特許第6207480号(P6207480)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6207480
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】ヒートポンプ熱源機
(51)【国際特許分類】
   F24H 4/02 20060101AFI20170925BHJP
   F25B 30/02 20060101ALI20170925BHJP
   F25B 49/02 20060101ALI20170925BHJP
【FI】
   F24H4/02 N
   F25B30/02 F
   F25B30/02 H
   F25B30/02 Z
   F25B49/02 570Z
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-156466(P2014-156466)
(22)【出願日】2014年7月31日
(65)【公開番号】特開2016-33438(P2016-33438A)
(43)【公開日】2016年3月10日
【審査請求日】2016年9月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】505461072
【氏名又は名称】東芝キヤリア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088720
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 眞一
(74)【代理人】
【識別番号】100118430
【弁理士】
【氏名又は名称】中原 文彦
(72)【発明者】
【氏名】岡本 隆宏
【審査官】 宮崎 賢司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−216265(JP,A)
【文献】 特開平05−264089(JP,A)
【文献】 特開平09−243138(JP,A)
【文献】 特開2010−159904(JP,A)
【文献】 特開2008−075962(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0051713(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 4/02
F25B 30/02
F25B 49/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒を圧縮する圧縮機と、
圧縮された前記冷媒を凝縮して液化させる放熱側熱交換器と、
液化された前記冷媒を蒸発させる吸熱側熱交換器と、
液媒体が貯められる貯液部と前記放熱側熱交換器との間で前記液媒体が循環される配管と、
前記配管における前記放熱側熱交換器の入口側に設けられて前記液媒体の温度を検出する入口側温度検出部と、
前記配管における前記放熱側熱交換器の出口側に設けられて前記液媒体の温度を検出する出口側温度検出部と、
前記入口側温度検出部で検出された前記液媒体の入口側温度と前記出口側温度検出部で検出された前記液媒体の出口側温度とに基づき、前記入口側温度と前記出口側温度とを平均化して同じにする補正値を演算する手段と、を有し、
前記補正値を演算した後は、前記入口側温度と前記出口側温度とを前記補正値で補正した補正済入口側温度と補正済出口側温度とを用いてその後の演算を行うようにしたことを特徴とするヒートポンプ熱源機。
【請求項2】
前記補正値を演算した後の所定時間経過後において、前記補正済出口側温度が前記補正済入口側温度より低い場合には、前記圧縮機で圧縮された冷媒の流れ方向を切替える四方弁の切替位置が適正でないことを報知する非適正報知部と、前記圧縮機の運転を停止させる手段とを備えることを特徴とする請求項1記載のヒートポンプ熱源機。
【請求項3】
前記液媒体の循環流量を入力する循環流量入力部と、入力した循環流量と前記補正済入口側温度と前記補正済出口側温度とに基づいて加熱能力を演算する手段と、演算した加熱能力を表示すると加熱能力表示部とを備えることを特徴とする請求項1又は2記載のヒートポンプ熱源機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、加温水等の液媒体を加熱するヒートポンプ熱源機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、冷媒を圧縮する圧縮機と、圧縮した冷媒を凝縮して液化させることにより放熱する放熱側熱交換器と、液化された冷媒を蒸発させることにより吸熱する吸熱側熱交換器とを備え、加温水等の液媒体を放熱側熱交換器を経由して循環させることにより、その液媒体を放熱側熱交換器から放熱される熱で加熱するようにしたヒートポンプ熱源機が知られている(例えば、下記特許文献1参照)。
