(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6207512
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】エステルの製造方法
(51)【国際特許分類】
C07C 67/03 20060101AFI20170925BHJP
C07C 69/58 20060101ALI20170925BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20170925BHJP
【FI】
C07C67/03
C07C69/58
!C07B61/00 300
【請求項の数】18
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-535219(P2014-535219)
(86)(22)【出願日】2012年10月12日
(65)【公表番号】特表2014-534192(P2014-534192A)
(43)【公表日】2014年12月18日
(86)【国際出願番号】IB2012055556
(87)【国際公開番号】WO2013054306
(87)【国際公開日】20130418
【審査請求日】2015年9月11日
(31)【優先権主張番号】11185085.5
(32)【優先日】2011年10月13日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】505470786
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(72)【発明者】
【氏名】ジム・アロイシウス・マリア・ブランツ
【審査官】
黒川 美陶
(56)【参考文献】
【文献】
特開平07−173103(JP,A)
【文献】
特表平06−504714(JP,A)
【文献】
特開2005−200398(JP,A)
【文献】
特開2008−074764(JP,A)
【文献】
国際公開第2006/033328(WO,A1)
【文献】
特開2008−013758(JP,A)
【文献】
特開2001−316517(JP,A)
【文献】
SUPPES,G. J.,ET AL.,APPLIED CATALYSIS A: GENERAL,2004年,VOL.257,NO.2,PP.213-223
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
C11C
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トリグリセリド供給原料及びアルコールを準備するステップ、及び前記供給原料を不均一系触媒と接触させるステップ、それにより前記トリグリセリドと前記アルコールとのエステル交換をするステップを含む、エステルの製造方法であって、前記不均一系触媒が第4族シリケートを含みかつNaを3質量%未満しか含まず、かつ、前記供給原料がさらに少なくとも一種の酸化合物である脂肪酸を含むことを特徴とする製造方法。
【請求項2】
前記エステルがバイオディーゼルである、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記バイオディーゼルがFAME(脂肪酸メチルエステル)を含む生成物である、請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記アルコールが短鎖アルコールである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項5】
前記アルコールがメタノールである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項6】
前記酸化合物が、その場で、水から形成される脂肪酸である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項7】
前記第4族シリケート含有触媒がチタノシリケートを含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項8】
前記供給原料中のフリー脂肪酸の含有量が、前記供給原料の全質量を基準にして0.1〜99質量%である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項9】
前記供給原料中のフリー脂肪酸の含有量が、前記供給原料の全質量を基準にして1〜30質量%である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項10】
前記供給原料と前記触媒との接触を固定床反応器又はスラリー反応器中で行う、請求項1〜9のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項11】
前記供給原料と前記触媒との接触を40〜300℃の温度で行う、請求項1〜10のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項12】
