【実施例】
【0016】
まず、遊技機の一例であるパチンコ遊技機1の全体の構成について説明する。
図1は、パチンコ遊技機を正面から見た正面図である。尚、以下において、
図1の手前側をパチンコ遊技機1の前方(前面、正面)側、奥側を背面(後方)側とし、パチンコ遊技機1を前面側から見たときの上下左右方向を基準として説明する。尚、本実施例におけるパチンコ遊技機1の前面とは、該パチンコ遊技機1にて遊技を行う遊技者と対向する対向面である。
【0017】
図1は、本実施例におけるパチンコ遊技機の正面図であり、主要部材の配置レイアウトを示す。パチンコ遊技機(以下、遊技機と略記する場合がある)1は、大別して、遊技盤面を構成する盤面板2を有する遊技盤(ゲージ盤ともいう)と、該遊技盤を支持固定する遊技機用枠3(台枠とも言う)とから構成されている。遊技盤には、ガイドレール2bによって囲まれた正面視略円形状の遊技領域10が形成されている。この遊技領域10には、遊技媒体としての遊技球Pが打球発射装置(図示略)から発射されて打ち込まれる。また、遊技機用枠3には、ガラス窓50aを有するガラス扉枠50が左側辺を中心として回動可能に設けられ、該ガラス扉枠50により遊技領域10を開閉できるようになっており、ガラス扉枠50を閉鎖したときにガラス窓50aを通して遊技領域10を透視できるようになっている。
【0018】
図1に示すように、遊技盤は、ベニヤ板等の非透光性部材にて正面視略四角形状に構成され、前面である遊技盤面に複数の障害釘200やガイドレール2b等が設けられた盤面板2と、該盤面板2の背面に設けられる構造物(図示略)と、から構成されている。尚、盤面板2の前後幅寸法(板厚寸法)は約20.0mmに形成されている。
【0019】
遊技盤の所定位置(
図1に示す例では、遊技領域10の右側下部位置)には、第1特別図柄表示器4Aと、第2特別図柄表示器4Bとが設けられている。第1特別図柄表示器4Aと第2特別図柄表示器4Bはそれぞれ、変動表示ゲームの一例となる特図ゲームにおいて、各々を識別可能な複数種類の識別情報(特別識別情報)である特別図柄(「特図」ともいう)が、変動可能に表示(変動表示または可変表示ともいう)される。以下では、第1特別図柄表示器4Aにおいて変動表示される特別図柄を「第1特図」ともいい、第2特別図柄表示器4Bにおいて変動表示される特別図柄を「第2特図」ともいう。
【0020】
遊技盤における遊技領域10の中央付近には、演出表示装置5が設けられている。演出表示装置5は、例えばLCD(液晶表示装置)等から構成され、各種の演出画像を表示する表示領域を形成している。演出表示装置5の表示領域では、特図ゲームにおける第1特別図柄表示器4Aによる第1特図の変動表示や第2特別図柄表示器4Bによる第2特図の変動表示のそれぞれに対応して、例えば3つといった複数の変動表示部となる演出図柄表示エリア5L,5C,5Rにて、各々を識別可能な複数種類の識別情報(装飾識別情報)である演出図柄が変動表示される。この演出図柄の変動表示も、変動表示ゲームに含まれる。
【0021】
このように、演出表示装置5の表示領域では、第1特別図柄表示器4Aにおける第1特図を用いた特図ゲーム、または、第2特別図柄表示器4Bにおける第2特図を用いた特図ゲームと同期して、各々が識別可能な複数種類の演出図柄の変動表示を行い、変動表示結果となる確定演出図柄(最終停止図柄)を導出表示する。
【0022】
演出表示装置5は、遊技盤よりも背面側に配設され、盤面板2に形成された第1孔部2cを通して視認できるようになっている。尚、盤面板2における第1孔部2cには枠状のセンター飾り枠51が設けられている。
図1、
図2及び
図6に示すように、センター飾り枠51は、第1孔部2cに嵌合可能な枠状の嵌合部51bと、該嵌合部51bの前端周縁から外側に広がるように設けられる板状のフランジ部51aとを有し、フランジ部51aは、遊技盤面2aにおける第1孔部2cの周囲に配置される。
【0023】
図1に示すように、演出表示装置5の表示領域の下部の左右2箇所には、第1保留記憶表示エリア5D、第2保留記憶表示エリア5Uが設定されている。第1保留記憶表示エリア5D、第2保留記憶表示エリア5Uでは、特図ゲームに対応した変動表示の保留記憶数(特図保留記憶数)を特定可能に表示する保留記憶表示が行われる。
【0024】
ここで、特図ゲームに対応した変動表示の保留は、普通入賞球装置6Aが形成する第1始動入賞口や、普通可変入賞球装置6Bが形成する第2始動入賞口を、遊技球Pが通過(進入)することによる始動入賞に基づいて発生する。すなわち、特図ゲームや演出図柄の変動表示といった変動表示ゲームを実行するための始動条件(「実行条件」ともいう)は成立したが、先に成立した開始条件に基づく変動表示ゲームが実行中であることやパチンコ遊技機1が大当り遊技状態に制御されていることなどにより、変動表示ゲームの開始を許容する開始条件が成立していないときに、成立した始動条件に対応する変動表示の保留が行われる。
【0025】
第1特別図柄表示器4A及び第2特別図柄表示器4Bの上方位置には、特図保留記憶数を特定可能に表示するための第1保留表示器25Aと第2保留表示器25Bとが設けられている。第1保留表示器25Aは、第1特図保留記憶数を特定可能に表示し、第2保留表示器25Bは、第2特図保留記憶数を特定可能に表示する。
【0026】
図1、
図2及び
図6に示すように、盤面板2における第1孔部2cの下方には、第2孔部2eが形成されており、該第2孔部2eには普通入賞球ユニット6が設けられている。この普通入賞球ユニット6は、普通入賞球装置6Aと普通可変入賞球装置6Bとを有しており、第2孔部2eに嵌合可能な枠状の嵌合部6dと、該嵌合部6dの前端周縁から外側に広がるように設けられる板状のフランジ部6cとを有し、フランジ部6cは、遊技盤面2aにおける第2孔部2eの周囲に配置される。
【0027】
普通入賞球装置6Aは、例えば所定の球受部材によって常に一定の開放状態に保たれる始動領域(第1始動領域)としての第1始動入賞口を形成する。普通可変入賞球装置6Bは、ソレノイド(図示略)によって開閉駆動される可変入賞口扉によって開放状態と閉鎖状態とに変化する第2始動入賞口を形成する。尚、本実施例におけるフランジ部6cの板厚(前後幅寸法)は、約2.0mmに形成されている。
【0028】
第1始動入賞口を通過(進入)した遊技球Pが第1始動口スイッチ(図示略)によって遊技球Pが検出されたことに基づき、所定個数(例えば3個)の遊技球Pが賞球として払い出され、第1特図保留記憶数が所定の上限値(例えば「4」)以下であれば、第1始動条件が成立する。また、第2始動入賞口を通過(進入)した遊技球Pが第2始動口スイッチ(図示略)によって遊技球Pが検出されたことに基づき、所定個数(例えば3個)の遊技球Pが賞球として払い出され、第2特図保留記憶数が所定の上限値(例えば「4」)以下であれば、第2始動条件が成立する。
【0029】
