特許第6207481号(P6207481)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6207481
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】包装収納物
(51)【国際特許分類】
   B65D 81/20 20060101AFI20170925BHJP
   B65D 85/07 20170101ALI20170925BHJP
   B65D 85/18 20060101ALI20170925BHJP
【FI】
   B65D81/20 C
   B65D85/16
   B65D85/18 Z
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-157176(P2014-157176)
(22)【出願日】2014年7月31日
(65)【公開番号】特開2016-33050(P2016-33050A)
(43)【公開日】2016年3月10日
【審査請求日】2015年10月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】514194875
【氏名又は名称】株式会社 渡辺ドライ
(74)【代理人】
【識別番号】100091373
【弁理士】
【氏名又は名称】吉井 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100097065
【弁理士】
【氏名又は名称】吉井 雅栄
(72)【発明者】
【氏名】堀内 久司
【審査官】 加藤 信秀
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3062031(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3014445(JP,U)
【文献】 特開平09−301380(JP,A)
【文献】 特開平10−194343(JP,A)
【文献】 特開2009−262934(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 81/20
B65D 85/07
B65D 85/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
収納体に布団若しくは毛布が脱気圧縮状態で収納された包装収納物であって、前記収納体は、方形状の外シート材及び内シート材から成る一対のシート体の周縁同士を重合連設して構成されており、前記外シート材と前記内シート材との間には方形板状の浮力材が設けられ、この包装収納物は水に浮くものであり、また、前記外シート材と前記浮力材との間には補強面材が配設されていることを特徴とする包装収納物
【請求項2】
収納体に布団若しくは毛布が脱気圧縮状態で収納された包装収納物であって、前記収納体は、方形状の外シート材及び内シート材から成る一対のシート体の周縁同士を重合連設して構成されており、前記外シート材と前記内シート材との間には方形板状の浮力材が設けられ、この包装収納物は水に浮くものであり、また、前記浮力材は、所定箇所をくり抜くことで形成され他用途に使用可能な抜き体が該所定箇所に嵌合されていることを特徴とする包装収納物。
【請求項3】
請求項1,2いずれか1項に記載の包装収納物において、前記浮力材として発泡樹脂製の浮力材を採用したことを特徴とする包装収納物
【請求項4】
請求項1〜3いずれか1項に記載の包装収納物において、前記外シート材及び前記内シート材として通気性を有しない合成樹脂製のシート材を採用したことを特徴とする包装収納物
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装収納物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば寝具や衣類などの厚みがあって嵩張る被収納物を収納するものとして、例えば特許第3017562号に提案されるような収納体(以下、従来例)が提案されている。
【0003】
この従来例は、通気性を有しないシート材を袋状に形成したもので、被収納物を脱気圧縮状態で収納できるように構成されたものであり、例えば、季節の変わり目に使わなくなった寝具を長期保管する場合や、旅行で衣類をカバンに入れて持ち歩く場合などに、寝具や衣類を圧縮して体積を減らすことで嵩張らない収納状態が得られる為、非常に便利である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3017562号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年頻発している自然災害を契機に、備蓄品に対する関心が高まる中、特に災害発生直後のインフラが断絶された状況下において、睡眠をとったり暖をとったりするための寝具が重要視されている。
