特許第6207546号(P6207546)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6207546ポータブルコンティニュイティオブジェクト
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6207546
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】ポータブルコンティニュイティオブジェクト
(51)【国際特許分類】
   G06F 12/00 20060101AFI20170925BHJP
   H04M 3/51 20060101ALI20170925BHJP
   G06Q 10/00 20120101ALI20170925BHJP
【FI】
   G06F12/00 518A
   G06F12/00 545A
   H04M3/51
   G06Q10/00 300
【請求項の数】18
【外国語出願】
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-98379(P2015-98379)
(22)【出願日】2015年5月13日
(62)【分割の表示】特願2012-552001(P2012-552001)の分割
【原出願日】2011年1月26日
(65)【公開番号】特開2015-181023(P2015-181023A)
(43)【公開日】2015年10月15日
【審査請求日】2015年6月12日
(31)【優先権主張番号】12/701,906
(32)【優先日】2010年2月8日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513055388
【氏名又は名称】グリーンデン・ユーエス・ホールデイングス・トウー・エル・エル・シー
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】セルゲイ・フエドロフ
(72)【発明者】
【氏名】ミカイル・ギルラ
(72)【発明者】
【氏名】デレク・バーンズ
【審査官】 三坂 敏夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−125632(JP,A)
【文献】 特開平09−297717(JP,A)
【文献】 特開2009−081717(JP,A)
【文献】 特開2000−066998(JP,A)
【文献】 特開2000−242712(JP,A)
【文献】 特表2003−532211(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0251238(US,A1)
【文献】 特開2000−148538(JP,A)
【文献】 eビジネスセキュリティをエンドツーエンドに支えるCAの技術,eビジネスセキュリティ,株式会社リックテレコム,2000年 7月15日,82頁〜97頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 12/00
G06Q 10/00
H04M 3/51
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一連のトランザクションにわたって継続性を提供するための方法であって、
第1のトランザクションのコンテキストを格納するためのデータパケットを自動的に作成することと、コンテキストがトランザクションサマリデータを含み、
第1のコンピュータ化された機器によって、第2のコンピュータ化された機器との第1の通信セッションを検出することと、第1の通信セッションが、第1のトランザクションを行うためであり、
第1のコンピュータ化された機器によって、第1の通信セッションの間にデータパケットに自動的にアクセスすることと、
第1のコンピュータ化された機器によって、第2のコンピュータ化された機器に結合されたメモリデバイスに格納するために第2のコンピュータ化された機器にデータパケットを自動的に送信することと、第2のコンピュータ化された機器が、データパケットをトランザクションサマリデータで更新するように構成され実行コードをデータパケットの中に格納し、更新されたデータパケットを第1のコンピュータ化された機器に送信し戻すようにさらに構成され、
第1のコンピュータ化された機器によって、トランザクションサマリを含む更新されたデータパケットを格納することと
第1のコンピュータ化された機器によって、データパケットから取り出された実行コードを自動的に実行することと、実行コードがコンピュータ化された機器に通知を表示し
を含む方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、コンテキストが、第1のトランザクションの目的が未完であることを示すデータを含む、方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法であって、
第2のコンピュータ化された機器によって、第1のコンピュータ化された機器から、第2のトランザクションのための要求を受信することと、要求がデータパケットを含み、
第2のコンピュータ化された機器によって、データパケットから、第1の通信セッションの間に行われた第1のトランザクションのコンテキストを取り出すことと、
第2のコンピュータ化された機器によって、エージェントが第2のトランザクションの間に第1のトランザクションの目的を完了するためのステップをとるように促すためにエージェントデバイスに取り出されたコンテキストを提供することと、
をさらに含む、方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法であって、
第2の通信セッションの間に、第1のトランザクションの目的の実現を検出することをさらに含み、検出することが、データパケットを第1のコンピュータ化された機器から削除させる、方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法であって、トランザクションサマリデータが、第1の通信セッションの記録を含む、方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法であって、第1の通信セッションの記録が、第1の通信セッションの間に交わされた通信の音声記録を含む、方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法であって、第1のトランザクションのコンテキストが、人のIDおよび第1のコンピュータ化された機器のアドレスを含む、方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法であって、第1のコンピュータ化された機器が、電話通信のために構成された移動デバイスである、方法。
