(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0015】
[実施形態]
図1は、実施形態に係る光コネクタの概略構成を表す分解斜視図である。
図2、
図3は、実施形態に係る光コネクタを回路基板に実装した状態を表す斜視図である。
図4は、変形伝送線路アンテナのモデルを表す模式図である。
図5は、実施形態に係る光コネクタのシールドケースの展開図である。
図6は、実施形態に係る光コネクタのスリットの端面長さの調整の一例を説明する模式図である。
図7は、実施形態に係る光コネクタにおけるスリットの端面長さと共振周波数との関係の一例を示す線図である。
【0016】
図1等に示す本実施形態に係る基板実装部品としての光コネクタ1は、線条となる導電性のリードフレーム51を複数導出して回路基板100に表面実装される面実装用光コネクタである。光コネクタ1は、回路基板100と光ケーブルの端末に設けられる相手側光コネクタ101とを接続する、いわゆる、ケーブル対基板用の接続機構である。光コネクタ1は、この回路基板100と相手側光コネクタ101との接続が回路基板100の表面102で行われるように実装されている。本実施形態の光コネクタ1は、例えば、自動車に用いられる自動車用光コネクタであるが、これに限定されるものではない。
【0017】
ここで、回路基板100は、表面102に所定の回路(配線パターン)を複数有している。回路基板100は、光コネクタ1に対応する回路に、電気的な接続部(不図示)が形成されている。回路基板100は、光コネクタ1の位置決め及び固定を行うための貫通孔103が形成されている。回路基板100は、貫通孔103に光コネクタ1の固定ピンが差し込まれることで、光コネクタ1が位置決め、固定される。
【0018】
本実施形態の光コネクタ1は、
図1、
図2、
図3に示すように、基板実装部2と、シールドケース3とを備える。基板実装部2は、導電性のリードフレーム51を介して回路基板100に実装される本体部分である。シールドケース3は、基板実装部2に装着され、対向する一対の接地端子37の間に、回路基板100との間からリードフレーム51を露出させる部分を含む一連のスリット39が形成されるものである。
【0019】
具体的には、基板実装部2は、ハウジング4と、電子部品としてのFOT(Fiber Optic Transceiver)5と有する。
【0020】
ハウジング4は、絶縁性を有する樹脂成形品である。ハウジング4は、両端部が開口した中空の略矩形箱(直方体)状に形成され、内部にFOT5を収容可能である。ハウジング4は、コネクタ嵌合部41と、FOT収容部42と、一対の壁部43と、シールドケース嵌合部44とを有している。
【0021】
なお、以下の説明では、ハウジング4の両端部の開口が対向する方向を「奥行き方向」という場合がある。また、以下の説明では、奥行き方向と直交する2つの方向をそれぞれ「幅方向」、「高さ方向」という場合がある。また、「高さ方向」の一方側を「上面側」、他方側を「下面側」という場合がある。典型的には、第1の方向としての奥行き方向と第2の方向としての高さ方向と第3の方向としての幅方向とは、相互に直交する。
【0022】
コネクタ嵌合部41は、ハウジング4の奥行き方向の一方の開口によって、光ケーブルの相手側光コネクタ101との嵌合部分として形成される。コネクタ嵌合部41は、光ケーブルの相手側光コネクタ101を嵌合させる際のガイド45を含んで構成される。当該ガイド45は、ハウジング4の内壁面に奥行き方向に沿って形成される。ハウジング4は、相手側光コネクタ101が奥行き方向に沿ってコネクタ嵌合部41に嵌合される。
【0023】
FOT収容部42は、ハウジング4の奥行き方向の他方の開口によって、FOT5を収容可能な収容部分として形成される。FOT収容部42は、ハウジング4の内部において、奥行き方向に沿ってコネクタ嵌合部41と連通するように形成されている。FOT収容部42は、FOT5を所定位置に収容保持することができるように形成されている。
【0024】
一対の壁部43は、FOT収容部42の幅方向両側に位置するとともに、奥行き方向に沿って延在する壁状の部分として形成されている。また、一対の壁部43は、FOT5の後述する複数のリードフレーム51を保護する部分として、さらには、後述する平坦度確保部53の幅方向への移動を規制する部分として形成されている。