図1に示すように、普通入賞球ユニット6の右方位置には、特別可変入賞球装置7が設けられている。特別可変入賞球装置7は、ソレノイド(図示略)によって開閉駆動される大入賞口扉によって開放状態と閉鎖状態とに変化する特定領域としての大入賞口を形成する。このように、特定領域としての大入賞口は、遊技球Pが通過(進入)しやすく遊技者にとって有利な開放状態と、遊技球Pが通過(進入)できない(または通過(進入)しにくい)遊技者にとって不利な閉鎖状態とに変化する。
【0030】
大入賞口を通過(進入)した遊技球Pがカウントスイッチ(図示略)によって検出されたことに基づき、所定個数(例えば15個)の遊技球Pが賞球として払い出される。従って、特別可変入賞球装置7において大入賞口が開放状態となれば、その大入賞口に遊技球Pが進入可能となり、遊技者にとって有利な第1状態となる。その一方で、特別可変入賞球装置7において大入賞口が閉鎖状態となれば、大入賞口に遊技球Pを通過(進入)させて賞球を得ることが不可能または困難になり、遊技者にとって不利な第2状態となる。
【0031】
第2保留表示器25Bの上方位置には、普通図柄表示器20が設けられている。普通図柄表示器20の上方には、普図保留表示器25Cが設けられている。普図保留表示器25Cは、例えば4個のLEDを含んで構成され、通過ゲート41を通過した有効通過球数としての普図保留記憶数を表示する。
【0032】
遊技領域10の最下方には、いずれの入賞口にも進入しなかった遊技球Pが取り込まれるアウト口が設けられている。遊技機用枠3の左右上部位置には、効果音等を再生出力するためのスピーカ8L,8Rが設けられており、さらに遊技領域10の周辺部には、演出用LED9が設けられている。遊技機用枠3の右下部位置には、遊技媒体としての遊技球Pを遊技領域10に向けて発射するために遊技者等によって操作される打球操作ハンドル(操作ノブ)が設けられている。
【0033】
遊技領域10の下方における遊技機用枠3の所定位置には、賞球として払い出された遊技球Pや所定の球貸機により貸し出された遊技球Pを、発射装置(図示略)へと供給可能に保持(貯留)する上皿90(打球供給皿)が設けられている。遊技機用枠3の下部には、上皿90から溢れた余剰球などを、パチンコ遊技機1の外部へと排出可能に保持(貯留)する下皿91が設けられている。
【0034】
次に、パチンコ遊技機1の回路構成について説明する。パチンコ遊技機1の背面には、例えば図示しない主基板、演出制御基板、音声制御基板、LED制御基板、主基板と演出制御基板との間で伝送される各種の制御信号を中継するための中継基板、払出制御基板、情報端子基板、発射制御基板、インタフェース基板などといった、各種の基板が配置されている。
【0035】
主基板(図示略)は、メイン側の制御基板であり、パチンコ遊技機1における遊技の進行を制御するための各種回路が搭載されている。主基板は、主として、特図ゲームにおいて用いる乱数の設定機能、所定位置に配設されたスイッチ等からの信号の入力を行う機能、演出制御基板(図示略)などからなるサブ側の制御基板に宛てて、指令情報の一例となる制御コマンドを制御信号として出力して送信する機能、ホールの管理コンピュータに対して各種情報を出力する機能などを備えている。また、主基板は、第1特別図柄表示器4Aと第2特別図柄表示器4Bを構成する各LED(例えばセグメントLED)などの点灯/消灯制御を行って第1特図や第2特図の変動表示を制御することや、普通図柄表示器20の点灯/消灯/発色制御などを行って普通図柄表示器20による普通図柄の変動表示を制御することといった、所定の表示図柄の変動表示を制御する機能も備えている。また、主基板には、例えば遊技制御用マイクロコンピュータ(図示略)や、スイッチ回路(図示略)、ソレノイド回路などの各種回路が搭載されている。
【0036】
主基板には、通過ゲート41を通過した遊技球Pを検出するゲートスイッチ、第1始動口スイッチ、第2始動口スイッチ、カウントスイッチからの検出信号を伝送する配線が接続されている。また、第1特別図柄表示器4A、第2特別図柄表示器4B、普通図柄表示器20、第1保留表示器25A、第2保留表示器25B、普図保留表示器25Cなどの表示制御を行うための指令信号を伝送する配線が接続されている。
【0037】
主基板から中継基板を介して演出制御基板に対して伝送される制御コマンドは、例えば電気信号として送受信される演出制御コマンドである。演出制御コマンドには、例えば、演出図柄の変動時間及びリーチ演出の種類や擬似連の有無等の変動態様を示す変動パターンを示す変動パターン指定コマンド等が含まれている。
【0038】
主基板に搭載された遊技制御用マイクロコンピュータは、例えば1チップのマイクロコンピュータであり、遊技制御用のプログラムや固定データ等を記憶するROM(ReadOnlyMemory)と、遊技制御用のワークエリアを提供するRAM(RandomAccessMemory)と、遊技制御用のプログラムを実行して制御動作を行うCPU(CentralProcessingUnit)と、CPUとは独立して乱数値を示す数値データの更新を行う乱数回路と、I/O(Input/Outputport)と、を備えて構成される。一例として、遊技制御用マイクロコンピュータでは、CPUがROMから読み出したプログラムを実行することにより、パチンコ遊技機1における遊技の進行を制御するための処理が実行される。
【0039】
演出制御基板(図示略)は、主基板とは独立したサブ側の制御基板であり、中継基板を介して主基板から伝送された制御信号を受信して、演出表示装置5、スピーカ8L,8R及び演出用LED9といった演出用の電気部品による演出動作を制御するための各種回路が搭載されている。
【0040】
演出制御基板(図示略)には、プログラムに従って制御動作を行う演出制御用CPUと、演出制御用のプログラムや固定データ等を記憶するROMと、演出制御用CPUのワークエリアを提供するRAMと、演出表示装置5における表示動作の制御内容を決定するための処理などを実行する表示制御部と、演出制御用CPUとは独立して乱数値を示す数値データの更新を行う乱数回路と、I/Oとが搭載されている。一例として、演出制御基板では、演出制御用CPUがROMから読み出した演出制御用のプログラムを実行することにより、演出用の電気部品による演出動作を制御するための処理が実行される。また、ROMには、演出制御用のプログラムの他にも、演出動作を制御するために用いられる各種のデータテーブルなどが格納されている。
【0041】
次に、パチンコ遊技機1における遊技の進行を概略的に説明する。パチンコ遊技機1では、遊技領域10に設けられた通過ゲート41を遊技球Pが通過したことに基づいて、普通図柄表示器20による普図ゲームが開始される。普通図柄の変動を開始させた後、普図変動時間となる所定時間が経過し、普図当り図柄以外の普通図柄が停止表示されれば、普通図柄の変動表示結果が「普図はずれ」となる。特定の普通図柄(普図当り図柄)が停止表示されれば、普通図柄の変動表示結果が「普図当り」となり、普通可変入賞球装置6Bの開放制御が行われ、所定時間が経過すると閉鎖制御が行われる。
