【課題を解決するための手段】
【0010】
本目的のために、本発明は、ローカルサービスにアクセスする方法であって、
-通信デバイスが、アクセスターミナルを介して、サービスにアクセスするステップと、
-アクセスターミナルが、データを通信デバイスから読み出すステップであって、データは通信デバイスに関連するパーソナルデータおよび/またはサードパーティサービスデータである、ステップと、
-アクセスターミナルが、データを通信デバイスに書き込むステップであって、書き込まれるサードパーティデータはサードパーティサービスデータのセットのうちから選択され、アクセスターミナルによって書き込まれることになるサードパーティデータの選択は選択基準に基づく、ステップとを含むことを特徴とする方法を処理する。
【0011】
このように、(前述のアクセス手段を構成する)通信デバイスにおけるデータの読み出しは、以下にさらに記載しているように、アクセスターミナルがローカルサービスおよび/または他のサービスに関連するデータを取り出せるようにする。通信デバイスに含まれ、ターミナルがそれらを読み出す際に取り出される、データによって、サービスデータは、アクセス中の通信デバイスによって行われる非同期分散を介して、アクセスターミナル間で伝播される。サービスデータについてのこの分散は、通常必要とされる中央システムとの接続と取って代わる。したがって、中央システムとの接続が存在しないアクセスターミナルが、通信デバイスから読み出されたデータに基づいて、ローカルサービスを適切に供給できることは理解されよう。
【0012】
その上、通信デバイスにおける、ターミナルによって初期化されたサードパーティデータの書き込みは、例えば、
-他のアクセスターミナル、または、
-いわゆる「接続」状態のターミナルからアクセス可能である(例えば、中央システムと有線接続を有する)サービスについての中央管理システム(典型例として、情報システム)など、サービスに関連した他のエンティティに対して分散されることになるデータの伝達を可能とする。
【0013】
あるいは、以下に記載しているように、通信デバイス、アクセスターミナル、および中央システムは、長距離通信手段を介して、互いに通信することができる。この代替方法においては、中央システムとアクセスターミナルとの間の物理リンクは、もはや必要ではない。
【0014】
当然ながら、いわゆる「非接続」状態のアクセスターミナルが、前述の中央システムとの直接リンクを有さないターミナルであることは理解されよう。非接続状態のアクセスターミナルは、アクセス中の通信デバイスにデータを読み出し/書き込みによって、サービスデータを受信/分散するターミナルである。したがって、非接続状態のアクセスターミナルによって書き込まれるデータは、通信デバイスを介して中央システムに間接的に「伝達」され得る。実際、非接続状態のターミナルがデータをデバイスに書き込む場合、デバイスは、それらをその後アクセスする他のターミナルに伝達し得る。このように、データは、(接続状態のまたは非接続状態の)他のターミナルに分散され、接続状態のターミナルによって読み出された場合は中央委ステムに達し得る。
【0015】
したがって、用いられる方法は、同期分散と同じように、通信デバイスなどの非同期通信手段によるサービスデータの分散を可能とする。ローカルサービスのデータは、アクセスターミナルによって通信デバイスに分散され、各ターミナルのために通信インフラが必ずしも展開されなくてもサービスデータを拡散する。
【0016】
したがって、アクセスターミナルは、サービスの中央システムとの接続を確立することを必要とすることなく設置され得る。典型例として、アクセスターミナルは、
-自動車のバッテリを再充電する電力を供給するために、駐車場に、
-追加のサービスを提供することを目的として、住宅用電力量計に、
-例えば、電子デバイスを再充電したりコンピュータに電力を供給したりすることができる電源プラグに電力を供給するために、店内に、
-または、いくつかの他の場所に配置され得る。
【0017】
加えて、サードパーティデータは、選択基準に従って、アクセスターミナルによって通信デバイスに書き込まれることで分散される。この場合においては、選択基準は、サービスデータのセットのうちから書き込まれることになるデータの適切な選択を可能とする。このように、書き込みデータは、他のアクセスターミナルおよび/または中央システムなどのサービスの他のエンティティに拡散するために、有用で、有益で、または不可欠でさえある可能性がある。この場合においては、書き込まれることになるデータの選択処理が、通信デバイスの限られたメモリ容量を考慮する一方で、不可欠または至急のデータを選択することを可能としている。
【0018】
例示のみを目的としており、以下にさらなる説明をしているように、選択基準は、通信デバイスのターミナル訪問率、データ分散の優先度レベル、アクセス中の通信デバイスのタイプ(管理者またはユーザ)、またはいくつかの他の基準に関して、決定され得る。
【0019】