【0025】
シールドケース嵌合部44は、シールドケース3を嵌合させる部分として形成されている。シールドケース嵌合部44は、ハウジング4の高さ方向上面側及び幅方向両側面に跨るように凹部状に形成されている。シールドケース嵌合部44は、シールドケース3の嵌合にて覆われる部分の他に、シールドケース3の後述する被挟持部34の挿入先となる挟持部46と、シールドケース3の後述する縦スリット35の挿入先となるリブ47とを有している。挟持部46は、ハウジング4の幅方向両側面にそれぞれ形成されている。リブ47は、ハウジング4の幅方向両側面と一対の壁部43と間にそれぞれ形成されている。挟持部46とリブ47とは、ともに高さ方向に沿って延在して形成される。挟持部46とリブ47とは、挟持部46がコネクタ嵌合部41の開口側に、リブ47がFOT収容部42の開口側に形成される。挟持部46、リブ47は、ハウジング4と一体で形成される。
【0026】
ここで、上記で説明したハウジング4のシールドケース嵌合部44に装着されるシールドケース3について説明する。
【0027】
シールドケース3は、導電性を有する金属板をプレス加工することにより2面が開口した中空の略矩形箱(直方体)状のカバー部材として形成される。シールドケース3は、高さ方向下面側、及び、奥行き方向の一方側(ハウジング4に装着された状態におけるコネクタ嵌合部41側)が開口している。シールドケース3は、ハウジング4の高さ方向上面を覆う上壁31と、ハウジング4の幅方向両側面をそれぞれ覆う一対の側壁32と、ハウジング4のFOT収容部42側の開口を覆う後壁33とを有している。シールドケース3は、FOT5の周辺を覆ってシールドを施すことができるように形成されている。これにより、シールドケース3は、電磁波ノイズを外部に漏らさないようにしている。
【0028】
シールドケース3は、一対の側壁32にそれぞれ被挟持部34と縦スリット35とを有する。各被挟持部34は、各側壁32において、ハウジング4の挟持部46に挿入されてシールドケース3の嵌合状態を形成するものである。各被挟持部34は、各側壁32の奥行き方向の一方側(ハウジング4に装着された状態におけるコネクタ嵌合部41側)の端部に段付き状の縁部として形成される。各縦スリット35は、各側壁32において、ハウジング4のリブ47に挿入されてシールドケース3の嵌合状態を形成するものである。各縦スリット35は、各側壁32の高さ方向下面側の縁から高さ方向に沿って上壁31の近傍まで形成される。
【0029】
また、シールドケース3は、一対の側壁32の高さ方向下面側の縁にそれぞれ折曲部36を有する。各折曲部36は、各側壁32において、回路基板100の表面102に対向するように折り曲げられた部分である。各折曲部36は、各側壁32において、奥行き方向に対して被挟持部34と縦スリット35との間に位置する部分の高さ方向下面側の端部に形成される。折曲部36は、回路基板100のグランド(GND)に対して電気的に接触するように配置形成されている。つまり、一対の側壁32において当該折曲部36が形成されている部分、すなわち、奥行き方向に対して被挟持部34と縦スリット35との間に位置する部分は、一対の接地端子37となる。
【0030】
さらに、シールドケース3は、一対の側壁32と後壁33とに渡って形成される横スリット38を有する。横スリット38は、一対の側壁32、及び、後壁33の高さ方向下面側の端部に形成される。横スリット38は、光コネクタ1が回路基板100に実装された状態で回路基板100の表面102に対して所定の間隔をあけるようにして形成される。横スリット38は、後壁33において幅方向に沿って延在し、一対の側壁32において、奥行き方向に沿って延在する。横スリット38は、各側壁32において奥行き方向の端部が各縦スリット35の高さ方向下面側の端部と接続、連通される。横スリット38は、回路基板100との間からリードフレーム51を露出させる部分となる。一対の縦スリット35、及び、横スリット38は、対向する一対の接地端子37の間に、回路基板100との間からリードフレーム51を露出させる部分を含む一連のスリット39を形成する。
