特許第6207540号(P6207540)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6207540
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】ガスコンロ
(51)【国際特許分類】
   F24C 15/00 20060101AFI20170925BHJP
   F24C 3/12 20060101ALI20170925BHJP
   F24C 15/14 20060101ALI20170925BHJP
【FI】
   F24C15/00 S
   F24C15/00 M
   F24C3/12 U
   F24C15/14 D
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-36120(P2015-36120)
(22)【出願日】2015年2月26日
(65)【公開番号】特開2016-156593(P2016-156593A)
(43)【公開日】2016年9月1日
【審査請求日】2016年12月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111970
【弁理士】
【氏名又は名称】三林 大介
(72)【発明者】
【氏名】橋本 道弘
【審査官】 豊島 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−111726(JP,A)
【文献】 実開昭61−162702(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 9/00 − 15/14
F24C 3/00 − 3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天板上に上部を突出させた状態で設けられて調理容器を加熱するコンロバーナーと、該天板に形成された貫通孔の位置に設けられた操作軸と、該操作軸の上端に取り付けられて操作時に押し下げられる操作摘みとを備えるガスコンロにおいて、
前記天板に前記貫通孔が形成された位置の下方には、該貫通孔から流入した煮零れ汁を受ける汁受け皿が設けられており、
前記汁受け皿には、前記操作軸が挿通される挿通孔が形成されており、
前記操作軸には、前記汁受け皿の挿通孔と前記天板の貫通孔との間の位置に、弾性材料によって形成され中央部が上方に凸形状のシャフトパッキンが装着されており、
前記シャフトパッキンの下端あるいは前記汁受け皿の汁受け面の少なくとも一方には、前記操作摘みが押し下げられると他方に当接して前記シャフトパッキンを変形させることにより、前記シャフトパッキンの下端と前記汁受け面との間に空気通路を確保する当接部が設けられている
ことを特徴とするガスコンロ。
【請求項2】
請求項1に記載のガスコンロにおいて、
前記操作軸は、前記コンロバーナーへ供給される燃料ガスの流量を調節する調節バルブから上方に向けて延設された操作軸であり、
前記汁受け皿は、前記天板の貫通孔と前記調節バルブとの間に設けられている
ことを特徴とするガスコンロ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のガスコンロにおいて、
前記当接部は、前記汁受け皿の前記汁受け面から突設された凸部である
ことを特徴とするガスコンロ。
【請求項4】
請求項3に記載のガスコンロにおいて、
前記当接部は、前記汁受け皿の前記挿通孔を中心として放射状に形成された複数本の凸部である
ことを特徴とするガスコンロ。
【請求項5】
請求項1または請求項2に記載のガスコンロにおいて、
前記当接部は、前記シャフトパッキンの下端から下方に向けて突設された凸部である
ことを特徴とするガスコンロ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天板上に設けられた操作摘みを押し下げることによって操作するガスコンロに関する。
【背景技術】
【0002】
