(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る医療用バッグ取扱システムについて、これを構成する
バッグ組立体との関係で好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0019】
本発明に係る医療用バッグ取扱システムは、複数の医療用バッグを用いる場合に、これをまとめて取扱うことができるように構成したものである。特に、
図1に示す本実施形態に係る医療用バッグ取扱システム10は、全血の遠心分離により生成されるバフィーコートを1つのバッグに集める「バフィーコートプーリング(以下、BCプーリングという)」の作業に好適に適用することができる。このBCプーリングは、バフィーコートにより血小板製剤(血液製剤)を調製するために行われる。
【0020】
ここで、血液製剤の製造時におけるBCプーリングまでの工程を概略的に説明する。先ず、ドナーから血液(全血)の採血を行う採血工程を実施する。次に、採血した全血を血液製剤装置12(遠心分離装置:
図4参照)により遠心分離し、複数の分離区画(例えば、血漿、バフィーコート及び濃厚赤血球)に分離する遠心工程を実施する。遠心工程後は、そのまま血液製剤装置12を用いて遠心分離した各血液成分を別々の保存用バッグに収容する移送工程を実施する。バフィーコートは、この移送工程後に分離されることで得られ、その後得られたバフィーコートを用いてBCプーリングを実施する。
【0021】
BCプーリングにおいては、
図1に示すように、バフィーコートを収容した血液用バッグ14(医療用バッグ)を複数用意して、1つのバフィーコートバッグ(以下、BCバッグ22という)にバフィーコートを集めるシステムを構築する。バフィーコートを収容した血液用バッグ14は、医療用バッグ保持カセット16(以下、単にカセット16という)によって支持される構成となっている。以下の説明では、血液用バッグ14とカセット16を組み付けたものをバッグ組立体18と称する。
【0022】
医療用バッグ取扱システム10は、BCプーリングシステムとして構成されるものであり、複数のバッグ組立体18、複数のプーリング用チューブ20、1つのBCバッグ22及び吊り下げ器具24(
図2参照)を含む。
【0023】
なお、
図1中では、医療用バッグ取扱システム10の理解の容易のために、複数のバッグ組立体18を並べて図示しているが、実際上は、
図2に示すようにバッグ組立体18同士を連結して一体的に吊り下げる構成としている。また、
図1及び
図2中では、バッグ組立体18(血液用バッグ14)の数を3つ図示しているが、血液用バッグ14の数は特に限定されものではなく、血液用バッグ14に収容されているバフィーコートの量等に応じて、例えば2〜6個程度用いることができる。
【0024】
血液用バッグ14は、全血又は血液成分の遠心分離によって生成されたバフィーコートを収容及び保存するために用いられるバッグである。この血液用バッグ14は、全血の遠心分離前(採血工程及び遠心工程の際)は、遠心分離用に構築される血液バッグシステム26の一部を担っている。具体的には、ドナーの採血により得られた全血又は分離された血液成分を収容する保存用バッグとして使用される。すなわち、血液用バッグ14は、分離前の全血収容用と分離後のバフィーコート収容用とを兼ねている。
【0025】
血液用バッグ14は、可撓性を有するシート材が重ねられ、その周縁のシール部が融着(熱融着、高周波融着)又は接着されて袋状に形成されている。シート材を構成する材料としては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリオレフィンのような軟質樹脂製が挙げられる。また、血液用バッグ14は、採血工程において全血を収容することから、血液抗凝固機能を有する血液保存液が入れられていることが好ましい。血液保存液としては、例えば、クエン酸、リン酸、ブドウ糖(CPD:Citrate Phosphate Dextrose)を含むものを好適に用いることができる。
【0026】
この血液用バッグ14の下部には、プーリング用チューブ20(上流側プーリング用チューブ20a)の一端部が接続される。上流側プーリング用チューブ20a(及び下流側プーリング用チューブ20b)は、バフィーコートを流通可能な流路を有する。
【0027】
