【実施例】
【0183】
全ての実施例において、特に指示がない限り、Ciment Fondu(本明細書ではHAC Fonduとも称する)として知られる、ケルネオス社から入手可能なアルミン酸カルシウムセメントをセメント系反応性粉末の成分として用いた。用いたアルミン酸カルシウムセメント(Ciment Fondu)の酸化物組成は表AAに示される通りであった。
【0184】
【表AA】
【0185】
実施例のCiment Fondu(HAC Fondu)中に存在する主要アルミン酸カルシウム相はアルミン酸モノカルシウム(CA)であった。
【0186】
全ての実施例において、特に指示がない限り、フライアッシュは、キャンベルパワープラント社(ミシガン、ウェストオリーブ)のC級フライアッシュであった。このフライアッシュは、約4ミクロンの平均粒径を有した。フライアッシュの測定ブレーン粉末度は約4300cm
2/gであった。これらの実施例で使用のC級フライアッシュの酸化物組成は表AAに示される通りであった。
【0187】
本発明のいくつかの実施形態および実施例で使用の硫酸カルシウムは、細粒硫酸カルシウムを使用する場合、約1〜200ミクロン(マイクロメートル)、好ましくは約1〜20ミクロンの平均粒径を有する。
【0188】
特に、実施例で用いる硫酸カルシウム二水和物は、本明細書において石膏粉と称する、ユナイテッドステイツジプサムカンパニー社(United States Gypsum Company)から入手可能な細粒硫酸カルシウム二水和物であった。石膏粉は、約15ミクロンの平均粒径を有する細粒硫酸カルシウム二水和物である。
【0189】
実施例のいくつかに含まれる無水硫酸カルシウム(無水石膏)は、ユナイテッドステイツジプサムカンパニー社から入手可能なSNOW WHITEブランドのフィラーであった。このUSG社のSNOW WHITEフィラーは、硫酸カルシウム、好ましくは石膏の高温熱処理により製造される無水石膏の不溶性形態である。SNOW WHITEは、極めて低レベルの化学的に結合した水分を、好ましくは約0.35%で有する。USG社のSNOW WHITEフィラーの平均粒径は約7ミクロンである。
【0190】
多数の実施例で使用の硫酸カルシウム半水和物は、ユナイテッドステイツジプサムカンパニー社から入手可能なUSGハイドロカル(HYDROCAL)Cベースブランドの硫酸カルシウム半水和物であった。ハイドロカルCベースは、ブロック様の結晶ミクロ構造および低所要水量を有する硫酸カルシウム半水和物のアルファ形態である。このUSGハイドロカルCベースは、約17ミクロンの平均粒径を有する。
【0191】
本明細書において粗石膏粉とも称する、多数の実施例で用いられる粗粒硫酸カルシウム二水和物はUSG社デトロイトプラントから調達され、USGベン・フランクリン(BEN FRANKLIN)AGブランドの粗石膏としてユナイテッドステイツジプサムカンパニー社から入手可能である。このUSGベン・フランクリンAGブランドの石膏は、約75〜80ミクロンの平均粒径を有する粗粒硫酸カルシウム二水和物である。
【0192】
本発明のいくつかの実施形態およびいくつかの実施例で使用のQUIKRETE細粒No.1961細砂およびUNIMIN5030砂は、表BBに示されるような粒径を有した。
【0193】
【表BB】
【0194】
クエン酸カリウム又はクエン酸ナトリウムは、本発明のいくつかの実施形態のセメント質組成物に添加されるアルカリクエン酸塩であり、化学活性化剤、レオロジー改質剤および凝結調節剤として作用した。
【0195】
後出の実施例で報告される凝結開始時間および凝結終了時間は、ASTM C266(2008)規格に準拠し、ギルモアニードルを使用して測定された。
【0196】
本発明のいくつかの実施形態および実施例のいくつかのセメント系ジオポリマー組成物のスランプおよび流動挙動を、スランプ試験により特性決定した。後出の実施形態で用いたスランプ試験では、一方の開放端を滑らかなプラスチック面につけて垂直に保持した、直径約5.08cm(2インチ)、長さ約10.16cm(4インチ)の中空円筒を利用する。この円筒の最上部にまでセメント質組成物を詰め、続いて上面を切り落として余分なスラリー混合物を除去する。次に、この円筒を垂直にそっと持ち上げるとスラリーが底から出てプラスチック面上で広がって円形のパテを形成する。次に、このパテの直径を測定し、材料のスランプとして記録する。良好な流動挙動を有する組成物ではスランプ値が大きくなる。スラリーの流動は1から10の尺度でスラリーの流動性を評価することで特性決定され、値1は流動挙動が極めて不良であることを表し、値10は優れた流動挙動であることを表す。
【0197】
本明細書におけるような材料収縮率(本明細書では「収縮率」とも称する)は、ASTM C928(2009)試験規格に準拠して角柱試料の長さ変化を測定することで特性決定される。初期長さの測定を、水を含めた個々の原料成分を合わせてから4時間後に行う。最終測定を、水を含めた成分を合わせてから8週間後に行う。初期測定値と最終測定値との差を初期の長さで割り、100%をかけると収縮率が百分率で得られる。1インチx1インチ(断面)長さ変化角柱試料は本明細書においてバーとも称され、ASTM C157(2008)規格に準拠して用意される。
【0198】
材料の圧縮強度をASTM C109(2008)試験法に準拠し、2インチx2インチx2インチの立方体の圧縮下での破損を試験することで測定した。これらの立方体は硬化後に真鍮製の型から外され、試験時まで密封したビニール袋内で養生された。立方体を、注型から4時間、24時間、7日および28日目の材齢で試験した。
【0199】
材料のスラリー温度上昇挙動を、準断熱条件下、スラリーを断熱容器に入れ、熱電対を使用して材料温度を記録することで測定した。
【0200】
実施例の多くが、熱活性化アルミノシリケートミネラル(フライアッシュ)、アルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウムおよびアルカリ金属化学活性化剤を含む本発明のいくつかの実施形態の開発されたジオポリマーセメント質組成物の物理的特性を示す。ここでは、硫酸カルシウムおよびアルカリ金属化学活性化剤と組み合わせてアルミン酸カルシウムセメントを組み込むことが、本発明のいくつかの実施形態の開発されたジオポリマーセメント質組成物の材料若材齢および長期収縮挙動(化学および乾燥収縮)、若材齢圧縮強度、極限圧縮強度、発熱挙動並びに凝結特性に及ぼす影響を研究した。
【0201】
実施例の多くが、熱活性化アルミノシリケートミネラル(フライアッシュ)、アルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウムおよびアルカリ金属化学活性化剤を含む本発明のいくつかの実施形態の開発されたジオポリマーセメント質組成物の物理的特性を示す。ここでは、硫酸カルシウムおよびアルカリ金属化学活性化剤と組み合わせてアルミン酸カルシウムセメントを組み込むことが、本発明のいくつかの実施形態の開発されたジオポリマーセメント質組成物の材料若材齢および長期収縮挙動(化学および乾燥収縮)、圧縮強度、極限圧縮強度、発熱挙動並びに凝結特性に及ぼす影響について説明する。
【0202】
本発明の組成物は、有利なことに、養生段階中の材料内での発熱が穏やかであり、温度上昇が少ない。本発明のいくつかの実施形態におけるそのような組成物において、材料内で起こる最大温度上昇は、好ましくは約50
oF(28℃)未満、より好ましくは約40
oF(22℃)未満、特に好ましくは約30
oF(17℃)未満である。これにより、材料の過剰な熱膨張およびその結果として生じるひび亀裂および崩壊を防ぐことができる。この態様は、実際の現場で材料にかなり厚みを持たせて流すことが関わるような材料の使い方をする場合に、よりいっそうの利点となる。本発明のジオポリマーセメント質組成物は、実際の現場で示す温度膨張が少なく温度ひび割れの耐性が向上しているので、この特定の態様において有益である。
【0203】
本発明のいくつかの実施形態の組成物は、良好な加工性を得るのに十分な長さの凝結時間も達成した。材料の可使時間(ポットライフ)が短いと、実際の現場での適用時に使用する機器およびツールによる急速凝結材料の加工に著しい困難が生じることから、極端に短い凝結時間はいくつかの用途にとっては問題となる。
【0204】
実施例1:現行のジオポリマーセメント質組成物の比較例
以下の実施例では、C級フライアッシュおよびクエン酸カリウムを含む現行のジオポリマーセメント質組成物の物理的特性について説明する。試験結果は、表1に挙げたセメント質組成物の収縮挙動、若材齢および極限圧縮強度並びに凝結挙動を示す。3種の混合物は全てクエン酸カリウムで活性化され、また様々な量の砂骨材を含有した。3種の混合物は全て、100重量部のフライアッシュクラスCおよび100重量部の全セメント系材料を有する。セメント系材料は全てフライアッシュクラスC(キャンベルパワープラント社、ミシガン、ウェストオリーブ)およびQUIKRETE商用グレード細砂No.1961であった。
【0205】
【表1】
【0206】
図1Aは、比較例1で調査した現行で最先端のジオポリマーセメント質組成物の収縮挙動を示す。
【0207】
収縮率の測定を、原料を混合し、注型してから4時間の材齢で開始した。アルカリクエン酸塩で活性化させたフライアッシュ組成物が極めて高い収縮量を示したことを観察することができる。測定最大収縮率は75°F/50%RHでの8週間の養生後に0.75%もの高さであると判明した。砂含有量の増加により収縮の度合いは低下したものの、全体としての収縮率は依然として許容できないレベルで極めて高いままであった。このような高いレベルの材料収縮により、この材料は殆どの建築用途にとって不満足なものとなる。殆どの建築用途にとって、0.10%を超える全体としての収縮の大きさは極めて高く且つ望ましくないとみなされることに留意すべきである。
【0208】
材料の初期流動挙動、スランプおよび若材齢亀裂挙動
表2は、比較例1で調査した現行で最先端のジオポリマーセメント質組成物の初期流動挙動およびスランプを示す。
【0209】
【表2】
【0210】
アルカリクエン酸塩で活性化されたフライアッシュ組成物は、砂/セメント比0.75%で良好な流動挙動を有した。砂/セメント比を1.50%まで上昇させると、スラリーはその流動度を若干喪失した。最後に、砂/セメント比2.50で、混合物は極端に堅練りとなり、流動特性を完全に喪失した。
【0211】
図1Bは、比較例1で調査した混合物1についてのスランプパテ写真である。乾燥させると、このスランプパテには著しい亀裂が生じた。パテにおける亀裂の発生は、スランプ試験から30分未満で起きた。亀裂の数および亀裂のサイズは、続く材料の乾燥および硬化に伴って増大した。
【0212】
凝結時間
表3は、比較例1で調査した現行で最先端のジオポリマーセメント質組成物の凝結挙動を示す。
【0213】
【表3】
【0214】
この実施例のセメント質組成物は、極めて急速な凝結挙動を有した。全ての混合物は極めて迅速にゲル化し、原料を混ぜ合わせて水性スラリーを調製してから5分未満で流動挙動を喪失した。
【0215】
圧縮強度
表4は、比較例1で調査した現行で最先端のジオポリマーセメント質組成物の圧縮強度挙動を示す。全てのフライアッシュ組成物が、28日目で7000psiを越える圧縮強度発現を示した。
【0216】
【表4】
【0217】
実施例2:比較例