前記供給原料と前記触媒との接触を120〜230℃の温度で行う、請求項1〜11のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項13】
前記トリグリセリドが、動物、植物、又は微生物由来である、及びそれらの組み合わせ物から選択されるオイル及び/又は脂肪供給原料に含まれる、請求項1〜12のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項14】
前記トリグリセリドが、大豆油、菜種油、パーム油、ひまわり油、サフラワー油、ヤトロファ(ナンヨウアブラギリ)油、からし油、麻実油、ヒマシ油、廃植物油、藻類のオイル、動物脂肪、トラップグリース、及びそれらの組み合わせ物から選択されるオイル及び/又は脂肪供給原料に含まれる、請求項1〜13のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項15】
前記触媒が促進剤をさらに含む、請求項1〜14のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項16】
前記促進剤が、カチオン、アニオン、及び/又は有機化合物、あるいはそれらの組み合わせから選択される、請求項15に記載の製造方法。
【請求項17】
前記カチオン促進剤が、Li、Cs、Mg、Ca、Sr、Ba、La、Nb、Fe、Ni、V、W、Mo、Al、Ce、Sn、Zn、Cu、Mnのイオン及びそれらの組み合わせから選択され;
前記アニオン促進剤が、SO42−、BF4−、CO32−、NO3−、PO43−、F−、Cl−、Br−、I−、O2−、ヘテロポリ酸のアニオン、Keggin型アニオン、又はそれらの組み合わせから選択され;及び/又は、
前記有機化合物促進剤が、
− アニオン性有機化合物、例えば、OR、RSO3(式中、Rは有機基である);
− カチオン性有機化合物、例えば、アンモニウム、アルキルアンモニウム、アリールアンモニウム化合物;
− 中性有機化合物、例えば、ホスフィン類、アミン類、アルコール類、又はチオール類;及び
− それらの組み合わせ、
から選択される、請求項16に記載の製造方法。
【請求項18】
前記触媒が3質量%未満のKを含む、請求項1〜17のいずれか一項に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不均一系触媒を用いる、エステル、特にバイオディーゼルの製造方法を目的とする。
【背景技術】
【0002】
最も一般的な形態のバイオディーゼルは、脂肪酸メチルエステル(fatty acid methyl ester, FAME;H
3COOR)を含む。バイオディーゼル、特にFAMEは、燃料として、特に輸送用燃料としてより一層重要になってきている。
【0003】
従来技術では、バイオディーゼルはバッチ反応器で生産されてきており、反応器中においてオイル(通常は植物油又は時々動物脂肪)、短鎖アルコール、特にメタノール、及び均一系触媒、例えばNaOMeが混合され、50〜80℃において常圧で1又は2時間撹拌される。そのエステル(交換)反応により、FAME及びグリセロールが作り出される。
【0004】
【化1】
【0005】
上記反応式中、R
1、R
2、及びR
3は独立に、トリグリセリド又は対応するメチルエステルの長鎖部分(典型的にはC12〜C20、より特にC16〜C18)をそれぞれ表す。
【0006】
この公知のバッチ法では、オイル原料は完全な前処理、例えば、洗浄、スチーム処理、又は真空による前処理によって、(フリーの脂肪)酸及び水を除去することが必要であり、なぜなら、それらが触媒を分解しうるからである。また、下流部分では、均一系触媒の残りは生成物から除去、例えば徹底的な洗浄によって除去されなければならない。
【0007】
経済的には、不均一系触媒を用いることが有利であり、なぜなら、均一系触媒と比較した場合に、反応生成物と触媒の分離をかなり容易にするからである。また、不均一系触媒はスラリー又は固定床で用いることができ、とりわけ高い圧力低下を避けることができるという操作上の利点をもたらす。不均一系触媒の分離ははるかに容易なので、生成物は格段にきれいであることができ、なぜなら、いかなる(均一系)触媒(例えば、上述したNaOMe又はその他の塩)又はそれから誘導される生成物、例えば、石鹸又はグリセロール塩の残留物を除去する必要がないからである。また、より小さな腐食性の触媒並びに上流及び下流での精製のために必要な化学物質の使用は、装置に対するより少ない腐食を意味しうる。さらに、このことは、より安全な操作を確実にする。また、不均一系触媒を用いることによって、比較的高い純度のグリセロールを得ることができる。
【0008】
天然オイル(これには使用済みオイルも含まれる)は、ある量のフリー脂肪酸(free fatty acid (FFA))、典型的には0.5〜10質量%のフリー脂肪酸を含む(いくつかのオイル、例えば米ぬか油は、最大50質量%で含む)。天然オイルを変換するための従来法では、供給物(フィード)を均一系触媒と接触させる前に、それらの脂肪酸を除去する必要がある。この除去は、典型的には、上述した前処理法によって行われる。フリー脂肪酸は、従来法では多い触媒使用を避けるために除去される必要があり、及び/又はFFAをエステル化によって対応する脂肪酸メチルエステルに転化して、規格(例えば、DIN EN 14214)に適合させる必要がある。エステル化反応は以下のように進む。