加えて、好適な例として、選択基準は、分散予定のデータを、例えば命令または情報アイテムを含むデータ断片のセットといった複数のデータ断片に、割り振り、分散するように設計される。断片の各々は、1つまたは複数の通信デバイスに分散され得る。通信デバイスに含まれるサービスデータが、関連する命令または情報アイテム、再構成のために必要とされる複数のデバイスに分散されたデータ断片、を完全に再構成することはできないことは理解されよう。したがって、悪意あるユーザは、命令または情報アイテムの一部分を復元することができるに過ぎない。加えて、ユーザから見れば、データは、通信デバイス間を(ターミナルによって決定された選択基準によって管理される)疑似ランダム分散で分散されおり、悪意ある手段によってデータ断片のセットを取り出そうとする試みを非常に複雑にする。
【0020】
選択基準は、通信デバイスを介して拡散されるデータにおける冗長性を保証するように設計されていてもよい。このため、データまたは同一のデータ断片であっても、ターミナルによって複数の通信デバイスに書き込まれ得る。つまり、通信デバイスが例えば紛失または損壊した場合、少なくとも1つの他のデバイスが、紛失/損壊した通信デバイスのパーソナルデータおよび/またはサードパーティデータサービスを含み得る。したがって、ローカルサービスは、他のデバイスに分散されたデータに基づいて、正確に提供され続ける。加えて、新規複製を生成するために、紛失/損壊したデバイスに元々あったデータを復元することができる。
【0021】
つまり、選択基準に従ってデータを分散することは、分散された情報のセキュリティのロバスト性と、通信デバイスを介したデータ分散の信頼性とを向上させる。
【0022】
好適な例として、これらの選択基準は、通信デバイスから読み出されたデータに関して、アクセスターミナルによって決定される。例示することのみを目的としたものとして、選択基準は、
-アクセス中のカードのタイプ、ユーザまたは管理者(例えば、通信デバイスのパーソナルデータに指定された情報)、
-サービスの過去の使用履歴(同一の通信デバイスにおいて、サードパーティデータに指定された類似のユーザ履歴と比較され得る、パーソナルデータに指定された情報)、
-利用可能な通信デバイスのメモリ、
-サービスユーザによって契約されたサービス、
-または、いくつかの他の基準に関する。
【0023】
加えてまたは代替として、これらの選択基準が、アクセスターミナルに以前アクセスしたことがある通信デバイスから読み出されたデータに関して、アクセスターミナルによって決定される。したがって、例えば、選択基準は、
-ターミナルによって読み出されたデータを考慮した、分散予定の情報アイテムの重要性、
-使用予定のデータ断片の冗長性、
-ユーザによって契約された新規サービスの通信、
-または、その他に関する。
【0024】
好適な実施形態においては、選択基準は、アクセス中の通信デバイスの(例えば、パーソナルデータに指定された)利用可能なメモリに基づいて、ターミナルによって書き込まれることになるデータの量に適合する。このことは、メモリが十分ではない場合、データの上書きまたは喪失を回避する。加えて、選択基準は、これらのデータを一刻も早く中央システムに伝達するために、残存メモリに基づいて、優先度が高いまたは重要であると判断されたデータを決定する。
【0025】
別の例においては、アクセスターミナルは、アクセス中のデバイスのユーザ別のサービス使用パターン(普段使用するアクセスターミナル、最も使用されているサービスによって提供されるサービス、など)に従って、サードパーティデータを書き込む。例として、書き込みデータは、ユーザが定期的に訪れているターミナルを対象とした更新データである。
【0026】
好適な例として、通信デバイスのサードパーティデータは、少なくとも1つの他のデバイスのパーソナルデータを含む。
【0027】
「パーソナルデータ」という用語が、通信デバイス自身に関するおよび/または当該デバイスのユーザに関する情報に関連した任意のタイプのデータを意味することは理解されよう。純粋に例示することを目的としたものとして、通信デバイスのパーソナルデータは、
-プリペイド型ユーザアカウントの現在のクレジット、
-サービスの使用履歴および/または使用量、
-ユーザのプロファイル、行動、または特徴、
-デバイスのユーザの身分証明および連絡情報、
-ユーザに関係した電力量計の基準値、
-契約済みまたは利用可能なサービスのリスト、
-請求用の監査証跡、
-デバイス(例えば、管理者デバイス)のタイプ、
-デバイスの総メモリおよび/または残存メモリ、
-または、いくつかの他のパーソナルデータであってもよい。
【0028】
「サードパーティデータ」が、通信デバイスのユーザのものではない、そしてユーザに直接関係しない、データを意味することは理解されよう。したがって、これらのデータは、好適な例として、(例えば、認証によってアクセスを制限する問題解決法によって)アクセス不可能になる、または(データ暗号化、またはm個の情報アイテムのうちn個を処理せずに情報を再構成することを不可能とする)暗号化技術によって保護される。この場合においては、サードパーティサービスデータは、
