gで示した領域を切り出すことによって、LED装置270が得られる。すなわち、LED装置200とLED装置270は、被覆部材で被覆する工程まで共通化しており、被覆後の大判リードフレーム251からの切り出し方が異なっている。
【0115】
(第7実施形態)
LED装置200、270は、リードフレーム211〜213、及びリードフレーム271、272と平行な方向にも光を放射する。LED装置200、270の使い方によっては、この放射光が利用しづらいばかりでなく問題となる可能性もある。たとえば、LED装置200において、リードフレーム211〜213と垂直な方向に放射する光が被覆部材214を通る距離と、水平方向に放射する光が被覆部材214を通る距離とが異なる可能性がある。その場合、蛍光体により波長変換される度合いが違ってくるので、放射方向によって、発光色が異なってしまうことがある。そこで、以下に、リードフレームと平行な方向には光を放射せず、リードフレームに垂直な方向にだけ光を放射するLED装置(半導体発光装置)300について説明する。なお。LED装置300において、LED装置200と同じ部材について同じ番号を使用した。
【0116】
図22は、LED装置300の外形図であり、(a)が平面図、(b)が正面図、(c)が右側面図である。
【0117】
LED装置300を上部から眺めると、蛍光体シート301、303と、蛍光体シート301、303に挟まれる反射部材302と、反射部材302の中で水平方向に延びるリードフレーム211、212、213とが見える(図22(a)参照)。リードフレーム211とリードフレーム212、並びにリードフレーム212とリードフレーム213は端部が近接している。また、リードフレーム211の左端とリードフレーム213の右端は蛍光体シート301、303及び反射部材302の左右の側端部と一致している。LED装置300を正面から眺めると蛍光体シート303のみが見える(図22(b)参照)。LED装置300を右側面から眺めると、蛍光体シート301、303と、蛍光体シート301、303に挟まれた反射部材302と、反射部材302に挟まれたリードフレーム213とが見える(図22(c)参照)。なお、図示していないが、LED装置300の底面図は図22(a)の平面図と一致する。また、LED装置300の左側面図は図22(c)の右側面図と同等になり、リードフレーム213がリードフレーム211に置き換わることとなる。
【0118】
図23は、図22(b)のII´断面図である。
【0119】
LED装置300は、リードフレーム211、212、213、反射部材302、蛍光体シート301、303及びLEDダイ215〜218を含んでいる。LED装置300では、LED装置200と同様に(図14参照)、リードフレーム211〜213の表面においてLEDダイ215、216が間隙219を跨ぐようにフリップチップ実装されている。同様に、リードフレーム211、212の裏面においてLEDダイ217、218が間隙219を跨ぐようにフリップチップ実装されている。なお、リードフレーム211〜213及びLEDダイ215〜218は、LED装置300とLED装置200で同じものとなる。また、LED装置300において、リードフレーム211〜213の表面処理及びリードフレーム211〜213とLEDダイ215〜218の接続構造もLED装置200と等しい。
【0120】
LED装置300において、LEDダイ215〜218の底面及び側面は反射部材302で被覆され、LEDダイ215〜218の上面は蛍光体シート301、303で被覆されている。すなわち、LED300では、被覆部材が反射部材302と蛍光体シート301、303から構成されている。反射部材302は、シリコーン樹脂やオルガノポリシロキサンのような透明バインダー中に酸化チタンやアルミナなどの反射性微粒子を混練し硬化させたものである。蛍光体シート301、303は、シリコーン樹脂に蛍光体を混練し硬化させたものである。蛍光体シート301、303は、透明接着剤(図示せず)によりLEDダイ215〜218の上面及び反射部材302と接着している。
【0121】
図24は、LED装置300の製造方法を説明するための説明図である。
【0122】
LED300の製造方法において、LED装置200の製造方法における、大判リードフレームを準備する工程(図17(a)参照)、粘着シートにLEDダイを配列する工程(図17(b)及び(c)参照)、LEDダイを大判リードフレームに接続する工程(図17(d)参照)は、同じものとなるので省略した。
【0123】
図24(a)は、図17(d)で示したものと同じ図であり、LED装置300に対する製造方法で特徴的な工程のスタート(初期状態)として示したものである。
【0124】
次に、図24(a)の状態から粘着シート252だけを剥がす(図24(b)参照)。なお、図24(b)、(c)及び(d)は、LEDダイ215〜218を反射部材222と蛍光体シート221、223で被覆する工程である。
