(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、全般的には間隔を置いて離れた導体セットと、主として電磁界を吸収することによって隣り合う導体セット間のクロストークを防止又は低減するための1つ以上のEMI吸収層と、を含むケーブルに関する。
【0010】
図1は、y軸に沿って、ケーブル2の幅wの全体または一部に沿って間隔をおいて離れ、x軸に沿う、ケーブル2の長さLに沿って延在する複数の導体セット4を含む遮蔽電気ケーブル2の概略三次元図である。ケーブル2は、
図1に例示される概ね平坦な構成で構成されてもよく、又はその長さ及び/又は幅に沿った1つ以上の位置において折り曲げられた構成へと折り曲げられてもよい。いくつかの場合において、ケーブル2のいくつかの部分は、平坦な構成で配置されてもよく、ケーブルの他の部分が折り曲げられてもよい。いくつかの場合において、ケーブル2の少なくとも1つの導体セット4は、ケーブル2の長さLに沿って延在する2つの絶縁導体6を含み、各絶縁導体は、絶縁体6bによって包囲された導体6aを含む。導体セット4の2つの絶縁された導体6は、ケーブル2の長さLの全部又は一部に沿って実質的に平行に構成され得る。絶縁導体6は、絶縁信号線、絶縁電源線、又は絶縁接地線を含む場合がある。2つの遮蔽フィルム8は、ケーブル2の対向する第1及び第2の側に配置される。
【0011】
第1及び第2の遮蔽フィルム8は、横断面において、ケーブル2がカバー領域14及び挟まれた領域18を含むように、配置される。ケーブル2のカバー領域14内では、第1及び第2の遮蔽フィルム8のカバー部分7が、横断面において、実質的に各導体セット4を包囲する。例えば、遮蔽フィルムのカバー部分は、任意の所定の導体セットの外辺部の、少なくとも75%、又は少なくとも80%、又は少なくとも85%、又は少なくとも90%を、全体として取り囲むことができる。第1及び第2の遮蔽フィルムの挟まれた部分9は、各導体セット4の両側に、ケーブル2の挟まれた領域18を形成する。ケーブル2の挟まれた領域18内では、一方又は双方の遮蔽フィルム8が撓められて、遮蔽フィルム8の挟まれた部分9を、より近くへと接近させる。いくつかの場合おいて、
図1に示すように、双方の遮蔽フィルム8が、挟まれた領域18内で撓められて、挟まれた部分9を、より近くへと接近させる。いくつかの場合において、ケーブルが平面的又は折り畳まれていない構成のとき、遮蔽フィルムの一方は挟まれた領域18において比較的平坦なままであり、ケーブルの反対側にあるもう一方の遮蔽フィルムを屈曲させて、遮蔽フィルムの挟まれた部分をより近づけてもよい。
【0012】
導体及び/又は接地ワイヤは、任意の好適な導電材料を含んでもよく、様々な断面形状及びサイズを有してもよい。例えば、断面では、導体及び/又は接地ワイヤは、円形、長円形、矩形、又は任意の他の形状とすることができる。ケーブル内の1つ以上の導体及び/又は接地ワイヤは、ケーブル内の他の1つ以上の導体及び/又は接地ワイヤとは異なる、1つの形状及び/又はサイズを有し得る。導体及び/又は接地ワイヤは、単線又は撚り線とすることができる。ケーブル内の全ての導体及び/又は接地ワイヤを、撚り線とすることができ、全てを単線とすることができ、又は一部を撚り線とし、一部を単線とすることができる。撚り線の導体及び/又は接地ワイヤは、種々のサイズ及び/又は形状を呈し得る。導体及び/又は接地ワイヤは、金、銀、スズ、及び/又は他の材料を含めた、様々な金属並びに/あるいは金属材料で、コーティング若しくはメッキを施すことができる。
【0013】
導体セットの導体を絶縁するために使用される材料は、ケーブルの所望の電気的特性を達成する、任意の好適な材料とすることができる。一部の場合には、使用される絶縁体は、誘電率及びケーブルの全厚を低減するための空気を含む、発泡絶縁体とすることができる。一方又は双方の遮蔽フィルムは、導電層及び非導電性高分子層を含み得る。導電性層は、銅、銀、アルミニウム、金、及びこれらの合金を含むが、これらに限定されない任意の好適な導電材料を含んでもよい。遮蔽フィルムは、0.01mm〜0.05mmの範囲の厚さを有し得、ケーブルの全厚は、2mm未満又は1mm未満とすることができる。
【0014】
ケーブル2は更に、少なくとも挟まれた部分9の間で、遮蔽フィルム8の間に配置された接着層10も含み得る。接着剤層10は、遮蔽フィルム8の挟まれた部分9を、ケーブル2の挟まれた領域18において互いに結合する。接着剤層10は、ケーブル2のカバー領域14内に存在する場合があり、又は存在しない場合もある。
【0015】
いくつかの場合において、導体セット4は、横方向断面(yz平面)において、実質的に曲線的なエンベロープ又は外辺部を有し、遮蔽フィルム8は導体セット4の周囲に配置されて、ケーブル2の長さLの少なくとも部分に沿って、好ましくは実質的に全部に沿って、断面形状に一致し、これを維持する。断面形状を維持することは、導体セット4の設計において意図されるように、導体セット4の電気的特性を維持する。いくつかの従来の遮蔽付き電気ケーブルでは、導体セットの周囲に伝導性遮蔽体を配置することによって、導体セットの断面形状を変化させるため、これはそのような従来の遮蔽付き電気ケーブルよりも有利である。
【0016】
図1に示す実施形態では、各導体セット4は、2つの絶縁導体6を有するが、他の実施形態では、一部又は全ての導体セットが、1つの絶縁導体のみを有する場合があり、又は3つ以上の絶縁導体6を含む場合もある。例えば、
図1の遮蔽電気ケーブルに設計が類似する、代替的な遮蔽電気ケーブルは、8つの絶縁導体6を有する1つの導体セット、又はそれぞれが1つの絶縁導体6のみを有する8つの導体セットを含み得る。導体セット及び絶縁導体の配置のこの柔軟性により、開示される遮蔽電気ケーブルを、多種多様な対象用途に関して好適な方式で構成することが可能になる。例えば、導体セット及び絶縁導体は、複数の二芯同軸ケーブル(すなわち、それぞれが2つの絶縁導体を有する、複数の導体セット)、複数の同軸ケーブル(すなわち、それぞれが1つの絶縁導体のみを有する、複数の導体セット)、又はこれらの組み合わせを形成するように構成することができる。一部の実施形態では、導体セットは、1つ以上の絶縁導体の周りに配置される導電性遮蔽体(図示せず)、及びその導電性遮蔽体の周りに配置される絶縁ジャケット(図示せず)を更に含み得る。
【0017】
図1に示す実施形態では、遮蔽電気ケーブル2は、任意選択的な接地導体12を更に含む。接地導体12は、接地線又はドレイン線を含んでもよい。接地導体12は、絶縁導体6から離間して、絶縁導体6と実質的に同じ方向に延在することができる。遮蔽フィルム8を、接地導体12の周りに配置することができる。接着剤層10は、接地導体12の両側の挟まれた部分9内で、遮蔽フィルム8を互いに結合することができる。接地導体12は、少なくとも一方の遮蔽フィルム8と、電気的に接触することができる。
【0018】
遮蔽電気ケーブル2は、更にかつ必要に応じて、ケーブル2の両側で配置されたEMI吸収層15を含む。EMI吸収層15は、主として
電磁界を吸収することによって
該電磁界を弱化させる。遮蔽フィルム8は、主として
電磁界を反射させることによって
該電磁界を弱化させる。広くは、ケーブル2は、遮蔽フィルム8を有さない又は1つ以上の遮蔽フィルムを有し得及び/又はEMI吸収層を有さない又は1つ以上のEMI吸収層を有し得る。いくつかの場合において、遮蔽フィルム8及びEMI吸収層15は、組み合わされて、しかし別個にではなく、隣り合う導体セット4間のクロストークを許容可能かつ所定のレベルまで低減する。このような場合には、各遮蔽フィルム8及びEMI吸収層15は、所定のかつ所望のレベルを超えるレベルまでクロストークを低減するが、組み合わされる場合には、それらは所定のかつ所望のレベルと等しい又はそれ未満のレベルまで低減する。
【0019】
EMI吸収層15は、主として吸収を通して電磁界を弱化させることが可能な任意のタイプの材料を含むことができる。例えば、いくつかの場合では、EMI吸収材料は、所望の周波数範囲において1より大きい、又は2より大きい、又は3より大きい透磁率を有する誘電性材料であり得、これは無視できない磁気損失係数を呈する。EMI吸収材料の例としては、EMI Absorbers AB−2000シリーズ又はEMI Absorbers AB−5000シリーズが挙げられ、これら双方ともに3M Company(St.Paul、Minn.)から購入可能である。EMI Absorbers AB−2000シリーズは、アクリル系感圧性接着剤と共に、シリコーンゴム及び電磁材料から形成された薄型の可撓性裏材を含む。EMI Absorbers AB−5000シリーズは、アクリル接着剤系及び取り外し可能なライナーを備える、ポリマー樹脂中の可撓性の軟質金属フレーク充填剤を含む。EMI吸収材料の例としては、例えば、フェライト材料などの強磁性材料が挙げられる。フェライト材料は、Fe
2O
3及び/又はFe
3O
4を含む非導電性の酸化鉄化合物並びに他の金属酸化物から形成されてもよい。いくつかの場合では、EMI吸収材料は、強磁性粉末を含有する高分子樹脂として形成され得る。いくつかの場合には、EMI吸収材料の組成物及び構造は、導体セットによって発生される電磁界にほぼ関連した1つ以上の周波数で電磁波を吸収するよう選択され得る。いくつかの場合において、複合EMI吸収材料は、周波数の範囲以上に電磁波を吸収することが可能である。
【0020】
図2a〜2gの断面図は、様々な遮蔽電気ケーブル、又はケーブルの諸部分を表し得る。
図2aでは、遮蔽電気ケーブル102aは、単一の導体セット104を含む。導体セット104は、x軸又は方向に沿うケーブルの長さに沿って延在し、単一の絶縁導体106を有する。所望の場合、ケーブル102aは、y軸に沿うケーブル102aの幅にわたって互いに離間し、ケーブルの長さに沿って延在する、複数の導体セット104を有することができる。2つの遮蔽フィルム108が、ケーブルの対向する側に配置される。更に、2つのEMI吸収層115が、ケーブルの対向する第1及び第2の側で遮蔽フィルムに配置される。更に、2つのEMI吸収層115が、ケーブルの対向する側で遮蔽フィルムに配置される。ケーブル102aは、カバー領域114及び挟まれた領域118を含む。ケーブル102aのカバー領域114内では、遮蔽フィルム108は、導体セット104を被覆するカバー部分107を含む。yz平面内の横断面においては、カバー部分107が組み合わされて、導体セット104を実質的に包囲する。ケーブル102aの挟まれた領域118内では、遮蔽フィルム108は、導体セット104の両側に、挟まれた部分109を含む。
【0021】
例示的ケーブル102aにおいて、遮蔽フィルムが、EMI吸収層と導体セットとの間に配置される。いくつかの場合において、EMI吸収層は、遮蔽フィルムと導体セットとの間に配置され得る。
図2aに明示的に示されてはいないいくつかの場合では、遮蔽フィルムが、ケーブルの同じ側で2つのEMI吸収層間に配置されてもよく、又はEMI吸収層が、ケーブルの同じ側で2つの遮蔽フィルム間に配置されてもよい。いくつかの場合には、このケーブルは、遮蔽フィルムとEMI吸収層との交互の層を含むことができる。
【0022】
任意選択的な接着剤層110を、遮蔽フィルム108の間に配置することができる。遮蔽電気ケーブル102aは、任意選択的な接地導体112を更に含む。接地導体112は、絶縁導体106から離間され、実質的に絶縁導体106と同じ方向(x軸)に延在する。導体セット104及び接地導体112は、
図2aに示すように、概してxy平面などの平面内に位置するように配置することができる。
【0023】
遮蔽フィルム108の第2カバー部分113は、接地導体112の周りに配置されて、接地導体112を被覆する。接着剤層110は、接地導体112の両側で、遮蔽フィルム108を互いに結合することができる。接地導体112は、遮蔽フィルム108の少なくとも1つと電気的に接触してもよい。
図2aでは、絶縁導体106及び遮蔽フィルム108は、導体セットの両側での伸張で、同軸ケーブル構成で効果的に配置される。
図2aの同軸ケーブル構成は、シングルエンド回路構成内で使用することができる。
【0024】
図2aの横断面図に示すように、遮蔽フィルム108のカバー部分107の間に、最大離隔距離Dが存在し、遮蔽フィルム108の挟まれた部分109の間に、最小離隔距離d
1が存在する。
【0025】
図2aは、ケーブル102aの挟まれた領域118内の、遮蔽フィルム108の挟まれた部分109の間に配置され、また、ケーブル102aのカバー領域114内の、遮蔽フィルム108のカバー部分107と絶縁導体106との間に配置される、接着剤層110を示す。この配置では、接着剤層110は、ケーブルの挟まれた領域118内で、遮蔽フィルム108の挟まれた部分109を一体に結合し、ケーブル102aのカバー領域114内で、遮蔽フィルム108のカバー部分107を絶縁導体106に結合する。
【0026】
図2bの遮蔽ケーブル102bは、同様の参照番号によって同様の要素が特定されることで、
図2aのケーブル102aに同様である。
図2bでは、任意選択的接着層110は、ケーブル102bのカバー領域114内の遮蔽フィルム108のカバー諸部分107と絶縁導体106との間には存在しない。この配置では、接着剤層110は、ケーブルの挟まれた領域118内で、遮蔽フィルム108の挟まれた部分109を一体に結合するが、接着剤層110は、ケーブル102bのカバー領域114内で、遮蔽フィルム108のカバー部分107を絶縁導体106に結合しない。
【0027】
図2cを参照すると、遮蔽電気ケーブル202cは、
図2aの遮蔽電気ケーブル102aに同様である。ケーブル202cは、2つの絶縁導体206を有する3単一の導体セット204を有する。所望の場合、ケーブル202cは、ケーブル202cの幅にわたって離間し、ケーブルの長さに沿って延在する、複数の導体セット204を有するように、作製することができる。絶縁導体206は、概して単一平面(xy平面)内に、二芯同軸構成で有効に配置される。
図2cの二芯同軸ケーブル構成は、差動ペア回路構成内で、又はシングルエンド回路構成内で使用することができる。
【0028】
2つの遮蔽フィルム208及びEMI吸収層115は、導体セット204の対向する側に配置される。ケーブル202cは、カバー領域214及び挟まれた領域218を含む。ケーブル202cのカバー領域214内では、遮蔽フィルム208は、導体セット204を被覆するカバー部分207を含む。横断面においては、カバー部分207が組み合わされて、導体セット204を実質的に包囲する。ケーブル202cの挟まれた領域218内では、遮蔽フィルム208は、導体セット204の両側に、挟まれた部分209を含む。
【0029】
任意選択的な接着剤層210cを、遮蔽フィルム208の間に配置することができる。遮蔽電気ケーブル202cは、任意選択的な接地導体212を更に含む。接地導体212は、絶縁導体206から離間し、x軸に沿って絶縁導体206と実質的に同じ方向に延在する。導体セット204及び接地導体212は、
図2cに示すように、概してxy平面などの一平面内に位置するように配置することができる。
【0030】
図2cの断面図に示すように、遮蔽フィルム208のカバー部分207の間に、最大離隔距離Dが存在し、遮蔽フィルム208の挟まれた部分209の間に、最小離隔距離d
1が存在し、絶縁導体206の間の遮蔽フィルム208の間に、最小離隔距離d
2が存在する。ケーブル202cは、遮蔽フィルム108のカバー部分107間の最大離間距離D、遮蔽フィルム108のカバー部分107間の最小離間距離d
2、遮蔽フィルム108の挟まれた部分109間の最小離間距離d
1によって特徴付けることができる。いくつかの場合、比d
1/Dは、0.25未満又は0.1未満である。一部の場合では、d
2/Dは、0.33よりも大きい。
【0031】
図2cは、ケーブル202の挟まれた領域218内の、遮蔽フィルム208の挟まれた部分209の間に配置され、また、ケーブル202cのカバー領域214内の、遮蔽フィルム208のカバー部分207と絶縁導体206との間に配置される、接着剤層210cを示す。この配置では、接着剤層210cは、ケーブル202cの挟まれた領域218内で、遮蔽フィルム208の挟まれた部分209を一体に結合し、同様にケーブル202cのカバー領域214内で、遮蔽フィルム208のカバー部分207を絶縁導体206に結合する。
【0032】
図2dの遮蔽ケーブル202dは、
図2cのケーブル202cと類似しており、同様の要素は、同様の参照番号によって特定されるが、ただしケーブル202d内では、任意選択的な接着剤層210dが、ケーブルのカバー領域214内の、遮蔽フィルム208のカバー部分207と絶縁導体206との間には存在しない。この配置では、接着剤層210dは、ケーブルの挟まれた領域218内で、遮蔽フィルム208の挟まれた部分209を一体に結合するが、ケーブル202dのカバー領域214内では、遮蔽フィルム208のカバー部分207を絶縁導体206に結合しない。