【0042】
遊技球Pが第1始動入賞口に入賞したことなどにより第1始動条件が成立した後に、例えば前回の特図ゲームや大当り遊技状態が終了したことなどにより第1開始条件が成立したことに基づいて、第1特別図柄表示器4Aによる特図ゲームが開始される。また、遊技球Pが第2始動入賞口に入賞したことなどにより第2始動条件が成立した後に、例えば前回の特図ゲームや大当り遊技状態が終了したことなどにより第2開始条件が成立したことに基づいて、第2特別図柄表示器4Bによる特図ゲームが開始される。
【0043】
特図ゲームでは、特別図柄の変動表示を開始させた後、変動表示時間が経過すると確定特別図柄(特図表示結果)を導出表示する。このとき、特定の特別図柄(大当り図柄)が停止表示されれば、特定表示結果としての「大当り」となり、大当り図柄とは異なる特別図柄が停止表示されれば「はずれ」となる。特図ゲームでの変動表示結果が「大当り」になった後には、遊技者にとって有利なラウンド(「ラウンド遊技」ともいう)を所定回数実行する特定遊技状態としての大当り遊技状態に制御される。
【0044】
演出表示装置5の演出図柄表示エリア5L,5C,5Rでは、特図ゲームが開始されることに対応して、演出図柄の変動表示が開始される。そして、演出図柄の変動表示が開始されてから変動表示が終了するまでの期間では、演出図柄の変動表示状態が所定のリーチ状態となることがある。
【0045】
特図ゲームにおける確定特別図柄として、複数種類の大当り組合せのうち、所定の通常大当り組合せ(「非確変大当り組合せ」ともいう)となる確定演出図柄が停止表示され、変動表示結果が「非確変大当り」となった場合は大当り状態に制御され、その終了後には、時間短縮制御(時短制御)が行われる。時短制御が行われることにより、特図ゲームにおける特別図柄の変動表示時間(特図変動時間)は、通常状態に比べて短縮される。尚、時短制御では、普通図柄の当選頻度が高められて、普通可変入賞球装置6Bへの入賞頻度が高められる、いわゆる電チューサポートが実施される。
【0046】
特図ゲームにおける確定特別図柄として、複数種類の大当り組合せのうち、所定の確変大当り組合せ(「確変大当り組合せ」ともいう)となる確定演出図柄が停止表示され、変動表示結果が「確変大当り」となった場合は大当り状態に制御され、その終了後には、時短制御とともに確率変動制御(確変制御)が行われる。この確変制御が行われることにより、各回の特図ゲームにおいて変動表示結果が「大当り」となる確率は、通常状態に比べて高くなるように向上する。
【0047】
時短制御が行われるときには、普図ゲームにおける普通図柄の変動時間(普図変動時間)を通常状態のときよりも短くする制御や、各回の普図ゲームで普通図柄の変動表示結果が「普図当り」となる確率を通常状態のときよりも向上させる制御、変動表示結果が「普図当り」となったことに基づく普通可変入賞球装置6Bにおける可変入賞口扉を開放する開放時間を通常状態のときよりも長くする制御、その開放回数を通常状態のときよりも増加させる制御といった、遊技球Pが第2始動入賞口を通過(進入)しやすくして第2始動条件が成立する可能性を高めることで遊技者にとって有利となる制御(電チューサポート制御、高開放制御)が行われる。
【0048】
次に、本実施例におけるパチンコ遊技機1の動作(作用)を説明する。主基板(図示略)では、所定の電源基板からの電力供給が開始されると、遊技制御用マイクロコンピュータ(図示略)が起動し、CPU(図示略)によって遊技制御メイン処理となる所定の処理が実行される。遊技制御メイン処理において遊技制御用タイマ割込み処理を開始すると、スイッチ処理、メイン側エラー処理、情報出力処理、遊技用乱数更新処理、特別図柄プロセス処理、普通図柄プロセス処理、コマンド制御処理を実行する。
【0049】
特別図柄プロセス処理では、遊技制御フラグ設定部(図示略)に設けられた特図プロセスフラグの値をパチンコ遊技機1における遊技の進行状況に応じて更新し、第1特別図柄表示器4Aや第2特別図柄表示器4Bにおける表示動作の制御や、特別可変入賞球装置7における大入賞口の開閉動作設定などを、所定の手順で行うために各種の処理が選択されて実行される。
【0050】
特別図柄プロセス処理において、CPUは、まず、第1始動入賞や第2始動入賞があったか否かを判定し、入賞があった場合には、特図表示結果判定用、大当り種別判定用、変動パターン判定用などの乱数値をそれぞれ抽出して、第1特図保留記憶部や第2特図保留記憶部における空きエントリの最上位に格納(記憶)する始動入賞処理を実行する。
【0051】
また、CPUは、第1特図保留記憶部や第2特図保留記憶部に記憶されている保留データの有無などに基づいて特図ゲームを開始するか否かの判定や、特図表示結果判定用の乱数値を示す数値データに基づき、特別図柄や演出図柄の変動表示結果を「大当り」とするか否かを、その変動表示結果が導出表示される前に決定(事前決定)する特別図柄通常処理を実行する。つまり、CPUは、特図ゲームの変動表示を開始するときに、始動入賞が発生したときに記憶した乱数値に基づいて、当該変動表示の表示結果として大当り表示結果を導出表示するか否かを決定(抽選)する処理を実行する。
【0052】
次いで、変動パターンを複数種類のいずれかに決定する変動パターン設定処理、特別図柄を変動させるための設定や特別図柄が変動を開始してからの経過時間を計測する処理を行う特別図柄変動処理、特別図柄の変動を停止させて確定特別図柄を停止表示(導出)させるための設定を行う特別図柄停止処理を行う。また、変動表示結果が「大当り」となった場合は、大当り遊技状態において大入賞口を開閉させる処理を行う大当り開放前処理、大当り開放中処理、大当り開放後処理、大当り終了処理を行う。
【0053】
次に、遊技盤を構成する盤面板2について説明する。盤面板2の遊技盤面2aにおける遊技領域10には、前述した各種入賞口を形成する部材の他、遊技球Pの流下方向や速度を変化させる風車、演出用構造物及び多数の障害釘200が設けられている。例えば、
図2に示すように、普通入賞球ユニット6の左右側方には、複数の障害釘200が互いに近接して並設されており、これら普通入賞球ユニット6の左右側方における複数の障害釘200によって誘導釘が構成されている。この誘導釘は、左右側方から中央の普通入賞球ユニット6に向けてそれぞれ下方に傾斜するように並設され、普通入賞球装置6Aの第1始動入賞口や普通可変入賞球装置6Bの第2始動入賞口に向けて遊技球Pを誘導する。
【0054】
障害釘200は、例えば、真鍮材からなり、
図6及び