【0031】
次に、上記で説明したハウジング4のFOT収容部42に収容されるFOT5について説明する。
【0032】
FOT5は、複数のリードフレーム51と、FOT本体52と、平坦度確保部53とを有する。ここでは、FOT5は、光送信部分と光受信部分とを有するように構成されているが、これに限らず、光送信部分と光受信部分とを別体にして、2つのFOTとすることも可能であるものとする。複数のリードフレーム51は、光送信部分用の5本のリードフレーム51、及び、光受信部分用の5本のリードフレーム51の合計10本から構成されている。複数のリードフレーム51の並び方向は、ここでは、幅方向に沿っている。FOT本体52は、複数のリードフレーム51の一端側に設けられる。平坦度確保部53は、複数のリードフレーム51の他端側近傍に設けられる。
【0033】
より詳細には、各リードフレーム51は、導電性を有しており、線条でかつ断面が矩形となる形状に形成されている。複数のリードフレーム51の一端側は、FOT本体52内の光素子(発光素子、受光素子)に対する接続部分として形成されている。また、複数のリードフレーム51の他端側は、回路基板100の表面102に対する表面実装部分54として形成されている。表面実装部分54は、回路基板100の表面102に形成される接続部に対し電気的に接続される部分として形成されている。表面実装部分54は、例えば、半田ペーストを介して接続部に接触し、リフローにより半田付けされる部分として形成されている。FOT本体52は、奥行き方向に嵌合する前側ハウジング55及び後側ハウジング56と、これらの内部に配設される光素子(発光素子、受光素子)とを含んで構成されている。FOT本体52は、前側ハウジング55に相手側光コネクタ101のフェルールに対する挿通案内部分が形成される。具体的には、FOT本体52は、前側ハウジング55に筒部57が一対形成される。FOT本体52は、一対の筒部57の奥位置には光素子(発光素子、受光素子)が配置される。FOT本体52は、全体がハウジング4のFOT収容部42に収容保持されるように形成される。平坦度確保部53は、表面実装部分54の近傍に配設される。平坦度確保部53は、複数のリードフレーム51の並び方向、すなわち、幅方向にのびてこれらを一括固定する絶縁性の部材であって、例えば、略棒状となる形状にモールド成形されている。平坦度確保部53は、コプラナリティの精度を出すための部分として複数のリードフレーム51に跨るように設けられている。平坦度確保部53は、幅方向両側の端面がハウジング4の一対の壁部43の間に挟まれるような位置関係で配置される。
【0034】
上記のように構成される光コネクタ1は、ハウジング4のFOT収容部42内にFOT5が収容、保持され、シールドケース嵌合部44にシールドケース3が装着された状態で、回路基板100の表面102に表面実装される。この場合、光コネクタ1は、シールドケース3のスリット39を構成する横スリット38と回路基板100との間からFOT5の複数のリードフレーム51が導出された状態で、回路基板100の表面102上に配置される。つまり、リードフレーム51は、スリット39を構成する横スリット38の延在方向に沿って並んで複数形成されることとなる。そして、光コネクタ1は、各リードフレーム51の表面実装部分54が回路基板100の表面102に形成される接続部に対して半田付け等によって電気的に接続される。
【0035】
ところで、光コネクタ1は、上述したように、シールドケース3によってFOT5の周辺を覆ってシールドすることで、電磁波ノイズの漏洩を抑制している。この場合、光コネクタ1は、ハウジング4や回路基板100の表面102等とシールドケース3との間に隙間がないことが理想的であるが、実際には、ハウジング4のリブ47が挿入される縦スリット35やリードフレーム51を導出するための横スリット38を含むスリット39等に隙間があいている。
【0036】
この場合に、このような光コネクタ1では、シールドケース3に形成された上記スリット39の部分が
図4のモデルに示すような、いわゆる変形伝送線路アンテナ(MTLA:Modified Transmission Line Antenna)に相当する構成を形成する可能性があるということが見出された。ここで、