【0033】
ここで
図2eを参照すると、
図2aの遮蔽電気ケーブル102aと多くの点で類似する、遮蔽電気ケーブル302の横断面図が示される。しかしながら、ケーブル102aは、単一の絶縁導体106のみを有する単一の導体セット104を含むが、ケーブル302は、x軸又は方向に沿いケーブル302の長さに沿って延在する2つの絶縁導体306を有する、単一の導体セット304を含む。ケーブル302は、ケーブル302の幅にわたって互いに離間し、ケーブル302の長さに沿って延在する、複数の導体セット304を有するように、作製することができる。絶縁導体306は、撚り合わさる対ケーブル構成内に効果的に配置され、これにより、絶縁導体306は互いに巻きついて、x軸又は方向に沿い、ケーブル302の長さに沿って延在する。
【0034】
図2fは、同様に
図2aの遮蔽電気ケーブル102aと多くの点で類似する、別の遮蔽電気ケーブル402を示す。しかしながら、ケーブル102aが、単一の絶縁導体106のみを有する単一の導体セット104を含む一方で、ケーブル402は、x軸又は方向に沿いケーブル402の長さに沿って延在する4つの絶縁導体406を有する単一の導体セット404を含む。このケーブル402は、y軸に沿ってケーブル302の幅に対して互いに間隔をおいて離れ、並びにx軸に沿いケーブル302の長さに沿って延在する複数の導体セット404を有するよう作られてもよい。
【0035】
絶縁導体406は、4連ケーブル構成において効果的に構成され、これにより絶縁導体406は、絶縁導体406がx軸に沿いケーブル402の長さに沿って延在するに伴って、互いに撚り合わされてもよいし、そうでなくてもよい。
【0036】
図2a〜2fを再び参照すると、遮蔽電気ケーブルの更なる実施形態は、概して単一平面内に配置される複数の離間した導体セット104、204、304、若しくは導体セット404、又はこれらの組み合わせを含み得る。所望により、遮蔽電気ケーブルは、導体セットの絶縁導体から離間し、導体セットの絶縁導体と概して同じ方向に延在する複数の接地導体112を含み得る。一部の構成では、導体セット及び接地導体は、概して単一平面内に配置することができる。
図2gは、そのような遮蔽電気ケーブルの例示的実施形態を示す。
【0037】
図2gを参照すると、遮蔽電気ケーブル502は、概してxy平面で配置された複数の間隔をおいて離れた導体セット504a、504bを含み、各導体セットは、1つ以上の絶縁導体506を含む。遮蔽電気ケーブル504は、導体セット504aと504bとの間、及び遮蔽電気ケーブル502の両側、すなわち両縁部に配置される、任意選択的な接地導体112を更に含む。
【0038】
第1及び第2の遮蔽フィルム508は、ケーブル502の対向する第1及び第2の側に配置され、yz平面内の横断面図においてケーブル502がカバー領域524及び挟まれた領域528を含むように配置される。ケーブルのカバー領域524内では、第1及び第2の遮蔽フィルム508のカバー部分517が、横断面において、各導体セット504a、504bを実質的に包囲する。例えば、第1及び第2の遮蔽フィルムのカバー部分が組み合わされて、各導体セットの周辺部の少なくとも70%を取り囲むことによって、各導体セットを実質的に包囲する。第1及び第2の遮蔽フィルム508の挟まれた部分519は、各導体セット504a、504bの両側に、挟まれた領域518を形成する。
【0039】
遮蔽フィルム508が、接地導体112の周りに配置される。任意選択的な接着剤層510が、遮蔽フィルム508(shielding films 208)の間に配置され、各導体セット504a、504bの両側の挟まれた領域528内で、遮蔽フィルム508の挟まれた部分519を互いに結合する。遮蔽電気ケーブル502は、同軸ケーブル配置(導体セット504a)と二芯同軸ケーブル配置(導体セット504b)との組み合わせを含み、それゆえ、ハイブリッドケーブル配置と称することができる。いくつかの場合において、ケーブル502は、
図2gには明示的に示されていないが、ケーブルの1つの側又は両側の導体セットに配置された、1つ以上のEMI吸収層を含むことができる。
【0040】
開示される遮蔽ケーブル内で使用される遮蔽フィルムは、様々な構成を有し得、様々な方式で作製することができる。
図7a〜7dは、本発明の態様による、遮蔽電気ケーブルの4つの例示的実施形態を示す。
図3a〜3dは、遮蔽電気ケーブルの遮蔽フィルムの構成体の様々な実施例を示す。一態様では、遮蔽フィルムの少なくとも1つは、導電性層及び非導電性高分子層を含む場合がある。導電性層は、銅、銀、アルミニウム、金、及びこれらの合金を含むが、これらに限定されない任意の好適な導電材料を含んでもよい。非導電性高分子層は、ポリエステル、ポリイミド、ポリアミド−イミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、シリコーンゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、ポリウレタン、アクリレート、シリコーン、天然ゴム、エポキシ、及び合成ゴム接着剤を含むが、これらに限定されない任意の好適な高分子材料を含み得る。非導電性高分子層には、対象用途に好適な特性をもたらすために、1つ以上の接着剤及び/又は充填剤を含めてもよい。別の態様において、遮蔽フィルムの少なくとも1つは、導電性層と非導電性高分子層との間に配置される積層接着層を含んでもよい。非導電層上に配置される導電層を有するか、又は別の方法で、導電性の1つの主要外表面と実質的に非導電性の反対側の主要外表面とを有する、遮蔽フィルムに関しては、遮蔽フィルムは、必要に応じて幾つかの異なる配向で、遮蔽ケーブル内に組み込むことができる。一部の場合には、例えば、導電性表面が、絶縁ワイヤの導体セット、及び接地ワイヤに面することができ、一部の場合には、非導電性表面が、それらの構成要素に面することができる。2つの遮蔽フィルムが、ケーブルの対向する側に使用される場合には、それらのフィルムは、それらの導電性表面が互いに向かい合い、それぞれが導体セット及び接地ワイヤに面するように配向することができ、又はそれらのフィルムは、それらの非導電性表面が互いに向かい合い、それぞれが導体セット及び接地ワイヤに面するように配向することができ、あるいはそれらのフィルムは、一方の遮蔽フィルムの導電性表面が、導体セット及び接地ワイヤに面するが、ケーブルの他方の面からは、他方の遮蔽フィルムの非導電性表面が、導体セット及び接地ワイヤに面するように配向することができる。
【0041】
一部の場合には、少なくとも一方の遮蔽フィルムは、柔軟な、又は可撓性の金属箔などの、単独型の導電性フィルムを含み得る。遮蔽フィルムの構造体は、例えば、遮蔽された電気ケーブルの可撓性、電気性能、及び構成(例えば、接地導体の存在及び位置など)など、対象用途に好適な設計パラメータの数を基準として選択されてもよい。一部の場合には、遮蔽フィルムは、一体的に形成された構成体を有する。一部の場合には、遮蔽フィルムは0.01mm〜0.05mmの範囲の厚さを有し得る。遮蔽フィルムは、望ましくは、導体セット間に、分離、遮蔽、及び正確な間隔を提供して、より自動化された、より低コストのケーブル製造プロセスを可能にする。更に、遮蔽フィルムは導電性シートであり、「シグナルサックアウト」すなわち、共振(これによって高信号減衰が特定の周波数帯域で生じる)として知られる現象を防ぐ。この現象は一般的に、導電性遮蔽体が導体セットの周囲に巻き付けられているリボンである、従来の遮蔽電気ケーブルに発生する。
【0042】
図3aは、単一の導体セット804を示す、遮蔽電気ケーブル802の幅全体にわたる断面図である。各導体セット804は、x軸に沿うケーブル802の長さに沿って延在する、2つの絶縁導体806を含む。ケーブル802は、y軸に沿うケーブル802の幅にわたって互いから間隔を置いて配置された複数の導体セット804を含み得る。2つの遮蔽フィルム808は、各遮蔽フィルムが非導電性高分子層808bに配置された導電性層808aを含むところの、ケーブル802の対向する側に配置される。非導電性高分子層808bは、絶縁導体806に面する。導電性層808aは、任意の好適な方法を使用して、非導電性高分子層808b上に堆積されてもよい。yz平面内の横断面において、遮蔽フィルム808のカバー部分807は組み合わされて、ケーブル802のカバー領域814における導体セット804を実質的に包囲する。例えば、第1及び第2の遮蔽フィルムのカバー部分が組み合わされて、各導体セットの周辺部の少なくとも70%を取り囲むことによって、各導体セットを実質的に包囲する。遮蔽フィルム808の挟まれた部分809は、導体セット804の両側に、ケーブル802の挟まれた領域818を形成する。
【0043】
遮蔽フィルム808は、ケーブル802の挟まれた領域818内で、遮蔽フィルム808の挟まれた部分809を互いに結合する、任意選択的な接着剤層810a、810bを含み得る。接着剤層810aは、一方の非導電性高分子層808b上に配置され、接着剤層810bは、もう一方の非導電性高分子層808b上に配置される。接着剤層810a、810bは、ケーブル802のカバー領域814内に存在する場合があり、又は存在しない場合もある。存在する場合には、接着剤層810a、810bは、遮蔽フィルム808のカバー部分807の幅にわたって完全に、又は部分的に延在して、遮蔽フィルム808のカバー部分807を、絶縁導体806に結合することができる。
【0044】
この実施例では、絶縁導体806及び遮蔽フィルム808は、概してxy平面などの単一平面内に、及び二芯同軸構成で有効に配置され、この二芯同軸構成は、シングルエンド回路構成内で、又は差動ペア回路構成内で使用することができる。
【0045】
図3bは、単一の導体セット904を示す、遮蔽電気ケーブル902の幅全体にわたる断面図である。導体セット904は、x軸に沿うケーブル902の長さに沿って延在する、2つの絶縁導体906を含む。ケーブル902は、y軸に沿うケーブル902の幅に沿って互いに離間し、ケーブル902の長さに沿って延在する、複数の導体セット904を含み得る。2つの遮蔽フィルム908は、各遮蔽フィルムが、非導電性高分子層908bに配置された導電性層908aを含む、ケーブル902の対向する側に配置される。導電性層908aは、絶縁導体906に面する。導電性層908aは、任意の好適な方法を使用して、非導電性高分子層908b上に堆積されてもよい。横断面においては、遮蔽フィルム908のカバー部分907が組み合わされて、ケーブル902のカバー領域914内で、導体セット904を実質的に包囲する。遮蔽フィルム908の挟まれた部分909は、導体セット904の両側に、ケーブル902の挟まれた領域918を形成する。
【0046】
1つ以上の任意選択的な接着剤層910a、910bが、導体セット904の両側の挟まれた領域918内で、遮蔽フィルム908の挟まれた部分909を互いに結合する。接着剤層910a、910bは、遮蔽フィルム908のカバー部分907の幅にわたって完全に、又は部分的に延在することができる。絶縁導体906は、概して単一平面内に配置され、二芯同軸ケーブル構成を有効に形成し、シングルエンド回路構成内で、又は差動ペア回路構成内で使用することができる。
【0047】
図3cは、単一の導体セット1004を示す、遮蔽電気ケーブル1002の幅全体にわたる断面図である。各導体セット1004は、x軸に沿うケーブル1002の長さに沿って延在する、2つの絶縁導体1006を含む。ケーブル1002は、y軸に沿うケーブル1002の幅に沿って互いに離間し、ケーブル1002の長さに沿って延在する、複数の導体セット1004を含み得る。2つの遮蔽フィルム1008は、ケーブル1002の対向する側に配置されて、カバー部分1007を含む。横断面においては、カバー部分1007が組み合わされて、ケーブル1002のカバー領域1014内で、導体セット1004を実質的に包囲する。遮蔽フィルム1008の挟まれた部分1009は、導体セット1004の両側に、ケーブル1002の挟まれた領域1018を形成する。
【0048】
ケーブル1002は、挟まれた領域1018において導体セット1004の両側で、遮蔽フィルム1008の挟まれた部分1009を互いに結合する、1つ以上の任意の接着剤層1010a、1010bを含む。接着剤層1010a、1010bは、遮蔽フィルム1008のカバー部分1007の幅にわたって完全に、又は部分的に延在することができる。絶縁導体1006は、概してxy平面などの単一平面内に、及び二芯動軸ケーブル構成で有効に配置され、この二芯同軸ケーブル構成は、シングルエンド回路構成又は差動ペア回路構成内で使用することができる。遮蔽フィルム1008は、単独型の導電性フィルムを含む。
【0049】
図3dは、単一の導体セット1104を示す、遮蔽電気ケーブル1102の断面図である。導体セット1104は、x軸に沿うケーブル1102の長さに沿って延在する、2つの絶縁導体1106を含む。ケーブル1102は、y軸に沿うケーブル1102の幅に沿って互いに離間し、ケーブル1102の長さに沿って延在する、複数の導体セット1104を含み得る。2つの遮蔽フィルム1108は、ケーブル1102の対向する側に配置されて、カバー部分1107を含む。横断面においては、カバー部分1107が組み合わされて、ケーブル1102のカバー領域1114内で、導体セット1104を実質的に包囲する。遮蔽フィルム1108の挟まれた部分1109は、導体セット1104の両側に、ケーブル1102の挟まれた領域1118を形成する。
【0050】
遮蔽フィルム1108は、1つ以上の任意の接着層1110aを1110bを含み、これは遮蔽フィルム1108の挟まれた部分1109を、導体セット1104の両側で挟まれた領域1118において互いに結合する。接着剤層1110a、1110b(adhesive layer 1010a, 1010b)は、遮蔽フィルム1108のカバー部分1107の幅にわたって完全に、又は部分的に延在することができる。
【0051】
絶縁導体1106は、概してxy平面などの単一平面内に、及び二芯同軸ケーブル構成で有効に配置される。この二芯同軸ケーブル構成は、シングルエンド回路構成内で、又は差動回路構成内で使用することができる。遮蔽フィルム1108は、導電性層1108aと、非導電性高分子層1108bと、導電性層1108aと非導電性高分子層1108bとの間に配置される積層接着層1108cとを含み、これによって導電性層1108aを非導電性高分子層1108bに積層する。導電性層1108aは絶縁導体1106に面する。
【0052】
本明細書の他の部分で論じられるように、ケーブル構成体内で接着剤材料を使用して、ケーブルのカバー領域で、1つ又は2つの遮蔽フィルムを、1つ、一部、若しくは全ての導体セットに結合することができ、及び/又は接着剤材料を使用して、ケーブルの挟まれた領域で、2つの遮蔽フィルムを一体に結合することができる。接着剤材料の層は、少なくとも一方の遮蔽フィルム上に配置することができ、2つの遮蔽フィルムが、ケーブルの対向する側に使用される場合には、接着剤材料の層は、双方の遮蔽フィルム上に配置することができる。後者の場合では、一方の遮蔽フィルム上に使用される接着剤は、好ましくは、他方の遮蔽フィルム上に使用される接着剤と同じであるが、所望の場合、異なるものにすることができる。所定の接着剤層は、電気的絶縁性の接着剤を含み得、2つの遮蔽フィルムの間に絶縁性結合を提供することができる。更には、所定の接着剤層は、少なくとも一方の遮蔽フィルムと、1つ、一部、若しくは全ての導体セットの、絶縁導体との間、及び少なくとも一方の遮蔽フィルムと、1つ、一部、若しくは全ての接地導体(存在する場合)との間に、絶縁性結合を提供することができる。あるいは、所定の接着剤層は、導電性の接着剤を含み得、2つの遮蔽フィルムの間に導電性結合を提供することができる。更には、所定の接着剤層は、少なくとも一方の遮蔽フィルムと、1つ、一部、若しくは全ての接地導体(存在する場合)との間に、導電性結合を提供することができる。好適な導電性接着剤は、電流の流れを提供するために導電性粒子を含む。導電性粒子は、現在使用されている任意のタイプの粒子、例えば、球体、フレーク、ロッド、立方体、非晶質、又は他の粒子形状であり得る。それらは、カーボンブラック、カーボンファイバー、ニッケル球体、ニッケルがコーティングされた銅球体、金属がコーティングされた酸化物、金属がコーティングされた高分子繊維、又は他の類似の導電性粒子など、固体又は実質的に固体粒子であってもよい。これらの導電性粒子は、銀、アルミニウム、ニッケル、又は酸化インジウムスズなどの導電材料でめっきされている若しくはコーティングされている電気絶縁材料から作製されてもよい。金属がコーティングされた絶縁材料は、実質的に中空の粒子、例えば、中空のガラス球体であってもよく、又はガラスビーズ若しくは金属酸化物など中実材料を含んでもよい。導電性粒子は、カーボンナノチューブなど、約数十マイクロメートルから、ナノメーターサイズの大きさまでの材料であってもよい。好適な導電性接着剤はまた、導電性高分子マトリックスを含んでもよい。
