特許第6207467号(P6207467)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6207467
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】照明装置
(51)【国際特許分類】
   F21V 3/00 20150101AFI20170925BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20170925BHJP
   F21V 3/02 20060101ALI20170925BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20170925BHJP
【FI】
   F21V3/00 320
   F21S2/00 230
   F21V3/02 500
   F21V3/02 200
   F21Y115:10
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-119746(P2014-119746)
(22)【出願日】2014年6月10日
(65)【公開番号】特開2015-232975(P2015-232975A)
(43)【公開日】2015年12月24日
【審査請求日】2016年4月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベアミツミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100068618
【弁理士】
【氏名又は名称】萼 経夫
(74)【代理人】
【識別番号】100104145
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 嘉夫
(74)【代理人】
【識別番号】100135035
【弁理士】
【氏名又は名称】田上 明夫
(74)【代理人】
【識別番号】100131266
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼ 昌宏
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 健史
【審査官】 竹中 辰利
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−256481(JP,A)
【文献】 特開2011−227251(JP,A)
【文献】 特開2013−080686(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21V 3/00
F21S 2/00
F21V 3/02
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源部と、該光源部の前方に配置される板状の光学部材とを備える照明装置であって、
前記光学部材が、平面方向に並べられた複数の単位部材から構成された配向制御板であって、一対の主面の少なくとも一方に、一方向に延びる複数のリニアプリズムが形成された平面レンズにより構成されており
該複数の単位部材の各々の、隣接する単位部材と対向する端部同士の隙間が、前記単位部材の厚み方向で異なるように、前記対向する端部の形状が設定されていることを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記対向する端部の形状が、前記単位部材の厚み方向の位置に応じ、所定の規則性を有して変化するように設定されていることを特徴とする請求項1記載の照明装置。
【請求項3】
前記対向する端部の形状が、隣接する単位部材同士で対称形に設定されていることを特徴とする請求項1又は2記載の照明装置。
【請求項4】
前記対向する端部の形状が、複数段の階段状に設定されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の照明装置。
【請求項5】
前記対向する端部の形状が、前記光源部に向かうに従い、対向する端部同士の隙間が大きくなるように設定されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載の照明装置。
【請求項6】
前記単位部材は、平面方向の一方向に配列されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項記載の照明装置。
【請求項7】
前記光学部材が、前記光源部から出射された光の配向を制御する配向制御板であることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項記載の照明装置。
【請求項8】
