特許第6207411号(P6207411)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6207411
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】貯湯式給湯機
(51)【国際特許分類】
   F24H 1/18 20060101AFI20170925BHJP
【FI】
   F24H1/18 503B
   F24H1/18 G
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-11697(P2014-11697)
(22)【出願日】2014年1月24日
(65)【公開番号】特開2015-137838(P2015-137838A)
(43)【公開日】2015年7月30日
【審査請求日】2016年8月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】505461072
【氏名又は名称】東芝キヤリア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088720
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 眞一
(74)【代理人】
【識別番号】100118430
【弁理士】
【氏名又は名称】中原 文彦
(72)【発明者】
【氏名】成木 孝志
(72)【発明者】
【氏名】矢口 正彦
【審査官】 宮崎 賢司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−047321(JP,A)
【文献】 特開2012−207807(JP,A)
【文献】 特開2010−243121(JP,A)
【文献】 特開2012−052686(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0211002(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱装置で加熱されたお湯を貯湯する貯湯タンクと、
前記貯湯タンクの下部に接続された下部配管と、
前記下部配管の途中に設けられた第1圧力逃し弁と、
前記貯湯タンクの上部に接続された上部配管と、
前記貯湯タンクの中部に接続された中部配管と、
前記上部配管と前記中部配管とに接続されて前記上部配管から取出したお湯と前記中部配管から取出したお湯とを混合する中間混合弁と、
前記中間混合弁を通過したお湯と供給水とを混合して給湯先に導く給湯用混合弁と、
前記中間混合弁を通過したお湯と供給水とを混合して浴槽に導く浴槽用混合弁と、
前記上部配管の途中に設けられる第2圧力逃し弁と、
前記下部配管に供給される水を減圧する減圧弁と、を備え、
前記第2圧力逃し弁の開弁設定圧力は前記第1逃し弁の開弁設定圧力より高く、前記第1逃し弁の開弁設定圧力は前記減圧弁の開弁設定圧力よりも高いことを特徴とする貯湯式給湯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、貯湯式給湯機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、貯湯タンク内に水を貯めておき、その水を安価な夜間電力を利用して加熱し、加熱されたお湯を貯湯タンク内に貯湯するようにした貯湯式給湯機が普及している。
【0003】
このような貯湯式給湯機においては、貯湯タンク内の水を加熱する沸上げ運転時に、貯湯タンクの湯水(水又はお湯)が体積膨張して貯湯タンク内の圧力が上昇するという現象や、湯水中に溶けている気体(主に酸素)が気泡となって貯湯タンクの上部に溜まるという現象が発生する。
【0004】
そこで、貯湯タンク内の圧力上昇を防止するため、体積膨張した貯湯タンク内の湯水(以下、「膨張水」という。)を外部に排水する圧力逃し弁を貯湯タンクの上部に設けている(例えば、下記特許文献1参照)。このような圧力逃し弁を設けることにより、膨張水と共に貯湯タンク内の上部に溜まった気体を排出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第5308712号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、貯湯タンク内のお湯は、上部が高温で下部が低温であるため、貯湯タンクの上部に圧力逃し弁を設けると、貯湯タンクの上部に位置する高温のお湯を排水することになり、熱エネルギーの損失が大きくなる。
【0007】
本発明の実施形態の目的は、沸上げ運転時において、貯湯タンク内の圧力上昇を防止するために膨張水を排水した場合における熱エネルギーの損失を少なくできる貯湯式給湯機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態の貯湯式給湯機は、加熱装置で加熱されたお湯を貯湯する貯湯タンクと、前記貯湯タンクの下部に接続された下部配管と、前記下部配管の途中に設けられた第1圧力逃し弁と、前記貯湯タンクの上部に接続された上部配管と、前記貯湯タンクの中部に接続された中部配管と、前記上部配管と前記中部配管とに接続されて前記上部配管から取出したお湯と前記中部配管から取出したお湯とを混合する中間混合弁と、前記中間混合弁を通過したお湯と供給水とを混合して給湯先に導く給湯用混合弁と、前記中間混合弁を通過したお湯と供給水とを混合して浴槽に導く浴槽用混合弁と、前記中間混合弁を通過したお湯と供給水とを混合して浴槽に導く浴槽用混合弁と、前記上部配管の途中に設けられる第2圧力逃し弁と、前記下部配管に供給される水を減圧する減圧弁と、を備え、前記第2圧力逃し弁の開弁設定圧力は前記第1逃し弁の開弁設定圧力より高く、前記第1逃し弁の開弁設定圧力は前記減圧弁の開弁設定圧力よりも高いことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1の実施形態の貯湯式給湯機のシステム図である。