【0125】
次に、LEDダイ215〜218の側面と底面を被覆するためLEDダイ215〜218間に硬化前の反射部材222を充填する(図24(c)参照)。充填後、150℃程度で反射部材222を硬化させる。充填はスキージで良く、硬化後LEDダイ215、216の上面に残った反射部材222を研磨によって除去する。なお、ディスペンサを使って正確に計量された反射部材222を充填しても良い。その場合はLEDダイ215、216の上面の研磨が不要となる。
【0126】
次に、蛍光体シート221、223でLEDダイ215〜218の上面を被覆する(図24(d)参照)。LEDダイ215、216及び反射部材222の上面に透明接着剤を塗布し蛍光体シート221を貼り付ける。これと並行し粘着シート253を剥がし、LEDダイ217、218の上面(図では下の面)及び反射部材222に透明接着剤を塗布し蛍光体シート223を貼り付ける。なお、蛍光体シート221、223の代わりに、シリコーン等の透明バインダー中に蛍光体を混連させた蛍光樹脂をLEDダイ215〜218の上面及び反射部材222に塗布し、これを硬化させて蛍光体層を形成しても良い。この場合、蛍光体層がLEDダイ215〜218上面の被覆用蛍光部材となる。しかしながら、LED装置300のように蛍光部材が蛍光体シート221、223である場合は、反射部材222による被覆と蛍光シート221、223の準備とを同時並行して行えるので、被覆工程を短時間に処理できるという利点がある。
【0127】
最後に、被覆が完了した大判リードフレーム251を切断して、個片化したLED装置300を得る(図24(e)参照)。図24(e)は、被覆部材の違いを除いて図17(f)の工程と同じものである。
【0128】
LED装置200、270、300では、4個のLEDダイ215〜218若しくはLEDダイ284〜287の順方向電圧降下量を等しくしておかなければならない。例えば、生産現場において順方向電圧降下量の違いを0.1V以内に収める必要がある。つまり生産現場ではLEDダイが密集したダイシング後のウェハーから順方向電圧降下量によってLEDダイをランク分けしている。このとき、ランク分けと同時にLEDダイを粘着シート252、253上に所定のピッチと方向で配列させてしまえばピックアップ作業を共通化でき製造工程を短縮できる。
【0129】
LED装置200、270、300では、リードフレーム211、213若しくはリードフレーム271、272の切断面と被覆部材214、273(LED装置300では反射部材302)の切断面とが一致していた。しかしながら、LED装置200、270、300において、マザー基板に実装する際、接続強度が不足する場合はリードフレーム211、213若しくはリードフレーム271、272の端部を被覆部材214、273(LED装置300では反射部材302)の切断面からはみ出させても良い。例えば、図13(a)において、リードフレーム211、213を水平方向の延ばしても良い。このとき、外部に延出したリードフレーム211、213若しくはリードフレーム271、272をLED装置200、270、300の側面に沿って曲げても良い。
【0130】
LED装置300では、LEDダイ215〜218側面を反射部材302で被覆し、LEDダイ215〜218の上面とともに反射部材72の上下の面(図20参照)に蛍光体シート271、273を貼り付けていた。しかしながら、リードフレーム211〜213に対し垂直な方向にだけ光を放射させようとする場合、蛍光部材が積層したLEDダイの側面とともに、LEDダイの上部に積層した蛍光部材の側面部にも反射部材がある構造であっても良い。この様な、LED装置は、予めウェハー状態でサファイア基板上に蛍光体層を形成しておき、このウェハーをダイシングし上部に蛍光体層を備えたLEDダイが得られたら、LED装置200に対する製造方法で示したように2枚の粘着シートと大判リードフレームを使う集合工法を適用する。つまり、大判リードフレームの両面にLEDダイを実装したら、LEDダイの周囲に反射部材を充填し、大判リードフレームを切断する。なお、蛍光体層のバインダーは、LEDダイと大判リードフレームの接合温度に耐えられるようガラスなどの透明無機材料から選ぶことが好ましい。
図1
図2
図3
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図6
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図11
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図15
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図18
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