(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
手動操作に基づいて走行変速装置を複数の変速段のうちのいずれかの変速段に切り換える走行変速具、及び、その走行変速具の変速操作に伴って移動して、前記走行変速具が前記複数の変速段のうちのいずれの変速段に切り換えられているかを表示する指標部を備えた変速操作装置と、
前記複数の変速段に対応した表示用案内溝を有し、前記指標部が前記表示用案内溝に位置させられる表示用案内板とを備えた作業機であって、
前記走行変速具による複数の変速段のうちの特定の変速段への変速操作を牽制する牽制姿勢とその牽制を解除する解除姿勢とに姿勢変更自在な牽制部が備えられ、
前記牽制部は、1つのネジ部による締結作用により、前記牽制姿勢と前記解除姿勢とに姿勢変更並びに位置保持自在に前記表示用案内板に支持され、
前記指標部から前記ネジ部の側方位置に向けて延びる延設部が設けられ、
前記牽制部は、前記延設部に接当して前記特定の変速段への変速操作を牽制する牽制作用部と、前記特定の変速段に対応する前記表示用案内溝を塞ぐ案内溝閉塞部とを備えている作業機。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来構成における牽制部は、固定部に対する取付位置から延設された牽制作用部により走行変速具に牽制作用するようにしたものであり、走行変速具が手動操作にて移動するときに牽制作用部に接当して特定の変速段への切り換えが牽制されることになる。この構成では、牽制作動が行われる度に、固定部に対する取付位置から長く延設された牽制作用部に対して走行変速具が接当して、牽制作用部の基端部に対して長いモーメントによる強い力が作用することがある。このような牽制に伴う接当動作が繰り返し行われると、牽制作用部の基端部が損傷するおそれがあり、しかも、1つのネジ部を用いた簡易な支持構造であれば、ネジ部での緩みが発生して固定部に対する支持が適正に行えなくなる等の不利があった。
【0007】
そこで、支持構造の複雑化を招くことなく、且つ、操作の煩わしさが少なく、牽制部により特定の変速段への切り換えを牽制することが可能でありながら、牽制部が長期にわたり良好に作動することが可能な作業機が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る作業機の特徴構成は、
手動操作に基づいて走行変速装置を複数の変速段のうちのいずれかの変速段に切り換える走行変速具、及び、その走行変速具の変速操作に伴って移動して、前記走行変速具が前記複数の変速段のうちのいずれの変速段に切り換えられているかを表示する指標部を備えた変速操作装置と、
前記複数の変速段に対応した表示用案内溝を有し、前記指標部が前記表示用案内溝に位置させられる表示用案内板とを備えた作業機であって、
前記走行変速具による複数の変速段のうちの特定の変速段への変速操作を牽制する牽制姿勢とその牽制を解除する解除姿勢とに姿勢変更自在な牽制部が備えられ、
前記牽制部は、1つのネジ部による締結作用により、前記牽制姿勢と前記解除姿勢とに姿勢変更並びに位置保持自在に前記表示用案内板に支持され、
前記指標部から前記ネジ部の側方位置に向けて延びる延設部が設けられ、
前記牽制部は、前記延設部に接当して前記特定の変速段への変速操作を牽制する牽制作用部と、前記特定の変速段に対応する前記表示用案内溝を塞ぐ案内溝閉塞部とを備えている点にある。
【0009】
本発明によれば、牽制部は、1つのネジ部による締結作用により、牽制姿勢と解除姿勢とに姿勢変更並びに位置保持自在に支持されているから、簡単な支持構造により牽制部を支持することができ、しかも、牽制部を姿勢変更するときは、1つのネジ部の締結を解除したり締結させるだけで対応でき、支持構造の複雑化を招くことなく、且つ、切り換え操作が煩わしくなく、牽制部により特定の変速段への切り換えを牽制することが可能となる。
【0010】
指標部からネジ部の側方位置に向けて延びる延設部が設けられており、ネジ部は牽制部が表示用案内板に締結される箇所である。つまり、牽制部における牽制作用部が、ネジ部に近接する箇所にて、走行変速具の変速操作に伴って移動する延設部に接当して特定の変速段への変速操作を規制することになる。
【0011】
その結果、牽制作動の際に、ネジ部により固定される箇所に長いモーメントによる強い力が作用することを回避でき、牽制作用部が基端部で破損したり、固定部に対する支持が不適正なものになる等のおそれが少なく、長期にわたり良好な牽制作動を維持することができる。
