特許第6207585号(P6207585)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6207585
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】環状ヘルムホルツダンパ
(51)【国際特許分類】
   F02C 7/24 20060101AFI20170925BHJP
   F23R 3/18 20060101ALI20170925BHJP
   F23R 3/28 20060101ALI20170925BHJP
   F23R 3/42 20060101ALI20170925BHJP
   F01D 25/00 20060101ALI20170925BHJP
   F01D 25/04 20060101ALI20170925BHJP
   G10K 11/172 20060101ALI20170925BHJP
   F23C 99/00 20060101ALI20170925BHJP
【FI】
   F02C7/24 CZAB
   F02C7/24 Z
   F23R3/18
   F23R3/28 D
   F23R3/42 A
   F01D25/00 L
   F01D25/04
   G10K11/172
   F23C99/00 304
【請求項の数】11
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-500894(P2015-500894)
(86)(22)【出願日】2013年3月19日
(65)【公表番号】特表2015-518102(P2015-518102A)
(43)【公表日】2015年6月25日
(86)【国際出願番号】EP2013055734
(87)【国際公開番号】WO2013139813
(87)【国際公開日】20130926
【審査請求日】2016年3月10日
(31)【優先権主張番号】12160385.6
(32)【優先日】2012年3月20日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】515322297
【氏名又は名称】ゼネラル エレクトリック テクノロジー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】General Electric Technology GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】フランクリン マリー ジェナン
(72)【発明者】
【氏名】ナレシュ アルリ
(72)【発明者】
【氏名】ミルコ ルーベン ボティエン
【審査官】 西中村 健一
(56)【参考文献】
【文献】 特表2005−527763(JP,A)
【文献】 特開平07−139738(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0295519(US,A1)
【文献】 米国特許第06351947(US,B1)
【文献】 米国特許第04122674(US,A)
【文献】 特開平06−094227(JP,A)
【文献】 米国特許第05644918(US,A)
【文献】 特開2012−002500(JP,A)
【文献】 特開2001−141240(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/136545(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02C 7/24
F23R 3/18
F01D 25/04
G10K 11/16、172
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダンパ装置(100)であって、
2つの同心円状の中空形材(10および20)であって、該中空形材(10および20)は、それぞれ壁部(11および12)を有し、該壁部(11および12)は、該壁部(11および12)の間に環状体積(22)を形成する、2つの同心円状の中空形材(10および20)と、