図4に例示する変形伝送線路アンテナは、例えば、完全導体板上に置かれ、垂直素子の高さ(接地板と伝送線路との間隔)をh、水平素子の幅(伝送線路の幅)をw、水平素子の長さ(伝送線路の長さ)をlとすると、当該アンテナの長さcは、下記の数式(1)に示すように、2h+2w+lで表され、周波数f
0の波長に対しλ
0/2とされる。
c=2h+2w+l=λ
0/2 ・・・ (1)
当該アンテナの長さcは、光コネクタ1における一対の接地端子37の間のスリット39の端面長さ(後述の端面長さL)に相当する。つまり、数式(1)は、スリット39の端面長さの2分の1波長で共振することを表す。
【0037】
そして、光コネクタ1は、シールドケース3によって電磁波ノイズの漏洩を抑制しているにもかかわらず、スリット39の部分が上記のような変形伝送線路アンテナを構成することに起因して所定の周波数帯で共振現象が発生するおそれがあり、これにより、例えば、当該シールドケース3を備えていない場合と比較してノイズが増大するおそれがあるという知見が得られた。
【0038】
そこで、本実施形態の光コネクタ1は、上記を踏まえて、スリット39の端面長さが所定の寸法となるように当該スリット39を形成することで、共振によって特定の周波数でノイズが増大することを抑制し、これにより、ノイズを抑制している。
【0039】
具体的には、本実施形態のスリット39は、スリット39の端面長さをL[mm]、光速をC[m/s]、予め設定される設定共振周波数下限値をf[Hz]、基板実装部2の誘電率をεr[F/m]とした場合に、下記の数式(2)の関係を満たすように形成される。
L≦C/(2×f×0.001×√(εr)) ・・・ (2)
ここで、この光コネクタ1における共振周波数Fは、シールドケース3内にハウジング4等を含む基板実装部2があるので、波長短縮も考慮して、下記の数式(3)を用いて求めることができる。
F=C/(2×L×0.001×√(εr)) ・・・ (3)
この数式(3)からも明らかなように、スリット39の端面長さLを変化させることで、共振周波数Fを変化させることができる。
【0040】
上記数式(2)において、光速Cは、光が伝播する速さであり、C≒299792458[m/s]である。設定共振周波数下限値fは、予め設定される任意の値であり、例えば、光コネクタ1が搭載される装置の常用域よりも高周波数帯に設定されることが好ましい。基板実装部2の誘電率εrは、物質内で電荷とそれによって与えられる力との関係を示す係数である。スリット39の端面長さLは、スリット39を構成する一対の縦スリット35と横スリット38との合計の端面長さである(詳細については後述する。)。光コネクタ1は、スリット39の端面長さLが数式(2)の関係を満たすように調整されることで、実際の共振周波数Fを当該設定共振周波数下限値f以上の高周波数帯に設定することができる。光コネクタ1は、スリット39の端面長さLが相対的に小さくなるほど、実際の共振周波数Fが相対的に高くなる。また、実際の共振周波数Fを当該設定共振周波数下限値f以上の高周波数帯に設定するための当該スリット39の端面長さLは、基板実装部2の誘電率εrに応じて変化することとなる。
【0041】
ここで、スリット39の端面長さLは、一例として
図5に示すようなシールドケース3の展開図等を用いて算出することができる。スリット39の端面長さLは、スリット39の端面の起点Sから終点Gまでの合計の長さに相当するが、ここでは、シールドケース3の各側壁32に重複部32aが形成されていることから、当該重複部32aに相当する部分を差し引く必要がある。当該重複部32aは、各側壁32において、後壁33側に折り返され当該後壁33と重ね合わせられる部分である。具体的には、スリット39の端面長さLは、
図5に示す例では、一方の縦スリット35の端面を構成する区間L1〜L7、横スリット38の端面を構成する区間L8〜L10、他方の縦スリット35の端面を構成する区間L11〜L17の合計の長さに相当する。
【0042】
当該スリット39の端面長さLを数式(2)の関係を満たすよう調整する場合には、例えば、