この実施例では、フライアッシュおよびクエン酸ナトリウムを含むセメント質組成物を含む好ましくは現行で最先端のジオポリマー配合物の若材齢寸法安定性および亀裂耐性を調査する。表5は、調査した混合組成物の原料組成を示す。混合物はクエン酸カリウムで活性化され、様々な量の砂骨材を含有した。混合物は、100重量部のフライアッシュクラスCおよび100重量部の全セメント系材料を有した。言い換えると、セメント系材料は全てフライアッシュクラスCであった。
【0218】
この組成物は、QUIKRETE商用グレード細砂No.1961およびBASF社のCASTAMENT FS20高性能減水剤を使用する。
【0219】
【表5】
【0220】
材料の若材齢亀裂挙動
図2は、比較例2で調査した混合物についてのスランプパテ写真である。乾燥させると、このスランプパテには著しい亀裂が生じた。パテにおける亀裂の発生は、スランプ試験から30分未満で起きた。亀裂の数および亀裂のサイズは、続く材料の乾燥および硬化に伴って著しく増大した。
【0221】
比較例2の組成物の圧縮強度挙動
表5Aは、比較例2の混合物の圧縮強度挙動を示す。組成物の若材齢圧縮強度は相対的に低く、4時間で約500psi未満、24時間で約2000psi未満であった。実施例において後に示されるように、本発明の実施形態のジオポリマー組成物は著しく高い圧縮強度をこれらの同じ若材齢おいて同等の水/セメント比で発現する。本発明の特定の実施形態の実施例において示されるように、本発明の実施形態の組成物で使用する硫酸カルシウムのタイプおよび量、アルミン酸カルシウムセメントの量並びにアルカリ金属活性化剤のタイプおよび量の調節により、若材齢圧縮強度を容易に望み通りのものにすることができる。
【0222】
【表5A】
【0223】
実施例3:比較例
この実施例では、フライアッシュおよびアルカリ金属クエン酸塩を含む比較用セメント質組成物の若材齢寸法安定性および亀裂耐性を調査した。表5は、調査した混合組成物の原料組成を示す。
【0224】
材料の若材齢亀裂挙動
図3Aは、比較例3で調査した混合物についてのスランプパテ写真である。乾燥させると、このスランプパテには著しい亀裂が生じた。パテにおける亀裂の発生は、スランプ試験から約30分未満で起きた。
【0225】
比較例3の組成物の圧縮強度挙動
表5Bは、比較例3の混合物の圧縮強度挙動を示す。組成物の若材齢圧縮強度は相対的に低く、4時間で約500psi未満、約1500psi未満であった。本発明の実施形態の後出の実施例において示されるように、本発明の組成物で使用する硫酸カルシウムのタイプおよび量、アルミン酸カルシウムセメントの量並びにアルカリ金属活性化剤のタイプおよび量の調節により、若材齢圧縮強度を望み通りのものにすることができる。
【0226】
【表5B】
【0227】
収縮挙動
図3Bは、比較例3のセメント質組成物の極若材齢収縮挙動を示す。
【0228】
極若材齢収縮率の測定を、原料を混合し、注型してから1時間の材齢で開始した。アルカリ金属クエン酸塩で活性化させたフライアッシュ組成物は、極めて高い収縮量を示した。測定最大収縮率は約75°F/50%RHでの8週間の養生後に約1%を超えることが判明した。このような高いレベルの材料収縮により、この材料は殆どの建築用途にとって不満足なものとなる。殆どの建築用途にとって、約0.10%を超える収縮率は望ましくないほどに高いとみなされる。
【0229】
実施例4:フライアッシュへの純アルミン酸カルシウムセメントの添加−比較例
この実施例は、フライアッシュ、アルミン酸カルシウムセメントおよびアルカリクエン酸塩を含むセメント質組成物の物理的特性を示す。ここでは、アルミン酸カルシウムセメントを組み込むことが、フライアッシュおよびアルカリクエン酸塩を含む、調査対象であるセメント質組成物の収縮率および亀裂耐性に及ぼす影響について研究した。表6、7は、この実施例で調査した様々なセメント質組成物1〜4の原料組成を示す。ケルネオス社から入手可能なアルミン酸カルシウムセメントであるCiment Fondu(HAC Fondu)を、この調査におけるセメント系反応性粉末の成分として利用した。この実施例で調査した様々な混合組成物で使用のアルミン酸カルシウムセメントの量は多様であり、フライアッシュの重量の10重量%および30重量%に等しかった。クエン酸カリウムを、この実施例で調査するセメント質組成物におけるアルカリクエン酸塩のソースとして添加した。使用した硫酸カルシウムは、USG社の石膏粉硫酸カルシウム二水和物であった。QUIKRETE商用グレード細砂No.1961を、アドヴァキャスト(AdvaCast)500(WRグレース社)高性能減水剤と共に使用した。
【0230】
【表6】
【0231】
【表7】
【0232】
材料の初期流動挙動、スランプおよび若材齢亀裂挙動
表8は、実施例4で調査したフライアッシュとアルミン酸カルシウムセメントとの2成分ブレンド物の初期流動挙動およびスランプを示す。スランプ試験で観察されたように、調査した混合物は共に良好な流動挙動および大きいパテ直径を有した。
【0233】
【表8】
【0234】
図4Aは、実施例4で調査した比較用混合物1、2についてのスランプパテ写真である。乾燥させると、どちらのスランプパテにも著しい亀裂が生じた。パテにおける亀裂の発生は、原料を混合してからたった5分で起き始めた。亀裂の数および亀裂のサイズは、続く材料の乾燥および硬化に伴って著しく増大した。アルカリクエン酸塩で活性化させたフライアッシュ組成物へのアルミン酸カルシウムセメントの添加は、乾燥および硬化すると過度の亀裂を起こしやすい、寸法安定性を欠いた材料につながると結論づけることができる。
【0235】
収縮挙動
調査する混合物の収縮挙動の特性決定化を行うために、直方体の試料を注型した。混合物2の角柱試料は、注型から1時間未満で、過度の材料収縮により型内で(離型前)にひび割れた。
【0236】
図4Bは、混合物1についての収縮挙動を示す。収縮率の測定を、原料を混合して水性スラリーを調製してから4時間の材齢で開始した。材料収縮率を、材料を75°F/50%RHで養生しながら、全部で約8週間にわたって測定した。フライアッシュ、アルミナセメントおよびアルカリ金属クエン酸塩の混合物を含有する混合物1の角柱が極めて大きく収縮したことを観察することができる。8週間後の混合物1についての角柱試料の測定収縮率は約1.08%である。
【0237】
実施例5
表6、7は、実施例5で調査した本発明の2種のジオポリマーセメント質組成物(表6、7の混合物3および混合物4)の原料組成を示す。この実施例の混合組成物で使用のアルミン酸カルシウムセメントの量は、フライアッシュの重量の10重量%(混合物3)および30重量%(混合物4)に等しかった。細粒石膏粉を、アルミン酸カルシウムセメントの重量を基準として33.33重量%の異なる量レベルで添加した。
【0238】
材料の初期流動挙動、スランプおよび若材齢亀裂挙動
表8は、実施例5で調査したフライアッシュ、アルミン酸カルシウムセメント、細粒石膏粉およびアルカリクエン酸塩を含む本発明のジオポリマーセメント質組成物(表8の混合物3および混合物4)の初期流動挙動およびスランプ特性を示す。調査した全ての混合組成物が良好な流動挙動を有したことをはっきりと観察することができる。そのような良好な流動特性が0.25と低い水/セメント系材料比であっても得られたことは特に注目に値する。
【0239】
図5Aは、実施例5で調査した本発明のジオポリマーセメント質組成物についてのスランプパテ写真である。この実施例のスランプパテには、乾燥させても、石膏粉を含有しない比較例4のセメント質組成物の場合のように亀裂が生じなかった。このため、フライアッシュ、アルミン酸カルシウムセメントおよびアルカリクエン酸塩を含むセメント質組成物に硫酸カルシウム(細粒石膏粉)のソースを組み込むことで、乾燥させても亀裂に対する優れた耐性を有する、寸法安定性ジオポリマーセメント質組成物が得られる。
【0240】
収縮挙動
図5Bは、実施例5で調査した本発明のジオポリマーセメント質組成物の収縮挙動のグラフである。この調査の主な目的は、硫酸カルシウム(石膏粉)およびアルカリ金属クエン酸塩と組み合わせてアルミン酸カルシウムセメントを組み込むことが、本発明の開発されたジオポリマーセメント質組成物の収縮挙動に及ぼす影響を研究することであった。
【0241】
収縮率の測定を、原料を混合して水性スラリーを調製してから4時間の材齢で開始した。材料収縮率を、材料を75°F/50%RHで養生しながら、全部で約8週間にわたって測定した。
【0242】
以下の結論を、この調査および
図5Bから導きだすことができる。
【0243】
硫酸カルシウム(石膏粉)の組み込みは、フライアッシュ、アルミン酸カルシウムセメントおよびアルカリ金属クエン酸塩を含む本発明のジオポリマーセメント質組成物の亀裂耐性および寸法安定性の改善に著しい影響を及ぼした。離型すらしていないのにひび割れた比較例4の比較用混合物1収縮バー(石膏粉を含有しない)とは逆に、硫酸カルシウム(石膏粉)を含む実施例5の収縮バーは完全に安定しており、離型前も離型後もひび割れなかった。
【0244】
フライアッシュ、アルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム(石膏粉)およびアルカリクエン酸塩を含む本発明のジオポリマーセメント質組成物の測定最大収縮率は、フライアッシュおよびアルカリクエン酸塩だけを含有するセメント質組成物(実施例1)のものより著しく低かった。例えば、フライアッシュ、アルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム(石膏粉)およびアルカリクエン酸塩を含む本発明のジオポリマーセメント質組成物は、フライアッシュおよびアルカリクエン酸塩だけを含有する比較用混合物(実施例1)についての最大収縮率約0.75%に対して最大測定収縮率0.14%を有した。したがって、フライアッシュ、アルミン酸カルシウムセメントおよびアルカリクエン酸塩を含むセメント質組成物への硫酸カルシウムの添加は材料収縮率を極めて著しく低下させるのに役立つと結論づけることができる。
【0245】
凝結時間
表9は、実施例5で調査した本発明のジオポリマーセメント質組成物の凝結時間を示す。
【0246】
【表9】
【0247】
実施例5で調査したセメント質組成物は急速な凝結挙動を有し、終了時間は20〜40分であった。フライアッシュ、アルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム(石膏粉)およびアルカリクエン酸塩を含む本発明の開発されたセメント質組成物は、実施例1で見られるようなフライアッシュおよびアルカリクエン酸塩だけを含むセメント質組成物より相対的に長い凝結時間を有した。実施例1のフライアッシュおよびアルカリクエン酸塩を含むセメント質組成物の場合、終了時間は約15分であった。材料の可使時間(ポットライフ)が短いと、実際の現場での適用時に使用する機器およびツールによる急速凝結材料の加工に著しい困難が生じることから、極端に短い凝結時間は殆どの実際的な用途にとって問題となる。
【0248】
圧縮強度
表10は、実施例5で調査したフライアッシュ、アルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム(石膏粉)およびアルカリクエン酸塩を含む本発明の開発されたジオポリマーセメント質組成物の圧縮強度挙動を示す。
【0249】
【表10】
【0250】
ここでは、硫酸カルシウム二水和物(細粒石膏粉)と組み合わせてアルミン酸カルシウムセメントを組み込むことが、本発明の開発されたジオポリマーセメント質組成物の若材齢および極限圧縮強度挙動の両方に及ぼす影響を研究した。データは以下のことを示す。
【0251】
この実施例で調査した本発明のジオポリマーセメント質組成物の圧縮強度は、時間の関数として上昇し続けた。
