特許第6207461号(P6207461)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6207461
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】超高層用エレベーターの巻上機揚重方法
(51)【国際特許分類】
   B66B 7/00 20060101AFI20170925BHJP
【FI】
   B66B7/00 G
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-107104(P2014-107104)
(22)【出願日】2014年5月23日
(65)【公開番号】特開2015-221713(P2015-221713A)
(43)【公開日】2015年12月10日
【審査請求日】2016年6月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000232955
【氏名又は名称】株式会社日立ビルシステム
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】特許業務法人 武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】武富 宏義
【審査官】 岡崎 克彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−045348(JP,A)
【文献】 特開平07−076473(JP,A)
【文献】 特開平03−264482(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 7/00− 7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超高層用エレベーターに使用されるエレベーター巻上機をかご昇降路の最上階機械室に揚重する揚重方法において、
超高層用建物の最上階乗場に揚重ウィンチを設置する工程と、
前記揚重ウィンチから引き出され又は巻き取られる減速ロープを、前記かご昇降路内の側面に設置された方向転換金車を介して、揚重梁に吊り下げられた定滑車と前記エレベーター巻上機と連動して昇降する動滑車との間で巻き回して減速ローピングを形成する工程と、
前記動滑車と揚重すべき前記エレベーター巻上機とを長さ方向に分割可能な懸垂ロープで連結する工程と、
前記揚重ウィンチを駆動させて前記動滑車と前記懸垂ロープによって前記エレベーター巻上機をエレベーターホール1階から中間階まで揚重する工程と、
前記中間階に支持機構部を設けて当該支持機構部上に前記エレベーター巻上機を仮置きする工程と、
前記仮置きの状態で前記分割可能な懸垂ロープの内で下側の第1の懸垂ロープを取り外して前記第1の懸垂ロープよりも上側の第2の懸垂ロープを前記エレベーター巻上機に連結する工程と、
再度前記揚重ウィンチを駆動させて前記エレベーター巻上機を前記機械室まで揚重する工程と、
を備えたことを特徴とする超高層用エレベーターの巻上機揚重方法。
【請求項2】
請求項1において、
牽引力とロープ巻き取り量の規定された前記揚重ウィンチを使用するに際して、前記牽引力の不足に対して前記減速ローピングで対応し、当該減速ローピングに伴って前記ロープ巻き取り量による揚程不足に対して前記分割された懸垂ロープを直列接続して対応することを特徴とする超高層用エレベーターの巻上機揚重方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超高層建物において、揚重能力の小さな廉価な汎用揚重機を使用して、エレベーター巻上機のような重量物を高高位置まで揚重する揚重方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年建築物の超高層化に伴いエレベーターの超高速化・大型化が進んでおり、これに比例してエレベーターを駆動する巻上機も超大型化・超重量化してきている傾向がある。特に、国外では100階建て以上の建物が数多く建設計画されこの傾向が顕著である。
【0003】