【0012】
又、牽制部は、案内溝閉塞部を備えて、特定の変速段に対応する表示用案内溝を塞ぐことができるので、操作者が、その特定の変速段への操作が牽制されていることを目視で確認することができ、特定の変速段へ無理に操作する等の煩わしさがなく、変速操作を良好に行える。
【0013】
従って、支持構造の複雑化を招くことなく、且つ、操作の煩わしさが少なく、牽制部により特定の変速段への切り換えを牽制することが可能でありながら、牽制部が長期にわたり良好に作動することが可能な作業機を提供できるに至った。
【0014】
本発明においては、前記牽制部は、前記牽制姿勢において、
前記表示用案内板に接当して、前記ネジ部の軸芯周りでの回動を規制する回動規制部を備えていると好適である。
【0015】
本構成によれば、牽制部は、牽制作動に伴って、延設部と接当してネジ部の軸芯周りで回動するような力が作用しても、回動規制部によりネジ部の軸芯周りでの回動が規制されるので回動に伴う姿勢変化を抑制して、牽制部が長期にわたり良好に作動することが可能となる。
【0016】
本発明においては、前記案内溝閉塞部は、前記牽制作用部よりも薄肉の板状体にて構成されていると好適である。
【0017】
本構成によれば、案内溝閉塞部は、特定の変速段に対応する表示用案内溝を塞ぐだけであり、他の部材に接当する等の無理な力が掛かることはない。そこで、案内溝閉塞部を、牽制作用部よりも薄肉の板状体にて構成することで、部材の軽量化並びに構造の簡素化を図ることが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る作業機の実施形態を作業機の一例として歩行型管理機に適用した場合について図面に基づいて説明する。
図1,2に示すように、歩行型管理機は、左右一対の推進車輪1と、複数段の前後進切換えを行うミッションケース2と、ミッションケース2から片持ち状に延出されたエンジン支持フレーム3と、このエンジン支持フレーム3に搭載連結される横軸型のエンジン4と、ミッションケース2の上部から片持ち状に延出された操縦ハンドル5とを備えている。
【0020】
操縦ハンドル5は、ミッションケース2の上部に上下軸芯X周りで前後向き変更可能に支持されており、操縦ハンドル5を後向き延出した基本状態(以下、ハンドル基本状態という)と、操縦ハンドル5を前向きに延出した逆向き状態(以下、ハンドル逆向き状態という)とに向き変更可能に構成されている。なお、この歩行型管理機においては、基本的には機体におけるエンジン4の存在する側が機体前方であり、その逆向きが機体後方とされるものであり、以後の説明における方向の記述は上記した基本の前後方向に基づくことにする。
【0021】
エンジン4の左側方に突出された出力軸11とミッションケース2の上部左側に突出された入力軸12とが、テンションクラッチ式の主クラッチ13を構成するベルト伝動機構14で連動連結されるとともに、このベルト伝動機構14全体が樹脂製のベルトカバー15で覆れている。又、エンジン4及びミッションケース2の上方が上部ケース16にて覆われている。
【0022】
ミッションケース2の後部には後部ヒッチ7が、また、エンジン支持フレーム3の前端には前部ヒッチ8がそれぞれ備えられており、これらにロータリ耕耘装置、草刈装置、その他の各種作業装置(図示せず)を連結することができるようになっている。
【0023】
図示はしないが、ミッションケース2には、入力軸12に伝達される動力を、前進2段及び後進2段に変速する主変速機構と、主変速機構にて変速された後の動力を3段に変速する副変速機構とが内装されている。そして、手動操作により、これらの主変速機構及び副変速機構を切り換える変速操作装置HSが備えられている。
【0024】
変速操作装置HSについて説明する。
図1,2に示すように、手動操作するための変速レバー76が、操縦ハンドル5の下方側においてミッションケース2から後方に向けて延出する状態で設けられている。又、
図3に示すように、ミッションケース2における左横外側の上部後端近くに、横向き支点p周りに回動可能に変速作動部材74が支持されている。そして、
図4に示すように、この変速作動部材74に備えられた縦向きのボス部74aに、縦向き軸心q周りに回動自在に回動部材75が支持されるとともに、この回動部材75およびボス部74aに変速レバー76の基端縦軸部76aが挿入連結されている。
【0025】