【請求項9】
一連のトランザクションにわたって継続性を提供するための第1のコンピュータ化された機器であって、第1のコンピュータ化された機器が、
プロセッサと、
メモリとを備え、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、
第1のトランザクションのコンテキストを格納するためのデータパケットを作成させ、コンテキストがトランザクションサマリデータを含み、
第2のコンピュータ化された機器との第1の通信セッションを検出させ、第1の通信セッションが、第1のトランザクションを行うためであり、
第1の通信セッションの間にデータパケットに自動的にアクセスさせ、
第2のコンピュータ化された機器に結合されたメモリデバイスに格納するために第2のコンピュータ化された機器にデータパケットを自動的に送信させ、第2のコンピュータ化された機器が、データパケットをトランザクションサマリデータで更新するように構成され実行コードをデータパケットの中へ格納し、更新されたデータパケットを第1のコンピュータ化された機器に送信し戻すようにさらに構成され、
メモリにトランザクションサマリを含む更新されたデータパケットを格納させ
データパケットから取り出された実行コードを自動的に実行させ、実行コードが通知を表示する
命令をメモリが格納した、機器。
【請求項10】
請求項9に記載のシステムであって、コンテキストが、第1のトランザクションの目的が未完であることを示すデータを含む、システム。
【請求項11】
請求項10に記載のシステムであって、第2のコンピュータ化された機器が、
第1のコンピュータ化された機器から、第2のトランザクションのための要求を受信し、要求が、データパケットを含み、
データパケットから、第1の通信セッションの間に行われた第1のトランザクションのコンテキストを取り出し、
エージェントが第2のトランザクションの間に第1のトランザクションの目的を完了するためのステップをとるように促すためにエージェントデバイスに取り出されたコンテキストを提供する、
ようにさらに構成される、システム。
【請求項12】
請求項11に記載のシステムであって、命令が、プロセッサにさらに、
第2の通信セッションの間に、第1のトランザクションの目的の実現を検出させ、検出することが、データパケットを第1のコンピュータ化された機器から削除させる、システム。
【請求項13】
請求項9に記載のシステムであって、トランザクションサマリデータが、第1の通信セッションの記録を含む、システム。
【請求項14】
請求項13に記載のシステムであって、第1の通信セッションの記録が、第1の通信セッションの間に交わされた通信の音声記録を含む、システム。
【請求項15】
請求項9に記載のシステムであって、第1のトランザクションのコンテキストが、人のIDおよび第1のコンピュータ化された機器のアドレスを含む、システム。
【請求項16】
請求項9に記載のシステムであって、第1のコンピュータ化された機器が、電話通信のために構成された移動デバイスである、システム。
【請求項17】
請求項1に記載の方法であって、通知が、第1の通信セッションの終了の後に表示される、方法。
【請求項18】
請求項1に記載の方法であって、通知に応答して、ユーザ入力が、コンピュータ化された機器を介して受け取られる、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気通信の広範な分野に関し、より詳細には、通信トランザクションにおける継続性を強化することに関する。
【背景技術】
【0002】
エージェントレベルのルーティングおよび並列データ転送などの多くのインテリジェント機能を提供するコールセンタ(CC)の運営およびマシンインテリジェンスは、よく発達した技術である。ほとんどの人にとって、例えば、ハードウェアまたはソフトウェアに問題が生じたためにカスタマーサービスにアクセスしようとして、または、製品すなわちソフトウェアをアップデートしようとして、コールセンタにコンタクトすることは少なくとも珍しいことではない。このような人たちは、サービスリクエストがいつも1回のコールで思いどおりに解決されない場合もあることを理解するものである。1回以上のコールバックが必要な場合もあれば、リクエストしているカスタマーが、他のコールCCに回される場合もあるし、または、他の企業に回される場合さえもある。多くの製品およびサービスは、例えば、企業連携を通じて提供される。
【0003】
既存の解決策では、通常は、CRMシステムおよびLDAPリポジトリなどの構内管理されたシステムを何かしら組み合わせて、カスタマーインフォメーションおよび業務コンテキストを管理運営するビジネス(例えば、コールセンタ)が必要とされる。ビジネスでは、通常は、ケースIDおよびチケット番号などの短いトークンがカスタマーに発行され、サービスに関連するその後の問い合わせ時にこれらのトークンをカスタマーが示してくれることを頼みとしている。
【0004】
その後の交渉は、通常は、少なくとも以下のものと類似するワークフローからなる:
1.カスタマーは、何らかのメディアによってビジネスと交渉をもち、サービストークンを想起するように促される。
2.トークンIDが取り出されている間、エージェントおよびカスタマーは待機する。
3.カスタマーおよびサービスインフォメーションが、CRMまたは他のデータリポジトリから引き出されている間、エージェントおよびカスタマーは待機する。
4.カスタマーのIDが確認される。
5.サービスが継続される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このワークフローは、簡単に、単一のコールセンタにおける作業を反映しているにすぎず、ワークフローは、異なるコールセンタおよび異なる企業間にまたがって作業および多くのコンタクトが発生する場合には、もっと複雑になり、もっといらだたしいものとなる。
【0006】