このような超高層建築物に設置するエレベーターの巻上機は最上階の機械室に設置する必要があるため、超重量物の巻上機を如何にして最上階機械室まで揚重するかが大きな課題となっている。
【0004】
もっとも、揚重能力の大きい建築用タワークレーンを使用することが可能であれば、このタワークレーンで、巻上機を揚重できるが、特に国外ではタワークレーンの能力が低い場合や、タワークレーン設置時期に工期が合致せずにタワークレーンを使用した巻上機の揚重ができない場合が多い。
【0005】
さらに国内でも、既設ビルの超高層エレベーターの入れ替え工事などでは、タワークレーンが設置できないため、タワークレーンによる揚重は不可能であった。
【0006】
ここで、一般的なエレベーターの巻上機の揚重方法に関する従来技術としては、例えば特許文献1によれば、ウィンチからのウィンチロープを滑車を介して巻き回し、このウィンチロープを巻上機に装着した玉掛けワイヤに係合させ、ウィンチを駆動させることで、昇降路頂部の機械室へ向けて巻上機を揚重する方法が提案されている。
【0007】
また、重量物を揚重する従来技術として、例えば特許文献2によれば、揚重能力を増加させるため、一定位置に吊持される定滑車と、揚重すべき重量物と同期して昇降する動滑車とを設けて、2対1ローピングとして揚重する方法が従来から提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平08−165073号公報
【特許文献2】特開200 3−247355号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
一般に市販されている汎用揚重機(ウィンチ)は、牽引ロープを巻き取る巻き取りドラムの大きさに限界があり、巻き取りドラムの径を大きくすれば巻き取れるロープの長さ(揚程)は大きくなるが、牽引力は減少する。この揚程と牽引力の双方を満たすためには、ウィンチ本体も大型になり重量も増してしまう。
【0010】
一般市販されている汎用ウィンチの能力は牽引力2〜5ton、ロープの巻き取り量(揚程)は200mが限度である。この能力では、1:1ローピングで5tonのエレベーター巻上機を揚程200m、又は2:1ローピングで10tonの巻上機を揚程100m(25〜30階程度の建物高さ)までしか揚重することができない。
【0011】
従って、上記の汎用ウィンチを使用した場合、上記の特許文献lの揚重方法では、10〜20階建ての中・高層用エレベーターの巻上機を揚重可能であるが、50〜100階建て又はそれ以上の超高層用エレベータでは、ウィンチ能力(揚程と牽引力)が不足し、適用することができない。
【0012】
さらに、上記の特許文献2に開示された2対1ローピングとする揚重方法でも、汎用ウインチでは揚重高さ(揚程)に対応できないという不都合が生じていた。
【0013】
本発明の目的は、上記不都合を鑑みてなされたものであり、50〜100階建て或いはそれ以上の超高層エレベーターにおいて、重量物であるエレベーター巻上機を、比較的能力の小さい汎用揚重機を使用して高高所の建物頂部の機械室へ揚重可能とする揚重方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は上記目的を達成するため、超高層用エレベーターに使用されるエレベーター巻上機をかご昇降路の最上階機械室に揚重する揚重方法において、超高層用建物の最上階乗場に揚重ウィンチを設置する工程と、前記揚重ウィンチから引き出され又は巻き取られる減速ロープを、前記かご昇降路内の側面に設置された方向転換金車を介して、揚重梁に吊り下げられた定滑車と前記エレベーター巻上機と連動して昇降する動滑車との間で巻き回して減速ローピングを形成する工程と、前記動滑車と揚重すべき前記エレベーター巻上機とを長さ方向に分割可能な懸垂ロープで連結する工程と、前記揚重ウィンチを駆動させて前記動滑車と前記懸垂ロープによって前記エレベーター巻上機をエレベーターホール1階から中間階まで揚重する工程と、前記中間階に支持機構部を設けて当該支持機構部上に前記エレベーター巻上機を仮置きする工程と、前記仮置きの状態で前記分割可能な懸垂ロープの内で下側の第1の懸垂ロープを取り外して前記第1の懸垂ロープよりも上側の第2の懸垂ロープを前記エレベーター巻上機に連結する工程と、再度前記揚重ウィンチを駆動させて前記エレベーター巻上機を前記機械室まで揚重する工程と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、高価な大型揚重機(ウィンチ)を使用せず、また建物の特別な補強も要せず、廉価で比較的小能力の汎用揚重機によって、超高層建築物の高所まで重量物を揚重することができる。