変速レバー76の基端縦軸部76aは回動部材75に対して上下スライド可能に支持されるとともに、内装したバネ77によって下方にスライド付勢されている。基端縦軸部76aが下方スライドされると基端縦軸部76aの外周に形成されたセレーション部76bが回動部材75のセレーション孔75aに嵌合されて、変速レバー76と回動部材75とが縦向き軸心q周りに一体回動可能となる。基端縦軸部76aをバネ77に抗して上方に引き上げることで、基端縦軸部76aのセレーション部76bが回動部材75のセレーション孔75aから上方に抜け外れ、変速レバー76を縦向き軸心q周りに旋回させて前後に向き変更することが可能となる。
【0026】
図4,9,17に示すように、回動部材75に一体固定される平面視で略U字形のブラケット30に、支点ピン31を介して横向き支点t周りに回動自在に走行変速具としての主変速操作部材78が枢支連結されている。この主変速操作部材78は、支点ピン31にて回動自在に支持される左右一対の回動支持部78Aと、回動支持部78Aから前部側に向けて一体的に延設される平面視で略U字形の水平面部78Bとを備えている。水平面部78Bにおける前後3箇所から係合片78a,78b,78cが下向きに折り曲げ突設されている。又、水平面部78Bの上部側には、矩形の板体からなる補強板78Cが一体的に連結されて強度補強を図っている。
【0027】
図3,4に示すように、主変速機構において前進2段の変速を行う前進変速用の変速シフト軸63と、後進2段の変速を行う後進変速用の変速シフト軸64とが、それぞれミッションケース2の左側壁から外方に突出する状態で備えられている。又、3段の副変速を行う変速シフト軸26も同様にミッションケース2の左側壁から外方に突出する状態で備えられている。尚、各シフト軸63,64,26は、図示しないボールデテント機構により、各変速操作位置で位置保持自在に設けられている。
【0028】
図3,4,9に示すように、主変速用の各変速シフト軸63,64における外方突出部位には操作ブロック71,72が一体的に連結固定されるとともに、両操作ブロック71,72が前後に近接配備されている。副変速用の変速シフト軸26の外方突出部位にはカム板73が後下り傾斜姿勢で連結されている。
【0029】
操作ブロック71,72には、係合片78a,78b,78cの前後方向への移動を許容し、係合片78a,78b,78cを左右移動不能に係合する係合溝71a,72aがそれぞれ形成されている。又、操作ブロック71,72には、自重で下方揺動する主変速操作部材78の係合片78a,78b,78cを受け止める平坦な案内辺71b,72bが連設されており、両変速シフト軸63,64が共に中立位置にある時に、両操作ブロック71,72の係合溝71a,72aが前後に合致して、係合片78a,78b,78cの前後への通過移動が可能となる。
そして、3つの係合片78a,78b,78cが、操作ブロック71,72に選択的に係合されるようになっている。
【0030】
主変速操作部材78の水平面部78Bから上方に向けてゲージピン79が固定立設されている。このゲージピン79は、ミッションケース2の上部に固定配備された表示用案内板80の表示用案内溝としての案内溝81、および、上部ケース16に連なって設けられた変速表示板95の案内溝96を挿通して上方に突出している。
【0031】
変速レバー76と、主変速操作部材78と、回動部材75等により、変速操作装置HSが構成されている。
【0032】
図3,4に示すように、変速作動部材74と副変速用の変速シフト軸26とがカム機構83を介して連動連結されている。このカム機構83は、変速シフト軸26に連結されたカム板73と、変速作動部材74の下端部から延出された1本の変速操作ピン82とで構成されている。カム板73の遊端側が、ミッションケース2に連結固定されたガイド部材85に左右移動可能に案内係合されており、変速シフト軸26の軸心方向シフトにかかわらずカム板73が常に一定の姿勢に維持されるようになっている。
【0033】
図12に示すように、カム板73には前後方向に長い階段状のカム溝84が形成されており、このカム溝84に変速操作ピン82が係入されている。従って、変速レバー76の上下揺動操作によって変速操作ピン82が横向き支点p周りに揺動すると、カム溝84の案内作用によってカム板73が相対的に左右に移動されて、変速シフト軸26がシフト操作されるようになっている。
【0034】
具体的には、変速レバー76が下方域に操作されると、