上流側プーリング用チューブ20aは、バッグ組立体18毎に接続されることで、1つのBCバッグ22に対し複数本(3本)用意される。各上流側プーリング用チューブ20aの他端部は、コネクタ28(多ポートコネクタ、又は幾つかのコネクタを組み合わせたもの)に接続されることで、各流路がコネクタ28内において合流する。また、コネクタ28には、BCバッグ22に繋がるプーリング用チューブ20(下流側プーリング用チューブ20b)の一端部が接続されている。下流側プーリング用チューブ20bは、コネクタ28にて合流したバフィーコートをBCバッグ22に移送する。
【0028】
BCバッグ22は、複数の血液用バッグ14から移送されたバフィーコートをまとめて収容することで、その内部で血小板製剤を調製し保存する。このBCバッグ22は、上記の血液用バッグ14で挙げた材料により構成することができる。また、BCバッグ22には、血小板用の保存液が入れられていてもよい。
【0029】
医療用バッグ取扱システム10において、BCバッグ22及びバッグ組立体18は、吊り下げ器具24によって吊り下げられる構成となっている(
図2参照)。この際、吊り下げ器具24は、カセット16及びフック部材30を介して血液用バッグ14を吊り下げる。
【0030】
血液用バッグ14を支持するカセット16は、採血工程からBCプーリングを行うまでの間、血液用バッグ14を一貫して支持するものである。すなわち、カセット16は、本質的に、血液用バッグ14を血液製剤装置12に簡単に取り付けるために用いており、本実施形態では、これをBCプーリング時に血液用バッグ14を吊り下げるために利用している。
【0031】
従って、カセット16は、血液用バッグ14とともに血液製剤装置12に装着可能となるように予め構成され、血液製剤装置12による全血の遠心工程及び移送工程に供される。また、遠心分離後には、血液用バッグ14を装着したまま血液製剤装置12から取り外されて、吊り下げ器具24に対して吊り下げられる。このカセット16は、
図2に示すように、吊下げ時にBCプーリングに用いられる他のカセット16と連結可能となっており、これによりバッグ組立体18同士が一体的に取り扱い可能となる。この際、フック部材30は、連結されたカセット16を一体的に保持するように構成されるとよい。カセット16の連結手段32については後に詳述する。
【0032】
以下の説明では、本発明の理解を容易にするために、BCプーリング前に行われる各工程(採血工程、遠心工程、移送工程)について、これに適用されるバッグ組立体18及び血液バッグシステム26との関係で説明していく。
【0033】
図3に示す血液バッグシステム26は、遠心分離された軽比重成分である血漿(上清液)、中比重成分であるバフィーコート、重比重成分である濃厚赤血球(沈降液)を移送及び保存するために構築される。さらに、この血液バッグシステム26では、分離した濃厚赤血球を、赤血球保存液であるSAG−M(Saline Adenine Glucose Mannitol)液に添加したもの(以下、RC−SAGMという)と、このRC−SAGMから白血球を除去した濃厚赤血球(Leukocyte Reduced Red Cells Concentrates:以下、LR−RCCという)とに分けて保存する。
【0034】
血液バッグシステム26は、血液用バッグ14以外の保存用バッグとして、血漿バッグ34、RC−SAGMバッグ36及びLR−RCCバッグ38を備える。血漿バッグ34、RC−SAGMバッグ36及びLR−RCCバッグ38は、上述した血液用バッグ14と同様の材料によって構成することができる。血漿バッグ34は、血液用バッグ14から移送された血漿を収容及び保存する。RC−SAGMバッグ36は、血液用バッグ14から移送された濃厚赤血球を収容及び保存する。RC−SAGMバッグ36には、濃厚赤血球の抗凝固機能を有する血液保存液として、上述したようにマンニトール、グルコース、アデニン及び塩化ナトリウムを含有する混合溶液であるSAGMが入れられている。LR−RCCバッグ38は、前記のLR−RCCを収容及び保存する。
【0035】