コンロバーナーで燃料ガスを燃焼させて、調理容器内の調理物を加熱調理するガスコンロは広く使用されている。このガスコンロは、天板に設けた開口部を臨む位置にコンロバーナーが搭載されており、コンロバーナーで燃料ガスを燃焼させることによって調理容器内の調理物を加熱調理する。また、ガスコンロには、押して回転させる操作によってコンロバーナーに点火する操作摘みも設けられている。そして、ガスコンロの中には、この操作摘みが天板上に設けられたタイプのガスコンロも多く存在する(例えば特許文献1)。
【0003】
天板上に操作摘みを備えたガスコンロでは、天板に貫通孔が形成されており、貫通孔の下方にはコンロバーナーに点火するための点火機構が内蔵されている。そして、貫通孔の位置には、点火機構を操作するための操作軸が設けられており、その操作軸の先端に操作摘みが取り付けられている。ところが、天板に貫通孔を設けると、加熱調理中に噴き零れた煮零れ汁が天板の貫通孔からガスコンロの内部に流入することが起こり得る。そこで、貫通孔の直ぐ下方には汁受け皿が設けられており、貫通孔から煮零れ汁が流入しても汁受け皿に溜められて、それよりも内部に煮零れ汁が流入することを回避できるようになっている。
【0004】
また、汁受け皿には、操作軸を挿通させるための挿通孔が形成されており、汁受け皿の挿通孔に挿通された操作軸が天板の貫通孔に向かって延設されている。このため、操作軸を伝わって流れ落ちる煮零れ汁が、汁受け皿の挿通孔からガスコンロの内部に流入することも起こり得る。そこで、操作軸には、汁受け皿よりも上方の位置に、ゴム等の弾性材料を用いて中央部が上方に凸形状に形成されたシャフトパッキンと呼ばれる部材が取り付けられている(特許文献2)。こうすれば、操作軸を伝わってきた煮汁がシャフトパッキンで遮られて汁受け皿へと導かれるので、汁受け皿の挿通孔からガスコンロの内部に流入する事態を回避することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−180713号公報
【特許文献2】特開2012−184890号公報(図3
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし近年では、ガスコンロの下方のスペースを有効活用するために、ガスコンロの薄型化が要請されるようになっており、操作軸にシャフトパッキンを装着するとガスコンロの薄型化が困難になるという問題があった。これは次のような理由による。
【0007】
先ず、コンロバーナーに点火する際には操作摘みを下向きに押し込むので、操作軸に装着されたシャフトパッキンも下方に押し下げられる。ここで、操作摘みを押し下げた状態でもシャフトパッキンの下端が汁受け皿に接触することがないように、シャフトパッキンの下端と汁受け皿との間には、少なくとも操作摘みの押し下げ量よりも大きな隙間を確保しておく必要がある。これは、シャフトパッキンの下端が汁受け皿に接触すると、次のような問題が生じるためである。すなわち、シャフトパッキンは中央部が上方に凸形状に形成されているので、操作摘みが押し下げられてシャフトパッキンの下端が汁受け皿に接触すると、シャフトパッキンと汁受け皿との間に空気が閉じ込められた状態となる。その状態で操作摘みが更に押し下げられると、シャフトパッキンが変形して、シャフトパッキンと汁受け皿との間に閉じ込められていた空気が外部に排出される。その後、操作摘みから手を離すと、変形していたシャフトパッキンが元の形状に復帰しようとし、このとき、シャフトパッキンと汁受け皿との間の空間が負圧となる。このため、汁受け皿に溜まっていた煮零れ汁をシャフトパッキンが負圧で吸い込んでしまい、吸い込んだ煮零れ汁が、汁受け皿の挿通孔からガスコンロの内部に流入することが起こり得る。
【0008】
こうした事態を回避しようとすると、操作軸に装着したシャフトパッキンの下端と、汁受け皿との間に、操作摘みの押し下げ量よりも大きな隙間を確保しておく必要が生じる。その結果、操作摘みを天板に設けたタイプのガスコンロでは、薄型化することが困難となっていた。
【0009】
この発明は、従来の技術が有する上述した課題に対応してなされたものであり、天板上に操作摘みを備えており、操作軸にシャフトパッキンが装着されているにも拘わらず、薄型化することが容易なガスコンロの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決するために、本発明のガスコンロは次の構成を採用した。すなわち、