前記光学部材を覆うカバーを備えることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項記載の照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LED照明装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
今日の省エネルギー化への要請により、照明装置の電力消費量の低減が進められており、蛍光灯に代えてLEDを光源に使用した照明装置が普及している。又、一方向に延びる直管型の蛍光灯に代わるライン状のLED照明装置として、複数のLEDが線状又は面状に並べられた照明装置も開発されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような照明装置について、本出願人は、光の配向を所定の角度範囲或いは所定の方向に制御することにより、多様な照明空間への対応を可能とするための技術研究を進めている。例えば、図6(a)(b)に示される照明装置10は、直線状に延びる光源部12(本説明では、光源部12が直線状に延びる方向を「一方向」という。)と、光源部12からの出射光の出射方向前方に配置され、光源部12と同様に一方向に延びるカバー14とを含むものである。光源部12は、複数のLED16と、複数のLED16が線状に並べられた状態で実装される基板18と、基板18を保持するフレーム20とを含むものである。又、カバー14は、光源部12を覆うように、半円形断面形状を有している。そして、カバー14の両端部は、端板22によって塞がれている。なお、本説明において、光源部12を構成するLED16の出射方向前方を「前方」といい、これとは反対の方向を「後方」という。
【0004】
更に、光源部12のLED16からの出射光の、出射方向前方に配置される配向制御板24が、カバー14の内面に設けられた、配向制御板24を保持する支持部26によって、LED16に対する適切な位置に保持されている。配向制御板24は、LED16から前方に向けて出射された光の配向を制御するための、板状の光学部材であり、図示の例では、表裏一対の主面が平面視で長四角状に形成されている。そして、一対の主面の少なくとも一方には、一方向に延びる複数のリニアプリズムが形成された平面レンズ(典型的には、リニアフレネルレンズ)を構成するものである。このような平面レンズを配向制御板24に用いる場合には、複数のリニアプリズムの断面形状を調整することにより、LED16からの出射光の配向を制御することが可能となる。
なお、図示の例では、配向制御板24は、四角状の外形の、少なくとも長辺端縁部の近傍部位が、支持部26(リブ26a、26b)のチャンネル状断面部26cに対して、一方向の一端側から挿入されることで、カバー14に保持され、光源部12に対して所定の位置に位置決めされる(特願2013−222254)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−28946号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、配向制御板24は、上述のように一対の主面の少なくとも一方に、一方向に延びる複数のリニアプリズムが形成された平面レンズである。このため、押し出し成型法等、製品寸法の選択の自由度が大きな製造方法を用いることができず、通常は射出成型法により製造されるものである。このため、照明装置10の一方向の長さによっては、配向制御板24を一体部品とすることができず、図6(c)に示されるように、複数に分割された各片(本説明では「単位部材」という。)30を、一方向に並べることで、照明装置10の全長に渡る配向制御板24を構成する必要がある。複数の単位部材30は、全体で一つの配向制御板24を代替するものであることから、各単位部材30の厚みは一定であり、かつ、同一平面上に配列されるものであり、隣接する単位部材30、30の間には、一定又は不定の隙間S(隣接する単位部材30、30の端部が対向して形成される隙間)が生じる。
【0007】
このように、複数の単位部材30からなる配向制御板24を用いる場合には、隣接する単位部材30、30間の隙間Sに対応する部分と、配向制御板24の主面Mに対応する部分とで、照明装置10の一方向の明るさの分布が異なることが、本発明者らによって確認されている。この、隣接する単位部材30、30間の隙間Sに起因する、照明装置10の照度分布のばらつきは、例えば、配向制御板24が乳白色のカバー14で覆われている構成を採用しても、十分には解消されず、隣接する単位部材30、30間の隙間Sの位置が視認されてしまう。
なお、複数のLED16が平面方向に升目状に配置され、配向制御板24を構成する単位部材30も同様に平面方向に升目状に複数配置される場合にも、隣接する単位部材間の隙間に起因して、同様の課題が生じ得るものである。又、配向制御板24に限らず、単位部材を平面方向に配置して構成される他の光学部材、例えば、光源からの入射光を適切に拡散するための、筋状に連なる光拡散素子等が形成された拡散板等においても、同様である。更には、複数のLED16以外の光源を用いるような場合であっても、同様である。