各バッグ間は、全血又は血液成分を流通可能な複数のチューブ(第1〜第4チューブ40、42、44、46)によって接続されている。第1〜第4チューブ40、42、44、46(後述する採血チューブ48及びサンプルチューブ50を含む)は、透明で柔軟な樹脂製のチューブが適用される。第1チューブ40は、血液用バッグ14と血漿バッグ34間を接続し、軽比重成分である血漿を移送する。第2チューブ42は、血液用バッグ14とRC−SAGMバッグ36間を接続し、重比重成分である濃厚赤血球を移送する。第3チューブ44と第4チューブ46は、RC−SAGMバッグ36とLR−RCCバッグ38の間を接続し、間に設けたフィルタ52により白血球(所定成分)を除去した濃厚赤血球(LR−RCC)をLR−RCCバッグ38に移送する。また、血液用バッグ14には、ドナーの採血時に使用される採血チューブ48が接続され、LR−RCCバッグ38には、第4チューブ46の他にLR−RCCの一部を取り出し可能なサンプルチューブ50が接続される。
【0036】
採血チューブ48は、その途上に、クランプ54、封止部材56、3ポートコネクタ58及び採血針60が設けられる。また、3ポートコネクタ58には、分岐採血チューブ62が接続され分岐採血チューブ62には、クランプ64、初流血バッグ66及びサンプリングポート68が接続されている。
【0037】
ドナーから全血を採取する際には、血液用バッグ14に全血を収容する前に、先ず、初流血バッグ66に採血した全血の初流(採血初流)を所定量だけ収容する。そして、初流血バッグ66に接続されたサンプリングポート68に図示しない採血管を装着することにより、採血管に採血初流を採取する。採取した採血初流は検査用血液として使用される。採血初流の採取後、血液用バッグ14に対する全血の貯留を実施する。
【0038】
血液用バッグ14は、採血工程において、その上部がカセット16に取り付けられ、バッグ組立体18として予め構築されていることが好ましい。カセット16は、血液用バッグ14に接続される第1及び第2チューブ40、42を共に保持することで、血液用バッグ14付近の各チューブの取り扱いを容易にする。バッグ組立体18は、採血工程後にその状態のまま血液製剤装置12に簡単に取り付けることができる。なお、採血工程に使用された採血チューブ48は、採血工程後、チューブシーラー等によって血液用バッグ14の近くでシールされて切断される。
【0039】
以上のように構成された血液バッグシステム26は、血液製剤装置12にセットされ、遠心工程及び移送工程が行われる。遠心工程により、血液用バッグ14に収容された全血は、血漿、バフィーコート、濃厚赤血球に分離される。そして移送工程により、血漿が血漿バッグ34に収容され、濃厚赤血球がRC−SAGMバッグ36に収容されることで、バフィーコートは血液用バッグ14内にそのまま残される。
【0040】
図4に示すように、血液製剤装置12は箱形状であって、開閉可能な上面の蓋70と、内部の遠心ドラム72(遠心分離手段)と、該遠心ドラム72内で等角度(60°)間隔に6つ設けられたユニット挿入穴72aと、各ユニット挿入穴72aに挿入される6つのインサートユニット74と、中心部に設けられ各インサートユニット74に対して回転径方向に進退可能な6つの押子76(押圧手段:
図5参照)とを有する。
【0041】
血液バッグシステム26は、各バッグ及びチューブの接続状態で、1つのインサートユニット74に装着され、このインサートユニット74が遠心ドラム72のユニット挿入穴72aに挿入される。遠心ドラム72は、インサートユニット74を所定速度で回転することで、血液バッグシステム26の血液用バッグ14に遠心力を付与する。その結果、
図5に示すように、血液用バッグ14内で全血が分離される。
【0042】
遠心工程後の移送工程では、遠心力を付与したまま、押子76を血液用バッグ14に向けて(外径方向に)押し出す。これにより、血漿が第1チューブ40を介して血漿バッグ34に移送され、濃厚赤血球が第2チューブ42を介してRC−SAGMバッグ36に移送される。
【0043】
移送工程が終了すると、チューブシーラー等によって第1及び第2チューブ40、42を血液用バッグ14に近い位置でシール及び切断することで、血液用バッグ14はバフィーコートを収容した閉塞状態となる。そして、この血液用バッグ14は、カセット16に取り付けられた状態のまま、次のBCプーリングに使用される。
【0044】
図1及び
図2に戻り、BCプーリングでは、複数のバッグ組立体18を吊り下げ器具24に吊り下げた状態で、プーリング用チューブ20、コネクタ28及びBCバッグ22の接続を行う。これにより、医療用バッグ取扱システム10が構築され、血液用バッグ14からBCバッグ22へのバフィーコートの移送が可能となる。