【0009】
【化2】
【0010】
式中、R
1は上で定義したものと同じ意味を有する。
このエステル化反応においてフリー脂肪酸を転化するためには、安定性の高い触媒を用いることが重要である。しかし、通常用いられる反応条件下では、多くの触媒は、フリー脂肪酸及び形成される水の存在下で溶解し、したがって触媒は急速に失活する。さらに、触媒の(物理的)分解が起こり、これは望ましくない微粒子形成とその結果望まない圧力低下、特に固定床における圧力低下をもたらしうる。さらに、触媒の一部が生成物中に残り、規格に適合させるためにそれを除去する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第5508457号明細書
【特許文献2】米国特許第5053139号明細書
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】Applied Catalysis A: General 257 (2004) 213-223
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、バイオディーゼル、特にFAMEを製造する方法を提供するものであり、その方法は汎用性があり、堅実である。本発明のさらなる目的は、連続して、特に、固定床反応器中、又はスラリー反応器中で実施することができ、連続法で操作してもよい方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
これらの目的は、少なくとも一種の酸化合物の存在下で、第4族のシリケートを含み、かつNaを3質量%未満しか含まない不均一系触媒を用いて、トリグリセリドのエステル交換反応を行うことによって、少なくとも部分的に満たすことができることを発見した。
【0015】
驚くべきことに、触媒がNaを実質的に含まないか、又は非常にわずかしか含まない場合には、フリー脂肪酸の存在下で、第4族シリケート含有触媒、特に、Ti、Zr、及び/又はHfシリケート含有触媒は、脂肪酸がない条件下でよりも安定であることを発見した。したがって、本発明は、エステル、特にバイオディーゼル、より特にFAMEを製造する方法を目的とし、その方法は、オイル及び/又は脂肪、並びにアルコール、特に短鎖アルコール、例えばメタノールからなる供給原料を準備するステップ、その供給原料を不均一系触媒と接触させるステップを含み、そうしてそのオイル及び/又は脂肪とそのアルコールとのエステル交換をする方法であって、その不均一系触媒が第4族シリケートを含み、Naを3質量%未満しか含まず、かつ、さらにその供給原料が一種以上の酸化合物、特に脂肪酸を含むことを特徴とする。
【0016】
理論に束縛されることを望むものではないが、供給混合物中の酸成分の存在は、用いる触媒システムの安定化をもたらすと考えられる。通常、すなわち、酸化合物の不存在下では、触媒システムは、チタンケイ酸塩粒子(又は、対応するその他の第4族元素/シリケート粒子)にゆっくり分解し、それは標準の金属焼結フィルター又は特別なミクロフィルター(0.45ミクロン)を通るほど十分に小さい。これらのシリケート、特にチタノシリケートの安定性及び/又は溶解度は、その触媒中に存在するカチオンの性質によって定まる。例えばNa又はKを含むチタノシリケートは、用いる反応条件下で反応混合物中により良く溶ける。酸、例えばフリー脂肪酸のような酸の存在は、カチオンの一部がプロトン(H
+)と交換されることを可能にする。プロトン化されたチタンケイ酸塩(チタニウムシリケート)は分解を受けにくく、供給原料又は生成物の流れに溶ける。カチオン(Na
+又はK
+など)部分をH
+で置き換えることは、触媒のエステル交換活性を高めるという利点も有する。典型的には、Na又はKイオンの量は、未使用(すなわち、触媒を供給原料、特に(脂肪)酸と接触させる前)の触媒中の約5〜10質量%である。本発明によれば、このナトリウム含有量は、H
+と交換することによって3質量%未満まで低下させられる。好ましくは、本発明によれば、カリウム含有量も、H
+との交換によって3質量%未満まで低下させられる。より好ましくは、ナトリウムあるいはカリウム含有量は、H
+との交換によって1質量%未満、なおより好ましくは約0.1〜0.2質量%まで低下させられる。H
+の代わりに、別のカチオンを用いてNa又はKイオンを交換することができ、それは例えばNH
4+、Cs
+、又はCa
2+である。
【0017】
酸化合物は、供給原料流れに添加することができ、あるいは供給原料流れ中に既に存在していてもよい。また、それはその場で、供給原料中に既に存在するかあるいは添加された水から形成されることができ、なぜなら水がトリグリセリド中のエステル結合を加水分解し、それにより対応する脂肪酸が生じるからである。酸は有機酸又は無機酸であってよい。好ましくは、酸は脂肪酸である。供給原料中の酸化合物の量は、広範囲で、例えば、0.1〜50質量%、好ましくは1〜30質量%で変わりうる。
【0018】