図9に示すように、直径φ1が約1.85mm(φ1=約1.85mm)の円柱状の胴部200a(本体部とも言う)と、該胴部200aの一端側に形成される直径Sφ2が約4.2mm(Sφ2=約4.2mm)の球面状の頭部200b(釘笠とも言う)と、から構成される。障害釘200は、盤面板2に予め形成される孔部2dに機械により打設されることにより遊技盤面2aに対し立設され、立設された状態において、遊技盤面2aから頭部200bまでの長さL1が約16.8mm(L1=約16.8mm)とされている。また、胴部200aの他端側にはネジ溝200cが形成されている。このネジ溝200cによって、孔部2d内に挿入された胴部200aと孔部2dの内周面との間に生じる摩擦力により障害釘200が盤面板2から抜け落ちることが防止されている。
【0055】
また、障害釘200を打設するための孔部2dは、
図6に示すように、遊技盤面2aに対して直交する垂線Tに対し、上方に向けて角度θ(θ=約4度)傾斜して形成される。よって、障害釘200も垂線Tに対して頭部200b側が上方に向けて約4度傾斜して立設されるため、障害釘200に衝突した遊技球Pが極力盤面板2側に跳ね返るようにしている。
【0056】
このような多数の障害釘200は、パチンコ遊技機1の製造工程において、遊技盤面2aにおける予め定められた位置に各々設けられる。ここで、パチンコ遊技機1の製造工程における遊技盤の製造工程についての大まかな流れを説明すると、先ず、盤面板2を構成する所定の大きさのベニヤ板に、ルータなどにより切削や穴あけ加工を施して所定の形状とした後、遊技盤面2aにセルシートを貼付する。次いで、障害釘や風車などの打ち込み作業時の位置ずれを減らすために、盤面板2のゲージに応じて成形された金属製のゲージ板(図示略)により、ベニヤ板に下穴を加工する作業を行う(工程S1)。遊技盤面2aに下穴を形成する作業が終了したら、釘打ち機(図示略)にて下穴に障害釘200を打ち込む作業を行う(工程S2)。
【0057】
障害釘200の打ち込み作業が終了したら、釘検査装置(図示略)にて、障害釘200の有無、基準位置に対する位置ずれ、釘曲り、錆、変色などを検査する作業を行う(工程S3)。そして、障害釘整備装置(図示略)や障害釘整備用工具(図示略)等にて障害釘200を整備する作業を行う(工程S4)。
【0058】
次いで、ガイドレール2bや風車を遊技盤面2aに形成された下穴を利用して取付けた後、障害釘200が正しく打ち込まれているか否かを再度確認する(工程S5)。異常がなければ、センター飾り枠51や普通入賞球ユニット6等の遊技用部材を盤面板2に取付けた後、パチンコ遊技機1の遊技機用枠3に組付けられる(工程S6)。尚、工程S5において異常があれば、工程S4の整備を再度行う。最後に、完成したパチンコ遊技機1は梱包されて出荷される(工程S7)。
【0059】
尚、工程S4では、工程S3において修正が必要な障害釘の整備だけでなく、命釘204など遊技球Pを入賞口へ誘導する障害釘200の傾斜角度を整備する作業等が含まれる。この整備作業は、例えば、命釘204を構成する左右一対の障害釘200,200において、遊技球Pと同一の直径を有する先端部301を備えた所謂ゲージ棒300を用いて、胴部200a,200a間を先端部301が通過する状況を確認しながら、好適な左右方向の傾き(開き角度)に整備する作業が含まれる。尚、この整備作業の詳細については後述する。
【0060】
このように盤面板2には、上記工程S2において多数の障害釘200が打ち込まれるが、盤面板2には、前述したような第1孔部2cや第2孔部2eまたは切欠部(図示略)等があり、このような第1孔部2cや第2孔部2eに近接する位置に障害釘200を設けると、打ち込みの衝撃、あるいは使用時において遊技球Pが障害釘200に接触したときの衝撃により、盤面板2が割れたりひびが入るなど破損しやすくなるという問題がある。よって、これら障害釘200は、第1孔部2cや第2孔部2eからの離間寸法が所定寸法未満とならないように、言い換えると、第1孔部2cや第2孔部2eから少なくとも所定寸法以上離れた位置に設けるようにしている。
【0061】
また、盤面板2には、上記工程S6において第1孔部2cや第2孔部2eにセンター飾り枠51や普通入賞球ユニット6が取付けられる。これらセンター飾り枠51や普通入賞球ユニット6は、盤面板2に取付けられた状態において遊技盤面2aにおける第1孔部2cや第2孔部2eの周囲に配置されるフランジ部51aやフランジ部6cを有する。このようなフランジ部51aやフランジ部6cに近接する位置に障害釘200を設けると、後述するゲージ棒300を用いた整備を阻害する虞がある。よって、これら障害釘200は、フランジ部51aやフランジ部6cからの離間寸法が所定寸法未満とならないように、言い換えると、フランジ部51aやフランジ部6cから少なくとも所定寸法以上離れた位置に設けるようにしている。
【0062】
本実施例では、盤面板2に打ち込まれる多数の障害釘200は、以下に説明する第1釘領域601,602,701,702に設けられる第1障害釘と、第1釘領域601,602,701,702外に設けられる第2障害釘と、を有し、特に第1障害釘は、フランジ部51aやフランジ部6cからの離間寸法が所定寸法未満とならない位置に設けるようにしている。
【0063】
図2に示すように、遊技盤面2aにおけるフランジ部51aの周囲には、第1釘領域601(
図2においてフランジ部51aの周縁と1点鎖線とで囲まれる領域)が定められている。フランジ部51aの周縁から第1釘領域601の周縁までの幅寸法E1は、遊技球Pの直径Sφと同寸である約11mm(Sφ=E1=約11mm)とされている。本実施例では、第1釘領域601内に、胴部200aの中心軸と遊技盤面2aとの交点である基準点S(
図6参照)が配置されている障害釘200をフランジ部51aに対する第1障害釘とし、第1釘領域601外に基準点Sが配置されている障害釘200をフランジ部51aに対する第2障害釘としている。
【0064】
また、遊技盤面2aにおけるフランジ部6cの周囲には、第1釘領域602(
図2においてフランジ部6cの周縁と1点鎖線とで囲まれる領域)が定められている。フランジ部6cから第1釘領域602の周縁までの幅寸法E2は、遊技球Pの直径Sφと同寸、すなわち、幅寸法E1と同寸である約11mm(Sφ=E1=E2=約11mm)とされている。本実施例では、第1釘領域602内に基準点Sが配置されている障害釘200をフランジ部6cに対する第1障害釘とし、第1釘領域602外に基準点Sが配置されている障害釘200をフランジ部6cに対する第2障害釘としている。
【0065】
図3に示すように、遊技盤面2aにおける第1孔部2cの周囲には、第1釘領域701(
図3において第1孔部2cの周縁と1点鎖線とで囲まれる領域)が定められている。第1孔部2cの周縁から第1釘領域701の周縁までの幅寸法J1は、遊技球Pの直径Sφと同寸である約11mm(Sφ=J1=約11mm)とされている。本実施例では、第1釘領域701内に基準点Sが配置されている障害釘200を第1孔部2cに対する第1障害釘とし、第1釘領域701外に基準点Sが配置されている障害釘200を第1孔部2cに対する第2障害釘としている。
【0066】
また、遊技盤面2aにおける第2孔部2eの周囲には、第1釘領域702(
