(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
フレーム部に設置された掘削手段により地中に掘削坑を形成しながら前記フレーム部を推進させるシールド掘進機において前記フレーム部の後方に向けて押し出されたセグメント組立体の外面と前記掘削坑との隙間に、裏込材貯留槽から裏込材を注入する裏込材注入手段に設けられた注入配管の洗浄装置であって、
前記注入配管に注入される洗浄水が導入される導入口および当該洗浄水を前記注入配管に向けて吐出する吐出口を備え、洗浄水が流れる洗浄水流路部と、
洗浄水流路部上に設置され、洗浄水に糖分を加える加糖剤が収容された加糖剤収容部と、
を有し、
前記加糖剤は氷砂糖である、
ことを特徴とする注入配管の洗浄装置。
フレーム部に設置された掘削手段により地中に掘削坑を形成しながら前記フレーム部を推進させるシールド掘進機において前記フレーム部の後方に向けて押し出されたセグメント組立体の外面と前記掘削坑の内面との隙間に、裏込材貯留槽から裏込材を注入する裏込材注入手段に設けられた注入配管の洗浄方法であって、
裏込材を注入して前記セグメント組立体および前記裏込材貯留槽との接続が解除された前記注入配管に対して、氷砂糖によって糖分の加えられた洗浄水を当該注入配管の一方端から注入し、
前記注入配管の他方端から排出された当該洗浄水を回収して排水管から排水する、
ことを特徴とする注入配管の洗浄方法。
【背景技術】
【0002】
トンネルや地下鉄などを建設において地盤を掘削して掘削坑を形成するために使用される装置として、シールド掘進機が知られている。
【0003】
このシールド掘進機はシールドフレーム(フレーム部)の進行方向先端にカッタヘッド(掘削手段)が回転可能に設けられており、当該カッタヘッドを掘削面に押し付けて回転させながら進むことにより、地盤を円形に掘削していく。
【0004】
このときシールド掘進機の機内ではセグメントが筒状のセグメント組立体に組み立てられ、シールド掘進機の掘進に合わせてシールドフレームの後方に押し出される。
【0005】
ここで、セグメント組立体の外面と掘削坑の内面との隙間を埋めることにより、掘削後の地盤の変形を防止してセグメント組立体の安定化を図るために、裏込材注入装置を用い、注入配管を介して裏込材貯留槽から裏込材を注入している。裏込材は硬化材と硬化材を凝結させるための凝結材とで構成されており、先に隙間に硬化材を注入配管を介して充填しておいてから凝結材を別の注入配管を介して注入すると、凝結材が硬化材と混ざり合って硬化が開始される。
【0006】
ここで、シールド掘進機における裏込材の注入に関する技術としては、例えば特開2004−244483号公報に記載されたものがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
さて、セグメント組立体の外面と掘削坑の内面との隙間に裏込材を注入した後は、注入配管をセグメント組立体および裏込材貯留槽から取り外し、一方端から洗浄水を注入して洗浄が行われる。そして、注入配管の他方端から排出された洗浄水は、排水装置で負圧吸引して回収して排水管から機外に排水される。
【0009】
とりわけ、硬化材を注入した方の注入配管は、硬化材が固結して詰まってしまうことを防止するために、一日の作業が終了する毎に洗浄を行う必要がある。
【0010】
このとき、排水装置の排水管に硬化材等の裏込材を含んだ洗浄水が残留していると、当該裏込材が固化して排水管が閉塞してしまう。
【0011】
本発明は、上述の技術的背景からなされたものであって、注入配管を洗浄した洗浄水に含まれた裏込材の固化速度を抑制できる洗浄装置および洗浄方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の本発明の注入配管の洗浄装置は、フレーム部に設置された掘削手段により地中に掘削坑を形成しながら前記フレーム部を推進させるシールド掘進機において前記フレーム部の後方に向けて押し出されたセグメント組立体の外面と前記掘削坑との隙間に、裏込材貯留槽から裏込材を注入する裏込材注入手段に設けられた注入配管の洗浄装置であって、前記注入配管に注入される洗浄水が導入される導入口および当該洗浄水を前記注入配管に向けて吐出する吐出口を備え、洗浄水が流れる洗浄水流路部と、洗浄水流路部上に設置され、洗浄水に糖分を加える加糖剤が収容された加糖剤収容部と、を有