必要とされているのは明らかに、単一のコールセンタまたは単一の企業にとらわれず、業務コンテキストおよび他のデータを取得および提示するためのインターフェースとなり、カスタマーの活動に関する統一的視点を提供し、これにより、サービスのパーソナル化および継承性の強化を可能にするポータブルコンティニュイティオブジェクトである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、一連の通信トランザクションにまたがって継承性を与える必要性を認識しており、それゆえに、(a)通信トランザクションも可能なコンピュータ化された機器上で実行されるPCOソフトウェアのインスタンスによって、定義されたデジタルパッケージとしてポータブルコンティニュイティオブジェクト(PCO)を作成するステップと、(b)PCOに、人のID、通信装置のアドレス、および継承性コンテキストを与えるステップと、(c)PCOソフトウェアのインスタンスにより強化されたデジタル設備によって、個々のトランザクションに関するインフォメーションについてPCOをアップデートすることによって、関連する複数のトランザクションにおいてPCOをシェアするステップと、(d)トランザクションに関係する一方のまたは双方のパーティがPCOにアクセスすることによって、後続するトランザクションへのコンテキスト継承性を与えるステップとを含む、一連のトランザクションにまたがって継承性を与える方法を提案しているのである。
【0008】
一実施形態では、PCOに生じる変化が、PCO用のホームストレージに常にコピーされる。さらに、ある実施形態では、ステップ(d)におけるアクセスすることが、PCOソフトウェアのインスタンスを実行する機器によって自動化されている。実施形態によっては、アクセスすることが、テキスト、映像を表示すること、および/または、上記の機器につながれた1つ以上の周辺機器によって音声を出すことを含む。
【0009】
実施形態によっては、PCOは、一連のトランザクションの最初のトランザクションを開始する個人によって使用されるステーションによって作成され、該ステーションに格納される。他の実施形態では、PCOは、サードパーティのネットワークロケーションに格納され、他のロケーションにおけるPCO互換の設備によってアクセス可能かつ使用可能である。
【0010】
本方法の実施形態によっては、PCOに機械可読コードを格納するステップ、および、PCOから機械可読コードを実行するステップがある。機械可読コードにより、双方向的なインターフェースが提供され、このインターフェースに関する双方向性によって、PCOのデータが変更される。
【0011】
本発明の他の態様では、通信トランザクションも可能なコンピュータ化された機器上で実行されるPCOソフトウェアのインスタンスによって作成される定義されたデジタルパッケージと、PCOに格納される人のID、通信装置のアドレス、および継承性コンテキストと、PCOソフトウェアのインスタンスにより強化されたデジタル設備によって、個々のトランザクションに関するインフォメーションについてPCOをアップデートすることによって、関連する複数のトランザクションおけるPCOのインフォメーションのアップデートを可能にする、PCOの機能性と、トランザクションに関係する一方のまたは双方のパーティによって、PCOのインフォメーションにアクセスする、PCOの機能性とを含む、一連のトランザクションにまたがって継承性を与えるポータブルコンティニュイティオブジェクト(PCO)が得られる。
【0012】
PCOの一実施形態では、生じる変化が、PCO用のホームストレージにコピーされる。さらに、ある実施形態では、PCOのインフォメーションへのアクセスが、PCOソフトウェアのインスタンスを実行する機器によって自動化される。PCOのインフォメーションへのアクセスが、テキスト、映像を表示すること、および/または、上記の機器につながれた1つ以上の周辺機器によって音声を出すことを含んでもよい。
【0013】
実施形態によっては、PCOは、一連のトランザクションの最初のトランザクションを開始する個人によって使用されるステーションによって作成され、該ステーションに格納される。他の実施形態では、PCOは、サードパーティのネットワークロケーションに格納され、他のロケーションにおけるPCO互換の設備によってアクセス可能かつ使用可能である。
【0014】
実施形態によっては、PCOに機械可読コードを格納する機能、および、PCOから機械可読コードを実行する機能があってもよい。機械可読コードにより、双方向的なインターフェースが提供され、このインターフェースに関する双方向性によって、PCOのデータが変更される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態におけるポータブルコンティニュイティオブジェクトを使用することができるネットワークのアーキテクチャの概要図である。
図2】本発明の一実施形態におけるポータブルコンティニュイティオブジェクトの概略図である。
図3】本発明の一実施形態におけるコンピュータ化されたステーションにおける構成要素および機能性を示している概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、本発明の一実施形態におけるポータブルコンティニュイティオブジェクトを使用することのできるネットワークのアーキテクチャの概要図である。コールセンタ101は、二重対応可能なセンタ(dually−capable center)であり得るという点で、多くのコールセンタがもつ特徴をよく示しており、このことは、このセンタが、公衆交換電話網(PSTN)102などの接続された電話網が発信元であるインタラクション、および、インターネット網101などの接続された広域ネットワークが発信元であるインタラクションを処理することができることを意味しており、双方ともに、この例では、論理的にネットワーククラウド記号を用いて示されている。ネットワーク101および102は、この実施形態では、互いに物理的に分離しているものとして示されている。しかしながら、ネットワーク通信の当業者は、実地には2つのネットワーク間に物理的な曖昧さがあることを理解されよう。
【0017】
コールセンタ101は、ローカルエリアネットワーク(LAN)115であって、この例では、転送制御プロトコル/インターネットプロトコル(TCP/IP)、および、インターネット網101に接続されたサブネットワークとしてLAN115を機能させるために必要な他のネットワークプロトコルに適合したローカルエリアネットワーク(LAN)115を含んでいる。LAN115は、インターネットアクセス回線113を経由してインターネットネットワークバックボーン112に接続されているIPルータ(RTR)114をサポートしている。LAN115をインターネット101と接続するために、24/7ベースの(on a 24/7 basis)直接的なT−X接続、ブロードバンド、ワイヤレス、デジタル加入者線(DSL)、およびワイヤレスフィデリティ(WiFi)などを含むさまざまなインターネット接続技術を利用することができる。サービスがサードパーティのプロバイダによって仲介される場合には、図示されていないインターネットサービスプロバイダ(ISP)も、この例の中に存在すると考えてもよい。
