特許第6207592号(P6207592)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6207592画像形成可能な薬剤溶出性ビーズのスペクトルCTによる視覚化
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6207592
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】画像形成可能な薬剤溶出性ビーズのスペクトルCTによる視覚化
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/03 20060101AFI20170925BHJP
【FI】
   A61B6/03 375
   A61B6/03 373
【請求項の数】15
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-509527(P2015-509527)
(86)(22)【出願日】2013年4月22日
(65)【公表番号】特表2015-515874(P2015-515874A)
(43)【公表日】2015年6月4日
(86)【国際出願番号】IB2013053160
(87)【国際公開番号】WO2013164725
(87)【国際公開日】20131107
【審査請求日】2016年4月20日
(31)【優先権主張番号】61/641,316
(32)【優先日】2012年5月2日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】KONINKLIJKE PHILIPS N.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】リン,ミング デ
(72)【発明者】
【氏名】レースル,エヴァルト
(72)【発明者】
【氏名】シラー,カーステン オリバー
【審査官】 伊藤 昭治
(56)【参考文献】
【文献】 特表2011−527223(JP,A)
【文献】 特開2006−297102(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
x線不透明造影剤を含有する画像形成可能な薬剤溶出性ビーズを関心組織内に送達する送達システムと、
撮像システムと
を有し、
前記x線不透明造影剤は第1のエネルギー依存物質組成を有し、前記関心組織は第2のエネルギー依存物質組成を有し、前記第1のエネルギー依存物質組成と前記第2のエネルギー依存物質組成とは異なり、
前記撮像システムは、
検査領域及びその中に配置された前記関心組織内の前記画像形成可能な薬剤溶出性ビーズ、を横断する放射線を放出する放射線源と
前記検査領域を横断した放射線を検出し、それを指し示す信号を生成するスペクトル検出器アレイと、
前記信号を、前記x線不透明造影剤のエネルギーに対応する閾値を含む複数の閾値に基づいて、画像形成可能薬剤溶出性ビーズ成分と関心組織成分とにスペクトル分解するスペクトル処理回路と、
前記画像形成可能薬剤溶出性ビーズ成分を処理して、前記画像形成可能な薬剤溶出性ビーズに対応するスペクトルボリューム画像データを生成する再構成部と、
を有する
ステム。
【請求項2】
前記撮像システムは更にディスプレイを有し、前記撮像システムは、前記ディスプレイを介して、前記画像形成可能な薬剤溶出性ビーズに対応する前記スペクトル画像データを表示する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記再構成部は、前記信号に基づいて、スペクトル分解されていない画像データである非スペクトル画像データを生成し、当該撮像システムは、前記スペクトル画像データを上に重ねて前記非スペクトル画像データを表示する、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記スペクトル画像データにおいて、前記非スペクトル画像データにおいてよりも、前記画像形成可能な薬剤溶出性ビーズの顕著性が高い、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記撮像システムは更に、
前記関心組織内のx線不透明物質及び故に前記画像形成可能な薬剤溶出性ビーズの分布を表す定量値を、前記スペクトル画像データに基づいて生成する物質分布定量化部