し、前記加糖剤は氷砂糖である、ことを特徴とする。
【0013】
請求項2に記載の発明は、上記請求項1に記載の発明において、
前記洗浄水流路部は、洗浄水が前記加糖剤収容部を通る第1の流路部、および洗浄水が前記加糖剤収容部を通らない第2の流路部を備え、洗浄水の通過ルートを、前記第1の流路部と前記第2の流路部との何れかに切り替える切替手段を有する、ことを特徴とする。
【0014】
請求項3に記載の本発明の
注入配管の洗浄装置は、フレーム部に設置された掘削手段により地中に掘削坑を形成しながら前記フレーム部を推進させるシールド掘進機において前記フレーム部の後方に向けて押し出されたセグメント組立体の外面と前記掘削坑との隙間に、裏込材貯留槽から裏込材を注入する裏込材注入手段に設けられた注入配管の洗浄装置であって、前記注入配管に注入される洗浄水が導入される導入口および当該洗浄水を前記注入配管に向けて吐出する吐出口を備え、洗浄水が流れる洗浄水流路部と、洗浄水流路部上に設置され、洗浄水に糖分を加える加糖剤が収容された加糖剤収容部と、を有し、前記洗浄水流路部は、洗浄水が前記加糖剤収容部を通る第1の流路部、および洗浄水が前記加糖剤収容部を通らない第2の流路部を備え、洗浄水の通過ルートを、前記第1の流路部と前記第2の流路部との何れかに切り替える切替手段を有する、ことを特徴とする。
【0015】
上記課題を解決するため、請求項4に記載の本発明の注入配管の洗浄方法は、フレーム部に設置された掘削手段により地中に掘削坑を形成しながら前記フレーム部を推進させるシールド掘進機において前記フレーム部の後方に向けて押し出されたセグメント組立体の外面と前記掘削坑の内面との隙間に、裏込材貯留槽から裏込材を注入する裏込材注入手段に設けられた注入配管の洗浄方法であって、裏込材を注入して前記セグメント組立体および前記裏込材貯留槽との接続が解除された前記注入配管に対して、
氷砂糖によって糖分の加えられた洗浄水を当該注入配管の一方端から注入し、前記注入配管の他方端から排出された
当該洗浄水を回収して排水管から排水する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、洗浄水に含まれる砂糖により、注入配管を洗浄した洗浄水に含まれた裏込材の固化速度を抑制することが可能になる。これにより、注入配管から排出された洗浄水を排水装置で回収して排水管から排水するようにしても、排水管に裏込材を含んだ洗浄水が残留し、当該裏込材が固化して排水管が閉塞してしまうことがなくなる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一例としての実施の形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための図面において、同一の構成要素には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0019】
まず、本実施の形態の洗浄装置で洗浄される注入配管を備えた裏込材注入装置と裏込材を注入するシールド掘進機の一例について
図1を参照しながら説明する。ここで、
図1は本実施の形態における洗浄装置で洗浄される注入配管を備えた裏込材注入装置と裏込材を注入するシールド掘進機の内部を側面から透かして見せた要部構成図である。
【0020】
図1に示すシールド掘進機1は、例えば、カッタヘッド(掘削手段)2とシールドフレーム(フレーム部)3との間のチャンバ4内に泥土を充填した状態で掘進することにより泥土圧を発生させ、その泥土圧を切羽の土圧に対抗させた状態で掘進を行う泥土圧シールド掘進機である。このシールド掘進機1により構築されるトンネルは、特に限定されるものではないが、例えば、上水用トンネル、下水用トンネルまたはケーブル用トンネルのようなトンネルである。
【0021】