図6に示すシールドケース3におけるスリット39に相当する各領域T1〜T3等の全部または一部を適宜閉塞させたり開放させたりすることで、当該端面長さLを調整することができる。ここでは、例えば、領域T1は、横スリット38に相当する領域であり、領域T2は、縦スリット35の横スリット38側の部分に相当する領域であり、領域T3は、縦スリット35の横スリット38とは反対側の部分に相当する領域である。光コネクタ1は、例えば、縦スリット35を閉塞させる場合、すなわち、スリット39を横スリット38で構成する場合には、ハウジング4のリブ47も廃止し、シールドケース3とハウジング4との嵌合状態を形成する部分を別個設ければよい。なお、ここでの領域分けはあくまでも一例であり、これに限られるものではない。
【0043】
図7は、上記のようにして設定されるスリット39の端面長さLと、光コネクタ1の実際の共振周波数Fとの関係の一例を示す線図であり、横軸を端面長さL[mm]、縦軸を共振周波数F[GHz]としている。
図7を参照して、スリット39の端面長さLの設定の一例について説明する。
【0044】
上述したように、数式(2)において、設定共振周波数下限値fは、典型的には、光コネクタ1が搭載される装置の常用域よりも高周波数帯に設定される。ここでは、光コネクタ1が自動車に搭載されることから、設定共振周波数下限値fは、自動車用放射ノイズ規格の上限周波数以上、例えば、f=2.5[GHz]に設定される。また、基板実装部2は、例えば、誘電率εrが2.5[F/m]≦εr≦6.0[F/m]の範囲内の材料によって構成される。
図7中、実線Aは、εr≒6.0[F/m]の場合のスリット39の端面長さLと共振周波数Fとの関係の一例を表し、実線Bは、εr≒2.5[F/m]の場合のスリット39の端面長さLと共振周波数Fとの関係の一例を表す。この場合、数式(2)の関係を満たすためのスリット39の端面長さLは、実線Bに示すεr≒2.5[F/m]の場合に上限値Lmax1となり、Lmax1≒37.95[mm]となる。当該上限値Lmax1は、εr≒2.5[F/m]である場合に、共振周波数Fが設定共振周波数下限値f=2.5[GHz]となるスリット39の端面長さLに相当する。この場合、スリット39は、少なくとも当該スリット39の端面長さLがL≦Lmax1=37.95[mm]の範囲内で形成されることで、数式(2)の関係を満たすことができ、これにより、光コネクタ1は、実際の共振周波数Fが当該設定共振周波数下限値f=2.5[GHz]以上の高周波数帯に設定されることとなる。
【0045】
より好適には、基板実装部2は、誘電率εrがεr≒3.7[F/m]の材料、例えば、液晶ポリマー(LCP:Liquid crystal Polymer)によって構成される。
図7中、実線Cは、εr≒3.7[F/m]の場合のスリット39の端面長さLと共振周波数Fとの関係の一例を表す。この場合、数式(2)の関係を満たすためのスリット39の端面長さLの上限値Lmax2は、Lmax2≒31.19[mm]となる。当該上限値Lmax2は、εr≒3.7[F/m]である場合に、共振周波数Fが設定共振周波数下限値f=2.5[GHz]となるスリット39の端面長さLに相当する。この場合、スリット39は、少なくとも当該スリット39の端面長さLがL≦Lmax2=31.19[mm]の範囲内で形成されることで、数式(2)の関係を満たすことができ、これにより、光コネクタ1は、実際の共振周波数Fが当該設定共振周波数下限値f=2.5[GHz]以上の高周波数帯に設定されることとなる。
【0046】
なお、スリット39の端面長さLの下限値Lminは、例えば、複数のリードフレーム51の並び方向の長さ、すなわちここでは、複数のリードフレーム51の幅方向の長さに応じて設定される。上述したように、この光コネクタ1は、シールドケース3から複数のリードフレーム51を導出するために、最小限のスリット39の端面長さLとして、少なくとも複数のリードフレーム51の並び方向の長さが確保されている必要がある。ここでは、スリット39は、当該スリット39の端面長さLが、複数のリードフレーム51の並び方向の長さ以上の範囲内で形成されることで、複数のリードフレーム51を導出可能な構成を確保することができる。スリット39の端面長さLの下限値Lminは、例えば、Lmin≒13.80[mm]に設定される。
