特許第6207436号(P6207436)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アズビル株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6207436-デバイス管理システム 図000002
  • 特許6207436-デバイス管理システム 図000003
  • 特許6207436-デバイス管理システム 図000004
  • 特許6207436-デバイス管理システム 図000005
  • 特許6207436-デバイス管理システム 図000006
  • 特許6207436-デバイス管理システム 図000007
  • 特許6207436-デバイス管理システム 図000008
  • 特許6207436-デバイス管理システム 図000009
  • 特許6207436-デバイス管理システム 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6207436
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】デバイス管理システム
(51)【国際特許分類】
   G06F 13/00 20060101AFI20170925BHJP
【FI】
   G06F13/00 353V
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-52489(P2014-52489)
(22)【出願日】2014年3月14日
(65)【公開番号】特開2015-176359(P2015-176359A)
(43)【公開日】2015年10月5日
【審査請求日】2016年3月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】森田 敏哉
【審査官】 佐々木 洋
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−002967(JP,A)
【文献】 特開2007−095107(JP,A)
【文献】 特開2015−176360(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
設備内に配置される一または複数のデバイスと、各種の情報を前記デバイスに設定する設定ツールとを備えるデバイス管理システムであって、
前記デバイスは、
自デバイスに特有の情報であるデバイス情報を格納するデバイス情報格納部と、
自デバイスの動作を定めるパラメータに関するパラメータ情報を格納するパラメータ情報格納部と、
前記デバイス情報および前記パラメータ情報の一部または全部を設定した前記設定ツールを特定する設定ツール情報を格納する設定ツール情報格納部と、
前記デバイス情報または前記パラメータ情報を前記設定ツールから受信した場合に、受信した前記デバイス情報を前記デバイス情報格納部に書き込む、または受信した前記パラメータ情報を前記パラメータ情報格納部に書き込むとともに、前記デバイス情報または前記パラメータ情報の送信元である前記設定ツールに対応する前記設定ツール情報を前記設定ツール情報格納部に書き込む情報書込部と、
前記デバイス情報、前記パラメータ情報および前記設定ツール情報を送信するように要求する送信要求を前記設定ツールから受信した場合に、前記デバイス情報格納部に格納されている前記デバイス情報、前記パラメータ情報格納部に格納されている前記パラメータ情報および前記設定ツール情報格納部に格納されている前記設定ツール情報を前記設定ツールに送信する情報送信部と、を備え、
前記設定ツールは、
前記送信要求に応答した前記デバイスから、前記デバイス情報、前記パラメータ情報および前記設定ツール情報を受信する受信部と、
前記デバイスの代替対象となる代替デバイスに対して、前記受信部により受信された前記デバイス情報および前記パラメータ情報に基づく設定情報を送信する送信部と、を備える、
ことを特徴とするデバイス管理システム。
【請求項2】
前記設定ツール情報格納部は、前記設定ツール情報のうち、前記デバイスの出荷時に設定された前記設定ツール情報を、他の前記設定ツール情報と区別して格納する、ことを特徴とする請求項1記載のデバイス管理システム。
【請求項3】
前記設定ツール情報格納部は、前記設定ツール情報の履歴を格納する、ことを特徴とする請求項1または2記載のデバイス管理システム。
【請求項4】
前記設定ツール情報格納部は、前記設定ツール情報の履歴のうち、同じ前記設定ツールに対応する前記設定ツール情報については、最新の前記設定ツール情報のみを格納する、ことを特徴とする請求項3記載のデバイス管理システム。
【請求項5】
前記デバイス情報、前記パラメータ情報および前記設定ツール情報を、前記デバイスごとに管理する管理装置を、さらに備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のデバイス管理システム。