【0045】
そして、本実施形態に係る医療用バッグ取扱システム10は、BCプーリングの実施において、複数のバッグ組立体18を相互に連結することにより、
図2に示すように一体的に取り扱う(吊り下げる)ことができるように構成される。概略的には、バッグ組立体18のカセット16に連結手段32を設けることによりカセット16同士を接続固定して、一体化したバッグ組立体18群を構築する。
【0046】
よって、以下の説明では、
図2、
図6及び
図7を参照して、バッグ組立体18の連結手段32について、カセット16の構成との関係に基づき詳述していく。
【0047】
カセット16は、血液用バッグ14を支持するカセット本体80と、カセット本体80の一方面に装着される蓋体82とにより構成される。なお、以降の説明では、説明の便宜のため、カセット16において蓋体82が取り付けられる側を前側(前方、前面)と呼び、蓋体82と対向するカセット本体80の底壁84側を後側(後方、後面)と呼ぶ。すなわち、カセット16の後面とは、底壁84の後面84a(一方の面状部)であり、カセット16の前面とは、蓋体82の前面82a(他方の面状部)である。
【0048】
カセット本体80は、底壁84と、この底壁84の周囲を囲う側壁86とにより内部空間88を備える有底の箱状に形成されている。底壁84の反対面は、内部空間88が連なる開口部88aとなっており、この開口部88aに蓋体82が取り付けられる。
【0049】
底壁84は、平面視(
図1参照)で、上部が幅方向に狭く下部が幅方向に広く、且つ側部が同程度の長さ(等辺)の略台形状に形成されている。下部側の幅方向両側部には、下方向に所定長さ突出する一対の延出部90が形成されている。このカセット本体80の平面形状は、血液製剤装置12の遠心ドラム72とインサートユニット74の形状に対応したものである。
【0050】
底壁84の前面には、上述した第1及び第2チューブ40、42を配置して固定保持可能な第1及び第2案内路92、94が形成されている。第1及び第2案内路92、94は、側壁86とともに底壁84上に設けた複数の壁により溝を呈することにより構成される。一対の延出部90は、一方が第1チューブ40の取り出し部を保持する保持部となっており、他方が第2チューブ42の取り出し部を保持する保持部となっている。また、第1及び第2案内路92、94の途中位置(側壁86の所定位置)には、第1及び第2チューブ40、42の閉塞及び開放を操作可能な第1及び第2クランプ機構92a、94aが設けられている。なお、上述したように移送工程後に第1及び第2チューブ40、42が切断されるため、BCプーリング時には第1及び第2案内路92、94から第1及び第2チューブ40、42が取り外されている。
【0051】
また、底壁84の中央部分には、センサ用口部96が貫通形成されている。このセンサ用口部96には、血液バッグシステム26をインサートユニット74に取り付けた際に、図示しない検出センサが挿入される。検出センサは、第1チューブ40を流通する血漿、及び第2チューブ42を流通する濃厚赤血球を個々に検出するものであり、血液製剤装置12は、この検出結果に基づき遠心分離の制御を行う。
【0052】
底壁84の下端部寄り中央部には、一対のピン98が形成されている。このピン98は、血液用バッグ14の上部に設けられた取付孔14aに挿入され、血液用バッグ14を吊り下げ支持する。なお、血液用バッグ14は、全血から分離されたバフィーコートを収容しているため、その前後方向の厚みはカセット本体80の厚み(側壁86の突出高さ)よりも薄くなった状態でカセット16に支持されている。
【0053】
さらに、底壁84の前面には、蓋体82と連結される取付端子99が複数(本実施形態では4つ)形成されている。取付端子99は、平面視で、幅方向中央部の上下に一対設けられるともに、上下方向中央部の左右に一対設けられる。このように取付端子99が底壁84の4箇所に取り付けられることで、カセット本体80と蓋体82が強固に接続される。また、取付端子99は、中央部が切り欠かれることで対状のフックとして分割されており、一対のフックを近接操作することにより、蓋体82を比較的簡単に取り外すことも可能である。
【0054】
底壁84の後面84aは、略全体的に平坦状に形成されており、蓋体82の前面82aと密着可能となっている。
【0055】