天板上に上部を突出させた状態で設けられて調理容器を加熱するコンロバーナーと、該天板に形成された貫通孔の位置に設けられた操作軸と、該操作軸の上端に取り付けられて操作時に押し下げられる操作摘みとを備えるガスコンロにおいて、
前記天板に前記貫通孔が形成された位置の下方には、該貫通孔から流入した煮零れ汁を受ける汁受け皿が設けられており、
前記汁受け皿には、前記操作軸が挿通される挿通孔が形成されており、
前記操作軸には、前記汁受け皿の挿通孔と前記天板の貫通孔との間の位置に、弾性材料によって形成され中央部が上方に凸形状のシャフトパッキンが装着されており、
前記シャフトパッキンの下端あるいは前記汁受け皿の汁受け面の少なくとも一方には、前記操作摘みが押し下げられると他方に当接して前記シャフトパッキンを変形させることにより、前記シャフトパッキンの下端と前記汁受け面との間に空気通路を確保する当接部が設けられている
ことを特徴とする。
【0011】
かかる本発明のガスコンロにおいては、操作軸が汁受け皿の挿通孔に挿通されて、天板の貫通孔に向かって延設されており、操作軸の上端には操作ツマミが取り付けられると共に、操作軸には、汁受け皿の挿通孔よりも上側で天板の貫通孔よりも下側の位置にシャフトパッキンが装着されている。そして、弾性材料を用いて中央部が上方に凸形状に形成されたシャフトパッキンの下端、あるいは汁受け皿の汁受け面の少なくとも一方には当接部が設けられており、操作摘みが押し下げられると、シャフトパッキンの下端あるいは汁受け皿の汁受け面の他方に当接部が当接して、シャフトパッキンを変形させることにより、シャフトパッキンの下端と汁受け面との間に空気通路が確保されるようになっている。
【0012】
このため、操作摘みを押し下げていた操作者が操作摘みから手を離したことによって、変形していたシャフトパッキンが元の形状に戻ろうとした時に、シャフトパッキンの下端と汁受け面との間の空気通路から空気が吸い込まれるので、シャフトパッキンが汁受け皿に溜まっていた煮零れ汁を吸い込むことがない。その結果、シャフトパッキンの下端と汁受け皿との隙間を、操作摘みの押し下げ量よりも小さくすることが可能となるので、天板上に操作摘みを備えるタイプのガスコンロを、薄型化することが容易となる。
【0013】
また、上述した本発明のガスコンロにおいては、コンロバーナーへ供給される燃料ガスの流量を調節する調節バルブに接続された操作軸を天板の貫通孔に向けて延設してもよい。そして、天板の貫通孔と調節バルブとの間に設けた汁受け皿の挿通孔に操作軸を挿通させて、天板の貫通孔と汁受け皿の挿通孔との間にシャフトパッキンを装着してもよい。
【0014】
調節バルブは押し回しして操作されることがあるため、調節バルブの操作摘みが天板上に設けられていると、天板に形成した貫通孔から煮零れ汁が流れ込むことがある。そして、調節バルブは燃料ガスの流量を調整する機能を有する重要な部品なので、煮零れ汁が掛かって調節バルブの動作に支障が生じる事態は避ける必要がある。この点で、本発明のガスコンロにおいては、押し下げられて変形していたシャフトパッキンが元の形状に戻ろうとする時に、シャフトパッキンが汁受け皿の煮零れ汁を吸い込むことがない。このため、煮零れ汁が掛かって調整バルブの動作に支障が生じる事態を、確実に回避することが可能となる。
【0015】
また、上述した本発明のガスコンロにおいては、当接部は、汁受け皿の汁受け面から凸部を突設させることによって、当接部を形成しても良い。
【0016】
こうすれば、シャフトパッキンの形状を複雑にすることなく、簡単に当接部を形成することができる。
【0017】
また、汁受け皿の汁受け面に当接部を形成する本発明のガスコンロにおいては、汁受け皿の挿通孔を中心として放射状に複数本の凸部を突設させることによって当接部を形成してもよい。
【0018】
こうすれば、汁受け皿に煮零れ汁が溜まっていた場合でも、放射状に形成された複数本の当接部の何れかでは空気通路を確保することができるので、煮零れ汁を吸い込んでしまうことを回避することが可能となる。
【0019】
また、上述した本発明のガスコンロにおいては、シャフトパッキンの下端から下方に向けて凸部を突設することによって当接部を形成しても良い。
【0020】
こうすれば、汁受け皿の形状を複雑にすることなく、簡単に当接部を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】天板3上に操作摘み6R,6Lを備える本実施例のガスコンロ1の外観形状を示す斜視図である。
