(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6207601
(24)【登録日】2017年9月15日
(45)【発行日】2017年10月4日
(54)【発明の名称】バッグの区画を分離する分離壁の破裂を検出するための装置
(51)【国際特許分類】
A61M 1/16 20060101AFI20170925BHJP
【FI】
A61M1/16 175
A61M1/16 160
【請求項の数】11
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-519286(P2015-519286)
(86)(22)【出願日】2013年6月12日
(65)【公表番号】特表2015-525595(P2015-525595A)
(43)【公表日】2015年9月7日
(86)【国際出願番号】FR2013051372
(87)【国際公開番号】WO2014001680
(87)【国際公開日】20140103
【審査請求日】2016年3月9日
(31)【優先権主張番号】1256172
(32)【優先日】2012年6月28日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】514082664
【氏名又は名称】フィジディア
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】特許業務法人 信栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウードー,ミシェル
(72)【発明者】
【氏名】フェルム,フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】マリーヌ,ジュリアン
【審査官】
石川 薫
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2009/0212178(US,A1)
【文献】
国際公開第2010/050210(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッグ(2)の区画(21,22)を分離する分離壁(3)の破裂を検出するための装置(1)であって、前記バッグの前記区画(21,22)が、前記分離壁(3)が破裂した後で混合する異種の内容物を格納し、
前記バッグ(2)が立設される第1支持体または「下段」(4)と、
前記下段に重畳される第2支持体または「上段」(5)と、
を包含する装置であり、
「検出部分」と呼ばれる少なくとも一つの部分(54)を前記上段(5)が有し、前記少なくとも一つの部分(54)が、前記下段(4)に収容された前記バッグ(2)の前記分離壁(3)が破断状態にある時には前記下段(4)に近接した位置となるのに適するとともに、前記下段(4)に収容された前記バッグ(2)の前記分離壁(3)または前記分離壁(3)の少なくとも一つが非破断状態にある時には前記下段(4)から離間した位置に留まるのに適するように、前記下段(4)と、前記上段(5)と、前記下段(4)に収容される前記バッグとが配設されることと、
前記下段(4)に対する前記上段(5)の相対位置を検出するための検出手段(7)をさらに包含する装置であることと、
を特徴とする装置。
【請求項2】
前記上段(5)の前記検出部分(54)が前記下段(4)に近接した前記位置が、前記上段(5)の前記検出部分(54)が前記下段(4)と接触する位置であることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記下段(4)から離間した位置に前記上段(5)の前記検出部分(54)が留まっている時に作業者に警告するように構成された通知手段(71)をさらに包含する装置(1)であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の装置。
【請求項4】
透析機械(8)へ透析液を供給するように前記バッグ(2)が設計されて、前記装置の前記下段(4)から離間した位置に前記上段(5)の前記検出部分(54)が留まっている時に前記透析機械(8)が作動するのを防止するように構成された制御手段(72)をさらに包含する装置である、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記上段(5)の前記検出部分(54)が前記下段(4)に近接した前記位置が、前記上段(5)の前記検出部分(54)が前記下段(4)と接触する位置であり、