【0053】
所定のケーブル構成体内で使用される場合、接着剤層は、好ましくは、ケーブルの他の要素に対して、形状が実質的に適合可能であり、ケーブルの屈曲運動に関して適合可能である。一部の場合には、所定の接着剤層は、実質的に連続的なものとすることができ、例えば、所定の遮蔽フィルムの所定の主要表面の、実質的に全長及び全幅に沿って延在する。場合によっては、接着層は実質的に不連続であってもよい。例えば、接着剤層は、所定の遮蔽フィルムの長さ又は幅に沿った、一部の部分内にのみ存在することができる。不連続接着剤層は、例えば、複数の長手方向の接着ストライプを含み得、この接着ストライプは、例えば、各導体セットの両側の遮蔽フィルムの挟まれた部分間、及び接地導体(存在する場合)の側方の遮蔽フィルム間に配置される。所定の接着剤材料は、感圧接着剤、ホットメルト接着剤、熱硬化接着剤、及び硬化接着剤のうちの少なくとも1つとすることができ、又は少なくとも1つを含み得る。接着剤層は、1つ以上の絶縁導体と遮蔽フィルムとの間の結合よりも実質的に強固な結合を、遮蔽フィルム間に提供するように、構成することができる。このことは、例えば、接着剤配合の適切な選択によって、達成することができる。この接着剤構成の有利点は、遮蔽フィルムを、絶縁導体の絶縁体から容易にストリッピングすることが可能になる点である。他の場合には、接着剤層は、実質的に等しい強度の、遮蔽フィルム間の結合、及び1つ以上の絶縁導体と遮蔽フィルムとの間の結合を提供するように、構成することができる。この接着剤構成の有利点は、絶縁導体が、遮蔽フィルム間に係留される点であるこの構成体を有する遮蔽電気ケーブルが屈曲される場合、このことにより、相対運動を小さくすることが可能になり、それゆえ、遮蔽フィルムが座屈する可能性が低減される。好適な結合強度は対象用途によって選択されてもよい。一部の場合には、約0.13mm未満の厚さを有する、適合性接着剤層を使用することができる。例示的実施形態では、接着剤層は、約0.05mm未満の厚さを有する。
【0054】
所定の接着剤層は、遮蔽電気ケーブルの、所望の機械的性能特性及び電気的性能特性を達成するように、適合することができる。例えば、接着剤層は、導体セット間の区域内の、遮蔽フィルム間で、より薄くなるように適合することができ、このことは、遮蔽ケーブルの、少なくとも横方向の可撓性を増大させる。このことにより、遮蔽ケーブルを、より容易に、曲線状の外側ジャケット内に定置することが可能になり得る。一部の場合には、接着剤層は、導体セットに直接隣接する区域内で、より厚くなるように適合し、その導体セットに実質的に適合することができる。このことにより、これらの区域内で、機械的強度が増大し、遮蔽フィルムの曲線形状の形成を可能にすることができ、このことは、例えばケーブルを屈曲させる間の、遮蔽ケーブルの耐久性を増大させることができる。更には、このことは、遮蔽ケーブルの長さに沿って、遮蔽フィルムに対する絶縁導体の位置及び間隔を維持するために役立つことができ、このことは、遮蔽ケーブルの、より均一なインピーダンス、及びより優れた信号保全性をもたらし得る。
【0055】
所定の接着剤層は、有効に、導体セット間の区域内、例えばケーブルの挟まれた領域内の、遮蔽フィルム間で、部分的に、又は完全に除去されるように、適合することができる。結果として、遮蔽フィルムは、これらの区域内で、互いに電気的に接触することができ、このことにより、ケーブルの電気的性能が向上し得る。一部の場合には、接着剤層は、有効に、少なくとも一方の遮蔽フィルムと接地導体との間で、部分的に、又は完全に除去されるように、適合することができる。結果として、接地導体は、これらの区域内で、少なくとも一方の遮蔽フィルムと電気的に接触することができ、このことにより、ケーブルの電気的性能が向上し得る。接着剤の薄い層が、少なくとも一方の遮蔽フィルムと所定の接地導体との間に残存する場合であっても、接地導体上の隆起が、この薄い接着剤層を突き抜けて、目的とされる電気的接触を確立することができる。
【0056】
図4a〜4cは、遮蔽電気ケーブル内の接地導体の定置の実施例を示す、遮蔽電気ケーブルの3つの例示的実施形態の断面図である。遮蔽電気ケーブルの一態様は、遮蔽体の適切な接地であり、そのような接地は、数多くの方式で達成することができる。一部の場合には、所定の接地導体が、少なくとも一方の遮蔽フィルムと電気的に接触することにより、その所定の接地導体を接地させることはまた、その遮蔽フィルムも接地させることができる。そのような接地導体はまた、「ドレインワイヤ」と称することもできる。遮蔽フィルムと接地導体との電気的接触は、比較的低いDC抵抗、例えば、10オーム未満、又は2オーム未満、又は実質的に0オームのDC抵抗によって特徴付けることができる。一部の場合には、所定の接地導体は、遮蔽フィルムと電気的に接触しないが、例えば、プリント回路基板、パドル基板、又は他のデバイスの、導電経路若しくは他の接点要素などの、任意の好適な終端構成要素の任意の好適な個々の接点要素に、独立して終端される、ケーブル構成体内の個別要素とすることができる。そのような接地導体はまた、「接地ワイヤ」と称することもできる。
図4aは、接地導体が遮蔽フィルムの外側に配置されている、代表的な遮蔽付き電気ケーブルを示す。
図4b〜4cは、接地導体が、遮蔽フィルム間に位置し、また導体セット内に含まれ得る、実施形態を示す。1つ以上の接地導体は、遮蔽フィルムの外側に、遮蔽フィルムの間に、又は両方の組み合わせで、任意の好適な位置に配置され得る。
【0057】
図4aを参照すると、遮蔽電気ケーブル1202は、x軸に沿うケーブル1202の長さに沿って延在する単一の導体セット1204を含む。導体セット1204は、2つの絶縁導体1206、すなわち、一対の絶縁導体を含む。ケーブル1202は、y軸に沿うケーブルの幅にわたって互いに離間し、ケーブル1202の長さに沿って延在する、複数の導体セット1204を含み得る。2つの遮蔽フィルム1208は、ケーブル1202の対向する第1及び第2の側に配置され、カバー部分1207と挟まれた部分1209とを含む。横断面においては、カバー部分1207が組み合わされて、導体セット1204を実質的に包囲する。任意選択的な接着剤層1210が、遮蔽フィルム1208の挟まれた部分1209の間に配置され、導体セット1204の両側で、遮蔽フィルム1208を互いに結合する。絶縁導体1206は、概してxy平面などの単一平面内に、及び二芯同軸ケーブル構成で有効に配置され、この二芯同軸ケーブル構成は、シングルエンド回路構成又は差動ペア回路構成内で使用することができる。遮蔽された電気ケーブル1202は、遮蔽フィルム1208の外側に配置された複数の接地導体1212を更に含む。接地導体1212は、導体セット1204の上に、これの下に、又は両側に配置される。任意に、遮蔽された電気ケーブル1202は、遮蔽フィルム1208及び接地導体1212を包囲する保護フィルム1220を含む。保護フィルム1220は、保護層1220aと、保護層1220aを遮蔽フィルム1208及び接地導体1212に結合する接着層1220bと、を含む。あるいは、遮蔽フィルム1208及び接地導体1212は、例えば、導電性ブレイドなどの外側の導電性遮蔽部、及び外側の絶縁ジャケット(図示せず)によって包囲されてもよい。場合によっては、少なくとも1つの保護層1220a及び接着層1220bが、導電性であることができる。
【0058】
図4bを参照すると、遮蔽電気ケーブル1302は、x軸に沿うケーブル1302の長さに沿って延在する、単一の導体セット1304を含む。導体セット1304は、2つの絶縁導体1306を含む。ケーブル1302は、y軸に沿うケーブル1302の幅にわたって互いに間隔を置いて配置され、ケーブル1302の長さに沿って延在する、複数の導体セット1304を含んでもよい。2つの遮蔽フィルム1308は、ケーブル1302の対向する第1及び第2の側に配置され、カバー部分1307と挟まれた部分1309とを含む。横断面においては、カバー部分が組み合わされて、導体セット1304を実質的に包囲する。任意選択的な接着剤層1310が、遮蔽フィルム1308の挟まれた部分1309間に配置され、導体セット1304の両側で、遮蔽フィルム1308を互いに結合する。絶縁導体1306は、概ね単一平面に、及び二芯同軸又は差動ペアケーブル構成に効果的に配置される。遮蔽された電気ケーブル1302は、遮蔽フィルム1308間に配置される複数の接地導体1312を更に含む。接地導体1312の2つは、導体セット1304に含まれ、接地導体1312の2つは、導体セット1304から離間される。
【0059】
図4cを参照すると、遮蔽電気ケーブル1402は、x軸に沿うケーブル1402の長さに沿って延在する、単一の導体セット1404を含む。導体セット1404は、2つの絶縁導体1406を含む。ケーブル1402は、y軸に沿うケーブル1402の幅にわたって互いに間隔を置いて配置され、ケーブル1402の長さに沿って延在する、複数の導体セット1304を含んでもよい。2つの遮蔽フィルム1408は、ケーブル1402の対向する第1及び第2の側に配置され、カバー部分1407と挟まれた部分1409とを含む。横断面において、カバー部分1407が組み合わされて、導体セット1404を実質的に包囲する。任意選択的な接着剤層1410が、遮蔽フィルム1408の挟まれた部分1409の間に配置され、導体セット1404の両側で、遮蔽フィルム1408を互いに結合する。絶縁導体1406は、概ね単一平面に、及び二芯同軸又は差動ペアケーブル構成に効果的に配置される。遮蔽された電気ケーブル1402は、遮蔽フィルム1408間に配置される複数の接地導体1412を更に含む。接地導体1412の全ては、導体セット1404に含まれる。2つの接地導体1412及び絶縁導体1406は、概ねxy平面などの単一平面で配置されている。遮蔽電気ケーブル1402は、遮蔽フィルム1408上に配置されたEMI吸収層1450と、ケーブルの両側に配置された導体セット1404と、を更に含む。
【0060】
図5a〜5gは、
図1に示すものと実質的に同じであり得る、遮蔽電気ケーブルを作製する例示的方法を示す。
【0061】
図5aに示す工程では、絶縁導体が、例えば、押出成形などの任意の好適な方法を使用して形成されるか、又は他の方法で提供される。絶縁導体6は、導体6bに包囲された導体6aを含み、任意の好適な長さから形成されてもよい。絶縁導体6は次いで、そのように提供されてもよく、又は所望の長さに切断されてもよい。接地導体12(
図5cを参照)を、同様な方式で、形成及び提供することができる。
【0062】
図5bに示す工程では、1つ以上の遮蔽フィルム8が形成される。任意の好適な方法、例えば、連続ワイドウェブプロセスなどを使用して、単一層又は多層ウェブが形成されてもよい。各遮蔽フィルム8は、任意の好適な長さで形成することができる。遮蔽フィルム8は、この場合、そのような長さで提供することができ、あるいは所望の長さ及び/又は幅に切断することができる。遮蔽フィルム8は、横断方向の部分的な折り曲げを有するように事前形成して、長手方向の可撓性を増大させることができる。遮蔽フィルム8の一方又は両方は、適合性接着層10を含んでもよく、これは例えば、積層、コーティング又はスパッタリングなどの任意の好適な方法を使用して遮蔽フィルム8上に形成され得る。
【0063】
図5cに図示する工程では、複数の絶縁導体6、接地導体12、及び遮蔽フィルム8が提供される。形成ツール24が提供される。成形工具24は、遮蔽電気ケーブル2の所望の断面形状に対応する形状を有する、一対の成形ロール26a、26bを含み、この成形工具はまた、ロール間隙28も含む。絶縁導体6、接地導体12、及び遮蔽フィルム8は、本明細書で示し、及び/又は説明されるいずれかのケーブルなどの、所望の遮蔽電気ケーブル2の構成に従って配置され、成形ロール26a、26bの近位に位置決めされ、その後、成形ロール26a、26bのロール間隙28内へと同時に供給されて、成形ロール26a、26bの間に配置される。形成ツール24は、導体セット4及び接地導体12の周辺に遮蔽フィルム8を形成し、遮蔽フィルム8を互いに、各導体セット4及び接地導体12の両側で結合する。結合を促進するために熱が適用されてもよい。この実施形態では、導体セット4及び接地導体12の周辺に遮蔽フィルム8を形成すること、並びに遮蔽フィルム8を互いに、各導体セット4及び接地導体12の両側で結合することは単一操作で生じるが、他の実施形態では、これらの工程は別個の操作で生じる場合がある。
【0064】
他の層が、成形ロール26a及び26bのロール間隙28に供給される構成内に含まれ得る。例えば、1つ以上のEMI吸収層、1つ以上の保護層、及び/又は1つ以上のジャケット層が、この構成内に含まれ得、ロール間隙28に供給され得る。
【0065】
図5dは、形成ツール24によってそれが形成されるときの遮蔽された電気ケーブル2を図示する。
図5eに示す任意選択的な工程では、長手方向の分割部18が、導体セット4間に形成される。分割部18は任意の好適な方法、例えば、レーザー切断又はパンチング等を使用して、遮蔽された電気ケーブル2に形成されてもよい。
【0066】
図5fに示す別の任意選択的な工程では、遮蔽電気ケーブル2の遮蔽フィルム8は、挟まれた領域に沿って縦方向で複数回折り曲げて束にすることができ、この折り曲げられた束の周りに、外側導電性遮蔽体30を、任意の好適な方法を使用して提供することができる。
図5gに概略的に図示されているように、外側ジャケット32が、例えば、押出成形などの任意の好適な方法を使用して、外側の導電性遮蔽体30の周辺に提供される。一部の実施形態では、外側導電性遮蔽体30を省略することができ、外側ジャケット32を、折り曲げられた遮蔽ケーブルの周りに提供することができる。
【0067】
図6a〜6cは、遮蔽電気ケーブルを作製する例示的方法の詳細を示す。
図6a〜6cは、1つ以上の接着剤層を、遮蔽フィルムの成形及び結合の間に、適合可能に成形し得る方法を示す。
【0068】
図6aに示される工程において、絶縁導体1606、絶縁導体1606から離間された接地導体1612、及び2つの遮蔽フィルム1608が提供される。遮蔽フィルム1608はそれぞれ順応性接着層1610を含む。
図6b〜6cに図示する工程において、遮蔽フィルム1608は、絶縁導体1606及び接地導体1612の周辺に形成され、互いに結合される。最初は、
図6bに示すように、接着剤層1610は、その元の厚さを依然として有する。遮蔽フィルム1608の成形及び結合が進行するにつれて、適合性接着剤層1610は、遮蔽電気ケーブル1602の所望の機械的性能特性及び電気的性能特性を達成するように適合する(
図6c)。
【0069】
図6cに示すように、接着剤層1610は、絶縁導体1606及び接地導体1612の両側の、遮蔽フィルム1608間でより薄くなるように適合し、接着剤層1610の一部分が、これらの区域から離れる方向に移動する。更には、適合性接着剤層1610は、絶縁導体1606及び接地導体1612に直接隣接する区域内で、より厚くなるように適合し、絶縁導体1606及び接地導体1612に実質的に適合して、適合性接着剤層1610の一部分が、これらの区域内へと移動する。更に、順応性接着層1610は適合し、遮蔽フィルム1608と接地導体1612との間で効果的に除去され、順応性接着層1610は、接地導体1612が遮蔽フィルム1608に電気的に接触するように、これらの領域から離れて移動する。
【0070】
一部の手法では、より厚い金属又は金属材料を、遮蔽フィルムとして使用して、半剛性ケーブルを形成することができる。例えば、高分子裏打ちフィルムを使用することなく、アルミニウム又は他の金属を、この手法で使用することができる。アルミニウム(又は他の材料)を成形型に通過させて、カバー部分及び挟まれた部分を形成する波型を、そのアルミニウム内に作り出す。絶縁導体は、カバー部分を形成する波形内に定置される。ドレインワイヤが使用される場合には、より小さな波形を、ドレインワイヤ用に形成することができる。絶縁導体、及び所望によりドレインワイヤは、対向する波形アルミニウムの層の間に挟み込まれる。アルミニウム層は、例えば、接着剤又は溶接を使用して、一体に結合させることができる。上部及び下部の波形アルミニウム遮蔽フィルム間の接続は、非絶縁ドレインワイヤを通じたものとすることが可能である。あるいは、アルミニウムの挟まれた部分を、エンボス加工、更なる挟まれた加工、及び/又は打ち抜き加工して、波形遮蔽層間に確実な接触を提供することが可能である。
【0071】
