【実施例1】
【0022】
本発明の具体的な実施例1について
図1〜
図6に基づいて説明する。
【0023】
本実施例は、本発明をハゼ式折板屋根1用のソーラーパネル取付金具に適用したもので、
図1に示すように、折板屋根1のハゼ部2に固定可能な金具本体3の上部に、屋根用設置物4としてのソーラーパネル4(以下、本実施例では、屋根用設置物4をソーラーパネル4と称す。)の外周縁部を載置可能な載置部16を設けると共に、この載置部16に載置したソーラーパネル4を固定するための固定ボルト5を立設状態に設けている。尚、金具本体3は、折板屋根1用に限らず、立平葺き屋根用や他のハゼ部2を具備する屋根用にも設計変更可能である。
【0024】
また、本実施例の金具本体3は、上部に前記固定ボルト5と載置部16を備えた連結部材6と、この連結部材6に左右対向状態で揺動接離自在に連結されて前記ハゼ部2を挟持する左右一対の挟持部材7とから成る三パーツ構造としている。
【0025】
具体的には、本実施例の連結部材6は、
図1,
図2に示すように、略水平方向に面方向を有すると共に、金具本体3の前後方向に長さを有する略長方形状の板材で構成して、この板材の上面部を前記載置部16としている。
【0026】
また、この連結部材6は、その中心部にボルト取付孔18を上下貫通状態に設け、このボルト取付孔18に連結部材6の下方から六角ボルトを採用した固定ボルト5のボルト先端を挿通し、連結部材6の上方へ突出するこの固定ボルト5のボルト先端に取付ナット19を螺着することにより固定ボルト5を落下防止状態で立設状態に固定した構成としている。
【0027】
また、本実施例では、この固定ボルト5が取付けられる連結部材6の中心部を除いた連結部材6の前後の上面部を前記載置部16とすると共に、この前後の載置部16は、夫々の外周縁部を下方へ折曲することにより補強して(折曲補強板部35を設けて)、ソーラーパネル4の載置可能強度を確保した構成としている。
【0028】
また、この連結部材6には、前記ボルト取付孔18の左右両側に切り込みを形成し、この左右の切り込みを上方からプレスすることによって連結部材6の下面側に突出する回り止め突起20を形成し、この左右の回り止め突起20が、ボルト取付孔18に挿通した前記固定ボルト5の頭部の対向二側面に当接若しくは近接して固定ボルト5を回り止めする構成としている(
図3〜
図5参照)。即ち、回り止めされた固定ボルト5に対して、前記取付ナット19並びに後述する押え込みナット33の回動締緩操作を容易に行えるようにしている。
【0029】
また、この連結部材6は、前記前後の載置部16に、前後対称形状にして平面視略C状の切り込みを形成し、この各C状切り込みの内側部分を下方へ折曲垂下させると共に、この前後の垂下板片の左右端部が舌片状となるように前記切り込みの形状を設定して、この前後の垂下板片の左右の舌片状端部を、後述する挟持部材7の挿入部15に挿入連結するための連結片14としている。
【0030】
また、この連結部材6は、前記ボルト取付孔18の左右位置を平面視略方形状に切欠形成して、この左右の切欠部21を、前記左右の挟持部材7の一部が収容配設される収容部21とし、更にこの左右の収納部21の内側に存するストレート縁部を、後述する挟持部材7の当接支点部11を支持する支持部10としている。
【0031】
本実施例の挟持部材7は、金属製板材を折曲して構成する一対の板材折曲体7で構成し、この挟持部材7同士を前記本体部材6を挟んで左右に対向配設し、この挟持部材7間に各挟持部材7に設けたボルト通し部22を介して締付ボルト8を水平貫通配設し、この締付ボルト8のボルト先端に六角ナットを採用した締付ナット9を螺着することにより、一対の挟持部材7がバラけないように組付けた構成としている。また、この締付ナット9を締付け回動することで各挟持部材7に形成した挟持対向部12を接近移動させて前記ハゼ部2を締め付け挟持し、この挟持作用により金具本体3を屋根1上に固定できるように構成すると共に、この締付ボルト8に螺着された締付ナット9を緩めることにより、一対の挟持部材7を揺動離反させることが可能となる構成としている(
図4,
図5参照)。尚、締付ボルト8を締付け回動することで、前記挟持対向部12の挟持作用を発揮させる構成としても良い。
【0032】
また、この挟持部材7は、前記連結部材6の支持部10に当接可能な当接支点部11の下部に前記ハゼ部2を挟持する挟持対向部12を設けると共に、前記当接支点部11の上部に摘み部13を設けた構成としている。
【0033】
更に具体的には、挟持部材7は、
図2に示すように、金属製板材を折曲して底板部23上に開口側を外側に向けた平面視コ字状のコ字板部24を立上げ折曲形成し、このコ字板部24の中板部25から外方に折曲突出する前板部26と後板部27の先端部を折曲して折り返し補強板部28を設けた構成とし、このコ字板部24の前記中板部25を向い合せて一対の挟持部材7を左右に対向配置し得るようにしている。
【0034】