を有し、
前記撮像システムは、前記関心組織内の前記画像形成可能な薬剤溶出性ビーズの前記分布を表す前記定量値を表示する、請求項1乃至4の何れかに記載のシステム。
【請求項6】
前記撮像システムは更に、
前記関心組織内のx線不透明物質及び故に前記画像形成可能な薬剤溶出性ビーズの濃度を時間の関数として表す定量値を、前記スペクトル画像データに基づいて生成する物質濃度定量化部
を有し、
前記撮像システムは、前記関心組織内の前記画像形成可能な薬剤溶出性ビーズの前記濃度を表す前記定量値を表示する、請求項1乃至5の何れかに記載のシステム。
【請求項7】
前記撮像システムは更に、
前記分布を表す前記定量値若しくは前記濃度を表す前記定量値の少なくとも一方と、実際の投与量とを受信し、受信した定量情報を前記実際の投与量の情報と相関付け、且つ前記相関を指し示すデータを表示する決定支援システム、
を有する請求項5又は6に記載のシステム。
【請求項8】
前記決定支援システムは、前記分布を表す前記定量値若しくは前記濃度を表す前記定量値の少なくとも一方と、ドーズ計画とを受信し、受信した定量情報を前記ドーズ計画と比較し、且つ差異を指し示すデータを表示する、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記決定支援システムは、
前記定量値を評価し、それに基づいて画像形成可能薬剤溶出性ビーズ手順に関する検証信号又は勧告信号の少なくとも一方を生成する勧告部
を有する、請求項7又は8に記載のシステム。
【請求項10】
前記検証信号は、介入手順が成功であることを指し示す、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記勧告信号は、介入手順が繰り返されるべきであることを指し示す、請求項9又は10に記載のシステム。
【請求項12】
撮像システムの作動方法であって、
検査領域を横断した放射線を検出するスペクトル検出器アレイにて放射線を受け、前記放射線は、前記検査領域に配置された関心組織内のx線不透明造影剤を含有する画像形成可能な薬剤溶出性ビーズを横断した放射線を含み、
前記x線不透明造影剤は第1のエネルギー依存物質組成を有し、前記関心組織は第2のエネルギー依存物質組成を有し、前記第1のエネルギー依存物質組成と前記第2のエネルギー依存物質組成とは異なり、
前記スペクトル検出器アレイにより、前記第1のエネルギーに対応する投影と前記第2のエネルギーに対応する投影とを含むスペクトル投影データを生成し、
前記撮像システムのスペクトル処理回路により、前記スペクトル投影データを、前記x線不透明造影剤のエネルギーに対応する閾値を含む複数の閾値に基づいて、画像形成可能薬剤溶出性ビーズ成分と関心組織成分とにスペクトル分解し、
前記撮像システムの再構成部により、前記関心組織と、前記関心組織内の前記画像形成可能な薬剤溶出性ビーズの前記x線不透明造影剤と、に対応するスペクトル画像データを生成し、且つ
前記撮像システムのディスプレイにより、前記スペクトル画像データを表示する、
ことを有する方法。
【請求項13】
前記撮像システムのプロセッサにより、前記関心組織内の前記x線不透明造影剤及び故に前記画像形成可能な薬剤溶出性ビーズの造影剤分布を決定し、且つ前記ディスプレイにより、前記造影剤分布を前記スペクトル画像データとともに表示すること、又は
前記プロセッサにより、前記関心組織内の前記x線不透明造影剤及び故に前記画像形成可能な薬剤溶出性ビーズの造影剤濃度を決定し、且つ前記ディスプレイにより、前記造影剤濃度を前記スペクトル画像データとともに表示すること、
の少なくとも一方を更に有する請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記プロセッサにより、ドーズ計画又は投与されたドーズの少なくとも一方に基づいて前記分布又は前記濃度の少なくとも一方を評価し、且つ
前記プロセッサにより、前記評価の結果に基づいて行動指針を生成して提示する、
ことを更に有する請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記プロセッサにより、ドーズ計画又は投与されたドーズの少なくとも一方に基づいて前記分布又は前記濃度の少なくとも一方を評価し、且つ
前記プロセッサにより、前記投与されたドーズの有効性を指し示す情報を生成して提示する、