例示的な実施形態では、遮蔽電気ケーブルのカバー領域は、同心領域と、所定の導体セットの一方の側又は両側に位置する、移行領域と、を含む。同心領域内の所定の遮蔽フィルムの部分は、遮蔽フィルムの同心部分と称され、移行領域内の遮蔽フィルムの部分は、遮蔽フィルムの移行部分と称される。この移行領域は、遮蔽電気ケーブルの高い製造可能性、並びに歪み及び応力の緩和を提供するように、構成することができる。この移行領域を、遮蔽電気ケーブルの長さに沿って、実質的に一定の構成(例えば、サイズ、形状、内容物、及び曲率半径などの態様が挙げられる)で維持することは、遮蔽電気ケーブルが、例えば、高周波分離、インピーダンス、スキュー、挿入損失、反射、モード変換、アイ開口率、及びジッタなどの、実質的に均一な電気的特性を有することに役立ち得る。
【0072】
更には、例えば、単一平面内に配置され、差動ペア回路構成内に接続することができる二芯同軸ケーブルとして有効に配置される、ケーブルの長さに沿って延在する2つの絶縁導体を、導体セットが含むような、特定の実施形態では、この移行部分を、遮蔽電気ケーブルの長さに沿って、実質的に一定の構成で維持することにより、有利には、理想的な同心性の場合からの、実質的に同じ電磁場の偏差を、導体セット内の双方の導体に提供することができる。それゆえ、遮蔽電気ケーブルの長さに沿った、この移行部分の構成の慎重な制御は、そのケーブルの、有利な電気的性能及び電気的特性に寄与し得る。
図7a〜9bは、導体セットの一方の側又は両側に配置される、遮蔽フィルムの移行領域を含む、遮蔽電気ケーブルの、様々な例示的実施形態を示す。
【0073】
図7a及び
図7bの断面図に示される遮蔽電気ケーブル1702は、x軸に沿うケーブル1702の長さに沿って延在する単一の導体セット1704を含む。遮蔽電気ケーブル1702は、y軸に沿うケーブル1702の幅に沿って互いに離間し、ケーブル1702の長さに沿って延在する、複数の導体セット1704を有するように、作製することができる。
図7aでは、1つの絶縁導体1706のみが示されるが、所望の場合、導体セット1704内には、複数の絶縁導体を含めることができる。
【0074】
ケーブルの挟まれた領域の直近に位置する、導体セットの絶縁導体は、その導体セットの端部導体であると見なされる。導体セット1704は、図示のように、単一の絶縁導体1706を有し、この単一の絶縁導体1706もまた、遮蔽電気ケーブル1702の挟まれた領域1718の直近に位置するため、端部導体である。
【0075】
第1及び第2の遮蔽フィルム1708が、ケーブルの対向する側に配置され、カバー部分1707を含む。横断面において、カバー部分1707は、導体セット1704を実質的に包囲する。任意選択的な接着剤層1710が、遮蔽フィルム1708の挟まれた部分1709間に配置され、導体セット1704の両側の、ケーブル1702の挟まれた領域1718内で、遮蔽フィルム1708を互いに結合する。任意選択的な接着剤層1710は、遮蔽フィルム1708のカバー部分1707にわたって部分的に、又は完全に、例えば、導体セット1704の一方の側上の、遮蔽フィルム1708の挟まれた部分1709から、導体セット1704の他方の側上の、遮蔽フィルム1708の挟まれた部分1709まで、延在することができる。ケーブル1702は、導体セット1704上に配置されたEMI吸収層1750と、ケーブルの両側に配置された遮蔽フィルム1708と、を更に含む。
【0076】
絶縁導体1706は、シングルエンド回路構成内で使用することができる同軸ケーブルとして、有効に配置される。遮蔽フィルム1708は、導電層1708a及び非導電性高分子層1708bを含み得る。一部の実施形態では、
図7a及び7bによって示されるように、導電層1708aは、絶縁導体に面する。あるいは、本明細書の他の部分で論じられるように、一方又は双方の遮蔽フィルム1708の導電層の配向を、逆転させることができる。
【0077】
遮蔽フィルム1708は、導体セット1704の端部導体1706と実質的に同心である、同心部分を含む。遮蔽電気ケーブル1702は、移行領域1736を含む。ケーブル1702の移行領域1736内の、遮蔽フィルム1708の部分は、遮蔽フィルム1708の移行部分1734である。一部の実施形態では、遮蔽電気ケーブル1702は、導体セット1704の両側に位置する、移行領域1736を含み、一部の実施形態では、移行領域1736は、導体セット1704の一方の側上のみに位置することができる。
【0078】
移行領域1736は、遮蔽フィルム1708及び導体セット1704によって画定される。移行領域1736内の、遮蔽フィルム1708の移行部分1734は、遮蔽フィルム1708の同心部分1711と挟まれた部分1709との間に、緩やかな移行を提供する。例えば、直角の移行、又は移行ポイント(移行部分とは対称的な)などの、急峻な移行とは対照的に、例えば、実質的にS字状の移行などの、緩やか又は滑らかな移行は、移行領域1736内の遮蔽フィルム1708に、歪み及び応力の緩和を提供して、遮蔽電気ケーブル1702が使用中である場合、例えば、遮蔽電気ケーブル1702を横方向又は軸方向で屈曲させる場合に、遮蔽フィルム1708に対する損傷を防ぐ。この損傷には、例えば、導電性層1708aにおける破壊、及び/又は導電性層1708aと非導電性高分子層1708bとの間の剥離が含まれ得る。更に、緩やかな移行は、遮蔽された電気ケーブル1702の製造における遮蔽フィルム1708への損傷(導電性層1708a及び/又は非導電性高分子層1708bの亀裂若しくは剪断が含まれ得る)を防ぐ。遮蔽電気リボンケーブルの導体セットの1つ、いくつか又は全部の片側又は両側の開示される移行区域の使用は、例えば、典型的な同軸ケーブル(遮蔽部材は単一の絶縁導体の周囲にほぼ連続的に配置される)又は典型的な従来の二芯同軸ケーブル(遮蔽部材は一対の絶縁導体上に連続的に配置される)などの従来的なケーブル構成からの逸脱を示す。
【0079】
開示される遮蔽電気ケーブルの少なくとも一部の、一態様によれば、移行領域の電気的影響を低減することによって、例えば、移行領域のサイズを低減すること、及び/又は遮蔽電気ケーブルの長さに沿って、移行領域の構成を慎重に制御することによって、許容可能な電気的特性を達成することができる。移行領域のサイズを低減することが、静電容量の偏差を低減し、複数の導体セット間に必要とされるスペースを低減することにより、導体セットのピッチが低減され、及び/又は導体セットの間の電気的分離が増大する。遮蔽電気ケーブルの長さに沿った、移行領域の構成の慎重な制御は、予測可能な電気的挙動及び一貫性を取得することに寄与し、このことが、高速の伝送線路を提供することにより、電気的データをより確実に伝送することができる。遮蔽電気ケーブルの長さに沿った、移行領域の構成の慎重な制御は、移行部分のサイズを、サイズの下限に接近させる際の因子である。
【0080】
検討されることが多い電気的特性は、伝送線の特性インピーダンスである伝送線の長さに沿ったインピーダンスの変動により、電力が標的に伝送されずに、反射してソースに戻される場合がある。理想的には、伝送線は、その長さに沿ってインピーダンスの変動は有しないが、対象用途によって、5〜10%の変動は許容可能である場合がある。二芯同軸ケーブル(差動駆動)で検討されることが多い別の電気的特性は、それらの長さの少なくとも一部分に沿って、1つのペアの2つの伝送ラインの、スキュー、すなわち同等でない転送速度である。スキューは、差動信号の、コモンモード信号への変換を生じさせ、この信号は反射してソースに戻される恐れがあり、伝送される信号強度を低減して、電磁放射を生じさせ、ビット誤り率、具体的にはジッタを、大幅に増大させる恐れがある。理想的には、一対の伝送線はスキューを有さないが、対象用途によって−25〜−30dB未満から、対象の周波数まで(例えば、6GHz)の差動モードのSパラメータ(differential S-parameter)SCD21若しくはSCD12値(伝送ラインの1つの端部から他方へと、差動モードからコモンモードへの変換を表す)が許容可能であり得る。あるいは、スキューはタイムドメインで測定され、要求される仕様と比較することができる。本明細書で説明される遮蔽電気ケーブルは、例えば、最大約10Gbpsのデータ転送速度で、約20ピコ秒/メートル(p秒/m)未満、又は約10p秒/m未満のスキュー値を達成することができる。
【0081】
図7a〜7bを再び参照すると、一部には、許容可能な電気的特性を達成するために、遮蔽電気ケーブル1702の移行領域1736は、それぞれ、断面移行区域1736aを含み得る。移行区域1736aは、絶縁導体1706の断面積1706aよりも小さい。
図7bで最良に示されるように、移行領域1736の断面移行区域1736aは、移行ポイント1734’及び移行ポイント1734’’によって画定される。
【0082】
移行ポイント1734’は、遮蔽フィルムが、導体セット1704の端部絶縁導体1706と実質的に同心であることから逸脱する場所で発生する。移行ポイント1734’は、遮蔽フィルム1708の曲率が符号を変化させる、遮蔽フィルム1708の変曲点である。例えば、
図7bを参照すると、上部遮蔽フィルム1708の曲率は、上部移行ポイント1734’である変曲点で、下方に凹状から上方に凹状へと移行する。下部遮蔽フィルム1708の曲率は、移行ポイント1734’である下部変曲点で、上方に凹状から下方に凹状へと移行する。他方の移行ポイント1734’’は、遮蔽フィルム1708の挟まれた部分1709間の離隔距離が、例えば、約1.2〜約1.5の既定の係数で、挟まれた部分1709の最小離隔距離d
1を超過する場所で発生する。更には、各移行区域1736aは、ボイド区域1736bを含み得る。導体セット1704の両側のボイド区域1736bは、実質的に同じものとすることができる。更には、接着剤層1710は、遮蔽フィルム1708の同心部分1711での厚さT
ac、及び厚さT
acよりも大きい、遮蔽フィルム1708の移行部分1734での厚さを有し得る。同様に、接着剤層1710は、遮蔽フィルム1708の挟まれた部分1709間の厚さT
ap、及び厚さT
apよりも大きい、遮蔽フィルム1708の移行部分1734での厚さを有し得る。接着剤層1710は、断面移行区域1736aの少なくとも25%に相当し得る。移行区域1736a内の接着剤層1710の存在、具体的には、厚さT
ac又は厚さT
apよりも大きい厚さでの存在は、移行領域1736内でのケーブル1702の強度に寄与する。
【0083】
遮蔽電気ケーブル1702の様々な要素の、製造プロセス及び材料特性の慎重な制御により、移行領域1736内の、ボイド区域1736b及び適合性接着剤層1710の厚さの変化を低減することができ、このことはまた、断面移行区域1736aの静電容量の変化も低減することができる。遮蔽電気ケーブル1702は、導体セット1704の一方の側又は両側に位置する移行領域1736を含み得、この移行領域1736は、導体1706の断面積1706aと実質的に等しいか、又は小さい、断面移行区域1736aを含む。遮蔽電気ケーブル1702は、導体セット1704の一方の側又は両側に位置する移行領域1736を含み得、この移行領域1736は、導体1706の長さに沿って実質的に同じである、断面移行区域1736aを含む。例えば、断面移行区域1736aは、1mの長さにわたって、50%未満で変化し得る。遮蔽電気ケーブル1702は、それぞれ断面移行区域を含む導体セット1704の両側に位置付けられる移行区域1736を含む場合があり、断面積1734aの合計は、導体1706の長さに沿って実質的に同じである。例えば、断面積1734aの合計は、1mの長さにわたって、50%未満で変化し得る。遮蔽電気ケーブル1702は、導体セット1704の両側に位置する移行領域1736を含み得、各移行領域1736は、断面移行区域1736aを含み、断面移行区域1736aは、実質的に同じである。遮蔽電気ケーブル1702は、導体セット1704の両側に位置する移行領域1736を含み得、移行領域1736は、実質的に同一である。絶縁導体1706は、絶縁体の厚さT
iを有し、移行領域1736は、絶縁体の厚さT
iよりも小さい横長L
tを有し得る。絶縁導体1706の中心の導体は、直径D
cを有し、移行領域1736は、直径D
cよりも小さい横長L
tを有し得る。上述の様々な構成により、例えば1mなどの所定の長さにわたって、例えば50オームなどの標的インピーダンス値の、例えば5〜10%の範囲内などの所望の範囲内に留まる、特性インピーダンスを提供することができる。
【0084】
遮蔽電気ケーブル1702の長さに沿った移行領域1736の構成に影響を及ぼし得る要因としては、例えば、製造プロセス、導電層1708a及び非導電性高分子層1708bの厚さ、適合性接着剤層1710、並びに絶縁導体1706と遮蔽フィルム1708との結合強度などが挙げられる。
【0085】
一態様では、導体セット1704、遮蔽フィルム1708、及び移行領域1736は、インピーダンス制御関係で、協働的に構成される。インピーダンス制御関係とは、導体セット1704、遮蔽フィルム1708、及び移行領域1736が、遮蔽電気ケーブルの特性インピーダンスを制御するように、協働的に構成されることを意味する。
【0086】
図8a〜8bは、導体セット内に2つの絶縁導体を有する遮蔽電気ケーブルの、2つの例示的実施形態を、横断面において示す。
図8aを参照すると、遮蔽電気ケーブル1802は、概ねxy平面内にあり、x軸に沿うケーブル1802の長さに沿って延在する2つの別個の絶縁導体1806を含む単一の導体セット1804を含む。2つの遮蔽フィルム1808が、ケーブル1802の対向する側に配置され、組み合わされて、導体セット1804を実質的に包囲する。任意選択的な接着剤層1810が、遮蔽フィルム1808の挟まれた部分1809間に配置され、ケーブル1802の挟まれた領域1818内の、導体セット1804の両側で、遮蔽フィルム1808を互いに結合する。絶縁導体1806は、ほぼxy平面などの単一平面に、及び二芯同軸構成に有効に構成され得る。この二芯同軸ケーブル構成は、差動ペア回路構成内、又はシングルエンド回路構成内で使用することができる。遮蔽フィルム1808は、導電層1808a及び非導電性高分子層1808bを含み得るか、あるいは非導電性高分子層1808bを有さずに、導電層1808aを含み得る。
図8aは、絶縁導体1806に面する導電層1808aを示すが、代替的実施形態では、一方又は双方の遮蔽フィルムは、逆転した配向を有し得る。ケーブル1802は、導体セット1804上に配置されたEMI吸収層1850と、ケーブルの両側に配置された遮蔽フィルム1808と、を含む。
【0087】
少なくとも一方の遮蔽フィルム1808のカバー部分1807は、導体セット1804の対応する端部導体1806と実質的に同心である、同心部分1811を含む。ケーブル1802の移行領域1836では、遮蔽フィルム1808の移行部分1834は、遮蔽フィルム1808の同心部分1811と挟まれた部分1809との間にある。移行部分1836は、導体セット1804の両側に位置し、そのような部分のそれぞれは、断面移行区域1836aを含む。断面移行区域1836aの合計は、好ましくは、導体1806の長さに沿って実質的に同じである。例えば、断面積1836aの合計は、1mの長さにわたって、50%未満で変化し得る。
【0088】
更には、2つの断面移行区域1836aは、実質的に同じであり、及び/又は実質的に同一とすることができる。この移行領域の構成は、例えば、1mなどの所定の長さにわたって、例えば、標的インピーダンス値の5〜10%の範囲内などの所望の範囲内に双方が留まる、各導体1806(シングルエンド)に関する特性インピーダンス、及び差動インピーダンスに寄与する。更には、この移行領域1836の構成は、2つの導体1806の、それらの長さの少なくとも一部分に沿ったスキューを、最小限に抑えることができる。
【0089】
ケーブルが、折り曲げられない平面構成にある場合、各遮蔽フィルムは、ケーブル1802の幅にわたって変化する曲率半径によって、横断面において特徴付けることが可能であり得る。遮蔽フィルム1808の最大曲率半径は、例えば、ケーブル1802の挟まれた部分1809で、又は
図8aに示す複数導体のケーブルセット1804のカバー部分1807の中心点付近で生じ得る。これらの位置では、フィルムは、実質的に平坦とすることができ、その曲率半径は、実質的に無限とすることができる。遮蔽フィルム1808の最小曲率半径は、例えば、遮蔽フィルム1808の移行部分1834で生じ得る。一部の実施形態では、ケーブルの幅全体にわたる遮蔽フィルムの曲率半径は、少なくとも約50マイクロメートルであり、すなわち、曲率半径は、ケーブルの縁部間の、ケーブルの幅に沿ったいずれの地点でも、50マイクロメートル未満の大きさを有することがない。一部の実施形態では、移行部分を含む遮蔽フィルムに関しては、遮蔽フィルムの移行部分の曲率半径は、同様に、少なくとも約50マイクロメートルである。
【0090】
折り曲げられない平面構成では、同心部分及び移行部分を含む、遮蔽フィルム1808は、
図8aに示す、同心部分の曲率半径R