【0252】
混合物の若材齢(4時間および24時間)強度は、セメント質組成物における石膏粉量の増加に伴って上昇した。
【0253】
材料の若材齢4時間での材齢4時間での圧縮強度は、本発明の調査対象であるジオポリマーセメント質組成物の成分として石膏粉を使用すると1400psiを越えた。
【0254】
材料の若材齢24時間での圧縮強度は、本発明の調査対象であるジオポリマーセメント質組成物の成分として石膏粉を使用すると2000psiを越えた。30部のアルミン酸カルシウムセメントおよび10部の硫酸カルシウムを含有する混合物3についての若材齢24時間での圧縮強度が約4150psiと極めて高かったことは注目に値する。
【0255】
この実施例で調査した本発明のジオポリマーセメント質組成物の28日後圧縮強度は極めて高く、混合物3で約6900psi、混合物4で約4000psiであった。
【0256】
この実施例で示す本発明の実施形態において、予期せぬことに、アルミノシリケートミネラル、アルカリ金属活性化剤、アルミン酸カルシウムセメントおよび硫酸カルシウムを混合すると、得られる反応は2つの別々の反応より発熱が少ないものとなり、またゲル化時間および硬化時間が著しく延びることが判明した。
【0257】
また、説明の段落で上述したようにアルミノシリケートミネラルおよびアルカリ金属活性化剤をアルミン酸カルシウムセメントおよび硫酸カルシウムと共に反応させると、材料収縮率が著しく低下することが判明した。
【0258】
実施例6
表11は、表6に示すように、この実施例で調査したジオポリマーセメント質組成物の原料組成を示す。この実施例の混合組成物で使用のアルミン酸カルシウムセメントの量は、フライアッシュの重量の30重量%に等しかった。硫酸カルシウム二水和物(石膏粉)を、調査した様々な混合組成物において異なる量レベル(フライアッシュおよびアルミン酸カルシウムセメントの重量の5、10、20および30重量%)で添加した。フライアッシュはC級フライアッシュ(キャンベルパワープラント社、ミシガン、ウェストオリーブ)であり、硫酸カルシウム二水和物はUSG社の石膏粉であり、アルミン酸カルシウムセメントはCiment Fondu(HAC Fondu)(ケルネオス社)であり、砂はQUIKRETE商用グレード細砂No.1961であり、高性能減水剤はWRグレース社のアドヴァキャスト500である。
【0259】
【表11】
【0260】
材料の初期流動挙動、スランプおよび若材齢亀裂挙動
表12は、実施例6で調査したフライアッシュ、アルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム(石膏粉)およびアルカリクエン酸塩を含む本発明のジオポリマーセメント質組成物の初期流動挙動およびスランプ特性を示す。
【0261】
【表12】
【0262】
スランプ試験で観察されたように、調査した混合組成物は全て良好な自己平滑化性、流動挙動および大きいパテ直径を有した。高スランプおよび自己平滑化挙動を、0.275と低い水/セメント系材料比で得ることができた。
【0263】
図6Aは、実施例6における本発明のジオポリマーセメント質組成物についてのスランプパテ写真である。この実施例のスランプパテは、乾燥させても、硫酸カルシウム(石膏粉)を含有しない比較例4のセメント質組成物とは対照的に亀裂を生じなかった。このため、フライアッシュ、アルミン酸カルシウムセメントおよびアルカリクエン酸塩を含むセメント質組成物に硫酸カルシウム(石膏粉)を組み込むことで、乾燥させても亀裂に対する優れた耐性を有する、寸法安定性ジオポリマーセメント質組成物が得られると結論づけることができる。
【0264】
収縮挙動
図6Bは、実施例6で調査した本発明のジオポリマーセメント質組成物の収縮挙動を示す。
図6Bは、硫酸カルシウム(硫酸カルシウム二水和物又は石膏粉)と組み合わせてアルミン酸カルシウムセメントを組み込むことが、本発明の開発されたジオポリマーセメント質組成物の収縮挙動に及ぼす影響を示す。
【0265】
収縮率の測定を、原料を混合して水性スラリーを調製してから4時間の材齢で開始した。材料収縮率を、材料を75°F/50%RHで養生しながら、全部で8週間にわたって測定した。
【0266】
以下の重要な結論を、この調査および
図6Bから導きだすことができる。
【0267】
硫酸カルシウム(石膏粉)の組み込みは、フライアッシュ、アルミン酸カルシウムセメントおよびアルカリクエン酸塩を含む本発明のジオポリマーセメント質組成物の亀裂耐性および寸法安定性の改善に著しい影響を及ぼした。離型すらしていないのにひび割れた比較例4の収縮バー(石膏粉を含有しない)とは逆に、硫酸カルシウム(細粒石膏粉)を含む実施例6の収縮バーは完全に安定しており、離型前も離型後もひび割れなかった。
【0268】
フライアッシュ、アルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム(細粒石膏粉)およびアルカリクエン酸塩を含む本発明のジオポリマーセメント質組成物の測定最大収縮率は、フライアッシュおよびアルカリクエン酸塩だけを含むセメント質組成物(実施例1)のものより著しく低かった。例えば、フライアッシュ、アルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム(細粒石膏粉)およびアルカリクエン酸塩を含む本発明のジオポリマーセメント質組成物は、フライアッシュおよびアルカリクエン酸塩だけを含む比較用混合物(実施例1)についての最大収縮率約0.75%に対して最大収縮率約0.13〜0.24%を有した。したがって、フライアッシュ、アルミン酸カルシウムセメントおよびアルカリクエン酸塩を含むセメント質組成物への細粒石膏粉の添加は、材料収縮率を著しく低下させるのに役立つ。
【0269】
この実施例で用いるレベルでの硫酸カルシウム(石膏粉)量における増加は、材料の最大収縮率における全体的な低下を招いた。16.7重量%の硫酸カルシウム(石膏粉)量では、材料収縮率が0.24%(混合物1)であったと観察することができる。硫酸カルシウム(石膏粉)量が33.3重量%および66.7重量%まで増加すると、材料収縮率が約0.13%(混合物2および混合物3)まで低下した。硫酸カルシウム(石膏粉)量が100重量%まで更に増加すると、収縮率が約0.15%まで若干上昇した。
【0270】
発熱およびスラリー温度上昇挙動
図6Cは、実施例6で調査した本発明のジオポリマーセメント質組成物の発熱およびスラリー温度上昇挙動を示す。フライアッシュ、アルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム(細粒石膏粉)およびアルカリクエン酸塩を含む実施例6のセメント質組成物は、ごく穏やかな温度上昇挙動しか示さなかった。養生段階中の材料内での発熱が穏やかであり、温度上昇が少ないことは、材料の過剰な熱膨張およびその結果として生じる亀裂および崩壊の防止にとって極めて重要である。このことは、実際の現場での適用において材料を厚く流し込む形で使用する場合により一層重要となる。この実施例で調査した本発明のジオポリマーセメント質組成物はこの特定の見地において極めて有益であると開示され、これは実際の現場での適用において熱膨張が小さくなり、また熱亀裂に対してより高い耐性を示し得るからである。
【0271】
凝結時間
表13は、フライアッシュ、アルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム(細粒石膏粉)およびアルカリクエン酸塩を含む実施例6で調査した本発明のジオポリマーセメント質組成物の凝結時間を示す。
【0272】
【表13】
【0273】
この実施例で調査したセメント質組成物は全て、30〜50分の終了時間を示した。対照的に、実施例1のフライアッシュおよびアルカリクエン酸塩を含むセメント質組成物は、約15分の終了時間を有した。
【0274】
圧縮強度
表14は、実施例6のフライアッシュ、アルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム(細粒石膏粉)およびアルカリクエン酸塩を含む本発明の開発されたジオポリマーセメント質組成物の若材齢および極限圧縮強度挙動を示す。
【0275】
【表14】
【0276】
以下の観察結果を、この研究から得ることができる。
【0277】
この実施例で調査した本発明のジオポリマーセメント質組成物の圧縮強度は、時間の関数として上昇し続けた。
【0278】
材料の若材齢4時間での圧縮強度は、本発明の調査対象であるジオポリマーセメント質組成物の成分として硫酸カルシウム(石膏粉)を使用すると750psiを越えた。
【0279】
材料の若材齢24時間での圧縮強度は、本発明の調査対象であるジオポリマーセメント質組成物の成分として硫酸カルシウム(石膏粉)を使用すると1500psiを越えた。
【0280】
この実施例で調査した本発明の全てのジオポリマーセメント質組成物の28日後圧縮強度はより少ない量の硫酸カルシウム(石膏粉)で極めて高く、硫酸カルシウム量の増加に伴って低下した。例えば、硫酸カルシウムが16.7%の混合物1および硫酸カルシウムが33.3%の混合物2の28日後圧縮強度は、それぞれ5221psiおよび4108psiであった。その一方で、硫酸カルシウムが100%の混合物4の場合、28日後圧縮強度は2855psiに低下した。
【0281】
実施例7
この実施例では、フライアッシュ、硫酸カルシウム(細粒硫酸カルシウム二水和物又は石膏粉)およびアルカリクエン酸塩を含有する混合物において異なる量レベルでアルミン酸カルシウムセメントを含む本発明の組成物を比較する。
【0282】
表15は、この実施例で調査したジオポリマーセメント質組成物の原料組成を示す。この実施例の混合組成物で使用のアルミン酸カルシウムセメントの量は、C級フライアッシュの重量の40、60および80重量%に等しかった。USG社の細粒石膏粉の形態の硫酸カルシウムを、アルミン酸カルシウムセメントの重量の30重量%、フライアッシュの13.3、20および26.7重量%の量レベルで添加した。アルミン酸カルシウムセメントはCiment Fondu(HAC Fondu)(ケルネオス社)であり、砂はQUIKRETE商用グレード細砂No.1961であり、高性能減水剤はアドヴァキャスト500(WRグレース社)である。
【0283】
【表15】
【0284】
材料の初期流動挙動、スランプおよび若材齢亀裂挙動
表16は、実施例7で調査したフライアッシュ、アルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム二水和物(細粒石膏粉)およびアルカリクエン酸塩を含む本発明のジオポリマーセメント質組成物の初期流動挙動およびスランプ特性を示す。
【0285】
【表16】
【0286】
スランプ試験で観察されたように、調査した混合組成物は全て良好な流動挙動を有した。
【0287】
収縮挙動
図7は、この実施例における本発明のジオポリマーセメント質組成物7の収縮挙動についてのデータを示す。
【0288】
収縮率の測定を、原料を混合して水性スラリーを調製してから4時間の材齢で開始した。材料収縮率を、材料を75°F/50%RHで養生しながら、全部で約8週間にわたって測定した。
【0289】
この実施例は以下のことを示した。
【0290】
離型すらしていないのにひび割れた比較例4の収縮バー(硫酸カルシウムを含有しない)とは逆に、硫酸カルシウム(細粒石膏粉)を含む実施例7の収縮バーは完全に安定しており、離型前も離型後もひび割れなかった。
【0291】