【請求項6】
前記デバイスは、HART(Highway Addressable Remote Transducer)通信機能を搭載することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のデバイス管理システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デバイス管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
生産プロセスを管理する工場では、プラント内に多数のデバイス(例えばセンサ機器やバルブポジショナ等のデバイス)を配置してプロセスを管理している。これらのデバイスには、機能の追加や不適合への対応などの改善が施された最新バージョンのファームウェアが搭載される。下記特許文献1には、デバイスのマスター部とスレーブ部とに搭載されるファームウェアのバージョンのうち、一方が最新バージョンではない場合に、自己のまたは相手側の最新バージョンのファームウェアに基づいてファームウェアを更新するデバイスが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−158928号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、デバイスは、その適用範囲を広げるために、設置場所や使用状態に応じて、各種のセットアップやチューニング(以下、「デバイス設定」ともいう。)を行うことができる。デバイス設定は、デバイスに搭載されているHMI(ヒューマンマシンインタフェース)や、デバイス設定用のツール(以下、「設定ツール」ともいう。)を用いて行うことが一般的である。
【0005】
設定ツールは、デバイスとは別々に提供されるため、設定ツールのバージョンがデバイスのバージョンと常に一致しているとは限らない。デバイスのバージョンが、設定ツールのバージョンよりも新しい場合には、設定ツールで設定可能な範囲のみを設定し、設定ツールで設定不能な範囲は出荷時設定値や初期値のままとなる。
【0006】
このような状況下でデバイスが故障する等して、デバイスを交換することになった場合、故障したデバイスの設定内容に出荷時設定値や初期値が混在していると、その設定内容が、デバイスと設定ツールとのバージョンが不一致であったために設定できなかったのか、ユーザが意図的に出荷時設定値や初期値と同じ値に設定したのかまでは判断できない。したがって、デバイスを交換する際に、出荷時設定値や初期値と同じ値を設定した意図を調査する必要が生ずるため、交換作業時の労力が増大してしまう。
【0007】
本発明は、上述した従来技術による問題点を解消するためになされたものであり、デバイスの交換作業時の労力を軽減することができるデバイス管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るデバイス管理システムは、設備内に配置される一または複数のデバイスと、各種の情報を前記デバイスに設定する設定ツールとを備えるデバイス管理システムであって、前記デバイスは、自デバイスに特有の情報であるデバイス情報を格納するデバイス情報格納部と、自デバイスの動作を定める前記パラメータに関するパラメータ情報を格納するパラメータ情報格納部と、前記デバイス情報および前記パラメータ情報の一部または全部を設定した前記設定ツールを特定するツール情報を格納する設定ツール情報格納部と、前記デバイス情報または前記パラメータ情報を前記設定ツールから受信した場合に、受信した前記デバイス情報を前記デバイス情報格納部に書き込む、または受信した前記パラメータ情報を前記パラメータ情報格納部に書き込むとともに、前記デバイス情報または前記パラメータ情報の送信元である前記設定ツールに対応する前記設定ツール情報を前記ツール情報格納部に書き込む情報書込部と、前記デバイス情報、前記パラメータ情報および前記設定ツール情報を送信するように要求する送信要求を前記設定ツールから受信した場合に、前記デバイス情報格納部に格納されている前記デバイス情報、前記パラメータ情報格納部に格納されている前記パラメータ情報および前記設定ツール情報格納部に格納されている前記設定ツール情報を前記設定ツールに送信する情報送信部と、を備え、前記設定ツールは、前記送信要求に応答した前記デバイスから、前記デバイス情報、前記パラメータ情報および前記設定ツール情報を受信する受信部と、前記デバイスの代替対象となる代替デバイスに対して、前記受信部により受信された前記デバイス情報および前記パラメータ情報に基づく設定情報を送信する送信部と、を備える。
【0009】
上記設定ツール情報格納部は、前記設定ツール情報のうち、前記デバイスの出荷時に設定された前記設定ツール情報を、他の前記設定ツール情報と区別して格納する、こととしてもよい。
【0010】
上記設定ツール情報格納部は、前記設定ツール情報の履歴を格納する、こととしてもよい。
【0011】