図2】本実施例のガスコンロ1の操作摘み6およびバルブユニット10の分解組立図である。
図3】本実施例のガスコンロ1で薄型化が容易な理由を示す説明図である。
図4】本実施例のシャフトパッキン13のフランジ部13bの大きさを示す説明図である。
図5】第1変形例のシャフトパッキン13についての説明図である。
図6】第2変形例のシャフトパッキン13についての説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、本実施例のガスコンロ1の外観形状を示す斜視図である。図示されるように、本実施例のガスコンロ1は、上面側が開口した箱形状に形成された板金製のコンロ本体2と、コンロ本体2上に載置されてコンロ本体2の上面を覆う天板3と、天板3に形成された図示しない開口部から上部が突出した状態でコンロ本体2内に搭載されたコンロバーナー4R,4Lと、天板3上でコンロバーナー4R,4Lを囲む位置に載置された五徳5R,5Lとを備えている。
【0023】
また、天板3上には、コンロバーナー4R,4Lのそれぞれに対応させて、点火時に操作する操作摘み6R,6Lが設けられている。操作摘み6R,6Lは、後述する操作軸を介して、天板3の下方に搭載されたバルブユニット10R,10Lに接続されている。ここで、バルブユニット10Rは、コンロバーナー4Rに供給される燃料ガスの流量を調節する機能を有しており、バルブユニット10Lは、コンロバーナー4Lに供給される燃料ガスの流量を調節する機能を有している。操作摘み6Rを下方に押し下げて回転させると、コンロバーナー4Rに燃料ガスが供給されて、図示しない点火プラグによって点火される。その後は、操作摘み6Rの回転角度を調整すると、バルブユニット10Rを通過する燃料ガスの流量が変更されて、コンロバーナー4Rの火力を調節することができる。同様に、操作摘み6Lを下方に押し下げて回転させると、コンロバーナー4Lに点火され、その後は操作摘み6Lの回転角度を調整することによって、バルブユニット10Lを通過する燃料ガスの流量を変更してコンロバーナー4Lの火力を調節することが可能となる。これら操作摘み6R,6Lは、次のようにしてバルブユニット10R,10Lに接続されている。
【0024】
尚、右側のコンロバーナー4R用に搭載された操作摘み6Rおよびバルブユニット10Rと、左側のコンロバーナー4L用に搭載された操作摘み6Lおよびバルブユニット10Lとは、構造および形状が同一である。そこで以下では、右側の操作摘み6Rおよびバルブユニット10Rと、左側の操作摘み6Lおよびバルブユニット10Lとを区別する必要がない場合には、左右を区別することなく、単に操作摘み6、およびバルブユニット10と表記する。
【0025】
図2は、本実施例のガスコンロ1の操作摘み6およびバルブユニット10の分解組立図である。図示されるようにバルブユニット10は、操作摘み6が押し下げられたことを検出して点火プラグを駆動したり、燃料ガスの流量を調節したりする機能を有する調節バルブ11と、板金あるいはダイカストによって浅い皿形状に形成された汁受け皿12と、ゴム等の弾性材料によって中央部が上方に凸の形状(例えば傘形状)に形成されたシャフトパッキン13とを備えている。
【0026】
調節バルブ11からは、上方に向けて操作軸11aが突設されており、汁受け皿12のほぼ中央位置には挿通孔12bが形成されている。汁受け皿12は、挿通孔12bに操作軸11aを挿通させて調節バルブ11の上に載置された後、図示しない取付ネジによって調節バルブ11に取り付けられる。また、汁受け皿12は、挿通孔12bが形成された部分が一段高くなっており、その外側で平面状に低く形成された部分が汁受け面12aとなっている。更に、汁受け皿12の汁受け面12aには、挿通孔12bを中心として放射状に複数本の当接部14が突設されている。また、汁受け皿12の上方からは、挿通孔12bに挿通された操作軸11aにシャフトパッキン13が装着される。
【0027】