蓋体82は、カセット本体80の形状に略一致する平板形状に形成されている。遠心工程時や移送工程時には、蓋体82によってカセット本体80の内部空間88を覆うことで、第1及び第2案内路92、94に固定保持された第1及び第2チューブ40、42を保護する。この蓋体82は、透明に形成されていることが好ましく、これにより第1及び第2チューブ40、42を流通する血漿や濃厚赤血球の状態を視認することが可能となる。
【0056】
蓋体82の平面部分には、取付端子99に対向する位置(すなわち、平面部分の上下左右)に装着孔100が設けられ、センサ用口部96に対向する位置に窓部102が設けられている。蓋体82とカセット本体80は、取付端子99が装着孔100に挿入され装着孔100の周縁部に対状のフックが引っ掛かることで取り付けられる。この取付状態では、センサ用口部96と窓部102が積層方向に重なり合って連通する。
【0057】
そして、カセット16の連結手段32は、他のカセット16に対して係合される被係合部と、さらに別のカセット16の被係合部を保持(係合)する係合部によって構成される。これら被係合部及び係合部は、共にカセット16本体の底壁84に設けられている。
【0058】
具体的には、
図6、
図7A〜
図7Cに示すように、前方方向に突出する円筒状に形成された突出部104が底壁84に一体成形(連設)される。突出部104は、カセット本体80の上部側且つ幅方向両側部寄り(側壁86に沿うように形成された第1及び第2案内路92、94の内側近傍位置)に一対設けられる。
【0059】
突出部104の内部には、軸方向(カセット16の厚み方向)に沿って貫通した貫通孔106が形成されている。この貫通孔106は、本来、血液製剤装置12にインサートユニット74をセットする際に、血液製剤装置12の突起(図示せず)に挿入されることで、バッグ組立体18の位置決めをなすためのものである。
【0060】
突出部104は、突出方向に沿って異なる太さ(外径)を有するように形成される。すなわち、突出部104は、底壁84に連なる大径の基端筒部108と、基端筒部108よりも先端側で該基端筒部108よりも小径の先端筒部110とにより構成される。基端筒部108は、カセット本体80の内部空間88に位置する長さに形成されており、先端筒部110は、この基端筒部108に段差を有するように連なって所定量突出している。
【0061】
一方、蓋体82は、積層方向で突出部104に重なる位置に挿通孔112を有している。挿通孔112は、先端筒部110の外径よりも若干大径に形成されており、先端筒部110が貫通挿入される。カセット本体80と蓋体82の取付状態では、
図7A及び
図7Bに示すように、先端筒部110が蓋体82を貫通して蓋体82の前面82aから突出する。先端筒部110及び挿通孔112は、蓋体82をカセット本体80に取り付ける際に面方向の位置決めもガイドする。
【0062】
突出部104の貫通孔106は、基端筒部108と先端筒部110の太さに応じて異なる内径を有する。つまり、基端筒部108の内面108aにより構成される貫通孔106の内径は、先端筒部110の内面により構成される貫通孔106の内径よりも大径に形成される。
【0063】
特に、基端筒部108側の貫通孔106の内径は、先端筒部110の外径に一致するように構成される。基端筒部108側の貫通孔106の深さも蓋体82の前面から突出した先端筒部110の突出量に略一致している。従って、基端筒部108側の貫通孔106は、先端筒部110の挿入を許容して係止することが可能である(以下、基端筒部108側の貫通孔106を係止孔114という)。なお、係止孔114よりも前方側の貫通孔106は、連結手段32としては特に使用しないため閉塞されていてもよい。この場合、連結手段32は、係止孔114の機能を有する図示しない凹部(係止凹部:係合部)を有することになる。この凹部は、以降の第1〜第6変形例においても適宜適用し得る。
【0064】
換言すれば、カセット16の連結手段32は、被係合部である突出部104(先端筒部110の外面110a)と、係合部である突出部104の係止孔114(貫通孔106の内面108a)とにより構成される。
図7B及び