ことを更に有する請求項13又は14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下は、概して視覚化に関し、より具体的には画像形成可能な薬剤溶出性ビーズ(imageable drug eluting beads;i−DEB)の視覚化に関し、特にコンピュータ断層撮影(CT)に適用して説明される。しかしながら、以下はまた、その他のスペクトル撮像モダリティにも適している。
【背景技術】
【0002】
文献により示されていることには、肝癌は最も一般的な癌のうちの1つであり、世界で毎年50万件の新たな症例の肝細胞癌(HCC、原発性肝癌)と、毎年20万件を超える新たな症例の肝臓支配の結腸直腸癌転移(二次肝癌)とを有する。治療の選択肢は限られており、中央生存期間が1年未満と、臨床転帰は概して乏しい。
【0003】
肝癌(原発性及び転移)が、主として肝動脈によってもたらされ、概して肝臓内にとどめられることを所与として、肝動脈への直接的な薬物送達がこれらの患者の管理に有効であることが示されている。経カテーテル的動脈化学塞栓療法(transcatheter arterial chemoembolization;TACE)は、カテーテルから肝動脈内に化学療法薬が送達されるx線撮像ガイド下での介入オンコロジー手順である。文献により示されていることには、レベルIエビデンスレベルにより、患者がTACEの後に、支持療法のみを受けている患者と比較して、より良い症状コントロールと、より長期の生存とを有することが実証されている(5年生存率が3%から26%に上昇する)。この結果、TACEは中間期HCC治療の主力となっている。
【0004】
最近、化学療法薬送達システムに、コンベンショナル(conventional)なリピオドール−ドキソルビシン併用療法(c−TACE)から薬剤溶出性マイクロスフェア(微小球)ビーズ療法(DEB−TACE)への移行が見られている。文献により示されていることには、DEBは化学療法剤を再現可能に送達することができ、それにより、血漿内での無視できるレベルの化学療法(より少ない全身暴露)と、腫瘍部位での高められた効果(より多くの腫瘍致死)とをもたらす。これらの成功をよそに、DEB−TACEは、特に、意図する最終的なDEB送達位置に関して、臨床経験に頼るところが大きいものである。
【0005】
このことは、標準的な積分検出器型のx線システムの下で、DEBがx線透過性であることによって更に困ったことになる。すなわち、注入中の視覚化のためにx線造影剤がDEBと外部混合されるが、これは、造影剤が移動するところがDEBが進行するところでもあると仮定してのものである。この仮定は疑わしい。というのは、これら2つの物質の流体力学は全く異なっており(すなわち、固体に対して液体、異なる密度及び/又は体積、等々)、故に、分離して、DEB進行及び沈着位置の誤ったフィードバックをもたらす傾向にある。これは、非標的薬物送達となって高い再発率(不完全な腫瘍致死又は不完全な治療による)を生じさせることになり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
最近、リピオドール又は造影剤のようなx線不透明な物質を詰め込まれたDEBの開発が、文献により指し示されている。その研究はビーズの視認性を示したが、それは高濃度の画像形成可能DEB(i−DEB)が静止して存在したところのみであり、実際の臨床使用を表すものではない。i−DEBの視覚化の制約は、基本的に、x線積分検出器である。すなわち、コンベンショナルな(従来型の)積分検出器は、物質を区別することができない。少なくとも以上に鑑み、i−DEBを視覚化するためのその他の手法に対して、未解決のニーズが存在する。
【0007】
ここに記載される態様は、上述及びその他の問題を解決するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一態様において、撮像システムは、検査領域及びその中に配置された関心組織内の画像形成可能な薬剤溶出性ビーズを横断する放射線を放出する放射線源と、検査領域を横断した放射線を検出し、それを指し示す信号を生成するスペクトル検出器アレイと、前記信号を複数の閾値に基づいてスペクトル分解するスペクトル処理回路と、スペクトル分解された信号に基づいて、画像形成可能な薬剤溶出性ビーズに対応するスペクトルボリューム画像データを生成する再構成部とを含む。