【0018】
コールセンタ101は、1社以上の企業に代わって、インタラクション(電子メールおよび音声電話などのトランザクション)のサービスを提供する役割を果たしており、これらの企業のカスタマーに対してコールセンタサービスを提供している。コールセンタサービスには、センタが代理を務める1社以上の企業を利用するクライアントに対する販売およびサービスが含まれているが、これらに限定されているわけではない。インターネット101のバックボーン112は、全体としてインターネット網を構成している回線、設備、および接続点のすべてを表している。したがって、本発明の実施には、地理的な制約がない。場合によって、CC101は、1社の企業のみのクライアント(カスタマー)にサービスを提供するために、この企業のみによって運営される。
【0019】
バックボーン112は、少なくとも1つのウェブサーバ(WS)110であって、当技術分野ではウェブページとして知られている電子的なインフォメーションページを提供するように構成されており、電子的なインフォメーションページが、ハイパーテキスト転送プロトコルページとして、通常は、サーバ内に保持されており、ハイパーテキスト転送プロトコルページが、インターネット機能付きの機器を操作するユーザによる電子アクセスのために、ユニバーサルリソースロケータ(URL)によってアドレス指定されているウェブサーバ(WS)110をサポートしている。コールセンタ101を運営している企業は、「訪問者」というラベルの付いた矢印111によって表されている一般の人々がアクセスすることのできる1つ以上の関連するウェブページをWS110内に有する1つ以上のウェブサイトを運営している場合がある。訪問者111は、コールセンタ100がサービスを提供している企業の1つ以上のウェブページにアクセスしている任意のユーザを表している。このような訪問者は、デスクトップコンピュータ、スマートテレフォン、携帯情報端末(PDA)、ラップトップコンピュータ、または、他のインターネット機能付きの機器を操作している場合がある。一般的に言えば、コールセンタ100によって代理を務められ、かつWS110を介してアクセス可能なウェブサイトを有する企業は、顧客基盤に対して販売およびサービスを行う営利企業である。
【0020】
上述したような企業によって運営されているウェブサイトは、カスタマーが製品およびサービスを閲覧し、オンラインで買物することのできる商用ページを含むことができる。企業ウェブサイトには、カスタマーインターフェースである他のページ、例えば、フォーラム、技術サービスページ、アカウント管理ページ、登録ページ、ログインページ、一般的なコンタクトページ、および、提供される製品およびサービスの利点について説明する、インフォメーションを提供する他のウェブページが存在する場合もある。
【0021】
コールセンタ101は、コールセンタの物理領域内にセントラルオフィススイッチ(CS)107を保有している。CS107は、自動着信呼分配装置(ACD)型のスイッチ、構内交換機(PBX)スイッチ、または、着信電話コールを処理することのできる何らかの他の適切なスイッチであってもよい。CS107については、CTIプロセッサ108がCTIリンクによりスイッチと接続されることによって、コンピュータ電話通信連携化(computer telephony integrated)(CTI)が行われている。CTIプロセッサ108は、インテリジェントなコール処理制御機能をスイッチ107に付与している。CS107は、電話トランク106を介して、PSTN102内のローカルネットワークスイッチ103に接続されている。スイッチ103は、この例ではPBXスイッチであり、また、スイッチ103のコール処理制御インテリジェンスは、ネットワークレベルで機能するが、図示されていないCTIプロセッサによって、強化されていてもよい。
【0022】
CTIプロセッサ108は、コールセンタ100内のLAN115に接続されている。このように、着信コールが、エージェントにつながれる前であっても、スイッチ103に登録された電話のかけ手から要請されたインフォメーションは、LANを経由してエージェントに経路指定され得る。PBX103は、スイッチ103に登録された通話料無料の1−800−番号などのある用意された番号を用いてコールセンタ101に電話をかける電話のかけ手とのインターフェースとなるように構成された双方向音声応答(IVR)131のインスタンスを有していてもよい。コールセンタ101につながれることになっている、スイッチ103へのPSTNコールは、ここでは、参照符号104と共に「コール」とラベルの付いた矢印によって表示されている。ネットワークブリッジングが、シームレス特性を有しているため、スイッチ103へのコールは、接続された電話網のどこからでも発信され得るし、ボイスオーバーインターネットプロトコル(VoIP)を用いるなどして、インターネット101のどこからでも発信され得る。
【0023】
CS107は、内部電話配線132を経由して、コールセンタ内の電話に接続されている。LAN115は、ここではステーション124(1−n)として示したエージェントワークステーションをサポートしている。各エージェントワークステーション124(1−n)は、この例ではコンピュータ機器および電話機器を有している。エージェントワークステーション124(1−n)には、通常は、コールセンタアクセスポイントスイッチ103およびスイッチ107またはWS110を介してコールセンタに着信するインタラクションに応対する、生身のコールセンタエージェントが配置されている。エージェントは、音声電話、電子メールリクエストに応対する場合もあれば、チャットインターフェースまたはインスタントメッセージインターフェースを介してカスタマーに応じる場合もある。本発明の精神および範囲を逸脱しなければ、エージェントワークステーション内に、さらなる設備があってもよい。この例では、エージェントワークステーション124(1−n)の各電話は、内部電話配線132を介して、スイッチ107に接続されている。この例に示した各コンピューティング機器は、LAN接続されている。エージェントステーションのハードウェア/ソフトウェアの組み合わせが、記載した例と大幅に異なっていてもよいことは、当業者には明らかである。
【0024】
デジタルトランザクションは、RTR114を介して、ステーション124(1−n)で業務を遂行するエージェントに経路指定されてもよい。センタ101に着信するトランザクションは、最終的な宛先ルーティングのためにスイッチ107に転送される前に、IVR131によってスイッチ103において中断されてもよい。ネットワークレベルでIVRサービスを利用することによって、エージェントレベルのルーティングをスイッチ107において行うことが可能になる。一実施形態では、CTIおよびIVRは、PSTN102内のスイッチ103の代わりに、スイッチ107において強化される。