【0008】
なお、単位部材30、30及びこれらを支持する支持部26等の寸法を高精度に調整することで、単位部材30、30同士を、隙間Sが生じないように密着させて配置することも可能であるが、生産性等諸般の事情から、そのような精度調整の採用が困難な場合もある。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、複数の単位部材を配置してなる光学部材を用いる照明装置において、隣接する単位部材間の隙間の位置が視認されないようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(発明の態様)
以下の発明の態様は、本発明の構成を例示するものであり、本発明の多様な構成の理解を容易にするために、項別けして説明するものである。各項は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、発明を実施するための最良の形態を参酌しつつ、各項の構成要素の一部を置換し、削除し、又は、更に他の構成要素を付加したものについても、本願発明の技術的範囲に含まれ得るものである。
【0010】
(1)光源部と、該光源部の前方に配置される板状の光学部材とを備える照明装置であって、前記光学部材が、平面方向に並べられた複数の単位部材から構成された配向制御板であって、一対の主面の少なくとも一方に、一方向に延びる複数のリニアプリズムが形成された平面レンズにより構成されており、該複数の単位部材の各々の、隣接する単位部材と対向する端部同士の隙間が、前記単位部材の厚み方向で異なるように、前記対向する端部の形状が設定されている照明装置(請求項1)。
【0011】
本項に記載の照明装置は、光源部の前方に配置される光学部材により、光源部からの出射光を、光学的に制御するものである。具体的には、光学部材が、平面方向に並べられた複数の単位部材から構成された配向制御板であって、一対の主面の少なくとも一方に、一方向に延びる複数のリニアプリズムが形成された平面レンズにより構成されていることから、複数のリニアプリズムの断面形状を調整することにより、光源部からの出射光の配向を制御するものとなる。光学部材の光学的機能は、板状に広がる光学部材の全体で発揮され得るものである。しかしながら、面方向における光学部材の存在が、隣接する単位部材と対向する端部同士の隙間において途切れることにより、光学的機能の均一性を損なうこととなる。具体的には、光源部から前方に出射された光は、単位部材の主面に入射した場合には、光学部材の所望の光学的作用を受けることとなる。一方、隣接する単位部材と対向する端部同士の隙間の近傍部分に照射された光は、光学部材に入射した後、その入射角度の如何によっては、単位部材の端部(端面)において全反射され、端部から端部同士の隙間へ出射することなく、光学部材内部へと光路が偏向されることとなる。その結果として、照明装置の面方向の明るさの分布が、隣接する単位部材間の隙間に対応する部分と、光学部材の主面に対応する部分とで異なることとなる。
この点、本項に係る発明によれば、隣接する単位部材の、対向する端部同士の隙間が、単位部材の厚み方向で異なるように、対向する端部の形状が設定されていることに起因して、光源部から前方に出射された光は、その一部が隣接する単位部材と対向する端部同士の隙間を通過して、単位部材に入射することなく単位部材の前方へと直接的に進行することとなる。よって、隣接する単位部材の、対向する端部同士の隙間の近傍部分に照射された光が、単位部材の端部(端面)において全反射されることに起因する、照明装置の照度分布の顕著なばらつきの発生を、抑制するものとなる。
【0012】
(2)上記(1)項において、前記対向する端部の形状が、前記単位部材の厚み方向の位置に応じ、所定の規則性を有して変化するように設定されている照明装置(請求項2)。
本項に記載の照明装置は、対向する端部の形状が、単位部材の厚み方向の位置に応じ、所定の規則性を有して変化することで、上記(1)項記載の作用を、対向する端部の形状に応じて、適切に制御するものとなる。
【0013】
(3)上記(1)(2)項において、前記対向する端部の形状が、隣接する単位部材同士で対称形に設定されている照明装置(請求項3)。
本項に記載の照明装置は、対向する端部の形状が、隣接する単位部材同士で対称形に設定されていることで、上記(1)(2)項記載の作用を、隣接する単位部材間の隙間の中央位置を基準として、対称に発揮するものとなる。
【0014】
(4)上記(1)から(3)項において、前記対向する端部の形状が、複数段の階段状に設定されている照明装置(請求項4)。
本項に記載の照明装置は、対向する端部の形状が、複数段の階段状に設定されていることで、階段状の各段の段差形状が、上記(1)項記載の作用を発揮するものとなる。
【0015】