対応する1つまたは複数の接触点において、前記ダンパ(100)を燃焼器(5)に接続するための1つまたは複数のネック(30)であって、該1つまたは複数のネック(30)は、前記環状体積(22)にさらに接続される、1つまたは複数のネック(30)とを備え
前記環状体積(22)は、前記2つの同心円状の中空形材(10および20)の前記壁部(11および12)の間において、長手方向に延びる1つまたは複数のプレート(70,72,74)を備え、
前記1つまたは複数のプレート(70,72,74)は、該プレートの第1の側において第1の環状体積を画定し、前記プレートの第2の側において第2の環状体積を画定しており、
前記1つまたは複数のプレート(70,72,74)は可動であって、該1つまたは複数のプレート(70,72,74)は、前記第1の環状体積および前記第2の環状体積を相互接続するために、前記1つまたは複数のプレート(70,72,74)を通る1つまたは複数のネック(90,92,94,96,97および98)を有することを特徴とする、ダンパ装置(100)。
【請求項2】
燃焼器(5)をさらに備え、前記1つまたは複数のネック(30)は、対応する1つまたは複数の接触点において前記燃焼器(5)に接続されている、請求項1記載のダンパ装置(100)。
【請求項3】
前記1つまたは複数の接触点は、燃焼器(5)に接続される1つまたは複数のバーナ(6)の周縁部に配置されている、請求項2記載のダンパ装置(100)。
【請求項4】
前記環状体積(22)は前記バーナ(6)に対して同心円状である、請求項3記載のダンパ装置(100)。
【請求項5】
前記環状体積(22)と前記1つまたは複数のネック(30)との組み合わせが、1つまたは複数の脈動周波数を減衰するように調整される、請求項1記載のダンパ装置(100)。
【請求項6】
前記環状体積(22)および前記1つまたは複数のネックは、可変なサイズおよび体積を有する、請求項1記載のダンパ装置(100)。
【請求項7】
前記環状体積(22)および前記ネック(30)の少なくとも一方が、該環状体積(22)および前記ネック(30)の少なくとも一方内に、多孔質材料、吸収材料、吸着材料、多孔スクリーンおよび金属発泡体のうち1つ以上を備える、請求項1記載のダンパ装置(100)。
【請求項8】
ダンパ装置(100)を設計する方法であって、
2つの同心円状の中空形材(10および20)であって、該中空形材(10および20)は、それぞれ壁部(11および12)を有し、該壁部(11および12)は、該壁部(11および12)の間に環状体積(22)を形成する、2つの同心円状の中空形材(10および20)を提供すること(50)と、
前記環状体積(22)に接続された1つまたは複数のネック(30)を提供すること(52)と、
対応する1つまたは複数の接触点において、前記1つまたは複数のネック(30)を前記燃焼器(5)に接続すること(54)とを含み、
前記環状体積(22)に、前記2つの同心円状の中空形材(10および20)の前記壁部(11および12)の間において長手方向に延びた、前記1つまたは複数のプレート(70,72,74)を挿入することをさらに含み、前記1つまたは複数のプレート(70,72,74)は可動であり、かつ該1つまたは複数のプレート(70,72,74)は該プレートの第1の側において第1の環状体積を画定し、かつ前記プレートの第2の側において第2の環状体積を画定しており、
前記1つまたは複数のプレート(70,72,74)には、前記第1の環状体積および前記第2の環状体積を相互接続するために、前記1つまたは複数のプレート(70,72,74)を通る1つまたは複数のネック(90,92,94,96,97および98)を備えることを特徴とする、ダンパ装置(100)を設計する方法。
【請求項9】
前記燃焼器(5)に接続された1つまたは複数のバーナ(6)の周縁部に、1つまたは複数の接触点を配置することをさらに含む、請求項記載の方法。
【請求項10】
1つまたは複数の脈動周波数を減衰するために、前記環状体積(22)と前記1つまたは複数のネック(30)との組み合わせを調整することをさらに含む、請求項記載の方法。
【請求項11】
前記1つまたは複数のネック(30)および前記環状体積(22)のサイズおよび体積を変えることをさらに含む、請求項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダンパ装置に関する。特に、ダンパ装置は、リーンな予混合低排出燃焼システムを備えたガスタービンの作動中に発生する圧力振動を減衰するために使用されている。