【0009】
他の一態様において、方法は、関心組織と関心組織内の画像形成可能な薬剤溶出性ビーズのx線不透明物質とに対応するスペクトル画像データを生成し、且つスペクトル画像データを表示することを含む。
【0010】
他の一態様において、コンピュータ読み取り可能記憶媒体がコンピュータ読み取り可能命令でエンコードされる。コンピュータ読み取り可能命令は、プロセッサによって実行されるときに該プロセッサに、画像形成可能な薬剤溶出性ビーズのx線不透明物質に対応する定量的な情報を、造影剤のスペクトル画像データに基づいて生成させて表示させる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本発明は、様々な構成要素及びその配置、並びに様々なステップ及びその編成の形態を取り得る。図面は、単に好適実施形態を例示するためのものであり、本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。
図1】画像誘導介入手順のために関心組織に対するi−DEBのx線不透明物質の分布及び/又は濃度を決定することを支援するスペクトル画像データ処理コンポーネントとともに、撮像システムの一例を模式的に示す図である。
図2】画像誘導介入手順のために関心組織に対するi−DEBのx線不透明物質の分布及び/又は濃度を決定する方法の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、i−DEBを視覚化するための非限定的な手法を説明する。簡潔さのため、以下では、フォトン計数スペクトル検出器を有するCTシステムとの関連で説明する。しかしながら、スペクトル撮像機能を備えたその他の撮像システムもここに企図される。概して、フォトン計数検出器は、物質組成に基づく区別可能なスペクトルデータを生成し、故に、i−DEBに対応するスペクトル画像データスペクトルデータをそれから生成することができる。一例において、これは、画像データ内のi−DEBの顕著性を高めるだけでなく、関心組織内のi−DEB濃度及び/又は分布を指し示す定量的データをも提供する。
【0013】
図1は、例えばCアームCTスキャナなどの撮像システム100を模式的に示している。しかしながら、撮像システム100は、これに代えて、スペクトルCTスキャナ又は蛍光透視(フルオロスコピー)x線装置であってもよい。
【0014】
このスキャナは静止部分102を含んでおり、静止部分102は、天井、壁、床、検査室内の概して静止した装置、検査室の中及び外へと容易に輸送されることが可能な、ホイール若しくはそれに類するものを備えた可搬式装置、等々に取り付けられることができる。
【0015】
Cアーム104が、連結部106を介して旋回可能に静止部分102に結合され、所定の弧(例えば、少なくとも180°)にわたって旋回するように構成される。Cアーム104は、スキャンの前、最中及び/又は後に旋回されることができる。
【0016】
Cアーム104の一端に放射線源108が結合され、Cアーム104の他端に感放射線検出器アレイ110が結合されている。放射線源108は検出器アレイ110から離隔されており、これらの間に検査領域112が形成される。線源108又は検出器110の少なくとも一方はまた、例えば、互いの方へ、且つ/或いはCアーム104に沿ったスリーブ(軸ざや)内でずらされて、Cアーム104とは独立に移動し得る。
【0017】
1つの好適な検出器アレイ110は、例えばフラットパネル検出器又はそれに類するものなどの2次元(2D)検出器アレイを含む。図示した実施形態において、検出器アレイ110は、例えば直接変換型検出器画素(例えば、CdTe、CdZnTeなど)などのエネルギー分解検出器画素を含む。検出器アレイ110は、放射線を検出したことに応答して信号を生成する。
【0018】
被検体サポート114が、検査領域112内の被検体を支持する。
【0019】
パルス整形器116が、上記信号を処理して、検出されたフォトンのエネルギーを指し示すパルス、例えば電圧パルス又はその他のパルス、を生成する。認識されるように、検出器信号は、パルス整形器116によって処理される前に、増幅及び/又はその他の処理を施されてもよい。エネルギー弁別器118が、i−DEBの造影物質のエネルギーを含む関心あるエネルギーに対応する少なくとも2つのエネルギー閾値(TH)122とパルスの振幅とを比較する比較器120を用いて、パルスをエネルギー弁別する。