1、及び/又は移行部分の曲率半径r
1によって特徴付けることができる。一部の実施形態では、R
1/r
1は、2〜15の範囲である。
【0091】
図8bを参照すると、遮蔽電気ケーブル1902は、一部の態様で、遮蔽電気ケーブル1802と類似している。遮蔽された電気ケーブル1802が個々に絶縁導体1806を有するのに対して、遮蔽された電気ケーブル1902は一緒に絶縁導体1906を有する。それにもかかわらず、移行領域1936は、移行領域1836と実質的に同様であり、遮蔽電気ケーブル1902に、同じ利益を提供する。
【0092】
図9a〜9bは、移行部分の位置及び構成の変型を示す。これらの例示的実施形態では、遮蔽フィルム2008、2108は、
図8aの実施形態などの、より対称的な実施形態と比較して、移行部分の位置が変化している、非対称の構成を有する。遮蔽電気ケーブル2002(
図9a)及び2102(
図9b)は、絶縁導体2006、2106の対称面からオフセットされる面に位置する、遮蔽フィルム2008、2108の挟まれた部分2009を有する。結果として、移行領域2036、2136は、他に示す実施形態と比較して、多少オフセットした位置及び構成を有する。しかしながら、移行領域2036、2136を、対応する絶縁導体2006、2106に関して(例えば、導体2006、2106の間の垂直面に関して)実質的に対称に位置決めすること、及び移行領域2036、2136の構成を、遮蔽電気ケーブル2002、2102の長さに沿って慎重に制御することを確実にすることによって、遮蔽電気ケーブル2002、2102は、許容可能な電気的特性を依然として提供するように、構成することができる。ケーブル2002は、導体セット2004上に配置されたEMI吸収層2050と、ケーブルの両側に配置された遮蔽フィルム2008と、を更に含む。ケーブル2102は、導体セット2104上に配置されたEMI吸収層2150と、ケーブルの両側に配置された遮蔽フィルム2108と、を更に含む。
【0093】
図10a〜10c、13及び14は、遮蔽電気ケーブルの更なる例示的実施形態を示す。
図11a〜11g、12a〜12b及び15a〜15fは、遮蔽電気ケーブルの挟まれた部分の幾つかの例示的実施形態を示す。
図10a〜15fは、遮蔽電気ケーブルの導体セットを電気的に分離するように構成される、挟まれた部分の実施例を示す。導体セットは隣接する導体セットから、電気的に絶縁されてもよく(例えば、隣接する導体セット間のクロストークを最小限にするため、
図10a〜10c及び11a〜11g)、又は遮蔽された電気ケーブルの外部環境から電気的に絶縁されてもよい(例えば、遮蔽された電気ケーブルから逃れる電磁放射を最小限にし、外部電源からの電磁干渉を最小限にするため、
図14及び15a〜15f)。双方の場合とも、挟まれた部分は、電気的分離を変化させるための、様々な機械的構造を含み得る。いくつかの例を挙げると、例には、遮蔽フィルムの近接性、遮蔽フィルム間の高誘電率材料、遮蔽フィルムの少なくとも1つと直接的若しくは間接的に電気的接触をする接地導体、隣接する導体セット間の延長された距離、隣接する導体セット間の物理的破断、長手方向、横断方向のいずれか、又は両方で遮蔽フィルムを互いに直接的に断続的に接触させること、EMI吸収層間の空隙部の縮小、及び導電性接着剤が挙げられる。一態様では、遮蔽フィルムの挟まれた部分は、導体セットを被覆しない遮蔽フィルムの部分として画定される。
【0094】
図10aは、断面図において、遮蔽電気ケーブル2202を示し、これは、y軸に沿うケーブル2202の幅にわたって互いから間隔を置いて配置し、x軸に沿うケーブル2202の長さに沿って長手方向に延在する2つの導体セット2204a、2204bを含む。各導体セット2204a、2204bは、2つの絶縁導体2206a、2206bを含む。2つの遮蔽フィルム2208が、ケーブル2202の対向する側に配置される。更に、2つのEMI吸収層2250が、ケーブル2202の対向する側で、遮蔽フィルム上に配置されている。横断面において、遮蔽フィルム2208のカバー部分2207が、ケーブル2202のカバー領域2214内で、導体セット2204a、2204bを実質的に包囲する。例えば、遮蔽フィルム2208のカバー部分2207が組み合わされて、各導体セット2204a、2204bの周辺部の少なくとも70%を取り囲むことによって、各導体セット2204a、2204bを実質的に包囲する。ケーブル2202の挟まれた領域2218では、導体セット2204a、2204bの両側で、遮蔽フィルム2208は、挟まれた部分2209を含む。遮蔽電気ケーブル2202内では、ケーブル2202が、平面的及び/又は折り曲げられない配置にある場合、遮蔽フィルム2208の挟まれた部分2209、及び絶縁導体2206は、概して単一平面内に配置される。導体セット2204a、2204bの間に位置する挟まれた部分2209は、導体セット2204a、2204bを互いに電気的に分離するように構成される。
【0095】
図10aに示すように、概して平面的な、折り曲げられない配置にある場合、導体セット2204内の第1の絶縁導体2206aの、導体セット2204内の第2の絶縁導体2206bに対する高周波電気的分離は、第1の導体セット2204aの、第2導体セット2204bに対する高周波電気的分離よりも、実質的に小さい。例えば、第1の絶縁導体の、第2導体に対する高周波分離は、3〜15GHzの指定周波数範囲及び1メートルの長さにおいて、第1の遠端クロストークC1であり、第1の導体セットの、隣接する導体セットに対する高周波分離は、指定周波数での第2の遠端クロストークC2であり、C2は、C1よりも、少なくとも10dB低い。
【0096】
図10aの断面図に示すように、ケーブル2202は、遮蔽フィルム2208のカバー部分2207間の、最大離隔距離D、遮蔽フィルム2208のカバー部分2207間の、最小離隔距離d
2、及び遮蔽フィルム2208の挟まれた部分2209の間の、最小離隔距離d
1によって特徴付けることができる。一部の実施形態では、d
1/Dは、0.25未満又は0.1未満である。一部の実施形態では、d
2/Dは、0.33よりも大きい。
【0097】
任意選択的な接着剤層2210を、図示のように、遮蔽フィルム2208の挟まれた部分2209間に含めることができる。接着剤層2210は、連続的とすること又は不連続とすることができる。一部の実施形態では、接着剤層は、ケーブル2202のカバー領域2214内で、部分的に、又は完全に、例えば、遮蔽フィルム2208のカバー部分2207と、絶縁導体2206a、2206bとの間で、延在する。接着剤層2210は、遮蔽フィルム2208のカバー部分2207上に配置することができ、導体セット2204a、2204bの一方の側上の、遮蔽フィルム2208の挟まれた部分2209から、導体セット2204a、2204bの他方の側上の、遮蔽フィルム2208の挟まれた部分2209まで、完全に、又は部分的に延在することができる。
【0098】
遮蔽フィルム2208は、ケーブル2202の幅全体にわたる曲率半径R、及び/又は遮蔽フィルムの移行部分2212の曲率半径r
1、及び/又は遮蔽フィルムの同心部分2211の曲率半径r
2によって、特徴付けることができる。
【0099】
移行領域2236内では、遮蔽フィルム2208の移行部分2212は、遮蔽フィルム2208の同心部分2211と、遮蔽フィルム2208の挟まれた部分2209との間に、緩やかな移行を提供するように、配置することができる。遮蔽フィルム2208の移行部分2212は、遮蔽フィルム2208の変曲点であり、同心部分2211の端部を指示する、第1移行ポイント2221から、遮蔽フィルム間の離隔距離が、挟まれた部分2209の最小離隔距離d
1を既定の係数で超過する、第2移行ポイント2222まで、延在する。
【0100】
一部の実施形態では、ケーブル2202は、少なくとも約50マイクロメートルである、ケーブルの幅全体にわたる曲率半径Rを有する、少なくとも1つの遮蔽フィルムを含み、及び/又は遮蔽フィルム2202の移行部分2212の最小曲率半径r
1は、少なくとも約50マイクロメートルである。一部の実施形態では、同心部分の最小曲率半径と、移行部分の最小曲率半径との比率、r
2/r
1は、2〜15の範囲である。
【0101】
図10bは、遮蔽電気ケーブル2302の断面図を示し、この遮蔽電気ケーブル2302は、y軸に沿うケーブル2302の幅にわたって互いに離間し、x軸に沿うケーブル2302の長さに沿って長手方向に延在する、2つの導体セット2304を含む。各導体セット2304は、1つの絶縁導体2306と、2つの遮蔽フィルム2308と、ケーブル2302の対向する側に配置された2つのEMI吸収層2350と、を含む。横断面において、遮蔽フィルム2308のカバー部分2307が組み合わされて、ケーブル2302のカバー領域2314内で、導体セット2304の絶縁導体2306を実質的に包囲する。ケーブル2302の挟まれた領域2318では、導体セット2304の両側で、遮蔽フィルム2308は、挟まれた部分2309を含む。遮蔽電気ケーブル2302内では、ケーブル2302が、平面的及び/又は折り曲げられない配置にある場合、遮蔽フィルム2308の挟まれた部分2309、及び絶縁導体2306は、概して単一平面内に配置することができる。遮蔽フィルム2308のカバー部分2307、及び/又はケーブル2302の挟まれた部分2309は、導体セット2304を互いに電気的に分離するように構成される。
【0102】
図10bの断面図に示すように、ケーブル2302は、遮蔽フィルム2308のカバー部分2307間の最大離隔距離D、及び遮蔽フィルム2308の挟まれた部分2309間の最小離隔距離d
1によって特徴付けることができる。一部の実施形態では、d
1/Dは、0.25未満、又は0.1未満である。
【0103】
任意選択的な接着剤層2310を、遮蔽フィルム2308の挟まれた部分2309の間に含めることができる。接着剤層2310は、連続的とすること又は不連続とすることができる。一部の実施形態では、接着剤層2310は、ケーブルのカバー領域2314内で、完全に、又は部分的に、例えば、遮蔽フィルム2308のカバー部分2307と、絶縁導体2306との間で、延在する。接着剤層2310は、遮蔽フィルム2308のカバー部分2307上に配置することができ、導体セット2304の一方の側上の、遮蔽フィルム2308の挟まれた部分2309から、導体セット2304の他方の側上の、遮蔽フィルム2308の挟まれた部分2309まで、完全に、又は部分的に延在することができる。
【0104】
遮蔽フィルム2308は、ケーブル2302の幅全体にわたる曲率半径R、及び/又は遮蔽フィルム2308の移行部分2312内の最小曲率半径r
1、及び/又は遮蔽フィルム2308の同心部分2311の最小曲率半径r
2によって、特徴付けることができる。ケーブル2302の移行領域2236内では、遮蔽フィルム2308(shielding film 2302)の移行部分2312は、遮蔽フィルム2308の同心部分2311と遮蔽フィルム2308の挟まれた部分2309との間に、緩やかな移行を提供するように、配置することができる。遮蔽フィルム2308の移行部分2312は、遮蔽フィルム2308の変曲点であり、同心部分2311の端部を指示する、第1移行ポイント2321から、遮蔽フィルム間の離隔距離が、挟まれた部分2309の最小離隔距離d
1と等しいか、又は既定の係数でd
1を超過する、第2移行ポイント2322まで、延在する。
【0105】
一部の実施形態では、ケーブルの幅全体にわたる遮蔽フィルムの曲率半径Rは、少なくとも約50マイクロメートルであり、及び/又は遮蔽フィルムの移行部分の最小曲率半径は、少なくとも約50マイクロメートルである。
【0106】
図10cは、断面図において、遮蔽電気ケーブル2402を示し、これは、y軸に沿うケーブル2402の幅にわたって互いから間隔を置いて配置し、x軸に沿うケーブル2402の長さに沿って長手方向に延在する2つの導体セット2404a、2404bを含む。各導体セット2404a、2404bは、2つの絶縁導体2206a、2206bを含む。2つの遮蔽フィルム2408a、2408b及び2つのEMI吸収層2450a、2450bは、ケーブル2402の対向する側に配置されている。横断面において、遮蔽フィルム2408a、2408bのカバー部分2407が組み合わされて、ケーブル2402のカバー領域2414内で、導体セット2404a、2404bを実質的に包囲する。ケーブル2402の挟まれた領域2418内では、導体セット2404a、2404bの両側で、上部遮蔽フィルム2408a及び下部遮蔽フィルム2408bは、挟まれた部分2409を含む。
【0107】
遮蔽電気ケーブル2402内では、ケーブル2402が、平面的及び/又は折り曲げられない配置にある場合、遮蔽フィルム2408の挟まれた部分2409、及び絶縁導体2406a、2406bは、概して異なる平面内に配置される。一方の遮蔽フィルム2408bは、実質的に平坦である。ケーブル2402の挟まれた領域2418内の、実質的に平坦な遮蔽フィルム2408bの部分は、挟まれた領域2418内の遮蔽フィルム2408bの面外の逸脱が、ほとんど又は全く存在しないにもかかわらず、本明細書では、挟まれた部分2409と称される。ケーブル2402が、平面的な、折り曲げられない構成にある場合、遮蔽フィルム2408bの同心部分2411、移行部分2412、及び挟まれた部分2407は、実質的に共面である。
【0108】
カバー部分2407、及び/又は導体セット2404aと2404bとの間のケーブル2402の挟まれた部分2409は、導体セット2404a、2404bを互いに電気的に分離するように構成される。
図10cに示すように、概して平面的な、折り曲げられない配置にある場合、第1の導体セット2404a内の第1の絶縁導体2406aの、第1の導体セット2404a内の第2の絶縁導体2406bに対する高周波電気的分離は、前述のように、第1の導体セット2404aのいずれかの導体2406a、2406bの、第2の導体セット2404bのいずれかの導体2406a、2406bに対する高周波電気的分離よりも、実質的に小さい。
【0109】
図10cの断面図に示すように、ケーブル2402は、遮蔽フィルム2408a、2408bのカバー部分2407間の、最大離隔距離D、遮蔽フィルム2408a、2408bのカバー部分2407間の、最小離隔距離d
2、及び遮蔽フィルム2408a、2408bの挟まれた部分2409間の、最小離隔距離d
1によって特徴付けることができる。一部の実施形態では、d
1/Dは、0.25未満又は0.1未満である。一部の実施形態では、d
2/Dは、0.33よりも大きい。
【0110】
任意選択的な接着剤層2410を、遮蔽フィルム2408a、2408bの挟まれた部分2409間に含めることができる。接着剤層2410は、連続的とすることができ、又は不連続とすることもできる。一部の実施形態では、接着剤層2410は、ケーブル2402のカバー領域2414内で、完全に、又は部分的に、例えば、1つ以上の遮蔽フィルム2408a、2408bのカバー部分2407と、絶縁導体2406a、2406bと、の間で延在する。接着剤層2410は、1つ以上の遮蔽フィルム2408a、2408bのカバー部分2407上に配置することができ、導体セット2404a、2404bの一方の側上の、遮蔽フィルム2408a、2408bの挟まれた部分2409から、導体セット2404a、2404bの他方の側上の、遮蔽フィルム2408a、2408bの挟まれた部分2409まで、完全に又は部分的に延在することができる。
【0111】
湾曲状遮蔽フィルム2408aの移行部分2412は、遮蔽フィルム2408aの同心部分2411と、遮蔽フィルム2408aの挟まれた部分2409との間に、緩やかな移行を提供する。遮蔽フィルム2408aの移行部分2412は、遮蔽フィルム2408aの変曲点である、第1移行ポイント2421aから、遮蔽フィルム間の離隔距離が、挟まれた部分2409の最小離隔距離d
1と等しいか、又は既定の係数でd
1を超過する、第2移行ポイント2422aまで延在する。実質的に平坦な遮蔽フィルム2808bの移行部分は、第1移行ポイント2421bから、遮蔽フィルム間の離隔距離が、挟まれた部分2409の最小離隔距離d
1と等しいか、又は既定の係数でd
1を超過する、第2移行ポイント2422bまで、延在する。第1移行ポイント2421bは、遮蔽フィルム2408aの第1移行ポイント2421aと交差する、実質的に平坦な遮蔽フィルム2408bに垂直な線によって、画定される。
【0112】
湾曲状遮蔽フィルム2408aは、ケーブル2402の幅全体にわたる曲率半径R、及び/又は遮蔽フィルム2408aの移行部分2412の最小曲率半径r
1、及び/又は遮蔽フィルムの同心部分2411の最小曲率半径r