シールド掘進機1のシールドフレーム3の前面には、例えば、スポーク型の円盤状のカッタヘッド2がシールドフレーム3の周方向に沿って正逆方向に回転可能な状態で設置されている。カッタヘッド2の前面(切羽に対向する面)には、地盤の切羽を掘削するための複数のビット(図示せず)が設置されている。
【0022】
一方、シールド掘進機1を構成するシールドフレーム3は、前胴フレーム(前胴部)3aと、その後方の後胴フレーム(後胴部)3bと、その後方のテールシール3cとを備えている。
【0023】
前胴フレーム3aおよび後胴フレーム3bは、例えば円筒状の鋼製板により形成されており、シールドフレーム3の外形を形成するとともに、シールドフレーム3の内部に中空空間を形成する構成部である。前胴フレーム3aと後胴フレーム3bとは、前胴フレーム3aの後端側において後胴フレーム3bの先端の球面軸受部が前胴フレーム3aの内周面に接した状態で入り込むことで係合されている。
【0024】
テールシール3cは、掘進作業中にシールドフレーム3の後部からシールドフレーム3内に地下水等が入り込むのを防止する封止部材であり、後胴フレーム3bの後端部に後胴フレーム3bの内周に沿って枠状に設置されている。
【0025】
前胴フレーム3aの前面側において、その前面からシールドフレーム3の内方に後退した位置には、シールドフレーム3内の中空空間を切羽側と機内側とに分ける隔壁7が設置されている。
【0026】
シールド掘進機1において隔壁7よりも機内側には、カッタ駆動体8、中折れジャッキ9a、シールドジャッキ9b、スクリューコンベア10およびエレクタ12等が設置されている。
【0027】
カッタ駆動体8は、カッタヘッド2を正逆方向に回転させるモータである。中折れジャッキ9aは、前胴フレーム3aと後胴フレーム3bとを連結するとともに、シールド掘進機1の推進方向や姿勢を修正する機器である。シールドジャッキ9bは、シールドフレーム3の後方に設置されたセグメント組立体SGに反力をとってシールド掘進機1を前進させるための推進力を発生させる機器である。スクリューコンベア10は、チャンバ4内に取り込まれた土砂を機外に排出するための機器である。そして、エレクタ12は、セグメントを組み立ててなる筒状のセグメント組立体SGを把持して掘削坑の内周方向に旋回し、掘削坑の内周方向の組立位置に移送する組立装置である。
【0028】
なお、筒状のセグメント組立体SGには、当該セグメント組立体SGと掘削坑EHとの間に裏込材BG(
図2)を注入するための注入孔Hが、周方向に沿って複数箇所に形成されている。
【0029】
次に、
図1に示すシールド掘進機1によるシールド工法の一例について
図2を参照して説明する。なお、
図2は掘削工程中のシールド掘進機の要部を側面側から見た概略図である。
【0030】
図2(a)は地盤GDに掘削坑EHを掘削中のシールド掘進機1を示している。シールド掘進機1により地盤GDに掘られた掘削坑EHの後方には複数個のセグメント組立体SGが組み付けられている。また、セグメント組立体SGと掘削坑EHとの間には裏込材BGが注入され、掘削後の地盤の変形を防止してセグメント組立体SGの安定化が図られている。
【0031】
そして、
図2(b)に示すように、チャンバ4内に泥土MDを注入して泥土圧を発生させ、その泥土圧を切羽の土圧に対抗させて切羽の安定を図りながらシールド掘進機1のカッタヘッド2を切羽に押し当て回転させることにより地盤GDを掘削するとともに、シールド掘進機1のシールドジャッキ9bを伸ばすことによりシールド掘進機1を矢印A2に示すように前に進める。なお、図面を見易くするため泥土MDにハッチングを付した。
【0032】
ここで、前述した裏込材BGはシールド掘進機1が掘削しているときに注入される。すなわち、
図1において、シールド掘進機1の掘削が進んでセグメント組立体SGがセグメント組立体SGが掘削坑EHに解放されたとき、裏込材注入装置(裏込材注入手段)11によってセグメント組立体SGと掘削坑EHとの間に裏込材BGが注入される。
【0033】