【0016】
さらに、懸垂ロープの揚重段数を増やせば500m又は800mの超超高層建物でも特殊揚重機を使用することなく、また建物の補強をすることなく、超重量物であるエレベーター巻上機を高高所の機械室まで揚重することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態に係る超高層用エレベーター用の巻上機揚重方法に関する概念を示す構成図である。
図2】本実施形態に係る巻上機揚重方法における重量貨物(エレベーター巻上機)の揚重方法の概要を図解する構成図である。
図3】本実施形態に係る巻上機揚重方法に関する揚程の1/3揚重時の中間階1における重量貨物とその仮置き構台との関連構成を示す図である。
図4】本実施形態に係る巻上機揚重方法に関する揚程の1/3揚重時の中間階1における重量貨物の仮置き構台の設置構成を示す図である。
図5】本実施形態に係る巻上機揚重方法に関する揚程の2/3揚重時の開始における懸垂ロープの掛け方の構成を示す図である。
図6】本実施形態に係る巻上機揚重方法に関する揚程の2/3揚重時の中間階2における重量貨物の配置構成を示す図である。
図7】本実施形態に係る巻上機揚重方法に関する揚程の2/3揚重時の中間階2における重量貨物の仮置きの構成を示す図である。
図8】本実施形態に係る巻上機揚重方法に関する揚程の2/3揚重時の揚重終了における懸垂ロープの掛け方の構成を示す図である。
図9】本実施形態に係る巻上機揚重方法に関する重量貨物(エレベーター巻上機)の最上階機械室への設置完了を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施形態に係る超高層用エレベーター用の巻上機揚重方法について、まず、巻上機の揚重の構成概念と揚重方法の概要を図1図2を参照しながら説明する。図1は本発明の実施形態に係る超高層用エレベーター用の巻上機揚重方法に関する概念を示す構成図であり、図2は本実施形態に係る巻上機揚重方法における重量貨物(エレベーター巻上機)の揚重方法の概要を図解する構成図である。
【0019】
図1図2において、1はエレベーターホール1階、2はエレベーターホール中間階1(下層階)、3はエレベーターホール中間階2(上層階)、4はエレベーターホール最上階、5は全楊程H、6は全楊程の1/3、7はエレベータシャフト(塔内又はかご昇降路)、8はピット(塔内底部)、9は機械室(塔内頂部)、10は揚重梁(H形鋼又はコンクリート梁)、11はピット仮受け構台、12は支持材(アンカーボルト固定L形鋼)、13は揚重用巻上機(揚重ウィンチ)、14は方向転換金車、15は金車固定金具、16は定滑車、17は動滑車、18は巻き上げ(牽引)ロープ、19は3:1減速ロープ、20は第1懸垂ロープ、21は第2懸垂ロープ、22は玉掛け、23は揚重貨物(エレベーター巻上機)、24は中間階仮置き構台、をそれぞれ表す。
【0020】
重量物である揚重貨物(エレベーター巻上機)23は、最上階エレベーターホール4に設置した汎用の揚重用巻上機(揚重ウィンチ)13によって、エレベーターホール1階1からエレベーター塔内(かご昇降路)7を経由して建物頂部に設けられたエレベーター機械室9まで揚重されて設置される。ここで、汎用の揚重ウィンチ13は予め最上階4の乗り場に設置しておく。さらに、揚重ウィンチ13から引き出された牽引ロープ18及び減速ロープ19を定滑車16と動滑車17との間で巻き回して減速ローピングを形成しておく。
【0021】