図2】第2の実施形態の貯湯式給湯機のシステム図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態を図1に基づいて説明する。第1の実施形態の貯湯式給湯機1は、貯湯タンク2と例えばCO冷媒を用いたヒートポンプ式冷凍サイクルにより水を加熱する加熱装置3とを備えている。貯湯タンク2は、密閉型タンクであり、使用時には常に湯水が充填された状態となっている。また、貯湯タンク2の側面には複数の温度センサ(図示せず)が縦方向に設けられており、貯湯タンク2内の温度分布を計測している。貯湯タンク2内に貯留された湯水は、温度に応じた密度変化に起因して上部が高温水となり下部が低温水となる。貯湯タンク2と加熱装置3とは沸上げ配管4により接続されている。沸上げ配管4は、一端が貯湯タンク2の下部に接続され、他端が貯湯タンク2の上部に接続され、貯湯タンク2の下部から低温の湯水を吸引し、加熱装置3で加熱したお湯を貯湯タンク2の上部に供給するようになっている。
【0011】
貯湯タンク2には沸上げ配管4の他に様々な配管が接続されており、貯湯タンク2の下部には、排水用配管5と下部配管である給水用配管6とが接続されている。排水用配管5は、貯湯タンク2内の湯水を排水するための配管であり、その先端部には排水栓7が設けられている。給水用配管6は、水道水等の供給水を貯湯タンク2内に供給するための配管であり、その途中には減圧弁8と第1圧力逃し弁9とが設けられている。減圧弁8は、貯湯タンク2に供給される供給水の圧力を設定圧以下に減圧するための弁である。第1圧力逃し弁9は、減圧弁8と貯湯タンク2の下部との間に配置され、貯湯タンク2内の湯水を加熱する沸上げ運転時に貯湯タンク2内の圧力が設定圧に上昇した場合に開弁され、貯湯タンク2内の湯水の一部を貯湯タンク2外に排水する弁である。
【0012】
貯湯タンク2の上部には、上述した沸上げ配管4の他に上部配管10が接続され、貯湯タンク2の上下方向の中部には中部配管11が接続されている。上部配管10は、貯湯タンク2内のお湯を貯湯タンク2の上部から取出すための配管であり、中部配管11は、貯湯タンク2内のお湯を貯湯タンク2の中部から取出す配管である。
【0013】
上部配管10と中部配管11との先端部には、中間混合弁12が設けられている。この中間混合弁12は、上部配管10を通って貯湯タンク2の上部から取出されたお湯と、中部配管11を通って貯湯タンク2の中部から取出されたお湯とを混合するための弁であり、貯湯タンク2の上部から取出したお湯と貯湯タンク2の中部から取出したお湯との混合比率を調節できるように開度調節可能に設けられている。開度調節する構造は、貯湯式給湯機1の運転上の各種データ、例えば、前回のお湯使用時からの経過時間、お湯の使用場所等に基づいて制御装置により自動的に調節する構造でもよく、又は、必要に応じて手動で調節する構造でもよい。
【0014】
中間混合弁12を通過したお湯が流れる経路として、お湯を洗面所や台所等の各種給湯先の給湯栓13に導く給湯経路14と、浴槽15に導く浴槽配管16とが設けられている。給湯経路14の途中には、この給湯経路14を流れるお湯と水道水等の供給水とを混合する給湯用混合弁17が設けられている。また、給湯経路14の給湯用混合弁17と給湯栓13の途中には図示しないフローセンサが設けられており、給湯栓13からの湯水の流れを検知するようになっている。浴槽配管16の途中には、この浴槽配管16を流れるお湯と水道水等の供給水とを混合する浴槽用混合弁18が設けられている。さらに、浴槽配管16の浴槽用混合弁18よりも下流側には浴槽給湯電磁弁20が設けられている。浴槽15に湯水を供給する湯張り運転を行う際には、浴槽給湯電磁弁20が開放され、浴槽15に湯水が供給される。
【0015】
このような構成において、この貯湯式給湯機1では、夜間の安価な電力を利用して加熱装置3が駆動され、貯湯タンク2内に貯められた水を加熱する沸上げ運転が夜間に行われる。
【0016】
沸上げ運転が開始されると、貯湯タンク2内の湯水が膨張し、この膨張に伴って貯湯タンク2内の圧力が次第に上昇する。そして、貯湯タンク2内の圧力が設定圧に上昇すると、第1逃し弁9が開弁され、貯湯タンク2内の湯水の一部が第1逃し弁9を通って貯湯タンク2外に排水され、貯湯タンク2内の圧力が下がって第1逃し弁9が閉弁される。第1逃し弁9が設けられている給水用配管6は、貯湯タンク2の下部に接続された配管であるので、貯湯タンク2内の湯水のうち低温の部分が第1逃し弁9を通って貯湯タンク2外に排水されることになり、貯湯タンク2内の湯水の一部を膨張水として排水することに伴う熱エネルギーの損失を少なくすることができる。
【0017】