シャフトパッキン13は、上向きに凸のドーム状に形成されたドーム部13aと、ドーム部13aの外周に幅広の円環状に形成されたフランジ部13bとを備えており、ドーム部13aの中央には装着孔13cが形成されている。この装着孔13cは、操作軸11aの外径よりも若干小さく形成されており、シャフトパッキン13を操作軸11aに取り付ける際には、装着孔13cを広げるようにして取り付ける。また、操作軸11aの側面には、位置決め用の凹部11bが形成されている。操作軸11aに取り付けたシャフトパッキン13を、凹部11bの位置まで押し下げていくと、広げられていたシャフトパッキン13の装着孔13cが操作軸11aの凹部11bに嵌り込んで、シャフトパッキン13の装着が完了する。この状態では、シャフトパッキン13の下端(ここではフランジ部13bの下面)は、汁受け皿12の汁受け面12aから突設した当接部14よりも上方にあって、シャフトパッキン13の下端と当接部14とは当接していない。
【0028】
以上のようにして組み立てられたバルブユニット10をコンロ本体2(図1)に組み付けると、調節バルブ11の操作軸11aの上端が、天板3に形成された貫通孔3aの中心から突出した状態となる。そこで、貫通孔3aにゴム製のツマミパッキン7を取り付けた後、操作軸11aの上端に操作摘み6を取り付ける。上述したように、操作摘み6は押し下げた状態で回転させることがあるので、押し下げた操作摘み6がツマミパッキン7に接触すると、操作摘み6の操作の邪魔となる。そこで、操作摘み6とツマミパッキン7との間には、操作摘み6を押し下げた状態でも操作摘み6とツマミパッキン7とが接触しないように、十分な隙間が設けられている。
【0029】
このように、操作摘み6とツマミパッキン7との間には隙間が存在するので、調理中に天板3に噴きこぼれた煮零れ汁が、操作摘み6とツマミパッキン7との間の隙間から内部に侵入することが起こり得る。そして、内部に侵入した煮零れ汁は、天板3に形成された貫通孔3aを通って汁受け皿12に溜められる。このため、従来のガスコンロ1では、操作摘み6が押し下げられてもシャフトパッキン13が汁受け皿12に接触しないように、シャフトパッキン13を汁受け皿12から離して装着されていた。これは、前述したように、操作摘み6が押し下げられた時にシャフトパッキン13が汁受け皿12に押し付けられて変形すると、変形していたシャフトパッキン13が元の形状に復帰する際に、汁受け皿12に溜まっていた煮零れ汁を吸い込んでしまい、吸い込まれた煮零れ汁が、汁受け皿12の挿通孔12bから内部に流入する虞が生じるためである。そして、汁受け皿12から離した位置にシャフトパッキン13を装着すると、その分だけ、ツマミパッキン7や天板3の位置も離れることとなって、ガスコンロ1を薄型化することが困難となる。これに対して、本実施例のガスコンロ1では、図2に示されるように、汁受け皿12の汁受け面12aに当接部14が突設されている。このため、ガスコンロ1を容易に薄型化することが可能となる。以下、この点について説明する。
【0030】
図3は、操作軸11aの中心軸を通る平面で汁受け皿12やシャフトパッキン13の断面を取って、拡大して示した説明図である。上述したように、天板3の貫通孔3a(図2参照)から煮零れ汁が流入すると、シャフトパッキン13の上を流れ落ちて汁受け皿12に導かれ、汁受け面12aに溜められる。図3(a)中に示した破線の矢印は、煮零れ汁がシャフトパッキン13の上を流れて、汁受け面12aに溜まる様子を表している。
【0031】
その後、汁受け面12aに煮零れ汁が溜まった状態で、操作摘み6(図2参照)と一緒に操作軸11aが押し下げられると、シャフトパッキン13の下端(図示した例ではフランジ部13bの下面側)が、汁受け面12aに突設された当接部14に当接する。そして、更に操作軸11aが押し下げられると、図3(b)に示すように、ドーム部13aの部分でシャフトパッキン13が変形することによって、操作摘み6および操作軸11aの押し下げ量を吸収する。
【0032】
続いて、ユーザーが操作摘み6から手を離すと、押し下げられていた操作軸11aが元の位置に戻ろうとし、それに伴って、変形していたシャフトパッキン13のドーム部13aが元の形状に戻ろうとする。このとき、ドーム部13aの内側の空間の体積が増加するので負圧が生じるが、シャフトパッキン13の下端(ここではフランジ部13bの下面)と汁受け面12aとの間には、当接部14の突出量に相当する高さの隙間が形成されている。このため、この隙間が空気通路となって、図3(c)中に破線の矢印で示したように、ドーム部13aの内側に空気が流入して直ちに負圧を解消するので、汁受け面12aに溜まった煮零れ汁がドーム部13a内に吸い込まれることがない。その結果、シャフトパッキン13の下端と、汁受け皿12の汁受け面12aとの間の隙間を、操作摘み6の押し下げ量よりも小さく設定することが可能となり、ガスコンロ1を容易に薄型化することが可能となる。