【0047】
つまり、光コネクタ1は、基板実装部2が2.5[F/m]≦εr≦6.0[F/m]の範囲内の材料によって構成される場合、スリット39の端面長さLがLmin=13.80[mm]≦L≦Lmax1=37.95[mm]の範囲内でスリット39が形成されることで、複数のリードフレーム51を導出可能な構成を確保した上で、実際の共振周波数Fが設定共振周波数下限値f=2.5[GHz]以上の高周波数帯に設定される。より好適には、光コネクタ1は、基板実装部2がεr≒3.7[F/m]である材料、例えば、LCPによって構成される場合、スリット39の端面長さLがLmin=13.80[mm]≦L≦Lmax2=31.19[mm]の範囲内でスリット39が形成されることで、複数のリードフレーム51を導出可能な構成を確保した上で、実際の共振周波数Fが設定共振周波数下限値f=2.5[GHz]以上の高周波数帯に設定される。
【0048】
以上で説明した光コネクタ1によれば、導電性のリードフレーム51を介して回路基板100に実装される基板実装部2と、基板実装部2に装着され、対向する一対の接地端子37の間に、回路基板100との間からリードフレーム51を露出させる部分を含む一連のスリット39が形成されたシールドケース3とを備える。スリット39は、一対の接地端子37の間の当該スリット39の端面長さをL[mm]、光速をC[m/s]、予め設定される設定共振周波数下限値をf[Hz]、基板実装部2の誘電率をεr[F/m]とした場合に、L≦C/(2×f×0.001×√(εr))の関係を満たすように形成される。
【0049】
したがって、光コネクタ1は、スリット39がL≦C/(2×f×0.001×√(εr))の関係を満たすように形成されるので、共振周波数Fを予め任意に設定された設定共振周波数下限値f以上とし、例えば、当該光コネクタ1の使用状態において、相対的に影響の少ない周波数とすることができる。これにより、光コネクタ1は、例えば、共振によって特定の周波数でノイズが増大することを抑制することができ、この結果、ノイズを抑制することができる。
【0050】
例えば、以上で説明した光コネクタ1によれば、設定共振周波数下限値fは、2.5[GHz]に設定され、基板実装部2は、誘電率εrが2.5[F/m]≦εr≦6.0[F/m]の範囲内の材料によって構成され、スリット39は、当該スリット39の端面長さLがL≦37.95[mm]の範囲内で形成される。したがって、光コネクタ1は、基板実装部2が2.5[F/m]≦εr≦6.0[F/m]の範囲内の材料によって構成される場合に、スリット39の端面長さLがL≦37.95[mm]の範囲内でスリット39が形成されることで、実際の共振周波数Fを設定共振周波数下限値f=2.5[GHz]以上の高周波数帯に設定することができる。この結果、光コネクタ1は、設定共振周波数下限値f未満の周波数帯で共振が発生することを抑制し、ノイズを抑制することができる。
【0051】
より詳細には、以上で説明した光コネクタ1によれば、設定共振周波数下限値fは、2.5[GHz]に設定され、基板実装部2は、誘電率εrが3.7[F/m]の材料によって構成され、スリット39は、当該スリット39の端面長さLがL≦31.19[mm]の範囲内で形成される。したがって、光コネクタ1は、基板実装部2がεr≒3.7[F/m]の材料によって構成される場合に、スリット39の端面長さLがL≦31.19[mm]の範囲内でスリット39が形成されることで、実際の共振周波数Fを設定共振周波数下限値f=2.5[GHz]以上の高周波数帯に設定することができる。この結果、光コネクタ1は、設定共振周波数下限値f未満の周波数帯で共振が発生することを抑制し、ノイズを抑制することができる。
【0052】
さらに、以上で説明した光コネクタ1によれば、リードフレーム51は、複数並んで形成され、スリット39は、当該スリット39の端面長さLが、複数のリードフレーム51の並び方向の長さ以上の範囲内で形成される。ここでは、スリット39は、当該スリット39の端面長さLがL≧13.80[mm]の範囲内で形成される。したがって、光コネクタ1は、複数のリードフレーム51を導出可能な構成を確保した上で、実際の共振周波数Fを設定共振周波数下限値f以上の高周波数帯に設定することができ、ノイズを抑制することができる。