図3において第2孔部2eの周縁と1点鎖線とで囲まれる領域)が定められている。第2孔部2eから第1釘領域702の周縁までの幅寸法J2は、遊技球Pの直径Sφと同寸、すなわち、幅寸法J1と同寸である約11mm(Sφ=J1=J2=約11mm)とされている。本実施例では、第1釘領域702内に前述した基準点Sが配置されている障害釘200を第2孔部2eに対する第1障害釘とし、第1釘領域702外に前述した基準点Sが配置されている障害釘200を第2孔部2eに対する第2障害釘としている。
【0067】
尚、
図2及び
図3に示すように、センター飾り枠51のフランジ部51aの周縁下部と普通入賞球ユニット6のフランジ部6cの周縁上部との間に設けられた命釘204を構成する左右一対の障害釘200,200は、フランジ部51a、フランジ部6c、第1孔部2c及び第2孔部2e各々に対する第1障害釘、つまり、フランジ部51a、フランジ部6cや第1孔部2c、第2孔部2eから遊技球Pの直径以下分の範囲内の周辺領域に設けられる第1障害釘とされている。
【0068】
次に、盤面板2を基準とした場合に、遊技盤面2aにおいて障害釘200を設けることを禁止するために定めた領域について説明する。
図2及び
図6に示すように、遊技盤面2aにおけるセンター飾り枠51のフランジ部51aの周囲は、障害釘200の中心軸と遊技盤面2aとの交点である基準点Sが配置されることを禁止する釘打ち禁止領域401(
図2において斜線で示される領域)としている。フランジ部51aの周縁から釘打ち禁止領域401の周縁までの幅寸法P1は、約5.0mm(P1=約5.0mm)とされている。尚、本実施例におけるフランジ部51aの板厚(前後幅寸法)は、約2.0mmに形成されている。
【0069】
また、遊技盤面2aにおけるフランジ部6cの周囲は、障害釘200の中心軸と遊技盤面2aとの交点である基準点Sが配置されることを禁止する釘打ち禁止領域402(
図2において斜線で示される領域)としている。フランジ部6cの周縁から釘打ち禁止領域402の周縁までの幅寸法P2は、幅寸法P1よりも短寸である約4.0mm(P1>P2,P2=約4.0mm)とされている。尚、本実施例におけるフランジ部6cの板厚(前後幅寸法)は、約2.0mmに形成されている。
【0070】
図3及び
図6に示すように、遊技盤面2aにおける第1孔部2cの周囲は、障害釘200の基準点Sが配置されることを禁止する釘打ち禁止領域501(
図3において斜線で示される領域)としている。第1孔部2cの周縁から釘打ち禁止領域501の周縁まで幅寸法R1は、約5.0mm(R1=約5.0mm)とされている。
【0071】
また、遊技盤面2aにおける第2孔部2eの周囲は、障害釘200の中心軸と遊技盤面2aとの交点である基準点Sが配置されることを禁止する釘打ち禁止領域502(
図3において斜線で示される領域)としている。第2孔部2eの周縁から釘打ち禁止領域502の周縁までの幅寸法R2は、幅寸法R1よりも長寸である約6.0mm(R2=約6.0mm)とされている。
【0072】
よって、
図4〜
図6に示すように、命釘204を構成する左右一対の障害釘200,200は、胴部200aの中心軸と遊技盤面2aとの交点を基準点Sとした場合に、フランジ部51a及びフランジ部6cの周縁から基準点Sまでの離間寸法と、第1孔部2c及び第2孔部2eの周縁から基準点Sまでの離間寸法とが、各々遊技球Pの直径Sφよりも短寸となる第1釘領域601,602,701,702に設けられる第1障害釘であって、釘打ち禁止領域401,402及び釘打ち禁止領域501,502外に基準点Sが配置されるように設けられている。つまり、命釘204は、基準点Sが釘打ち禁止領域401,501の下方位置で、かつ、釘打ち禁止領域402,502の上方位置に配置されるように設けられている。
【0073】
次に、命釘204を構成する障害釘200を一例として、障害釘200を基準とした場合に、フランジ部51a及びフランジ部6cや第1孔部2c及び第2孔部2eからの離間寸法が所定寸法未満とならない位置に障害釘200を設けるために定める領域について説明する。
【0074】
図4(A)及び
図6に示すように、フランジ部51a及びフランジ部6cに対しては、命釘204を構成する障害釘200の周囲に、フランジ部51a及びフランジ部6cと正面視において交差しない略円形の非交差領域Gが定められている。この非交差領域Gにおいて、
図4(B)に示すように、基準点Sから周縁上部までの幅寸法D1は、釘打ち禁止領域401におけるフランジ部51aの周縁からの幅寸法P1と同一である約5.0mm(D1=P1、D1=約5.0mm)とされている。また、基準点Sから周縁下部までの幅寸法D2は、釘打ち禁止領域402におけるフランジ部6cからの幅寸法P2と同一であり、幅寸法D1よりも短寸である約4.0mm(D2=P2、D1>D2、D2=約4.0mm)が定められている。
【0075】
また、基準点Sから非交差領域Gの周縁右部までの幅寸法及び基準点Sから非交差領域Gの周縁左部までの幅寸法D3は、障害釘200がフランジ部6cの左右側方に立設された場合(
図4(A)に示す障害釘200’)に、該フランジ部6cと非交差領域Gとが正面視において交差しないように、幅寸法D1よりも短寸で、かつ、幅寸法D2よりも長寸である約4.5mm(D3=約4.5mm)とされている。
【0076】
このように非交差領域Gは、基準点Sの上部側が、上下幅寸法(長径の長さ)が約10.0mm(D1×2)であり左右幅寸法(短径)の長さが約9.0mm(D3×2)である楕円の上半分の形状に形成され、基準点Sの下部側が、上下幅寸法(短径の長さ)が約8.0mm(D2×2)であり左右幅寸法(短径の長さ)が約9.0mm(D3×2)である楕円の下半分の形状に形成されている。
【0077】
すなわち、
図4(A)に示すように、命釘204を構成する障害釘200は、基準点Sが釘打ち禁止領域401,402外に配置される位置に設けられているので、非交差領域Gはフランジ部51aやフランジ部6cと正面視において交差しないが、基準点Sが釘打ち禁止領域401,402内に配置される位置に設けると、非交差領域Gはフランジ部51aやフランジ部6cと正面視において交差することになる。
【0078】
図5(A)に示すように、第1孔部2c及び第2孔部2eに対しては、命釘204を構成する障害釘200,200の周囲に、第1孔部2c及び第2孔部2eと正面視において交差しない略円形の非交差領域Fが定められている。この非交差領域Fにおいて、
図5(B)に示すように、基準点Sから非交差領域Fの周縁上部までの幅寸法H1は、釘打ち禁止領域402における第1孔部2cの周縁からの幅寸法R1と同一である約5.0mm(H1=R1、H1=約5.0mm)とされており、基準点Sから周縁下部までの幅寸法H2は、釘打ち禁止領域502における第2孔部2eの周縁からの幅寸法R2と同一であり幅寸法H1よりも長寸である約6.0mm(H2=R2、H2>H1、H2=約6.0mm)とされている。