図1は本実施形態に係る巻上機揚重方法の概念構成を示すものであり、巻上機揚重方法の主たる基本的構成は、揚重梁10(図2を参照)に吊り下げられた定滑車16と、エレベーター巻上機23と連動して昇降する動滑車17と、定滑車16と動滑車17とに巻き回された牽引ロープ18及び減速ロープ19と、牽引ロープ18及び減速ロープ19を牽引する揚重用巻上機(揚重ウィンチ)13と、動滑車17に吊り下げられたエレベーター巻上機23と、を備えている。
【0022】
本実施形態では、汎用の揚重ウィンチ13を用いて、重量物であるエレベーター巻上機23を長大な揚程5の高高位置まで揚重する超高層用エレベーターの巻上機揚重方法を提供するものであって、動滑車17とエレベーター巻上機23とを連結する懸垂ロープ20,21(図2を参照)を分割可能にすることを主たる特徴とするものである。本発明の上記特徴に関する揚重方法について、経時的に順を追って以下説明する。
【0023】
図2に示すエレベータシャフト(塔内)7の全体断面図において、本実施形態は、重量物である揚重貨物(エレベーター巻上機)23を、最上階エレベーターホール4に設置した汎用の揚重用巻上機(揚重ウィンチ)13を用いて、エレベーターホール1階1からエレベーター塔内7を経由して建物頂部にあるエレベーター機械室9まで揚重するものである。
【0024】
揚重に際して、例えば1ローピングで牽引力が5ton、ロープ巻き取り量が200mの汎用の揚重ウィンチ13を用いて、15ton未満の貨物を200mの高高所の機械室9に揚重しようとする場合に、ウィンチ13の牽引力が不足するため、図2に示すローピング19を滑車を使って3:1に減速(揚重力は増大)しなければ必要揚重力(15ton)が得られない。しかし、ローピング19を3:1に減速すると揚程が1/3(67m)に減少してしまい、200mの高さまで揚重出来ない。
【0025】
そこで、本実施形態では、揚重の高さを補うために、図2の動滑車17に対して、長さが揚重ウィンチ13の巻き取り量200mの1/3(67m)の懸垂ロープ20,21を2本直列接続し、これらの懸垂ロープ20,21の下端を貨物(エレベーター巻上機23)に接続している。
【0026】
このとき、懸垂ロープ20,21は、40φの太い(破断係数97ton、安全係数6)を使用しても良いが、1本の重量が非常に重くなり、取り扱いが非常に困難になるので同じ破断力になるような20φ程度の中太のものを複数本並列にして垂下すると作業が容易になる。
【0027】
次に、本発明の実施形態に係る巻上機揚重方法によって、エレベーター巻上機23をエレベーターホール中間階1である下層階2まで揚重する工程について、図3図5を参照しながら以下説明する。図3は本実施形態に係る巻上機揚重方法に関する揚程の1/3揚重時の下層階2における重量貨物とその仮置き構台との関連構成を示す図であり、図4は本実施形態に係る巻上機揚重方法に関する揚程の1/3揚重時の下層階2における重量貨物の仮置き構台の設置構成を示す図であり、図5は本実施形態に係る巻上機揚重方法に関する揚程の2/3揚重時の開始における懸垂ロープ21の掛け方の構成を示す図である。
【0028】
まず、揚重ウィンチ13を起動し、牽引ロープ18を揚重ウィンチ13のウィンチドラムにて200m全量を巻き取れば揚重貨物(エレベーター巻上機23)は67m引き上げられ(3:1の減速によって)、エレベーターホール中間階1(下層階)2まで揚重することができる。
【0029】
揚重貨物(エレベーター巻上機23)は、エレベーター中間階1の下層階2のレベルよりも1〜2m上まで揚重したところで、吊持状態で静止させる(図3を参照)。その後、下層階2の床上に貨物仮受け用受け材(中間階仮置き構台:H鋼)24を配置し、この中間階仮置き構台24を塔内7へ順次送り込み、アンカーボルト固定L型鋼からなる支持材12に固定する。
【0030】
中間階仮置き構台24を支持材12に固定できた後で、揚重機ウィンチ13を巻き下げ、中間階仮置き構台24上に揚重貨物(エレベーター巻上機23)を仮置きする(図4を参照)。ここで、エレベーター巻上機23を仮置きする仮置き構台24と支持材12とを支持機構部とも称する。
【0031】
上述した仮置き後、揚重機ウィンチ13を下段の懸垂ロープ20の長さ分(全揚程5の1/3)だけ巻き下げるように稼働し、下段の懸垂ロープ20を取り外して回収し、より上段の懸垂ロープ21を玉掛けロープ22に直接接続する(図5を参照)。