フライアッシュ、アルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム(細粒石膏粉)およびアルカリクエン酸塩を含む本発明のジオポリマーセメント質組成物は、フライアッシュおよびアルカリクエン酸塩だけを含有する比較用混合組成物(実施例1)についての最大収縮率約0.75%に対して約0.06%未満の極めて低い最大収縮率を有した。
【0292】
凝結時間
表17は、実施例7の本発明のジオポリマーセメント質組成物の凝結時間を示す。
【0293】
【表17】
【0294】
本発明のジオポリマーセメント質組成物は全て、急速な凝結挙動を示した。しかしながら、フライアッシュ、アルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム(細粒石膏粉)およびアルカリクエン酸塩を含む、この実施例で調査した本発明の混合組成物は、フライアッシュおよびアルカリクエン酸塩だけを含む従来技術のセメント質組成物(実施例1)より相対的に長い凝結時間を有した。フライアッシュ、アルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム二水和物(石膏粉)およびクエン酸カリウムを含む本発明のジオポリマーセメント質組成物:混合物1、2および3の終了時間は、フライアッシュおよびクエン酸カリウムだけを含有する混合組成物(実施例1)についての約15分という極めて急速な終了時間に対して約30〜約45分であった。
【0295】
圧縮強度
表18は、実施例7で調査したフライアッシュ、アルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム(細粒石膏粉)およびアルカリクエン酸塩を含む本発明の開発されたジオポリマーセメント質組成物の圧縮強度挙動を示す。
【0296】
【表18】
【0297】
以下の観察結果を得ることができる。
【0298】
この実施例で調査した本発明のジオポリマーセメント質組成物の圧縮強度は、時間と共に上昇し続けた。
【0299】
材料の若材齢4時間での圧縮強度は、本発明のジオポリマーセメント質組成物の一部としてアルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム(細粒石膏粉)およびアルカリクエン酸塩を使用すると1500psiを越えた。同様に、本発明の組成物の24時間後圧縮強度は1900psiを越えた。
【0300】
実施例8
この実施例では、表6に示すように混合された、フライアッシュ、アルミン酸カルシウムセメント、細粒無水硫酸カルシウム(すなわち無水石膏)の形態の硫酸カルシウムおよびアルカリクエン酸塩を含む本発明の開発されたジオポリマーセメント質組成物の物理的特性について説明する。表19は、この実施例で調査したジオポリマーセメント質組成物の原料組成を示す。混合物1は実施例8で調査した比較用組成物である。この実施例の混合組成物で使用のアルミン酸カルシウムセメントの量は、フライアッシュの重量の0、30、60および90重量%に等しかった。無水石膏(USG社のSNOW WHITEフィラー)を、調査した混合組成物中のアルミン酸カルシウムセメント(Ciment Fondu、HAC Fondu)の重量の33.33重量%並びにフライアッシュの0、10、20および30重量%の量で添加した。QUIKRETE商用グレード細砂No.1961およびBASF社のCASTAMENT FS20高性能減水剤を使用した。
【0301】
【表19】
【0302】
材料の初期流動挙動、スランプおよび若材齢亀裂挙動
表20は、実施例8で調査したフライアッシュ、アルミン酸カルシウムセメント、無水石膏の形態の硫酸カルシウムおよびアルカリクエン酸塩を含む本発明のジオポリマーセメント質組成物の初期流動挙動およびスランプ特性を示す。
【0303】
【表20】
【0304】
スランプ試験で観察されたように、調査した混合組成物は全て良好な自己平滑化性、流動挙動および大きいパテ直径を有した。このような高いスランプおよび自己平滑化挙動を0.25という低い水/セメント系材料比で得ることができたことは特に注目に値する。
【0305】
無水石膏の形態で硫酸カルシウムを含む4種の混合物全てのスランプパテが極めて良好な状態にあり、また亀裂を生じなかった。
【0306】
収縮挙動
図8は、実施例8で調査した本発明のジオポリマーセメント質組成物の収縮挙動を示す。収縮率の測定を、原料を混合して水性スラリーを調製してから4時間の材齢で開始した。材料収縮率を、材料を75°F/50%相対湿度(RH)で養生しながら、全部で約8週間にわたって測定した。
【0307】
以下の重要な結論を、この調査から導きだすことができる。
【0308】
離型すらしていないのにひび割れた比較例4の収縮バー(硫酸カルシウムを含有しない)とは逆に、アルミン酸カルシウムセメント、無水硫酸カルシウム(無水石膏)およびアルカリクエン酸塩を含む実施例8の収縮バーは完全に安定しており、離型前も離型後もひび割れなかった。
【0309】
フライアッシュ、アルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム(無水石膏)およびアルカリクエン酸塩を含む本発明のいくつかの実施形態のジオポリマーセメント質組成物は、フライアッシュおよびアルカリクエン酸塩だけを含有する比較用混合組成物(実施例1)についての最大収縮率約0.75%並びに同じくフライアッシュおよびアルカリクエン酸塩だけを含有する本実施例の比較用混合物1の約0.62%に対して0.21〜0.26%の最大収縮率を有する。
【0310】
最低収縮率が、フライアッシュ量の30重量%でアルミン酸カルシウムセメント、アルミン酸カルシウム量の33.3重量%で硫酸カルシウム(無水石膏)を含む混合物2について得られた。
【0311】
圧縮強度
表21は、実施例8で調査したフライアッシュ、アルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム(無水石膏)およびアルカリクエン酸塩を含む本発明の開発されたジオポリマーセメント質組成物の圧縮強度挙動を示す。
【0312】
【表21】
【0313】
この実施例では、無水石膏の形態の硫酸カルシウムと組み合わせてアルミン酸カルシウムセメントを組み込むことが、本発明の開発されたジオポリマーセメント質組成物の若材齢および極限圧縮強度挙動の両方に及ぼす影響を研究した。以下の重要な観察結果をこの研究から得ることができる。
【0314】
この実施例で調査した本発明のジオポリマーセメント質組成物の圧縮強度は、時間の関数として上昇し続けた。
【0315】
硫酸カルシウムを含有しない混合組成物(比較用混合物1)の若材齢圧縮強度および極限圧縮強度は共に、硫酸カルシウムを含む本発明のセメント質組成物(混合物2〜4)のものより低かった。
【0316】
アルミン酸カルシウムセメントおよび無水石膏の形態の硫酸カルシウムを含む本発明のジオポリマーセメント質組成物の若材齢(4時間および24時間)圧縮強度は並外れて高かった。例えば、アルミン酸カルシウムセメントをフライアッシュの60重量%、無水石膏をアルミン酸カルシウムセメントの33.33重量%の量で含む混合物3は、たった4時間で5032psi、24時間で6789psiの圧縮強度を達成した。同様に、アルミン酸カルシウムセメントをフライアッシュの80重量%、無水石膏をアルミン酸カルシウムセメントの33.33重量%の量で含む混合物4は、たった4時間で6173psi、24時間で8183psiの圧縮強度を達成した。
【0317】
フライアッシュ、アルミン酸カルシウム、無水石膏の形態の硫酸カルシウムおよびクエン酸カリウムを含む本発明の全てのジオポリマーセメント質組成物の28日後圧縮強度は並外れて高く、10000psi(69MPa)を越えた。
【0318】
したがって、実に驚くべきことに、不溶性の無水硫酸カルシウム(無水石膏又は死焼無水石膏)の使用が、相対的に可溶性が高い硫酸カルシウム二水和物の使用で得られるものより速い凝結、優れた圧縮強度発現速度および高い極限圧縮強度をもたらしたことが判明した(実施例7を参照のこと)。
【0319】
本発明の実施形態の別の予期せぬ特徴は、凝結挙動および圧縮強度が、本発明の組成物で使用する硫酸カルシウムのタイプに左右されることである。
【0320】
実施例9
表22は、表6に示すように、この実施例で調査したジオポリマーセメント質組成物の原料組成を示す。
【0321】
この実施例の混合組成物で使用のアルミン酸カルシウムセメントの量は、フライアッシュの重量の40重量%に等しかった。石膏粉を、アルミン酸カルシウムセメントの重量の33.3重量%、C級フライアッシュの13.3重量%の量で添加した。クエン酸ナトリウム2水和物を、調査した全ての混合組成物においてアルカリ金属化学活性化剤として使用した。この調査で用いる水対セメント系材料比は0.30に等しかった。QUIKRETE商用グレード細砂No.1961およびBASF社のCASTAMENT FS20高性能減水剤。
【0322】
【表22】
【0323】
材料のスランプおよび若材齢亀裂挙動
表23は、実施例9で調査したフライアッシュ、アルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム二水和物(細粒石膏粉)およびアルカリクエン酸塩を含む本発明の実施形態のジオポリマーセメント質組成物の初期流動挙動およびスランプ特性を示す。
【0324】
【表23】
【0325】
スランプ試験で観察されたように、0.75〜1.50の砂/セメント系材料比を有する混合組成物(混合物1、2および3)は良好な流動挙動を有した。その一方で、2.5の砂/セメント系材料比を有する混合組成物(混合物4)はごく堅練りで、流動特性は不良であった。
【0326】
収縮挙動
図9Aは、実施例9で調査した本発明のジオポリマーセメント質組成物の収縮挙動を示す。この調査の主な目的は、細粒硫酸カルシウム二水和物(石膏粉)およびアルカリクエン酸塩と組み合わせてアルミン酸カルシウムセメントを組み込むことが、混合物中に異なる量の砂を含有する本発明の開発されたジオポリマーセメント質組成物の収縮挙動に及ぼす影響を研究することであった。
【0327】
収縮率の測定を、原料を混合して水性スラリーを調製してから4時間の材齢で開始した。材料収縮率を、材料を75°F/50%RHで養生しながら、全部で約8週間にわたって測定した。
【0328】
以下の結論が、この実施例および
図9Aから導きだされる。
【0329】
離型前にひび割れた比較例4の収縮バー(硫酸カルシウムを含有しない混合物2)とは異なり、細粒石膏粉の形態で硫酸カルシウム二水和物を含む実施例9の収縮バーは完全に安定しており、離型前も離型後もひび割れなかった。
【0330】
フライアッシュ、アルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム二水和物(細粒石膏粉)およびアルカリクエン酸塩を含む本発明のジオポリマーセメント質組成物(実施例9)は、実施例1におけるフライアッシュおよびアルカリクエン酸塩を含有する比較用混合組成物についての最大収縮率約0.75%に対して最大収縮率0.05%未満の極めて低い収縮を示した。
【0331】
発熱およびスラリー温度上昇挙動
図9Bは、実施例9で調査した本発明のジオポリマーセメント質組成物の発熱およびスラリー温度上昇挙動を示す。フライアッシュ、アルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム(細粒石膏粉)およびアルカリクエン酸塩を含むこの実施例のセメント質組成物は、ごく穏やかな温度上昇挙動しか示さなかった。最大温度上昇幅は約100°Fにすぎず、正味の温度上昇幅は30°F未満であった。特にはごく若材齢の養生段階で材料が弱い場合により優れた熱安定性をもたらし且つ温度ムーブメントおよび熱亀裂が起きる可能性が低くなることから、温度上昇度が小さいことは殆どの用途において有益である。