【0079】
また、基準点Sから非交差領域Fの周縁右部までの幅寸法及び基準点Sから非交差領域Fの周縁左部までの幅寸法H3は、障害釘200が第2孔部2eの左右側方に立設された場合(
図5(A)に示す障害釘200’)に、該第2孔部2eと非交差領域Fとが正面視において交差しないように、幅寸法H1よりも長寸で、かつ、幅寸法H2よりも短寸である約5.5mm(H3=約5.5mm)とされている。
【0080】
このように非交差領域Fは、基準点Sの上部側が、上下幅寸法(短径の長さ)が約10.0mm(H1×2)であり左右幅寸法(長径)の長さが約11.0mm(H3×2)である楕円の上半分の形状に形成されており、基準点S下部側が、上下幅寸法(長径の長さ)が約12.0mm(H2×2)であり左右幅寸法(長径の長さ)が約11.0mm(H3×2)である楕円の下半分の形状に形成されている。
【0081】
すなわち、
図5(A)に示すように、命釘204を構成する障害釘200は、基準点Sが釘打ち禁止領域501,502外に配置される位置に設けられているので、非交差領域Fが第1孔部2cや第2孔部2eと正面視において交差しないが、基準点Sが釘打ち禁止領域501,502内に配置される位置に設けると、非交差領域Fは第1孔部2cや第2孔部2eと正面視において交差することになる。
【0082】
ここで、
図6(A)(B)に示すように、命釘204を構成する障害釘200は、前述したように、遊技盤面2aに対して直交する垂線Tに対し頭部200b側を上方に向けて角度θ(θ=約4度)傾斜するように盤面板2に打ち込まれる。
【0083】
よって、例えば、
図7に示すように、命釘204を構成する障害釘200を下方のフランジ部6cに対し極力近づけて設ける場合、つまり、フランジ部6cの上方側の位置に設ける場合、フランジ部6cから障害釘200の基準点Sまでの離間寸法が幅寸法D2(約4.0mm)未満とならないように設けることで、基準点Sは釘打ち禁止領域402外に配置される。また、上方のフランジ部51aに対し極力近づけて設ける場合、つまり、フランジ部51aの下方側の位置では、フランジ部51aから障害釘200の基準点Sまでの離間寸法が幅寸法D2よりも長寸の幅寸法D1(約5.0mm)未満とならないように設けることで、基準点Sは釘打ち禁止領域401外に配置される。すなわち、障害釘200を上方のフランジ部51aに対し近づけて設ける場合、下方のフランジ部6cに対し近づけて設ける場合よりも離間寸法を大きくする必要がある。この理由について、
図10〜
図13に基づいて説明する。
【0084】
図10(A)〜
図10(C)に示すように、前述したパチンコ遊技機1の製造工程における工程S4において実施する整備作業では、整備用工具を用いて命釘204を構成する左右の障害釘200,200の左右方向の傾斜角度を整備した後、ゲージ棒300の先端部301を遊技盤面2aに摺接させたまま、左右の障害釘200,200の上方から下方に移動させて胴部200a,200a間を通過させ、左右の障害釘200,200の基部側を遊技球Pが通過可能か否か及び左右方向の傾斜角度が最適な角度に整備されたか否かを確認する。このとき、フランジ部51aやフランジ部6cが障害釘200,200に近接していると、フランジ部51aやフランジ部6cによりゲージ棒300の先端部301が遊技盤面2aから離間されてしまうので、ゲージ棒300の先端部301を左右の障害釘200,200の基部側を通過させることができなくなる。
【0085】
以下、上記整備方法を具体的に説明すると、まず、先端部301を胴部200a,200a間に向けて移動させる過程においては、
図10(A)〜
図10(C)に示すように、左右の障害釘200,200の基準点Sとフランジ部51aとの間が幅寸法D1よりも長寸となるように(非交差領域Gがフランジ部51aに交差しないように)左右の障害釘200,200が立設されていることで、先端部301は、該先端部301の中心Mが左右の障害釘200,200の基準点Sを結ぶ直線Nを通過する前にフランジ部51aから逸脱し、遊技盤面2aと摺接する。よって、先端部301の中心Mは、該先端部301が遊技盤面2aに摺接している状態で直線Nを通過する。
【0086】
このように、左右の障害釘200,200の基準点Sとフランジ部51aとの間が幅寸法D1よりも長寸となっていることにより、ゲージ棒300の先端部301の中心Mが遊技盤面2aと摺接した状態で直線Nを通過するので、フランジ部51aに阻害されること無く、遊技球Pが障害釘200,200における胴部200aの基部側を通過することができるかを確認できる。
【0087】
一方、
図11(A)〜
図11(C)に示すように、左右の障害釘200,200の基準点Sとフランジ部51aとの間が幅寸法D1よりも短寸となるように(非交差領域Gがフランジ部51aに交差するように)左右の障害釘200,200が立設された場合、先端部301は、該先端部301の中心Mが直線Nを通過した後に遊技盤面2aと摺接する。つまり、中心Mが直線Nを通過するときは遊技盤面2aから離間しているため、障害釘200,200の基部側を遊技球Pが通過することができるか否かを確認することが困難となる。
【0088】
また、
図12(A)〜
図12(C)に示すように、左右の障害釘200,200の基準点Sとフランジ部6cとの間の幅寸法D2よりも長寸となるように(非交差領域Gがフランジ部6cに交差しないように)左右の障害釘200,200が立設されることで、先端部301は、該先端部301の中心Mが左右の障害釘200,200の基準点Sを結ぶ直線Nを通過した後に遊技盤面2aから逸脱し、フランジ部6cの前面と摺接する。
【0089】
このように、左右の障害釘200,200の基準点Sとフランジ部6cとの間が幅寸法D2よりも長寸となっていることにより、ゲージ棒300の先端部301の中心Mが遊技盤面2aと摺接した状態で直線Nを通過させることができるので、フランジ部6cに阻害されること無く、遊技球Pが障害釘200,200における胴部200aの基部側を通過することができるかを確認できる。
【0090】
一方、
図13(A)〜
図13(C)に示すように、左右の障害釘200,200の基準点Sとフランジ部6cとの間が幅寸法D2よりも短寸となるように(非交差領域Gがフランジ部6cに交差するように)左右の障害釘200,200が立設される場合、先端部301は、該先端部301の中心Mが直線Nを通過するよりも前にフランジ部6cの前面と摺接する。つまり、中心Mが直線Nを通過するときは遊技盤面2aから離間しているため、障害釘200,200の基部側を遊技球Pが通過することができるか否かを確認することが困難となる。
【0091】
このように、非交差領域Gがフランジ部51a及びフランジ部6cと交差しないように複数の障害釘200を遊技盤面2aに立設させることにより、これら障害釘200の整備時に障害釘200とフランジ部51a及びフランジ部6cとの間に十分な離間寸法が確保されるので、上述したようにゲージ棒300を用いて障害釘200を整備する際に、所定の板厚を有するフランジ部51a及びフランジ部6cにより、先端部301を遊技盤面2aに沿って移動させることが阻害されることを防止できる。