(5)上記(1)から(4)項において、前記対向する端部の形状が、前記光源部に向かうに従い、対向する端部同士の隙間が大きくなるように設定されている照明装置(請求項5)。
本項に記載の照明装置は、対向する端部の形状が、前記光源部に向かうに従い、対向する端部同士の隙間が大きくなるように設定されていることで、隣接する単位部材と対向する端部同士の隙間は、単位部材の厚み方向の光源部側(後方側)の方が、光源部と反対側(前方側)に比べて大きくなる。すなわち、光源部から前方に出射された光が、単位部材の端部同士の隙間を通過するための入り口が広くなることから、当該隙間に向かって、単位部材の厚み方向に対して斜めに入射する光が、隣接する単位部材と対向する端部同士の隙間を通過して、単位部材に入射することなく、単位部材の前方へと直接的に進行する割合が大きくなる。
【0016】
(6)上記(1)から(5)項において、前記単位部材は、平面方向の一方向に配列されている照明装置(請求項6)。
本項に記載の照明装置は、単位部材が平面方向の一方向に配列されて構成される光学部材を有するものにおいて、上記作用を発揮するものとなる。
【0017】
(7)上記(1)から(6)項において、前記光学部材が、前記光源部から出射された光の配向を制御する配向制御板である照明装置(請求項7)。
本項に記載の照明装置は、光学部材として配向制御板を備えるものにおいて、上記作用を発揮するものとなる。
【0018】
(8)上記(1)から(7)項において、前記光学部材を覆うカバーを備える照明装置(請求項8)。
本項に記載の照明装置は、光学部材を覆うカバーが、照明装置の内部構造にまで異物(昆虫等)が進入することを防ぐものとなる。又、カバーを乳白色等半透明の素材、例えば、プラスチック等の樹脂材料で成形することとすれば、光学部材との相乗効果により、照明装置の面方向の明るさの分布を、隣接する単位部材間の隙間に対応する部分と、光学部材の主面に対応する部分とで、均一化の促進を図ると共に、外部からカバー内部の構造が視認されることを防止するものとなる。又、光源部がLED等の点状光源で構成される場合には、輝度の高い点状光源であることに起因する眩しさやグレア感を回避するものとなる。
【発明の効果】
【0019】
本発明はこのように構成したので、複数の単位部材を配置してなる光学部材を用いる照明装置において、隣接する単位部材間の隙間の位置が視認されないようにすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】(a)本発明の実施の形態に係る照明装置の、配向制御板を構成する単位部材の、隣接する単位部材と対向する端部同士の隙間の態様を、比較例としての従来技術と共に示すものであり、(b)は(a)に示される各例に対応する、配向制御板を平面視したときの照度分布を濃淡で示すものであり、(c)は同照度分布をグラフで示したものである。
図2】(a)本発明の実施の形態に係る照明装置の、配向制御板を構成する単位部材の、隣接する単位部材と対向する端部同士の隙間の態様の応用例を、比較例としての従来技術と共に示すものであり、(b)は(a)に示される各例に対応する、配向制御板を平面視したときの照度分布をグラフで示したものである。
図3】(a)本発明の実施の形態に係る照明装置の、配向制御板を構成する単位部材の、隣接する単位部材と対向する端部同士の隙間の態様の更なる応用例を、比較例としての従来技術と共に示すものであり、(b)は(a)に示される各例に対応する、配向制御板を平面視したときの照度分布をグラフで示したものである。
図4】本発明の実施の形態に係る照明装置の、配向制御板により得られる作用効果についての説明図であり、(a)は比較例としての従来技術に関し、(b)は本発明の実施の形態に関するものである。
図5】本発明の実施の形態に係る照明装置の、配向制御板により得られる作用効果についての説明図であり、(a)と(b)とは、配向制御板に対する光の入射角度が異なる態様を示すものである。
図6】本発明の実施の形態に係る照明装置と全体構成を同じくする、従来の照明装置を模式的に示すものであり、(a)は斜視図、(b)は(a)の断面図、(c)は光源部及び光学部材の一方向に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、本発明の実施の形態に係る照明装置は、図6に示される従来の照明装置10と同様の全体構成を有していることから、適宜、図6も参照しながら説明を行う。
【0022】
図6に示される照明装置10の、光源部12を構成するLED16は、例えば、青色発光LEDチップを、硬質シリコーン系樹脂中に黄色発光の蛍光体であるセリウムで付活されたイットリウム・アルミニウム・ガーネット(YAG)微粒子を混入した透光性樹脂で封止した構造の白色LEDが用いられるが、他のLEDであっても良い。又、基板18は、一方向に延びる光源部12の全長に渡りLED16を配置するように、光源部12の全長に対応して、適宜複数の実装基板を連結して構成されたものである。図示の例では、基板18に実装されたLED16は、フレーム20上に載置された状態で、LED16の出射光の出射方向前方に延びる光軸が、光源部12の幅方向(短手方向)中心部を通る法線(中心軸)と、一致するように配置されている。しかしながら、必要な配向に応じ、LED16の光軸が、光源部12の中心軸に対して傾斜するように配置する場合もあれば、光源部12の中心軸からずれるように配置する場合もある。