前記バッグ(2)が立設される底壁(40)と、前記底壁に対して実質上垂直に延在する「端壁」と呼ばれる少なくとも二つの対向壁(41)とを前記下段(4)が含み、前記下段(4)に収容された前記バッグ(2)の前記分離壁(3)が破断状態である時に前記上段(5)の前記検出部分(54)が前記下段(4)の端壁に触れるように、前記バッグ(2)と前記段(4,5)とが構成されることを特徴とする、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記段(4,5)が水平線に対して傾斜していることを特徴とする、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記上段(5)の前記検出部分(54)が前記下段(4)に近接した前記位置が、前記上段(5)の前記検出部分(54)が前記下段(4)と接触する位置であり、
前記上段(5)と前記下段(4)との接触状態を表す情報を解析するように構成された情報プロセッサユニット(70)を前記検出手段(7)が含むことを特徴とする、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記上段(5)の前記各検出部分(54)および/または前記下段(4)の前記各対応部分(45)が接触器(57,47)を備え、前記接触器と前記下段(4)または前記上段(5)との接触または非接触が情報を生成するのに適しており、前記プロセッサユニット(70)が、前記接触器(57,47)の接触状態を検出するために前記情報を解析するように構成されることを特徴とする、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記上段(5)の前記各検出部分(54)が、前記下段(4)に収容された前記バッグ(2)の前記分離壁(3)が前記破断状態にある時に前記下段(4)の対応部分に設けられた接触器(47)と接触するのに適した接触器(57)を備え、前記接触器(57,47)の接触または非接触が情報を生成するのに適しており、前記プロセッサユニット(70)が、前記接触器(57,47)の接触状態を検出するために前記情報を解析するように構成されることを特徴とする、請求項7に記載の装置。
【請求項10】
前記各接触器(57,47)が、所定の閾値より大きい値の力を受けた時に前記プロセッサユニット(70)へ信号を送信するのに適した力センサであることを特徴とする、請求項8または請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記各接触器(57,47)が、電気回路のための電気スイッチを形成する導電性要素であり、前記スイッチに前記プロセッサユニット(70)が接続されて、前記回路が閉状態または開状態にあるかどうかを判断することを特徴とする、請求項8または請求項9に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般的に、バッグの区画を分離する分離壁の破裂を検出することに関する。
【0002】
本発明はより具体的には、バッグ、好ましくは透析液バッグの区画を分離する分離壁の破裂を検出するための装置に関し、この装置は、透析液バッグが立設される第1支持体または「下段」と、下段に重畳される第2支持体または「上段」とを包含する。
【背景技術】
【0003】
透析液は当業者によく知られている液体であり、その組成は生理学的血清に近い。透析液は、鉱物学的および細菌学的に充分な品質である水を含む。必要な透析液を準備するため、ミネラル塩粉末の形または原液の形の濃縮物にこの精製水が追加される。
【0004】
透析機械を使用することにより患者に透析を実施する時には、使用される透析液は通常、バッグに格納されて即時使用可能な透析液である。透析液バッグは、直列に、または並列コネクタタイプの配管により並列に、透析機械に接続される。
【0005】
特に、「乳酸緩衝液」と呼ばれる即時使用可能な透析液を単一区画バッグの形で使用するのが可能であることは知られている。しかし医師は、「重炭酸緩衝液」と呼ばれる別の即時使用可能な透析液を使用することを通常好み、その内容物は、乳酸緩衝透析液よりも患者にとって吸収が容易である。
【0006】
この重炭酸緩衝透析液はバッグの形であり、バッグは、重炭酸を格納する一つの区画と、二つの内容物が混合状態である時に重炭酸を沈殿させるのに適したカルシウムイオンなどのイオンを含む液体を格納する別の区画とを包含する。二つの区画は、透析作業を開始する際に破断される必要のある不透過性の分離壁により、相互に分離されている。
【0007】
重炭酸と液体中のイオンとは、沈殿つまり造塩のリスクを回避するようにバッグの二つの区画で相互に隔離されている。加えて、イオンと重炭酸とが透析に先立ってバッグ内で混合された場合には、ある一定の時間の経過後に混合物の劣化が観察されるだろう。
【0008】
バッグの分離壁が破断されてしまうと、液体が混合し、その結果得られる透析液は48時間または72時間以内に使用されなければならない。
【0009】
しかし、バッグに分離壁がない状態で、または複数のバッグの分離壁が破断されていない状態で透析作業が開始したために二つの区画の間に混合が生じないことが起こりうる。
【0010】
バッグから流出する液体は、患者に適合した透析に望ましい性質を有しておらず、患者にとって有害となりうる。例えば、カルシウム濃度が透析作業にとって適切ではない。