【0092】
また、
図6(A)(B)に示すように、命釘204を構成する障害釘200は、遊技盤面2aに対して直交する垂線Tに対し頭部200b側を上方に向けて角度θ(θ=約4度)傾斜するように盤面板2に打ち込まれることで、盤面板2内において胴部200aにおける基準点Sより後方部分は第2孔部2e側に入り込んでいる。
【0093】
よって、例えば、
図8に示すように、命釘204を構成する障害釘200を上方の第1孔部2cに対し極力近づけて設ける場合、つまり、第1孔部2cの下方側の位置に設ける場合、第1孔部2cから障害釘200の基準点Sまでの離間寸法が幅寸法H1(約5.0mm)未満とならないように設けることで、基準点Sは釘打ち禁止領域501外に配置される。また、下方の第2孔部2eに対し極力近づけて設ける場合、つまり、第2孔部2eの上方側の位置では、第2孔部2eから障害釘200の基準点Sまでの離間寸法が幅寸法H1よりも長寸の幅寸法H2(約6.0mm)未満とならないように設けることで、基準点Sは釘打ち禁止領域502外に配置される。
【0094】
すなわち、障害釘200を下方の第2孔部2eに対し近づけて設ける場合、胴部200aにおける基準点Sより後方部分が基準点Sよりも下方に入り込んでいるため、基準点Sから第2孔部2eまでの離間寸法を基準点Sから第1孔部2cまでの離間寸法と同じにすると、盤面板2の内部では、第2孔部2eに対し第1孔部2cより近づいてしまい、これによりひびが入ったり割れたりする可能性が高くなってしまう。よって、下方の第2孔部2eに対し近づけて設ける場合、上方の第1孔部2cに対し近づけて設ける場合よりも離間寸法を大きくすることで、障害釘200を安全に打ち込むことができる。
【0095】
以上説明したように、本発明の実施例におけるパチンコ遊技機1にあっては、遊技盤面2aに対して複数の障害釘200が頭部200b側において上方に向けて約4度傾斜して立設されることにより、これら複数の障害釘200において盤面板2に打ち込まれた部分、つまり、基準点Sより後方部分は基準点Sより下方に入り込むとともに、第2孔部2eの上方位置に立設される障害釘200は、該第2孔部2eの周縁から少なくとも約6.0mm以上離間して立設されることで、第2孔部2eと該第2孔部2eの上方にて立設された障害釘200の盤面板2内側先周縁との間に十分な離間寸法を確保することができるため、盤面板2を破損することなく障害釘200を好適に設けることができる。
【0096】
また、基準点Sから非交差領域Fの周縁右部までの幅寸法及び基準点Sから非交差領域Fの周縁左部までの幅寸法H3を幅寸法H1よりも長寸、かつ、幅寸法H2よりも短寸である約5.5mmとする。つまり、第2孔部2eの左右方向側の位置では、障害釘200(
図5(A)に示す障害釘200’)は、第2孔部2eからの基準点Sまでの離間寸法が、幅寸法H1より長寸で、かつ、幅寸法H2よりも短寸の第3寸法未満とならないように第2孔部2eの左右側方に立設されることで、障害釘200’と第2孔部2eとの間に十分な離間寸法を確保することができるので、盤面板2を破損することなく障害釘200を好適に設けることができる。
【0097】
また、遊技盤面2aに対して複数の障害釘200が頭部200b側において上方に向けて約4度傾斜して立設されることにより、これら複数の障害釘200において盤面板2から突出した部分は基準点Sよりも上方を向くとともに、構造物としてのセンター飾り枠51のフランジ部51aの下方位置に立設される障害釘200は、該フランジ部51aの周縁から約5.0mm以上離間して立設されることで、フランジ部51aと該フランジ部51aの下方側に立設される障害釘200との間に十分な離間寸法を確保することができるため、フランジ部51aの下方側に設けられた障害釘200の整備を行う際に、障害釘200の整備がフランジ部51aによって阻害され難くすることができる。
【0098】
また、基準点Sから非交差領域Gの周縁右部までの長さ及び基準点Sから非交差領域Gの周縁左部までの幅寸法D3を幅寸法D1よりも短寸、かつ、幅寸法D2よりも長寸である約4.5mmとする。つまり、フランジ部6cの左右側の位置では、障害釘200(
図4(A)に示す障害釘200’)は、フランジ部6cから基準点Sまでの離間寸法が、幅寸法D2より長寸で、かつ、幅寸法D1よりも短寸の第3寸法未満とならないように立設されることで、障害釘200’とフランジ部6cとの間に十分な離間寸法を確保することができるので、フランジ部51aの左右側方に設けられた障害釘200の整備を行う際に、障害釘200の整備がフランジ部6cによって阻害され難くすることができる。
【0099】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0100】
例えば、前記実施例では、非交差領域Gにおける基準点Sから周縁右部までの幅寸法及び基準点Sから周縁左部までの幅寸法D3を、非交差領域Gにおける基準点Sから周縁上部までの幅寸法D1よりも短寸、かつ、非交差領域Gにおける基準点Sから周縁下部までの幅寸法D2よりも長寸とする形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、非交差領域Gにおける基準点Sから周縁右部までの幅寸法及び基準点Sから周縁左部までの幅寸法D3を、非交差領域Gにおける基準点Sから周縁上部までの幅寸法D1よりも長寸、または非交差領域Gにおける基準点Sから周縁下部までの幅寸法D2よりも短寸としてもよい。
【0101】
また、前記実施例では、センター飾り枠51のフランジ部51a及び普通入賞球ユニット6のフランジ部6cと正面視において交差しないように障害釘200を設けるための非交差領域Gと、第1孔部2c及び第2孔部2eと正面視において交差しないように障害釘200を設けるための非交差領域Fとを定める形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、非交差領域Gと非交差領域Fとのうちいずれか一方のみを定めてもよい。
【0102】
また、前記実施例では、非交差領域Fにおける基準点Sから周縁上部までの幅寸法H1を約5.0mm、非交差領域Fにおける基準点Sから周縁下部までの幅寸法H2を約6.0mmとする形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、幅寸法H1及び幅寸法H2は、幅寸法H2が幅寸法H1よりも長寸であれば、幅寸法H1及び幅寸法H2は種々に変更可能である。尚、幅寸法H1及び幅寸法H2は、障害釘200の垂線Tに対する傾斜角度、障害釘200の打ち込み長さに応じて変更することが好ましい。また、盤面板2の前後幅寸法(板厚)を前記実施例の盤面板2の前後幅寸法よりも長寸とする場合は、幅寸法H1及び幅寸法H2を前記実施例よりも短寸(例えば、幅寸法H1を約4.0mm、H2を約5.0mm)としてもよい。