フレーム20は、例えば亜鉛鋼板を板金加工することにより成形されるものであり、基板18を載置するための平板部20aと、平板部20aの短手方向の両端を後方に折り曲げて形成される一対の縦壁部20bとを有している。そして、フレーム20の平板部20aの後方面側が、図示しない照明器具の筐体に取付けられる。
【0023】
カバー14は、例えば、光を拡散する乳白色材料(一例として、光拡散材を含有させたポリカーボネート)又は透明材料を用いて構成されている。そして、光源部12を覆う半円状(円弧状)断面を有する覆い部14aと、覆い部14aの短手方向両端から、後方へと延びる一対の縦壁部14bと、一対の縦壁部14bの後方端縁部から、覆い部14aの短手方向内側へ張り出すように形成された、一対の張出部14cとを備えている。
カバー14の覆い部14aの内側面には、一方向に延びるようにして設けられた一対のリブ26a、26bによって、支持部26が構成されている。リブ26a、26bの間には、チャンネル状断面部26cが形成され、チャンネル状断面部26cに配向制御板24が挿通されている。カバー14を押出成形により成形する場合には、覆い部14a、一対の縦壁部14b、張出部14c及び支持部26は、全て一方向に延びるようにして、一体に押出成形される。一方、カバー14を押出成形以外の手法により成形し、若しくは、支持部26を別工程で形成することとすれば、支持部26を、一方向に向けて点状又は千鳥配置状に間隔を空けて複数設けることも可能である。
【0024】
そして、カバー14が光源部12のフレーム20と組み合わされた状態で、カバー14の一対の縦壁部14bが、フレーム20の一対の縦壁部20bと対向し、カバー14の一対の張出部14cが、フレーム20の一対の縦壁部20bの後端部へと回りこむようにして、一対の縦壁部20bと係合するものである。又、例えば、カバー14の一対の縦壁部14bと、フレーム20の一対の縦壁部20bとがネジ止めされることで、光源部12とカバー14とが一体に固定される。
なお、カバー14の覆い部14aの内側面に設けられた支持部26は、光源部12のLED16に対して、配向制御板24が最適の配向特性を発揮する位置となるように、設けられている。
【0025】
更に、本発明の実施の形態では、光学部材としての配向制御板24が、平面方向に並べられた複数の単位部材30から構成されている。又、複数の単位部材30の各々の、隣接する単位部材30、30と対向する端部同士の隙間が、図1(a)に(i i)〜(v)で示される各例のように、単位部材の厚み方向(図1(a)の上下方向)で異なるように、対向する端部の形状が設定されているものである。なお、図1(a)に示される各例において、単位部材30は厚みが視認される側面が図示されており、各単位部材30の図中の、上方が「前方」となっており、下方に光源部12(図6)が配置される。
【0026】
本発明の実施の形態に係る単位部材30の、対向する端部の形状は、単位部材30の厚み方向の位置に応じ、所定の規則性を有して変化するように設定されている。図1(a)に(ii)〜(v)で示される各例では、対向する端部の形状が、隣接する単位部材30、30同士で対称形をなしており、複数段の階段状に設定されている。しかも、対向する端部の形状が、光源部に向かうに従い、対向する端部同士の隙間S2〜S5が大きくなるように設定されている。具体的には、(ii)の例は二段、(iii)の例は三段、(iv)の例は四段、(v)の例は五段の、階段状となっている。なお、(i)に示される従来例も含め、これら各例の単位部材の厚みをD(mm)としたとき、対向する端部同士の隙間が最も狭い部分の距離はD(mm)、各段のステップ幅(図の左右方向の幅)もD(mm)に設定されている。更に、(ii)から(v)に示される各例の、各段の厚みが均等となるように構成されているが、これらの寸法比率はあくまでも一例である。
【0027】
図1(b)の(i)から(v)には、図1(a)の(i)から(v)の各配向制御板を、隣接する単位部材30、30の端部近傍において平面視したときの照度分布が、濃淡で示されている。又、図1(c)の(i)から(v)には、図1(a)の(i)から(v)の各配向制御板の同照度分布が、グラフで示されている。グラフの縦軸は照度を、グラフの横軸は配向制御板の短辺方向中心部における長辺方向の位置を、隙間SからS5の中心を0として表している。なお、本例において、単位部材30の厚み及び対向する端部同士の隙間が最も狭い部分の距離は1mm、単位部材30とLED16(図6(c)参照)との距離は9mm、隣接するLED16、16の間隔を6.6mmに設定したものである。