上記設定ツール情報格納部は、前記設定ツール情報の履歴のうち、同じ前記設定ツールに対応する前記設定ツール情報については、最新の前記設定ツール情報のみを格納する、こととしてもよい。
【0012】
上記デバイス情報、前記パラメータ情報および前記設定ツール情報を、前記デバイスごとに管理する管理装置を、さらに備える、こととしてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、デバイスの交換作業時における労力を軽減させるデバイス管理システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施形態におけるデバイス管理システムの構成を例示する図である。
図2図1に示すデバイスおよび設定ツールの機能構成を例示する図である。
図3図2に示すデバイス情報格納部のデータ構成を例示する図である。
図4図2に示すパラメータ情報格納部のデータ構成を例示する図である。
図5図2に示す設定ツール情報格納部のデータ構成を例示する図である。
図6】デバイス管理装置の情報格納部のデータ構成を例示する図である。
図7】新たなデバイスをデバイス管理システムに登録する際の動作を説明するためのシーケンスチャートである。
図8】デバイスを交換する際の動作を説明するためのシーケンスチャートである。
図9】デバイス管理装置の情報格納部のデータ構成を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明に係る実施形態について説明する。ただし、以下に説明する実施形態は、あくまでも例示であり、以下に明示しない種々の変形や技術の適用を排除するものではない。すなわち、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。
【0016】
図1は、本発明の実施形態におけるデバイス管理システムの概略構成を例示する図である。図1に示すように、デバイス管理システム1は、デバイス管理装置30と、入出力(IO)ユニット20と、デバイス10と、設定ツール40とを備える。
【0017】
デバイス管理装置30は、IOユニット20を介してデバイス10と通信する。デバイス管理装置30は、例示的に、デバイス10の設定状態およびデバイス10でのプロセスの実行状況等をチェックする機能や、デバイス10の保守/修理等を含む点検に必要な時期等を診断する機能を有する。
【0018】
デバイス10は、プラント等の設備内に配置される機器であり、例えば、HART(Highway Addressable Remote Transducer)通信機能を搭載する機器や、ファウンデーションフィールドバス(Foundation(登録商標) Fieldbus; FF)技術に対応する機器を用いることができる。また、複数のHART通信機能を搭載する機器とIOユニット20とを仲介する調節計を、デバイス10に含めることとしてもよい。
【0019】
デバイス10としては、例示的に、流量や圧力、温度等を検出する各種センサ機器、流量制御弁や圧力制御弁等の各種バルブを制御するバルブポジショナ、ポンプやファン等を動作させる各種アクチュエータ等が該当する。
【0020】
設定ツール40は、デバイス10に対して各種セットアップやチューニングを行う端末であり、後述するデバイス情報およびパラメータ情報をデバイス10に設定する。図2に示すように、設定ツール40は、機能的には、例えば、デバイス10との情報のやり取りを行う受信部41および送信部42と、パラメータの設定処理を実行する設定部43と、を有する。
【0021】
図2に示すように、デバイス10は、機能的には、例えば、情報書込部11と、情報送信部12と、を有する。情報格納部13は、上記各部が取り扱うデバイス情報、パラメータ情報および設定ツール情報を格納するデータベースである。このデータベースは、例えば、デバイス10の不揮発性メモリに記憶させることができる。
【0022】
図3を参照して、デバイス情報格納部131のデータ構成について説明する。デバイス情報格納部131は、自デバイスに特有の情報を格納するデータベースであり、データ項目として、例えば、形番項目、S/W Ver項目、H/W Ver項目、シリアルNo項目、社名項目および通信規格 Ver項目を有する。形番項目は、デバイス10の形式を特定する識別情報を格納する。S/WVer項目は、デバイス10にインストールされているソフトウェアのバージョンを格納する。H/W Ver項目は、デバイス10を構成するハードウェアのバージョンを格納する。シリアルNo項目は、デバイス10を特定するシリアルNoを格納する。社名項目は、デバイス10の製造会社名を格納する。通信規格 Ver項目は、デバイス10に適用される通信規格のバージョンを格納する。
【0023】