-ローカルサービスへのアクセスを許可する(「ホワイトリスト」)または許可しない(「ブラックリスト」)通信デバイスのリスト、
-通信デバイスによるターミナルの過去の使用履歴、
-関連サービスまたはローカルサービス以外のサービスのためのデータ、
-アクセスターミナルから伝達されたインシデント、
-または、いくつかの他のデータであってもよい。
【0029】
サードパーティサービスデータが他のサービスに関するデータである場合、通信デバイスが、他のアクセスターミナル、中央システム、および/または当該他のサービスに関連する他のシステムに対するデータの分散を支援するように動作し、本発明によって実施される方法によりそのように動作することは理解されよう。
【0030】
加えてまたは代替として、通信デバイスのサードパーティデータは、アクセスターミナルを対象とした転送データを含む。転送データが、更新、設定、アクセスターミナルサービスメッセージ、または1つまたは複数のターミナルに対する命令に関するデータを意味することは理解されよう。
【0031】
加えて、そのような通信デバイスのパーソナルデータは、ローカルサービスのユーザアカウントに関連する情報を含んでいてもよい。そして、パーソナルデータは、例えば、ユーザーが利用可能な使用クレジットに関する情報、サービスターミナルにアクセスするための多数のトークン、許可された使用期間、または残存プリペイド金額である。
【0032】
例示することのみを目的としたものとして、充電ステーションなどのアクセスターミナルから電力を供給するサービスに対して、ユーザNが、非接続状態のターミナルから再充電時間Tを設定したとする。ユーザNがその者の再充電時間Tの全てを使い切っていない場合、同一のターミナルにその後アクセスするユーザN+1を介して、その者の時間クレジットがその者のユーザアカウントで更新され得る。ユーザN+1は、ターミナルがユーザNのパーソナルデータをユーザN+1のサードパーティデータに書き込む場合、ユーザNのパーソナル情報(つまり、未使用時間に関する情報)を取り出す。そして、ユーザN+1が接続状態のアクセスターミナルにアクセスする際に、ターミナルによって読み出されたサードパーティデータが、これらのデータが中央システムに送信されその結果としてユーザNのアカウントで更新されるように、ユーザNが使用していない時間についての情報を提供する。
【0033】
好適な例として、アクセスターミナルによって書き込まれるデータは暗号化され、通信デバイスから読み出されるデータは通信デバイスに適した暗号化技術に従ってアクセスターミナルによって復号される。このことは、通信デバイスのメモリにアクセスされるデータのセキュリティを強化する。
【0034】
加えてまたは代替として、通信デバイスから読み出されたデータがアクセスコントロールによってよりセキュアにされる。ここで、データが、既定の認証基準を満たした(例えば、デバイスのユーザが、ターミナルにPINを入力する)後に、そのターミナルのみで利用可能となる。
【0035】
加えてまたは代替として、通信デバイスに含まれるデータは、認証プロセスによって、または当業者にとって明白であろう他のセキュリティ方法によって、保護され得る。
【0036】
本発明は、プログラムが電子データ処理ユニットによって実行される際に、上述の方法を実施するための命令を含むコンピュータプログラムにも関する。典型例として、電子データ処理ユニットは、プロセッサ、マイクロコントローラ、またはコンピュータデータを処理することを可能とする他の手段であり得る。このコンピュータプログラムによって実施されるメインステップの例が
図2に記載されている。
【0037】
本発明は、ローカルサービスにアクセスするためのターミナルであって、
-サービスへのアクセスを管理する手段と、
-通信デバイスにデータを読み出し/書き込みするためのモジュールと、
-通信デバイスに読み出されたデータの少なくとも一部分を記憶するように構成されるデータ記憶手段であって、デバイスから読み出されたデータは通信デバイスおよび/またはサードパーティサービスデータに関するパーソナルデータである、データ記憶手段と、
-記憶手段に保存されたサードパーティサービスデータのセットのうちから選択されたサードパーティデータの、通信デバイスにおける、書き込みを命令するように構成されるコントローラであって、書き込まれることになるサードパーティデータの選択は選択基準に基づく、コントローラとを含むローカルサービスにアクセスするためのターミナルにも関する。
【0038】
加えて、コントローラは、通信デバイスにおけるサードパーティデータの読み出しを制御するように設計され得る。典型例として、読み出しコマンドは、全てのまたは一部分の通信デバイスのパーソナルデータまたはそれに含まれるサードパーティサービスデータを読み出すため、またはパーソナルデータとサードパーティデータとを一緒に読み出すために使用される。
【0039】