【0006】
そこで、この寝具を備蓄品として保管する場合においても、保管スペースは限られてしまう為、前述した従来例を利用して保管することになるが、例えば大雨による洪水や地震による津波などの水害が発生した場合、従来例は脱気圧縮状態においては空気が抜かれて一枚のプレートのような状態であって、水に沈んでしまう為、結局、水害発生時に寝具が利用できないという問題点が生じているのが現状である。
【0007】
本発明は、前述した問題点を解消するもので、従来にない作用効果を発揮する非常に実用的な包装収納物を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0009】
収納体Wに布団若しくは毛布が脱気圧縮状態で収納された包装収納物であって、前記収納体Wは、方形状の外シート材2及び内シート材3から成る一対のシート体1の周縁同士を重合連設して構成されており、前記外シート材2と前記内シート材3との間には方形板状の浮力材4が設けられ、この包装収納物は水に浮くものであり、また、前記外シート材2と前記浮力材4との間には補強面材5が配設されていることを特徴とする包装収納物に係るものである
【0010】
また、収納体Wに布団若しくは毛布が脱気圧縮状態で収納された包装収納物であって、前記収納体Wは、方形状の外シート材2及び内シート材3から成る一対のシート体1の周縁同士を重合連設して構成されており、前記外シート材2と前記内シート材3との間には方形板状の浮力材4が設けられ、この包装収納物は水に浮くものであり、また、前記浮力材4は、所定箇所をくり抜くことで形成され他用途に使用可能な抜き体4aが該所定箇所に嵌合されていることを特徴とする包装収納物に係るものである。
【0011】
また、請求項1,2いずれか1項に記載の包装収納物において、前記浮力材4として発泡樹脂製の浮力材4を採用したことを特徴とする包装収納物に係るものである。
【0012】
また、請求項1〜3いずれか1項に記載の包装収納物において、前記外シート材2及び前記内シート材3として通気性を有しない合成樹脂製のシート材を採用したことを特徴とする包装収納物に係るものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明は上述のように構成したから、万一の水害時において水にさらされるような状況になっても、収納された布団若しくは毛布は濡れないのは勿論、前述した従来例と異なり、脱気圧縮状態でも水に浮くことになる為、水に沈んで使用できなくなることは可及的に防止されることになるなど、従来にない作用効果発揮する非常に実用的な包装収納物となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本実施例を示す斜視図である。
図2】本実施例に係る要部の斜視図である。
図3】本実施例に係る要部の分解斜視図である。
図4】本実施例に係る要部の断面図である。
図5】本実施例に係る要部の説明図である。
図6】本実施例の使用状態説明図である。
図7】本実施例の使用状態説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
好適と考える本発明の実施形態を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0016】
本発明の収納体に布団若しくは毛布を脱気圧縮状態で収納する。
【0017】
この脱気圧縮状態において、万一水にさらされた場合、収納した布団若しくは毛布が水に濡れることはなく、また、浮力材4の浮力により水に浮かぶ。
【0018】
従って、例えば、万一の水害発生時に水にさらされるような状況になっても、水に浮かんだ状態となるから、布団若しくは毛布を入手し易くなる。
【実施例】
【0019】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0020】
本実施例は、被収納物20(布団若しくは毛布)を脱気圧縮状態で収納できる収納体Wであって、この収納体Wの全部若しくは一部は、外シート材2と内シート材3とで構成される二重構造であり、この外シート材2と内シート材3との間には水に浮く浮力材4が設けられ、この収納体Wは前記被収納物20を脱気圧縮状態で収納した際、水への沈降が生じない浮力を有するものである。
【0021】
尚、本実施例では、被収納物20として布団や毛布を採用しているが、災害時に必要な備蓄品、例えば非常食や衣類など、本実施例の特性を発揮するものであれば適宜採用し得るものである。
【0022】
具体的には、収納体Wは、図1に図示したように一対のシート体1を上下に重合状態に配し、この状態で重合する周縁のうち一部(一辺)を残して帯状に接着(熱溶着)して袋状に構成されており、この接着しない開口部から内部に被収納物20を収納することができる。
【0023】
