特許第6207498号(P6207498)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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6207498内燃機関からの排ガス中の窒素酸化物及び硫黄酸化物を還元する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6207498
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】内燃機関からの排ガス中の窒素酸化物及び硫黄酸化物を還元する方法
(51)【国際特許分類】
   F01N 3/08 20060101AFI20170925BHJP
   F01N 3/04 20060101ALI20170925BHJP
   F02D 23/00 20060101ALI20170925BHJP
【FI】
   F01N3/08 B
   F01N3/04 A
   F02D23/00 N
【請求項の数】7
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2014-501466(P2014-501466)
(86)(22)【出願日】2012年3月6日
(65)【公表番号】特表2014-513231(P2014-513231A)
(43)【公表日】2014年5月29日
(86)【国際出願番号】EP2012000994
(87)【国際公開番号】WO2012130375
(87)【国際公開日】20121004
【審査請求日】2015年3月5日
(31)【優先権主張番号】PA201100223
(32)【優先日】2011年3月28日
(33)【優先権主張国】DK
(73)【特許権者】
【識別番号】590000282
【氏名又は名称】ハルドール・トプサー・アクチエゼルスカベット
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100139527
【弁理士】
【氏名又は名称】上西 克礼
(74)【代理人】
【識別番号】100164781
【弁理士】
【氏名又は名称】虎山 一郎
(72)【発明者】
【氏名】トーゲスン・ヨアキム・レイメ
(72)【発明者】
【氏名】トロレ・ヘンリク
【審査官】 稲村 正義
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−119445(JP,A)
【文献】 特開2000−219504(JP,A)
【文献】 特開2007−255886(JP,A)
【文献】 特開2010−059976(JP,A)
【文献】 特開2010−084695(JP,A)
【文献】 特開2004−100586(JP,A)
【文献】 特開平05−285343(JP,A)
【文献】 特開2010−242536(JP,A)
【文献】 特開平08−010564(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 3/00−3/38
F02D 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リーンバーン内燃機関からの排ガス中の窒素酸化物及び硫黄酸化物を還元する方法であって、排ガスを、調節された量のアンモニアと一緒に、窒素酸化物の窒素への反応において活性な、一種又は多種の触媒を含む触媒システムに通過させることであって、排ガスを触媒システムに通過させる前に、アンモニア自体が排ガス中へ導入されるか、又は排ガス中への導入後にアンモニアが形成される、該通過させること、
該触媒システムを出る排ガス、ターボチャージャーのタービンに通過させること、そして、
下流における排ガス処理工程においてターボチャージャーから出る排ガス中に存在する三酸化硫黄及び/又はアンモニウム硫黄化合物を該排ガスから除去すること、
を含む、上記の方法であって、
その際、排ガス中のアンモニアとの反応によって形成されたアンモニウム硫黄化合物の凝縮温度よりも高い温度で排ガスを触媒システムに通過させ、かつ、その際、排ガス中のアンモニアの量は、触媒システムへの通過後に、結果として2体積ppm未満か、又は10体積ppm超であるように調節される、上記の方法。
【請求項2】
前記排ガス中のアンモニアの量が、触媒システムへの通過後に、結果として0.5体積ppm未満の量になるように調節される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記内燃機関が、2サイクルエンジンである、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記下流の排ガス処理工程が、水での洗浄又はスクラビング除去(scrubbing)を含む、請求項1〜3のいずれか一つに記載の方法。
【請求項5】
前記排ガス処理工程が、廃熱ボイラー及び/又は湿式スクラバにおいて予め構成される(preformed)、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記廃熱ボイラーが、周期的に、水で洗浄されるか、又はスートブロー(soot blowing)によって清浄化される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
船舶に搭載されたリーンバーン内燃機関からの排ガス中の窒素酸化物及び硫黄酸化物を還元するための、請求項1〜6のいずれか一つに記載の方法の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンモニア及び尿素のような還元剤を使って、内燃機関からの排ガス中の窒素酸化物及び硫黄酸化物を還元する方法に関する。より詳細には、本発明は、そのような化合物を、硫黄含量の高い燃料で運転されるエンジンの排ガスから除去することに重点を置いている。
【背景技術】
【0002】
据置用用途及び自動車用途における排ガスによる窒素酸化物の放出は、長い間主要な環境問題である。窒素酸化物(NO)及び硫黄酸化物(SO)の有害な影響は周知である。
【0003】
電力事業及び自動車産業において、特に、リーンバーンエンジンからの排ガス中におけるNOの窒素(N)への還元は、通常、いわゆる選択接触還元(SCR)において、適切な触媒上で還元剤としてのアンモニア又は尿素を用いることによって行われる。
【0004】
この還元法で使用するためのSCR及び触媒は当技術分野に属するため、さらなる説明は不要である。