【0002】
発明の背景
ガスタービンは、1つまたは複数の燃焼器を備えていることが知られており、燃料が噴出され、空気流と混ざり、かつ燃焼されて、タービンで膨張される高圧煙道ガスを発生させる。
【0003】
作動時、燃焼器に機械的損傷を与え、かつ作動機構を制限し得る圧力振動が発生することがある。それにもかかわらず、これらの圧力振動の周波数は、ガスタービンによってわずかに変わり、加えて、同じガスタービンでも、周波数はガスタービン作動時にわずかに変わる(例えば、部分負荷、ベース負荷、過渡現象等)。
【0004】
通常、ガスタービンは、汚染排出値を順守するためにリーンモードで動作しなければならない。このモードでの作動時におけるバーナ炎は、流れ摂動に非常に敏感であり、かつ燃焼器の動力学と容易に結び付き、熱音響不安定性を引き起こすことがある。このため、通常、燃焼器は、これらの圧力振動を減衰するために、例えば4分の1波長管、ヘルムホルツダンパまたは音響スクリーンなどの減衰装置を備えている。
【0005】
図1を参照すると、従来のヘルムホルツダンパ1は、減衰体積2(すなわち、共振器体積)とネック3(入口部分)とを備えており、減衰体積2およびネック3は、バーナ6が接続されている燃焼器5の(線模様で示されている)前側パネル壁4に接続されている。燃焼により発生する圧力振動は減衰する必要がある。
【0006】
ヘルムホルツダンパの共振周波数(すなわち、減衰された周波数)は、共振器体積2およびネック3の幾何学的特徴によって決まり、かつ燃焼器5で発生する圧力振動の周波数に対応していなければならない。
【0007】
具体的には、体積およびネックの形状は、ヘルムホルツダンパの固有振動数を決定する。ヘルムホルツダンパの最大減衰特性は、固有振動数において達成され、通常は非常に狭い周波数帯に存在している。
【0008】
通常、ヘルムホルツダンパは、低周波数範囲の圧力脈動(50〜500Hz)に対応するために使用されるので、ヘルムホルツダンパの体積サイズは増加する。場合によっては、ヘルムホルツダンパの体積は、バーナサイズに相当しさえする。このために、これらのダンパの設置のために残された前側パネル壁4の周囲のスペースは非常に狭くなる。その上、十分広い帯域幅において圧力振動を減衰するために、複数のヘルムホルツダンパを燃焼器に接続する必要がある。
【0009】
前側パネル壁4のスペースが限られているので、従来のヘルムホルツダンパ1を設置するための選択肢は限られている。このことは図2に示されており、前側パネル壁4において、1つのヘルムホルツダンパ1を配置するために、1つのバーナ6を取り除く必要がある。これは、結局、燃焼器5が収容することができるバーナ6の数と従来のヘルムホルツダンパ1の数との間のトレードオフである。
【0010】
従って、上述の解決策は、ダンパの設置によるバーナの前側パネル壁の周囲におけるスペースの制限をうける。その上、これらの解決策では、ダンパが、燃焼器において広帯域な減衰周波数を有することを可能としない。
【0011】
発明の概要
従って、本発明の技術的目的は、従来技術の上述の問題に対応するダンパ装置を提供することを含む。
【0012】
この技術的目的の範囲において、本発明の態様は、燃焼器のバーナの周囲にダンパを配置することを可能にしたダンパ装置とそのダンパ装置を設計する方法とを提供することである。
【0013】
本発明のさらなる態様は、微調整を必要としないかまたは限定的に必要とした、圧力振動の周波数変化に対処することができるダンパ装置を提供することである。
【0014】
本発明の別の態様は、2箇所以上で燃焼器に接続されることで、広帯域範囲において複数の脈動周波数を同時に減衰することができるダンパ装置を提供することである。
【0015】
本発明の別の態様は、特に上述の従来のダンパ装置と比べた場合に、非常にシンプルなダンパ装置を提供することである。
【0016】
本発明のまた別の態様は、それぞれが壁部を備えた2つの同心円状の中空形材であって、2つの壁部がそれらの間において環状体積を形成した2つの同心円状の中空形材と、対応する1つまたは複数の接触点において燃焼器に接続される1つまたは複数のネックとを備えたダンパ装置を提供することである。1つまたは複数のネックは、環状体積に接続されている。