尚、一枚のシート体1にフィルム(特に浮力材4などを具備しないフィルム)を重合連設して袋状としても良く、また、一枚のシート体1を袋状に折り曲げることで被収納物20を収納し得るように構成しても良い。
【0024】
シート体1は、図2〜4に図示したように通気性を有しない外シート材2と内シート材3との間に水に浮く浮力材4を配設した構成であり、具体的には、シート体1は、浮力材4を間に配設した外シート材2と内シート材3との周縁同士を帯状に重合接着(熱溶着)させることで構成されている。
【0025】
本実施例では、外シート材2及び内シート材3として、通気性を有しない合成樹脂製(ポリエステル)のシート材を採用しており、いずれも平面視方形状に形成されている。
【0026】
尚、外シート材2及び内シート材3においても浮力が発揮され易い材質のものが良い。
【0027】
また、本実施例では、浮力材4として、発泡樹脂製(ウレタンフォーム)の浮力材4を採用しており、平面視方形状の板状に形成されている。
【0028】
この浮力材4の浮力は、シート体1で被収納物20を包み込んで脱気された脱気圧縮状態とした際、水への沈降を阻止する浮力に設定されている(収納する被収納物20に応じて浮力は設定される。)。
【0029】
また、図5に図示したように浮力材4の所定箇所をくり抜くことで形成される抜き体4aが他用途、例えば、履物などの災害時に必要とされる物品に使用可能となるように構成しても良い。
【0030】
尚、浮力材4は外シート材2と内シート材3との間に充填して配設する構成としても良い。
【0031】
また、本実施例は、外シート材2と浮力材4との間には平面視方形状の補強面材5が配設されている。
【0032】
本実施例では、この補強面材5として、アラミド繊維から成る面材を採用している。
【0033】
尚、補強面材5の素材としてはアラミド繊維に限らず、例えばアルミフィルムなど強度があって軽量の面材であれば適宜採用され、また、必要に応じて複数枚配設しても良い。
【0034】
また、図7は、上下に配した一対のシート体1の間に被収納物20を配し、この状態で脱気処理装置10内で脱気しつつシート体1の周端縁部同士を熱溶着することで脱気圧縮状態とする場合であり、予めシート体1で袋を構成する前述した場合と異なり、被収納物20の包み込み、脱気及び熱溶着を一連の工程で行う場合である。
【0035】
本実施例は上述のように構成したから、図6に図示したように収納体Wの開口部から被収納物20を収納し、この状態で脱気処理装置10内で脱気しつつ開口部を熱溶着して封止することで脱気圧縮状態とする。
【0036】
この脱気圧縮状態において、万一水にさらされた場合、通気性を有しないシート体1で構成されている為、収納した被収納物20が水に濡れることはなく、また、浮力材4の浮力により水に浮かぶ。
【0037】
よって、本実施例によれば、万一の水害時において水にさらされるような状況になっても、収納された被収納物20は濡れないのは勿論、前述した従来例と異なり、脱気圧縮状態でも水に浮くことになる為、水に沈んで使用できなくなるようなことを可及的に防止し得ることになり、しかも、浮力材4を予め備えた構造の為、例えば被収納物20を収納するたびに浮力材4を一緒に収納する場合に比し、作業が簡易に行え且つ浮力材4の入れ忘れも防止でき、そして更に、収納体Wを構成するシート体1が多層である為、強度があって耐久性にも秀れることになる。
【0038】
また、本実施例は、外シート材2及び内シート材3と周縁を接合して成る複数のシート体1を袋状に連設、若しくは、シート体1を袋状に折り曲げることで被収納物20を収納し得るように構成したから、確実に被収納物20を水に浮く脱気圧縮状態が得られることになる。
【0039】
また、本実施例は、浮力材4として発泡樹脂製の浮力材4を採用したから、確実に良好な浮力が得られ、しかも、コスト安にして量産性に秀れることになる。
【0040】
また、本実施例は、外シート材2及び内シート材3として通気性を有しない合成樹脂製のシート材を採用したから、確実に良好な脱気圧縮状態が得られ、しかも、コスト安にして量産性に秀れることになる。
【0041】
また、本実施例は、外シート材2と浮力材4との間には補強面材5が配設されているから、耐久性に秀れて脱気圧縮状態を保持し得ることになる。
【0042】
また、本実施例は、浮力材4は板状体であり、この浮力材4の所定箇所をくり抜くことで形成される抜き体4aが他用途に使用可能に構成されているから、例えば災害時に被収納物20を取り出すべくシート体1を破った際など、浮力材4も取り出して用途が付与された抜き体4aを使用することができ、多機能で非常に便利である。
【0043】
尚、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
【符号の説明】
【0044】
W 収納体
1 シート体
2 外シート材
3 内シート材
4 浮力材
4a き体
5 補強面材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7