図4,5,12に示すように、変速操作ピン82がカム溝84の左方に偏位された上部ガイド部84uに位置し、変速シフト軸26が機体左方に大きくシフトされて副変速機構が「低速」に切換えられる。
変速レバー76が上下中間域に操作されると、
図6,7に示すように、変速操作ピン82がカム溝84の左右中間に位置する中間ガイド部84mに位置し、変速シフト軸26が左方に押し込みシフトされて副変速機構が「中速」に切換えられる。更に、変速レバー76が上方域に操作されると、
図8に示すように、変速操作ピン82がカム溝84の右方に偏位された下部ガイド部84dに位置し、変速シフト軸26が更に左方に押し込みシフトされて副変速機構が「高速」に切換えられる。
【0035】
図4に示すように、変速レバー76を左右中央の中立位置で最下方の変速域に操作すると、副変速機構が「低速」に切換えられた状態で、最前方の係合片78aが前進変速用の操作ブロック72に選択係合されることになり、この状態で変速レバー76を左右に揺動操作することで、選択係合した変速シフト軸63をシフト操作して、前進1速F1と前進2速F2の変速を行うことができる。
【0036】
図5に示すように、変速レバー76を左右中央の中立位置に戻して1段上方に操作すると、副変速機構が「低速」に維持された状態で、前後中間の係合片78bが後進変速用の操作ブロック71に選択係合されることになり、この状態で変速レバー76を左右に揺動操作することで、選択係合した変速シフト軸64をシフト操作して、後進1速R1と後進2速R2の変速を行うことができる。
【0037】
図6に示すように、変速レバー76を左右中央の中立位置に戻して更に1段上方に操作すると、副変速機構が「中速」に切換えられた状態で、前後中間の係合片78bが前進変速用の操作ブロック72に選択係合されることになり、この状態で変速レバー76を左右に揺動操作することで、選択係合した変速シフト軸63をシフト操作して、前進3速F3と前進4速F4の変速を行うことができる。
【0038】
図7に示すように、変速レバー76を左右中央の中立位置に戻して更に1段上方に操作すると、副変速機構が「中速」に維持された状態で、最後方の係合片78cが後進変速用の操作ブロック71に選択係合されることになり、この状態で変速レバー76を左右に揺動操作することで、選択係合した変速シフト軸64をシフト操作して、後進3速R3と後進4速R4の変速を行うことができる。
【0039】
図8に示すように、変速レバー76を左右中央の中立位置に戻して最上方の操作域に操作すると、副変速機構が「高速」に切換えられた状態で、最後方の係合片78cが前進変速用の操作ブロック72に選択係合されることになり、この状態で変速レバー76を左右に揺動操作することで、選択係合した変速シフト軸63をシフト操作して、前進5速F5と前進6速F6の変速を行うことができる。
【0040】
すなわち、前進2段・後進2段の変速が可能な主変速機構と3段の変速が可能な副変速機構を組合わせることで、全体として前進6段・後進4段の多段変速を行うよう構成されているのである。尚、上記変速構成では操作構造を変更すれば、前進6段・後進6段の多段変速も可能であるが、ハンドル基本状態では、高速での後進走行状態R5,R6が現出されないようになっている。尚、ハンドル基本状態では、変速レバー76も後方向きに設けられる。
【0041】
図4〜
図8,
図11に示すように、表示用案内板としての変速表示板95に形成された案内溝96の横側には山形に突出する表示部97が設けられている。この表示部97の後向き斜面rには、機体後方から読み取り可能に変速段が表示されている。従って、ハンドル基本状態では、ゲージピン79の位置を表示部97の後向き斜面rの表示に対比させることで変速位置を認識することができる。
【0042】
一方、表示部97の前向き斜面fには、機体前方から読み取り可能に変速段が表示されている。従って、ハンドル逆向き状態では、ゲージピン79の位置を表示部97の前向き斜面fの表示に対比させることで変速位置を認識することができる。尚、ハンドル逆向き状態では、変速レバー76も前向き状態に反転することになる。
【0043】
そして、主変速操作部材78の変速用操作領域に位置して複数の変速段のうちの特定の変速段、具体的には、ハンドル逆向き状態において、最高速での後進走行状態(後進6速R6)に対応する変速段への変速操作を牽制する牽制姿勢と、変速用操作領域から退避して牽制を解除する解除姿勢とに姿勢変更自在な牽制部としての第1牽制具40が備えられている。上記変速段は、ハンドル基本状態においては、最高速での前進走行状態(前進6速F6)に対応する変速段となる。