【0033】
もちろん、ドーム部13aの内側に負圧が生じて煮零れ汁が吸い込まれることを回避するためには、図3(c)中に示したように空気が流れ込むための空気通路が、シャフトパッキン13の下端と汁受け面12aとの間に確保されている必要がある。実際、図3(c)に示した例では、ドーム部13aに空気が流れ込む側と反対側は煮零れ汁で閉塞されているので、空気が流入することはできない。従って、ドーム部13a内に煮零れ汁が吸い込まれないようにするためには、シャフトパッキン13のフランジ部13bの外周の少なくとも一箇所には、煮零れ汁で閉塞されていない箇所が存在することが重要となる。
【0034】
この点で、本実施例のシャフトパッキン13では、フランジ部13bが幅広に形成されているので、フランジ部13bの外周が長くなっており、この長い外周の全てを煮零れ汁が閉塞する事態は、事実上、ほとんど起こり得ない。しかも、図2に示したように、汁受け面12aには操作軸11aを中心として放射状に複数本の当接部14が形成されているので、フランジ部13bの一箇所でも煮零れ汁で閉塞されていない箇所があれば、そこに空気通路を確保することができる。こうした観点から、フランジ部13bの幅Wは、ドーム部13aの半径D/2の少なくとも半分よりは大きくすることが望ましい。本実施例のシャフトパッキン13では、図4に示されるように、フランジ部13bの幅Wが、ドーム部13aの半径D/2と同程度の大きさに設定されている。
【0035】
上述した本実施例にはいくつかの変形例を考えることができる。例えば、上述した本実施例では、汁受け面12aから上方に向けて当接部14が突設されているものとして説明した。しかし、図5に例示した第1変形例のように、シャフトパッキン13の下端(図示した例ではフランジ部13bの下面側)から下向きに当接部14を突設しても良い。このようにしても、操作摘み6を押し下げたときにシャフトパッキン13の当接部14が汁受け面12aに当接して、シャフトパッキン13の下端(ここではフランジ部13bの下面)と汁受け面12aとの間に空気通路が確保されるので、煮零れ汁を吸い込むことを回避することが可能となる。
【0036】
また、上述した本実施例あるいは第1変形例では、汁受け面12aから、あるいはシャフトパッキン13の下端から、当接部14を突設させるものとして説明した。しかし、当接部14は、必ずしも突設させる必要は無い。例えば、図6に示した第2変形例では、フランジ部13bの上面に、フランジ部13bの外周からドーム部13aに向かって複数本の尾根部13dが形成されており、尾根部13dの下方でのフランジ部13bの下面には、フランジ部13bの外周からドーム部13aの内側に抜ける通路部13eが形成されている。
【0037】
このような第2変形例では、操作摘み6を押し下げたときに、フランジ部13bの下面で通路部13eが形成されていない部分が汁受け面12aに当接して、ドーム部13aを変形させる。また、このとき、フランジ部13bの下面に形成された通路部13eが空気通路となるので、煮零れ汁を吸い込むことを回避することが可能となる。
【0038】
以上、本実施例および各種の変形例について説明したが、本発明は上記の実施例に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することが可能である。
【符号の説明】
【0039】
1…ガスコンロ、 2…コンロ本体、 3…天板、
3a…貫通孔、 4…コンロバーナー、 6…操作摘み、
7…ツマミパッキン、 10…バルブユニット、 11…調節バルブ、
11a…操作軸、 12…汁受け皿、 12a…汁受け面、
12b…挿通孔、 13…シャフトパッキン、 13a…ドーム部、
13b…フランジ部、 13e…通路部、 14…当接部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6