【0003】
このようなヒートポンプ熱源機には、放熱側熱交換器を経由して循環する液媒体の配管における放熱側熱交換器への入口側と出口側とに温度検出部(入口側温度検出部、出口側温度検出部)が設けられ、これらの入口側温度検出部と出口側温度検出部で検出した液媒体の温度(入口側温度、出口側温度)を用いて各種の判断や演算を行うようにしている。
【0004】
入口側温度と出口側温度とを用いて行う判断としては、例えば、冷媒の流れ方向を切替える四方弁の切替位置が適正であるか否かの判断が挙げられる。また、入口側温度と出口側温度とを用いて行う演算としては、ヒートポンプ熱源機の液媒体を加熱する能力の演算が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第5256462号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来のヒートポンプ熱源機では、入口側温度検出部で検出した入口側温度と、出口側温度検出部で検出した出口側温度とをそのまま用いて様々な判断や演算を行っている。
【0007】
このため、入口側温度検出部と出口側温度検出部とにおいて、個々の部品精度のバラツキや組付精度のバラツキ等により、検出された入口側温度と出口側温度とが実際の温度と誤差を生じる場合がある。そして、検出された入口側温度と出口側温度とが実際の温度と誤差が生じ、出口側温度が入口側温度より低いと検出された場合には、四方弁の切替位置が適正でないと誤判断されることがある。また、検出された入口側温度と出口側温度とが実際の温度と誤差が生じると、入口側温度と出口側温度とを用いて行うヒートポンプ熱源機の加熱能力の演算が正確に行われない。
【0008】
本発明の実施形態の目的は、四方弁の切替位置が適正であるにも関わらず適正でないとする誤判断を防止することができ、また、正確な加熱能力を求めることができるヒートポンプ熱源機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施形態のヒートポンプ熱源機は、冷媒を圧縮する圧縮機と、圧縮された冷媒を凝縮して液化させる放熱側熱交換器と、液化された冷媒を蒸発させる吸熱側熱交換器と、液媒体が貯められる貯液部と放熱側熱交換器との間で液媒体が循環される配管と、配管における放熱側熱交換器の入口側に設けられて液媒体の温度を検出する入口側温度検出部と、配管における放熱側熱交換器の出口側に設けられて液媒体の温度を検出する出口側温度検出部と、入口側温度検出部で検出された液媒体の入口側温度と出口側温度検出部で検出された液媒体の出口側温度とに基づき、入口側温度と出口側温度とを平均化して同じにする補正値を演算する手段と、を有し、補正値を演算した後は、入口側温度と出口側温度とを補正値で補正した補正済入口側温度と補正済出口側温度とを用いてその後の演算を行うようにしたことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一実施形態のヒートポンプ熱源機を含む加温システムの構成図である。
図2】ヒートポンプ熱源機により加温水を加熱する場合の制御について説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施形態について図面に基づいて説明する。図1は加温システムの構成図であり、この加温システムは、ヒートポンプ熱源機1と、ヒートポンプ熱源機1により目的の温度に加熱された液媒体である加温水が貯められる貯液部である恒温槽2とを備えている。恒温槽2に貯められた加温水は、配管3を経由して加温水を必要とする装置、例えば、床暖房装置や、チョコレートを溶かした状態に維持する湯煎装置等に供給される。
【0012】
ヒートポンプ熱源機1は、制御部4と、冷媒を圧縮する圧縮機5と、圧縮された冷媒の流れ方向を切替える四方弁6と、圧縮された冷媒が凝縮されて液化される放熱側熱交換器7と、液化された冷媒を膨張させる膨張弁8と、膨張した冷媒を蒸発させる吸熱側熱交換器9とを備えている。吸熱側熱交換器9の近傍には、周囲の空気を吸熱側熱交換器9に向けて送風することにより冷媒の蒸発を促進させる送風ファン10が設けられている。
【0013】
放熱側熱交換器7と恒温槽2との間には、加温水が流れる配管11が接続されている。配管11の途中には、放熱側熱交換器7と恒温槽2との間で加温水を循環させる循環ポンプ12が設けられている。配管11における放熱側熱交換器7に加温水が流入する入口側には、放熱側熱交換器7に流入する加温水の温度を検出する入口側温度検出部13が設けられている。配管11における放熱側熱交換器7から加温水が流出する出口側には、放熱側熱交換器7から流出する加温水の温度を検出する出口側温度検出部14が設けられている。