【0011】
そのため、二つの区画の間で無傷のままである分離壁を有する透析液バッグを使用して患者に透析を行わないことが重要である。しかし、処置が医療機関以外で管理される時、例えばこのような処置が日常的な家庭での透析である時には特に、あらゆる透析液バッグのあらゆる分離壁が実際に破断されたかを確認することは、作業者または患者にとって困難で制約が多い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、透析液バッグの区画を分離するための分離壁が破断状態であるかどうかを検出することを容易に、確実に、また迅速に行う、新規の装置を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
これを達成するため、本発明は、バッグ、好ましくは透析液バッグの区画を分離する分離壁の破裂を検出するための装置を提供し、前記バッグの区画は、前記分離壁が破裂した後に混合する異種の内容物を格納し、前記装置は、
前記バッグが立設される第1支持体または「下段」と、
前記下段に重畳される第2支持体または「上段」と、
を包含し、
前記装置は、
「検出部分」と呼ばれる少なくとも一つの部分を前記上段が有し、この部分が、前記下段に収容される前記バッグの前記分離壁が破断状態にある時には前記下段に近接した位置となるのに適するとともに、前記下段に収容される前記バッグの前記分離壁または前記分離壁の少なくとも一つが非破断状態にある時には前記下段から離間した位置に留まるのに適しているように、前記下段と、前記上段と、前記下段に収容される前記バッグとが配設されることと、
前記下段に対する前記上段の相対位置を検出するための検出手段をさらに包含する装置であることと、
を特徴とする。
【0014】
これにより、本発明の装置は、透析液および/または透析液分配回路を汚染しうる侵襲的手段を使用することなく分離壁の不破裂を検出することを可能にする。
【0015】
以下で詳しく説明されるように、上段とバッグを収容する下段との間の相対位置を検出することにより、特に上段の一部分と下段との間の非接触を検出することにより、バッグの分離壁の不破裂を検出することが可能であるため、単純、確実、かつ迅速な検出方法となる。
【0016】
分離壁が破裂する前に、バッグの区画は、上階の底壁と下階の底壁との間の距離より大きい厚さまたは高さの突出体を形成するため、バッグの区画を分離する分離壁の不破裂の際には、上段は下段から少なくとも部分的に離間したままである。
【0017】
分離壁が破断した時には、二つの区画が連通して、前は分離壁により閉鎖されていたゾーンで液体が混合するため、区画の内容物がバッグ内で拡散し、これによりバッグの厚さを減少させ、下段に接近し、特にこれを押圧する位置へ上段が達することを可能にする。
【0018】
本発明の有利な特徴によれば、前記上段の前記検出部分が前記下段に近接する位置は、前記上段の前記検出部分が前記下段と接触している位置である。
【0019】
言い換えると、この検出手段は、上段の検出部分と下段との間の接触または非接触を検出するように構成され、これにより、バッグ区画分離壁が破断状態にあるかどうかを推測することを可能にする。
【0020】
変形例では、判断された距離にしたがってバッグ区画の分離壁が破断状態にあるかどうかを検出するため、上段と下段との間の距離を判断するように検出手段が構成されるための設備を設けることが可能である。
【0021】
本発明の有利な特徴によれば、前記装置はさらに、前記上段の前記検出部分が前記下段から離間した位置に留まっている時に作業者に警告するように構成された通知手段を包含する。
【0022】
本発明の有利な特徴によれば、透析機械へ透析液を供給するように前記バッグが設計され、前記装置はさらに、前記装置の前記下段から離間した位置に前記上段の前記検出部分が留まっている時に前記透析機械が作動するのを防止するように構成された制御手段を包含する。
【0023】
本発明の有利な特徴によれば、前記下段は、前記バッグが立設される底壁と、前記底壁に対して実質上垂直に延在する、「端壁」と呼ばれる少なくとも二つの対向壁とを含み、前記バッグと前記段とは、前記下段に収容された前記バッグの前記分離壁が破断状態にある時に前記上段の前記検出部分が前記下段の前記端壁に触れるように構成される。
【0024】
本発明の有利な特徴によれば、前記段は水平線に対して傾斜している。
【0025】
本発明の有利な特徴によれば、前記上段と前記下段との接触状態を表す情報を解析するように構成された情報プロセッサユニットを前記検出手段が含む。
【0026】
本発明の有利な特徴によれば、前記上段の各検出部分および/または前記下段の各対応部分は接触器を備え、前記下段または前記上段との前記接触器の接触または非接触は、前記プロセッサユニットが前記接触器の接触状態を検出するために解析する情報を生成するのに適している。
【0027】