【0332】
凝結時間
表24は、実施例9で調査した本発明のジオポリマーセメント質組成物の凝結時間を示す。
【0333】
【表24】
【0334】
この実施例で調査したセメント質組成物は全て、急速な凝結挙動を有した。フライアッシュ、アルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム(石膏粉)およびクエン酸ナトリウムを含むこの実施例の本発明のジオポリマーセメント質組成物の終了時間は、フライアッシュおよびクエン酸ナトリウムだけを含有する混合組成物(実施例1)についての約15分という極めて急速な終了時間に対して約55〜約65分であった。極端に短い凝結時間はいくつかの用途にとっては問題となる。
【0335】
圧縮強度
表25は、実施例9で調査したフライアッシュ、アルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム(細粒石膏粉)およびアルカリクエン酸塩を含む本発明の開発されたジオポリマーセメント質組成物の圧縮強度挙動を示す。
【0336】
【表25】
【0337】
以下の観察結果を、この研究から得ることができる。
【0338】
この実施例における本発明のジオポリマーセメント質組成物の圧縮強度は、時間の関数として上昇し続けた。この実施例で調査した本発明の様々なジオポリマー組成物は十分な若材齢および極限強度発現を成し遂げたと観察することができる。
【0339】
実施例10
表26は、実施例9と同じ、ジオポリマーセメント質組成物の原材料組成を示す。
【0340】
この実施例の混合組成物で使用のアルミン酸カルシウムセメントの量は、フライアッシュの重量の40重量%に等しかった。硫酸カルシウム二水和物(石膏粉)を、アルミン酸カルシウムセメントの重量の33.3重量%、C級フライアッシュの13.3重量%の量で添加した。クエン酸カリウムを、この実施例の全ての混合組成物におけるアルカリ金属化学活性化剤として使用した。この調査で用いた水対セメント系材料比は0.25に等しかった。高性能減水剤の量が本発明のセメント質組成物の性能に及ぼす影響をこの実施例において調査した。
【0341】
【表26】
【0342】
材料のスランプおよび若材齢亀裂挙動
表27は、実施例10で調査したフライアッシュ、アルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム(細粒石膏粉)およびアルカリクエン酸塩を含む本発明のジオポリマーセメント質組成物の初期流動挙動およびスランプ特性を示す。
【0343】
【表27】
【0344】
この実施例で調査した本発明の全ての混合組成物が良好な流動挙動を有したと観察することができる。組成物の流動挙動は、混合組成物への高性能減水剤の組み込みにより改善された。高性能減水剤量が0.80%を超えて増加しても流動およびスランプにおける改善は観察されなかった。
【0345】
収縮挙動
図10は、実施例10で調査した本発明のジオポリマーセメント質組成物の収縮挙動を示す。この調査の主な目的は、細粒硫酸カルシウム二水和物(石膏粉)およびアルカリクエン酸塩と組み合わせてアルミン酸カルシウムセメントを組み込むことが、混合物中に異なる量の高性能減水剤を含有する本発明の開発されたジオポリマーセメント質組成物の収縮挙動に及ぼす影響を研究することであった。
【0346】
収縮率の測定を、原料を混合して水性スラリーを調製してから4時間の材齢で開始した。材料収縮率を、材料を75°F/50%RHで養生しながら、全部で約8週間にわたって測定した。
【0347】
以下の結論を、この調査および
図10から導きだすことができる。
【0348】
離型前にひび割れた比較例4の収縮バー(硫酸カルシウムを含有しない混合物2)とは異なり、細粒石膏粉の形態で硫酸カルシウムを含む実施例10の収縮バーは完全に安定しており、離型前も離型後もひび割れなかった。
【0349】
フライアッシュ、アルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム二水和物(細粒石膏粉)およびアルカリクエン酸塩を含む本発明の一実施形態のジオポリマーセメント質組成物(実施例10)は、フライアッシュおよびアルカリクエン酸塩を含有する比較用混合組成物(実施例1)についての最大収縮率約0.75%に対して最大収縮率0.1%未満の極めて低い収縮を示した。
【0350】
収縮量は、高性能減水剤の量の増加に伴って若干上昇した。高性能減水剤量が0.4%の混合物2の場合、最大収縮率は約0.05%であったと観察することができ、その一方で、高性能減水剤量が1.2%の混合物4の場合、最大収縮率は約0.08%の値まで若干上昇した。
【0351】
圧縮強度
表28は、実施例10で調査したフライアッシュ、アルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム(細粒石膏粉)およびアルカリクエン酸塩を含む本発明の開発されたジオポリマーセメント質組成物の圧縮強度挙動を示す。
【0352】
【表28】
【0353】
以下の観察結果を、この研究から得ることができる。
【0354】
本発明のこの実施形態のジオポリマーセメント質組成物の圧縮強度は、時間の関数として上昇し続けた。調査した様々な組成物は十分な若材齢および極限強度に達した。
【0355】
フライアッシュ、アルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム二水和物(石膏粉)およびアルカリクエン酸塩を含む本発明のジオポリマーセメント質組成物の若材齢(4時間および24時間)圧縮強度は並外れて高く、材齢4時間で2000psiを越え、材齢24時間で3000psiを越えた。
【0356】
フライアッシュ、アルミン酸カルシウム、硫酸カルシウム二水和物(石膏粉)およびアルカリクエン酸塩を含む本発明の全てのジオポリマーセメント質組成物の28日後圧縮強度は並外れて高く、約4750〜約6750psiであった。
【0357】
実施例11
表29、30は、この実施例で調査したセメント質組成物の原料組成を示す。
【0358】
この実施例の混合組成物で使用のアルミン酸カルシウムセメントの量は、フライアッシュの重量の40重量%に等しかった。この調査で使用の石膏粉は、アルミン酸カルシウムセメントの重量の33.33重量%の量レベルで添加された。ポルトランドセメントは、混合物1〜混合物3に、全セメント系材料のそれぞれ6.1、14および24.6重量%の割合の量で添加された。水対セメント系材料比は、調査した全ての混合物について0.275に等しかった。C級フライアッシュ(キャンベルパワープラント社、ミシガン、ウェストオリーブ)、USG社の石膏粉、Ciment Fondu(HAC Fondu)(ケルネオス社)アルミン酸カルシウムセメント、ポルトランドセメントタイプI(ホルシム社、アイオワ、メイソンシティ)、QUIKRETE商用グレード細砂No.1961およびアドヴァキャスト500(WRグレース社)。
【0359】
【表29】
【0360】
【表30】
【0361】
初期流動挙動およびスランプ
表31は、実施例11で調査したフライアッシュ、アルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム(石膏粉)、ポルトランドセメントおよびアルカリクエン酸塩を含むセメント質組成物の初期流動挙動およびスランプ特性を示す。
【0362】
【表31】
【0363】
組成物中のポルトランドセメントの量の増加は、組成物の流動およびスランプ挙動に悪影響を及ぼした。
【0364】
収縮挙動
図11は、実施例11で調査した本発明のジオポリマーセメント質組成物の収縮挙動を示す。収縮率の測定を、原料を混合して水性スラリーを調製してから4時間の材齢で開始した。材料収縮率を、材料を75°F/50%RHで養生しながら、全部で約8週間にわたって測定した。
【0365】
以下の重要な結論を、この実施例および
図11から導きだすことができる。ポルトランドセメントの組み込みは、調査したセメント質組成物の収縮率を著しく上昇させた。調査した様々な混合物についての極限収縮率の値を、表32にまとめた。
【0366】
【表32】
【0367】
上の説明で詳細に論じたように、この実施例は、ポルトランドセメントを本発明の実施形態に添加して得られる予期せぬ結果が、ポルトランドセメントが組成物の収縮挙動に悪影響を及ぼすことであったことを示す。収縮の大きさは、この実施例により、組成物中のポルトランドセメントの量の増加に比例して増大すると示される。
【0368】
フライアッシュ、アルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウムおよびアルカリクエン酸塩を含む本発明のセメント質組成物へのポルトランドセメントの添加は、材料収縮率を著しく上昇させる。
【0369】
この実施形態の試験に基づいて、本発明の寸法安定性ジオポリマー組成物へのポルトランドセメントの添加は推奨されず、その添加はごく少量に制限されるべきであり、好ましくはセメント系材料の総重量の15重量%を越えない。
【0370】
実施例12
表33は、この実施例12で調査したジオポリマーセメント質組成物の原料組成を示す。
【0371】
この実施例では、組成物におけるフィラーとしての砂および軽量セラミック微小球の両方の組み込みについて調査した。クエン酸ナトリウムを、全セメント系材料の重量の2重量%の量で添加した。硫酸カルシウム二水和物をフライアッシュの13.3重量%の量で添加し、アルミン酸カルシウムをC級フライアッシュの40重量%の量で添加した。C級フライアッシュ(キャンベルパワープラント社、ミシガン、ウェストオリーブ)、USG社の石膏粉、アルミン酸カルシウムセメント(Ciment Fondu(HAC Fondu)、ケルネオス社)、QUIKRETE商用グレード細砂No.1961、セラミック微小球(キッシュカンパニー(Kish Company)社)およびBASF社のCASTAMENT FS20高性能減水剤。
【0372】
【表33】
【0373】
材料の初期流動挙動、スランプおよび若材齢亀裂挙動
【0374】
表34は、軽量フィラーを含む、この実施例で調査したジオポリマーセメント質組成物の初期流動挙動およびスランプを示す。
【0375】
【表34】
【0376】
表34に示す結果に基づいて、軽量フィラーを含む本発明の混合組成物は良好な加工性および自己平滑化特性を有すると結論づけることができる。
【0377】
収縮挙動
図12は、実施例12で調査した本発明のジオポリマーセメント質組成物の収縮挙動を示す。
【0378】
収縮率の測定を、原料を混合して水性スラリーを調製してから4時間の材齢で開始した。材料収縮率を、材料を75°F/50%RHで養生しながら、全部で約8週間にわたって測定した。
【0379】
軽量フィラーが組み込まれた本発明のセメント質組成物は、時間の関数として極めて小さい寸法変動(dimensional movement)を示したことが観察される。
【0380】
pH
表39で言及した、十分に養生したジオポリマー組成物の表面pHをASTM F710−11試験法に準拠して測定し、9.82であると判明した。エクステック(Extech)社のPH150−Cエクスティック(Exstick)コンクリートpHメータを使用して表面pHを測定した。
【0381】
実施例13