そして、図1(b)から読み取れるように、従来技術に係る(i)は、細い暗線が明確に認められるのに対し(ii)から(v)に示される各例は、暗線が不明確となり、かつ、複数段の階段状の段数が多くなるほど、照度むらが認められる幅は広がるが、照度差(濃淡)は小さくなる傾向にある。この傾向は、図1(c)のグラフからも読み取れるものである。
【0028】
又、図2図3には、図1の例とは異なる、本発明の実施の形態に係る例を、図1と同様に比較して示している。図2(a)に示される(i)(ii)の例は、図1の(i)(ii)と同様であり、図2(a)の(vi)は、(ii)の階段形状を、光源部に向かうに従い、対向する端部同士の隙間S6が小さくなるように設定したものである。図2(a)の(vii)は、(ii)の階段形状を、光源部に向かうに従い、一方の端部が窪み、他方の端部は突出するように、
対向する端部同士の隙間S6を設定したものである。
又、図3(a)に示される(i)(iv)の例は、図1の(i)(iv)と同様であり、図3(a)の(viii)は、端部を階段状ではなく傾斜面としたものであり、(ix)は(viii)の傾斜面の傾斜角度を緩やかにしたものである。(viii)の例における、主面に対する傾斜面の傾斜角度は30°であり、傾斜面は端部から1.7mmの範囲に形成されている。又(ix)の例における、主面に対する傾斜面の傾斜角度は15°であり、傾斜面は端部から3.7mmの範囲に形成されている。
そして、これら応用例に掛る各配向制御板の同照度分布が、図2(b)、図3(b)にグラフで示されている。図2の(vii)の例のみ、対向する端部の形状が、隣接する単位部材30、30間の隙間S7の中央位置を基準として、線対称となっていないことを反映して、照度分布も対称形とはなっていないが、従来例との比較において、照度差(濃淡)が小さくなる傾向にあることが読み取れる。又、図3の(viii)(ix)に係る端部に傾斜面が形成された例は、端部が階段状に形成された例に比べ、照度差が大きくなる傾向が認められるが、この理由については後述する。
【0029】
その他、詳しい説明は省略するが、対向する端部の形状が、単位部材30の厚み方向の中央部(又は中央部からシフトした中間部)において、隙間が最も小さくなるように形成されている態様を採用することも可能である。
又、対向する端部の形状が複数段の階段状に設定されている場合には、各段のステップ幅や厚みが異なるものであっても良く、傾斜面の場合には、傾斜角度が徐変するものであっても良い。更に、対向する端部の形状が、隣接する単位部材同士で必ずしも対称形をなしていなくても良く、対向する端部の形状が、所定の規則性を持たずに変化するものであっても良い。
又、図2(a)の(vii)の階段形状のごとく、光源部に向かうに従い、一方の端部が窪み、他方の端部は突出するように、対向する端部同士の隙間S6を設定した場合において、単位部材30の平面視で、端部同士が一部重なるように構成されていても良い。なお、重なる部分がなく隙間が生じるように隣接する単位部材同士を配置するのが好ましいが、いずれの場合も、隣接する単位部材間の隙間の位置が視認されない程度に、照度分布の均一化が可能な範囲で、採用し得るものである。
加えて、単位部材30同士の隙間S2〜S9を機械構造的に制御するために、一方又は他方の部材30の端部から隣接する単位部材30の端部へ向けて突出する突起(スペーサ)を設け、突起を隣接する単位部材30、30の端部に押し付けるようにして、配列することとしても良い。
【0030】
さて、上記構成をなす本発明の実施の形態によれば、次のような作用効果を得ることが可能である。
すなわち、本発明の実施の形態に係る照明装置10は、LED16の前方に配置される配向制御板24により、LED16からの出射光を、光学的に制御するものである。配向制御板24の光学的機能は、板状に広がる配向制御板24の全体で発揮され得るものであるが、面方向における配向制御板24の存在が、隣接する単位部材30、30と対向する端部同士の隙間S2〜S9において途切れることにより、光学的機能の均一性を損なうこととなる。具体的には、LED16から前方に出射された光Lは、単位部材30の主面30aに入射した場合には、単位部材30の所望の光学的作用を受けることとなる。一方、図4(a)に示される従来例では、隣接する単位部材30、30と対向する端部30b、30b同士の隙間Sの近傍部分に照射された光Lは、単位部材30に入射した後、その入射角度θの如何によっては、単位部材30の端部(端面)30bにおいて全反射され、更に上面(主面)30cにおいても全反射されることで、端部30bから端部同士の隙間Sへ出射することなく、単位部材30の内部へと光路が偏向されることとなる。その結果として、照明装置の面方向の明るさの分布が、隣接する単位部材30、30間の隙間Sに対応する部分と、単位部材30の主面30cに対応する部分とで異なることが、本発明者らによって検証されている。