2によって、特徴付けることができる。一部の実施形態では、ケーブル2402は、少なくとも約50マイクロメートルである、ケーブルの幅全体にわたる曲率半径を有する、少なくとも1つの遮蔽フィルム2408を含み、及び/又は遮蔽フィルムの移行部分の最小曲率半径r
1は、少なくとも約50マイクロメートルである。一部の実施形態では、遮蔽フィルムの同心部分の最小曲率半径r
2と、遮蔽フィルムの移行部分の最小曲率半径r
1との比率、r
2/r
1は、2〜15の範囲である。
【0113】
図11aでは、遮蔽電気ケーブル2502は、挟まれた領域2518を含み、遮蔽フィルム2508は、一定の距離で離間している。遮蔽フィルム2508を離間させること、すなわち、遮蔽フィルム2508を、それらの継ぎ合わせ部に沿って、連続的に、直接的な電気的接触をさせないことにより、挟まれた領域2518の強度が増大する。比較的薄く脆弱な遮蔽フィルムを有する、遮蔽電気ケーブルは、強制的にそれらの継ぎ合わせ部に沿って、連続的に、直接的な電気的接触をさせられる場合には、製造中に破断するか、又は亀裂が入る恐れがある。効果的な手段を使用してクロストークの可能性を低減しない場合、遮蔽フィルム2508を離間することは、隣接する導体セット間のクロストークを許容する場合がある。クロストークを低減することには、1つの導体セットの電場及び磁場を抑制することにより、それらの電場及び磁場が、隣接する導体セットを侵害しないようにすることを伴う。
図11aに示す実施形態では、遮蔽フィルム2508間に、低DC抵抗を提供することによって、クロストークに対する有効な遮蔽が達成される。低DC抵抗は、遮蔽フィルム2508を至近に配向することによって、達成することができる。例えば、遮蔽フィルム2508の挟まれた部分2509は、挟まれた領域2518の少なくとも1つの場所内で、約0.13mm未満、離間させることができる。遮蔽フィルム2508の間にもたらされるDC抵抗は、約15オーム未満にすることができ、隣接する導体セット間にもたらされるクロストークは、約−25dB未満にすることができる。一部の場合には、ケーブル2502の挟まれた領域2518は、約0.13mm未満の最小厚さを有する。
【0114】
遮蔽フィルム2508は、離隔媒体によって離間させることができる。分離媒体は、順応性接着層2510を含んでもよい。例えば、離隔媒体は、少なくとも1.5の誘電率を有し得る。高誘電率は、遮蔽フィルム2508の間のインピーダンスを減少させることによって、隣接する導体セット間の、電気的分離を増大させ、クロストークを減少させる。遮蔽フィルム2508は、挟まれた領域2518’の少なくとも1つの場所内で、互いに、直接的に電気的に接触することができる。遮蔽フィルム2508を、選択された場所内で強制的に一体にすることにより、適合性接着剤層2510の厚さを、その選択された場所内で低減することができる。遮蔽フィルムを、選択された場所内で強制的に一体にすることは、例えば、これらの場所内で、遮蔽フィルム2508の間に断続的な挟まれた接触を作製する、パターン付き工具を使用して、達成することができる。これらの位置は長手方向又は横方向にパターン化され得る。一部の場合には、離隔媒体は、遮蔽フィルム2508間の、直接的な電気的接触を可能にするために、導電性とすることができる。隣接する導体セット間のクロストークは、ケーブル2502の両側の遮蔽フィルム2508上に配置されたEMI吸収層2550を含むことによって、更に低減され得る。
【0115】
図11bでは、遮蔽電気ケーブル2602は、挟まれた領域2618を含み、この挟まれた領域2618は、遮蔽フィルム2608間に配置され、x軸に沿うケーブル2602の長さに沿って延在する接地導体2612を含む。接地導体2612は、例えば、遮蔽フィルム2608間の、低いがゼロではないDC抵抗で、間接的に、双方の遮蔽フィルム2608と電気的に接触することができる。一部の場合には、接地導体2612は、挟まれた領域2618の少なくとも1つの場所内で、少なくとも一方の遮蔽フィルム2608と、直接的又は間接的に、電気的に接触することができる。遮蔽電気ケーブル2602は、遮蔽フィルム2608間に配置され、少なくとも一方の遮蔽フィルム2608と接地導体2612との、制御された離隔を提供するように構成される、適合性接着剤層2610を含み得る。適合性接着剤層2610は、接地導体2612が、選択的な場所内で、少なくとも一方の遮蔽フィルム2608と、直接的又は間接的に、電気的に接触することを可能にする、不均一な厚さを有し得る。一部の場合には、接地導体2612は、表面の隆起、又は例えば、撚り線などの変形可能なワイヤを含み、接地導体2612と少なくとも一方の遮蔽フィルム2608との間に、制御された電気的接触を提供することができる。隣接する導体セット間のクロストークは、ケーブル2602の両側の遮蔽フィルム2608上に配置されたEMI吸収層2650を含むことによって、更に低減され得る。
【0116】
図11cでは、遮蔽電気ケーブル2702は、挟まれた領域2718を含む。接地導体2712が、遮蔽フィルム2708間に配置され、双方の遮蔽フィルム2708と直接的に、電気的に接触する。
【0117】
図11dでは、遮蔽電気ケーブル2802は、遮蔽フィルム2808が、例えば、導電性要素2844などの、任意の好適な手段によって、互いに、直接的に電気的に接触する、挟まれた領域2818を含む。導電性要素2844は、いくつかの例を挙げると、導電性めっきビア若しくはチャネル、導電充填ビア若しくはチャネル、又は導電性接着剤を含んでもよい。隣接する導体セット間のクロストークは、ケーブル2802の両側の遮蔽フィルム2808上に配置されたEMI吸収層2850を含むことによって、更に低減され得る。
【0118】
図11eにおいて、遮蔽電気ケーブル2902は、開口部2936が遮蔽フィルム2908及びEMI吸収層2950において開口部を有する挟まれた領域2918の少なくとも1つの場所で、開口部2936を有する挟まれた領域2918を含む。換言すれば、挟まれた領域2918は不連続である。開口部2936は、穴、穿孔、スリット、及び任意の好適な要素を含んでもよい。開口部2936は、少なくともある程度のレベルの物理的離隔を提供し、この物理的離隔は、挟まれた領域2918の電気的分離性能に寄与し、遮蔽電気ケーブル2902の、少なくとも横方向の可撓性を増大させる。この離隔は、挟まれた領域2918の長さに沿って不連続とすることができ、挟まれた領域2918の幅にわたって不連続とすることができる。
【0119】
図11fでは、遮蔽電気ケーブル3002は、少なくとも一方の遮蔽フィルム3008が、挟まれた領域3018の少なくとも1つの場所内に、破断部3038を含む、挟まれた領域3018を含む。換言すれば、遮蔽フィルム3008の少なくとも1つが非連続的である。いくつかの場合には、破断部3038もまた、2つのEMI吸収層3050のうちの少なくとも1つにおいて不連続性を有する。開口部3038は、穴、穿孔、スリット、及び任意の好適な要素を含んでもよい。破断部3038は、少なくともある程度のレベルの物理的離隔を提供し、この物理的離隔は、挟まれた領域3018の電気的分離性能に寄与し、遮蔽電気ケーブル3002の、少なくとも横方向の可撓性を増大させる。この離隔は、挟まれた領域の長さに沿って不連続又は連続的とすることができ、挟まれた部分3018の幅にわたって不連続とすることができる。
【0120】
図11gでは、遮蔽電気ケーブル3102は、折り曲げられた構成で、区分的に平面的である、挟まれた領域3118を含む。他の全ての条件が同じであれば、区分的に平面的な挟まれた領域は、同じ投影幅を有する平面的な挟まれた領域よりも大きい、実際の表面積を有する。挟まれた領域の表面積が、遮蔽フィルム3108間の間隔よりも遙かに大きい場合には、DC抵抗が減少し、このことは、挟まれた領域3118の電気的分離性能を改善する。一実施形態では、5〜10オーム未満のDC抵抗は、良好な電気的分離をもたらす。一実施形態において、遮蔽された電気ケーブル3102の挟まれた部分3118は、少なくとも5の最小間隔比率に対する実際の幅を有する。一実施形態では、挟まれた領域3118を、予め屈曲させることにより、遮蔽電気ケーブル3102の、少なくとも横方向の可撓性を増大させる。挟まれた領域3118は、任意の他の好適な構成で、区分的に平面的にすることができる。場合によっては、EMI吸収層3150はまた、挟まれた領域3118内の区分的平面でもある。
【0121】
図12a〜12bは、例示的な遮蔽電気ケーブルの製造の間の、挟まれた領域に関連する詳細を示す。遮蔽電気ケーブル3202は、2つの遮蔽フィルム3208及び2つのEMI吸収層3250を含み、挟まれた領域3218を含み、遮蔽フィルム3208は実質的に平行であってもよい。遮蔽フィルム3208は、非導電性高分子層3208b、非導電性高分子層3208b上に配置される導電層3208a、及び導電層3208a上に配置される停止層3208dを含む。順応性接着層3210は、停止層3208d上に配置される。挟まれた領域3218は、遮蔽フィルム3208間に配置される、長手方向の接地導体3212を含む。
【0122】
遮蔽フィルムが、接地導体の周りで強制的に一体にされた後、接地導体3212は、遮蔽フィルム3208の導電層3208aと、間接的に電気的に接触する。この間接的な電気接触は、導電性層3208a及び接地導体3212の、停止層3208dによる制御された分離によって可能にされる。一部の場合には、停止層3208dは、非導電性高分子層とすること、又は非導電性高分子層を含むことができる。図に示すように、外圧(
図12aを参照)を使用して、導電層3208aを一体に押圧し、適合性接着剤層3210を、接地導体の周りに、強制的に適合させる(
図12b)。停止層3208dは、少なくとも同じ処理条件下では、適合しないため、停止層3208dは、接地導体3212と、遮蔽フィルム3208の導電層3208aとの直接的な電気的接触を防ぐが、間接的な電気的接触を達成する。停止層3208dの厚さ及び誘電特性は、低い標的DC抵抗、すなわち、間接的なタイプの電気的接触を達成するように、選択することができる。一部の実施形態では、接地導体と遮蔽フィルムとの間の特性DC抵抗を、例えば、10オーム未満又は5オーム未満ではあるが、0オームよりも大きくして、所望の間接的な電気的接触を達成することができる。一部の場合には、所定の接地導体と、1つ又は2つの遮蔽フィルムとの間で、直接的に電気的に接触させることが望ましく、この場合、そのような接地導体と、そのような遮蔽フィルムとの間のDC抵抗は、実質的に0オームにすることができる。
【0123】
図13は、折り曲げられた遮蔽ケーブル3302を示す。遮蔽ケーブル3302は、離間した導体セット3304の周りに配置される、2つの遮蔽フィルム3308を含む。遮蔽ケーブル3302は、導体セット3304上に配置されたEMI吸収層3350と、ケーブルの1つの側の遮蔽フィルム3308と、を更に含む。遮蔽フィルム3308は、ケーブル3302の対向する側に配置され、導体セット3304の両側に挟まれた領域3318を含む、挟まれた領域3318は、少なくとも30°の角度αで、横方向に屈曲するように構成される。挟まれた領域3318の、この横方向の可撓性は、遮蔽電気ケーブル3302が、例えば、丸形ケーブル内で使用することができる構成(例えば、
図5gを参照)などの、任意の好適な構成に折り曲げられることを可能にする。一実施形態では、比較的薄い個別層を有する遮蔽フィルム3308は、挟まれた領域3318の横方向の可撓性を増大させる。特に屈曲条件下では、これらの個別層の一体性を維持するために、それらの層の間の結合を損なわずに維持することが好ましい。例えば、挟まれた領域3318は、約0.13mm未満の最小厚さと、処理若しくは使用時の熱暴露後に少なくとも17.86g/mm(1lbs/インチ)の、個々の層の間の結合強度と、を有することができる。
【0124】
一態様では、挟まれた領域が、導体セットの両側で、ほぼ同じサイズ及び形状を有することが、遮蔽電気ケーブルの電気性能に有益である。任意の寸法変化及び不均衡は、平行部分の長さに沿って、キャパシタンス及びインダクタンスにおける不均衡を作る場合がある。このことは同様に、挟まれた領域の長さに沿ったインピーダンスの差異、及び隣接する導体セット間のインピーダンスの不均衡を引き起こす恐れがある。これらの理由に関して少なくとも、遮蔽フィルム間の間隔の制御が望ましい場合がある。一部の場合には、導体セットの両側の、ケーブルの挟まれた領域内の、遮蔽フィルムの挟まれた部分は、互いに約0.05mm以内で間隔を置いて配置されている。
【0125】
図14では、遮蔽電気ケーブル3402は、2つの導体セット3404を含み、それぞれが、2つの絶縁導体3406と、導体セット3404の周りで電気ケーブル3402の対向する側に配置される、2つの一般的な遮蔽フィルム3408と2つのEMI吸収層3450とを含む。遮蔽フィルム3408は、挟まれた部分3418を含む。挟まれた部分3418は、遮蔽電気ケーブル3402の縁部に、又は縁部付近に位置して、導体セット3404を、外部環境から電気的に分離するように構成される。遮蔽電気ケーブル3402内では、遮蔽フィルム3408の挟まれた部分3418、及び絶縁導体3406は、概して単一平面内に配置される。
【0126】
図15aでは、遮蔽電気ケーブル3502は、挟まれた領域3518を含み、遮蔽フィルム3508の挟まれた部分3509は、間隔を置いて配置されている。挟まれた領域3518は、上述の及び
図11aに示された、挟まれた領域2518と類似している。挟まれた領域2518は、導体セット間に位置するが、挟まれた領域3518は、遮蔽電気ケーブル3502の縁部に、又は縁部付近に位置する。
【0127】
図15bでは、遮蔽電気ケーブル3602は、遮蔽フィルム3608間に配置される長手方向の接地導体3612を含む、挟まれた領域3618を含む。挟まれた領域3618は、上述の及び
図11bに示された、挟まれた領域2618と類似している。挟まれた領域2618は、導体セット間に位置するが、挟まれた領域3618は、遮蔽電気ケーブル3602の縁部に又は縁部付近に位置する。
【0128】
図15cでは、遮蔽電気ケーブル3702は、遮蔽フィルム3708間に配置される長手方向の接地導体3712を含む、挟まれた領域3718を含む。挟まれた領域3718は、上述の及び
図11cに示された、挟まれた領域2718と類似している。挟まれた領域2718は、導体セット間に位置するが、挟まれた領域3718は、遮蔽電気ケーブル3702の縁部に又は縁部付近に位置する。
【0129】
図15dでは、遮蔽電気ケーブル3802は、挟まれた領域3818を含み、遮蔽フィルム3808の挟まれた部分3809は、例えば、導電性要素3844などの、任意の好適な手段によって、互いに、直接的に電気的に接触する。導電性要素3844は、いくつかの例を挙げると、導電性めっきビア若しくはチャネル、導電充填ビア若しくはチャネル、又は導電性接着剤を含んでもよい。挟まれた領域3818は、上述の、
図11dに示された、挟まれた領域2818と類似している。挟まれた領域2818は、導体セットの間に位置するが、挟まれた領域3818は、遮蔽電気ケーブル3802の縁部に、又は縁部付近に位置する。
【0130】
図15eでは、遮蔽電気ケーブル3902は、折り曲げられた構成で、区分的に平面的である、挟まれた領域3918を含む。挟まれた領域3918は、上述の、
図11gに示された、挟まれた領域3118と類似している。挟まれた領域3118は、導体セット間に位置するが、挟まれた領域3918は、遮蔽電気ケーブル3902の縁部に、又は縁部付近に位置する。
【0131】
図15fでは、遮蔽電気ケーブル4002は、湾曲状構成で、区分的に平面的であり、遮蔽電気ケーブル4002の縁部に、又は縁部付近に位置する、挟まれた領域4018を含む。いくつかの場合には、遮蔽ケーブル3502〜4002の1つ以上は、導体セット上に配置される1つ以上のEMI吸収層を含み得る。
【0132】
本発明の一態様による遮蔽電気ケーブルは、少なくとも1つの長手方向の接地導体と、接地導体と実質的に同じ方向に延在する電気物品と、遮蔽電気ケーブルの対向する側に配置される2つの遮蔽フィルム及び2つのEMI吸収層と、を含み得る。横断面において、遮蔽フィルム及びEMI吸収層は、接地導体及び電気物品を実質的に包囲する。この構成において、遮蔽フィルム、EMI吸収層、及び接地導体は、電気物品を電気的に絶縁するよう構成されている。接地導体は、例えば、任意の好適な終端ポイントの任意の好適な個々のコンタクト要素(例えば、プリント基板上のコンタクト要素又は電気コネクタの電気コンタクト)に対する遮蔽フィルムの終端のために、遮蔽フィルムの端部の少なくとも1つを越えて延在する場合がある。有益なことに、限定された数の接地導体のみがケーブル作製に必要とされ、遮蔽フィルムを伴って、電気物品の電磁エンクロージャを完成させることができる。電気物品としては、ケーブルの長さに沿って延在する、少なくとも1つの導体、1つ以上の絶縁導体を含む、ケーブルの長さに沿って延在する、少なくとも1つの導体セット、フレキシブルプリント回路、又は電気的分離が望まれる、任意の他の好適な電気物品を挙げることができる。