本発明の有利な特徴によれば、前記上段の各検出部分は、前記下段に収容された前記バッグの前記分離壁が破断状態である時に前記下段の対応部分に設けられた接触器と接触するのに適した接触器を備え、これらの接触器の接触または非接触は、前記プロセッサユニットが前記接触器の接触状態を検出するために解析する情報を生成するのに適している。
【0028】
本発明の有利な特徴によれば、各接触器は、所定の閾値より大きい値の力が各接触器に印加される時に前記プロセッサユニットへ信号を送信するのに適した力センサである。
【0029】
本発明の有利な特徴によれば、各接触器は、電気回路のための電気スイッチを形成する導電性要素であり、前記スイッチに前記プロセッサユニットが接続されて、前記回路が閉状態または開状態にあるかどうかを判断する。
【0030】
添付図面を参照して挙げられる実施形態についての以下の説明を参照することで、本発明が十分に理解されうる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】二つの区画と非破断分離壁とを有するバッグを示す概略図である。
【
図1A】
図1のバッグの概略図であり、バッグの分離壁は破断状態である。
【
図2】本発明の装置の概略図であり、バッグを収容する装置の様々な段の区画を分離する分離壁は破断されている。
【
図2A】
図2の装置の図であり、バッグの一つの区画を分離する分離壁は破断状態ではない。
【
図3】透析機械と関連した、本発明の装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図面を参照すると、上記のように、本発明は、透析液バッグ2の区画21,22を分離する分離壁3の破裂を検出するための装置1に関する。
【0033】
各バッグは、二つ以上の区画を有しうる。通常、透析液バッグの各々は二つか三つの区画を有する。
【0034】
「透析液バッグ」という用語は、透析機械の透析液回路に供給するのに使用可能である透析液を混合状態で形成する異種の物質を区画が格納するようなバッグを指すのに使用される。
【0035】
例を挙げると、区画の一つが重炭酸を格納し、他の区画がイオン溶液、例えばカルシウムイオンを含有する溶液を格納しうる。
【0036】
各バッグは出口を有する。この出口は、一つ以上の出口オリフィス23,24を包含しうる。
図1に示された例では、バッグ2のオリフィス25はバッグ2の小区画21を充填するのに役立つ。
【0037】
以下で説明される本発明の実施形態は、分離壁3により分離される二つの区画21,22を有するバッグ2に適用される。当然であるが、複数の分離壁を有するバッグにも説明は適用される。同様に、一つの段に収容される一つのバッグの区画分離壁の不破断の検出について以下で説明されるが、本発明は、様々な段に収容される複数のバッグの区画分離壁の不破断を検出するのにも適用される。
【0038】
このような装置は、透析液バッグ2が立設される第1支持体4または「下段」と、第1段に重畳される第2支持体5または「上段」とを有するバッグ支持構造とを包含する。支持構造は複数の重畳装置から成り、その各々が別の装置と共通の段を有する。具体的には、第1装置の上段は、第1装置の上に所在する第2装置の下段として作用する。ゆえに、
図2および2Aに示された例では、上段5は別の透析液バッグ2を収納する。
【0039】
図面に示された例において、支持構造はさらに、上下に重畳されて以下で詳しく説明される段4,5と類似または同一である他の段を包含する。
図2に示されているように、最終段の上部には簡単なカバーが載置されうる。これにより、このバッグ支持構造は、段を有するバッグ装填器を形成する。
【0040】
下段4は、バッグ2が立設される底壁40と、底壁に対して実質上垂直に延在する少なくとも二つの対向側壁とを、段の前部分と後部分との間に有する。段の前部分は、バッグ2の出口23,24が所在する部分である。下段4はまた、段の前後壁を形成する二つの端壁41を有する。好ましくは、上段5は下段4と類似しており、特に、以下で詳しく説明されるように、下段4に収容されたバッグ2の分離壁3が破断状態にある時に、後部分54を介して下段4の後端壁41の上部45を押圧するのに適した底壁50を含む。
【0041】
各バッグ2の出口が、このバッグを収容する段の下部分(低部)に所在するように、段4,5は水平線に対して傾斜している。バッグの区画を分離する分離壁が破断状態にある時に、この段は相互に対して実質上平行に延在する。
【0042】
図2Aに示されているように、下段4に収容されたバッグ2の分離壁が非破断状態にある時に、バッグ2の区画21,22は、上段5がその後部分54を、バッグ2を収容する下段4の対応部分45に押圧するのを防止する厚さまたは高さの隆起体を形成する。
【0043】
逆に、
図2に示されているように、バッグの分離壁が正しく破断されると、区画を分離して分離壁により前は閉鎖されていた分離ゾーンへこれら区画の内容物が拡散するため、区画の厚さが減少する。その結果、バッグは、特に部分54では、上段5が下段4を完全に押圧するのをもはや妨げない。