貯湯タンク2内のお湯が各種給湯先や浴槽15に供給される場合、上部配管10から取出された貯湯タンク2内の上部のお湯と、中部配管11から取出された貯湯タンク2内の中部のお湯とが中間混合弁12により混合され、中間混合弁12により混合されたお湯は、給湯用混合弁17で供給水と混合され、又は、浴槽用混合弁18で供給水と混合され、適温に温度調整された後に各種給湯先や浴槽15に供給される。
【0018】
沸上げ運転時には、湯水に含まれている気体(主に酸素)が気泡となって貯湯タンク2の上部に溜まる。ここで、貯湯タンク2内の上部のお湯が上部配管10を通って取出される場合、貯湯タンク2の上部に溜まっている気体はお湯と共に上部配管10を通って排出されるので、貯湯タンク2の上部に気体が溜まった状態が継続されることや、貯湯タンク2内に多量の気体が溜まることを防止することができる。
【0019】
また、貯湯タンク2の上部に溜まった気体が給湯先から一気に吹出すことを防止するためには、上部配管10を通って取出されるお湯の比率が小さくなるように中間混合弁12の開度を調節すればよい。例えば、中間混合弁12の開度調節を制御装置で自動的に行う場合には、前回のお湯の使用から設定時間を経過した後のお湯の使用であって貯湯タンク2の上部に気体が溜まっていると予想できるタイミングでは、上部配管10を通って取出されるお湯の比率が低くなるように開度調節をすればよい。一方、浴槽15でお湯を使用する場合には、貯湯タンク2内の気体が一気に浴槽15内に吹出しても特に支障はないため、上部配管10を通って取出されるお湯の比率を低くなるように開度調節することは不要となる。
【0020】
また、例えば、夜間の沸上げ運転が完了し所定時間が経過した後で、各種給湯栓13での湯の使用がない場合に、中間混合弁12と浴槽混合弁18の開度を調節し、上部配管10、浴槽配管16を連通させ、浴槽給湯電磁弁20を開放する。これにより、貯湯タンク2上部に溜まった気体を浴槽15に排出することができる。
【0021】
また、浴槽15へ気体を排出する際には、給湯経路14側を閉止又は開度を小さくするように給湯用混合弁17の開度を調節する。これにより、浴槽15へ気体を排出している最中に、利用者が給湯栓13を開放した場合でも、給湯栓13から気体が吹出すことがない。
【0022】
また、給湯栓13が開放され湯水の使用が開始されると、中間混合弁12の開度を中部配管11側が大きくなるように調節し、その後、給湯用混合弁17の開度を調節して所定温度の湯水を給湯栓13に供給する。
【0023】
これにより、貯湯タンク2上部の高温の気体を浴槽15に排出することができ、各種給湯栓13に高温の気体が吹出さず、利用者が安全に湯水を利用することができる。
【0024】
(第2の実施形態)
第2の実施形態について、図2に基づいて説明する。なお、第1の実施形態で説明した構成要素と同じ構成要素には同じ符号を付け、重複する説明は省略する。
【0025】
第2の実施形態の貯湯式給湯機1Aの基本的な構成は、第1の実施形態の貯湯式給湯機1と同じである。即ち、貯湯式給湯機1Aは、貯湯タンク2と加熱装置3とを有し、さらに、給水用配管6、減圧弁8、第1逃し弁9、上部配管10、中部配管11、中間混合弁12、給湯用混合弁17、浴槽用混合弁18を備えている。
【0026】
上部配管10の途中であって貯湯タンク2と中間混合弁12との間には、第2圧力逃し弁19が設けられている。第2逃し弁19は、貯湯タンク2内の湯水を加熱する沸上げ運転時に貯湯タンク2内の圧力が設定圧に上昇した場合に開弁され、貯湯タンク2内の湯水の一部を貯湯タンク2外に排水するように機能する。さらに、貯湯タンク2内に供給水を供給したり、貯湯タンク2内の湯水を排水したりする場合に開弁させることにより、貯湯タンク2内に空気を出入りさせるように機能する。
【0027】
ここで、減圧弁8と第1逃し弁9と第2逃し弁19との開弁設定圧力の値は、第1逃し弁9は減圧弁8より高い開弁設定圧力とされ、第2逃し弁19は第1逃し弁9より高い開弁設定圧力とされている。
【0028】
このような構成において、貯湯タンク2内に供給水を供給する場合、第2逃し弁19を開弁させることにより貯湯タンク2内の空気を第2逃し弁19から排気させることができ、貯湯タンク2内への供給水の供給を短時間で容易に行うことができる。また、貯湯タンク2内の湯水を排水用配管5から排水する場合、第2逃し弁19を開弁させることにより貯湯タンク2内への空気の流入をスムーズに行わせることができ、貯湯タンク2内からの排水を短時間で容易に行うことができる。
【0029】
また、この貯湯式給湯機1Aは、第1逃し弁9に加えて第2逃し弁19が設けられ、第2逃し弁19の圧力設定値が第1逃し弁9より高く設定されている。このため、この第2逃し弁19は、貯湯タンク2内の異常圧力上昇を防止するための二重保護機能としての役割を兼ねており、第1逃し弁9が不調な場合でも貯湯式給湯機の1Aの安全性を向上させることができる。
【0030】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0031】
1…貯湯式給湯機、1A…貯湯式給湯機、2…貯湯タンク、3…加熱装置、6…給水用配管(下部配管)、9…第1逃し弁、10…上部配管、11…中部配管、12…中間混合弁、15…浴槽、17…給湯用混合弁、18…浴槽用混合弁、19…第2圧力逃し弁
図1
図2