【0017】
本発明の別の態様において、1つまたは複数の接触点は1つまたは複数の脈動周波数に対応している。
【0018】
本発明のまた別の態様において、環状体積と1つまたは複数のネックとの組み合わせは、1つまたは複数の脈動周波数を減衰するために調整されている。
【0019】
技術上の目的は、これらおよびさらなる態様とともに、添付の特許請求の範囲に従ってダンパ装置とそのダンパ装置を設計する方法とを提供することによって本発明により達成される。
【0020】
本発明のさらなる特徴および利点は、添付の図面において非限定的な例として示されているダンパ装置の好適であるが非限定的な実施の形態の記載から、より明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】従来技術による、燃焼器に接続された従来のヘルムホルツダンパの概略図である。
図2】従来技術による従来のヘルムホルツダンパを備えたバーナ前側パネルの平面図である。
図3】本発明の実施の形態による、環状ヘルムホルツダンパの概略図である。
図4図4Aおよび図4Bは、本発明の実施の形態による、バーナ前側パネルのバーナ
図5】本発明の実施の形態による、環状ヘルムホルツダンパを設計する方法の流れ図である。
図6図6Aおよび図6Bは、本発明の実施の形態による、環状缶型燃焼器のバーナの周囲に配置された環状ヘルムホルツダンパの側面図である。
図7】本発明の実施の形態による、複数の体積を有する環状ヘルムホルツダンパの構成を示す図である。
図8】本発明の実施の形態による、図7に記載の構成の平面図である。
図9】本発明の実施の形態による、複数のネックを介して相互接続された複数の体積を有する環状ヘルムホルツダンパの構成を示す図である。
図10】本発明の実施の形態による、図9に記載の構成の平面図である。
図11】本発明の実施の形態による、体積間の音響結合を調整するために充填材を使用した環状ヘルムホルツダンパを示す図である。
図12】本発明の実施の形態による、図11に記載の構成の平面図である。
図13】本発明の複数の実施の形態による、直列に相互接続された複数の体積を有する環状ヘルムホルツダンパの構成を示す図である。
図14】本発明の実施の形態による、図13に記載の構成の平面図である。
【0022】
発明の実施の形態の詳細な説明
ここで、本開示の好ましい実施の形態を、図面を参照にして説明する。図面を通して同じ参照番号が同じ要素を示すように使用されている。以下の記載では、説明を目的として、本開示の十分な理解を提供するために多くの具体的な詳細が示されている。しかし、本開示がこれらの具体的詳細なしで実施できることは明らかである。
【0023】
図3を参照すると、ダンパ装置100、すなわち、バーナ前側パネル4(すなわち前側パネル壁4)の周囲のスペースが制限されているという問題に対応し、かつ燃焼器5で発生する複数の脈動周波数を減衰することもできるダンパ100が提供されている。以下では、ダンパ100は、環状ヘルムホルツダンパ100を同じように意味する。例示的な実施の形態における燃焼器5は、ガスタービンの燃焼器である。
【0024】
本発明の実施の形態では、ダンパ100は、2つの同心円状の中空形材10,20を備えており、形材10,20はそれぞれ壁部11,12を備えている。両方の壁部11,12は、それらの間に環状体積22を形成している。言い換えると、壁部11の内面と壁部12の外面が環状体積22を形成している。ダンパ100は、ダンパ100を燃焼器5に接続する1つまたは複数のネック30をさらに備えている。1つまたは複数のネック30は、一端において環状体積22に接続されており、他端において燃焼器5の対応する1つまたは複数の接触点に接続されている。
【0025】
本発明の好ましい実施の形態では、2つの同心円状の中空形材10,20は、中空の円筒状体積であって、それぞれ壁部11,12を備えている。こうして、これら両方の壁部11,12は、それらの間に環状体積22を形成している。以下では、中空形材という用語は、中空体積を同じように意味する。円筒状形材のみが、詳細な説明を通して例示的な目的のために用いられているが、このことは本発明の範囲をこの形材に限定するものではなく、同心円状であり、かつ2つの形材の壁部の間に環状体積を形成するような構成を有するほかのすべての形材に拡張することができることは当業者には明らかであろう。