【0025】
会社ウェブサイトに属するウェブページには、企業インターネットサイトからユーザが起動または開始することのできるコンタクトオプションが含まれていてもよい。例えば、フローティングコンタクトインターフェースまたはスタティックコンタクトインターフェースが、コールセンタリソースに関与するユーザのための複数のオプションを含むコンタクトページまたは他のウェブページに用意されてもよい。通常のオプションとして、電子メールオプション、チャットオプション、および時間指定のコールバックオプションが挙げられる。場合によっては、コールセンタに対して直接にインバウンド電話コールをするために、インバウンド通話料無料の電話番号が用意される。
【0026】
LAN115は、コールセンタリソースの状態および動作に関するリアルタイム統計および予測統計をコンパイルするように構成された統計(STAT)サーバ117をサポートしている。STATサーバ117は、サーバ機能を有効にするデータおよびSWを格納するために、その中にデジタルメディアを備えているか、または、STATサーバ117にアクセスできるように形成されたデジタルメディアを有している。提供可能な統計として、キューの推定待ち時間(EWT)、ルーティングのための、センタに着信するコールの実際の負荷、タイミングよく予測されるコールの予測負荷、および、コールセンタのリソース、より具体的には生身のエージェント、に関する実際のおよび予測される利用可能な統計を挙げることができる。
【0027】
LAN115は、IVR131およびRTR114のようなシステムに対するリクエストにもとづいて、インテリジェントなルーティング命令を出すように構成されたユニバーサルルーティングサーバ(URS)116をサポートしている。URS116は、ルーティングインタラクションの可用性を決定する際の補助となる特定の統計をサブスクライブすることができる。LAN115は、サポートされた任意のメディアタイプの進行中のおよびキューにあるインタラクションのユニバーサルレコードを提供し、かつこれらの進行中および保留中のインタラクションの処理および状態に関する統計を記録するように構成されたユニバーサルコネクションサーバ(UCS)125をサポートしている。URS116およびUCS125は、その中に、サーバ機能を有効にするデータおよびSWのすべてを含むデジタルメディアを備えているか、そうでなければ、これらにアクセスできるように形成された該デジタルメディアを有している。この例では一般的なキュー126が示されており、また、一般的なキュー126は、UCS125に接続されている。キュー126は、経路指定され、かつ例えば生身のエージェントのような利用可能なリソースをキューで待っているインタラクションを論理的に表している。
【0028】
スイッチ103に登録された、センタ101への電話のかけ手は、IVRによるプレスクリーニングの間、CTIプロセッサ105上で動作する監視SW130によって監視される。IVRへの電話のかけ手は、双方向的挙動、ムード、および/またはIVRの応答(IVR prompt)に対する双方向的応答に関して監視され得る。監視処理によって、すべての電話のかけ手が検出され、各電話のかけ手とIVRとのインタラクションが監視される。LAN115は、ランキングサーバ上で動作するランキングSW129に補助されてSW130を監視することによってIVRインタラクション中に監視された電話のかけ手の重要性をランク付けするように構成されたランキングサーバ(RS)118をサポートしている。ランキングサーバ118は、サーバ機能を有効にするために、その中にデジタルメディアを備えているか、そうでなければ、ランキングサーバ118にアクセスできるように形成されたデジタルメディアを有している。
【0029】
予約データ用の、R−データとラベルの付いたデータリポジトリ119が用意されており、データリポジトリ119は、ランキングSW129を動作させるRS118に接続されている。リポジトリ119は、好適なランキングの結果として訪問者111および電話のかけ手104にとって利用可能となった予約されたコール機会に関連するコール予約データを含む。例えば、IVR131とインタラクションする資格のある電話のかけ手104には、現時点での統計が、センタ内にコールに対して即座に応対する利用可能なリソースがないことを示した場合に、後のコール予約機会が与えられる。同様に、リポジトリ119は、資格はあるが、即座に生身のインタラクションに応対するために利用可能な利用可能リソースがない場合のウェブ訪問者111にとって利用可能となったコール予約を含んでいる。本明細書では、電話のかけ手と訪問者とは、訪問者が、ウェブベースのアクセスポイントにアクセスするのに対して、電話のかけ手が、音声電話によってインタラクションするという点で区別される。しかしながら、抽象的な意味では、訪問者と電話のかけ手とは、各インターフェースを介してかなりの程度同様に取り扱われる。したがって、訪問者という用語は、本明細書では、電話のかけ手およびウェブ訪問者の双方を指示するものとして使用することができる。
【0030】
LAN115に接続されたポータブルオブジェクトサーバ120は、本発明の出願の主題であるポータブルオブジェクト(PO)を処理するためのソフトウェアを、機械可読メディアから実行する。サーバ120は、本発明の実施形態におけるポータブルオブジェクトが保持され得るdB121に連結されている。
【0031】
第2のコールセンタ134が、図1に示されており、この第2のコールセンタ134は、CC101に酷似するように実施および構造化されていてもよいし、CC101と全然似ないように構造化および実施されていてもよい。CC134は、CC101を運営しているのと同じ企業によって(ことによると、異なる地理的領域において)運営されていてもよいし、全く異なる企業によって運営されていてもよい。2つのコールセンタ101および134が示されているが、このようなネットワークには多くの他の企業によって運営されている多くの他のコールセンタがあってもよく、着信コールおよび他のデジタルトランザクションは、このようなコールセンタの任意の1つに経路指定されてもよい。
【0032】