また、このコ字板部24の対向する前記中板部25の中ほどには、六角ボルトを採用した前記締付ボルト8の螺子部を遊嵌状態に挿通支持可能で且つ頭部は挿通不能な孔径寸法の丸孔を貫通形成してこの貫通孔を前記ボルト通し部22とし、更に、左右いずれか一方の中板部25は、前記ボルト通し部22の上下部を例えばプレスすることによって外方へ膨出させてこの膨出部を回り止め突部29とし、この上下の回り止め突部29が、挟持部材7の対向外側からボルト通し部22に挿通した前記締付ボルト8の頭部の対向二側面に当接若しくは近接して締付ボルト8を回り止めする構成としている。即ち、回り止めされた締付ボルト8に対して、前記締付ナット9の回動締緩操作を容易に行えるようにしている。
【0035】
また、この中板部25のボルト通し部22より下側には、前板部26と後板部27の途中に至る範囲まで開口部30を貫通形成して、このハゼ部2の逃げ口ともなる開口部30の下側に、中板部25の板幅で上下幅をも有する帯板状の前記挟持対向部12を形成している。
【0036】
また、この中板部25の上側前後位置に、前記連結片14を挿脱自在に挿入連結可能な挿入部15として縦長スリット状の挿入孔15を貫通形成して、この挿入孔15に連結片14を挿入連結することにより、前記連結部材6に一対の挟持部材7が左右対向状態で連結される構成としている。
【0037】
また、この挿入孔15は、その上下孔幅を、前記連結片14の上下幅よりもやや幅広な孔形状に形成して、この挿入孔15に前記連結片14を挿入した際の挿入孔15に対する連結片14のスライド横移動並びに上下揺動が許容される構成とし、これにより前記連結部材6に一対の挟持部材7が左右対向状態で揺動接離自在に連結される構成としている。
【0038】
また、この挟持部材7は、前記中板部25の上部前後に帯板状の板片が前後へ延設突出する形状に形成して、この延設片部が前記連結部材6を載置支承する支承部36として機能する構成としている。
【0039】
更にこの挟持部材7は、前記中板部25の上部に略T字状の板片が上方へ延設突出する形状に形成し、この延設板片31は、その基部側の前後幅を、前記収容部21の前後幅より小さい幅寸法に設定して、この延設板片31の基部側(前記中板部25との連設部)を前記収容部21に収容配設し得るように構成すると共に、この延設板片31の基部側の対向内側面を収容部21の前記支持部10に当接可能な当接支点部11とし、この延設板片31の基部側を収容部21に収容すると、延設板片31の延出先端側が載置部16より上方へ突出する構成としている。
【0040】
また、この載置部16より上方へ突出する左右の延設板片31は、その前後の突出部を、対向内側に向けて略直角に折曲することにより平面視コ字状に構成して、このコ字状片部を前記摘み部13としている。
【0041】
また、この左右の摘み部13は、その対向外側面を成人が片手Hの第一指F1(親指)と第二指F2(人差し指)で摘まむことができる対向間隔をもって前記連結部材6に対設可能となるように前記収容部21を設定構成している。
【0042】
そして、この左右の摘み部13を手Hで摘まむことにより左右の摘み部13間の対向間隔を狭めると、前記左右の当接支点部11が前記左右の支持部10に当接し、この当接支点部11を支点に前記左右の挟持対向部12が互いに離反方向に移動して左右の挟持対向部12の対向間隔が拡大する構成としている(
図4参照)。
【0043】
また、本実施例では、左右の摘み部13の夫々の前後に存する折曲片部を、前記載置部16に載置したソーラーパネル4(屋根用設置物4)の外周縁部の外端面を支持して位置決め可能な支持ストッパー17としている。
【0044】
次に、本実施例を用いたソーラーパネル4の取付方法を説明する。
【0045】
予め締付ボルト8を螺着した締付ナット9を緩めて、一対の挟持部材7が揺動離反可能となるようにしておく。
【0046】
作業者が左右一対の挟持部材7の上部に設けた摘み部13を、例えば片手Hの第一指F1と第二指F2で摘んで左右の摘み部13間の対向間隔を狭めると、この摘み部13より下方の当接支点部11が、連結部材6の左右対向位置に設けた支持部10に当接し、この当接支点部11を支点に一対の挟持部材7の下部に設けた挟持対向部12が互いに離反方向に移動して左右の挟持対向部12の対向間隔が拡大することになる(
図4参照)。
【0047】
従って、作業者は片手Hで左右の摘み部13を摘まむだけで左右の挟持対向部12の対向間隔を広げることができ、この片手H操作により左右の挟持対向部12の対向間隔を折板屋根1のハゼ部2の横幅より広くしつつハゼ部2の左右を挟むように金具本体3を移動して折板屋根1上にセットすることができる。
【0048】
続いて、締付ボルト8を螺着した締付ナット9を締付することにより一対の挟持部材7を揺動接近させ左右の挟持対向部12で前記ハゼ部2を挟持固定すると、金具本体3が屋根1上に固定される(
図5参照)。
【0049】
このようにして、折板屋根1上の所定位置に多数の本屋根用設置物取付金具を散在状態に固定する。
【0050】
続いて、二枚のソーラーパネル4の外周縁部を、金具本体3の前側の載置部16と後側の載置部16とに夫々載置して各外周縁部を前記支持ストッパー17に突き当て、前記固定ボルト5に上方から固定部材32を装着し、この固定部材32より上方側の固定ボルト5に押え込みナット33を螺着してこの押え込みナット33を締付操作することにより、固定部材32で載置部16上に載置したソーラーパネル4の外周縁部を上方から押え込み固定する(
図5,
図6参照)。
【0051】
図中符号34は座金、37はソーラーパネル4の配線を結束する結束バンドを挿通するためのバンド挿通孔である。