図7Cに示すように、2つのカセット16(第1カセット16a、第2カセット16b)を連結する場合は、前側の第1カセット16aの係止孔114に、第2カセット16bの先端筒部110を挿入する。この挿入によって、係止孔114の内面108aに対し先端筒部110の外面110aが大きな摩擦力で接触し合う。そのため、係止孔114と先端筒部110が嵌合され、係止孔114から先端筒部110が不意に脱落することが防止される。
【0065】
また、第1カセット16aと第2カセット16bは、同形状に形成されるため、第1カセット16aと第2カセット16bを互いに厚み方向に重ねて並べた状態では、先端筒部110が係止孔114の対向位置に配置される。よって、カセット16を互いに近接することによって、幅方向両側に一対設けられた先端筒部110と係止孔114を同時に連結することができる。第1カセット16aと第2カセット16bは、幅方向両側の2箇所で連結されることにより、互いを強固に保持し合うことができる。
【0066】
さらに、第2カセット16bは、カセット本体80の後面84aに形成された係止孔114を露出しているので、他のカセット(第3カセット16c:
図2参照)の先端筒部110と係合し、第2カセット16bと第3カセット16cの連結をなすことができる。
【0067】
本実施形態に係る医療用バッグ取扱システム10及びカセット16は、基本的には以上のように構成されるものであり、以下、作用及び効果について説明する。
【0068】
医療用バッグ取扱システム10は、上述したようにBCプーリング時に構成される(
図1参照)。BCプーリングでは、複数(3つ)のバッグ組立体18にプーリング用チューブ20を接続して1つのBCバッグ22に至るチューブ回路を構成する。
【0069】
BCプーリング時において、バッグ組立体18は、遠心分離時に配線されていた第1及び第2チューブ40、42が取り除かれて、単純にカセット16が血液用バッグ14を支持した状態となっている。また、カセット本体80の開口部88aには蓋体82が取り付けられることで、突出部104の先端筒部110が蓋体82の前面82aから所定長さ突出した状態となっている(
図7A参照)。
【0070】
そして、医療用バッグ取扱システム10では、上記の3つのバッグ組立体18のカセット16を連結することにより、バフィーコートの供給側を一体的に取り扱うようにする。すなわち、カセット16に設けた連結手段32により、3つのバッグ組立体18を互いに対向し合うように連結する。
【0071】
具体的には、
図7B及び
図7Cに示すように、前側に配したカセット16の係止孔114に対し、後側に配したカセット16の先端筒部110を挿入することで、係止孔114と先端筒部110を嵌合させる。これにより、3つのカセット16が、厚み方向に連結し合う(つまり相互の平面部分が積層し合う)ことになり、一体的な供給源として取り扱うことができる。なお、BCプーリング時には、血液用バッグ14がカセット16の厚みよりも薄くなっているので、バッグ組立体18が血液用バッグ14同士の干渉により外れることがない。
【0072】
そして、
図2に示すように、ユーザは、カセット16同士の連結状態で、フック部材30を介して吊り下げ器具24に3つのバッグ組立体18を吊り下げる。この際、3つのバッグ組立体18が積層方向に重なっているので、場所をとらずに吊り下げ器具24に吊り下げることができる。
【0073】
BCプーリングにおいては、3つのバッグ組立体18が同じ高さ位置で吊り下げられているため、各血液用バッグ14からバフィーコートを均等的に送出することができる。従って、BCバッグ22に対しバフィーコートを良好に移行させることができる。
【0074】
BCプーリング後は、使用した血液用バッグ14の洗浄作業を実施する。洗浄作業では、プーリング用チューブ20を介して洗浄液を各血液用バッグ14に流入させて血液用バッグ14内を洗浄する。この場合も、3のバッグ組立体18が連結され同じ高さに保持されていることで、血液用バッグ14に対し洗浄液を均等に移行することができるので、洗浄を良好に行うことができる。
【0075】
以上のように、本実施形態に係る医療用バッグ取扱システム10及びカセット16によれば、連結手段32を有するという簡単な構成によって、カセット16同士を連結することができる。その結果、カセット16に各々支持されている血液用バッグ14をまとめて取り扱うことが可能となる。例えば、BCプーリング時に血液用バッグ14を複数用いた場合に、これら血液用バッグ14を簡単に取り扱うことができるので、作業効率が向上する。また、バッグ組立体18(カセット16)をまとめることにより小スペース化が図られ、狭い場所でも作業を良好に行うことができる。