【0053】
なお、上述した本発明の実施形態に係る基板実装部品は、上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変更が可能である。
【0054】
図8は、変形例に係る光コネクタのシールドケースの展開図である。
図8に示す変形例に係る基板実装部品としての光コネクタ201は、シールドケース203を備え、シールドケース203に形成されるスリット239の端面長さLを下限値Lmin=13.80[mm]に設定した場合の変形例である。
【0055】
シールドケース203は、対向する一対の接地端子237cの間に、回路基板100との間からリードフレーム51を露出させる部分を含む一連のスリット239が形成される。スリット239は、上述の縦スリット35を含まず、横スリット238を含んで構成される。この場合、光コネクタ201は、例えば、ハウジング4の挟持部46、リブ47、シールドケース203の被挟持部34も廃止し、シールドケース203とハウジング4との嵌合状態を形成する部分を別個設ければよい。
【0056】
ここでは、シールドケース203は、一対の側壁32の高さ方向下面側の端部にそれぞれ3つずつ接地端子237a、237b、237cが形成されており、最も後壁33側に位置する一対の接地端子237cの間に、回路基板100との間からリードフレーム51を露出させる横スリット238が形成される。本実施形態のシールドケース203は、横スリット238を区画する一対の接地端子237cを、横スリット238が形成される後壁33に近接させることでスリット239の端面長さLを下限値Lminに設定することができる。本実施形態のスリット239(横スリット238)は、シールドケース203の1つの面、ここでは、後壁33の高さ方向下面側に形成され、スリット239を区画する一対の接地端子237cは、スリット239が形成される面である後壁33の両端部にそれぞれ位置する。この場合、スリット39の端面長さLは、
図8に示すように、スリット239(横スリット238)の端面を構成する区間L21〜L23の合計の長さに相当する。
【0057】
以上で説明した変形例に係る光コネクタ201によれば、スリット239は、シールドケース203の1つの面に形成され、一対の接地端子237cは、スリット239が形成される面の両端部にそれぞれ位置する。したがって、光コネクタ201は、シールドケース203の後壁33に形成された横スリット238によってスリット239の全体を構成することができ、当該スリット239の端面長さLを、複数のリードフレーム51の並び方向の長さに応じた下限値Lmin、ここでは、13.80[mm]に設定に設定することができる。この結果、光コネクタ201は、スリット239の端面長さLを複数のリードフレーム51の並び方向の長さに応じた下限値Lminとすることで、共振周波数Fを確実に常用域から離れた高周波数帯に設定することができ、これにより、共振によって特定の周波数でノイズが増大することを確実に抑制することができる。
【0058】
なお、以上で説明でした基板実装部品は、光コネクタ1、201であるものとして説明したが、これに限らず、複数のリードフレーム51を導出し、この複数のリードフレーム51を回路基板100に電気的に接続しつつ実装を行う部品であればよい。基板実装部品は、光コネクタ1、201等の他、電気コネクタ、あるいは、光コネクタと電気コネクタとを一体化してなるハイブリッドコネクタ等であってもよい。また、以上の説明では、光コネクタ1、201は、表面実装に係る接続を例に挙げて説明をしたが、これに限らず、スルーホール等を介して回路基板100の裏面側で接続を行うようにしてもよいものとする。
【0059】
以上の説明では、設定共振周波数下限値fは、2.5[GHz]に設定されるものとして説明したが、これに限らず、上述したように任意に設定されてもよい。
【0060】
なお、シールドケースに対して、回路基板との間からリードフレームを露出させる部分を含む一連のスリットが分断されて複数形成されている場合、上述の数式(2)を満たすようにスリットを形成する際には端面長さが最も長いスリットを対象として、上述の数式(2)を満たすように形成すればよい。