【0103】
また、前記実施例では、盤面板2をベニヤ板等の木材にて形成する形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、盤面板2をアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、メタクリル樹脂等の透光性を有する合成樹脂材にて形成するようにしてもよい。また、このように盤面板2を、前記実施例のようなベニヤ板等の木材よりも材料の粘り強さ(材料の中で亀裂が発生しにくく、かつ、伝播しにくい性質)である靱性や強度の低い材料(例えば、合成樹脂材等)、つまり、障害釘200を打設する際に亀裂、破壊、変形、強度低下等が生じやすい材料にて形成する場合は、非交差領域Fにおける基準点Sから該非交差領域Fの周縁下部までの幅寸法H2を、前記実施例よりも長寸(例えば、前記実施例の約6.0mmよりも長寸である約7.0mm)とし、第2孔部2eの上方に立設された障害釘200と第2孔部2eとの間に十分な離間寸法を確保することで、盤面板2を破損することなく障害釘200を好適に設けることができる。尚、ベニヤ板等の木材よりも靱性や強度の低い材料としては、合成樹脂材等の異なる材料に限定されるものではなく、同じ木材でも靱性や強度が低い異なる種類の木材であってもよい。
【0104】
また、前記実施例では、盤面板2の板厚寸法を約10.0mmに形成する形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、盤面板2の板厚寸法は、該10.0mmよりも長寸または短寸に形成してもよい。特に盤面板2の板厚寸法を10.0mmよりも短寸とする場合(例えば、約9.0mm)は、障害釘200,200における基準点Sから第2孔部2eの周縁までの離間寸法を、本実施例における約6.0mm以上よりも長寸である約7.0mm以上等に形成することにより、盤面板2の板厚寸法が肉薄である場合であっても、第2孔部2eの上方側に設けられた命釘204としての障害釘200,200と第2孔部2eとの間に十分な離間寸法を確保することで、盤面板2を破損することなく障害釘200を好適に設けることができる。
【0105】
また、前記実施例では、フランジ部51a及びフランジ部6cの板厚寸法を約2.0mmに形成する形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、フランジ部51a及びフランジ部6cの板厚寸法は、該2.0mmよりも長寸または短寸に形成してもよい。また、フランジ部51aの板厚寸法を2.0mmよりも長寸とする場合(例えば、約3.0mm)は、障害釘200における基準点Sからフランジ部51aの周縁下部までの離間寸法を、本実施例における約5.0mm以上よりも長寸である約6.0mm以上等に形成することにより、フランジ部51aの板厚寸法が肉厚である場合であっても、フランジ部51aの下方側に設けられた障害釘200とフランジ部51aとの間に十分な離間寸法を確保することができるので、命釘204としての障害釘200の整備を行う際にフランジ部51aによって作業が阻害され難くすることができる。
【0106】
また、前記実施例では、非交差領域Gにおける基準点Sから周縁上部までの幅寸法D1を約5.0mm、非交差領域Gにおける基準点Sから周縁下部までの幅寸法D2を約6.0mmとする形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、幅寸法D1及び幅寸法D2は、幅寸法D1が幅寸法D2よりも長寸であれば、任意の長さとしてよい。また、フランジ部51aやフランジ部6cの前後幅寸法(板厚)を前記実施例のフランジ部51aやフランジ部6cの前後幅寸法(板厚)よりも長寸とする場合は、幅寸法D1及び幅寸法D2を前記実施例よりも長寸(例えば、D1を約6.0mm、D2を約7.0mm)とすることが好ましい。
【0107】
また、前記実施例では、遊技盤面2aに対して直交する垂線Tに対し、頭部200b側が上方に向けて約4度傾斜するように障害釘200を遊技盤面2aに立設させる形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、遊技盤面2aに対して直交する垂線Tに対して頭部200b側が下方に向けて約4度傾斜するように障害釘200を遊技盤面2aに立設させるようにしてもよいし、垂線Tに対して頭部200b側が左右方向や斜め方向に傾斜するように障害釘200を遊技盤面2aに立設させるようにしてもよい。
【0108】
また、前記実施例では、盤面板2に形成された第1孔部2cや第2孔部2eといった孔部に非交差領域Fが交差しないように遊技盤面2aに複数の障害釘200を立設させる形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、孔部に替えて盤面板2の周縁や該周縁に形成された切欠部に非交差領域Fが交差しないように遊技盤面2aに複数の障害釘200を立設するようにしてもよい。
【0109】
また、前記実施例では、盤面板2に形成された第1孔部2cや第2孔部2eといった孔部に非交差領域Fが交差しないように遊技盤面2aに複数の障害釘200を立設させる形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、盤面板2の遊技盤面2aや該盤面板2の背面に凹部や溝部が形成されている場合、これら凹部や溝部に非交差領域Fが交差しないように遊技盤面2aに複数の障害釘200を立設するようにしてもよい。
【0110】
また、前記実施例では、第1障害釘における遊技盤面2aとの交差位置として、障害釘200の中心軸と遊技盤面2aとの交点である基準点Sを示す形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明における交差位置として、例えば、これら障害釘200の胴部200aの周面における遊技盤面2aとの交点等、障害釘200の中心軸と遊技盤面2aとの交点以外の位置を定めてもよい。
【0111】
また、前記実施例では、構造物としてのセンター飾り枠51や普通入賞球ユニット6を盤面板2に設け、これらセンター飾り枠51のフランジ部51aや普通入賞球ユニット6のフランジ部6cに非交差領域Gが交差しないように障害釘200を立設させる形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明における構造物としては、遊技球Pの流下方向や速度を変化させる風車等、センター飾り枠51や普通入賞球ユニット6以外のものを含めるようにしてもよい。尚、このように遊技球Pの流下方向や速度を変化させる風車を本発明における構造物に含める場合は、非交差領域Gが正面視で該風車と交差しないように障害釘200を遊技盤面2aに立設させればよい。