【0076】
この場合、連結手段32が、カセット16の前面82aに形成された突出部104と、後面に形成された係止孔114とにより構成されることで、カセット16を厚み方向に連結して簡単に積層していくことができる。これにより、複数の血液用バッグ14を並べて連結することができ、その取扱が一層容易となる。
【0077】
また、連結手段32が、突出部130と係止孔114の係合構造により構成されることで、カセット16の面状部同士を積層方向に一致させた状態で互いに近接することにより、カセット16同士を簡単に連結することができる。
【0078】
なお、本発明に係る医療用バッグ取扱システム10及びカセット16は、上記の実施形態に限定されるものではなく、種々の構成を取り得ることは勿論である。以下、本発明の変形例についていくつか挙げて説明していく。なお、以下の説明において、本実施形態に係る医療用バッグ取扱システム10及びカセット16と同一の構成又は同一の機能を有する構成については同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0079】
図8A及び
図8Bに示す第1変形例に係るカセット17A(医療用バッグ取扱システム11A)は、突出部120の先端筒部122の外面を先端方向に細くなるテーパ外面122aに形成した構成となっている。また、これに対応して、突出部120(貫通孔106)の係止孔124の内面も奥行方向に狭くなるテーパ内面124aに形成されている。よって、係止孔124に先端筒部122を挿入すると、先端筒部122のテーパ外面122aと係止孔124のテーパ内面124aとをテーパ嵌合させることができる。このように連結手段126(突出部120及び係止孔124)は、テーパ面を有するように形成しても、カセット17A同士を良好に連結することができる。
【0080】
図9A及び
図9Bに示す第2変形例に係るカセット17B(医療用バッグ取扱システム11B)は、突出部130の先端筒部132に爪部134を設けた構成となっている。この爪部134は、先端筒部132の最も前方側において周方向に沿って環状に形成されている。一方、突出部130(貫通孔106)の係止孔136の内面には、爪部134を引っ掛け可能な凸部138が周方向に沿って形成されている。よって、係止孔136に先端筒部132を挿入すると、係止孔136の凸部138に対し爪部134が引っ掛かり、先端筒部132の抜けが防止される。このように、連結手段139(突出部130及び係止孔136)は、爪部134及び凸部138による引掛構造とすると、一層確実にカセット17B同士を連結することができる。
【0081】
図10A及び
図10Bに示す第3変形例に係るカセット17C(医療用バッグ取扱システム11C)は、突出部140を蓋体82に設けた構成となっている。また、カセット本体80の底壁84には、この突出部140を係止する係止孔142を有した係止用突部144が前方に突出形成されている。すなわち、第3変形例に係る連結手段146では、蓋体82の突出部140が係止用突部144の係止孔142に挿入及び嵌合することによりカセット17C同士が連結される。このように、連結手段146は、カセット本体80と蓋体82に対して突出部140と係止孔142を別々に設けてもよい。上述したように、カセット本体80と蓋体82は、取付端子99と装着孔100により互いが強固に組み付けられるからである。
【0082】
図11A及び
図11Bに示す第4変形例に係るカセット17D(医療用バッグ取扱システム11D)は、カセット本体80の後面84aに突出部150を設けた構成となっている。また、蓋体82には、この突出部150を係止する係止孔152が形成されている。すなわち、第4変形例に係る連結手段154では、カセット本体80の突出部150が蓋体82の係止孔152に挿入及び嵌合することで、カセット17D同士が連結される。このように、連結手段154は、カセット17Dの後面84a側に被係合部である突出部150を備え、カセット17Dの前面82a側に係合部である係止孔152を備えた構成としてもよい。要するに、カセットにおける被係合部と係合部の形成面は、特に限定されるものではない。
【0083】