図1のステーション136 1−nは、図1に示されているネットワーク内のコールセンタの任意の1つからのサービスをリクエストする場合のある個人によって操作される通信ステーションおよび通信機器を表している。これらの機器およびステーションは、パーソナルコンピュータまたはラップトップ138、および、個人用の電話機器140を含む。なお、この個人用の電話機器140は、接続型の電話、携帯電話、IPNT電話、または、CC101および134によってネットワーク内に示されているコールセンタの1つと交渉する能力をサポートすることのできる任意の他の種類のデジタル機器であってもよい。これらの機器を使用する個人は、ネットワーク内のコールセンタにおけるIVRおよびエージェントとのトランザクションを開始および実行することができる。ステーション136における個人は、接続型交換電話通信(connection−oriented switched telephony)(COST)装置、移動電話ネットワーク、または任意の既知のタイプおよび構造のインターネット接続などの複数の方法の1つ以上の方法でネットワーク全体と接続されていてもよい。一般に、ステーション136によって示された機器を操作する人は、CCと交渉して、さまざまな種類のサービスをリクエストしたり、受けたりする。ステーション136は、COSTコール104、IPコール142、およびウェブ訪問111の発信元である。
【0033】
上記の背景技術のセクションに記載したように、CC101および134によって示されているコールセンタと交渉する人は、1回のトランザクションですべてのサービスをリクエストしても受けられず、一連のトランザクションで複数のサービスをリクエストして受けることで初めて、交渉の目的に対して満足のいく結果が得られる。現在の技術では、1つのまたは2つの密接に関係する目的に関連するトランザクション間の継承性を迅速に与える能力が欠如していることによって、拙劣な遅れおよび間違いが生じる場合がある。本発明者らは、別々のトランザクションを迅速に関連させて、コンテキストの継承性を与える機能を強化するポータブルコンティニュイティオブジェクト(PCO)を提案する。このようなオブジェクトは、複数の形態のうちの任意の形態をとることができるが、一般には、ヘッダおよびデータ本体を有する標準符号化デジタルパッケージ(デジタルデータパケットといくつかの点で類似している)である。PCOは、データベースおよび他のデータリポジトリに格納すること、ならびに、データベースおよび他のデータリポジトリから取り出すことができ、電子メールなどのトランザクションに添付することができ、電話トランザクションの音声データストリームの帯域内または帯域外で伝送される。
【0034】
図2は、本発明の一実施形態におけるPCO201の単純化された例の概略図である。PCO201は、この例では、データおよび実行可能コードの双方のパッケージであるが、この双方が、あらゆるインスタンスにおいて、本発明の実施形態におけるPCOを構成する必要はない。PCO201は、3つの定義されたセクション202、203、および204を有している。セクション203は、人もしくは場合によっては1人以上の人、その人もしくはそれらの人々に関連するかもしくは関連する場合がある通信機器、または、継承性コンテキストの指示を特定するように機能するデータエンティティを含んでいる。
【0035】
通常は、関連する一連のトランザクションは、1人の人によって遂行されるが、場合によっては1人以上の人によって遂行される。夫および妻が、例えば、すべてが1つのコンテキストのみに関連する複数のトランザクション(例えば、双方がともに責任を負う場合のあるローンを銀行から借りるなど)を開始し、実行する場合がある。別の例として、コンテキストが関連する一連のトランザクションを開始する人は、別の人に任せて、理にかなった結論にたどりつくまでこの一連のトランザクションを続けさせる場合がある。したがって、名前およびエイリアス用のヘッダ部分には、通常は1つの名前しかないが、場合によっては複数ある場合がある。
【0036】
PCOの唯一の目的は、複数のネットワークおよびプロトコルを含む場合のある通信環境において互いに関連するトランザクション間の迅速な関連付けおよびコンテキストを与えることである。人は、ラップトップコンピュータを使用してウェブサイトを訪問することによって、上記の一連のトランザクションを開始する場合があり、元のウェブ訪問で使用されたのと同じコンピュータまたは別のコンピュータ機器から送信する電子メールと共に一連のVoIPコールによって、一連のトランザクションを継続する場合がある。このため、機器のIPアドレスおよび電話番号などは、すべて当の人およびトランザクションに関連付けられ、コンテキストが関連する複数のトランザクションが進行するときに追加される。
【0037】
名前およびアドレスに加えて、PCOでは、関係が特定される必要がある。この関係は、PCOの残りのデータおよびコードを結合する接着剤である。通常は、人は、目的のためにトランザクションを開始し、トランザクションに協力するが、その目的が達成されない場合もある。この目的こそが結合剤であるが、コンテキストを与えるためにこの目的が詳細に書き出される必要はない。あるトランザクションを次のトランザクションと関連付けるために使用され得る標準ライブラリにおける一連のトランザクションの1つであり得る、識別子の適用で十分である。この識別子が、継続性コンテキストである。
【0038】
このように、期待をもって当初の目的を成功させようとする過程で実行される複数のトランザクション間の継続性について詳しく説明してきた。したがって、PCOの重要な部分は、少なくともトランザクションのサマリを記録することのできる本体203である。ある場合には、トランザクション全体(電子メール、記録された音声電話、テキストメッセージなど)が、通常は時系列で、記録されてもよい。他の場合には、トランザクションは、メタデータまたは進行に関する符号化された指示に縮小される。これらのトランザクションの記録は、さまざまなプロトコルで取り出し可能であり、レビュー可能である。例えば、PCOは、ある人にとっての、あるコンテキストにおける一連のトランザクションが、電子メールトランザクションによって最後に中断され、次に、その人が、(期待をもって)目的を達成しようとしてCCにCOSTコールをかけることを記録する。PCOは、COSTコールと共に伝送されてもよいし、別の経路で、COSTコールが経路指定されたエージェントに伝送されてもよい。その過程で、以前のトランザクションはすべて、エージェントが有するハードウェアおよびソフトウェアの能力に応じて、エージェントがアクセスし、かつレビューすることのできる形式に翻訳されてもよい。一実施形態では、これは、各トランザクションを複数のプロトコルで記録することによって行うことができ、これにより、さまざまな設備および通信プロトコルによるアクセスおよびレビューが可能となる。