【0026】
ダンパ100は、燃焼器5において定在波パターンの最大脈動に近いときに最良の減衰効果を有することが周知である。従来のヘルムホルツダンパ(従来技術のダンパ)の共振周波数は、以下により与えられる。
ここで、Fnはダンパの共振周波数、Anはネックの面積、Vはダンパにおける共振器の体積、Lnはネックの長さである。Cはダンパ内の流体の平均音速である。通常、ベース負荷条件においては、Cは約500〜550m/sである。
【0027】
共振周波数Fnは、燃焼器5において発生する1つまたは複数の脈動周波数を減衰させるように調整することができる。複数の周波数には、複数のダンパを使用するか、または複数の体積およびネックを有するダンパを使用することで対応することができる。通常、Fnは、50〜500Hzの範囲である。通常作動時を仮定すると、従来のダンパを150Hzの共振周波数Fnに微調整する必要がある場合、定数Cが500m/sでは、ネックの面積Anおよび共振器の体積Vは以下のように計算することができる。
Rn=0.015m(ネックの半径)
Ln=0.1m(ネックの長さ)
Lv=0.25m(体積の長さ)
Rv=0.05m(体積の半径)
【0028】
ここで、環状ヘルムホルツダンパ100に、同じく150Hzの共振周波数Fnを再現させる場合、以下のように仮定する。
Lv’=Lv(すなわち、環状ダンパ100の共振器の長さは、従来のダンパの共振器の長さに等しい)
Rv’=0.1m(図3に示されているダンパ100の共振器の半径)
Drv(同心円状の体積10,20の半径の間の差)は、以下のように計算することができる。
従って、Drv=0.014m
【0029】
また、ダンパ100が、従来のダンパでは1つであるのに代わって、9つのネック30を備えていると仮定する場合、Rn’(ダンパ100のネック30の半径)は、以下のように計算することができる。
従って、Rn’=Rn/3=0.005m(ネック30の半径)
【0030】
このことは、最も外側の体積10の半径がRv’+Drv/2=0.107mであることを意味している。
【0031】
言い換えると、この環状設計のダンパ100では、2つの体積10,20の間の距離差、すなわちDrvは0.014mであり、各ネック30の半径Rn’=0.005mよりも大きく、そのため、これらのネックを環状体積22内に収容するのに十分である。
【0032】
図4Aおよび図4Bは、本発明の実施の形態による、バーナ前側パネル4のバーナ6の周囲に配置された環状ヘルムホルツダンパの平面図を示している。図4Aにおいて、上から見ると、バーナ6の断面は円形に示されており、かつダンパ100は、2つの体積10,20を備えており、それらはバーナ6の断面の周囲において2つの同心円として示されている。また、各ネック30の断面は、環状体積22において円形で示されている。
【0033】
図4Bを参照すると、図2(従来技術)と比べると、バーナ6の周囲にダンパ100があるそのような構成は、前側パネル壁4における全てのバーナに関して再現することができる。従って、ダンパ100装置は、バーナの前側パネル壁4の周囲におけるスペースの制限という問題を解消する。
【0034】
この設計は単に例示的であり、かつダンパを種々の別のネックおよび体積の組み合わせに配置することができることが当業者には明らかであろう。ダンパ100の設計は、減衰する必要がある優位周波数の数に応じて、燃焼器5に関して、相互接続された中空形材10,20およびネック30の可変の数に容易に拡張することができる。本発明の別の実施の形態では、ダンパ100は、1つまたは複数のネック30が燃焼器5と接触する位置において最大となる1つの優位周波数のみを減衰するように使用することができる。本発明の種々の実施の形態では、1つまたは複数の接触点が、燃焼器5に接続されたバーナ6の周縁部に配置される。その上、ダンパ100が燃焼器5に接触する接触点は、3次元に分散してもよい。単に簡潔な説明のために、実施の形態はすべて2次元で示されているが、このことは本発明の範囲を限定しない。
【0035】