図4を参照して、パラメータ情報格納部132のデータ構成について説明する。パラメータ情報格納部132は、自デバイスの動作を定めるパラメータに関する情報を格納するデータベースであり、データ項目として、例えば、パラメータ名項目、設定内容項目、設定値項目および備考項目を有する。パラメータ名項目は、パラメータの名称を格納する。設定内容項目は、パラメータの設定内容を特定する情報を格納する。設定値項目は、パラメータの設定値を格納するが、最初にパラメータの値が設定されるまでは初期値を格納する。備考項目は、パラメータに関するメモ等を格納する。
【0024】
ここで、パラメータとしては、例示的に、入力信号の範囲を選択するパラメータ、制御機能を有するデバイスにおけるPIDパラメータ、異常時の動作を規定するためのパラメータ、通信速度を切り替えるためのパラメータ、デバイスの表示部に表示する内容を選択するパラメータ等がある。
【0025】
図5を参照して、設定ツール情報格納部133のデータ構成について説明する。設定ツール情報格納部133は、デバイス情報およびパラメータ情報の一部または全部を更新した設定ツール40を特定する情報を格納するデータベースであり、データ項目として、例えば、形番項目、S/W Ver項目、シリアルNo項目、社名項目および適合OS項目を有する。形番項目は、設定ツール40の形式を特定する識別情報を格納する。S/W Ver項目は、設定ツール40にインストールされているソフトウェアのバージョンを格納する。シリアルNo項目は、設定ツール40を特定するシリアルNoを格納する。社名項目は、設定ツール40の製作会社名を格納する。適合OS項目は、設定ツール40に適合するOSの種類を格納する。
【0026】
なお、設定ツール情報格納部133は、設定ツール情報のうち、デバイス10の出荷時に設定された設定ツール情報を、他の設定ツール情報と区別して格納することとしてもよい。これは、例えばトラブル対応の際に、工場出荷時にラインで使用した設定ツールを特定して原因を追究することがあり、この場合にシリアルNoだけでは、出荷時に使用した設定ツールまで把握することができないことを考慮したものである。出荷時に設定された設定ツール情報を判別可能に格納しておくことで、トラブル対応の際に有効となる。
【0027】
また、設定ツール情報格納部133は、デバイス情報およびパラメータ情報の一部または全部が更新されるごとに、設定ツール情報を追加することで、設定ツール情報の履歴を管理することとしてもよい。この場合、設定ツール情報格納部133は、設定ツール情報の履歴のうち、同じ設定ツール40に対応する設定ツール情報については、最新の設定ツール情報のみを格納することとしてもよい。
【0028】
また、本実施形態では、バージョンを管理する場合について説明するが、管理対象はこれに限定されず、リビジョン等、他の改訂番号にも同様に適用することができる。
【0029】
図2に示す情報書込部11は、設定ツール40で設定された設定情報を受信した場合に、設定情報を情報格納部13に書き込む。以下に、具体的に説明する。
【0030】
情報書込部11は、設定情報にデバイス情報が含まれている場合には、そのデバイス情報をデバイス情報格納部131に書き込む。情報書込部11は、設定情報にパラメータ情報が含まれている場合には、そのパラメータ情報をパラメータ情報格納部132に書き込む。情報書込部11は、設定情報の送信元である設定ツール40に対応する設定ツール情報を設定ツール情報格納部133に書き込む。
【0031】
情報送信部12は、デバイス情報、パラメータ情報および/または設定ツール情報を送信するように要求するための送信要求を設定ツール40またはデバイス管理装置30から受信した場合に、デバイス情報格納部131に格納されているデバイス情報、パラメータ情報格納部132に格納されているパラメータ情報および/または設定ツール情報格納部133に格納されている設定ツール情報を、設定ツール40またはデバイス管理装置30に送信する。
【0032】
図1に示すデバイス管理装置30は、デバイス情報、パラメータ情報および設定ツール情報を、デバイスNoごとに格納する情報格納部を備え、デバイスの設定情報を管理する。図6を参照して、情報格納部のデータ構成について説明する。情報格納部は、パラメータ情報に含まれるデバイスNoに対応付けて、デバイス情報、設定ツール情報およびパラメータ情報を格納するデータベースである。図6では、図面を見やすくするためにパラメータ情報の表示を省略している。
【0033】
次に、実施形態におけるデバイス管理システム1の動作について説明する。まず、図7を参照して、新たなデバイス10をデバイス管理システム1に登録する際の動作を説明する。この動作では、例示的に、図6に示すデバイスNoが“#01”のデバイスを登録する際の動作について説明する。つまり、デバイスの形番が“DEV100”でありソフトウェアのバージョンが“2.0”であるデバイス10に対して、設定ツールの形番が“TOOL001”でありソフトウェアのバージョンが“1.2”である設定ツール40を接続し、この設定ツール40からデバイス10にパラメータ情報を設定してデバイス管理システム1に登録する際の動作について説明する。
【0034】