本発明で用いる触媒は、周期表の第4族のシリケート、特に、Ti、Zr、及び/又はHfのシリケートを少なくとも1種含む。チタノシリケートを含む触媒が好ましい。本発明に用いるためのチタニウムシリケートは、米国特許第5508457号明細書及び米国特許第5053139号明細書に記載された方法によって調製することができ、これら両明細書を参照により本願明細書に援用する。その他のシリケート、特に、Hf及びZrのシリケートも、米国特許第5508457号明細書及び米国特許第5053139号明細書に記載された方法を用いて作ることができる。典型的には、これには、シリカと第4族金属酸化物、例えば酸化チタンとのゲルを作ることが含まれる。このゲルは、適切なシリケート源、例えば、ナトリウムシリケートを、適切な可溶性のチタン塩(又はその他の第4族金属の塩)、例えば、塩化物、臭化物、オキシ塩化物など及び十分なアルカリと、激しく撹拌しながら混合することによって作ることができる。そのゲルを次に乾燥させ、粒状にし、得られる粉末を錠剤化することができる。これらの触媒は、アルコールを用いて、エステル化(反応II)反応及びエステル交換(反応I)反応の両方を行うことができる。米国特許第5508457号明細書には、低減したNa又はK含有量を有し、バイオディーゼルの調製に用いられる、イオン交換されたチタン触媒は記載されていない。
【0019】
Suppesら(Applied Catalysis A: General 257 (2004) 213-223)は、ゼオライト、例えばチタニウムシリケートETS−10ゼオライト及び金属触媒の存在下で、メタノールを用いた大豆油のエステル交換について記載している。Suppesらは、バイオディーゼルの製造に用いられる、低減したNa含有量を有するイオン交換されたETS−10ゼオライトについて記載していない。
【0020】
本発明の方法に用いられる触媒は、さらに促進剤(プロモーター)を含んでいてもよく、促進剤は活性及び/又は選択性を向上させるために添加される。好適なプロモーターは、例えば、カチオン類、例えば、Li、Cs、Mg、Ca、Sr、Ba、La、Nb、Fe、Ni、V、W、Mo、Al、Ce、Sn、Zn、Cu、Mnのイオン及びそれらの組み合わせ;アニオン類、例えば、SO
42−、BF
4−、CO
32−、NO
3−、PO
43−、F
−、Cl
−、Br
−、I
−、O
2−、ヘテロポリ酸のアニオン、Keggin型アニオン、又はそれらの組み合わせ;及び/又は、有機化合物、例えば、アニオン性有機化合物、例えば、OR、RSO
3(式中、Rは有機基である);カチオン性有機化合物、例えば、アンモニウム、アルキルアンモニウム、アリールアンモニウム化合物;あるいは、中性有機化合物、例えば、ホスフィン類、アミン類、アルコール類、又はチオール類、あるいはそれらの組み合わせである。促進剤は、第4族金属部位の電子特性を変えると考えられ、それによって触媒の活性及び/又は選択性に影響を及ぼしうる。
【0021】
本発明者は、フリーの脂肪酸をオイル供給原料に同時に供給した場合、微量(0.1質量%よりずっと少ない)のチタン及びシリカしか生成物中に存在しないことを発見した。驚くべきことに、フリーの脂肪酸なしでは、顕著な量のチタン及びケイ素が生成物中に存在した。供給原料へのいくらか追加の水の添加は、触媒の安定性に対して同様の効果を有する。水の存在下で、触媒はより高い安定性を示した。
【0022】
第4族シリケート含有触媒は、したがって、本発明にしたがい、上述した同時のエステル化及びエステル交換のために用いることができる。
【0023】
酸化合物は、供給原料中に同時供給されるか又は既に存在することができる(酸は、例えば、オイル/脂肪に由来し、あるいは短鎖アルコールに由来する)。酸化合物に代えて、あるいは酸化合物に加えて、水を供給原料に同時供給するか又は供給原料中に既に存在させることもできる。
【0024】
アルコールは、好ましくは、10以下の炭素原子を有するアルコールであり、より好ましくは、それは短鎖のアルコールであり、好ましくは、メタノール、エタノール、iso-プロパノール、n-プロパノール、又はそれらの組み合わせから選択される短鎖アルコールである。好ましくはこのアルコールはメタノールである。長鎖アルコール(特に10C原子よりも長い)は通常は好ましくなく、なぜならそれはワックスの形成をもたらしうるからである。
【0025】
本発明は、触媒の不活性化あるいは触媒の分解なしに、連続的手順で、オイルから高純度のFAMEを製造することを可能にする。このFAMEは塩類、特にK又はNa塩を含まないか又は実質的に含まない(1質量%未満)ことができ、なぜなら均一系触媒を用いていないからである。
【0026】
製造されるグリセロールは高純度であり、特に、それは医薬品品質(典型的には98質量%純度)ほどに高く、あるいはそれよりも高純度でありうる。本発明の方法は、触媒を除去するために生成物を洗浄する必要がないので、生成物、特にグリセロールの水分含有量は驚くほど低い。加えて、Na及びKの含有量も低く、これは非常に望ましい。
【0027】