図16a〜16bは、そのような遮蔽された電気ケーブル構成の2つの代表的な実施形態を図示する。
【0133】
図16aでは、遮蔽電気ケーブル4102は、x軸に沿うケーブル4102の長さに沿って延在する2つの間隔を置いて配置された接地導体4112、接地導体4112間に配置され、これと実質的に同じ方向に延在する電気物品4140、並びにケーブルの対向する側に配置される2つの遮蔽フィルム4108及び2つのEMI吸収層4150を含む。横断面においては、遮蔽フィルム4108及びEMI吸収層4150は、組み合わさり、接地導体4112及び電気物品4140を実質的に包囲する。
【0134】
電気物品4140は、y軸に沿うケーブル4102の幅にわたって間隔を置いて配置される3つの導体セット4104を含む。各導体セット4104は、ケーブルの長さに沿って延在する、2つの実質的に絶縁された導体4106を含む。接地導体4112は、双方の遮蔽フィルム4108と間接的に電気的に接触して、接地導体4112と遮蔽フィルム4108との間に、低いがゼロではないインピーダンスを、結果的にもたらすことができる。一部の場合には、接地導体4112は、遮蔽フィルム4108の少なくとも1つの場所内で、少なくとも一方の遮蔽フィルム4108と、直接的又は間接的に、電気的に接触することができる。一部の場合には、接着剤層4110が、遮蔽フィルム4108間に配置され、接地導体4112及び電気物品4140の両側で、遮蔽フィルム4108を互いに結合する。接着剤層4110は、少なくとも一方の遮蔽フィルム4108と接地導体4112との、制御された離隔を提供するように構成することができる。一態様では、このことは、接地導体4112が、選択的な場所内で、少なくとも一方の遮蔽フィルム4108と、直接的又は間接的に、電気的に接触することを可能にする不均一な厚さを、接着剤層4110が有するということを意味する。接地導体4112は、表面の隆起、又は例えば、撚り線などの変形可能なワイヤを含み、接地導体4112と少なくとも一方の遮蔽フィルム4108との間に、この制御された電気的接触を提供することができる。遮蔽フィルム4108は、遮蔽フィルム4108の少なくとも1つの場所内で、最小間隔によって離間し、接地導体4112は、この最小間隔よりも大きい厚さを有する。例えば、遮蔽フィルム4108は、約0.025mm未満の厚さを有し得る。
【0135】
図16bでは、遮蔽電気ケーブル4202は、x軸に沿うケーブル4202の長さに沿って延在する、2つの離間した接地導体4212と、接地導体4212間に位置して、接地導体4212と実質的に同じ方向に延在する電気物品4240と、ケーブル4202の対向する側に配置される、2つの遮蔽フィルム4208及び2つのEMI吸収層4250と、を含む。横断面では、遮蔽フィルム及びEMI吸収層が、組み合わされて、接地導体4212及び電気物品4240を実質的に包囲する。遮蔽電気ケーブル4202は、上述の、
図16aに示された、遮蔽電気ケーブル4102と、一部の点で類似している。遮蔽された電気ケーブル4102では、電気物品4140は、それぞれが2つの実質的に平行な長手方向の絶縁導体4106を含む3つの導体セット4104を含む一方で、遮蔽された電気ケーブル4202では、電気物品4240は3つの導体セット4242を含むフレキシブルプリント基板を含む。
【0136】
場合によっては、単一の遮蔽フィルムは、所与の用途において、許容可能なレベルの電磁干渉(EMI)分離をもたらすことができ、近接効果を低減することができ、これによって信号減衰を減少させる。
図17は、1つの遮蔽フィルムのみを含む、そのような遮蔽電気ケーブルの一実施例を示す。
【0137】
図17に図示される遮蔽電気ケーブル4302は、2つの間隔を置いて配置された導体セット4304と、単一の遮蔽フィルム4308と、単一のEMI吸収層4350と、を含む。各導体セット4304は、x軸に沿うケーブル4302の長さに沿って延在する、単一の絶縁導体4306を含む。絶縁導体4306は、一般的にxy平面などの単一平面に、及び有効に同軸ケーブル構成に構成され、これはシングルエンド回路構成で使用され得る。ケーブル4302は、挟まれた領域4318を含む。挟まれた領域4318内では、遮蔽フィルム4308は、各導体セット4304の両側から延在する、挟まれた部分4309を含む。挟まれた領域4318は、概して平面的な遮蔽フィルムを、協働して画定する。遮蔽フィルム4308は、それぞれが導体セット4304を部分的に被覆する、2つのカバー部分4307を含む。各カバー部分4307は、対応する導体4306と実質的に同心の、同心部分4311を含む。遮蔽フィルム4308は、導電性層4308a及び非導電性高分子層4308bを含む。導電層4308aは、絶縁導体4306に面する。ケーブル4302は、所望により、非導電性キャリアフィルム4346を含み得る。キャリアフィルム4346は、各導体セット4304の両側から、遮蔽フィルム4308の挟まれた部分4309の反対側に延在する、挟まれた部分4346’’を含む。キャリアフィルム4346は、それぞれが遮蔽フィルム4308のカバー部分4307の反対側で、導体セット4304を部分的に被覆する、2つのカバー部分4346’’’を含む。各被覆部分4346’’’は、対応する導体4306と実質的に同心である同心部分4346’を含む。キャリアフィルム4346は、ポリエステル、ポリイミド、ポリアミド−イミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、シリコーンゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、ポリウレタン、アクリレート、シリコーン、天然ゴム、エポキシ、及び合成ゴム接着剤を含むが、これに限定されない任意の好適な高分子材料を含み得る。キャリアフィルム4346は、対象用途に好適な特性をもたらすために、1つ以上の接着剤及び/又は充填剤を含む場合がある。キャリアフィルム4346は、導体セット4304の物理的被覆率を達成するために、及び遮蔽された電気ケーブル4302の機械的安定性に追加するために使用されてもよい。
【0138】
図18を参照すると、遮蔽電気ケーブル4402は、上述の、
図17に示された、遮蔽電気ケーブル4302と、一部の点で類似している。遮蔽電気ケーブル4302は、それぞれが単一の絶縁導体4306を含む、導体セット4304を含むが、遮蔽電気ケーブル4402は、2つの絶縁導体4406を有する導体セット4404を含む。絶縁導体4406は、概して単一平面内に、及び二芯同軸ケーブル構成で有効に配置され、この二芯同軸ケーブル構成は、シングルエンド回路構成内で、又は差動ペア回路構成内で使用することができる。
【0139】
図19を参照すると、遮蔽電気ケーブル4502は、上述の、
図18に示された、遮蔽電気ケーブル4402と、一部の点で類似している。遮蔽された電気ケーブル4402が個々に絶縁導体4406を有するのに対して、遮蔽された電気ケーブル4502は一緒に絶縁導体4506を有する。
【0140】
一態様において、
図17〜19で分かるように、遮蔽フィルムは隣接する導体セット間で内側にへこんでいる。換言すれば、遮蔽フィルムは、隣接する導体セット間に配置される、挟まれた部分を含む。この挟まれた部分は、隣接する導体セットを互いに電気的に分離するように構成される。挟まれた部分によって、隣接する導体セット間に接地導体を位置決めする必要性を排除することができ、このことは、他の利益の中でも特に、ケーブル構成体を簡略化して、ケーブルの可撓性を増大させる。挟まれた部分は、絶縁導体の直径の約1/3よりも大きい深さd
3(
図17)で、位置することができる。一部の場合には、挟まれた部分は、絶縁導体の直径の約1/2よりも大きい深さd
3で、位置することができる。隣接する導体セット間の間隔、伝送距離、及び信号スキーム(差動かシングルエンドか)に応じて、この遮蔽フィルムの凹入構成は、十分以上に、導体セットを互いに電気的に分離する。
【0141】
導体セット及び遮蔽フィルムは、協働してインピーダンス制御関係に構成されてもよい。一態様において、これは、遮蔽フィルムによる導体セットの部分的な被覆が、例えば、対象用途に好適な、許容可能なインピーダンス変化を提供するため、遮蔽された電気ケーブルの長さに沿って、形状における所望の一貫性を伴って達成される。一実施形態において、このインピーダンス変化は、代表的なケーブル長さ(例えば、1mなど)に沿って5オーム未満、好ましくは3オーム未満である。別の態様では、絶縁導体が、二芯同軸ケーブル及び/又は差動ペアケーブル配置で有効に配置される場合には、このことは、遮蔽フィルムによる導体セットの部分的な被覆が、対となる絶縁導体間での幾何学形状の所望の一貫性を伴って達成されることにより、対象用途に関して好適な許容可能なインピーダンス変化が提供されることを意味する。一部の場合には、このインピーダンス変化は、例えば、1mなどの代表的なケーブル長に沿って、2オーム未満、好ましくは0.5オーム未満である。
【0142】
図20a〜20dは、遮蔽フィルム及び/又はEMI吸収層による導体セットの部分的な被覆の様々な例を図示する。遮蔽フィルム及びEMI吸収層による被覆の量は、実施形態間で変化する。
図20aに図示される実施形態では、導体セットは最も大きい被覆率を有する。
図20dに図示される実施形態では、導体セットは最も小さい被覆率を有する。
図20a及び20bで示される実施形態では、導体セットの周囲の半分以上が、遮蔽フィルム及びEMI吸収層によって被覆されている。
図20c及び20dで示される実施形態では、導体セットの周囲の半分未満が、遮蔽フィルム及びEMI吸収層によって被覆されている。より大きな量の被覆は、より良好な電磁干渉(EMI)分離、及び低減された信号減衰(近接効果における低減による)をもたらす。
【0143】
図20aを参照すると、遮蔽電気ケーブル4602は、導体セット4604と、遮蔽フィルム4608と、EMI吸収層4650と、を含む。導体セット4604は、x軸に沿うケーブル4602の長さに沿って延在する、2つの絶縁導体4606を含む。遮蔽フィルム4608及びEMI吸収層4650は、導体セット4604の両側から延在する挟まれた部分4609を含む。挟まれた部分4609は、共働しておおむね平面的な遮蔽フィルム及びEMI吸収層を画定する。遮蔽フィルム4608は、導体セット4604を部分的に被覆する、カバー部分4607を更に含む。カバー部分4607は、導体セット4604の対応する端部導体4306と実質的に同心の、同心部分4611を含む。遮蔽電気ケーブル4602はまた、任意選択的な非導電性キャリアフィルム4646も有し得る。キャリアフィルム4646は、導体セット4604の両側から延在し、遮蔽フィルム4608の挟まれた部分4609の反対側に配置される、挟まれた部分4646’’を含む。キャリアフィルム4646は、遮蔽フィルム4608のカバー部分4607の反対側で、導体セット4604を部分的に被覆する、カバー部分4646’’’を更に含む。遮蔽フィルム4608のカバー部分4607は、導体セット4604の頂部側、並びに左側及び右側の全体を被覆する。キャリアフィルム4646のカバー部分4646’’’が、導体セット4604の底部側を被覆して、導体セット4604の実質的なエンクロージャを完成させる。この実施形態では、キャリアフィルム4646の挟まれた部分4646’’及びカバー部分4646’’’は、実質的に共面である。
【0144】
図20bを参照すると、遮蔽電気ケーブル4702は、上述の、
図20aに示された、遮蔽電気ケーブル4602と、一部の点で類似している。しかしながら、遮蔽電気ケーブル4702内では、遮蔽フィルム4708及びEMI吸収層4750のカバー部分4707は、導体セット4704の頂部側、並びに左側及び右側の半分超を被覆する。キャリアフィルム4746のカバー部分4746’’’が、導体セット4704の底部側、並びに左側及び右側の残部(半分未満)を被覆して、導体セット4704の実質的なエンクロージャを完成させる。キャリアフィルム4746の被覆部分4746’’’は、対応する導体4706と実質的に同心である同心部分4746’を含む。
【0145】
図20cを参照すると、遮蔽電気ケーブル4802は、上述の、
図20aに示された、遮蔽電気ケーブル4602と、一部の点で類似している。遮蔽電気ケーブル4802では、遮蔽フィルム4808及びEMI吸収層4850の被覆部分4807は、導体セット4804の底面、並びに左面及び右面の半分未満を被覆する。キャリアフィルム4846の被覆部分4846’’’は、導体セット4804の上面、並びに左面及び右面の残り(半分超)を被覆し、導体セット4804のエンクロージャを完成させる。
【0146】
図20dを参照して、遮蔽された電気ケーブル4902は上記及び
図20aに図示される遮蔽された電気ケーブル4602と類似している。しかしながら、遮蔽された電気ケーブル4902では、遮蔽フィルム4908及びEMI吸収層4950の被覆部分4907は、導体セット4904の底面を被覆する。キャリアフィルム4946のカバー部分4946’’’が、導体セット4904の頂部側、並びに左側及び右側の全体を被覆して、導体セット4904の実質的なエンクロージャを完成させる。一部の場合には、遮蔽フィルム4908の挟まれた部分4909及びカバー部分4907は、実質的に共面である。
【0147】
導体セットの周辺に、及び/又は複数の間隔を置いて配置された導体セットの周辺でケーブルの対向する側に配置される2つの遮蔽フィルム及び1つ以上のEMI吸収層を含む遮蔽電気ケーブルの実施形態と同様に、単一の遮蔽フィルム及び単一のEMI吸収層を含む遮蔽電気ケーブルの実施形態は、少なくとも1つの長手方向の接地導体を含む場合がある。一態様において、この接地導体は、任意の好適な終端ポイントの任意の好適な個々のコンタクト要素(例えば、プリント基板上のコンタクト要素又は電気コネクタの電気コンタクト)に対する遮蔽フィルムの電気的接触を促進する。接地導体は、遮蔽フィルムの端部の少なくとも1つを越えて延在し、この電気的接触を促進することができる。接地導体は、その長さに沿った少なくとも1つの位置において、遮蔽フィルムと直接的又は間接的な電気的接触をしてもよく、遮蔽された電気ケーブルの好適な位置に配置されてもよい。
【0148】
図21は、ただ1つの遮蔽フィルム5008及びEMI吸収層5050を有する遮蔽電気ケーブル5002を示す。絶縁導体5006が、2つの導体セット5004内に配置され、それぞれの導体セット5004は、一対の絶縁導体のみを有するが、本明細書で論じられるような、他の数の絶縁導体を有する導体セットもまた、想到される。遮蔽電気ケーブル5002は、様々な例示的な場所内に、接地導体5012を含むように示されるが、所望の場合、接地導体5012のうちのいずれか、若しくは全てを省略することができ、又は追加的な接地導体を含めることもできる。接地導体5012は、導体セット5004の絶縁導体5006と実質的に同じ方向に延在し、遮蔽フィルム5008とキャリアフィルム5046との間に配置される。1つの接地導体5012は、遮蔽フィルム5008及びEMI吸収層5050の挟まれた部分5009に含まれ、3つの接地導体5012は導体セット5004に含まれる。これらの3つの接地導体5012のうちの1つは、絶縁導体5006と遮蔽フィルム5008との間に配置され、これらの3つの接地導体5012のうちの2つ及び絶縁導体5006は、概ね単一平面に配置される。
【0149】
図22a〜22dは、本発明の態様による、遮蔽電気ケーブルの様々な例示的実施形態を示す断面図である。
図22a〜22dは、キャリアフィルムの存在がなく、遮蔽フィルム及びEMI吸収層による導体セットの部分的な被覆の様々な実施例を図示する。遮蔽フィルム及びEMI吸収層による被覆の量は、実施形態間で変化する。
図22aに図示される実施形態では、導体セットは最も大きい被覆率を有する。
図22dに図示される実施形態では、導体セットは最も小さい被覆率を有する。
図22a及び22bに図示される実施形態では、導体セットの周囲の半分以上が遮蔽フィルム及びEMI吸収層によって被覆されている。
図22cに図示される実施形態では、導体セットの周囲の約半分が遮蔽フィルム及びEMI吸収層によって被覆されている。
図22dに図示される実施形態では、導体セットの半分未満が遮蔽フィルム及びEMI吸収層によって被覆されている。より大きな量の被覆は、より良好な電磁干渉(EMI)分離、及び低減された信号減衰(近接効果における低減による)をもたらす。これらの実施形態において、導体セットは2つの実質的に平行な長手方向の絶縁導体を含み、他の実施形態では、導体セットは、1つ又は3以上の実質的に平行な長手方向の絶縁導体を含む場合がある。
【0150】