この場合、デバイスには、バージョン“2.0”に対応するパラメータを設定することができるが、このデバイスでは、バージョン“1.2”よりも新しいバージョンに対応するパラメータを利用しないことが判明しているため、バージョン“1.2”に対応するツールで作業が可能であると判断され、以下の作業が行われることとする。
【0035】
最初に、設定ツール40は、デバイス10に接続し(ステップS101)、そのデバイス10に対し、デバイス情報を送信するように要求するための送信要求を送信する(ステップS102)。
【0036】
続いて、デバイス10の情報送信部12は、デバイス情報格納部131に格納されているデバイス情報を設定ツール40に送信する(ステップS103)。
【0037】
続いて、設定ツール40の設定部43は、ユーザの操作指示に従いながら、バージョン“1.2”に対応するパラメータの設定処理を実行する(ステップS104)。このパラメータの設定処理で、デバイス10のデバイスNoが“#01”と設定される。
【0038】
続いて、設定ツール40の送信部42は、上記ステップS104で設定したパラメータに対応するパラメータ情報および設定ツール40に対応する設定ツール情報を含む設定情報をデバイス10に送信する(ステップS105)。
【0039】
続いて、デバイス10の情報書込部11は、設定ツール40から受信した設定情報に含まれるパラメータ情報をパラメータ情報格納部132に格納する(ステップS106)とともに、設定情報に含まれる設定ツール情報を設定ツール情報格納部133に格納する(ステップS107)。この場合、デバイス10のパラメータのうち、バージョン“1.2”よりも新しいバージョンで追加されたパラメータの設定値は初期値のままとなる。
【0040】
続いて、設定ツール40は、デバイス10との接続を切断する(ステップS108)。
【0041】
その後、デバイス10がデバイス管理システム1に組み込まれ、IOユニット20と接続する(ステップS109)。
【0042】
続いて、デバイス10の情報送信部12は、デバイス情報格納部131に格納されているデバイス情報、パラメータ情報格納部132に格納されているパラメータ情報格納部132および設定ツール情報格納部133に格納されている設定ツール情報を、デバイス管理装置30に送信する(ステップS110)。
【0043】
続いて、デバイス管理装置30は、デバイス10から受信したデバイス情報、パラメータ情報および設定ツール情報を情報格納部に格納する(ステップS111)。これにより、図6に例示するように、デバイスNo“#01”に対応付けて、デバイス10のデバイス情報およびツール情報等が、デバイス管理装置30の情報格納部に格納される。
【0044】
次に、図8を参照して、デバイス10を交換する際の動作を説明する。この動作では、例示的に、図6に示すデバイスNoが“#01”のデバイスを、図9に示すデバイスNoが“#01”のデバイスに交換する際の動作について説明する。つまり、形番が“DEV100”でありソフトウェアのバージョンが“2.0”であるデバイス10を、形番が“DEV500”でありソフトウェアのバージョンが“5.0”であるデバイス10に交換する際の動作について説明する。
【0045】
図6に例示するように、デバイスNoが“#01”であるデバイスは、設定ツールの形番が“TOOL001”でありソフトウェアのバージョンが“1.2”である設定ツール40によってパラメータが設定されている。また、交換作業時に使用する設定ツール40は、形番が“TOOL500”でありソフトウェアのバージョンが“5.0”であることとする。
【0046】
最初に、設定ツール40は、交換前のデバイス10に接続し(ステップS201)、その交換前のデバイス10に対し、デバイス情報、パラメータ情報および設定ツール情報を送信するように要求するための送信要求を送信する(ステップS202)。
【0047】
続いて、交換前のデバイス10の情報送信部12は、デバイス情報格納部131に格納されているデバイス情報、パラメータ情報格納部132に格納されているパラメータ情報格納部132および設定ツール情報格納部133に格納されている設定ツール情報を設定ツール40に送信する(ステップS203)。
【0048】
その後、設定ツール40の接続先となるデバイスを、交換前のデバイス10から、代替対象の代替デバイス10に切り換える(ステップS204)。
【0049】
続いて、設定ツール40の設定部43は、交換前のデバイス10から受信したデバイス情報、パラメータ情報および設定ツール情報を用いて、バージョン“2.0”に対応するパラメータの設定処理を実行するとともに、ユーザの操作指示に従って、バージョン“5.0”に対応する残りのパラメータの設定処理を実行する(ステップS205)。
【0050】
この場合、バージョン“2.0”に対応するパラメータのうち、バージョン“1.2”よりも新しいバージョンで追加されたパラメータの設定値は初期値のまま引き継がれることとなる。ただし、それらのパラメータを含む全てのパラメータは、バージョン“5.0”に対応する設定ツール40で適宜変更することができる。
【0051】