本発明の実施の形態によれば、図5は、燃焼器5のためのダンパ100を設計する方法の流れ図を示している。第1のステップ50では、2つの同心円状の中空形材10,20が提供され、それぞれ壁部11,12を有している。壁部11,12は、それらの間に環状体積22を形成している。次いで、第2のステップ52では、環状体積22に接続された1つまたは複数のネック30が提供される。最終ステップ54では、1つまたは複数のネックが、対応する1つまたは複数の接触点において燃焼器5に接続される。本発明の実施の形態によれば、1つまたは複数の接触点は、バーナ6の周縁部の周りに配置されている。このやり方では、ダンパ100は、バーナ6の周囲に配置されており、これによって、バーナ前側パネル4の周囲のスペースが制限されているという問題を解消している。
【0036】
本発明の別の実施の形態によれば、図6Aおよび図6Bは、環状缶型燃焼器200のバーナの周囲に配置された環状ヘルムホルツダンパの側面図および平面図を示している。一般的な燃焼器(すなわち燃焼器5)に代わり、環状缶型燃焼器200は、1つの燃焼器につき複数のバーナ202を備えている。この実施の形態では、環状缶型燃焼器200は、1つの燃焼器につき3つのバーナ202を備えている。そのような環状缶型燃焼器200も、環状ヘルムホルツダンパ100の設置に適用してよい。
【0037】
図6Bは、環状缶型燃焼器200の断面を示す平面図を示している。2つの同心円状の中空体積10,20を備えたダンパ100は、3つのバーナ202をすべてまとめて囲むように配置されている。実際、体積10,20は環状缶型燃焼器200の周縁部に関して同心円状である。さらに、1つまたは複数のネック30は、ダンパ100を環状缶型燃焼器200に接続している。そのような構成によって、ダンパ100は、1つのダンパにつき複数のバーナに働くことによって、環状缶型燃焼器であっても必要な減衰効果を提供することができる。
【0038】
ここまで記載されたすべての実施の形態において、ダンパ100は、2つの同心円状の中空形材10,20の間に形成された1つの環状体積22を示している。しかし、本発明の様々な別の実施の形態によれば、ダンパ100の減衰特性および減衰周波数を修正/微調整するために、(本発明の範囲内において)複数の環状体積を、ネック30に関して直列なおよび/または並列な組み合わせで配置して所望の結果を達成することができる。以下の種々の本発明の実施の形態によれば、中空形材10,20とネック30との間のそのような相互接続を配置する様々な可能性が記載される。
【0039】
図7は、本発明の実施の形態による、複数の体積を備えた環状ヘルムホルツダンパの構成を示している。ダンパは、2つの同心円状の中空形材10,20の間において長手方向に延びた1つまたは複数のプレートを備えてもよい。この実施の形態では、ダンパ100は、環状体積22において長手方向(長さに沿って)延びた3つのプレート70,72,74を備えている。各プレートは、プレートの第1の側において第1の環状体積を、プレートの第2の側において第2の環状体積を画定している。従って、環状体積22は、互いに並列に接続された3つの環状体積に分けられている。本発明の様々な実施の形態によれば、これらのプレートは、3つの環状体積を変化させるようにダンパ100の周囲に沿って動かすことができる。これによって、燃焼器5における1つまたは複数の脈動周波数に関してダンパ100を微調整するためのさらなる可能性が提供される。
【0040】
図8は、本発明の実施の形態による、図7に記載の構成の平面図を示している。バーナ6の断面は、円形に示されており、2つの体積10,20の間に画定されている環状体積22を備えたダンパ100は、バーナ6の断面の周囲において2つの同心円として示されている。各ネック30の断面は、環状体積22において円で示されている。さらに、プレート70,72,74は、並列に3つの体積を形成している。
【0041】
環状体積22を3つのプレートを使用して3つの体積に分けることは例示に過ぎず、本発明の範囲を限定せずに、ダンパの調整要件に応じて複数の体積に限定することができることが当業者には明らかであろう。本発明の種々の実施の形態では、複数の体積は、ダンパ100の減衰特性を効果的に変化させるようにさらに微調整してもよい。
【0042】