図22aを参照すると、遮蔽電気ケーブル5102は、導体セット5104と、遮蔽フィルム5108と、EMI吸収層5150と、を含む。導体セット5104は、x軸に沿うケーブル5102の長さに沿って延在する、2つの絶縁導体5106を含む。遮蔽フィルム5108及びEMI吸収層5150は、導体セット5104の両側から延在する挟まれた部分5109を含む。挟まれた部分5109は、xy平面内に概ね平面的な遮蔽フィルムを共働して画定する。遮蔽フィルム5108は、導体セット5104を部分的に被覆する、カバー部分5107を更に含む。カバー部分5107は、導体セット5104の対応する端部導体5106と実質的に同心の、同心部分5111を含む。遮蔽フィルム5108のカバー部分5107は、
図22aでは、導体セット5104の底部側、並びに左側及び右側の全体を被覆する。
【0151】
図22bを参照すると、遮蔽電気ケーブル5202は、上述の、
図22aに示された遮蔽電気ケーブル5102と、一部の点で類似している。しかしながら、遮蔽電気ケーブル5202では、遮蔽フィルム5208及びEMI吸収層5250の被覆部分5207は、導体セット5204の底面、並びに左面及び右面の半分超を被覆する。
【0152】
図22cを参照して、遮蔽された電気ケーブル5302は上記及び
図22aに図示される遮蔽された電気ケーブル5102と類似している。しかしながら、遮蔽電気ケーブル5302では、遮蔽フィルム5308及びEMI吸収層5350の被覆部分5307は、導体セット5304の底面、並びに左面及び右面の約半分を被覆する。
【0153】
図22dを参照すると、遮蔽電気ケーブル5402は、上述の、
図22aに示された遮蔽電気ケーブル5102と、一部の点で類似している。しかしながら、遮蔽された電気ケーブル5402では、遮蔽フィルム5408及びEMI吸収層5450の被覆部分5411は、導体セット5404の底面、並びに左面及び右面の半分未満を被覆する。
【0154】
キャリアフィルムの代替として、例えば、本発明の態様による遮蔽された電気ケーブルは、任意の非導電性支持体を含んでもよい。この支持体は、導体セットの物理的被覆率を達成するために、及び遮蔽された電気ケーブルの機械的安定性を追加するために使用されてもよい。
図23a〜23dは、非導電性支持体を含む、本発明の態様による、遮蔽電気ケーブルの様々な例示的実施形態を示す断面図である。これらの実施形態では、非導電性支持体は、2つの絶縁導体を含む導体セットと共に使用されるが、他の実施形態では、非導電性支持体は、1つの、若しくは3つ以上の実質的に平行な長手方向の絶縁導体を含む、導体セットと共に、又は接地導体と共に使用することができる。支持体は、ポリエステル、ポリイミド、ポリアミド−イミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、シリコーンゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、ポリウレタン、アクリレート、シリコーン、天然ゴム、エポキシ、及び合成ゴム接着剤を含むが、これに限定されない任意の好適な高分子材料を含み得る。支持体は、対象用途に好適な特性をもたらすために、1つ以上の接着剤及び/又は充填剤を含んでもよい。
【0155】
図23aを参照して、遮蔽電気ケーブル5502は、上記及び
図22aに図示される遮蔽電気ケーブル5102と類似しているが、遮蔽フィルム5508及びEMI吸収層5550の被覆部分5507と反対側の、導体セット5504を部分的に被覆する非導電性支持体5548を更に含む。支持体5548は、導体セット5504の頂部側を被覆して、絶縁導体5506を包み込むことができる。支持体5548は、概して平面的な頂部表面5548aを含む。頂部表面5548a、及び遮蔽フィルム5508の挟まれた部分5509は、実質的に共面である。
【0156】
図23bを参照して、遮蔽電気ケーブル5602は、上記及び
図22bに図示される遮蔽電気ケーブル5202と類似しているが、遮蔽フィルム5608及びEMI吸収層5650の被覆部分5607と反対側の、導体セット5604を部分的に被覆する非導電性支持体5648を更に含む。支持体5648のみが、導体セット5604の上面を部分的に被覆し、絶縁導体5606を部分的に露出した状態に残す。
【0157】
図23cを参照して、遮蔽電気ケーブル5702は、上記及び
図22cに図示される遮蔽電気ケーブル5302と類似しているが、遮蔽フィルム5708及びEMI吸収層5750の被覆部分5707と反対側の、導体セット5704を部分的に被覆する非導電性支持体5748を更に含む。支持体5748は、導体セット5704の上面の本質的に全体を被覆し、絶縁導体5706を本質的に全体的に包囲する。支持体5748の少なくとも一部分は、絶縁導体5706と実質的に同心性である。支持体5748の一部分は、絶縁導体5706と遮蔽フィルム5708との間に配置される。
【0158】
図23dを参照して、遮蔽電気ケーブル5802は、上記及び
図22dに図示される遮蔽電気ケーブル5402と類似しているが、遮蔽フィルム5808及びEMI吸収層5850の被覆部分5807と反対側の、導体セット5804を部分的に被覆する非導電性支持体5848を更に含む。支持体5848のみが、導体セット5804の上面を被覆し、絶縁導体5806を部分的に露出した状態に残す。支持体5848の一部分は、絶縁導体5806と遮蔽フィルム5808との間に配置される。
【0159】
ここで
図24a及び24bを参照すると、それぞれの斜視図及び断面図は、本発明の例示的実施形態による、ケーブル構成体を示す。全般的には、電気リボンケーブル20102は、1つ以上の導体セット20104を含む。各導体セット20104は、x軸に沿うケーブル20102の長さに沿って端部から端部まで延在する2つ又はそれ以上の導体(例、ワイヤ)20106を含む。各導体20106は、ケーブルの長さに沿って、第1誘電体20108によって取り囲まれる。導体20106は、ケーブル20102の末端部から末端部まで延在し、ケーブル20102の対向する側に配置される第1のフィルム20110及び第2のフィルム20112に付着される。ケーブル20102の長さに沿って、それぞれの導体セット20104の導体20106の第1の誘導体20108間には、一定間隔20114が維持される。第2誘電体20116が、間隔20114の内部に配置される。誘電体20116は、空気のギャップ/ボイド、及び/又は何らかの他の材料を含み得る。
【0160】
導体セット20104の部材間の間隔20114は、ケーブル20102が、終端の容易性及び終端の信号保全性の改善と共に、標準的な巻き付け二芯同軸ケーブルと同等以上の電気的特性を有するように、十分に一貫したものにすることができる。フィルム20110、20112は遮蔽材料を含んでもよく、これによって金属箔及び/又はEMI吸収材料、並びにフィルム20110、20112が適合可能に形成され、導体セット20104は実質的に包囲され得る。図示の実施例では、フィルム20110、20112は、一体に挟み込まれて、導体セット20104の外側及び/又は導体セット20104間で、ケーブル20102に沿って縦方向に延在する、平坦部分20118を形成する。平坦部分29118内では、フィルム20110、20112は、導体セット20104を実質的に包囲し、例えば、フィルム20110、20112の小さい層(例えば、絶縁体及び/又は接着剤の)が互いに結合する場所を除いて、導体セット20104の外辺部を包囲する。例えば、遮蔽フィルムのカバー部分は、任意の所定の導体セットの外辺部の、少なくとも75%、又は少なくとも80%、又は少なくとも85%、又は少なくとも90%を、全体として取り囲むことができる。フィルム20110、20112は、ここでは(及び本明細書の他の部分では)、別個のフィルム片として示し得るが、当業者には、フィルム20110、20112は、あるいは、単一シートのフィルムから形成して、例えば、導体セット20104を取り囲むように、長手方向の経路/線の周りで折り曲げることができる点が理解されるであろう。
【0161】
ケーブル20102はまた、1つ以上のドレインワイヤ20120などの、追加的機構も含み得る。ドレインワイヤ20120は、ケーブル20102の長さに沿って、連続的に又は離散的な場所で、遮蔽フィルム20110、20112と、電気的に結合することができる。全般的には、ドレインワイヤ20102は、遮蔽材料を電気的に終端する(例えば、接地する)ための、ケーブルの一方の末端部又は両末端部での簡便なアクセスを提供する。ドレンワイヤ20120は、例えば、両方のフィルム20110、20112が遮蔽材及びEMI吸収材を含むフィルム20110、20112の間にある程度のDCカップリングを提供するように構成されてもよい。
【0162】
品目1は、遮蔽電気ケーブルであって、
ケーブルの長さに沿って延在し、ケーブルの幅に沿って互いに間隔を置いて配置され、各々が1つ以上の絶縁導体を含む複数の導体セットと、
ケーブルの対向する第1及び第2の側に配置される第1及び第2の遮蔽フィルムであり、カバー部分及び挟まれた部分を含み、横断面において、第1及び第2のフィルムのカバー部分が組み合わされて、各導体セットを実質的に包囲し、第1及び第2のフィルムの挟まれた部分が組み合わされて、各導体セットのそれぞれの側で、ケーブルの挟まれた部分を形成するように配置される、第1及び第2の遮蔽フィルムと、
ケーブルの第1の側に配置される第1のEMI吸収層と、
このケーブルの挟まれた部分内で、第1の遮蔽フィルムを第2の遮蔽フィルムに結合する第1接着層と、を含むケーブルであり、
複数の導体セットは、隣り合う第1及び第2の絶縁導体を含む第1の導体セットを含み、第1及び第2の遮蔽フィルムの対応する第1のカバー部分と、第1の導体セットの一方の側上にケーブルの第1挟まれた領域を形成する、第1及び第2の遮蔽フィルムの対応する第1の挟まれた部分と、を有し、
第1及び第2の遮蔽フィルムの、第1のカバー部分間の最大離隔距離は、Dであり、
第1及び第2の遮蔽フィルムの、第1の挟まれた部分間の最小離隔距離は、d
1であり、
d
1/Dは0.25未満であり、
第1及び第2の絶縁導体間の領域内の、第1及び第2の遮蔽フィルムの、第1のカバー部分間の最小離隔距離は、d
2であり、
d
2/Dは、0.33を超える。
【0163】
品目2は、品目1のケーブルであり、d
1/Dが、0.1未満である。
【0164】
品目3は、品目1のケーブルであり、第1のEMI吸収層は、第1の遮蔽フィルムと複数の導体セットとの間に配置される。
【0165】
品目4は、品目1のケーブルであり、第1の遮蔽フィルムが、第1のEMI吸収層と複数の導体セットとの間に配置される。
【0166】
品目5は、ケーブルの第2の側に配置される第2のEMI吸収層を更に含む品目1のケーブルである。
【0167】
品目6は、遮蔽電気ケーブルであって、
ケーブルの長さに沿って延在し、ケーブルの幅に沿って互いに間隔を置いて配置されている複数の導体セットを含み、各々が、1つ以上の絶縁導体を含む、複数の導体セットと、
ケーブルの対向する第1及び第2の側に配置される第1及び第2の遮蔽フィルムであり、カバー部分及び挟まれた部分を含み、横断面において、第1及び第2のフィルムのカバー部分が組み合わされて、各導体セットを実質的に包囲し、第1及び第2のフィルムの挟まれた部分が組み合わされて、各導体セットのそれぞれの側で、ケーブルの挟まれた部分を形成するように配置される第1及び第2の遮蔽フィルムと、
ケーブルの第1の側に配置される第1のEMI吸収層と、
このケーブルの挟まれた部分内で、第1の遮蔽フィルムを第2の遮蔽フィルムに結合する第1の接着層と、を含むケーブルであり、
複数の導体セットは、隣り合う第1及び第2の絶縁導体を含む第1の導体セットを含み、第1及び第2の遮蔽フィルムの対応する第1のカバー部分と、第1の導体セットの一方の側上にケーブルの第1の挟まれた領域を形成する、第1及び第2の遮蔽フィルムの対応する第1の挟まれた部分と、を有し、
第1及び第2の遮蔽フィルムの、第1のカバー部分間の最大離隔距離は、Dであり、
第1及び第2の遮蔽フィルムの、第1の挟まれた部分間の最小離隔距離は、d
1であり、
d
1/Dは、0.25未満であり、
第1の絶縁導体の、第2の絶縁導体に対する高周波電気的分離は、第1の導体セットの、隣接する導体セットに対する高周波電気的分離よりも、実質的に小さい。
【0168】
品目7は、品目6のケーブルであり、d
1/Dは、0.1未満である。
【0169】
品目8は、品目6のケーブルであり、第1の絶縁導体の、第2導体に対する高周波分離が、3〜15GHzの指定周波数範囲及び1メートルの長さにおいて、第1の遠端クロストークC1であり、第1の導体セットの、隣接する導体セットに対する高周波分離が、指定周波数での第2の遠端クロストークC2であり、C2が、C1よりも、少なくとも10dB低い。
【0170】
品目9は、品目6のケーブルであり、第1及び第2の遮蔽フィルムのカバー部分が組み合わされて、各導体セットの周辺部の少なくとも70%を取り囲むことによって、各導体セットを実質的に包囲する。
【0171】
品目10は、遮蔽電気ケーブルであって、
ケーブルの長さに沿って延在し、ケーブルの幅に沿って互いに間隔を置いて配置されていて、各導体セットが、1つ以上の絶縁導体を含み複数の導体セットと、
同心部分、挟まれた部分、及び移行部分を含む、第1及び第2の遮蔽フィルムであり、横断面において、同心部分が、各導体セットの1つ以上の端部導体と実質的に同心であり、第1及び第2の遮蔽フィルムの挟まれた部分が組み合わされて、導体セットの2つの側に、ケーブルの挟まれた部分を形成し、移行部分が、同心部分と挟まれた部分との間に緩やかな移行を提供するように配置される、第1及び第2の遮蔽フィルムと、
複数の導体セットに配置される第1のEMI吸収層と、を含むケーブルであり、
各遮蔽フィルムは、導電層を含み、
移行部分のうちの第1の移行部分は、1つ以上の端部導体のうちの第1端部導体に近接しており、第1及び第2の遮蔽フィルムの導電層と、同心部分と、第1端部導体に近接する挟まれた部分のうちの第1の挟まれた部分との間の面積として定義される、断面積A
1を有し、A
1は、第1端部導体の断面積よりも小さく、
各遮蔽フィルムは、ケーブルの幅にわたって変化する曲率半径によって、横断面において特徴付けることが可能であり、各遮蔽フィルムに関する曲率半径は、ケーブルの幅にわたって、少なくとも100マイクロメートルである。
【0172】
品目11は、品目10のケーブルであり、断面積A
1が、1つの境界として、第1の挟まれた部分の境界を含み、この境界は、第1及び第2の遮蔽フィルム間の離隔距離dが、第1の挟まれた部分での第1及び第2の遮蔽フィルム間の最小離隔距離d
1の約1.2〜約1.5倍である、第1の挟まれた部分に沿った位置によって画定される。
【0173】
品目12は、品目11のケーブルであり、断面積A
1が、1つの境界として、第1の遮蔽フィルムの変曲点で第1の終端点を有する線分を含む。
【0174】
品目13は、品目11のケーブルであり、この線分が、第2の遮蔽フィルムの変曲点で、第2の終端点を有する。
【0175】
品目14は、遮蔽電気ケーブルであって、
ケーブルの長さに沿って延在し、ケーブルの幅に沿って互いに間隔を置いて配置されていて、各導体セットが、1つ以上の絶縁導体を含む複数の導体セットと、
同心部分、挟まれた部分、及び移行部分を含む、第1及び第2の遮蔽フィルムであり、横断面において、同心部分が、各導体セットの1つ以上の端部導体と実質的に同心であり、第1及び第2の遮蔽フィルムの挟まれた部分が組み合わされて、導体セットの2つの側に、ケーブルの挟まれた部分を形成し、移行部分が、同心部分と挟まれた部分との間に緩やかな移行を提供するように配置される、第1及び第2の遮蔽フィルムと、
複数の導体セット上に配置される第1のEMI吸収層を含むケーブルであり、
2つの遮蔽フィルムの一方は、同心部分のうちの第1の同心部分、挟まれた部分のうちの第1の挟まれた部分、及び移行部分のうちの第1の移行部分を含み、第1の移行部分は、第1の同心部分を第1の挟まれた部分に接続し、
第1の同心部分は、曲率半径R
1を有し、移行部分は、曲率半径r
1を有し、
R
1/r
1は2〜15の範囲である。
【0176】
本開示で論じられる実施形態は、好ましい実施形態の説明を目的として、本明細書で図示され、説明されており、当業者には、同じ目的を達成することが予測される多種多様な代替の実装及び/又は等価の実装を、本発明の範囲から逸脱することなく、図示され、説明される具体的な実施形態と置き換え得ることが理解されるであろう。機械的、電気機械的、及び電気的分野における当業者であれば、本発明が広範な実施形態で実施し得る点は直ちに認識されるであろう。本出願は、本明細書で考察した好適な実施形態のあらゆる適合形態又は変形例を含むものである。したがって、本発明が特許請求の範囲及びその均等物によってのみ限定される点を明示するものである。