【0020】
比較器120は、この比較に基づいて、フォトンのエネルギーを指し示す出力信号を生成する。カウンタ124が、エネルギー弁別器118の出力に基づいて、各閾値に関する計数値をインクリメントする。それらの信号が瓶分け器126によってエネルギービニング(瓶分け)され、故に、カウントに基づいて、フォトンが2つ以上のエネルギーサブレンジ(部分範囲)又はエネルギーウィンドウへとビニングされる。ここでは、コンポーネント116−126を総称して検出器信号処理回路127と呼ぶ。
【0021】
再構成部128が、コンベンショナル再構成アルゴリズム及び/又はスペクトル再構成アルゴリズムに基づいて、検出器アレイ110によって出力された信号を再構成して、ボリューム画像データを生成する。これは、例えばi−DEBのx線不透明物質に対応するエネルギー範囲といった、特定のエネルギー範囲に関する画像データ、及び/又はコンベンショナル画像データ(すなわち、非スペクトル撮像システム)を生成することを含み得る。
【0022】
汎用コンピューティングシステムを含むコンソール130が、検査領域112に対して特定の角度方向までCアーム104を旋回させること、線源108を活性化して放射線を放射すること、検出器アレイ110を動作させて放射線を検出すること、並びにスペクトル画像データ及び/又はコンベンショナル画像データを生成することを含め、撮像システム100を制御する。
【0023】
ディスプレイ132を用いて、少なくともスペクトル画像データ及び/又はコンベンショナル画像データの表示が行われる。例として、i−DEBのスペクトル画像データをコンベンショナル画像データの上に重ねて表示することができる。一例において、コンベンショナル画像データが解剖学的な基準を提供する一方で、スペクトル画像が組織内のi−DEBの分布及び濃度を視覚的に示す。その他の情報もディスプレイ132を介して表示されることができる。
【0024】
物質分布定量化部134が、スペクトル画像を受信し、スペクトル画像データに基づいて、x線不透明物質ひいてはi−DEBの分布値を決定する。検出器信号が生成されて再構成ながらこのスペクトル画像データが処理されるとき、コンベンショナル画像データ及び/又はスペクトル画像データとともに上記分布値の表示及び/又はその他の提示を行うことができ、それにより、経時的に、撮像される組織内のi−DEB分布についてのリアルタイムの定量的な情報を提供することができる。
【0025】
物質濃度定量化部136もまた、スペクトル画像を受信し、スペクトル画像データに基づいて、x線不透明物質ひいてはi−DEBの濃度値を決定する。検出器信号が生成されて再構成ながらこのスペクトル画像データが処理されるとき、コンベンショナル画像データ及び/又はスペクトル画像データとともに上記濃度値の表示及び/又はその他の提示を行うことができ、それにより、経時的に、撮像される組織内のi−DEB濃度についてのリアルタイムの定量的な情報を提供することができる。
【0026】
必要に応じての決定支援システム138が、i−DEBの分布及び/又は濃度の情報を評価する。図示した決定支援システム138は、定量化された情報に基づいて検証信号を生成する検証部140を含んでいる。この検証信号は、介入手順が成功したか否か(例えば、介入手順の状況)を指し示す。検証信号は、介入手順を行う者による検討のために、ディスプレイ132を介して表示されることができ、且つ/或いはその他の方法で伝達されることができる。
【0027】
図示した決定支援システム138はまた、定量化された情報に基づいて勧告信号を生成する勧告部(リコメンダ)142を含んでいる。この勧告信号は、介入手順が繰り返されるべきか否かを指し示す。勧告信号は、介入手順者による検討のために、ディスプレイ132を介して表示されることができ、且つ/或いはその他の方法で伝達されることができる。この情報は、介入手順を実行する臨床医によって利用されることができる。
【0028】
図示した実施形態において、決定支援システム138は必要に応じて、スキャンされる患者に関するドーズ(投薬)計画144を受信する。決定支援システム138は、定量化された濃度及び/又は分布に基づいて計画144を評価し、それらの間の何らかの差を示す情報を生成して表示することができる。勧告部142は、このデータを解釈して、手順の有効性を指し示す情報を提示し、且つ/或いは行動指針及び/又は計画144への変更を提案することができる。