図9は、本発明の実施の形態による、複数のネック30を介して相互接続した複数の体積を有する環状ヘルムホルツダンパ100の構成を示している。図7に示される例示的なダンパ100に続いて、図9のダンパ100も、環状体積22を3つの体積に分けているプレート70,72,74を備えている。プレート70は、プレート70の両側の第1の体積と第2の体積とを相互接続している3つのネック90,92,94を備えている。同様に、プレート74は、プレート74の両側の第1の体積と第2の体積とを相互接続している3つのネック96,97,98を備えている。本発明の1つの実施の形態では、ネックは、プレートの長さに沿って配置され、かつプレートの両側の第1の体積と第2の体積との間に開口部を形成している中空管状の円筒体である。プレート70,74ごとに3つのネックのみが、この例示的な実施の形態に示されているが、異なる数のネックを、減衰要件に応じて1つまたは複数のプレートに使用してもよい。
【0043】
ネックおよび体積の形状を変えることによってダンパ100の共振周波数を変えることができることが当業者には明らかであろう。それは、体積およびネック自体の構造/断面を変えることによって達成される。上述のすべての実施の形態においては、体積およびネックの断面形状は円形に示されているが、体積およびネックはこの形状にのみ限定されているのではない。本発明の様々な実施の形態によれば、体積およびネックは、多角形、立方体形、直方体形、球状または任意の不規則形状でもよい。これらの形状(図示せず)のどれでも、燃焼器5の減衰要件に応じてダンパ装置100を画定するために使用することができる。
【0044】
図10は、本発明の実施の形態による、図9に記載のダンパ100の平面図を示している。バーナ6の断面は、円形に示されており、2つの体積10,20の間に画定された環状体積22を有するダンパ100は、バーナ6の断面の周囲において2つの同心円として示されている。各ネック30の断面は、環状体積22において円で示されている。プレート70,72,74は、環状体積22を、並列に相互接続された3つの体積に分けている。プレート70,74はそれぞれ3つのネックを備えている。最下部のネック94,98(すなわち、ネック30に最も近いネック)の断面は、それぞれプレート70,74に示されている。
【0045】
ダンパ100の減衰特性をさらに微調整するために、分割した環状体積に種々の充填材を充填してもよいことが当業者には明らかであろう。図11は、本発明の実施の形態による、体積間の音響結合を調整するために充填材を使用した環状ヘルムホルツダンパ100を示している。プレート70,74の間に形成された環状体積22には充填材が充填されている(斜線模様で示す)。例えば、これらに限定されないが、多孔質材料、吸収材料、吸着材料、多孔スクリーンおよび金属発泡体などの充填材を使用してもよい。そのような充填材を含むことは、ダンパ100の減衰特性を修正するのに役立つ。本発明の別の実施の形態によれば、ダンパ100をさらに微調整するために、1つまたは複数のネック30に同じ種類の充填材を使用してもよい。
【0046】
本発明の種々の別の実施の形態では、そのような充填材は、体積を相互接続しているネック、すなわちネック90〜98(図9参照)に使用してもよい。本発明の範囲において、ダンパ100の微調整を可能にするために、ネックおよび体積のあらゆる組み合わせがそのような充填材を備えてよい。
【0047】
体積またはネックのいずれかに充填材を使用するこれらの変形例はすべて単に例示であることが当業者には明らかであろう。これらの体積またはネックのいずれも、体積およびネックの音響特性を変え、それによってダンパ装置100全体の減衰特性を調整するために、そのような材料を使用してもよい。
【0048】
図12は、本発明の実施の形態による、図11に記載のダンパ100の装置の平面図を示している。バーナ6の断面は、円形に示されており、2つの体積10,20の間に画定された環状体積22を備えたダンパ100は、バーナ6の断面の周囲において2つの同心円として示されている。各ネック30の断面は、環状体積22において円で示されている。環状体積22を、並列に相互接続されている3つの体積に分けているプレート70,72,74は、3つの線で示されている。プレート70,74の間の充填材は、斜線パターンで示されている。
【0049】