図12に示す第5変形例に係るカセット17E(医療用バッグ取扱システム11E)は、蓋体82に形成される窓部102の周縁部に突出部160を設けた構成となっている。この突出部160は、カセット本体80に形成されたセンサ用口部96(係止孔)に挿入及び嵌合可能に形成されている。このように、連結手段162(突出部160とセンサ用口部96)は、カセットに予め設けられた形状を利用して構成することができ、また係合部及び被係合部の形状も適宜設計することができる。
【0084】
図13A〜
図13Cに示す第6変形例に係るカセット17F(医療用バッグ取扱システム11F)は、蓋体82(カセット16の一対の延出部90)の前面82aに突出部170を設けた構成となっている。この突出部170は、断面視でT字状に形成され、延出部90の上下方向に所定長さにわたって形成されている。一方、カセット本体80の後面84aには、突出部170を保持可能な保持部172が形成されている。この保持部172は、突出部170のT字状に対応する溝部174を有し、この溝部174は上部が開口し、下部が底部174aによって閉じるように形成されている。
【0085】
従って、連結手段176は、保持部172の溝部174に対し突出部170を上側から下方向にスライドするように挿入することで、カセット17F同士を連結することができる。この場合、各カセット17F同士は、T字状の突出部170と溝部174が積層方向に引っ掛かり合うため、カセット17F間の連結をより確実に行うことが可能となる。また、連結状態を解除する場合は、前側のカセット17Fの溝部174に沿って後側のカセット17Fを上方向に引き上げることで容易に解除することができる。
【0086】
図14に示す第7変形例に係るカセット17G(医療用バッグ取扱システム11G)は、蓋体82の前面82aに一対の吸盤180を設けた構成となっている。一方、カセット本体80の後面84aは、吸盤180に対向する箇所が平坦面(図示せず)に形成されている。すなわち、カセット17Gの連結手段182は、吸盤180の突出方向(厚み方向)に対する吸着力によって実現している。このように、吸盤180によっても複数のバッグ組立体18を一体的に取り扱うことが可能である。
【0087】
図15A及び
図15Bに示す第8変形例に係る医療用バッグ取扱システム11Hは、カセット17Hに連結手段を設けておらず、複数のカセット17Hを保持可能な連結デバイス190(連結手段)によって連結した構成となっている。連結デバイス190は、カセット17Hの上部を保持する保持空間192を前後方向に沿って複数(
図15B中では6つ)有する。
【0088】
1つの保持空間192は、下面側が開口しており、且つ保持空間192を構成する枠体194がカセット17H上部の前面及び後面を比較的大きな摩擦力で挟持可能な幅に形成されている。従って、連結デバイス190は、カセット17Hを下面側から挿入すると、強い保持力でカセット17Hを保持する。複数の保持空間192は、複数のカセット17Hを厚み方向に連結した状態とすることができ、これにより複数のバッグ組立体18を一体的に取り扱うことができる。また、連結デバイス190の上部にはフック196が設けられ、フック196によって吊り下げ器具24に簡単に吊り下げ可能となっている。
【0089】
このように、医療用バッグ取扱システム11Hは、カセット17Hとは別に、該カセット17Hを連結するための連結デバイス190を用いることで、カセット17H自体は従来のものを適用できる。よって、新たにカセットを用意することによるコストアップを抑制することができる。なお、連結デバイス190は、上記の構成に限定されず、例えば、複数のカセット17Hを一体的に挟持可能なクリップを用いる等、種々の構成を取り得ることは勿論である。
【0090】
また、他の変形例に係る医療用バッグ取扱システムとしては、例えば、蓋体82の前面82aの縁部と、カセット本体80の後面84aの縁部にファスナー(図示せず)を設けてもよい。ファスナーは、カセットの前面と後面を重ね合わせた状態で、縁部に沿って移動操作されることでカセット同士を連結する。
【0091】
上記において、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改変が可能なことは言うまでもない。例えば、医療用バッグ取扱システム及びカセットは、BCプーリングの実施のみに適用されるものではなく、複数の医療用バッグ(血液用バッグ以外に輸液バッグ等を含む)を使用する際に好適に用いることができる。