本実施の形態において、裏込材BGは、主材となる細骨材を含むモルタル等の硬化材と、硬化材の硬化を促進するための凝結材の2液で構成されている。そして、裏込材BGを注入するための裏込材注入装置11は、硬化材が貯留された硬化材貯留タンク(裏込材貯留槽)11aと、凝結材が貯留された凝結材貯留タンク(裏込材貯留槽)11bと、硬化材貯留タンク11aの硬化材をセグメント組立体SGと掘削坑EHとの間に注入するための硬化材注入管(注入配管)11cと、凝結材貯留タンク11bの凝結材をセグメント組立体SGと掘削坑EHとの間に注入するための凝結材注入管(注入配管)11dとを備えている。また、硬化材注入管11c上および凝結材注入管11dには、注入に際して硬化材および凝結材を圧送するための圧送ポンプ11e,11fがそれぞれ設置されている。
【0034】
このような裏込材注入装置11では、先ず圧送ポンプ11eにより硬化材貯留タンク11a内の硬化材を硬化材注入管11cを介して注入孔Hからセグメント組立体SGと掘削坑EHとの間に注入する。次に、圧送ポンプ11fにより凝結材貯留タンク11b内の凝結材を凝結材注入管11dを介して注入孔Hからセグメント組立体SGと掘削坑EHとの間に注入すると、凝結材が既に注入された硬化材と接触することになり、硬化材は硬化を開始して急速に凝結する。
【0035】
本実施の形態の裏込材注入装置11において、特に硬化材が流れる硬化材注入管11cでは、所定のタイミングで洗浄を行わないと、裏込材が内壁面に付着凝着して内径が狭められ、注入動作を阻害する要因になる。そこで、例えば一日の作業が終了した後などのように注入の休止時間が長くなるときには、注入配管11c,11dの洗浄作業を行う必要がある。
【0036】
さて、洗浄作業では、硬化材貯留タンク11aと硬化材注入管11cの接続ならびに凝結材貯留タンク11bと凝結材注入管11dとの接続を解除し、さらにセグメント組立体SG(の注入孔H)と硬化材注入管11cの接続ならびにセグメント組立体SG(の注入孔H)と凝結材注入管11dとの接続を解除する。そして、シールド掘進機1の機内に引き込まれている洗浄水供給配管30(
図3)を硬化材注入管11cおよび凝結材注入管11dの一方端と順次接続して洗浄水を送り込んで他方端から排出することにより、管内に残留している裏込材(硬化材・凝結材)を洗い流す。
【0037】
硬化材注入管11cおよび凝結材注入管11dの他方端から排出された洗浄水は、排水装置(図示せず)で負圧吸引して回収され、排水管から機外に排水される。このとき、排水装置の排水管に裏込材を含んだ洗浄水、特に硬化材を含んだ洗浄水が残留していると、当該裏込材が固化して排水管が閉塞してしまう。
【0038】
そこで、本実施の形態では、洗浄水供給配管30から供給される洗浄水で直接硬化材注入管11cを洗浄するのではなく、洗浄水供給配管30と硬化材注入管11cとの間に
図3に示す洗浄装置(注入配管の洗浄装置)20を配して洗浄を行うようにしている。
【0039】
ここで、本実施の形態の洗浄装置20について、
図3を用いて説明する。
図3は、本実施の形態における裏込材注入装置の注入配管を洗浄する洗浄装置を示す概念図である。
【0040】
図示するように、洗浄装置20は、硬化材注入管11cに注入される洗浄水供給配管30からの洗浄水が流れる洗浄水流路部21を備えており、洗浄水流路部21の洗浄水供給配管30側が洗浄水が導入される導入口22、硬化材注入管11c側が当該洗浄水を硬化材注入管11cに向けて吐出する吐出口23となっている。
【0041】
そして、洗浄水流路部21上には、洗浄水に糖分を加える氷砂糖(加糖剤)24が収容された収容容器(加糖剤収容部)25が設置されている。なお、氷砂糖とは、純度の高いショ糖の結晶であり、半透明で、塊状・板状または柱状の形状を呈しているものである。
【0042】
ここで、洗浄水流路部21は、洗浄水が収容容器25を通る第1の流路部21a、および洗浄水が収容容器25を通らない第2の流路部21bの2つの洗浄水通過ルートを形成している。また、第1の流路部21aにおける収容容器25の上流側および下流側、ならびに第2の流路部21bには、当該部位の流路を開閉して洗浄水の通過ルートを第1の流路部21aと第2の流路部21bとの何れかに切り替えるためのバルブ26a,26b,26cがそれぞれ設置されている。
【0043】