表35は、この実施例13で調査したジオポリマーセメント質組成物の原料組成を示す。この実施例では、組成物にアルミン酸カルシウムセメントおよびスルホアルミン酸カルシウムセメントの両方を組み込む。硫酸カルシウム二水和物をC級フライアッシュの10重量%の量で添加し、アルミン酸カルシウムセメントをフライアッシュの10、20および40重量%の量で添加した。スルホアルミン酸カルシウムセメントを、フライアッシュの20重量%の量で添加した。フライアッシュはC級フライアッシュ(キャンベルパワープラント社、ミシガン、ウェストオリーブ)である。USG社の石膏粉硫酸カルシウム二水和物、(デンカ(Denka)SC1)アルミン酸カルシウムセメント、ファストロック(FASTROCK)500(CTSカンパニー社)スルホアルミン酸カルシウム、QUIKRETE商用グレード細砂No.1961およびBASF社のCASTAMENT FS20高性能減水剤を用いた。クエン酸ナトリウムを、セメント系材料の重量の2重量%の量で添加した。
【0382】
【表35】
【0383】
初期流動挙動およびスランプ
表36は、実施例13で調査したフライアッシュ、アルミン酸カルシウムセメント、スルホアルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム(石膏粉)およびアルカリクエン酸塩を含む本発明のいくつかの実施形態のセメント質組成物の初期流動挙動およびスランプ特性を示す。
【0384】
【表36】
【0385】
表36に示す結果に基づいて、アルミン酸カルシウムセメントおよびスルホアルミン酸カルシウムセメントを含む本発明の混合組成物は、良好な加工性および自己平滑化特性を有する。
【0386】
圧縮強度
表37は、実施例13で調査したフライアッシュ、アルミン酸カルシウムセメント、スルホアルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム二水和物(細粒石膏粉)およびアルカリクエン酸塩を含む本発明のいくつかの実施形態の開発されたジオポリマーセメント質組成物の圧縮強度挙動を示す。
【0387】
【表37】
【0388】
以下の結論が、この研究から導きだされる。
【0389】
アルミン酸カルシウムセメントおよびスルホアルミン酸カルシウムセメントの両方を含む本発明のいくつかの実施形態のジオポリマーセメント質組成物の圧縮強度は、時間の関数として上昇し続けた。調査した様々な組成物は、十分な初期および極限強度に達した。
【0390】
フライアッシュ、アルミン酸カルシウムセメント、スルホアルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム二水和物(石膏粉)およびアルカリクエン酸塩を含む本発明のいくつかの実施形態のジオポリマーセメント質組成物の若材齢(4時間および24時間)圧縮強度は並外れて高く、材齢4時間で約2500psiを越え、材齢24時間で約3400psiを越えた。
【0391】
フライアッシュ、アルミン酸カルシウム、スルホアルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム(石膏粉)およびアルカリクエン酸塩を含む本発明のいくつかの実施形態の全てのジオポリマーセメント質組成物の28日後圧縮強度は並外れて高く、約7000psiを越えた。
【0392】
実施例14
この実施例は、フライアッシュ、アルミン酸カルシウムセメント、細粒硫酸カルシウム二水和物の形態の硫酸カルシウムおよびアルカリクエン酸塩を含む本発明の開発されたジオポリマーセメント質組成物の物理的特性を示す。表38は、この実施例で調査したジオポリマーセメント質組成物の原料組成を示す。混合物は全てアルミン酸カルシウムセメントを含有し、主要アルミン酸カルシウム相はドデカカルシウムヘプタ−アルミネート(12CaO・7Al
2O
3又はC
12A
7)であった。このアルミン酸カルシウムセメントは、ケルネオス社から商品名ターナルEV(TERNAL EV)として市販されている。この実施例の混合組成物で使用のアルミン酸カルシウムセメントの量は、フライアッシュの重量の10、20、30および40重量%に等しかった。この実施例で使用の細粒硫酸カルシウム二水和物は13ミクロンの平均粒径を有し、商品名USGテラアルバフィラー(USG Terra Alba Filler)としてUSGカンパニー社から入手可能である。硫酸カルシウム二水和物を、調査した混合組成物中のアルミン酸カルシウムセメントの重量の50重量%、フライアッシュの5、10、15および20重量%の量で添加した。
【0393】
【表38】
【0394】
材料のスランプ挙動および若材齢亀裂挙動
表39は、実施例14のフライアッシュ、アルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム二水和物およびアルカリクエン酸塩を含む本発明のジオポリマーセメント質組成物のスランプ挙動を示す。
【0395】
【表39】
【0396】
スランプ試験で観察されたように、調査した混合組成物は全て良好な流動度を有した。
【0397】
細粒硫酸カルシウム二水和物を含む4種の混合物全てについてのスランプパテが極めて良好な状態にあり、また亀裂を生じなかった。
【0398】
収縮挙動
図13は、実施例14における本発明のジオポリマーセメント質組成物の収縮挙動を示す。収縮率の測定を、原料を混合して水性スラリーを調製してから4時間の材齢で開始した。材料収縮率を、材料を75°F/50%相対湿度(RH)で養生しながら、全部で約8週間にわたって測定した。
【0399】
以下の重要な結論を、この調査から導きだすことができる。
【0400】
離型すらしていないのにひび割れた比較例4の収縮バー(硫酸カルシウムを含有しない)とは逆に、アルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム二水和物およびアルカリクエン酸塩を含む実施例14の収縮バーは完全に安定しており、離型前も離型後もひび割れなかった。
【0401】
フライアッシュ、アルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム二水和物およびアルカリクエン酸塩を含む本発明のいくつかの実施形態のジオポリマーセメント質組成物は、フライアッシュおよびアルカリクエン酸塩だけを含有する比較用混合組成物(実施例1)についての最大収縮率約0.75%に対して0.04〜0.08%の最大測定収縮率を有する。
【0402】
最大収縮量は、組成物中のアルミン酸カルシウムセメントの量の増加に伴って低下した。アルミン酸カルシウムセメントをフライアッシュ量の10重量%で含む混合物1は約0.08%の最大収縮率を有し、その一方で、アルミン酸カルシウムセメントをフライアッシュ量の30重量%で含む混合物3の最大収縮率はたった約0.05%であり、アルミン酸カルシウムセメントをフライアッシュ量の40重量%で含む混合物4の最大収縮率はたった約0.04%であった。
【0403】
凝結時間
表40は、実施例14で調査した本発明のジオポリマーセメント質組成物の凝結時間を示す。
【0404】
【表40】
【0405】
この実施例で調査したジオポリマーセメント質組成物は全て、急速な凝結挙動を有した。この実施例の本発明のジオポリマーセメント質組成物の終了時間は、フライアッシュおよびクエン酸ナトリウムだけを含有する混合組成物(実施例1)についての約15分という極めて急速な終了時間に対して約69〜約76分であった。極端に短い凝結時間はいくつかの用途にとっては問題となり得ることに留意すべきである。
【0406】
圧縮強度
表41は、実施例14で調査したフライアッシュ、アルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム二水和物およびアルカリクエン酸塩を含む本発明の開発されたジオポリマーセメント質組成物の圧縮強度挙動を示す。
【0407】
【表41】
【0408】
この実施例では、細粒硫酸カルシウム二水和物と組み合わせてアルミン酸カルシウムセメントを組み込むことが、本発明の開発されたジオポリマーセメント質組成物の若材齢および極限圧縮強度挙動の両方に及ぼす影響を研究した。以下の重要な観察結果を、この研究から得ることができる。
【0409】
この実施例で調査した本発明のジオポリマーセメント質組成物の圧縮強度は、時間の関数として上昇し続けた。フライアッシュ、アルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム二水和物およびクエン酸カリウムを含む本発明の全てのジオポリマーセメント質組成物の28日後圧縮強度は並外れて高く、5000psiを越えた。さらに、本発明の全てのジオポリマーセメント質組成物の56日後圧縮強度はより一層高く、7000psiを越えた。
【0410】
アルミン酸カルシウムセメントをフライアッシュ量の20重量%で含む混合物2は、材齢56日で9500psiを越える最高極限圧縮強度を示した。
【0411】
実施例15
この実施例では、異なる形態の硫酸カルシウムが、フライアッシュ、アルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウムおよびアルカリクエン酸塩を含む本発明の開発されたジオポリマーセメント質組成物の物理的特性に及ぼす影響について説明する。3種の異なるタイプの硫酸カルシウム:硫酸カルシウム二水和物、無水硫酸カルシウム(無水石膏)、硫酸カルシウム半水和物を比較した。表42は、この実施例で調査したジオポリマーセメント質組成物の原料組成を示す。混合物は全てアルミン酸カルシウムセメントを含有し、主要アルミン酸カルシウム相はドデカカルシウムヘプタ−アルミネート(12CaO・7Al
2O
3又はC
12A
7)であった。このアルミン酸カルシウムセメントは、ケルネオス社から商品名ターナルEVとして市販されている。この実施例の混合組成物で使用のアルミン酸カルシウムセメントの量は、フライアッシュの重量の20重量%に等しかった。この実施例で調査した様々な混合組成物が含有する硫酸カルシウムのタイプは以下の通りであった:混合物1の硫酸カルシウム二水和物、混合物2の無水硫酸カルシウム(無水石膏)および混合物3の硫酸カルシウム半水和物。硫酸カルシウムは全て、調査した混合組成物中のアルミン酸カルシウムセメントの重量の50重量%、フライアッシュの10重量%に等しい量で添加された。
【0412】
【表42】
【0413】
材料のスランプ挙動および若材齢亀裂挙動
表43は、実施例15で調査した本発明のジオポリマーセメント質組成物のスランプ挙動を示す。
【0414】
【表43】
【0415】
スランプ試験で観察されたように、調査した混合組成物は全て良好な流動度を有した。無水硫酸カルシウム(混合物2)および硫酸カルシウム半水和物(混合物3)を含有する混合組成物が硫酸カルシウム二水和物を含有する混合物(混合物1)より良好な流動度を示したことは注目に値する。
【0416】
異なる形態の硫酸カルシウムを含む3種の混合物全てについてのスランプパテが極めて良好な状態にあり、また亀裂を生じなかった。
【0417】
収縮挙動
図14は、実施例15で調査した本発明のジオポリマーセメント質組成物の収縮挙動を示す。収縮率の測定を、原料を混合して水性スラリーを調製してから4時間の材齢で開始した。材料収縮率を、材料を75°F/50%相対湿度(RH)で養生しながら、全部で約8週間にわたって測定した。
【0418】
以下の重要な結論を、この調査から導きだすことができる。
【0419】
離型前にひび割れた比較例4の収縮バー(硫酸カルシウムを含有しない)とは逆に、アルミン酸カルシウムセメント、異なる形態の硫酸カルシウムおよびアルカリクエン酸塩を含む実施例15の収縮バーは完全に安定しており、離型前も離型後もひび割れなかった。