続いて、設定ツール40の送信部42は、上記ステップS205で設定されたパラメータに対応するパラメータ情報および設定ツール40に対応する設定ツール情報を含む設定情報を代替デバイス10に送信する(ステップS206)。これにより、交換前のデバイス10から受信したデバイス情報およびパラメータ情報に基づく設定情報が、代替デバイス10に送信されることとなる。
【0052】
続いて、代替デバイス10の情報書込部11は、設定ツール40から受信したパラメータ情報をパラメータ情報格納部132に格納する(ステップS207)とともに、受信した設定ツール情報を設定ツール情報格納部133に格納する(ステップS208)。
【0053】
続いて、設定ツール40は、代替デバイス10との接続を切断する(ステップS209)。
【0054】
その後、代替デバイス10がデバイス管理システム1に組み込まれ、IOユニット20と接続する(ステップS210)。
【0055】
続いて、代替デバイス10の情報送信部12は、デバイス情報格納部131に格納されているデバイス情報、パラメータ情報格納部132に格納されているパラメータ情報格納部132および設定ツール情報格納部133に格納されている設定ツール情報を、デバイス管理装置30に送信する(ステップS211)。
【0056】
続いて、デバイス管理装置30は、代替デバイス10から受信したデバイス情報、パラメータ情報および設定ツール情報を情報格納部に格納する(ステップS212)。
【0057】
この結果、図6に例示するデバイスNo“#01”に対応するデバイス情報および設定ツール情報等が、図9例示するデバイスNo“#01”に対応するデバイス情報および設定ツール情報等に更新される。
【0058】
上述してきたように、実施形態におけるデバイス管理システム1によれば、デバイス10が情報書込部11を有することで、デバイス情報またはパラメータ情報を設定ツール40から受信した場合に、デバイス情報をデバイス情報格納部131に書き込み、パラメータ情報をパラメータ情報格納部132に書き込むとともに、デバイス情報またはパラメータ情報の送信元である設定ツール40に対応する設定ツール情報をツール情報格納部133に書き込むことができる。また、デバイス10が情報送信部12を有することで、デバイス情報、パラメータ情報および設定ツール情報を送信するように要求する送信要求を設定ツール40から受信した場合に、デバイス情報格納部131に格納されているデバイス情報、パラメータ情報格納部132に格納されているパラメータ情報および設定ツール情報格納部133に格納されている設定ツール情報を設定ツール40に送信することができる。
【0059】
さらに、設定ツール40が受信部41を有することで、送信要求に応答したデバイス10から、デバイス情報、パラメータ情報および設定ツール情報を受信することができ、設定ツール40が送信部42を有することで、代替デバイス10に対して、受信部41により受信されたデバイス情報およびパラメータ情報に基づく設定情報を送信することができる。
【0060】
これにより、設定ツール40でデバイス情報やパラメータ情報を設定した場合に、そのデバイス情報やパラメータ情報を設定した設定ツール40に関する設定ツール情報をデバイス10に書き込むことができ、設定ツール40がデバイス10からデバイス情報およびパラメータ情報を取得する際に、その設定ツール情報も取得することができるようになる。
【0061】
したがって、その取得した設定ツール情報を参照することで、設定項目の中に、出荷時設定値や初期値と同じ値が設定されている項目が存在しても、その項目に対する設定者の意図を容易に判断することが可能となる。
【0062】
つまり、その項目が、設定ツール情報に対応する設定ツール40によって書き込み可能な項目であれば、ユーザが意図的に出荷時設定値や初期値と同じ値に設定したと判断することができる。一方、その項目が、設定ツール情報に対応する設定ツール40によって書き込み不能な項目であれば、デバイス10と設定ツール40とのバージョンが不一致であったため、出荷時設定値や初期値のままになっていると判断することができる。
【0063】
また、実施形態におけるデバイス管理システム1によれば、交換前のデバイス10の各設定項目に対する設定者の意図を確認したうえで、交換前のデバイス10に設定されていたデバイス情報およびパラメータ情報に基づく設定情報を代替デバイス10に送信することができる。
【0064】
それゆえ、実施形態におけるデバイス管理システム1によれば、デバイス10の交換作業時における労力を軽減させることが可能となる。
【符号の説明】
【0065】
1…デバイス管理システム
10…デバイス
11…情報書込部
12…情報送信部
13…情報格納部
20…IOユニット
30…デバイス管理装置
40…設定ツール
131…デバイス情報格納部
132…パラメータ情報格納部
133…設定ツール情報格納部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9