【0044】
図17に示すように、第1牽制具40は、溶接ナット45を備えた取付部40Aと、取付部40Aの後端部から略L字状に下方に向けて折り曲げ形成された牽制作用部40Bと、取付部40Aの左側端部から略L字状に上方に向けて折り曲げ形成された回動規制部40Cと、回動規制部40Cの上端部に連結されて水平方向に延びる案内溝閉塞部40Dとを備えている。そして、案内溝閉塞部40Dにおける左右中央部の前部側に挿通孔40Eが形成され、その挿通孔40Eの下面側にナット45が溶接固定されている。
【0045】
図4,10,17に示すように、第1牽制具40は、1つのネジ部としての1本のボルト41による締結作用により、牽制姿勢と解除姿勢とに姿勢変更並びに位置保持自在に表示用案内板80に固定状態で支持されている。
図10に示すように、表示用案内板80は、ミッションケース2の上部の側壁部2Aにボルト連結により固定されている。従って、表示用案内板80が固定部Kとして機能する。
【0046】
図4,10,11,17に示すように、変速表示板95に形成された挿通孔43、表示用案内板80に形成された挿通孔44、案内溝閉塞部40Dに形成された挿通孔40Eを通して上方側からボルト41が装着され、そのボルト41と、溶接固定されたナット45とを締結して、第1牽制具40が表示用案内板80に固定状態で支持されている。
【0047】
取付部40A、牽制作用部40B及び回動規制部40Cは夫々、表示用案内板80の下側に位置しており、案内溝閉塞部40Dは、表示用案内板80の上側であって、表示用案内板80と変速表示板95との間に位置する状態で備えられる。又、
図14に示すように、第1牽制具40が牽制姿勢に切り換えられると、案内溝閉塞部40Dが、表示用案内板80に形成された案内溝96のうち、作動が牽制された特定の変速段に対応する部分、つまり、ハンドル逆向き状態において、最高速での後進走行状態(後進6速R6)に対応する案内溝を閉塞する。その結果、操作者は、後進6速R6に操作することが牽制されている状態であることを目視で判別することができる。
【0048】
図16に示すように、案内溝閉塞部40Dは、牽制作用部40Bよりも薄肉の板状体にて構成されている。この案内溝閉塞部40Dは、他の部材との接当等による大きな力は作用しないので、薄肉にして部材の軽量化並びに構造の簡素化を図っている。
【0049】
表示用案内板80に形成されたボルト挿通用の挿通孔44が前後方向に沿う長孔に形成され、この長孔に沿ってボルト41と第1牽制具40とを一体的に前後にスライドさせることにより、第1牽制具40は、前後方向に位置変更自在であり、任意の位置でボルト41の締め付けにより固定自在に設けられている。
【0050】
図8,10,14に示すように、第1牽制具40を挿通孔44(長孔)における最後部側に位置させてボルト41を締め付け固定すると、第1牽制具40は牽制姿勢となり、ハンドル基本状態において、前進5速F5と前進6速F6の変速が可能な位置に主変速操作部材78が操作されている状態で、主変速操作部材78の最前方の係合片78aに牽制作用部40Bが接当作用して、前進6速F6の変速段に移動操作することを牽制する。
【0051】
このような牽制作用時において、最前方の係合片78aに牽制作用部40Bが接当作用することにより、第1牽制具40がボルト41の軸芯周りで回動する方向の力が作用するが、回動規制部40Cが表示用案内板80(固定部Kの一例)の左側端縁に接当してボルト41の軸芯周りでの回動を阻止するようになっている。
【0052】
又、
図14に示すように、この牽制状態では、案内溝閉塞部40Dが、表示用案内板80の案内溝81のうち前進6速F6の変速段に相当する案内溝81を閉塞する構成となっている。上記したような前進6速F6の変速段に対応する変速操作位置は、ハンドル逆向き状態においては、後進6速R6に相当するものである。
【0053】
従って、この実施形態では、主変速操作部材78の最前方の係合片78aが、ゲージピン79から第1牽制具40におけるネジ部41に近接する位置にまで延びる延設部(E)を兼用する構成となっている。
【0054】
図13に示すように、第1牽制具40を挿通孔44(長孔)における最前部側に位置させてボルト41を締め付け固定すると、第1牽制具40は解除姿勢になり、主変速操作部材78は牽制されることなく、ハンドル基本状態における前進6速F6(ハンドル逆向き状態における後進6速R6)に変速操作可能である。
【0055】