【0032】
次に、本発明の実施形態に係る巻上機揚重方法によって、再度、エレベーター巻上機23をエレベーターホール中間階2である上層階3まで揚重する工程について、図6図8を参照しながら以下説明する。図6は本実施形態に係る巻上機揚重方法に関する揚程の2/3揚重時の中間階2である上層階3における重量貨物の配置構成を示す図であり、図7は本実施形態に係る巻上機揚重方法に関する揚程の2/3揚重時の上層階3における重量貨物の仮置きの構成を示す図であり、図8は本実施形態に係る巻上機揚重方法に関する揚程の2/3揚重時の揚重終了における懸垂ロープの掛け方の構成を示す図である。
【0033】
図6に示すように、揚重機ウィンチ13によって再度、牽引ロープ18を200m巻き上げれば揚重貨物(エレベーター巻上機23)は、エレベーターホール中間階2である上層階3まで揚重される。このとき、揚重貨物(エレベーター巻上機23)は、エレベーター中間階2の上層階3のレベルよりも1〜2m上まで揚重したところで、吊持状態で静止させる(図6を参照)。
【0034】
その後、上層階3の床上に貨物仮受け用受け材(中間階仮置き構台:H鋼)24を配置し、この中間階仮置き構台24を塔内7へ順次送り込み、アンカーボルト固定L型鋼からなる支持材12に固定する。これで、中間階仮置き構台24を支持材12に固定できたので、揚重ウィンチ13を巻き下げ、中間階仮置き構台24上に揚重貨物(エレベーター巻上機23)を仮置きする(図7を参照)。
【0035】
上述した仮置き後、揚重機ウィンチ13を上段の懸垂ロープ21の長さ分(全揚程5の1/3)だけ巻き下げるように稼働し、上段の懸垂ロープ21を取り外して回収し、動滑車17の下部を玉掛けロープ22に直接接続する(図8を参照)。
【0036】
最後に、本発明の実施形態に係る巻上機揚重方法によって、エレベーター巻上機23を塔内頂部の機械室9まで揚重する工程について、図9を参照しながら以下説明する。図9は本実施形態に係る巻上機揚重方法に関する重量貨物(エレベーター巻上機)の最上階機械室9への設置完了を示す構成図である。
【0037】
図9に示すように、揚重機ウィンチ13によって再度、牽引ロープ18を200m巻き上げれば揚重貨物(エレベーター巻上機23)は、機械室9まで揚重される。
【0038】
以上のように、本発明の実施形態に係る巻上機揚重方法によれば、複数に分割可能な懸垂ロープを分割使用してエレベーター巻上機23を揚重するとともに、中間階1と中間階2とでエレベーター巻上機23を仮置きして、その際に、分割可能な懸垂ロープの一部である下部の懸垂ロープ20を取り外して、より上部の懸垂口−プ21をエレベーター巻上機23に連結し、再度揚重する巻上機の揚重方法としたため、超重量物であるエレベーター巻上機23を、比較的能力の小さい汎用の揚重ウィンチ13を使用しても、高高所の建物頂部へエレベーター巻上機23を揚重可能である。
【0039】
さらに、揚重に際して、懸垂ロープの分割段数を増やせば500m又は800mの超超高層建物でも特殊能力の揚重ウィンチを使用することなく、また建築物の補強をすることなく、超重量物であるエレベーターの巻上機を高高所の機械室まで揚重することが可能となる。
【符号の説明】
【0040】
1 エレベーターホール1階
2 エレベーターホール中間階1(下層階)
3 エレベーターホール中間階2(上層階)
4 エレベーターホール最上階
5 全楊程H
6 全楊程の1/3
7 エレベータシャフト(塔内)
8 ピット(塔内底部)
9 機械室(塔内頂部)
10 揚重梁(H形鋼又はコンクリート梁)
11 ピット仮受け構台
12 支持材(アンカーボルト固定L形鋼)
13 揚重用巻上機(揚重ウィンチ)
14 方向転換金車
15 方向転換金車固定金具
16 定滑車
17 動滑車
18 巻き上げ(牽引)ロープ
19 3:1減速ロープ
20 第1懸垂ロープ
21 第2懸垂ロープ
22 玉掛け
23 揚重貨物(エレベーター巻上機)
24 中間階仮置き構台
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9