【0029】
図示した実施形態において、決定支援システム138はまた必要に応じて、スキャンされる患者に送達された実際のドーズ(投薬)量146を受信する。決定支援システム138は、送達された実際のドーズ量に対して定量化された濃度及び/又は分布を相関付けること及び/又は校正することができる。同様に、勧告部142は、このデータを解釈して、手順の有効性を指し示す情報を提示し、且つ/或いは行動指針及び/又は計画144への変更を提案することができる。
【0030】
この必要に応じての決定支援システム138は、システム100の一部であってもよいし、システム100から遠隔に配置された別個のコンピューティングシステムであってもよい。
【0031】
認識されるように、スペクトル画像データは、コンベンショナル画像データよりも向上されたi−DEBの顕著性を提供し、また、i−DEBの濃度及び/又は分布の定量分析を用いてi−DEB送達の画像誘導フィードバックを提供することができる。このフィードバックは、どのような送達速度でどれだけのi−DEBを投与すべきかを臨床医が決定することを支援することができるとともに、送達を停止すべき時を指し示すインジケーションを提供することができる。これは、現行のi−DEB送達方法を、定性的な2D撮像フィードバックから、i−DEB濃度及び/又は分布の立体的で定量的な測定へと進化させる助けとなり得る。
【0032】
物質分布定量化部134、物質濃度定量化部136、及び決定支援システム138は、例えば物理的メモリ又はその他の非一時的媒体などのコンピュータ読み取り可能記憶媒体に格納あるいは埋込された1つ以上のコンピュータ読み取り可能命令を実行する1つ以上のプロセッサによって実装されることができる。加えて、あるいは代えて、これら1つ以上のプロセッサは、搬送波、信号及び/又はその他の一時的な媒体によって担持される1つ以上のコンピュータ読み取り可能命令を実行する。
【0033】
図2は、非限定的な一方法を示している。
【0034】
認識されるように、ここに記載される方法における動作の順序は限定的なものではない。従って、その他の順序もここに企図される。さらに、1つ以上の動作が削除されてもよく、且つ/或いは1つ以上の追加の動作が含められてもよい。
【0035】
ステップ202にて、i−DEBによって担持された化学療法剤で治療される関心組織が、i−DEBの送達中に撮像される。
【0036】
ステップ204にて、スペクトルデータが生成される。
【0037】
ステップ206にて、スペクトル信号からコンベンショナル画像データが再構成される。
【0038】
ステップ208にて、スペクトル信号からi−DEBのスペクトル画像データが再構成される。
【0039】
ステップ210にて、必要に応じてコンベンショナル画像データの上に重ねて、i−DEBのスペクトル画像データが表示され、それにより、視覚的なi−DEB分布及び濃度の情報が提供される。
【0040】
ステップ212にて、i−DEB分布の定量的な情報が、i−DEB画像データに基づいて決定され、スペクトル画像データ及びコンベンショナル画像データとともに表示される。
【0041】
ステップ214にて、i−DEB濃度の定量的な情報が、i−DEB画像データに基づいて決定され、スペクトル画像データ及びコンベンショナル画像データとともに表示される。
【0042】
ステップ216にて、必要に応じて、介入手順が成功であったかを指し示す信号、及び/又は介入手順が繰り返されるべきかを指し示す信号が生成されて提示され得る。
【0043】
以上の事項のうちの少なくとも一部は、コンピュータ読み取り可能記憶媒体にエンコードあるいはエンベッドされて、コンピュータプロセッサによって実行されるときに該プロセッサに上述の動作を実行させるコンピュータ読み取り可能命令によって実装される。加えて、あるいは代えて、それらのコンピュータ読み取り可能命令のうちの少なくとも一部は、信号、搬送波、又はその他の一時的な媒体によって担持される。
【0044】
好適実施形態を参照して本発明を説明した。以上の詳細な説明を読んで理解した者は変更及び変形に想到し得る。本発明は、添付の請求項の範囲又はその均等範囲に入る限り、全てのそのような変更及び変形を含むと解されるものである。
図1
図2