したがって、バルブ26a,26bを開いてバルブ26cを閉じれば第1の流路部21aが選択され、導入口22から導入された洗浄水は収容容器25内を通って吐出口23へと至る。したがって、洗浄水には収容容器25内で所定量の氷砂糖が溶け出し、糖分の混合された洗浄水(以下、「混合水」という。)が生成される。
【0044】
また、バルブ26a,26bを閉じてバルブ26cを開けば第2の流路部21bが選択され、導入口22から導入された洗浄水は収容容器25を通ることなく直接吐出口23へと至る。つまり、この経路では混合水は生成されない。
【0045】
そこで、硬化材注入管11cを洗浄する場合には、バルブ26a,26b,26cを操作して第1の流路部21aを選択して混合水を生成し、当該混合水を硬化材注入管11cの一方端から注入して洗浄を行うようにする。そして、硬化材注入管11cの他方端から排出された混合水を排水装置で回収して排水管から排水する。
【0046】
ここで、本実施の形態のように加糖剤として氷砂糖を適用した場合には、例えば硬化材注入管11c内に残留した約20Lの硬化材を洗浄するために洗浄水約100Lを使用するとすると、洗浄水約100Lを通水したときに約1kgが洗浄水中に溶解するので、濃度1%の混合水が安定的に得られることになる。
【0047】
そして、本発明者により、このような濃度1%の混合水と硬化材とを混合すると、1週間程度はホモゲル状態が保持される、つまり硬化材が固化しないことが確認された。
【0048】
したがって、濃度1%の混合水で硬化材注入管11cを洗浄すれば、混合水(洗浄水)に含まれた硬化材の固化速度が抑制される。これにより、硬化材注入管11cから排出された混合水を排水装置で回収して排水管から排水するようにしても、排水管に硬化材を含んだ洗浄水が残留し、当該硬化材が固化して排水管が閉塞してしまうことがなくなる。
【0049】
また、氷砂糖は食品であるので、洗浄水に含まれる硬化材の固化速度の抑制を、危険性がなく容易な取り扱いのもとで実現することができる。
【0050】
さらに、氷砂糖は比較的安価であり、シールド施工期間中使用した際の氷砂糖にかかる費用も僅かであるため、洗浄水に含まれる硬化材の固化速度の抑制を、低コストで実現することができる。
【0051】
ここで、加糖剤としては本実施の形態に示す氷砂糖に限定されるものではなく、洗浄水に溶け出して混合水を作り出すことのできる様々な種類の砂糖類を適用することができる。但し、洗浄水を通水したときに、濃度1%以上の混合水が安定的に得られるような速度で溶解する種類の砂糖を加糖剤として適用することが望ましい。
【0052】
したがって、通水開始直後では濃度1%以上の混合水が得られるが、洗浄に必要な量の洗浄水を通水している途中で溶解して消滅してしまい、その後は洗浄水中から糖分がなくなるような加糖剤は適さない。
【0053】
なお、凝結材注入管11dを洗浄する場合には、バルブ26a,26b,26cを操作して第2の流路部21bを選択し、氷砂糖の溶け出していないそのままの洗浄水で洗浄を行うようにする。あるいは、本実施の形態の洗浄装置20を介すことなく、洗浄水供給配管30と凝結材注入管11dとを直接接続して洗浄を行うようにする。但し、第1の流路部21aを選択して、混合水で洗浄してもかまわない。
【0054】
以上本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本明細書で開示された実施の形態はすべての点で例示であって、開示された技術に限定されるものではないと考えるべきである。すなわち、本発明の技術的な範囲は、前記の実施の形態における説明に基づいて制限的に解釈されるものでなく、あくまでも特許請求の範囲の記載に従って解釈されるべきであり、特許請求の範囲の記載技術と均等な技術および特許請求の範囲の要旨を逸脱しない限りにおけるすべての変更が含まれる。
【0055】
たとえば、本実施の形態では、注入配管の一例である硬化材注入管11cを洗浄装置20で洗浄する場合について説明したが、洗浄される注入配管は硬化材が注入される配管に限定されるものではなく、様々な裏込材が注入される配管の洗浄に適用することができる。