【0014】
制御部4は、ヒートポンプ熱源機1の各部の制御や入力されたデータに基づいて各種の演算を行う部分であり、この制御部4には、圧縮機5、四方弁6、膨張弁8、送風ファン10、入口側温度検出部13、出口側温度検出部14等が接続されている。さらに、制御部4には、加温水の循環流量を入力する循環流量入力部15と、四方弁6の切替位置が適正でないことを報知する非適正報知部であるとともに、ヒートポンプ熱源機1の加熱能力を表示する加熱能力表示部である表示部16が設けられている。
【0015】
このような構成において、この加温システムにおいては、恒温槽2内の加温水を加熱する加熱運転時には、四方弁6は圧縮機5で圧縮された冷媒が放熱側熱交換器7内に供給される位置(暖房位置)に切替えられる。そして、圧縮機5で圧縮された冷媒は矢印で示すように流れ、放熱側熱交換器7、膨張弁8、吸熱側熱交換器9を経由して圧縮機5に戻る。
【0016】
このように冷媒が流れる過程において、圧縮機5で圧縮されて高温となった冷媒が放熱側熱交換器7内において凝縮されて液化することにより放熱され、放熱された熱により放熱側熱交換器7内を経由して循環する加温水が加熱される。
【0017】
加温水が流れる配管11には、放熱側熱交換器7の入口側に位置して入口側温度検出部13が設けられ、放熱側熱交換器7の出口側に位置して出口側温度検出部14が設けられ、これらの入口側温度検出部13と出口側温度検出部14で検出された加温水の温度により圧縮機5がオン・オフされ、加温水が目的とする温度に維持される。
【0018】
つぎに、加温水を加熱する場合の制御について図2のフローチャートに基づいて説明する。
【0019】
まず、ヒートポンプ熱源機1の始動スイッチが操作者によってオンされることにより、制御部4において運転オン指令が検知され(ステップS1)、制御部4からの指令により四方弁6が暖房位置に切替えられ(ステップS2)、制御部4からの指令により圧縮機5がオンされる(ステップS3)。
【0020】
ステップS3で圧縮機5がオンされた後の所定時間経過後、入口側温度検出部13で検出された加温水の入口側温度“TA”と出口側温度検出部14で検出された加温水の出口側温度“TB”とが、“TB≧TA”であるか否かが制御部4において判断される(ステップS4)。
【0021】
ステップS4において“YES”と判断された場合は、加温水の温度(例えば、入口側温度“TA”)が目標温度に上昇した場合にサーモオフされる(ステップS5)。ここで、サーモオフとは、加温水の温度が目標温度に上昇した場合に制御部4によりヒートポンプ熱源機1の運転が停止されることを意味する。
【0022】
ステップS5でサーモオフされた後、入口側温度検出部13で検出された入口側温度“TA”と出口側温度検出部14で検出された出口側温度“TB”とに基づき、入口側温度“TA”と出口側温度“TB”とを平均化して同じにする補正値“α”が制御部4において演算される(ステップS6)。補正値“α”は、“|TA−TB|/2”の演算式により求められる。
【0023】
補正値“α”が演算された後は、入口側温度“TA”と出口側温度“TB”とを補正値“α”で補正した補正済入口側温度“TA´”と補正済出口側温度“TB´”とが制御部4において演算される(ステップS7)。この場合の“TA´”、“TB´”は、ステップS4の“YES”で示したように入口側温度“TA”と出口側温度“TB”とが、“TB≧TA”の関係であるので、“TA´=TA+α”、“TB´=TB−α”の演算式により求められる。
【0024】
補正済入口側温度“TA´”と補正済出口側温度“TB´”とが求められた後は、これらの補正済入口側温度“TA´”と補正済出口側温度“TB´”とを用いてサーモオン(ステップS8)とサーモオフ(ステップS9)とが制御部4により繰り返される。ここで、サーモオンとは、サーモオフに伴い加温水の温度が目標温度まで下降した場合に停止されていたヒートポンプ熱源機1の運転を再開させることを意味する。
【0025】
一方、ステップS4において“NO”と判断された場合は、四方弁6の切替位置が冷房位置である(適正な位置でない)と制御部4により判断され(ステップS10)、制御部4により圧縮機5がオフされる(ステップS11)。
【0026】
ステップS11において圧縮機5がオフされた後、入口側温度検出部13で検出された入口側温度“TA”と出口側温度検出部14で検出された出口側温度“TB”とに基づき、入口側温度“TA”と出口側温度“TB”とを平均化して同じにする補正値“α”が制御部4において演算される(ステップS12)。補正値“α”は、|TA−TB|/2の演算式により求められる。
【0027】