【0031】
この点、本発明の実施の形態によれば、隣接する単位部材30、30の、対向する端部同士の隙間S2〜S9が、単位部材30の厚み方向で異なるように、対向する端部の形状が設定されていることに起因して、LED16から前方に出射された光Lは、図4(b)に例示されるように、その一部が、隣接する単位部材と対向する端部30b’、30b’同士の隙間S2を通過して、単位部材30に入射することなく単位部材30(配向制御板24)の前方へと直接的に進行することとなる。よって、図4(a)に示される従来例のごとく、隣接する単位部材30、30の、対向する端部30b、30b同士の隙間Sの近傍部分に照射された光Lが、単位部材30の端部(端面)30bにおいて全反射されることに起因する、照明装置10の照度分布の顕著なばらつきの発生を、抑制することが可能となる。
【0032】
又、対向する端部の形状が、単位部材30の厚み方向の位置に応じ、所定の規則性を有して変化することで、上記作用効果を、対向する端部同士の隙間S2〜S9の形に応じて、適切に制御することが可能となる。
又、対向する端部の形状が、隣接する単位部材30同士で対称形に設定されていることで、上記作用効果を、隣接する単位部材間の隙間S2〜S6、S8、S9の中央位置を基準として、対称に発揮するものとなる。
又、対向する端部の形状が、LED16に向かうに従い、対向する端部同士の隙間が大きくなるように設定されていることで、隣接する単位部材と対向する端部同士の隙間S2〜S5、S8、S9が、単位部材の厚み方向のLED16側(後方側)の方が、LED16と反対側(前方側)に比べて大きくなる。すなわち、LED16から前方に出射された光が、単位部材30の端部同士の隙間S2〜S5、S8、S9を通過するための入り口が広くなることから、当該隙間S2〜S5、S8、S9に向かって、単位部材の厚み方向に対して斜めに入射する光は、単位部材30に入射することなく、隣接する単位部材30、30と対向する端部同士の隙間S2〜S5、S8、S9を通過して、単位部材30(配向制御板24)の前方へと直接的に進行する割合が大きくなる。よって、上記作用効果を、対向する端部S2〜S5、S8、S9の形に応じて、適切に制御することが可能となる。
【0033】
又、対向する端部の形状が、複数段の階段状に設定されていることで、階段状の各段の段差形状に起因して、図4(b)で説明したような作用効果を発揮するものとなる。
なお、図3の(viii)(ix)に係る例のごとく、端部に傾斜面が形成された単位部材30の場合には、端部が階段状に形成された例に比べ、照度差が大きくなる傾向が認められる理由は、以下の通りである。すなわち、図5(a)に示されるように、単位部材30の傾斜する端部(端面)30bに入射する光の入射角度が、符号L2で示されるように大きい場合には、単位部材30の上面(主面)30cにおいて全反射が生じやすく、これによって上面30cから出射される光が減少して暗部が発生することが挙げられる。又、図5(b)に示されるように、単位部材30に対して主面30aから入射する光L4と、端部(端面)30bに入射する光L3とが、光学的な屈折の作用によって重なり合うことで明部が発生することが挙げられる。
【0034】
なお、配向制御板24を覆うカバー14(図6参照)を乳白色等半透明の素材、例えば、プラスチック等の樹脂材料で成形することとすれば、配向制御板24との相乗効果により、照明装置10の面方向の明るさの分布を、隣接する単位部材30、30間の隙間S2〜S9に対応する部分と、配向制御板24の主面に対応する部分とで、均一化の促進を図ると共に、外部からカバー14内部の構造が視認されることを防止するものとなる。又、LED16が輝度の高い点状光源であることに起因する、眩しさやグレア感を回避することが可能となる。
【0035】
なお、本発明は、単位部材30が一方向に配置される場合のみならず、複数のLED16が平面方向に升目状に配置され、配向制御板24を構成する単位部材30も同様に平面方向に升目状に複数配置される場合にも、適用可能である。この場合において、単位部材30を矩形に形成した場合には、配向制御板24の全体における各単位部材30の位置に応じて、二辺から四辺の、隣接する単位部材と対向する端部に、上記構成を有するものとなる。
又、本説明においては、光学部材として配向制御板24を例に挙げて説明したが、他の光学部材、例えば、光拡散素子が形成された拡散板に、本願発明を採用しても、同様の作用効果が得られるものとなる。又、隣接する単位部材30、30の対向する端部及びその近傍に、光拡散素子が形成されていても良い。
【符号の説明】
【0036】
10:照明装置、 12:光源部、14:カバー、16:LED、24:配向制御板、 30:単位部材、 30b、30b’:端部 S2、S3、S4、S5、S6、S7、S8、S9:単位部材の端部が対向して形成される隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6