【実施例】
【0019】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0020】
本実施例は、被収納物20
(布団若しくは毛布)を脱気圧縮状態で収納できる収納体Wであって、この収納体Wの全部若しくは一部は、外シート材2と内シート材3とで構成される二重構造であり、この外シート材2と内シート材3との間には水に浮く浮力材4が設けられ、この収納体Wは前記被収納物20を脱気圧縮状態で収納した際、水への沈降が生じない浮力を有するものである。
【0021】
尚、本実施例では、被収納物20として布団や毛布を採用しているが、災害時に必要な備蓄品、例えば非常食や衣類など、本実施例の特性を発揮するものであれば適宜採用し得るものである。
【0022】
具体的には、収納体Wは、
図1に図示したように一対のシート体1を上下に重合状態に配し、この状態で重合する周縁のうち一部(一辺)を残して帯状に接着(熱溶着)して袋状に構成されており、この接着しない開口部から内部に被収納物20を収納することができる。
【0023】
尚、一枚のシート体1にフィルム(特に浮力材4などを具備しないフィルム)を重合連設して袋状としても良く、また、一枚のシート体1を袋状に折り曲げることで被収納物20を収納し得るように構成しても良い。
【0024】
シート体1は、
図2〜4に図示したように通気性を有しない外シート材2と内シート材3との間に水に浮く浮力材4を配設した構成であり、具体的には、シート体1は、浮力材4を間に配設した外シート材2と内シート材3との周縁同士を帯状に重合接着(熱溶着)させることで構成されている。
【0025】
本実施例では、外シート材2及び内シート材3として、通気性を有しない合成樹脂製(ポリエステル)のシート材を採用しており、いずれも平面視方形状に形成されている。
【0026】
尚、外シート材2及び内シート材3においても浮力が発揮され易い材質のものが良い。
【0027】
また、本実施例では、浮力材4として、発泡樹脂製(ウレタンフォーム)の浮力材4を採用しており、平面視方形状の板状に形成されている。
【0028】
この浮力材4の浮力は、シート体1で被収納物20を包み込んで脱気された脱気圧縮状態とした際、水への沈降を阻止する浮力に設定されている(収納する被収納物20に応じて浮力は設定される。)。
【0029】
また、
図5に図示したように浮力材4の所定箇所をくり抜くことで形成され
る抜き体4aが他用途、例えば、履物などの災害時に必要とされる物品に使用可能となるように構成しても良い。
【0030】
尚、浮力材4は外シート材2と内シート材3との間に充填して配設する構成としても良い。
【0031】
また、本実施例は、外シート材2と浮力材4との間には平面視方形状の補強面材5が配設されている。
【0032】
本実施例では、この補強面材5として、アラミド繊維から成る面材を採用している。
【0033】
尚、補強面材5の素材としてはアラミド繊維に限らず、例えばアルミフィルムなど強度があって軽量の面材であれば適宜採用され、また、必要に応じて複数枚配設しても良い。
【0034】
また、
図7は、上下に配した一対のシート体1の間に被収納物20を配し、この状態で脱気処理装置10内で脱気しつつシート体1の周端縁部同士を熱溶着することで脱気圧縮状態とする場合であり、予めシート体1で袋を構成する前述した場合と異なり、被収納物20の包み込み、脱気及び熱溶着を一連の工程で行う場合である。
【0035】
本実施例は上述のように構成したから、
図6に図示したように収納体Wの開口部から被収納物20を収納し、この状態で脱気処理装置10内で脱気しつつ開口部を熱溶着して封止することで脱気圧縮状態とする。
【0036】
この脱気圧縮状態において、万一水にさらされた場合、通気性を有しないシート体1で構成されている為、収納した被収納物20が水に濡れることはなく、また、浮力材4の浮力により水に浮かぶ。
【0037】
よって、本実施例によれば、万一の水害時において水にさらされるような状況になっても、収納された被収納物20は濡れないのは勿論、前述した従来例と異なり、脱気圧縮状態でも水に浮くことになる為、水に沈んで使用できなくなるようなことを可及的に防止し得ることになり、しかも、浮力材4を予め備えた構造の為、例えば被収納物20を収納するたびに浮力材4を一緒に収納する場合に比し、作業が簡易に行え且つ浮力材4の入れ忘れも防止でき、そして更に、収納体Wを構成するシート体1が多層である為、強度があって耐久性にも秀れることになる。
【0038】
また、本実施例は、外シート材2及び内シート材3と周縁を接合して成る複数のシート体1を袋状に連設、若しくは、シート体1を袋状に折り曲げることで被収納物20を収納し得るように構成したから、確実に被収納物20を水に浮く脱気圧縮状態が得られることになる。
【0039】
また、本実施例は、浮力材4として発泡樹脂製の浮力材4を採用したから、確実に良好な浮力が得られ、しかも、コスト安にして量産性に秀れることになる。
【0040】
また、本実施例は、外シート材2及び内シート材3として通気性を有しない合成樹脂製のシート材を採用したから、確実に良好な脱気圧縮状態が得られ、しかも、コスト安にして量産性に秀れることになる。
【0041】
また、本実施例は、外シート材2と浮力材4との間には補強面材5が配設されているから、耐久性に秀れて脱気圧縮状態を保持し得ることになる。
【0042】
また、本実施例は、浮力材4は板状体であり、この浮力材4の所定箇所をくり抜くことで形成され
る抜き体4aが他用途に使用可能に構成されているから、例えば災害時に被収納物20を取り出すべくシート体1を破った際など、浮力材4も取り出して用途が付与され
た抜き体4aを使用することができ、多機能で非常に便利である。
【0043】
尚、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。