【0044】
上段5は、「検出部分」または「接触部分」と呼ばれる少なくとも一つの部分54を有する。部分54は、下段に収容されたバッグの分離壁3が破断状態にある時には下段と接触するとともに、下段に収容されたバッグの分離壁が非破断状態にある時には下段から離間したままである。このような手法により、下段4、上段5、および下段4に収容されたバッグ2は寸法決定される。
【0045】
当然であるが、段に収容されたバッグ2の区画を分離する分離壁3の破裂は、このバッグへ圧力を印加することにより得られる。下段に収容されたバッグ2の区画を分離する分離壁3は、追加の圧力が印加され得る上段の重量により破断するように設けられることも可能である。
【0046】
低品質である透析液により透析作業を開始しないようにバッグの区画分離壁の不破裂を検出可能であることも重要である。
【0047】
これを達成するため、上段5の接触部分54と下段4との間の接触または非接触を検出するように構成された接触検出手段7が装置に設けられる。
【0048】
この接触検出手段7は、下段4および上段5に配置された接触器57,47を包含する。具体的には、これらの接触器は上段の接触部分54と下段4の対応部分45とに配置される。
【0049】
接触検出手段7はさらに、上段および下段に備えられる接触器またはその一部と他の段の対応接触器との接触または非接触を検出することを可能にするプロセッサユニット70を包含する。具体的には、二つの段の接触器の間の接点の閉鎖または開放から生じる信号を受信および解析するのに適したプロセッサユニット70を設けることが可能である。プロセッサユニット70は、例えばマイクロプロセッサを含む電子および/またはコンピュータシステムにより形成される。
【0050】
「接触器」という用語は、別の接触器など、別の物体と接触するのに適した部材を指すのに使用され、この部材の接触状態は、プロセッサユニット70により解析されるのに適した信号または信号の不在により表される。
【0051】
接触器は、異なる手法でも具現化されうる。具体的な実施形態では、各接触器は導電性要素であり、この要素は、任意であるが一つ以上の他の接触器と協働して、電気回路が閉状態または開状態であるかどうかの判断を可能にするためにプロセッサユニット70が接続される電気回路のための電気スイッチを形成する。これにより、接触器57が接触器47に押圧された状態にある時に閉鎖され、逆に接触器が相互離間状態にある時に開放される電気回路の二つの端子を形成するために、上段5の接触器57および下段4の接触器47を設けることが可能である。
【0052】
変形例において、各接触器は、既定の閾値より大きい値の力を受けた時にプロセッサユニット70へ信号を送信するのに適した力センサでありうる。この力は、上段と下段との間の接触から生じる。こうして、プロセッサユニット70により信号が受信されないことが、接触器と関連する装置の対応段の間の非接触としてこのユニットにより解析されうる。
【0053】
下段4のバッグ2の分離壁3が破断されていないという
図2Aに示された例では、上段5の後部分54に備えられた接触器57と下段4の対応部分45に備えられた接触器47との間の接点が開放されている。下段4のバッグ2の分離壁3が実際に破断されているという
図2に示された例では、上段5の後部分54に備えられた接触器57と下段4の対応部分45に備えられた接触器47との間の接点が閉鎖されている。
【0054】
接触器は、検出壁が破裂しなかった際に隣接する段から離間したままとなるのに適した段の様々な部分に配置されうる。ゆえに、各段の後部分の角部の各々と、任意であるが
図2および2Aに示されているように各段の前部分とに、接触器を設置することが可能である。
【0055】
好ましくは、上段5の接触部分54と下段4との間の非接触が検出された時に作業者に警告するように構成された通知手段71をプロセッサユニット70が含みうる。上段5の接触部分54と下段4との間の非接触状態で透析機械8が作動するのを防止するように構成された制御手段72がプロセッサユニット70に設けられることも可能である。
【0056】
プロセッサユニット70に含まれる通知手段71および制御手段72は、コンピュータ命令の形でも具現化されうる。
【0057】
接触器の状態を表す情報を(無線リンクを介して、または有線リンクを介して)透析機械8へ送信するための送信手段を装置が含むことも可能である。
【0058】
本発明は、説明および図示された実施形態にいかなる点でも限定されず、当業者は、本発明の趣旨に含まれる変形をこれらに加えることができる。
【符号の説明】
【0059】
1 装置
2 バッグ
3 分離壁
4 第1支持体/下段
5 第2支持体/上段
7 接触検出手段
8 透析機械
21,22 区画
23,24,25 オリフィス
40 底壁
41 端壁
45 端壁の一部分
47 接触器
50 底壁
54 検出部分
57 接触器
70 情報プロセッサユニット
71 通知手段
72 制御手段