データを読み出す際に、アクセスターミナルは、その記憶媒体のデータベースを更新してもよい。しかしながら、読み出しデータがターミナルのデータベースに既に存在する場合、データベースは、それに既にあるデータより新しい場合のみ、読み出しデータを用いて更新される。
【0040】
データを書き込む際に、アクセスターミナルは、選択基準(データ冗長性、分散予定のデータの重要性、残存メモリなど)に従って、通信デバイスに記憶されたデータを更新する。
【0041】
したがって、ターミナルのデータベースは読み出しデータを用いて更新され、書き込みデータは、他のアクセスターミナルにおいて、または中央システムにおいて、更新されることになるデータを構成する。このように、サービスデータは、通信デバイスによって分散されることになるデータに基づいてサービスが適切に供給されるように、サービスのエンティティ間を適切に中継される。
【0042】
好適な例として、ターミナルは、通信デバイスとの少なくとも1つのローカル通信を確立するように設計されている。ローカル通信が、数メートルの半径内におけるターミナルとデバイスとの間の通信を意味することは理解されよう。典型例として、そのような通信は、
-IEEE 802.11標準規格(Wi-Fiなど)、IEEE 802.15.4標準規格(ZigBeeなど)、赤外線、ブルートゥース、またはその他に準拠するローカル無線接続、
-例えば、線周波数識別(RFID)技術に準拠する近距離無線通信、
-または、その他によって実施され得る。
【0043】
好適な例として、選択基準が、通信デバイスから読み出されたデータに関して、コントローラによって決定される。
【0044】
加えてまたは代替として、これらの選択基準が、記憶手段に保存された読み出しデータに関して、コントローラによって決定される。
【0045】
加えてまたは代替として、通信デバイスから読み出されたサードパーティデータは、コントローラによって実行されるターミナルの命令を含む。好適な例として、これらの命令は、転送データに含まれる。したがって、デバイスによって伝達されたまたは伝達されることになるデータは、
-ターミナルのためにデータを更新するソフトウェア、
-サービスメッセージ、
-命令データまたはターミナルによって実施される特定サービスのためのデータ、
-または、いくつかの他のデータであり得る。
【0046】
好適な例として、アクセスターミナルは、その方法による読み出し/書き込みデータのための暗号化技術を実施するために提供されるデータ暗号化/復号の手段を含んでいてもよい。そのような技術は、通信デバイスに含まれるデータにアクセスすることに対しさらなるセキュリティを追加するため、読み出し/書き込みデータのソースおよびこれらのデータ完全性を検証することも可能とする。
【0047】
加えてまたは代替として、ターミナルは、読み出しデータへのアクセスを制御するための手段を備えていてもよい。アクセスを制御するこの手段は、セキュアな読み出しデータへのアクセスを許可する前に、(例えば、PINを介して)ユーザを認証するように設計されていてもよい。
【0048】
接続状態のターミナルの実施形態の1つによれば、好適な例として、アクセスターミナルは長距離通信手段を含む。本実施形態においては、通信デバイスおよび/または中央システムは、長距離通信がアクセスターミナルと確立されるように、対応する通信の手段を含んでいてもよい。したがって、通信デバイスにおけるデータは、中央システムを使用して行われる更新などのように、ターミナルによってリモートで読み出され/書き込まれ得る。典型例として、長距離通信手段は、(例えば、3G技術の標準規格に準拠した)セルラネットワークの通信モジュールであり得る。
【0049】
別の考えられ得る実施形態においては、中央システムおよび通信デバイスのみが長距離通信手段を含む。このように、アクセスターミナルと中央システムとの間のサービスデータ更新は、通信デバイスを介してリモートおよび直接行われ得る。その結果、接続(有線でもセルラネットワークでも)が、ターミナルと中央システムとの間に必要ではなくなることは理解されよう。ここで、データは、
-ターミナルが通信デバイス(伝達予定のデータが読み出され/書き込まれる)によってアクセスされる際に、アクセスターミナルにおいて、および、
-長距離通信手段(分散予定のデータが送信/受信される)を介して、中央システムにおいて、収集され分散されたものである。
【0050】
例として、サービスデータは、(例えば、OTA(Over The Air)技術を介した)ユーザにはわからない分散において、通信デバイスによって伝達される。
【0051】
本発明は、
-サービスデータを含む(これまでは、中央システムと称していた)少なくとも1つの情報システムと、
-少なくとも1つの通信デバイスと、
-サービスにアクセスするための少なくとも前述のアクセスターミナルとを含む、ローカルサービスにアクセスするためのシステムにさらに関する。
【0052】
本発明の他の特徴及び利点は、以下の添付の図面を参照して、例示を目的とし限定を目的とはしていないいくつかの例示的な実施形態についての以下の詳細な記載を読めば自明となろう。