【0039】
簡単に上記したように、コンテキストは、通常は、トランザクションが不成功に終わることによって作成される。元のトランザクションで目的が達成された場合、PCOは必要ない。しかし、場合によっては、目的が、2つ以上のトランザクションの過程において変化する場合がある。その場合は、トランザクションの内容が、方向性およびあり得る結果を指し示す。
【0040】
実施形態によっては、PCOの別の重要な部分は、実行可能コード204である。実施形態によっては、新しいトランザクションが、異なるプロトコルである場合、以前のトランザクションのサマリは、部分204から呼び出されたコードを使用して、新しいトランザクションによって、必要に応じてリアルタイムに与えられてもよい。ここでは、コードは、さまざまな他のタスクを行うために呼び出されてもよいし、コンテキストの目的に関するインフォメーションまたは解決策を求めて、さまざまなネットワーク上のブロードキャスティングトランザクションなどの特定のタスクを達成するために外部ソースからコードを呼び出すために、呼び出されてもよい。
【0041】
PCOは、サービスおよび業務コンテキストを管理するための構造モデルおよびインターフェースを導入する。コンテキストは、任意のカスタマーサービスアプリケーションによって生成されるか、コンタクトセンタにおいて実行されているか、ネットワークにおいてホスティングされているか、または、加入者の通信装置上で動作する場合がある。PCOを、サービスを探し求めている人によって使用される通信機器、および/または、主にクラウドまたはキャリアネットワークに格納することができ、また、格納することが有利である。通信装置、クラウド、またはネットワークへの業務コンテキストの移動によって、ステートレスなコンタクトセンタ運営が可能になる。所定のサービスを継続するかまたはパーソナル化する目的で、このコンテキストを受信または取り出すアプリケーションを可能にするインターフェースが、公開されている。
【0042】
本発明の実施形態におけるPCOを作成および使用するためには、作成および/または使用が行われる機器上の機械可読メディアから実行される互換性のあるソフトウェアのインスタンスが必要である。図3は、図1のステーション136の1つをさらに詳細に示している概略図である。この例では、ステーション136は、ディスプレイモニタを有するパーソナルコンピュータ138および電話機器140を含んでいる。コンピュータ138は、ラップトップ、PDA、デスクトップコンピュータ、または他の複数の機器のうちの任意の1つなどの既知の複数のパーソナルコンピューティング機器のうちの任意の1つであってもよく、また、コンピュータ138は、既知の複数の方法のうちの任意の1つによってインターネット接続されている。機器140は、COSTラインに接続されたCOST電話、携帯電話、スマートフォン、または任意の他の既知の種類の電話可能な通信機器であってもよい。場合によっては、機器140は、コンピュータ138を介して接続されて、使用可能となる。場合によっては、機器140は、セルラーネットワークなどを介して、コンピュータ138とは別にインターネット接続されていてもよい。ステーション136の図は、本発明の実施形態における通信トランザクションをサポートすることのできる任意の幅広い種類の加入者宅内機器(CPE)を含んでいることを意図されている。
【0043】
この例のステーション136におけるコンピュータ138は、マスストレージおよびSWストレージ用のデータリポジトリ301を含んでおり、PCOソフトウェア302のインスタンスは、コンピュータ138のメモリ301から実行される。コンピュータ138は、ステーション136における唯一の通信装置であってもよく、インターネットを閲覧し、インターネットプロトコルネットワークテレフォニー(IPNT)を得るための他のSWによって使用可能とされてもよい。同様に、電話装置140は、簡単に上記したような複数の利用可能な装置のうちの任意の1つであってもよく、ステーションにおける唯一の通信装置であってもよく、また、データおよびSW用のローカルメモリ303を有していてもよい。PCO SW302のインスタンスは、電話装置140上で実行されてもよい。
【0044】
例示のために、コンピュータ138が、唯一のまたは主要な通信装置であると想定する。本発明の一実施形態であるこの例では、コンピュータ138に関連するユーザは、以前購入しインストールしたアプリケーションのインスタンス(実行時に問題をいくつか示し始めた)を再インストールする際の補助を求めて、コールセンタにコールする場合がある。この例では、SW302が実行されて、SWが、コンピュータ138に関するユーザの通信動作を監視する。この動作として、ウェブ閲覧、電子メール、およびIPNTコールなどを挙げることができる。特定のインスタンスがプリプログラムされて、SW302は、新しいPCOを作成し、これをデータリポジトリ404に格納する。一実施形態では、電子メールの送信またはコールをかけるなどの通信開始のあらゆるインスタンスによって、新しいPCOが作成される。通信トランザクションの終了時またはタイムアウト後に、その新しいPCOは自動的に消去されもよい。
【0045】
作成された新しいPCOには、ユーザの名前およびエイリアス、コンピュータのIPアドレスまたは仮想電話番号、およびトランザクション#1の記録が追加される。当然ながら、PCOが、余分であり、不要である場合もある。しかしながら、この例では、ユーザが、ソフトウェアアプリケーションがうまく動作しないという問題を解決するために、コールセンタにコールしていると想定されている。次に、PCOが作成され、ユーザがCCのエージェントにつながれたと想定する。さらに、CCが、エージェントのステーションで動作可能な互換性のあるPCO SWによって機能するようになっていると想定する。エージェントの施設(premise)におけるPCO SWは、電話のかけ手がPCOであること発見し、電話のかけ手からの新しいPCOのコピーを取り出す。これは、インターネット並行経路、帯域内信号において、または、複数の手続きの任意の手続きによって、起こる。場合によっては、CCは、電話のかけ手に関する記録を有しており、電話のかけ手が、PCO互換であるという知識を保存したことがあり得る。他の場合には、発見のために、ピンギング手法がある。
【0046】
トランザクションの過程で、エージェントは、問題のあるソフトウェアのIDを発見し、普段そのソフトウェアを実行するプラットフォーム136の構成、および、その問題の特性(電子メールクライアントにおいて、ユーザが、受信箱から電子メールを削除することができなくなっていること)を発見する。CCにおけるPCO SWは、上述したような継続性コンテキストをPCOに追加し、問題およびトランザクションなどに関する特徴的なインフォメーションを記録する。