【0005】
過去において、エンジン排ガスから硫黄酸化物を確実に除去することについて、それほど関心は寄せられていなかった。というのも、排ガス中の硫黄含量が既存の規制値よりも低いからである。自動車産業における内燃機関のほとんどは、脱硫された燃料を燃料としているため、排ガス中の硫黄含量が既存の規制値よりも低いか、あるいは、燃料油中の自然の硫黄レベルに対応した高排出が許容されている。
【0006】
この目標のために、据置型用途の及び船舶に搭載される大型の燃焼機関は、未だ、高硫黄含量の燃料で運転されている。
【0007】
例えば、1%より高い硫黄含量を有する重油(HFO)を燃料とする内燃機関と組み合わせたSCR DeNOの運用可能な技術的解法はない。
【0008】
これらのエンジンは、エンジン効率を高めるために、共通してターボチャージャーを備える。
【0009】
ターボチャージャー付燃焼機関からの排ガスの浄化は、次の理由から問題を含んでいる。
【0010】
NOのSCRに採用される通常の還元剤であるアンモニアは、排ガス、特に、HFOを燃料とするエンジンからの排ガス中にも存在する硫黄酸化物と反応する。反応生成物は、硫酸アンモニウム又は重硫酸アンモニウムであり、これらは、SCR触媒上で凝縮して、排ガスの温度が一定の限度を下回る場合に触媒がアンモニアと接触すると触媒が制限される。
【0011】
排ガスの温度は、エンジンから放出された直後には、典型的には、330〜500℃である。この温度は、硫酸塩が凝縮する温度を十分に上回る。
【0012】
しかし、この比較的高い温度では、排ガス中のSOのいく分かが、SCR触媒上でSOへ酸化されることを意味している。形成されたSOは、排ガス処理器機トレーンに捕捉されない場合、エンジンから出る排ガス中に既に存在しているSOと共に、酸性の汚染物質を形成する。
【0013】
ターボチャージャーのタービンを通過後、排ガスの温度は凝縮温度を下回り、上述の問題が生じる。
【0014】
そのため、本発明の一般的な目的は、上述の問題を伴わない、ターボチャージャー付内燃機関からのNO及びSOの組み合わされた還元方法を提供することである。
【0015】
本発明の本質的な特徴は、下流の装置トレーン中でSOを硫酸アンモニウム又は重硫酸アンモニウムとして捕捉するか、あるいは湿式スクラバ中でSOをHSOとして捕捉できるように、SCRから低量のスリップが形成されるようにアンモニアを投与するために、SCR中で消費されるアンモニア量と比較して過剰量のアンモニウムを排ガス中に投与することである。
【0016】
従って、本発明は、リーンバーン内燃機関からの排ガス中の窒素酸化物及び硫黄酸化物の量を低減する方法であって、排ガスを、調節された量のアンモニアと一緒に、窒素酸化物の窒素への反応において活性な、一種又は多種の触媒を含む触媒システムに通過させることであって、排ガスを触媒システムに通過させる前に、アンモニア自体が排ガス中へ導入されるか、又は排ガス中への導入後にアンモニアが形成される、該通過させること
そのように処理された排ガスを、ターボチャージャーのタービンに通過させること、そして、
下流における排ガス処理工程において排ガス中に存在する三酸化硫黄及び/又はアンモニウム硫黄化合物をターボチャージャーから除去すること、
を含む、上記の方法であって、
その際、排ガス中のアンモニアとの反応によって形成されたアンモニウム硫黄化合物の凝縮温度よりも高い温度で排ガスを触媒システムに通過させ、かつ、その際、排ガス中のアンモニアの量は、触媒システムへの通過後に、結果として2体積ppm未満か、又は10体積ppm超であるように調節される、上記の方法である。
【0017】
特定の使用において、アンモニアの量は、触媒システム通過後に、0.5体積ppm未満に維持し得る。
【0018】
アンモニアスリップを形成する、NOの量と比較して過剰のアンモニアを供給することによって、形成されたSOを重硫酸アンモニウム(ABS)又は硫酸アンモニウム(AS)として捕捉することができる。ABS及びASは、水溶性の化合物であり、スクラバ中において水でスクラビングすることによって容易に除去することができる。ABS及びASはまた、スートブロー装置の使用によって除去することもできる。
【0019】
スクラバはSO捕捉に最適化される。この操作の代替モードでは、下流装置における汚損を最小限にするために、アンモニアスリップ量を最小限に維持する。
【0020】
SCRからのアンモニアスリップが10体積ppmを超えたままになると、重硫酸アンモニウム及び硫酸アンモニムが、廃熱ボイラー中の熱転移面か又は気相中の固体粒子としてのいずれかで凝縮する。下流の装置において表面上に形成された堆積物は、水での清浄及び/又はスートブローの間に除去できる一方で、粒子は下流のSOスクラバ中で除去できる。
【0021】
あるいはまた、アンモニアスリップ量を低く(<2ppm)維持し、これは、下流の装置のABS及びASによる汚損を最小限にすることを意味する。それから、SOは、SO除去に最適化されたSOスクラバ中で除去し得る。
【0022】
本発明の方法で使用するアンモニアは、ガス状アンモニアの形態か、又は排ガス中への導入後にアンモニアに分解する尿素溶液を使って供給することができる。
【0023】
本発明の方法は、2サイクルエンジンとの組み合わせに特に関連性を有する。これらのエンジンは、普通、船舶に搭載して使用され、かつ、硫黄含有重油を燃料とする。
【実施例】
【0024】
実施例
船舶に搭載した2サイクルエンジンは、1,500ppm(体積)のNO、750ppm(体積)のSO及び15ppm(体積)のSOをエンジンアウトレットから放出する。SCRユニットへ向かうエンジン排ガスの入口温度は、2〜4バールゲージの圧力において330〜500℃である。ターボチャージャー上流の加圧したSCRにわたって、NOレベルは300ppmまで低減される一方で、30ppmのSOが追加的に形成される。SCRユニット後のアンモニアスリップは、20ppm超に調節され、その結果、重硫酸アンモニウム及び硫酸アンモニウムが形成され、ターボチャージャー下流の廃熱ボイラー中の熱転移面か、又は気相中の固体粒子としてのいずれかで凝縮する。表面上に形成された堆積物は、水での清浄によって除去できる一方で、粒子は下流のSOスクラバ中で除去できる。あるいはまた、アンモニアスリップ量を低く(<2ppm)維持し、これは、下流の装置のABS及びASによる汚損を最小限にすることを意味する。その後、SOは、SO除去に最適化されたSOスクラバ中で除去され得る。