本発明において出発原料として用いられるトリグリセリドはどのような由来のものでもよく、特にそれは、大豆油、菜種油、パーム油、ひまわり油、サフラワー油、ヤトロファ(ナンヨウアブラギリ)油、からし油、麻実油、ヒマシ油、廃植物油、微生物からのオイル、藻類のオイル、動物脂肪、トラップグリース(trap grease)、及びそれらの組み合わせ物から選択されるオイル及び/又は脂肪供給原料からのものであることができる。
【0028】
本発明を以下の例によって説明するが、それらは発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】
図1は、触媒中のNaの含有量(質量%)と、生成物流中のSiの量(ppm)及びTiの量(XRFピーク高さ)との間の関係を示した図である。
【実施例】
【0030】
10mLのチタニウムシリケートの錠剤を米国特許第5053139号明細書の方法、特にその例9にしたがって作った:2dm
3の1.5M塩化チタン溶液(溶液A)を、十分に脱イオン化した水に569.11gのTiCl
4を添加して2dm
3にすることによって作った。2dm
3の1.5Mのナトリウムシリケート溶液(溶液B)を、十分な3M NaOHに638.2gのNa
2SiO
3.5・H
2Oを溶かして2dm
3にすることによって作った。非常に激しく撹拌しながら、16ml/分の速度で、溶液Bを溶液Aに添加した。添加が完了した後、その混合物をさらに15分間混合しつづけておいた。その溶液のpHは7.5〜7.9の間に入るべきである。必要であれば、pHを希HCl又は希NaOHを用いて調節した。そのサンプルを2〜4日熟成させた。熟成後、そのゲルの上の水をデカンテーションにより除去した。サンプルを次にろ過し、ゲル1dm
3当たり1dm
3の脱イオン水で洗い、4〜6dm
3の脱イオン水中に再スラリー化させ、ろ過し、最後にゲル1リットル当たり2dm
3の水中で再洗浄した。そのサンプルを次に105℃で24時間乾燥させた(LOI(loss on ignition, 強熱減量)が10より低くなるまで)。合成手順のあいだ、ゲルはいかなる金属とも決して接触させなかった。ポリプロピレン及びガラスの実験器具を、ゲルの調製を通して使用した。この方法で製造した固体は、1:1のケイ素とチタンの比を有し、約350m
2/gの表面積をもっていた。
【0031】
得られた乾燥した物質を、40メッシュ未満まで粒状にし、錠剤化した。その錠剤を固定床反応器に装填した。その反応器にMeOH(1.73ml/h)及びなたね油(3.47ml/h)を連続的に供給した。反応条件は、180℃、28バール(2800kPa)、N
2背圧、LHSVなたね油 0.347h
−1(3.47ml/h)、LHSV MeOH 0.173h
−1(1.73ml/h)だった。LHSV合計=0.5h
−1。168時間の操作後、なたね油を、5質量%のドデカン酸を含むなたね油で置き換えた。304時間の操作後、反応を止め、生成物流と触媒を分析した。純粋ななたな油を用いて製造した生成物流は、XRF(X線蛍光分光法)で測定して顕著な量、数十から数百ppm(w/w)のチタン及びケイ素を含んでいた。5質量%のドデカン酸を含んでいたなたね油を用いて製造した生成物流は、微量(数〜数十ppm(w/w))のチタン及びケイ素しか含んでいなかった。
【0032】
例2
米国特許第5508457号明細書にしたがって作ったチタニウムシリケートの錠剤10mLを固定床反応器に装填した。その反応器に、MeOH(1.73mL/h)と、5質量%のドデカン酸を含むなたね油(3.47mL/h)とを供給した。180℃で284時間の操作後、反応を止めて、生成物流と触媒を分析した。生成物流は、微量のチタン及びケイ素(数〜数十ppm(w/w))しか含んでいかなった。
【0033】
例3
さまざまな量のNaを含むチタニウムシリケート錠剤10mLを、例1にしたがって調製した錠剤をさまざまな量のHCl水で処理することによって調製した。錠剤の最終的Na含有量は、水相のpHをコントロールすることによって調節できる。HCl処理の2時間後、錠剤を脱イオン水で完全に洗い、オーブン中110℃で夜通し乾燥させた。この操作によって、明確なNa含有量、すなわち、6.0、3.9、3.2、2.4、及び0.8質量%のNa含有量をそれぞれが有するチタニウムシリケート錠剤の製造が可能になった。
【0034】
上記の処理した錠剤及び未処理の錠剤を、例2に記載したものと同様の条件下で、固定床反応器中で試験した。
図1は、触媒中のNaの含有量(質量%)と、生成物流中のSiの量(ppm)及びTiの量(XRFピーク高さ)との間の関係を示している(
図1を参照されたい。それぞれ、四角つきの線と、ひし形つきの線)。最終生成物中のチタンとケイ素の量をXRF(X線蛍光法)によって測定したときに、触媒中のNaの量と、生成物流中のTi及びSiの量との間に関連性がみられた。3質量%未満のNaのレベルでは、生成物流中にTiはみられず、少量の(数ppm)Siしかみられなかった。3質量%より高いレベルのNaでは、増大した量のTiと、増大した量のSiが生成物流中にみられた。サンプル中のTiの量は、供給物のXRFスペクトル中のTiピークの高さを、生成物のTiピークの高さを比べることによって測定した。Siの量は、XRFで測定したSiのピーク高さを測定し、生成物流のSiの量を検量線(XRFピーク高さ対既知のSi濃度)を用いて計算することによって測定した。