【0420】
フライアッシュ、アルミン酸カルシウムセメント、異なる形態の硫酸カルシウムおよびアルカリクエン酸塩を含む本発明のいくつかの実施形態のジオポリマーセメント質組成物は、フライアッシュおよびアルカリクエン酸塩だけを含有する比較用混合組成物(実施例1)についての最大収縮率約0.75%に対して最大収縮率0.06〜0.10%を有した。
【0421】
最大収縮量は、組成物中の硫酸カルシウムのタイプに応じて変化した。硫酸カルシウム二水和物を含む混合物1および硫酸カルシウム半水和物を含む混合物3は、約0.10%の最大収縮率を示した無水硫酸カルシウム(無水石膏)を含む混合物3より低い約0.06%の最大収縮率を有した。
【0422】
凝結時間
表44は、実施例15で調査した本発明のジオポリマーセメント質組成物の凝結時間を示す。
【0423】
【表44】
【0424】
この実施例で調査したジオポリマーセメント質組成物は全て、急速な凝結挙動を示した。この実施例の本発明のジオポリマーセメント質組成物の終了時間は、フライアッシュおよびクエン酸ナトリウムだけを含有する混合組成物(実施例1)についての約15分という極めて急速な終了時間に対して約42〜約71分であった。極端に短い凝結時間はいくつかの用途にとっては問題となり得ることに留意すべきである。
【0425】
本発明のジオポリマーセメント質組成物の凝結時間は、混合組成物の一部として用いる硫酸カルシウムのタイプに左右された。無水硫酸カルシウム(無水石膏)を含む組成物(混合物2)は最速の凝結時間を示し、その一方で、硫酸カルシウム二水和物を含むもう一方の本発明の組成物(混合物1)は最長の凝結時間を示した。
【0426】
圧縮強度
表45は、実施例15で調査した異なるタイプの硫酸カルシウムを含む本発明の開発されたジオポリマーセメント質組成物の圧縮強度挙動を示す。
【0427】
【表45】
【0428】
この実施例では、異なるタイプの硫酸カルシウムを組み込むことが、本発明の開発されたジオポリマーセメント質組成物の若材齢および極限圧縮強度挙動の両方に及ぼす影響を研究した。以下の重要な観察結果を、この研究から得ることができる。
【0429】
本発明のジオポリマーセメント質組成物の圧縮強度は、混合物で使用する硫酸カルシウムのタイプに関係なく時間の関数として上昇し続けた。
【0430】
異なるタイプの硫酸カルシウム、フライアッシュ、アルミン酸カルシウムセメントおよびクエン酸カリウムを含む本発明のジオポリマーセメント質組成物の28日後および56日後圧縮強度は共に並外れて高く、7000psiを越えた。
【0431】
無水硫酸カルシウム(無水石膏)を含む混合物2は、硫酸カルシウム二水和物を含有する混合物(混合物1)および硫酸カルシウム半水和物を含有する混合物(混合物3)と比較して最も速い圧縮強度発現速度および最高極限圧縮強度を有した。
【0432】
無水硫酸カルシウム(無水石膏)を含む本発明のジオポリマー組成物の極限圧縮強度は、10000psiを越えた。
【0433】
実施例16
この実施例では、フライアッシュ、アルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム半水和物をアルカリ金属水酸化物(水酸化ナトリウム)又はアルカリ金属水酸化物(水酸化ナトリウム)と酸(クエン酸)との混合物と共に含む本発明のこの実施形態の開発されたジオポリマーセメント質組成物の物理的特性について研究する。
【0434】
表46は、この実施例で調査したジオポリマーセメント質組成物の原料組成を示す。混合物は全てアルミン酸カルシウムセメントを含有し、主要アルミン酸カルシウム相はドデカカルシウムヘプタ−アルミネート(12CaO・7Al
2O
3又はC
12A
7)であった。このアルミン酸カルシウムセメントは、ケルネオス社から商品名ターナルEVとして市販されている。この実施例の混合組成物で使用のアルミン酸カルシウムセメントの量は、フライアッシュの重量の20重量%に等しかった。調査した1つの混合物(混合物2)は、化学活性化剤として水酸化ナトリウムだけを含有し、クエン酸を含有しなかった。混合物3、混合物4および混合物5においては、水酸化ナトリウムとクエン酸との混合物を、化学活性化剤として作用するように本発明のセメント質組成物に添加した。同様に、混合物の1つ(混合物1)は、化学的活性化用にクエン酸だけを含有し、水酸化ナトリウムを含有しなかった。
【0435】
【表46】
【0436】
スランプ挙動
表47は、実施例16で調査した本発明のジオポリマーセメント質組成物のスランプ挙動を示す。
【0437】
【表47】
【0438】
クエン酸は含有するが水酸化ナトリウムは含有しない混合物1の場合、ミキサ材料は極端に堅練りであり、混合すると完全に加工不可能となった。その一方で、水酸化ナトリウム(混合物2)又は水酸化ナトリウムとクエン酸とのブレンド物(混合物3、混合物4および混合物5)を含有する混合組成物は、スランプ試験におけるその相対的に大きいパテ直径によっても示されるように加工が容易であった。この良好な加工性は、約0.30という極めて低い水/セメント系材料比であっても得ることができた。標準ポルトランドセメントをベースとした又は石膏をベースとした材料の場合、このような流動特性および自己平滑化挙動は、水/セメント系材料比が約0.45を超えた場合にのみ得られる。
【0439】
収縮挙動
図15は、実施例16で調査した本発明のジオポリマーセメント質組成物の収縮挙動を示す。収縮率の測定を、原料を混合して水性スラリーを調製してから4時間の材齢で開始した。材料収縮率を、材料を75°F/50%相対湿度(RH)で養生しながら、全部で約8週間にわたって測定した。
【0440】
以下の重要な結論を、この調査および
図15から導きだすことができる。
【0441】
離型すらしていないのにひび割れた比較例4の収縮バー(硫酸カルシウムを含有しない)とは逆に、アルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム半水和物、アルカリ金属水酸化物(クエン酸あり又はクエン酸なし)を含む実施例16の収縮バーは完全に安定しており、離型前も離型後もひび割れなかった。
【0442】
化学活性化剤として水酸化ナトリウムだけを含む本発明のセメント質組成物(混合物2)は、約0.05%未満の極めて低い最大収縮率を示した。化学活性化剤として水酸化ナトリウムとクエン酸とのブレンド物を含む本発明のセメント質組成物(混合物3、混合物4および混合物5)も、約0.10%未満の極めて低い最大収縮率を示した。1%の水酸化ナトリウムおよび最高1%のクエン酸を含有するセメント質組成物(混合物3および混合物4)が約0.05%未満の極めて低い最大収縮率を有したことは注目に値する。1%の水酸化ナトリウムおよび2%のクエン酸を含有する混合物5の場合、最大収縮率は約0.08%まで上昇した。
【0443】
凝結時間
表48は、実施例16で調査した本発明のジオポリマーセメント質組成物の凝結時間を示す。
【0444】
【表48】
【0445】
この実施例で調査したジオポリマーセメント質組成物(混合物2〜混合物5)は全て極めて急速な凝結挙動を示し、終了時間は約62〜172分であった。水酸化ナトリウムを含有しない混合物1の場合、終了時間は極めて長く、5時間を超えた。その一方で、水酸化ナトリウムとクエン酸とのブレンド物を含有する混合物(混合物4および混合物5)は極めて急速な凝結挙動を示し、終了時間は約1時間であった。
【0446】
圧縮強度
表49は、実施例16で調査した本発明の開発されたジオポリマーセメント質組成物の圧縮強度挙動を示す。
【0447】
【表49】
【0448】
以下の重要な結論を、この研究から導きだすことができる。
【0449】
アルカリ金属塩基(水酸化ナトリウム)を含有しないセメント質組成物(混合物1)は、極めて不良な圧縮強度挙動を示した。この混合物(混合物1)についての若材齢および極限圧縮強度は共に極めて低く、水酸化ナトリウム(混合物2)又は水酸化ナトリウムとクエン酸との混合物(混合物3〜混合物5)を含む本発明のジオポリマー組成物に著しく劣っていた。
【0450】
水酸化ナトリウムとクエン酸との混合物を含む本発明の全てのジオポリマーセメント質組成物(混合物3〜混合物5)の28日後圧縮強度は並外れて高く、5000psiを越えた。さらに、水酸化ナトリウムとクエン酸との混合物を含む本発明の全てのジオポリマーセメント質組成物(混合物3〜混合物5)の56日後圧縮強度はより一層高く、7500psiを越えた。
【0451】
実施例17
この実施例では、フライアッシュ、アルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム半水和物をアルカリ金属ケイ酸塩(ケイ酸ナトリウム)又はアルカリ金属ケイ酸塩(ケイ酸ナトリウム)と酸(クエン酸)との混合物と共に含む本発明のこの実施形態の開発されたジオポリマーセメント質組成物の物理的特性について研究する。
【0452】
表50は、この実施例で調査したジオポリマーセメント質組成物の原料組成を示す。混合物は全てアルミン酸カルシウムセメントを含有し、主要アルミン酸カルシウム相はドデカカルシウムヘプタ−アルミネート(12CaO・7Al
2O
3又はC
12A
7)であった。このアルミン酸カルシウムセメントは、ケルネオス社から商品名ターナルEVとして市販されている。この実施例の混合組成物で使用のアルミン酸カルシウムセメントの量は、フライアッシュの重量の20重量%に等しかった。混合物1〜混合物3は化学的活性剤としてケイ酸ナトリウムだけを含有し、クエン酸を含有しなかった。混合物4および混合物5においては、ケイ酸ナトリウムとクエン酸との混合物を、化学活性化剤として作用するように本発明のセメント質組成物に添加した。
【0453】
【表50】
【0454】
スランプ挙動
表51は、実施例17で調査した本発明のジオポリマーセメント質組成物のスランプ挙動を示す。
【0455】
【表51】
【0456】
ケイ酸ナトリウムだけ(混合物1〜混合物3)又はケイ酸ナトリウムとクエン酸とのブレンド物(混合物4および混合物5)を含有する混合組成物は、スランプ試験におけるその相対的に大きいパテ直径によって示されるように加工が容易であった。良好な加工性は、約0.30という極めて低い水/セメント系材料比であっても得ることができた。標準ポルトランドセメントをベースとした又は石膏をベースとした材料の場合、このような流動特性および自己平滑化挙動は、水/セメント系材料比が約0.45を超えた場合にのみ得られる。
【0457】
収縮挙動
図16は、実施例17で調査した本発明のジオポリマーセメント質組成物の収縮挙動を示す。収縮率の測定を、原料を混合して水性スラリーを調製してから4時間の材齢で開始した。材料収縮率を、材料を75°F/50%相対湿度(RH)で養生しながら、全部で約8週間にわたって測定した。
【0458】
以下の重要な結論を、この調査および
図16から導きだすことができる。
【0459】
離型前にひび割れた比較例4の収縮バー(硫酸カルシウムを含有しない)とは逆に、アルミン酸カルシウムセメント、硫酸カルシウム半水和物、アルカリ金属ケイ酸塩(クエン酸あり又はクエン酸なし)を含む実施例17の収縮バーは完全に安定しており、離型前も離型後もひび割れなかった。
【0460】
ケイ酸ナトリウム又はケイ酸ナトリウムとクエン酸とのブレンド物を化学活性化剤として含む本発明のジオポリマーセメント質組成物は全て、約0.05%未満の極めて低い最大収縮率を示した。
【0461】
凝結時間
表52は、実施例17で調査した本発明のジオポリマーセメント質組成物の凝結時間を示す。