上記した第1牽制具40の他に、高速での後進走行状態R5,R6が現出されないように牽制する第2牽制具46が備えられている。
図4,10,17に示すように、第2牽制具46は、表示用案内板80の横幅と略同じ横幅の板材にて構成され、第1牽制具40と同様に、表示用案内板80の下側に位置する状態で設けられている。第2牽制具46には、左右中央部の前部側に挿通孔47が形成され、その挿通孔47の下面側にナット48が溶接固定されている。そして、変速表示板95及び表示用案内板80に形成された挿通孔49,50を通して上方側から装着されたボルト51と、溶接ナット48とを締結することで、第2牽制具46が変速表示板95及び表示用案内板80に固定状態で支持される構成となっている。
【0056】
表示用案内板80を挿通する挿通孔50が前後方向に沿う長孔に形成され、この長孔に沿ってボルト51と第2牽制具46とを一体的に前後にスライドさせることにより、第2牽制具46は、前後方向に位置変更自在であり、任意の位置でボルト51の締め付けにより固定自在に設けられている。
【0057】
図13,14に示すように、ボルト51を挿通孔50(長孔)のうち最前部側に位置させてボルト51を締め付け固定すると、第2牽制具46は解除姿勢となり、主変速操作部材78が全ての変速段に操作可能な状態となる。そして、
図15に示すように、ボルト51を挿通孔50(長孔)のうち最後部側に位置させてボルト51を締め付け固定すると、第2牽制具46は牽制姿勢となり、ハンドル基本状態において、第2牽制具46の後部側端縁がゲージピン79に接当作用して、変速操作部材78が、前進5速F5と前進6速F6の変速操作を行う位置にまで移動することを牽制する。
【0058】
第2牽制具46の前後方向のスライド移動を許容しながら、ボルト51の軸芯周りで回動することによる第2牽制具46の姿勢変化を阻止する回動規制機構52が備えられている。つまり、
図13〜15,17に示すように、第2牽制具46における挿通孔47よりも右側に寄った箇所に、前後方向に沿って長い係合溝53が形成されている。又、表示用案内板80における係合溝53に対応する箇所に、その係合溝53に入り込み係合する係合突部54が下方に向けて突出する状態で一体形成されている。
【0059】
係合突部54は、第2牽制具46の係合溝53が係合する上部側箇所は係合溝53の幅と略同じ幅を備え、下部側箇所は、係合溝53の幅よりも広幅の先膨らみ状に形成されている。このように構成することで、係合突部54の係合溝53からの上方への抜け外れを阻止して、第2牽制具46が表示用案内板80に対して上下に位置変化しない状態でスライド案内されるようになっている。
【0060】
図15に示すように、第2牽制具46が牽制姿勢に切り換わると、表示用案内板80の前進5速F5及び前進6速F6に対応する変速溝を下方側から覆う状態となり、操作者は、前進5速F5及び前進6速F6に操作することが牽制されている状態であることを目視で判別することができる。
【0061】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、牽制部(第1牽制具)40が、牽制姿勢において
、表示用案内板80に接当してネジ部41の軸芯周りでの回動を規制する回動規制部40Cを備える構成としたが、このような回動規制部40Cを備えない構成としても
よい。
【0062】
(2)上記実施形態では、牽制部40における牽制作用部40Bが、溶接ナット45を備えた取付部40Aの後端部から略L字状に下方に向けて折り曲げ形成されるものを示したが、このような構成に代えて、溶接ナット45あるいはネジ部41をそのまま牽制作用部40Bとして用いる構成としてもよい。又、ネジ部としては、ボルトを予め溶接しておき、ナットを装着して締め付ける構成としてもよい。
【0063】
(3)上記実施形態では、主変速操作部材78の最前方の係合片78aが、指標部79からネジ部41の側方位置に向けて延びる延設部Eに兼用構成されるものを示したが、延設部Eとしては、係合片78aとは別に設けられた牽制用の部材にて形成されるものでもよい。
【0064】
(4)上記実施形態では、案内溝閉塞部40Dが、牽制作用部40Bよりも薄肉の板状体にて構成されるものを示したが、このような構成に代えて、案内溝閉塞部40Dが牽制作用部40Bよりも薄厚の板状体あるいは同じ厚さの板状体等で構成してもよい。
【0065】
(5)上記実施形態では、作業機として歩行型管理機を示したが、例えば、収穫機、草刈機等の他の種類の作業機であってもよい。