環状体積を並列に相互接続する概念を拡張して、本発明の範囲において、環状体積を直列に接続してもよい。図13は、本発明の複数の実施の形態による、直列に相互接続された複数の環状体積を有する環状ヘルムホルツダンパ100の構成を示している。プレートが環状体積22を複数の体積に分けるように長手方向に挿入されている図7に記載の実施の形態と比較すると、図13においては、1つまたは複数のプレートが、環状体積22内で周方向に挿入されており、それによって1つまたは複数のプレートが、環状体積22を2つ以上の直列に接続された環状体積に分けている。図13に示されるとおり、プレート1301は、体積10と体積20との間において周方向に挿入されている。さらに、プレート1301は、2つの体積、すなわちプレート1301の両側に形成された第1の体積および第2の体積を相互接続している1つまたは複数のネック1302を有する。そのため、この実施の形態におけるダンパ100の全体構成は、直列に相互接続された2つの環状体積を有する。
【0050】
この構成において、ダンパ100の減衰特性を変えるために、プレート1301の位置に加えて、ネック1302の位置およびサイズを変更してもよいことが当業者には明らかであろう。その上、そのようなプレート1301を2つ以上加えて、直列の3つ以上の環状体積を形成してもよい。また、ネックと体積との組み合わせは、ダンパ特性をさらに微調整するために充填材を有してもよい。
【0051】
図14は、本発明の実施の形態による、図13に記載の構成の平面図を示している。バーナ6の断面は円形に示されており、かつ2つの体積10,20の間に画定されている環状体積22を有するダンパ100は、バーナ6の断面の周囲において2つの同心円として示されている。プレート1301の断面は、中空形材10,20の断面に対して同心円状である。各ネック30の断面は、環状体積22において円形で示されている。ネック1302の断面は、環状体積22において点線の円で示されている。
【0052】
本発明は、その様々な実施の形態を通じて、相互接続された体積およびネックの概念を示すために例示的な設計を提供しているに過ぎないことが当業者には理解されよう。これらの実施の形態は、決して本発明の範囲をこれらの構成にのみ限定することを意図しているのではない。
【0053】
当然、上記で記載されたすべての特徴を互いに独立して提供してもよい。実際には、使用材料および寸法は、要件および技術水準に従って任意に選ぶことができる。
【0054】
例示的な実施の形態をガスタービンを参照にして説明してきたが、本発明の実施の形態は、圧力振動を減衰する潜在的な要求がある別の用途にも使用することができる。
【0055】
さらに、本開示は、本明細書において、最も実用的と思われる例示的な実施の形態において示しかつ記載してきたが、本開示の範囲において逸脱することができ、それは本明細書において記載された詳細に限定されず、添付の特許請求の全範囲に合致し、あらゆる均等なデバイスおよび装置を含むことが当業者には理解されよう。
【0056】
参照番号
1 従来技術のヘルムホルツダンパ
2 従来技術のダンパ1の共振器体積(減衰体積)
3 従来技術のダンパ1のネック
4 前側パネル壁(すなわちバーナ前側パネル)
6 バーナ
5 燃焼器
100 本発明のダンパ/ダンパ装置
10 中空形材(第1の形材)
20 中空形材(第2の形材)
11 中空形材10の壁部
12 中空形材20の壁部
22 環状体積
30 ネック
Fn ダンパ100および従来技術のダンパの共振周波数
An 従来技術のダンパのネックの面積
V 従来技術のダンパの共振器の体積
Ln 従来技術のダンパのネックの長さ
Ln’ 本発明のダンパ100のネックの長さ
Rn 従来技術のダンパのネックの半径
Rn’ 本発明のダンパ100のネックの半径
Lv 従来技術のダンパの体積の長さ
Lv’ 本発明のダンパ100の体積の長さ
Rv 従来技術のダンパのネックの半径
Rv’ 本発明のダンパ100のネックの半径
Drv 体積10,20の半径の間の差
200 環状缶型燃焼器
202 環状缶型燃焼器200のバーナ
70,72,74 プレート
90,92,94,95,96,97,98 プレート70,72,74内のネック
1301 プレート
1302 プレート1301のネック
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14