補正値“α”が演算された後は、入口側温度“TA”と出口側温度“TB”とを補正値“α”で補正した補正済入口側温度“TA´”と補正済出口側温度“TB´”とが制御部4において演算される(ステップS13)。この場合の“TA´”、“TB´”は、ステップS4のNOで示したように入口側温度“TA”と出口側温度“TB”とが、“TB<TA”の関係であるので、“TA´=TA−α”、“TB´=TB+α”の演算式により求められる。
【0028】
ステップS13において“TA´”、“TB´”が演算された後、制御部4により圧縮機5がオンされる(ステップS14)。
【0029】
ステップS14で圧縮機5がオンされた後の所定時間経過後、補正済入口側温度“TA´)と補正済出口側温度(TB´)とが、“TB´≧TA´”であるか否かが制御部4において判断される(ステップS15)。
【0030】
ステップS15において“YES”と判断された場合は、補正後の加温水の温度(例えば、補正済入口側温度“TA´”)が目標温度に上昇した場合にサーモオフされる(ステップS16)。その後、補正済入口側温度“TA´”と補正済出口側温度“TB´”とを用いてサーモオン(ステップS8)とサーモオフ(ステップS9)とが制御部4により繰り返される。
【0031】
一方、ステップS15において“NO”と判断された場合は、再び四方弁6の切替位置が冷房位置である(適正な位置でない)と制御部4において判断され(ステップS17)、四方弁6の切替位置が適正な位置でないことの報知(異常報知)が表示部16において行われ(ステップS18)、圧縮機5が制御部4によりオフされる(ステップS19)。
【0032】
ここで、入口側温度検出部13と出口側温度検出部14とは、個々の部品精度のバラツキや組付精度のバラツキ等により、検出温度が誤差を生じる場合がある。そして、入口側と出口側との温度差が小さい場合には、四方弁6が暖房位置に切替えられている場合であっても、入口側温度検出部13が検出した入口側温度“TA”が出口側温度検出部14で検出した出口側温度“TB”より高いという場合が生じる。このような場合には、四方弁6が正しく暖房位置に切替えられていても、四方弁6が冷房位置に切替えられていると誤判断されることになる。
【0033】
しかし本実施形態では、入口側温度検出部13で検出した入口側温度“TA”と出口側温度検出部14で検出した出口側温度“TB”とを平均化して同じにする補正値“α”を演算し(図2のステップS6、S12)、この補正値“α”で補正した補正済入口側温度“TA´”と補正済出口側温度“TB´”とを用いてその後の演算を行うため、入口側温度検出部13と出口側温度検出部14とに個々の部品精度のバラツキや組付精度のバラツキ等があったとしても、四方弁6が暖房位置に切替えられている場合には、“TB´≧TA´”と検出されるようになり、四方弁6の切替位置の誤判断を防止することができるようになる。
【0034】
一方、四方弁6が冷房位置に切替えられている場合には、“TB´<TA´”となるので、四方弁6が冷房位置に切替えられていることを確実に判断することができる(図2のステップS15、S17)。そして、四方弁6が冷房位置に切替えられていると判断された場合には、四方弁6の切替位置が適正でないことが表示部16に表示され(図2のステップS18)、圧縮機5がオフとなるので(図2のステップS19)、四方弁6が冷房位置に切替えられた状態のままヒートポンプ熱源機1の運転を続行するということを防止することができる。操作者は、表示部16の表示を見ることにより、四方弁6の切替位置が適正でないためにヒートポンプ熱源機1の運転が停止されたことを知ることができる。
【0035】
また、このヒートポンプ熱源機1には、加温水の循環流量を入力する循環流量入力部15が設けられており、入力した循環流量と、補正済入口側温度“TA´”と、補正済出口側温度“TB´”とに基づいて演算することにより、ヒートポンプ熱源機1の正確な加熱能力を求めることができる。求まった加熱能力は表示部16に表示されるので、操作者は表示部16の表示を見ることによりヒートポンプ熱源機1を含む加温システムの運転状態を正確に把握することができる。
【0036】
なお、本実施の形態では、四方弁6の切替位置が適正でないことを報知する非適正報知部として視覚を通じて報知する表示部16を例に挙げて説明したが、非適正報知部としては音声により報知するブザーなどであってもよい。
【0037】
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0038】
1…ヒートポンプ熱源機、2…恒温槽(貯液部)、5…圧縮機、7…放熱側熱交換器、9…吸熱側熱交換器、11…配管、13…入口側温度検出部、14…出口側温度検出部、15…循環流量入力部、16…表示部(非適正報知部、加熱能力表示部)
図1
図2