【0462】
【表52】
【0463】
ケイ酸ナトリウムを含むこの実施例で調査したジオポリマーセメント質組成物は全て、水酸化ナトリウムを含む、実施例16で調査した本発明のジオポリマー組成物より緩慢な凝結挙動を示した。混合物1〜混合物4は5時間を超える終了時間を有した。ケイ酸ナトリウムとクエン酸とのブレンド物を含む混合物5は最も速く凝結し、終了時間は約3時間45分であった。
【0464】
圧縮強度
表53は、実施例17で調査した本発明の開発されたジオポリマーセメント質組成物の圧縮強度挙動を示す。
【0465】
【表53】
【0466】
以下の重要な結論を、この研究から導きだすことができる。
【0467】
アルカリ金属塩基(ケイ酸ナトリウム)を含有しないセメント質組成物(実施例16の混合物1)は極めて不良な圧縮強度挙動を示した。ケイ酸ナトリウム又はケイ酸ナトリウムとクエン酸とのブレンド物を化学活性化剤として含む混合組成物の極限圧縮強度は、ケイ酸ナトリウムが不在の混合物(実施例16の混合物1)の圧縮強度よりはるかに優れていた。
【0468】
ケイ酸ナトリウム又はケイ酸ナトリウムとクエン酸とのブレンド物を含む、この実施例で調査した本発明の全てのジオポリマーセメント質組成物の極限圧縮強度は十分なものであり、約4000psiを越えた。
【0469】
実施例18
この実施例の目的は、アルミン酸カルシウムセメントとスルホアルミン酸カルシウムセメントとのブレンド物が、本発明のジオポリマーセメント質組成物の物理的特性に及ぼす影響を研究することであった。表54は、この実施例で調査したジオポリマーセメント質組成物の原料組成を示す。混合物は全てアルミン酸カルシウムセメントを含有し、主要アルミン酸カルシウム相はドデカカルシウムヘプタ−アルミネート(12CaO・7Al
2O
3又はC
12A
7)であった。このアルミン酸カルシウムセメントは、ケルネオス社から商品名ターナルEVとして市販されている。混合物2〜混合物5は、アルミン酸カルシウムセメントとスルホアルミン酸カルシウムセメントとのブレンド物を含有した。使用したスルホアルミン酸カルシウムセメントは、CTSカンパニー社のファストロック500であった。混合物5は、炭酸リチウムを含む本発明のジオポリマー組成物の性能を示す。
【0470】
【表54】
【0471】
材料のスランプ挙動および若材齢亀裂挙動
【0472】
表55は、実施例18で調査した本発明のジオポリマーセメント質組成物のスランプ挙動を示す。
【0473】
【表55】
【0474】
調査した混合組成物は全て、スランプ試験で観察されるように良好な流動度を有した。
【0475】
5種の混合物全てについてのスランプパテが極めて良好な状態にあり、また亀裂を生じなかった。
【0476】
収縮挙動
図17は、実施例18で調査した本発明のジオポリマーセメント質組成物の収縮挙動を示す。収縮率の測定を、原料を混合して水性スラリーを調製してから4時間の材齢で開始した。材料収縮率を、材料を75°F/50%相対湿度(RH)で養生しながら、全部で約8週間にわたって測定した。
【0477】
以下の重要な結論を、この調査から導きだすことができる。
【0478】
離型すらしていないのにひび割れた比較例4の収縮バー(硫酸カルシウムを含有しない)とは逆に、実施例18の収縮バーは完全に安定しており、離型前も離型後もひび割れなかった。
【0479】
この実施例で調査した本発明の実施形態のジオポリマーセメント質組成物は、フライアッシュおよびアルカリクエン酸塩だけを含有する比較用混合組成物(実施例1)の最大収縮率約0.75%に対して0.10%未満の最大収縮率を有した。
【0480】
この実施例で得られた結果は、アルミン酸カルシウムセメントとスルホアルミン酸カルシウムセメントとの異なるブレンド物を含む本発明のジオポリマーセメント質組成物が極めて低い収縮率でもって優れた寸法安定性をもたらすことができることも実証している。
【0481】
凝結時間
表56は、実施例18で調査した本発明のジオポリマーセメント質組成物の凝結時間を示す。
【0482】
【表56】
【0483】
この実施例で調査したジオポリマーセメント質組成物は全て、急速な凝結挙動を有した。この実施例の本発明のジオポリマーセメント質組成物の終了時間は、フライアッシュおよびクエン酸ナトリウムだけを含有する混合組成物(実施例1)についての約15分という極めて急速な終了時間に対して約66〜約150分であった。極端に短い凝結時間は殆どの実際的な用途にとって問題となることに留意しなくてはならない。
【0484】
この実施例で得られた結果は、アルミン酸カルシウムセメントとスルホアルミン酸カルシウムセメントとの異なるブレンド物を含む本発明のジオポリマーセメント質組成物が、十分に長いオープンタイムを維持しながら急速な凝結挙動をもたらすことができることも実証している。
【0485】
混合物4および混合物5についての結果を比較すると、炭酸リチウムの添加が本発明のジオポリマー組成物のいくつかの実施形態の凝結時間を増大させる効果を有することをはっきりと実証している。この結果は実に驚くべきものであり、リチウム塩(炭酸リチウム)がこの発明のいくつかの実施形態において凝結遅延剤として作用すると観察されるという点で予期せぬものである。観察されたこの挙動が、炭酸リチウム等のリチウム塩がアルミン酸カルシウムセメントをベースとしたバインダ系の凝結挙動に及ぼす影響について当該分野で周知のことに反することに留意すべきである。アルミン酸カルシウムセメントについて、現在最先端の技術では、炭酸リチウム等のリチウム塩は凝結促進剤として作用することから材料の凝結開始および終了時間を短縮すると教示している。この実施例で示されるようなこの発見は当該分野で周知のことから遠ざかることを教示し、また炭酸リチウム等のリチウム塩が本発明のジオポリマーセメント質組成物のいくつかの実施形態の反応(凝結開始および終了時間)の初期段階に対する遅延効果を有することを立証している。
【0486】
圧縮強度
表57は、実施例18で調査した本発明の開発されたジオポリマーセメント質組成物の圧縮強度挙動を示す。
【0487】
【表57】
【0488】
以下の重要な観察結果を、この研究から得ることができる。
【0489】
この実施例で得られた結果は、アルミン酸カルシウムセメントとスルホアルミン酸カルシウムセメントとの異なるブレンド物を含む本発明のジオポリマーセメント質組成物が、急速な圧縮強度発現速度をもたらすことができることを実証している。アルミン酸カルシウムセメントおよびスルホアルミン酸カルシウムセメントの量並びに本発明のジオポリマーセメント質組成物におけるそれらの相対的な割合の調節により、強度発現速度を望み通りのものにすることができる。
【0490】
この実施例で調査した本発明のジオポリマーセメント質組成物の圧縮強度は、時間の関数として上昇し続けた。本発明のジオポリマーセメント質組成物のいくつかの実施形態の28日後圧縮強度は並外れて高く、5000psiを越える結果が得られた。
【0491】
混合物5についての凝結時間および圧縮強度の結果はここでもまた実に驚くべきものであり、また予期せぬものである。様々な材齢で混合物4および混合物5についての凝結時間および圧縮強度の結果を比較すると、水和反応の初期段階の間、炭酸リチウムが凝結遅延剤として作用するため本発明のジオポリマーセメント質組成物のいくつかの実施形態の凝結開始および終了時間が増大し、その一方で、水和反応の後期段階の間、同じもの(炭酸リチウム)が促進剤として作用するため本発明のジオポリマーセメント質組成物のいくつかの実施形態の強度発現速度および極限強度が上昇すると観察するおよび結論づけることができる。
【0492】
実施例19
この実施例の目的は、リチウム塩の添加が本発明のジオポリマーセメント質組成物の凝結挙動に及ぼす影響を研究することであった。表58は、この実施例で調査したジオポリマーセメント質組成物の原料組成を示す。混合物は全てアルミン酸カルシウムセメントを含有し、主要アルミン酸カルシウム相はドデカカルシウムヘプタ−アルミネート(12CaO・7Al
2O
3又はC
12A
7)であった。このアルミン酸カルシウムセメントは、ケルネオス社から商品名ターナルEVとして市販されている。混合物2および混合物3は、炭酸リチウムの形態でリチウム塩を含有した。
【0493】
【表58】
【0494】
凝結時間
表59は、実施例19で調査した本発明のジオポリマーセメント質組成物の凝結時間を示す。
【0495】
【表59】
【0496】
この実施例で調査したジオポリマーセメント質組成物は全て、急速な凝結挙動を有した。この実施例の本発明のジオポリマーセメント質組成物の終了時間は、フライアッシュおよびクエン酸ナトリウムだけを含有する混合組成物(実施例1)についての約15分という極めて急速な終了時間に対して約75〜約132分であった。極端に短い凝結時間は殆どの実際的な用途にとっては問題となることに留意しなくてはならない。
【0497】
この実施例から得られた結果は、炭酸リチウムの添加が本発明のいくつかの実施形態の凝結時間を増大させる効果を有することをはっきりと実証している。この結果は実に驚くべきものであり、リチウム塩(炭酸リチウム)が本発明のいくつかの実施形態において凝結遅延剤として作用することが観察されるという点で予期せぬものである。観察されたこの挙動は、炭酸リチウム等のリチウム塩がアルミン酸カルシウムセメントをベースとしたバインダ系の凝結挙動に及ぼす影響について当該分野で周知のことに反することに留意すべきである。アルミン酸カルシウムセメントについて、現在最先端の技術では、炭酸リチウム等のリチウム塩は凝結促進剤として作用することから材料の凝結開始および終了時間を短縮すると教示している。この実施例で示されるようなこの発見は、当該分野で周知のことから遠ざかることを教示し、また炭酸リチウム等のリチウム塩が本発明のジオポリマーセメント質組成物のいくつかの実施形態の反応(凝結開始および終了時間)の初期段階に対する遅延効果を有することを立証している。
【0498】
実施例で示された本発明のいくつかの好ましい実施形態のジオポリマー組成物は、数多くの市販品において応用することができる。特に、組成物を以下のものに使用することができる:
【0499】
実施例5、6、9、10、14、15、16、18および19で開示のいくつかの性質によって示されるように道路補修および道路パッチング製品、交通負担面および舗装道路;
【0500】
実施例5、6、9、12および14で開示されるいくつかの性質によって示されるように煉瓦および合成石;
【0501】
実施例9、10、11、14、18および19で開示するいくつかの性質によって示されるように壁、床および天井用の補修材並びに接着モルタル、漆喰並びに表面材;
【0502】
実施例5、6、14および18におけるいくつかの性質によって示されるように屋根材;
【0503】
実施例5、6、7、9および15に開示のいくつかの性質によって示されるように土質および岩石安定化に、またライニング材として使用される吹付けセメント系製品である吹付けコンクリート製品;
【0504】
実施例8、10、13、14、15、16、17および18で開示のいくつかの性質によって示されるように重量支持構造体;
【0505】
実施例5〜19に開示のいくつかの性質によって示されるように彫像および建築用モールディング;
【0506】
実施例9、10および12〜19に開示のいくつかの性質によって示されるように自己平滑化性アンダーレイメント。
【0507】
本発明を実施するための好ましい実施形態について説明してきたが、本開示が対象とする分野の熟練したものならば、本発明にその範囲から逸脱することなく改変および追加を行い得ることがわかる。