【0047】
CCのエージェントが、電話のかけ手にとっての問題を解決する資格がなく、代わりに、該問題を処理する優れた資格を備えるエージェントを擁する、同じ企業によって運営されている他のCCの他のエージェントに電話のかけ手を転送することを決めることも起こる。電話のかけ手は、転送されると、キューで少し待たされてから、新たなエージェントにつながれる。第1のエージェントによって新たに追加されたPCOは、一緒に転送にされ、電話のかけ手にもコピーされ、データリポジトリ301内のPCOレコード304にアップデートされる。
【0048】
次に、PCOの価値をより明らかにする。電話のかけ手が、新しいエージェントにつながれると、PCOが、アプリケーション、プラットフォーム、および問題の特性などに関するインフォメーションを含む第1のトランザクションの記録に直接アクセスする新しいエージェントに表示される。第2のエージェントは、電話のかけ手および第1のエージェントのいずれからも新たにインフォメーションを聞き出す必要がない。時間が節約され、より確実に満足を与えることができる。
【0049】
次に、第2のエージェントは、問題を解決するように設計された一連のステップを行うように電話のかけ手を案内するが、失敗してしまう。第2のトランザクションが、少なくともサマリの詳細に関して記録され、結果がPCOに追加され、このPCOが電話のかけ手の施設(メモリ301)にコピーされる。第2のトランザクションの過程で、第2のエージェントは、うまく動作しないアプリケーションの無償の置換コピーを承認する。新しいアプリケーションを得るために、カスタマーは、企業が運営するウェブサイトを訪問しなければならない。承認されたことを含むこの情報は、PCOにコピーされる。
【0050】
翌日、電話のかけ手は、コンピュータ138のウェブブラウザを使用して、第2のエージェントが示したURLのウェブサイトを訪問する。ウェブサイトも同じくPCOであり、元々の電話のかけ手が訪問したときにPCOのコピーを取り出し、必要なアプリケーションを容易にダウンロードできるページに訪問者を接続するためにトランザクションインフォメーションを使用し、さらに、第2のエージェントによってダウンロードが承認されたコードにアクセスする。円滑にダウンロードが行われる。このインフォメーションは、PCOに追加され、継続性を発生させた人にもコピーされる。
【0051】
実施形態によっては、一連のトランザクションに関して目標が達成された(この時点で、PCOは削除されてもよい)ことを示す、ステーション136の人のためのメカニズムがあってもよい。他の実施形態では、PCOは、コンテキストの満足のいく(または、満足のいかない)完結に関係なく格納され、時期がきたら、例えば、1年後または2年後に消去されるように予定されてもよい。この後者の処理が好ましいかもしれない。なぜならば、場合によっては、完結したと思われるコンテキストを後に取り出す可能性があり、元々のPCOを取り出す可能性があり、これが有用であると分かる可能性があるからである。他の実施形態では、PCOは、単純に、例えば取り外し可能なメモリに保管されてもよい。
【0052】
今述べた例では、PCOは、元々のコールをした人によって生成され、ウェブサイトおよびコールセンタなどの他のファシリティは、PCOを処理および利用するための互換性のあるソフトウェアによって機能するようになっていてもよい。当然ながら、施設の設備によってトランザクションに関わるパーティは、PCOを処理するために機能するようにされる必要がある。しかしながら、発信する電話のかけ手が、PCOの作成、追加、格納、およびアップデートを行う必要はない。例えば、上述したのと基本的に同じシステムが、CCにおけるクライアントシステムのサーバとしても動作可能であり、コール−センタが、PCOの開始、格納、追加、およびアップデートを行うことができる。PCOは、サービスプロバイダに関連するネットワークか、または、サードパーティのサービスであるネットワークサイトに格納され、かつこのようなネットワークサイトから取り出し可能であってもよい。この場合、互換性があり、機能するようにされた任意のトランザクションの施設設備によって、PCOの生成、追加、およびアップデートを行うことができ、PCOを常時同期しているサードパーティの記憶装置に転送することができる。
【0053】
以下の使用例からも分かるように、PCOと結び付いた他の使用および機能性もある。この例では、スマートフォンを使用するカスタマーが、旅行代理店CCにコールし、CCのエージェントから休暇パッケージを購入する。カスタマーまたはCCのいずれか一方が、PCOを生成した。PCOは、カスタマーリポジトリ301にコピーされる。購入トランザクションの過程で、第1のトランザクションとして、すぐに出発可能な旅行プランが、PCOにログとして記録される。これは、図2の一般化PCOの部分204の一部となる。休暇パッケージで、カスタマーは、旅行プランにある都市でオペラを鑑賞し、別の都市で闘牛を鑑賞するために支払いをした。これらについての支払いは済んだが、旅行プランウィンドウで双方の日時を選択する必要がある。PCOは、カスタマーに注意を促し、選択を行えるようにし、次に、この選択が、必要な場所に転送される。選択されたオプションが確認されると、旅行プランが自動的にアップデートされる。その後、カスタマーは、旅行プランに関する他のアップデートを実行するために選択を行うことができる。
【0054】
旅行の日程が近づくと、PCOにおけるすぐに出発可能な旅行プランによって、カスタマーは、飛行機の事前チェックインについて注意を促され、ビジネスクラスへの割引アップグレードについて勧められる。その後、旅行プランによって、カスタマーは、他の来るイベントについて注意を促されてもよい。
【0055】
ここに記載した例および使用例を考慮すれば、PCOが、実際に、独自のデジタルポータブルコンティニュイティオブジェクトであり、さまざまな場所に作成および格納され、一連のトランザクションを通じて、さまざまなネットワークの至る所で、また、さまざまなプロトコルにおいてアップデートされ、時間を大幅に節約し、トランザクション業務における手間を減らし、喜びをもたらすことが、当業者には明らかなはずである。さらに、記載した例が、本当に、より広範囲のシステムおよびエンティティの例であったこと、および、そのすべてが本発明の範囲内にある多くの異なる使用例が記載されてもよかったことについては、当業者には明らかである。本発明は、以下の特許請求の範囲によってのみ限定される。
図1
図2
図3